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Oracle® Fusion Middleware高可用性ガイド
12c (12.2.1.2)
E82746-02
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1 概要とロードマップ

この項では、このドキュメントの用途および使用方法と、高可用性環境について説明します。

1.1 このドキュメントの使用方法

このドキュメントは、高可用性の概念やタスクに関する情報のリファレンス・ガイドとして、高可用性環境を設定するときに使用します。

このドキュメントを使用する前に、標準的なインストール・トポロジ(SIT)が製品に設定されている必要があります。これは、高可用性の設定に必要な開始点です。SITの設定方法については、Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準的なインストール・トポロジの理解および標準的なインストール・トポロジのインストールと構成のロードマップのトピックを参照してください。

1.2 高可用性環境の設定

高可用性環境を構成するには、準備と計画が必要です。

表1-1は、高可用性環境を設定するためのタスクと、詳細が記載された追加リソースを示しています。

表1-1 高可用性環境の設定

作業 説明 詳細情報

管理タスクの実行および環境の準備

新しく作成したドメインで実行する共通のタスクです。

製品インストレーション・ガイドの「WebLogicドメインの可用性を高めるための管理と準備」のトピックを参照してください。

WebLogic Serverのインストールの計画

トポロジを理解して、必要なディストリビューション、コンポーネント、機能を特定するための説明です。

『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』のOracle Fusion Middlewareのインストールの準備に関する項を参照してください。

WebLogic Serverソフトウェアのインストール

インストール・プロセスの開始方法とインストール画面の各過程についての説明です。

製品インストレーション・ガイドの「Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストール」を参照してください。

ドメインの構成

ドメインの作成と構成を行います。

製品インストレーション・ガイドの「Oracle Fusion Middleware Infrastructureのドメインの構成」を参照してください。

Oracle Fusion Middlewareの管理

起動および停止、ポートの変更、アプリケーションのデプロイ、Oracle Fusion Middlewareのバックアップおよびリカバリの各手順が含まれます。

『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照

Oracle Fusion Middleware環境のパフォーマンスのモニタリングおよび最適化

パフォーマンスに影響するコンポーネントの場合は、複数のコンポーネントを使用して、パフォーマンスを最適化したり、パフォーマンス重視のアプリケーションを設計します。

『Oracle Fusion Middlewareパフォーマンスのチューニング・ガイド』を参照

製品固有のエンタープライズ・デプロイメントの設定

製品固有のエンタープライズ・デプロイメントについて、実証済の高可用性テクノロジ、セキュリティ・テクノロジおよび推奨事項に基づいたベスト・プラクティスの青写真です。

製品のエンタープライズ・デプロイメント・ガイドを参照

製品環境の管理

製品を使用して、アプリケーションのデプロイ、管理、モニターおよび構成を行います。

製品の管理者ガイドを参照

ノード・マネージャの構成

ノード・マネージャを使用して、離れた場所から管理サーバー・インスタンスや管理対象サーバー・インスタンスを起動、停止および再起動します。これは、高可用性環境の基本ツールです。

『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』を参照してください。

1.3 このリリースでの新機能と変更された機能

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.2)では、概念と機能が新しく追加および変更されています。

注意:

新しく追加された内容と非推奨になった内容の包括的なリストは、次の各項を参照してください。

  • このリリースのWebLogic Serverの新機能については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの新機能』を参照してください。

  • このリリースの用語については、『Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解』の「12cで新しく追加された用語と非推奨になった用語」を参照してください。

1.4 高可用性とは

高可用性とは、必要なシステムまたはデバイスに対して、常にアクセス可能な状態を維持する能力のことです。

高可用性アーキテクチャにより、サービスを中断することなく、ユーザーはシステムにアクセスできます。高可用性システムをデプロイすることで、システムの停止時間つまり使用不可の時間が最小化され、システムの稼働時間つまり使用可能な時間が最大化されます。

高可用性は、システムとコンポーネントに冗長性を持たせることによって実現されます。高可用性ソリューションは、冗長性のレベルによってアクティブ/アクティブ・ソリューションとアクティブ/パッシブ・ソリューションに分類されます。

1.4.1 アクティブ/アクティブの高可用性ソリューション

アクティブ/アクティブ・ソリューションは、スケーラビリティの向上および高可用性の提供のために、複数のアクティブなサーバーをデプロイします。

アクティブ/アクティブ・デプロイでは、すべてのインスタンスは、同時にリクエストを処理します。単一サイトにミドルウェアをデプロイする場合は、常にアクティブ/アクティブ・ソリューションを使用することをお薦めします。

1.4.2 アクティブ/パッシブの高可用性ソリューション

アクティブ/パッシブ・ソリューションでは、リクエストを処理するアクティブ・インスタンスと、スタンバイ状態のパッシブ・インスタンスをデプロイします。

アクティブ・ノードで障害が発生すると、スタンバイ・ノードがアクティブ化され、中間層コンポーネントはそのノードからクライアント・リクエストの処理を続行します。すべての中間層コンポーネントが新しいアクティブ・ノードにフェイルオーバーします。フェイルオーバー後、障害ノードでは中間層コンポーネントは実行されなくなります。

Oracleでは、すべてのコンポーネントでアクティブ/パッシブ・デプロイメントがサポートされます。

1.5 高可用性ソリューション

高可用性ソリューションは、単一データ・センターのデプロイメントで高可用性を実現するローカル高可用性ソリューションと、障害時リカバリ・ソリューションに分類できます。

  • ローカル高可用性ソリューションは、プロセス障害、ノード障害、メディア障害および人為ミスから保護することができ、単一データ・センターのデプロイメントで高可用性を提供します。

  • 障害時リカバリ・ソリューションは、一般的に地理的に分散されたデプロイメントで、洪水や広範囲のネットワーク停止などの災害からアプリケーションを保護します。障害時リカバリ・ソリューションを地理的に分散してデプロイすることで、データ・センター全体に影響を及ぼす物理的災害から保護できます。Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの障害時リカバリの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』の障害時リカバリに関する項を参照してください。

1.6 Oracle Fusion Middlewareの標準HAトポロジについて

このトピックで説明する要素を備えた、標準的な高可用性トポロジをお薦めします。

図1-1は、Oracle Fusion Middlewareのローカルの高可用性デプロイメントで推奨される標準的な高可用性トポロジを示しています。

標準的なインストール・トポロジのインストールと構成のロードマップに関する項およびWebLogic ServerドメインのOracle HTTP Serverのインストールと構成のロードマップに関する項の手順に従っていれば、このデプロイメントはインフラストラクチャSITおよびOracle HTTP Server SITに一致しています。

図1-1 Oracle Fusion Middlewareの高可用性デプロイメント・トポロジ(一般的な企業)

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle Fusion Middlewareの高可用性デプロイメント・トポロジ(一般的な企業)」の説明

このトポロジは多層アーキテクチャを表しています。ユーザーはクライアント層からシステムにアクセスします。リクエストはハードウェア・ロード・バランサを通過し、Web層のOracle HTTP Serverが稼働しているWebサーバーにルーティングされます。Webサーバーでは、プロキシ・プラグイン(mod_wl_ohs)を使用して、リクエストをアプリケーション層のWebLogicクラスタにルーティングします。次に、アプリケーション層のWebLogicクラスタで稼働しているアプリケーションが、データ層のデータベース・クラスタと対話して、リクエストに応じます。

1.6.1 標準高可用性トポロジの要素

標準高可用性インストール・トポロジには、特定の要素が含まれています。

表1-2では、図1-1の要素について説明します。

表1-2 Oracle Fusion Middleware Infrastructureの標準的な高可用性トポロジ内の要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク

APPHOST

アプリケーション層がホストされるマシン。

WEBHOST

Web層がホストされるマシン。

WebLogicドメイン

Javaコンポーネントの論理的に関連したグループです。ここでは、管理サーバー、サーバーおよびその他のソフトウェア・コンポーネントが含まれています。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle WebLogic Serverドメインの概要を参照してください。

管理サーバー

ドメインの集中管理エンティティです。ドメインの構成オブジェクトを保持し、構成の変更をサーバーに配布します。

Enterprise Manager

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control。ドメインの管理で主に使用するツールです。

クラスタ

同時に稼働し連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合。

マシン

1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンス(サーバー)をホストするコンピュータを論理的に表現するもの。マシンは管理対象サーバーとノード・マネージャ間を論理的に結び付けます。ノード・マネージャを使用してサーバーを起動または停止するには、管理対象サーバーがマシンと関連付けられている必要があります。

アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースをホストします。

Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを参照してください。

インフラストラクチャ

次のものを含むサービスの集合です。

  • メタデータ・リポジトリ(MDS)。これにはOracle Application Developer Frameworkなどのコンポーネントのメタデータが含まれます。詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のメタデータ・リポジトリの概要を参照してください。

  • Oracle Application Developer Framework (Oracle ADF)

  • Oracle Web Services Manager(OWSM)

注意:

  • インフラストラクチャSITの図を確認して、そのインストール手順を実行する場合は、Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成のインフラストラクチャの標準的なインストール・トポロジの理解を参照してください。

  • Oracle HTTP ServerのSITの図を確認して、そのインストール手順を実行する場合は、Oracle HTTP Serverのインストールと構成のOracle HTTP Serverの標準的なインストール・トポロジの概要を参照してください。