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Oracle® Fusion Middleware Oracle Data Integratorのアップグレード
12c (12.2.1.2)
E82836-01
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8 Oracle Data Integrator Java EEエージェント環境の前の12cリリースからのアップグレード

Oracle Data Integrator Java EEエージェント環境を前のOracle Fusion Middleware 12cリリースから12c (12.2.1.2)にアップグレードできます。

8.1 Oracle Data Integrator Java EEエージェントのアップグレード・プロセスについて

Oracle Data Integrator Java EEエージェントのアップグレード・プロセスの概要を示すプロセス・フローチャートを確認します。

表8-1 Oracle Data Integrator Java EEエージェントを前の12cリリースからアップグレードするためのタスク

タスク 説明

必須

このガイドの概要のトピックをまだ確認していない場合は確認し、必要なアップグレード前のタスクを完了します。

次を参照してください。

必須

Oracle Fusion Middleware InfrastructureおよびOracle Data Integrator 12c (12.2.1.2)を新しいOracleホームにインストールします。

Oracle Data Integrator Java EE環境のインストールを参照してください。

オプション

アップグレード前の準備状況チェックを実行します。

「アップグレード前の準備状況チェックの実行」を参照してください。

必須

12c環境を停止します(すべての管理サーバーと管理対象サーバーを停止します)。

警告: アップグレード中にサーバーを停止しないと、データが破壊される可能性があります。

「サーバーとプロセスの停止」を参照

必須

アップグレード・アシスタントを起動して、データベース・スキーマをアップグレードし、すべてのアクティブ(進行中の)インスタンス・データを移行します。

製品スキーマのアップグレードを参照してください。

注意: アクティブ・インスタンス・データのアップグレードは、アップグレード・アシスタントの実行中に自動で開始されます。データが正常に新しい12c (12.2.1.2)環境にアップグレードされたら、アップグレード・アシスタントを終了してもかまいません。クローズされたインスタンスのアップグレードは、バックグランド・プロセスで継続されます。

必須

再構成ウィザードを起動してドメインを再構成します。

構成ウィザードを実行して、既存のドメインを更新して新しくインストールしたソフトウェアを使用します。

ドメインの再構成を参照してください。

JRFコンポーネントのアップグレードが必要な場合は必須

アップグレード・アシスタントを(再度)起動して、ドメイン・コンポーネント構成をアップグレードします。

アップグレード・アシスタントを実行して、再構成したドメインのコンポーネント構成をアップグレードします。

ドメイン・コンポーネント構成のアップグレードを参照してください。

必須

サーバーおよび12c (12.2.1.2)インスタンスを再起動します。

アップグレード・プロセスが完了したら、12c (12.2.1.2)インスタンスを再起動します。

サーバーおよびプロセスの起動を参照してください。

必須

アップグレードを確認します。

バックアップを削除する前に、アップグレードしたコンポーネントがすべて期待どおりに動作していることを確認します。

8.2 Oracle Data Integrator Java EE環境のインストール

アップグレードを開始する前に、Oracle Fusion Middleware InfrastructureおよびOracle Data Integrator 12c (12.2.1.2)ディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。

注意:

アップグレードにInfrastructureが必要な場合、他のFusion Middleware製品をインストールする前に、まずOracle Fusion Middleware Infrastructureディストリビューションをインストールする必要があります。
12c (12.2.1.2)ディストリビューションをインストールする手順は次のとおりです。
  1. 12c (12.2.1.2)製品ディストリビューションをインストールするターゲット・システムにサインインします。
  2. 次の12c (12.2.1.2)製品ディストリビューションをOracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudからターゲット・システムにダウンロードします。
    • Oracle Fusion Middleware Infrastructure (fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar)
    • Oracle Data Integrator (fmw_12.2.1.2.0_odi_Disk1_1of2.zipおよびfmw_12.2.1.2.0_odi_Disk1_2of2.zip )
  3. 12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. インストールfmw_12.2.1.2.0_odi_Disk1_1of2.zipおよびfmw_12.2.1.2.0_odi_Disk1_2of2.zipファイルを解凍します。
  5. Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール・プログラムを起動します。
    • (UNIX) JDK_HOME/bin/java -jar fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar
    • (Windows) JDK_HOME\bin\java -jar fmw_12.2.1.2.0_infrastructure_generic.jar
  6. UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、「インストール・インベントリの設定」画面が表示されます。
    中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名に対して中央インベントリの場所への書込み権限が付与されていることを確認し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    「インストール・インベントリの設定」画面は、Windowsオペレーティング・システムでは表示されません。
  7. 「ようこそ」画面で、情報をレビューしてすべての前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします
  8. 「自動更新」画面で「自動更新をスキップ」を選択します。オプションは次のとおりです。
    • この時点でソフトウェアの更新をシステムで確認しないようにする場合は、「自動更新をスキップ」を選択します。

    • パッチ・ファイルをダウンロードした場合は、「ディレクトリからパッチを選択」を選択して、ローカル・ディレクトリに移動します。

    • My Oracle Supportアカウントを持っている場合にソフトウェアの更新を自動でダウンロードするには、「My Oracle Supportで更新を検索」を選択します。Oracle Supportの資格証明を入力して、「検索」をクリックします。インストーラがMy Oracle Supportにアクセスするようにプロキシ・サーバーを構成するには、「プロキシ設定」をクリックします。「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。

    「次へ」をクリックします。
  9. 「インストールの場所」画面でOracleホーム・ディレクトリの場所を指定し、「次へ」をクリックします。
    Oracle Fusion Middlewareディレクトリ構造の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニングのインストールおよび構成のためのディレクトリの理解を参照してください。
  10. 「インストール・タイプ」画面で、次を選択します。
    • Infrastructureには、「Fusion Middlewareインフラストラクチャ」を選択します
    • Oracle Data Integratorには、「エンタープライズ・インストール」を選択します
    「次へ」をクリックします。
  11. 「前提条件チェック」画面では、ホスト・コンピュータを分析して、特定のオペレーティング・システムの前提条件を満たしているか確認します。
    確認されたタスクのリストを表示するには、「正常なタスクの表示」を選択します。ログの詳細を表示するには、「ログの表示」を選択します。前提条件のチェックが失敗すると、エラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続けるには、「スキップ」をクリックします(非推奨)。
  12. 「インストールの概要」画面で、選択したインストール・オプションを確認します。
    これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を入力します。レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後で(コマンドラインから)サイレント・インストールを実行するために使用できます。

    「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

  13. 「インストールの進行状況」画面で進捗バーが100%になったら、「終了」をクリックしてインストーラを閉じるか、「次へ」をクリックしてサマリーを確認します。
  14. 「インストール完了」画面に、インストールの場所とインストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。
  15. Oracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールした後、次のコマンドを入力して製品ディストリビューションのインストーラを起動し、前述の手順を繰り返してインストーラの各画面を移動します。
    (UNIX) JDK_HOME/bin/java -jar fmw_12.2.1.2.0_odi_generic.jar
    (Windows) JDK_HOME\bin\java -jar fmw_12.2.1.2.0_odi_generic.jar

8.3 アップグレード前の準備状況チェックの実行

アップグレードの潜在的な問題を特定するために、アップグレード・プロセスを開始する前に準備状況チェックを実行することをお薦めします。準備状況チェックで、アップグレードの潜在的な問題をすべて検出できない場合があることに注意してください。準備状況チェックで成功が報告されても、アップグレードが失敗する場合があります。

8.3.1 アップグレード前の準備状況チェックの実行について

アップグレード・アシスタントを-readinessモードで実行することにより、実際にアップグレードを実行する前に問題を検出できます。準備状況チェックは、アップグレード・アシスタントを使用してGUIモードで実行するか、レスポンス・ファイルを使用してサイレント・モードで実行できます。 

アップグレード・アシスタントの準備状況チェックでは、サポートされる開始点にあるFusion MiddlewareスキーマおよびWebLogicドメイン構成の読取り専用のアップグレード前確認を実行します。確認は読取り専用操作です。

準備状況チェックでは、フォーマットされ、タイムスタンプの付けられた準備状況レポートが生成され、実際のアップグレードを試みる前に潜在的な問題に対処できます。問題が検出されない場合は、アップグレード・プロセスを開始できます。アップグレードを実行する前に、このレポートを詳細に確認することをお薦めします。

準備状況チェックは、既存のOracle Fusion Middlewareドメインがオンライン(他のユーザーがアクティブに使用している間)またはオフラインである間に実行できます。

実際のアップグレードを実行する前に、準備状況チェックを何度でも実行できます。ただし、アップグレードを実行した後は、レポートの結果がアップグレード前の準備状況チェックの結果と異なる可能性があるため、準備状況チェックを実行しないでください。

注意:

パフォーマンスが影響されることを回避するために、オフピーク時に準備状況チェックを実行することをお薦めします。

8.3.2 準備状況モードでのUpgrade Assistantの起動

-readinessパラメータを使用して、アップグレード・アシスタントを準備状況モードで起動します。

アップグレード・アシスタントでアップグレード前の環境に対して準備状況チェックを実行する手順は次のとおりです。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. アップグレード・アシスタントを起動します。
    • (UNIX) ./ua -readiness
    • (Windows) ua.bat -readiness

    注意:

    GUIモードを許可するようにDISPLAY環境変数を適切に設定していない場合、次のエラーが発生することがあります。
    Xlib: connection to ":1.0" refused by server
    Xlib: No protocol specified 

    この問題を解決するには、使用するローカル・ワークステーションのシステム名またはIPアドレスにDISPLAY環境変数を設定して、アップグレード・アシスタントを再実行します。

    DISPLAYを設定してもこのエラーが引き続き発生する場合は、vncconfigなどの他のGUIツールの起動を試みてください。同じエラーが表示される場合は、DISPLAY環境変数がまだ正しく設定されていない可能性があります。

    コマンドラインで指定できるその他のパラメータの詳細は、次を参照してください。

8.3.2.1 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

コマンドラインからアップグレード・アシスタントを起動するとき、追加パラメータを指定できます。

表8-2 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックに必須

注意: 準備状況チェックはスタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では実行できません。

実際のアップグレードを実行せずにアップグレードの準備状況チェックを実行します。

スキーマおよび構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合、このパラメータを使用しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を識別します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックに必須

アップグレード・アシスタントがGUIモードで実行されたときに入力されたデータから生成されたレスポンス・ファイルに保存された入力を使用して、アップグレード・アシスタントを実行します。このパラメータを使用すると、アップグレード・アシスタントがサイレント・モードで(アップグレード・アシスタント画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel 属性

オプション

次のいずれかの属性を指定してロギング・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

より多くの情報がロギングされるように-logLevel TRACE属性を設定することを検討してください。これは、失敗したアップグレードをトラブルシューティングするときに役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir 場所

オプション

アップグレード・ログ・ファイルおよび一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。アップグレード・アシスタントによってログ・ファイルおよび一時ファイルが作成される、既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

8.3.3 アップグレード・アシスタントでの準備状況チェックの実行

アップグレード・アシスタントの各画面を移動して、アップグレード前の準備状況チェックを完了します。

準備状況チェックは、サポートされるアップグレードの開始点にあるスキーマまたはコンポーネント構成に対してのみ実行されます。
準備状況チェックを完了する手順は次のとおりです。
  1. 「ようこそ」画面で、準備状況チェックに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします
  2. 「準備状況チェック・タイプ」画面で、実行する準備状況チェックを選択します。
    • 「個別に選択されたスキーマ」を使用すると、アップグレード前の確認のために個別のスキーマを選択できます。準備状況チェックにより、スキーマがアップグレードに対してサポートされているか、またはアップグレードが必要な箇所が報告されます。

      このオプションを選択すると、画面名が「選択したスキーマ」になります。

    • 「ドメイン・ベース」を使用すると、「ドメイン・ディレクトリ」フィールドで指定したドメイン内のアップグレードに適格なすべてのスキーマまたはコンポーネント構成を、アップグレード・アシスタントで検出および選択できます。

      このオプションを選択すると、画面名がスキーマおよび構成になります。

      アップグレード・アシスタントですべてのスキーマおよびコンポーネント構成を同時に確認する場合は、デフォルトの選択のままにし、それ以外の場合は特定のオプションを選択します。
      • 「すべてのスキーマのチェックを含める」は、アップグレード可能なスキーマを含むすべてのコンポーネントを検出および確認します。

      • 「すべての構成のチェックを含める」は、管理対象WebLogic Serverドメインのコンポーネント構成を確認します。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「個別に選択されたスキーマ」を選択した場合、「使用可能なコンポーネント」画面で、準備状況チェックを実行する、アップグレード可能なスキーマを含むコンポーネントを選択します。

    依存コンポーネントを持つコンポーネントを選択した場合、それらのコンポーネントは自動的に選択されます。たとえば、Oracle Platform Security Servicesを選択した場合、Oracle Audit Servicesは自動的に選択されます。

    選択したコンポーネントに応じて、追加の画面が表示される場合があります。たとえば、次のような作業が必要になることがあります。

    • ドメイン・ディレクトリを指定します。

    • スキーマ資格証明を指定して、選択したスキーマに接続します: 「データベース・タイプ」「DBAユーザー名」および「DBAパスワード」。次に「接続」をクリックします。

      注意

      Oracle Databaseがデフォルトのデータベース・タイプです。続行する前に、正しいデータベース・タイプを選択したことを確認してください。間違ったデータベース・タイプを選択したことがわかった場合、正しいタイプに変更するためにこの画面に戻らないでください。かわりに、アップグレード・アシスタントを閉じて、正しいデータベース・タイプを選択して準備状況チェックを再起動し、正しいデータベース・タイプがすべてのスキーマに適用されることを確認してください。
    • 「スキーマ・ユーザー名」を選択して、「スキーマ・パスワード」を指定します。

    「次へ」をクリックして準備状況チェックを開始します。
  4. 「準備状況サマリー」画面で、選択に基づいて実行された準備状況チェックのサマリーを確認します。
    後でアップグレード・アシスタントをレスポンス(またはサイレント)モードで再び実行するために選択内容をレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、レスポンス・ファイルの場所および名前を指定します。サイレント・アップグレードは、アップグレード・アシスタント・とまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。
    詳細レポートを表示するには、「ログの表示」をクリックします。
    「次へ」をクリックします。
  5. 「準備状況チェック」画面で、準備状況チェックのステータスを確認します。 プロセスは数分かかる場合があります。
    複数のコンポーネントを確認している場合、各コンポーネントの進行状況が固有の進捗バーに並行して表示されます。
    準備状況チェックが完了したら「続行」をクリックします。
  6. 「準備状況の終了」画面で、準備状況チェックの結果(「準備状況成功」または「準備状況失敗」)を確認します。
    • 準備状況チェックが成功した場合、「準備状況レポートの表示」をクリックして完全なレポートを確認します。準備状況チェックが成功した場合でも、実際のアップグレードを実行する前に準備状況レポートを確認することをお薦めします。「検索」オプションを使用して、レポート内の特定の語または句を検索します。また、このレポートには、完成した準備状況チェック・レポート・ファイルが格納されている場所も示されます。

    • 準備状況チェックで問題またはエラーが発生した場合、「ログの表示」をクリックしてログ・ファイルを確認し、問題を特定および修正してから、準備状況チェックを再開してください。ログ・ファイルは、設定したコマンドライン・オプションによって管理されます。

8.3.4 準備状況レポートの理解

ドメインの準備状況チェックを実行した後、レポートを確認して、アップグレードが成功するためにアクションを実行する必要があるかどうかを決定します。

準備状況レポート・ファイルの形式は次のとおりです。

readiness_timestamp.txt

timestampは、準備状況チェックが実行された日時を示します。

準備状況レポートには、次の情報が含まれています。

表8-3 準備状況レポートの要素

レポートの情報 説明 必要なアクション
全体的な準備状況ステータス: SUCCESSまたはFAILURE レポートの上部には、アップグレードの準備状況チェックが成功したか、または1つ以上のエラーが発生して完了したかが示されます。 1つ以上のエラーが発生してレポートが完了した場合、アップグレードを試みる前に、FAILを検索し、障害の原因となった問題を修正します。準備状況チェックは、アップグレードする前に必要に応じて何度でも再実行できます。

タイムスタンプ

レポートが生成された日付と時刻。

必要なアクションはありません。

ログ・ファイルの場所

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs

生成されたログ・ファイルのディレクトリの場所。

必要なアクションはありません。

準備状況レポートの場所

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs

生成された準備状況レポートのディレクトリの場所。

必要なアクションはありません。

チェックされたコンポーネントの名前

チェックに含まれるコンポーネントの名前およびバージョンとステータス。

このリリースにアップグレードできないコンポーネント(SOAコア拡張など)がドメインに含まれる場合は、アップグレードを試みないでください。

チェックされたスキーマの名前

チェックに含まれるスキーマの名前および現在のバージョンとステータス。

スキーマのバージョン番号をレビューします。このリリースにアップグレードできないスキーマがドメインに含まれる場合は、アップグレードを試みないでください。

個別のオブジェクト・テスト・ステータス: FAIL

準備状況チェック・テストによって、特定のオブジェクトの問題が検出されました。

失敗した問題がすべて解決されるまではアップグレードしないでください。

個別のオブジェクト・テスト・ステータス: PASS

準備状況チェック・テストによって、特定のオブジェクトの問題が検出されませんでした。

準備状況チェック・レポートにPASSステータスのみが表示されている場合、環境をアップグレードできます。ただし、準備状況チェックでは、ハードウェアやアップグレード時の接続性などの外部環境に関する問題を検出することはできません。アップグレードの進捗を常に監視する必要があります。

<オブジェクト>の完了した準備状況チェック・ステータス: FAILURE 準備状況チェックによって、スキーマ、索引、データ型など、特定のオブジェクトについての解決する必要がある1つ以上のエラーが検出されました。 FAILED問題がすべて解決されるまではアップグレードしないでください。
<オブジェクト>の完了した準備状況チェック・ステータス: SUCCESS 準備状況チェック・テストによって問題が検出されませんでした。 必要なアクションはありません。
準備状況レポート・ファイルのサンプルを次に示します。使用対象のレポートにはこれらすべてのチェックが含まれる場合や含まれない場合があります。
Upgrade readiness check completed with one or more errors.

This readiness check report was created on Tue May 30 11:15:52 EDT 2016
Log file is located at: ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs/ua2016-05-30-11-14-06AM.log
Readiness Check Report File: ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs/readiness2016-05-30-11-15-52AM.txt

Starting readiness check of components.

Oracle Metadata Services
   Starting readiness check of Oracle Metadata Services.
     Schema User Name: DEV11_MDS
     Database Type: Oracle Database
     Database Connect String: machinename@yourcompany.com
     VERSION Schema DEV11_MDS is currently at version 12.1.1.1.0.  Readiness checks will now be performed.
   Starting schema test:  TEST_REQUIRED_TABLES  Test that the schema contains all the required tables
   Completed schema test: TEST_REQUIRED_TABLES --> Test that the schema contains all the required tables +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_REQUIRED_PROCEDURES  Test that the schema contains all the required stored procedures
     EXCEPTION     Schema is missing a required procedure: GETREPOSITORYFEATURES
   Completed schema test: TEST_REQUIRED_PROCEDURES --> Test that the schema contains all the required stored procedures +++ FAIL
   Starting schema test:  TEST_REQUIRED_VIEWS  Test that the schema contains all the required database views
   Completed schema test: TEST_REQUIRED_VIEWS --> Test that the schema contains all the required database views +++ PASS
   Starting index test for table MDS_ATTRIBUTES:  TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test that the table contains all the required indexes
   Completed index test for table MDS_ATTRIBUTES: TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test that the table contains all the required indexes +++ PASS
   Starting index test for table MDS_COMPONENTS:  TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test that the table contains all the required indexes
   Completed index test for table MDS_TXN_LOCKS: TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test that the table contains all the required indexes +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_REQUIRED_TRIGGERS  Test that the schema has all the required triggers
   Completed schema test: TEST_REQUIRED_TRIGGERS --> Test that the schema has all the required triggers +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_MISSING_COLUMNS  Test that tables and views are not missing any required columns
   Completed schema test: TEST_MISSING_COLUMNS --> Test that tables and views are not missing any required columns +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_UNEXPECTED_TABLES  Test that the schema does not contain any unexpected tables
   Completed schema test: TEST_UNEXPECTED_TABLES --> Test that the schema does not contain any unexpected tables +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_UNEXPECTED_PROCEDURES  Test that the schema does not contain any unexpected stored procedures
   Completed schema test: TEST_UNEXPECTED_PROCEDURES --> Test that the schema does not contain any unexpected stored procedures +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_UNEXPECTED_VIEWS  Test that the schema does not contain any unexpected views
   Completed schema test: TEST_UNEXPECTED_VIEWS --> Test that the schema does not contain any unexpected views +++ PASS
   Starting index test for table MDS_ATTRIBUTES:  TEST_UNEXPECTED_INDEXES --> Test that the table does not contain any unexpected indexes
   Completed index test for table MDS_ATTRIBUTES: TEST_UNEXPECTED_INDEXES --> Test that the table does not contain any unexpected indexes +++ PASS
   Completed index test for table MDS_LABELS: TEST_UNEXPECTED_INDEXES --> Test that the table does not contain any unexpected indexes +++ PASS
   Starting index test for table MDS_LARGE_ATTRIBUTES:  TEST_UNEXPECTED_INDEXES --> Test that the table does not contain any unexpected indexes
   Starting schema test:  TEST_UNEXPECTED_TRIGGERS  Test that the schema does not contain any unexpected triggers
   Completed schema test: TEST_UNEXPECTED_TRIGGERS --> Test that the schema does not contain any unexpected triggers +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_UNEXPECTED_COLUMNS  Test that tables and views do not contain any unexpected columns
   Completed schema test: TEST_UNEXPECTED_COLUMNS --> Test that tables and views do not contain any unexpected columns +++ PASS
   Starting datatype test for table MDS_ATTRIBUTES:  TEST_COLUMN_DATATYPES_V2 --> Test that all table columns have the proper datatypes
   Completed datatype test for table MDS_ATTRIBUTES: TEST_COLUMN_DATATYPES_V2 --> Test that all table columns have the proper datatypes +++ PASS
   Starting datatype test for table MDS_COMPONENTS:  TEST_COLUMN_DATATYPES_V2 --> Test that all table columns have the proper datatypes
   Starting permissions test:  TEST_DBA_TABLE_GRANTS  Test that DBA user has privilege to view all user tables
   Completed permissions test: TEST_DBA_TABLE_GRANTS --> Test that DBA user has privilege to view all user tables +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_ENOUGH_TABLESPACE  Test that the schema tablespaces automatically extend if full
   Completed schema test: TEST_ENOUGH_TABLESPACE --> Test that the schema tablespaces automatically extend if full +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_USER_TABLESPACE_QUOTA  Test that tablespace quota for this user is sufficient to perform the upgrade
   Completed schema test: TEST_USER_TABLESPACE_QUOTA --> Test that tablespace quota for this user is sufficient to perform the upgrade +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_ONLINE_TABLESPACE  Test that schema tablespaces are online
   Completed schema test: TEST_ONLINE_TABLESPACE --> Test that schema tablespaces are online +++ PASS
   Starting schema test:  TEST_DATABASE_VERSION  Test that the database server version number is supported for upgrade
     INFO   Database product version: Oracle Database 11g Enterprise Edition Release 11.2.0.3.0 - 64bit Production
With the Partitioning, OLAP, Data Mining and Real Application Testing options
   Completed schema test: TEST_DATABASE_VERSION --> Test that the database server version number is supported for upgrade +++ PASS
   Finished readiness check of Oracle Metadata Services with status: FAILURE.

12.1.3.0リリースのOracle Fusion Middleware IAUスキーマを実行しており、それらのスキーマが11gリリース(11.1.1.7以上)または12c (12.1.2.0)からアップグレードされた場合、準備状況チェックは次のエラーで失敗することがあります。

Starting index test for table IAU_COMMON:  TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test 
that the table contains all the required indexes 
     INFO Audit schema index DYN_EVENT_CATEGORY_INDEX in table IAU_COMMON is 
missing the required columns or index itself is missing. This maybe caused by 
a known issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
     INFO Audit schema index DYN_EVENT_TYPE_INDEX in table IAU_COMMON is 
missing the required columns or index itself is missing. This maybe caused by 
a known issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
     INFO Audit schema index DYN_TENANT_INDEX in table IAU_COMMON is missing 
the required columns or index itself is missing. This maybe caused by a known 
issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
     INFO Audit schema index DYN_USER_INDEX in table IAU_COMMON is missing 
the required columns or index itself is missing. This maybe caused by a known 
issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
     INFO Audit schema index DYN_COMPONENT_TYPE_INDEX in table IAU_COMMON is 
missing the required columns or index itself is missing. This maybe caused by 
a known issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
     INFO Audit schema index DYN_USER_TENANT_INDEX in table IAU_COMMON is 
missing the required columns or index itself is missing. This maybe caused by 
a known issue, anyway, this missing index will be added in 12.2.2 upgrade. 
   Completed index test for table IAU_COMMON: TEST_REQUIRED_INDEXES --> Test 
that the table contains all the required indexes +++ FAIL

注意:

準備状況レポートの索引欠落エラーは無視できます。これは既知の問題です。該当の欠落している索引は、スキーマ・アップグレード操作中に追加されます。アップグレードするスキーマがRCUを使用して12cで作成された場合、このエラーは発生しません。

8.4 サーバーとプロセスの停止

アップグレード・アシスタントを実行してスキーマおよび構成をアップグレードする前に、管理サーバーや管理対象サーバーを含め、すべてのプロセスとサーバーを停止する必要があります。

Oracle Fusion Middleware環境は、Oracle WebLogic Serverドメイン、管理サーバー、複数の管理対象サーバー、Javaコンポーネント、アイデンティティ管理コンポーネントなどのシステム・コンポーネント、およびメタデータのリポジトリに使用されるデータベースで構成できます。これらのコンポーネントは相互に依存する場合があるため、正しい順序で停止する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドライン・ユーティリティまたはスクリプトを使用してサーバーおよびプロセスを停止する方法について説明します。Oracle Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。Oracle Fusion Middlewareの管理の管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動および停止を参照してください。

Fusion Middleware環境を停止するには、次の手順に従います。

手順1: システム・コンポーネントの停止

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で停止できます。

手順2: 管理対象サーバーの停止

WebLogic Server管理対象サーバーを停止するには、stopManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

手順3: Oracle Identity Managementコンポーネントの停止

環境を構成しているOracle Internet DirectoryなどのOracle Identity Managementコンポーネントがあれば、それをすべて停止します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

ステップ4: 管理サーバーの停止

管理サーバーを停止する場合、管理サーバーで稼働しているWebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなどのプロセスも停止します。

管理サーバーを停止するには、stopWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワードおよびURLを入力します。

注意:

リポジトリ用に外部のパスワード記憶域が設定されている場合は、アップグレード中に作業リポジトリのパスワードを取得できるように、資格証明ストアをホストしているサーバーが稼働している必要があります。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integratorの管理の外部パスワード記憶域の設定を参照してください。

手順5: ノード・マネージャの停止

ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。

またはnodemanager.propertiesQuitEnabledの属性をtrueに設定した後(デフォルトはfalseです)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。詳細は、Oracle Fusion Middleware WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンスのstopNodeManagerを参照してください。

8.5 製品スキーマのアップグレード

サーバーおよびプロセスを停止した後、アップグレード・アシスタントを使用して、サポートされている製品スキーマを現在のリリースのOracle Fusion Middlewareにアップグレードします。

アップグレード・アシスタントを使用すると、個別に選択したスキーマまたはドメインに関連付けられているすべてのスキーマをアップグレードできます。選択したオプションによって、表示されるアップグレード・アシスタントの画面は異なります。

8.5.1 Upgrade Assistantの起動

アップグレード・アシスタントを実行して、製品スキーマ、ドメイン・コンポーネント構成またはスタンドアロン・システム・コンポーネントを12c (12.2.1.2)にアップグレードします。一度に1つのドメインのアップグレードを完了して、アップグレード・アシスタントを非SYSDBAユーザーとして実行することをお薦めします。

Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. アップグレード・アシスタントを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

ロギング・パラメータなど、コマンドラインで指定できるその他のパラメータの詳細は、次を参照してください。

8.5.1.1 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

コマンドラインからアップグレード・アシスタントを起動するとき、追加パラメータを指定できます。

表8-4 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックに必須

注意: 準備状況チェックはスタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では実行できません。

実際のアップグレードを実行せずにアップグレードの準備状況チェックを実行します。

スキーマおよび構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合、このパラメータを使用しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を識別します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックに必須

アップグレード・アシスタントがGUIモードで実行されたときに入力されたデータから生成されたレスポンス・ファイルに保存された入力を使用して、アップグレード・アシスタントを実行します。このパラメータを使用すると、アップグレード・アシスタントがサイレント・モードで(アップグレード・アシスタント画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel 属性

オプション

次のいずれかの属性を指定してロギング・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

より多くの情報がロギングされるように-logLevel TRACE属性を設定することを検討してください。これは、失敗したアップグレードをトラブルシューティングするときに役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir 場所

オプション

アップグレード・ログ・ファイルおよび一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。アップグレード・アシスタントによってログ・ファイルおよび一時ファイルが作成される、既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

8.5.2 アップグレード・アシスタントを使用した製品スキーマのアップグレード

アップグレード・アシスタントの各画面を移動して、製品スキーマをアップグレードします。

注意

  • 外部認証を使用している場合は、外部認証が内部認証に変更されていることを確認してください。

  • エディションベースの再定義(EBR)ユーザーのみ: エディション・ベースの再定義(EBR)に対応したスキーマをアップグレードする前に、データベース・サーバーに接続して、12cのデータベース・サーバーにエディションを作成する必要があります。12cの新しいエディションは、既存の12cエディションの子である必要があります。再定義のためのサーバーでのエディション作成の詳細は、エディションベースの再定義のためのサーバー上でのエディションの作成を参照してください。

アップグレード・アシスタントで製品スキーマをアップグレードする手順は次のとおりです。
  1. 「ようこそ」画面で、アップグレード・アシスタントの概要と、重要なアップグレード前のタスクに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします

    注意:

    アップグレード・アシスタント画面の詳細は、画面で「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 「選択したスキーマ」画面で、「個別に選択されたスキーマ」を選択します。

    注意:

    12c (12.2.1.2)コンポーネントをサポートするために使用されるスキーマのみをアップグレードしてください。Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.2)に含まれていないコンポーネントをサポートするために現在使用されているスキーマはアップグレードしないでください。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「使用可能なコンポーネント」画面で、マスターおよび作業リポジトリ・スキーマをアップグレードするために「Oracle Data Integrator」を選択します。
  4. 「前提条件」画面ですべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします

    注意:

    アップグレード・アシスタントでは前提条件が満たされているかどうかを確認できません。
  5. ODIスキーマ画面で、アップグレードする各スキーマのデータベース接続の詳細を指定します。
    • 「データベース・タイプ」ドロップダウン・メニューからデータベース・タイプを選択します。

    • データベース接続の詳細を入力して、「接続」をクリックします。

    • 「スキーマ・ユーザー名」ドロップダウン・メニューからアップグレードするスキーマを選択し、スキーマのパスワードを入力します。アップグレードするスキーマに対して正しいスキーマ接頭辞を使用してください。

  6. 「ODIオプション」画面で、すべてのオプションを選択します。

    表8-5 ODIのオプション

    オプション 説明

    ナレッジ・モジュールを必須更新で置換

    これを選択すると、標準ナレッジ・モジュールが最新バージョンに置き換えられます。Oracleによりインストールされたナレッジ・モジュールに対するカスタマイズ内容は上書きされます。ただし、インストールされたナレッジ・モジュールをコピーしてからそのナレッジ・モジュールをカスタマイズした場合、カスタマイズ内容は失われません。

    トポロジおよびセキュリティ・メタデータのアップグレード

    これを選択すると、テクノロジ、データ型、セキュリティ・プロファイルなどのトポロジおよびセキュリティ・アーティファクトが最新バージョンに置き換えられます。インストールされたオブジェクトのカスタマイズ内容は上書きされます。オブジェクトをコピーしてからカスタマイズした場合、カスタマイズ内容は失われません。

    高度なアップグレード・オプションの詳細は、「高度なアップグレード・オプション」を参照してください。

  7. 「ODIスーパーバイザ」画面に、アップグレードするODIリポジトリのスーパーバイザ・アカウント資格証明を入力します。

    インストールされているスーパーバイザ・アカウントはSUPERVISORです。ODIのマスター・リポジトリおよび作業リポジトリの作成時にリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)で求められたときに指定した、正しいスーパーバイザ・アカウント名およびパスワードについては、ODI管理者に確認してください。

    注意:

    「ドメインで使用されるすべてのスキーマ」が選択されている場合、ODIのスーパーバイザ資格証明はドメインに含まれていないため、最初のインスタンスにあらかじめ移入されません。複数のODIスキーマがある場合、アップグレード・アシスタントは最初の資格証明のセットを使用してユーザー・エントリに移入します。
  8. 「調査」画面で、各スキーマを調査した際のアップグレード・アシスタントのステータスを確認し、スキーマのアップグレード準備が整っていることを確認します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次へ」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認し、共通するアップグレード・エラーの解決に関する情報をOracle Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレードのアップグレードのトラブルシューティングで参照します。

    注意:

    • 調査フェーズの間に、アップグレードを続行せずに検出された問題を解決した場合は、バックアップからリストアすることなしに、アップグレード・アシスタントを再起動できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックして続行した場合は、アップグレード・アシスタントを再起動する前に、アップグレード前の環境をバックアップからリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消してもスキーマまたは構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、Upgrade Assistantが収集した情報を再収集する必要があります。

  9. 「アップグレード・サマリー」画面で、スキーマ・アップグレードに選択したオプションのサマリーを確認します。
    正しいソース・バージョンとターゲット・バージョンが、アップグレード対象の各スキーマにリストされていることを確認します。
    後でアップグレード・アシスタントをレスポンス(またはサイレント)モードで再び実行するためにこれらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックして、レスポンス・ファイルの場所および名前を指定します。サイレント・アップグレードは、アップグレード・アシスタント・とまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。
    「アップグレード」をクリックして、アップグレード・プロセスを開始します。
  10. 「アップグレードの進行状況」画面でアップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないスキーマがある場合は、アップグレード・アシスタントのログ・ファイルで情報を確認します。

    注意:

    この画面の進捗バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  11. アップグレードが成功した場合、「アップグレード成功」画面で「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。

    アップグレードが失敗した場合、「アップグレード失敗」画面で「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログはORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

    注意:

    アップグレードに失敗した場合、アップグレード前の環境をバックアップからリストアし、問題を修正して、アップグレード・アシスタントを再起動する必要があります。

8.5.3 スキーマのアップグレードの確認

すべてのアップグレード手順の完了後、schema_version_registryのスキーマ・バージョンが正しく更新されたことを確認して、アップグレードが成功したことを確認します。

Oracle Databaseを使用する場合、Oracle DBAを持つユーザーとしてデータベースに接続し、SQL*Plusから次を実行して現行のバージョン番号を取得します。

SET LINE 120
COLUMN MRC_NAME FORMAT A14
COLUMN COMP_ID FORMAT A20
COLUMN VERSION FORMAT A12
COLUMN STATUS FORMAT A9
COLUMN UPGRADED FORMAT A8
SELECT MRC_NAME, COMP_ID, OWNER, VERSION, STATUS, UPGRADED FROM SCHEMA_VERSION_REGISTRY ORDER BY MRC_NAME, COMP_ID ;

問合せ結果:

  • VERSION列の数値が、そのスキーマの最新のバージョン番号に一致していることを確認します。たとえば、スキーマ・バージョン番号が12.2.1.2.0であることを確認します。ただし、すべてのスキーマ・バージョンが更新されるわけではないことに注意してください。一部のスキーマではこのリリースへのアップグレードが必要なく、アップグレード前のバージョン番号が保持されます。

  • STATUSフィールドは、スキーマのパッチ適用操作中は「UPGRADING」または「UPGRADED」に、操作が完了すると「VALID」になります。

  • ステータスが「INVALID」と表示された場合は、ステータスの更新が失敗しています。ログ・ファイルを調べて、失敗した理由を判定する必要があります。

  • IAU_APPENDおよびIAU_VIEWERによって所有されるシノニム・オブジェクトは、INVALIDとして表示されますが、失敗を示すものではありません。

    それらは、シノニムの作成後にターゲット・オブジェクトが変更されるため無効になります。シノニム・オブジェクトはアクセスされると有効になります。これらのINVALIDオブジェクトは無視しても問題ありません。

8.6 ドメインの再構成

再構成ウィザードを実行して、ドメイン・コンポーネント構成を12c (12.2.1.2)に再構成します。

WebLogic Serverドメインを再構成する場合は、ドメイン内のアプリケーションに応じて次の項目が自動的に更新されます。

  • WebLogic Serverコア・インフラストラクチャ

  • ドメイン・バージョン

注意:

ドメインの再構成を開始する前に、次の制限に注意してください。

  • 再構成ウィザードでは、ドメインに含まれる独自のアプリケーションは更新されません。

  • アップグレード・プロセス中に非動的クラスタ・ドメインを動的クラスタ・ドメインに変換することはサポートされていません。

    動的クラスタ機能は再構成ウィザードの実行中は使用できますが、非動的クラスタをアップグレードしてから動的クラスタを追加することのみがサポートされています。アップグレード・プロセス中に動的クラスタを追加することはできません。

具体的には、ドメインを再構成すると、次のようになります。
  • ドメインのconfig.xmlファイルのドメイン・バージョン番号は、管理サーバーのインストール済WebLogic Serverバージョンに更新されます。

  • すべてのインストール済Oracle製品の再構成テンプレートは、自動的に選択されてドメインに適用されます。これらのテンプレートは、WebLogicドメインが現在のWebLogic Serverバージョンと互換性を持つために必要な再構成タスクを定義します。

  • 起動スクリプトが更新されます。

    変更した起動スクリプトを保持する場合、再構成ウィザードを起動する前にそのスクリプトをバックアップしてください。

注意:

ドメインの再構成プロセスを開始すると、元に戻すことはできません。再構成ウィザードを実行する前に、アップグレード前チェックリストで示されているようにドメインをバックアップしたことを確認してください。再構成ウィザードの実行中にエラーまたは他の割込みが発生した場合、バックアップ場所から元のドメイン・ディレクトリにファイルとディレクトリをコピーすることによって、ドメインをリストアする必要があります。これは、再構成前にドメインを確実に元の状態に戻す唯一の方法です。

再構成ウィザードを使用して既存のドメインを再構成する手順に従います。ドメインの再構成に関する一般情報は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic ServerのアップグレードのWebLogicドメインの再構成を参照してください。

8.6.1 ドメインのバックアップ

再構成ウィザードを実行する前に、ドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。

ドメイン・ディレクトリのバックアップを作成する手順は次のとおりです。

  1. コンテンツを保持するには、ソース・ドメインを別の場所にコピーします。
    たとえば、C:\domains\mydomainをC:\domains\mydomain_backupにコピーします。
  2. 各リモート管理対象サーバーのドメインを更新する前に、各リモート・マシンのドメイン・ディレクトリのバックアップ・コピーを作成します。
  3. ドメインのバックアップしたバージョンが完全であることを確認します。
ドメインの再構成がなんらかの理由で失敗した場合は、再構成を実行する前に、すべてのファイルおよびディレクトリをバックアップ・ディレクトリから元のドメイン・ディレクトリにコピーしてドメインを完全に元の状態に戻す必要があります。

8.6.2 再構成ウィザードの起動

再構成ウィザードをグラフィカル・モードで起動する手順は次のとおりです。

  1. ドメインが存在するシステムにサインインします。
  2. コマンド・シェル(UNIXオペレーティング・システムの場合)またはコマンド・プロンプト・ウィンドウ(Windowsオペレーティング・システムの場合)を開きます。
  3. エディション・ベースのデータベース・ユーザーのみ: スキーマがEBRデータベースを使用して構成されている場合、再構成ウィザードを実行する前に、手動でデフォルトのエディション名を設定する必要があります。
    次のSQLコマンドを実行して、デフォルト・エディションを設定します。

    ALTER DATABASE DEFAULT EDITION = edition_name;

    ここで、edition_nameは、子エディション名です。

  4. oracle_common/common/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\commom\bin
  5. 再構成ウィザードを次のロギング・オプションとともに起動します。
    • (UNIX) ./reconfig.sh -log=log_file -log_priority=ALL
    • (Windows) reconfig.cmd -log=log_file -log_priority=ALL

    log_fileは、ドメイン再構成セッション用に作成するログ・ファイルの絶対パスです。これは、再構成処理をトラブルシューティングする必要がある場合に役立つことがあります。

    パラメータ-log_priority=ALLは、ログを詳細モードで出力します。

    注意:

    このコマンドを実行すると、デフォルトのキャッシュ・ディレクトリが無効であることを示す次のエラー・メッセージが表示される場合があります。

    *sys-package-mgr*: can't create package cache dir
    

    環境変数CONFIG_JVM_ARGSを設定することでキャッシュ・ディレクトリを変更できます。次に例を示します。

    CONFIG_JVM_ARGS=-Dpython.cachedir=valid_directory

8.6.3 再構成ウィザードを使用したドメインの再構成

アップグレード・アシスタントを実行する前に、再構成ウィザードの各画面を移動して既存のドメインを再構成します。

注意:

ソースがクラスタ環境である場合は、再構成ウィザードをプライマリ・ノードでのみ実行します。packおよびunpackユーティリティを使用して、ドメイン内の他のクラスタ・メンバーに変更を適用します。
再構成ウィザードを使用してドメインを再構成する手順は次のとおりです。
  1. 「ドメインの選択」画面で、アップグレードするドメインの場所を指定するか、「参照」をクリックしてナビゲートし、ドメインのディレクトリを選択します。「次へ」をクリックします。
  2. 「再構成セットアップの進行状況」画面で、設定プロセスの進行状況を表示します。完了したら、「次へ」をクリックします。
    このプロセスでは次の処理が行われます。
    • Fusion Middleware製品を含む、インストール済製品の再構成テンプレートが自動的に適用されます。これにより、config.xmlconfig-groups.xmlsecurity.xmlなどの様々なドメイン構成ファイルが更新されます。

    • Fusion Middleware製品をサポートするスキーマ、スクリプトおよび他のファイルが更新されます。

    • ドメイン・アップグレードが検証されます。

  3. 「ドメイン・モードおよびJDK」画面で、ドメインで使用するJDKを選択するか、「参照」をクリックして、使用するJDKにナビゲートします。12c (12.2.1.2)に対してサポートされているJDKバージョンは1.8.0_101以上です。「次へ」をクリックします。

    注意:

    このステージでは、「ドメイン・モード」を変更することはできません。
    特定のプラットフォームでサポートされているJDKのリストは、Oracle Fusion Middlewareでサポートされているシステム構成の説明を参照してください。
  4. 「データベース構成タイプ」画面で、「RCUデータ」を選択してサービス表(_STB)スキーマに接続します。
    RCUサービス表(_STB)スキーマ資格証明を使用してデータベース接続の詳細を入力するか、「RCU構成の取得」をクリックします。
    再構成ウィザードは、この接続を使用して、ドメインのコンポーネントに必要なデータソースを自動的に構成します。

    注意: 既存の11gデータ・ソースの場合、再構成では既存の値が保持されます。スキーマがRCUによって12c用に作成された新しいデータ・ソースの場合、デフォルトの接続データは_STBスキーマから取得されます。特定のスキーマの接続データが_STBスキーマにない場合は、デフォルトの接続データが使用されます。

    チェックが成功した場合は、「次へ」をクリックします。チェックが失敗した場合は、接続の正しい詳細を再入力し、再試行します。
  5. 「JDBCコンポーネント・スキーマ」画面で、各コンポーネント・スキーマのDBMS/サービスおよびホスト名が正しいことを確認し、「次へ」をクリックします。
  6. 「JDBCコンポーネント・スキーマ・テスト」画面で、すべてのコンポーネント・スキーマを選択して「選択された接続のテスト」をクリックし、各スキーマの接続をテストします。テストの結果は、「ステータス」列に表示されます。
    チェックが完了したら、「次へ」をクリックします。
  7. 「拡張構成」画面で、拡張構成を実行するすべてのカテゴリを選択できます。選択したカテゴリごとに、詳細構成を行うことができる適切な構成画面が表示されます。

    注意:

    「拡張構成」画面にリストされるカテゴリは、ドメインに選択したテンプレートに定義されているリソースによって異なります。
    このアップグレードではオプションを選択せずに、「次へ」をクリックします。
  8. 「構成のサマリー」画面で、ドメインの詳細な構成設定を確認してから続行します。
    「表示」ドロップダウン・リストからフィルタ・オプションを選択すると、右側のパネルに表示される項目を制限できます。
    構成を変更するには、「戻る」をクリックして適切な画面に戻ります。ドメインを再構成するには、「再構成」をクリックします。

    注意:

    ドメインを再構成しても、その場所は変更されません。
  9. 「再構成の進行状況」画面には、再構成プロセスの進行状況が表示されます。
    このプロセスでは次の処理が行われます。
    • ドメイン情報が抽出、保存および更新されます。

    • Fusion Middleware製品をサポートするスキーマ、スクリプトおよび他のファイルが更新されます。

    進捗バーが100%になったら、「次へ」をクリックします。
  10. 「構成の終了」画面には、再構成プロセスが正常に完了したか失敗したかが示されます。管理サーバーURL(リスニング・ポートを含む)とともに再構成されたドメインの場所も表示します。再構成が成功した場合は、「Oracle Weblogic Serverの再構成に成功しました」と表示されます。
    再構成プロセスが正常に完了しなかった場合は、その理由を示すエラー・メッセージが表示されます。問題を解決するための適切な措置を講じます。問題を解決できない場合は、My Oracle Supportに連絡してください。
    以後の操作のためにドメインの場所と管理サーバーURLをメモします。

8.7 ドメイン・コンポーネント構成のアップグレード

ドメインの再構成後、アップグレード・アシスタントを使用して、ドメイン内のドメイン・コンポーネント構成を更新済ドメイン構成に一致するようにアップグレードします。

8.7.1 Upgrade Assistantの起動

アップグレード・アシスタントを実行して、製品スキーマ、ドメイン・コンポーネント構成またはスタンドアロン・システム・コンポーネントを12c (12.2.1.2)にアップグレードします。一度に1つのドメインのアップグレードを完了して、アップグレード・アシスタントを非SYSDBAユーザーとして実行することをお薦めします。

Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. アップグレード・アシスタントを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

ロギング・パラメータなど、コマンドラインで指定できるその他のパラメータの詳細は、次を参照してください。

8.7.1.1 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

コマンドラインからアップグレード・アシスタントを起動するとき、追加パラメータを指定できます。

表8-6 アップグレード・アシスタントのコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須またはオプション 説明

-readiness

準備状況チェックに必須

注意: 準備状況チェックはスタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では実行できません。

実際のアップグレードを実行せずにアップグレードの準備状況チェックを実行します。

スキーマおよび構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合、このパラメータを使用しないでください。

-threads

オプション

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を識別します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックに必須

アップグレード・アシスタントがGUIモードで実行されたときに入力されたデータから生成されたレスポンス・ファイルに保存された入力を使用して、アップグレード・アシスタントを実行します。このパラメータを使用すると、アップグレード・アシスタントがサイレント・モードで(アップグレード・アシスタント画面を表示せずに)実行されます。

-examine

オプション

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel 属性

オプション

次のいずれかの属性を指定してロギング・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

より多くの情報がロギングされるように-logLevel TRACE属性を設定することを検討してください。これは、失敗したアップグレードをトラブルシューティングするときに役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir 場所

オプション

アップグレード・ログ・ファイルおよび一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。アップグレード・アシスタントによってログ・ファイルおよび一時ファイルが作成される、既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。

デフォルトの場所は次のとおりです。

(UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

(Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

オプション

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

8.7.2 アップグレード・アシスタントを使用したドメイン・コンポーネント構成のアップグレード

アップグレード・アシスタントの各画面を移動して、WebLogicドメイン内のコンポーネント構成をアップグレードします。

再構成ウィザードを実行してWebLogicドメインを12c (12.2.1.2)に再構成した後、アップグレード・アシスタントを実行して、ドメイン・コンポーネント構成を更新済ドメイン構成に一致するようにアップグレードする必要があります。

アップグレード・アシスタントを使用してドメイン・コンポーネント構成をアップグレードする手順は次のとおりです。
  1. 「ようこそ」画面で、アップグレード・アシスタントの概要と、重要なアップグレード前のタスクに関する情報を確認します。「次へ」をクリックします

    注意:

    アップグレード・アシスタント画面の詳細は、画面で「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 次の画面で次のようにします。
    • 「ドメインによって使用されるすべての構成」を選択します。画面名は「WebLogicコンポーネント」になります。

    • 「ドメイン・ディレクトリ」フィールドにWebLogicドメイン・ディレクトリ・パスを入力します。

    「次へ」をクリックします。

  3. 「コンポーネント・リスト」画面で、構成をアップグレードするすべてのコンポーネントがリストに含まれていることを確認して「次へ」をクリックします。
    アップグレード対象のコンポーネントが表示されていない場合は、「戻る」をクリックして前の画面に戻り、別のドメインを指定します。
  4. 「前提条件」画面ですべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします

    注意:

    アップグレード・アシスタントでは前提条件が満たされているかどうかを確認できません。
  5. 「調査」画面で、各コンポーネントを調査した際のアップグレード・アシスタントのステータスを確認し、コンポーネント構成のアップグレード準備が整っていることを確認します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次へ」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認し、共通するアップグレード・エラーの解決に関する情報をOracle Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレードのアップグレードのトラブルシューティングで参照します。

    注意:

    • 調査フェーズの間に、アップグレードを続行せずに検出された問題を解決した場合は、バックアップからリストアすることなしに、アップグレード・アシスタントを再起動できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックして続行した場合は、アップグレード・アシスタントを再起動する前に、アップグレード前の環境をバックアップからリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消しても構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、アップグレード・アシスタントが収集した情報を再収集する必要があります。

  6. 「アップグレード・サマリー」画面で、コンポーネント構成アップグレードに選択したオプションのサマリーを確認します。
    レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後でサイレント・アップグレードを実行するために使用できます。サイレント・アップグレードは、アップグレード・アシスタント・とまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。
    「アップグレード」をクリックして、アップグレード・プロセスを開始します。
  7. 「アップグレードの進行状況」画面でアップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないコンポーネントがある場合は、Upgrade Assistantのログ・ファイルで情報を確認します。

    注意:

    この画面の進捗バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  8. アップグレードが成功した場合、「アップグレード成功」画面で「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。新規インストールでコンポーネントを機能させるために手動で実行する必要のあるタスクが、アップグレード後のアクションのウィンドウに表示されます。このウィンドウは、コンポーネントにアップグレード後の手順がある場合にのみ表示されます。
    アップグレードが失敗した場合、「アップグレード失敗」画面で「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログはORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。

    注意:

    アップグレードに失敗した場合、アップグレード前の環境をバックアップからリストアし、問題を修正して、アップグレード・アシスタントを再起動する必要があります。

8.8 サーバーおよびプロセスの起動

アップグレードが成功した後、管理サーバーおよび管理対象サーバーを含め、すべてのプロセスおよびサーバーを再起動します。

これらのコンポーネントは相互に依存する場合があるため、正しい順序で起動する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドラインまたはスクリプトを使用してサーバーおよびプロセスを起動する方法について説明します。Oracle Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。Oracle Fusion Middlewareの管理の管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動および停止を参照してください。

Fusion Middleware環境を起動するには、次の手順に従います。

ステップ1: 管理サーバーの起動

管理サーバーを起動する場合、管理サーバーで稼働しているWebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなどのプロセスも起動します。

管理サーバーを起動するには、startWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワードおよびURLを入力します。

手順2: ノード・マネージャの起動

ノード・マネージャを起動するには、startNodeManagerスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startNodeManager.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startNodeManager.cmd

手順3: Oracle Identity Managementコンポーネントの起動

環境を構成しているOracle Internet DirectoryなどのOracle Identity Managementコンポーネントがあれば、それをすべて起動します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

手順4: 管理対象サーバーの起動

WebLogic Server管理対象サーバーを起動するには、startManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

注意:

通常は、管理対象サーバーの起動により、それにデプロイされているアプリケーションが開始されます。したがって、管理対象サーバーの起動後にアプリケーションを手動で開始する必要はありません。

手順5: システム・コンポーネントの起動

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを起動するには、startComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で起動できます。