プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのアップグレード
12c (12.2.1.2)
E82834-02
目次へ移動
目次

前
前へ
次
次へ

3 スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード(11gから12c)

この章では、既存のOracle WebLogic Server (WLS)ドメインで管理されていない、またはそのドメインに関連付けられていない、11gのスタンドアロンOracle HTTP Serverを12cにアップグレードする手順について説明します。

この章の構成は、次のとおりです。

3.1 スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード・プロセス(11gから12c)について

Oracle HTTP Serverのアップグレード・プロセスの概要に関するフローチャートとロードマップを再確認します。

図3-1は、11gを開始ポイントとするスタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレードに関する手順の概要を示しています。各手順で使用するツールのリストも示します。

図3-1 スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード・プロセス・フローチャート(11gから12c)

図3-1の説明が続きます
「図3-1 スタンドアロンOracle HTTP Serverのアップグレード・プロセス・フローチャート(11gから12c)」の説明

次の表では、スタンドアロンOracle HTTP Server 11gを12cにアップグレードするために実行する必要があるタスクについて説明しています。

表3-1 スタンドアロンOracle HTTP Serverをアップグレードするためのタスク(11gから12c)

タスク 説明

必須

スタンドアロンOracle HTTP Serverをアップグレードしていることを確認します。

既存の環境にどの種類のOracle HTTP Serverが含まれるかを判断するには、Oracle HTTP Serverがスタンドアロンか管理対象(コロケート)かの判断を参照してください。

必須

アップグレード前のタスクを実行します。

アップグレード前タスクには、ご使用の本番環境のクローニング、システム要件および資格証明の確認、未使用データのパージおよび非SYSDBAユーザーの作成が含まれます。

アップグレード前タスクの完全なリストは、Oracle HTTP Serverのアップグレードの準備を参照してください。

さらに、次のタスクも完了します: 「アップグレード前の重要な考慮事項」

必須

スタンドアロンOracle HTTP Serverをインストールします。

インストール・プログラムを実行してソフトウェアをインストールします。インストール・タイプスタンドアロンOracle HTTP Server (WebLogic Serverとは切り離して管理)を選択します。これによって、ソフトウェアをシステムに転送し、新しいOracleホーム・ディレクトリを作成します。

スタンドアロンOracle HTTP Serverのインストールを参照してください。

必須

11g環境を停止します。

「サーバーとプロセスの停止」を参照

必須

11gのスタンドアロン・システム・コンポーネント構成のアップグレード。

「ドメイン・コンポーネント構成のアップグレード」を参照してください。

必須

サーバーおよびプロセスを再起動します。

「サーバーとプロセスの起動」を参照してください。

必須

アップグレードを検証します。

Oracle HTTP Serverが予期したとおりの機能を続行しているはずです。アップグレード後の問題がある場合は、インストールのトラブルシューティングを実行してアップグレードを再試行する必要があります。

『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverの管理』のOracle HTTP Serverのトラブルシューティングに関する項を参照してください。

3.2 アップグレード前の重要な考慮事項

アップグレードを開始する前に、アップグレード中またはその後に既存の設定が影響を受けないことを確認することが重要です。Oracle Web CacheまたはWebGateを使用しているか、アプリケーション固有のアーティファクトを11gドメインで使用している場合には、この項の各トピックをよく確認して既存の設定に影響が出ないようにします。

3.2.1 Oracle Web Cache 11gユーザー

Oracle Web Cacheはセキュアなリバース・プロキシ・キャッシュであり、ブラウザとHTTPサーバーとの間、またはブラウザとContent Managementサーバーとの間にデプロイされる圧縮エンジンです。アクセス頻度の高いコンテンツをキャッシュすることで、Webサイトのパフォーマンスを向上します。オラクル社では、Web Cacheの最終バージョンを11gでリリースしました。Web Cacheは12cでは使用できません。

11g環境でWeb Cacheを使用している場合は、次の制限事項を考慮してください。

  • Web CacheはFusion Middleware 12cでは使用できません。このため、Web Cacheにはアップグレードはありません。

  • Web Cache 11gを12c Oracle HTTP Serverのフロントエンドにする組合せは動作保証されません。

  • 11gのセットアップでWeb CacheとOracle HTTP Serverの両方を使用している場合、Oracle HTTP Serverのみを12cにアップグレードできます。この場合、11g Web Cacheを無効にし、トラフィックがOracle HTTP Serverに直接向けられるように構成設定を変更する必要があります。

  • 11gセットアップでWeb CacheとOracle HTTP Serverの両方を使用していて、それらをEnterprise Manager Fusion Middleware Controlで管理するためにOracle WebLogic Server (WLS)ドメインに関連付けている場合は、WLSドメインも12cにアップグレードする必要があります。この場合、関連付けられたOracle HTTP Serverも12cにアップグレードされます。ただし、Web Cacheは、12cのFusion Middleware Controlから削除されます。

3.2.2 WebGate 11gユーザー

WebGateはOracle Access Manager (OAM)のWebサーバー・プラグインで、HTTPリクエストを捕捉して、認証と認可を行うためにアクセス・サーバーに転送します。WebGateはOracle HTTP Server 12cインストールに含まれており、Upgrade AssistantによってOracle HTTP Serverアップグレード処理の一部としてアップグレードされます。

注意:

Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.2)では、WebGateのログ・ファイル名がoblog.logからwebgate.logに変更されています。Oracle HTTP Serverの最新リリースへのアップグレード後に、oblog_config_wg.xmlファイルを手動で更新して、ファイル内に出現する「oblog.log」の各エントリを「webgate.log」に置き換える必要があります。このタスクを実行する手順は、WebGateのログ・ファイル名の更新を参照してください。

3.2.3 WebGateのログ・ファイル名の更新

Oracle Fusion Middleware 12cでは、WebGateのログ・ファイル名がoblog.logからwebgate.logに変更されています。Oracle HTTP Serverの最新リリースへのアップグレード後に、oblog_config_wg.xmlファイルを手動で更新して、ファイル内に出現する「oblog.log」の各エントリを「webgate.log」に置き換える必要があります。

WebGateのログ・ファイル名を更新する手順は次のとおりです。
  1. 次のパスにディレクトリを変更します。
    DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/ohs_instance/webgate/config
  2. oblog_config_wg.xmlファイルを編集モードで開きます。
  3. すべての「oblog.log」を「webgate.log」に置換します。

3.2.4 11gのアプリケーション・アーティファクト

アプリケーション・アーティファクトには、JSPファイル、イメージ、スタイルシート、Javascript、静的HTMLページに加えて、Javaのクラスおよびソース・ファイルやWebアプリケーションの構成ファイルなどのすべてのWebリソースが含まれます。統合開発環境(IDE)は、これらすべてのリソースを使用し、Webアプリケーション・アーティファクトとして参照します。

11gのアプリケーション・アーティファクトがあり、12cでも引き続き使用する場合は、次をよく確認してください。

  • 11g Oracleインスタンスから12cドメインへのOracle HTTP Serverアップグレードの一部として、Oracle HTTP Server構成ディレクトリのレイアウトが、Oracleインスタンスからスタンドアロン・ドメインに移行されます。

  • Oracleインスタンスのコンポーネント構成ディレクトリにあるOracle HTTP Server 11gの構成ファイルは、自動的に移行されます。

  • Oracleインスタンス内にあるアプリケーション・アーティファクトは、任意の組合せの静的ファイル(HTMLまたはイメージ、CGIまたはFastCGIのスクリプトまたはアプリケーション、サード・パーティのモジュールなど)を含めて、12cへのアップグレード後に手動で移行する必要があります

    詳細は、「11gのアプリケーション・アーティファクトの移行」を参照してください。

3.2.5 11gのアプリケーション・アーティファクトの移行

Oracleインスタンス内にあるすべての11gアプリケーション・アーティファクトを、HTMLまたはイメージ、CGIまたはFastCGIのスクリプトまたはアプリケーション、サード・パーティのモジュールなど、任意の組合せの静的ファイルを含めて手動で移行する必要があります。11g構成が参照していたアプリケーション・アーティファクトのうち、Oracleインスタンスの外部のディレクトリに保存されていたものは、Oracle HTTP Server 12cが使用する移行後の構成によって引き続き参照されます。

たとえば、あるサード・パーティのプラグイン・モジュールがOracle HTTP Server 11gのOracleホームにインストールされており、次の例に示す構成を使用してOracleホームの場所から参照されていた場合は、このプラグイン・モジュールを12cのOracle HTTP ServerのOracleホームに手動でインストールするか、またはアップグレードした構成を変更して別の場所で参照する必要があります。

LoadModule example_module "ORACLE_HOME/ohs/modules/mod_example.so"

同様に、静的ファイルが11gのコンポーネント構成ディレクトリ内の/htdocsディレクトリにコピーされていた場合は、これらのファイルも12cインスタンスの構成ディレクトリに手動でコピーするか、またはアップグレードされた構成を修正して別の場所で参照する必要があります。他のタイプのアプリケーション・アーティファクトは、同様の手順で手動で移行する必要があります。

3.3 スタンドアロンOracle HTTP Serverのインストール

アップグレードの開始前に、Oracle HTTP Server 12c (12.2.1.2)ディストリビューションをターゲット・システムにダウンロードし、Oracle Universal Installerを使用してインストールします。

スタンドアロンOracle HTTP Serverをインストールする手順は次のとおりです。
  1. 12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションをインストールするターゲット・システムにログインします。
  2. Oracle Technology NetworkまたはOracle Software Delivery Cloudから、ターゲット・システムに次をダウンロードします。
    • Oracle HTTP Server (UNIX: fmw_12.2.1.2.0_ohs_linux64.bin)、(Windows: setup_fmw_12.2.1.2.0_ohs_win64.exe)
  3. 12c (12.2.1.2)製品のディストリビューションをダウンロードしたディレクトリに移動します。
  4. 使用するマシンが次の要件を満たしていることを確認します。
    • システム、パッチ、カーネルおよびその他の要件が、「システム環境の検証ロードマップ」で指定されている要件を満たしていることを確認します。
    • Oracle HTTP Serverはデフォルトではポート7777にインストールされるので、ノード上のどのサービスでもポート7777を使用していないことを確認する必要があります。このポートが使用されているかどうかを確認するには、Oracle HTTP Serverをインストールする前に次のコマンドを実行します。このポートが使用されている場合は、解放する必要があります。

      netstat -an | grep 7777

  5. 次のコマンドを入力して、インストール・プログラムを開始します。
    (UNIX) ./fmw_12.2.1.2.0_ohs_linux64.bin
    (Windows) setup_fmw_12.2.1.2.0_ohs_win64.exe
  6. UNIXオペレーティング・システムでは、このホストにOracle製品を初めてインストールする場合に、「インストール・インベントリの設定」画面が表示されます。
    中央インベントリを作成する場所を指定します。この画面で選択したオペレーティング・システム・グループ名に中央インベントリの場所への書込み権限があることを確認し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    「インストール・インベントリの設定」画面は、Windowsオペレーティング・システムでは表示されません。
  7. 「ようこそ」画面で、情報をレビューしてすべての前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。
  8. 「自動更新」画面で、「自動更新をスキップ」を選択します。オプションは次のとおりです。
    • この時点でソフトウェアの更新をシステムで確認しないようにする場合は、「自動更新をスキップ」を選択します。

    • パッチ・ファイルをダウンロードした場合は、「ディレクトリからパッチを選択」を選択して、ローカル・ディレクトリに移動します。

    • My Oracle Supportアカウントを持っている場合にソフトウェアの更新を自動でダウンロードするには、「My Oracle Supportで更新を検索」を選択します。Oracle Supportの資格証明を入力して、「検索」をクリックします。インストーラがMy Oracle Supportにアクセスするようにプロキシ・サーバーを構成するには、「プロキシ設定」をクリックします。「接続のテスト」をクリックして接続をテストします。

    「次へ」をクリックします。
  9. 「インストールの場所」画面でOracleホーム・ディレクトリの場所を指定して、「次へ」をクリックします。
    ここでは、スタンドアロン・ドメインにOracle HTTP Serverの標準的なインストール・トポロジを使用してインストールを行っているため、Oracleホーム・ディレクトリを任意に指定できます。ただしこのソフトウェアを確実に、新規のOracleホームにインストールしてください。
    Oracle Fusion Middlewareのディレクトリ構造の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』のインストールおよび構成のためのディレクトリの選択に関する項を参照してください。
  10. 「インストール・タイプ」画面で、「スタンドアロンHTTPサーバー(WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択し、「次へ」をクリックします。
  11. 「前提条件チェック」画面で、ホスト・コンピュータを分析して、特定のオペレーティング・システムの前提条件を満たしているか確認します。
    確認されたタスクのリストを表示するには、「正常なタスクの表示」を選択します。ログの詳細を表示するには、「ログの表示」を選択します。前提条件のチェックが失敗すると、エラー・メッセージが画面の下方に表示されます。エラーを修正し、「再実行」をクリックして再試行します。エラー・メッセージや警告メッセージを無視してインストールを続けるには、「スキップ」をクリックします(非推奨)。
  12. Oracle Supportアカウントを持っている場合は、「セキュリティ更新」画面で、セキュリティ更新を受け取る方法を指定します。
    Oracle Supportアカウントを所持しておらずこの手順を省略してもかまわない場合は、チェック・ボックスの選択を解除して、後続のダイアログ・ボックスで選択内容を確認します。
  13. 「インストール・サマリー」画面で、選択したインストール・オプションを確認します。
    これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を入力します。レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集して格納され、後で(コマンドラインから)サイレント・インストールを実行するために使用できます。

    「インストール」をクリックしてインストールを開始します。

  14. 「インストールの進行状況」画面で、プログレス・バーが100%完了になったら、「終了」をクリックしてインストーラを閉じるか、「次へ」をクリックしてサマリーを表示します。
  15. 「インストール完了」画面に、インストールの場所と、インストールされた機能セットが表示されます。情報を確認し、「終了」をクリックしてインストーラを閉じます。
これで、Oracle HTTP Serverのスタンドアロン・モードでのインストールが完了しました。

3.4 サーバーとプロセスの停止

Upgrade Assistantを実行してスキーマおよび構成をアップグレードする前に、すべてのプロセスと管理サーバーや管理対象サーバーを含めたすべてのサーバーを停止する必要があります。

Oracle Fusion Middleware環境は、1つのOracle WebLogic Serverドメイン、1つの管理サーバー、複数の管理対象サーバー、Javaコンポーネント、システム・コンポーネント(Identity Managementのコンポーネントなど)およびメタデータのリポジトリとして使用する1つのデータベースで構成できます。コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で停止する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドライン・ユーティリティまたはスクリプトを使用してサーバーとプロセスを停止する方法について説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動および停止に関する項を参照してください。

Fusion Middleware環境を停止するには、次に示す手順を実行します。

ステップ1: システム・コンポーネントを停止する

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを停止するには、stopComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で停止できます。

ステップ2: 管理対象サーバーを停止する

WebLogic Server管理対象サーバーを停止するには、stopManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

ステップ3: Oracle Identity Managementのコンポーネントを停止する

Oracle Internet Directoryなど、Oracle Identity Managementコンポーネントを停止します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopComponent.cmd component_name

ステップ4: 管理サーバーを停止する

管理サーバーを停止するときに、管理サーバーで稼働しているプロセス(WebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなど)も停止します。

管理サーバーを停止するには、stopWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/stopWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\stopWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワード、およびURLを入力します。

ステップ5: ノード・マネージャを停止する

ノード・マネージャを停止するには、それが実行されているコマンド・シェルを閉じます。

またはnodemanager.propertiesQuitEnabledの属性をtrueに設定した後(デフォルトはfalseです)、WLSTを使用して、ノード・マネージャに接続して停止できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のstopNodeManagerに関する項を参照してください。

3.5 ドメイン・コンポーネント構成のアップグレード

ドメインの再構成後、更新したドメイン構成と一致するように、ドメイン内でUpgrade Assistantを使用してドメイン・コンポーネント構成をアップグレードします。

3.5.1 Upgrade Assistantの起動

Upgrade Assistantを実行して、製品のスキーマ、ドメイン・コンポーネント構成、またはスタンドアロンのシステム・コンポーネントを12c (12.2.1.2)にアップグレードします。Upgrade Assistantは非SYSDBAとして実行して、一度にアップグレードするドメインは1つにすることをお薦めします。

Upgrade Assistantを起動するには、次の手順に従います。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. Upgrade Assistantを起動します。
    • (UNIX) ./ua
    • (Windows) ua.bat

コマンドラインに指定可能なその他のパラメータ(ロギングのパラメータなど)の詳細は、次を参照してください。

3.5.1.1 Upgrade Assistantパラメータ

コマンドラインからUpgrade Assistantを起動する際に、追加のパラメータを指定できます。

表3-2 Upgrade Assistantコマンドライン・パラメータ

パラメータ 必須/省略可能 説明

-readiness

準備状況チェックの場合は必須

注意: スタンドアロン・インストール(WebLogic Serverによって管理されないインストール)では準備状況チェックを実行できません。

アップグレードの準備状況チェックを実行します(実際のアップグレードは実行しません)。

スキーマと構成がチェックされます。

-examineパラメータを指定した場合は、このパラメータを指定しないでください。

-threads

省略可能

スキーマの同時アップグレードまたはスキーマの準備状況チェックに使用可能なスレッドの数を特定します。

値は、1 - 8の正の整数である必要があります。デフォルトは4です。

-response

サイレント・アップグレードまたはサイレント準備状況チェックの場合は必須

レスポンス・ファイルに保存した入力を使用して、Upgrade Assistantを実行します。このレスポンス・ファイルは、GUIモードでUpgrade Assistantを実行したときの入力データから生成されます。このパラメータを使用すると、Upgrade Assistantがサイレント・モードで(Upgrade Assistant画面を表示せずに)実行されます。

-examine

省略可能

調査フェーズを実行しますが、実際のアップグレードは実行しません。

-readinessパラメータを指定した場合、このパラメータを指定しないでください。

-logLevel attribute

省略可能

次のいずれかの属性を指定して、ログイン・レベルを設定します。

  • TRACE

  • NOTIFICATION

  • WARNING

  • ERROR

  • INCIDENT_ERROR

デフォルトのロギング・レベルはNOTIFICATIONです。

-logLevel TRACE属性を設定して、より多くのログが記録されるようにすることを検討してください。これは、アップグレードの失敗をトラブルシューティングする際に役立ちます。-logLevel TRACEが使用されると、Upgrade Assistantのログ・ファイルは非常に大きくなる可能性があります。

-logDir location

省略可能

アップグレード・ログ・ファイルと一時ファイルのデフォルトの場所を設定します。既存の書込み可能なディレクトリを指定する必要があります。Upgrade Assistantは、このディレクトリにログ・ファイルと一時ファイルを作成します。

デフォルトの場所は次のとおりです。

UNIXの場合:

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/temp

Windowsの場合:

ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\temp

-help

省略可能

すべてのコマンドライン・オプションを表示します。

3.5.2 Upgrade Assistantを使用した11gドメイン・コンポーネントのアップグレード

Upgrade Assistantの各画面を通じて、WebLogicドメインのコンポーネント構成をアップグレードします。

Upgrade Assistantを使用して11gドメインをアップグレードする手順は次のとおりです。
  1. 「ようこそ」画面には、Upgrade Assistantの概要と、アップグレード前のいくつかの重要なタスクについての情報が示されます。「次へ」をクリックします。

    注意:

    Upgrade Assistantの画面の詳細は、画面上の「ヘルプ」をクリックしてください。
  2. 「ドメイン・ディレクトリ」画面で、「新規ドメインの作成(11gからのアップグレード時に選択)」を選択します。
  3. 「スタンドアロン・コンポーネント」画面で、「スタンドアロン・システム・コンポーネント構成」を選択します。
    「新規ドメインの作成」を選択し、「次へ」をクリックします。

    注意:

    • 「新規ドメインの作成」オプションは、バージョン11gからアップグレードする場合にのみ使用してください。

    • アップグレードした11gシステム・コンポーネント用に新しい12cスタンドアロン・ドメインをすでに作成している場合、「既存のドメインの更新」オプションを使用して、スタンドアロンOracle HTTP Serverを備えたスタンドアロン・ドメインを拡張できます。

    • 「既存のドメインの更新」オプションは、以前の12cリリース(12.1.2.0、12.1.3.0、12.2.1.0および12.2.1.1)から最新の12cリリース(12.2.1.2)にアップグレードする場合にのみ使用します。

  4. 「コンポーネント・リスト」画面で、構成をアップグレードするコンポーネントがリストにすべて含まれていることを確認し、「次」をクリックします。
    アップグレードするコンポーネントがリストに含まれていない場合は、「戻る」をクリックして前の画面に戻り、別のドメインを指定します。
  5. 「前提条件」画面で、すべてのチェック・ボックスを選択して、前提条件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。

    注意:

    Upgrade Assistantでは、前提条件が満たされているかどうかの確認は行われません。
  6. 「インスタンス・ディレクトリ」画面で「11gソース」を選択して、アップグレードする11gインスタンスのディレクトリの場所を指定します。
    このインスタンスは、12c Oracle HTTP Serverインスタンスを構成するためのベースとして使用されます。11g Oracle HTTP Serverのインストールは変更されません。
    必要に応じて、+をクリックして11gインスタンス・ディレクトリを追加します。「次へ」をクリックします。

    注意:

    Upgrade Assistantを使用してOracle 10gインスタンスをOracle 12cにアップグレードすることはできません。最初にOracle 10gインスタンスを11gにアップグレードする必要があります。10gから11gへの移行方法の詳細は、使用しているコンポーネントの11gのアップグレード・ドキュメントを参照してください。
  7. 「ノード・マネージャ」画面で、次のフィールドを指定して、スタンドアロン・ドメインを管理するための新しいノード・マネージャを作成します。

    表3-3 「ノード・マネージャ」画面のフィールドの説明

    オプション 説明
    ユーザー名 ノード・マネージャへのアクセスに使用するユーザー名を指定します。
    パスワード ノード・マネージャへのアクセスに使用するパスワードを指定します。確認用にパスワードを再入力します。
    リスニング・アドレス ノード・マネージャがリスニングするDNS名またはIPアドレスを入力します。
    リスニング・ポート ノード・マネージャのリスニング・ポート番号を入力します。

    注意:

    ユーザー名とパスワードは、ノード・マネージャとクライアントの間の接続の認証にのみ使用されます。これらは、サーバー管理者の資格証明とは別のものです。
  8. 「調査」画面で、各スタンドアロン・コンポーネントを調査したUpgrade Assistantのステータスを確認して、スタンドアロン・コンポーネントのアップグレードの準備が整っていることを検証します。ステータスが「調査が終了しました。」になっている場合は、「次」をクリックします。
    調査フェーズが失敗した場合は、「調査失敗」ダイアログの「いいえ」をクリックして、アップグレードをキャンセルすることをお薦めします。「ログの表示」をクリックしてエラーの原因を確認します。一般的なアップグレード・エラーの解決方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレードのアップグレード・ガイドのアップグレードのトラブルシューティングに関する項を参照してください。

    注意:

    • 確認フェーズ中に検出された問題を、アップグレードを進めずに解決した場合は、バックアップからリストアを再び行わずにUpgrade Assistantを開始できます。ただし、「調査失敗」ダイアログ・ボックスで「はい」をクリックしてアップグレードを続行していた場合は、Upgrade Assistantを再開する前に、バックアップからアップグレード前の環境をリストアする必要があります。

    • 調査プロセスを取り消しても構成データに影響はありませんが、将来のアップグレード・セッションでは、Upgrade Assistantが収集した情報の再収集が必要になります。

  9. 「アップグレード・サマリー」画面で、コンポーネント構成のアップグレードに選択したオプションのサマリーを確認します。
    レスポンス・ファイルには、入力したすべての情報が収集および格納されます。このファイルにより、その後のサイレント・アップグレードの実行が可能になります。サイレント・アップグレードは、Upgrade Assistantとまったく同じ機能を実行しますが、データを手動で再入力する必要はありません。これらのオプションをレスポンス・ファイルに保存する場合は、「レスポンス・ファイルの保存」をクリックし、レスポンス・ファイルの場所と名前を指定します。

    「アップグレード」をクリックして、アップグレード・プロセスを開始します。

  10. 「アップグレードの進行状況」画面で、アップグレードのステータスを監視します。

    注意:

    アップグレード・アシスタントにはアップグレードを実行するための十分な時間を与えてください。やむを得ない場合を除き、アップグレード操作は取り消さないでください。これを行うと、環境が不安定になる可能性があります。
    正しくアップグレードされていないコンポーネントがある場合は、Upgrade Assistantのログ・ファイルで情報を確認します。

    注意:

    この画面のプログレス・バーには、現在のアップグレード手順の進行状況が表示されます。アップグレードの残り時間を示すものではありません。

    「次へ」をクリックします。

  11. アップグレードが成功した場合: 「アップグレード成功」画面で、「閉じる」をクリックし、アップグレードを完了してウィザードを閉じます。新規インストールでコンポーネントを機能させるために手動で実行する必要のあるタスクが、アップグレード後のアクションのウィンドウに表示されます。このウィンドウは、コンポーネントにアップグレード後の手順がある場合にのみ表示されます。

    アップグレードが失敗した場合: 「アップグレード失敗」画面で、「ログの表示」をクリックし、エラーを表示してトラブルシューティングします。ログは、ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logsにあります。アップグレードが失敗した場合は、アップグレード前の環境をバックアップからリストアし、問題を修正してから、Upgrade Assistantを再起動する必要があります。

3.5.3 ドメイン固有コンポーネント構成のアップグレードの確認

ドメイン固有コンポーネント構成のアップグレードが成功したことを確認するには、管理コンソールおよびFusion Middleware Controlにログインし、各コンポーネントのバージョン番号が12.2.1.2になっていることを確認します。

管理コンソールにログインするには、次に移動します: http://administration_server_host:administration_server_port/console

Fusion Middleware Controlにログインするには、次に移動します: http://administration_server_host:administration_server_port/em

注意:

アップグレード後、管理ツールは、前のOracleホームではなく新しい12cのOracleホームから必ず実行してください。

アップグレード・プロセス時に、一部のOWSMドキュメント(ポリシー・セット、ポリシーおよびアサーション・テンプレートなどの事前定義ドキュメント)のアップグレードが必要な場合があります。ポリシー・セットまたは事前定義ドキュメントがアップグレードされると、バージョン番号が1増分されます。

3.6 サーバーとプロセスの起動

アップグレードが正常に完了したら、すべてのプロセスと管理サーバーや管理対象サーバーを含めたすべてのサーバーを再起動します。

コンポーネントは相互に依存していることがあるため、適切な順序で起動する必要があります。

注意:

この項の手順では、WLSTコマンドラインまたはスクリプトを使用してサーバーとプロセスを起動する方法について説明します。また、Oracle Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Server管理コンソールを使用することもできます。『Oracle Fusion Middlewareの管理』の管理サーバーと管理対象サーバーおよびノード・マネージャの起動と停止に関する項を参照してください。

Fusion Middleware環境を起動するには、次に示す手順を実行します。

ステップ1: 管理サーバーの起動

管理サーバーを起動するときに、管理サーバーで稼働するプロセス(WebLogic Server管理コンソールやFusion Middleware Controlなど)も起動します。

管理サーバーを起動するには、startWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startWebLogic.cmd

プロンプトが表示されたら、管理サーバーのユーザー名とパスワード、およびURLを入力します。

ステップ2: ノード・マネージャを起動する

ノード・マネージャを起動するには、startNodeManagerスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startNodeManager.sh

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startNodeManager.cmd

ステップ3: Oracle Identity Managementのコンポーネントを起動する

目的の環境に含まれるOracle Identity Managementのコンポーネント(Oracle Internet Directoryなど)を起動します。
  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

ステップ4: 管理対象サーバーを起動する

WebLogic Server管理対象サーバーを起動するには、startManagedWebLogicスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startManagedWebLogic.sh managed_server_name admin_url

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startManagedWebLogic.cmd managed_server_name admin_url

プロンプトが表示されたらユーザー名とパスワードを入力します。

注意:

通常、管理対象サーバーを起動すると、そのサーバーにデプロイされているアプリケーションが開始されます。したがって、管理対象サーバーの起動後にアプリケーションを手動で開始する必要はありません。

ステップ5: システム・コンポーネントを起動する

Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントを起動するには、startComponentスクリプトを使用します。

  • (UNIX) DOMAIN_HOME/bin/startComponent.sh component_name

  • (Windows) DOMAIN_HOME\bin\startComponent.cmd component_name

システム・コンポーネントは任意の順序で起動できます。

3.6.1 スタンドアロンOracle HTTP Serverの起動

アップグレード後に、スタンドアロンOracle HTTP Serverを起動します。

スタンドアロンOracle HTTP Serverを起動する手順は次のとおりです。
  1. oracle_common/upgrade/binディレクトリに移動します。
    • (UNIX) ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/bin
    • (Windows) ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\bin
  2. スタンドアロンのサーバーを起動するコマンドを入力します。
    UNIXオペレーティング・システムの場合: e
    ./startComponent.sh ohs_name
    Windowsオペレーティング・システムの場合:
    startComponent.cmd ohs_name
    詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』のシステム・コンポーネントの起動と停止に関する項を参照してください。

3.7 アップグレードの確認

ノード・マネージャおよびスタンドアロンOracle HTTP Serverを正しく起動できれば、アップグレードが成功したことを確認できます。

アップグレード後の問題が発生した場合は、インストールのトラブルシューティングを実行してアップグレードを再試行する必要があります。詳細は、Oracle HTTP Server管理者ガイドのOracle HTTP Serverのトラブルシューティングを参照してください。

新しくアップグレードした環境を起動できない場合は、OracleウォレットでMD5証明書を使用していることが原因になっている可能性があります。MD5署名を使用しているかどうかのチェックの手順およびSHA-2証明書に置き換える手順については、「SHA-2アルゴリズムを使用して署名された証明書でMD5アルゴリズムを使用して署名された証明書を置き換え」を参照してください。