Oracle HTTP Server 12c (12.2.1.2)へのアップグレードは、サポート対象の11gおよび12cリリースから開始できます。
サポートされるリリースの開始ポイントは、次のとおりです。
Oracle HTTP Server 11g リリース1 (11.1.1.7、11.1.1.8および11.1.1.9)
Oracle HTTP Server 12c (12.1.2.0、12.1.3.0、12.2.1.0および12.2.1.1)
このガイドのアップグレード手順では、既存のOracle HTTP Server 11gドメインおよび既存の12cドメインをOracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.2)にアップグレードする方法について説明しています。
Oracle HTTP Serverの12c (12.2.1.2)へのアップグレード手順は、既存の製品トポロジ(11gまたは以前の12cリリースのどちらか)に応じて異なります。
結果として、Oracle HTTP Serverについて予測されるあらゆるインストールに対して、厳密な手順を示すことが難しくなります。そのため、このアップグレード・ドキュメントでは、いくつかの一般的なOracle HTTP Serverトポロジのアップグレードに対する手順について説明します。これに該当する一般的なトポロジを、標準アップグレード・トポロジと呼びます。
注意:
アップグレードを成功させるためのアップグレード・プロセスおよびプランニング・リソースの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』のアップグレードの準備に関する項を参照してください。12cリリースからのアップグレードの場合、標準トポロジは変更されません。11gからアップグレードする場合は、次に示す項を参照して特定のトポロジをアップグレードします。
このトピックでは、Oracle HTTP Serverを含むOracle Fusion Middleware 11g Application Developerの標準アップグレード・トポロジと、このガイドのアップグレード手順実行後のOracle Fusion Middleware 12c Infrastructureトポロジを示します。
図1-1 Oracle HTTP Serverを含むInfrastructureの標準アップグレード・トポロジ
図1-1のほとんどの要素については、表1-1で説明しています。
表1-1 Oracle HTTP Serverを含むInfrastructureの標準アップグレード・トポロジの要素の説明
要素 | 説明と追加ドキュメントへのリンク |
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Oracle HTTP Serverを含む11g Application Developerトポロジ |
これは図1-1の左側のラベルです。これは、Oracle Fusion Middleware 11g Application Developerインストーラを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。 これは、2つの管理対象サーバーのクラスタと管理サーバーが含まれる単一ドメインで構成されます。また、スキーマとともにオプションのファイルベースのストアまたはデータベースが存在します。 図1-1には、11gドメインの一部としてのOracle HTTP Serverインスタンスも示します。 このドキュメントでは、このトポロジを、Oracle Fusion Middleware 12c Infrastructureディストリビューションを使用して作成した同等のトポロジにアップグレードする方法について順を追って説明します。 |
Oracle HTTP Serverを含む12c Infrastructureの標準インストール・トポロジ |
これは図の右側のラベルです。これは、Oracle Fusion Middleware 12c Infrastructureディストリビューションを使用して作成された一般的な単一ホスト・トポロジを示します。 Application Developer 11gトポロジと同様に、これも、2つの管理対象サーバーのクラスタと管理サーバーが含まれる単一ドメインで構成されます。 図1-1には、12cドメインの一部としてのOracle HTTP Serverインスタンスも示します。 |
「ドメインに関連付けられた」Oracle HTTP Server |
Oracle WebLogic Serverドメインに「関連付ける」ように構成されているOracle HTTP Server 11gインスタンス。Oracle Fusion Middleware 11gでは、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネント・インスタンスは、Oracle Universal Installerベースの構成ウィザードで構成され、Oracle Process Manager and Notification Serverを使用して管理されます。 |
Oracle HTTP Server |
図の左側のOracle HTTP Server 11gインスタンスと異なり、12cトポロジに示すOracle HTTP Server 12cインスタンスは、Oracle Fusion Middleware構成ウィザードを使用してドメインの一部として構成されます。これは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)およびOracle WebLogic Serverノード・マネージャ・ソフトウェアを使用して管理されます。 |
12cでは、スタンドアロンOracle HTTP ServerがOracle WebLogic Serverドメインで管理されることも、このドメインに関連付けられることもありません。スタンドアロンOracle HTTP Server 12cトポロジは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureがなくてもインストールおよび構成できます。ただし、管理対象Oracle HTTP Serverは、既存のOracle WebLogic Serverドメインに関連付けられます。スタンドアロンのシナリオでは、Oracle HTTP Serverソフトウェアを独自のOracleホームにインストールし、Oracle HTTP Serverインスタンスを独自のスタンドアロン・ドメインに構成します。
注意:
スタンドアロンOracle HTTP Serverのインストール方法および構成方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成』のOracle HTTP Serverのインストールの概要に関する項を参照してください。
最新の12cスタンドアロン・ドメインの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの理解』のスタンドアロン・ドメインの説明に関する項を参照してください。
Oracle HTTP Serverの管理シナリオおよび主な機能の詳細は、『Oracle HTTP Server管理者ガイド』の「Oracle HTTP Serverの概要」を参照してください。
管理対象Oracle HTTP Serverのアップグレードの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Infrastructureへのアップグレード』の「インフラストラクチャのアップグレードの実行」を参照してください。
図1-2に、スタンドアロンのOracle HTTP Serverトポロジを示します。
表1-2に、このトポロジの要素の説明を示します。
表1-2 Oracle Fusion MiddlewareスタンドアロンOracle HTTP Serverアップグレード・トポロジの要素の説明
要素 | 説明と追加ドキュメントへのリンク |
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WEBHOST |
Oracleドキュメントで使用される標準的な用語で、Web層をホストするマシンを指します。 |
スタンドアロン・ドメイン |
スタンドアロン・ドメインは11gから12cにアップグレードする場合にのみ作成されます。12.1.2.0、12.1.3.0、12.2.1.0および12.2.1.1からアップグレードする場合は、すでにスタンドアロン・ドメインが存在しているため、スタンドアロン・ドメインを作成する必要はありません。 スタンドアロン・ドメインにはOracle WebLogicドメインに類似したディレクトリ構造がありますが、これには管理サーバーまたは管理対象サーバーは含まれていません。Oracle WebLogic Serverのノード・マネージャおよびその他のツールを使用すると、スタンドアロンOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。 スタンドアロン・ドメインの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの理解』のスタンドアロン・ドメインの説明に関する項を参照してください。 |
使用するOracle HTTP ServerをこのリリースのOracle Fusion Middlewareにアップグレードする前に、いくつかの主要な違いを考慮する必要があります。
表1-3に、Oracle HTTP Server 11gと12cの主な相違点を示します。
表1-3 Oracle HTTP Server 11gと12cの相違点
Oracle HTTP Server 11g: | Oracle HTTP Server 12c: |
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通常、Oracle HTTP Serverインスタンスは、11g Middlewareホームとは別のOracleインスタンス・ディレクトリに構成されます。 | Oracle Fusion Middleware構成ウィザードを使用して、Oracle HTTP ServerインスタンスをOracle WebLogic Serverドメインの一部として構成できます。 |
Oracle HTTP Serverインスタンスは、Oracle Process Manager and Notification Server (OPMN)管理ソフトウェアを使用して管理されます。必要に応じて、Oracle HTTP ServerインスタンスをWebLogicドメインと関連付けることもできます。 | Oracle Application Server Infrastructureドメインの一部として構成した場合、Oracle HTTP Serverインスタンスは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlとOracle WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して管理できます。 Oracle Fusion Middleware 12cでは、ノード・マネージャ・エージェントが、Oracle HTTP Serverインスタンスへの管理リクエストの委任と実行を担当します。 |
mod_ossoはサポート対象で、Oracle HTTP Server 11gに含まれます。 mod_ossoは、12cではサポートされないため、11gで使用した場合はアップグレード後に無効化されます。 |
mod_ossoはサポート対象外で、Oracle HTTP Server 12cには含まれません。 かわりに、Oracle WebGateを使用することをお薦めします。WebGateをOracle HTTP Serverにインストールできます。Oracle HTTP ServerでのWebGateの構成の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Serverのインストールと構成を参照してください。 |
Oracle Fusion Middleware 12cにおけるOracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントの構成および管理方法に関する変更点と、Oracle Fusion Middleware 12cにおけるその他の重要な変更点の詳細は、次を参照してください。
12cの新機能と変更された機能
12cの新しい用語と非推奨用語
WebLogic Management Frameworkとは
サポート対象の単一Oracle Fusion Middleware構成内で、複数の同一バージョンまたは異なるバージョンのOracle Fusion Middleware製品を使用している場合は、アップグレードの計画前に、相互運用性と互換性にかかわる要因について検討する必要があります。
相互運用性
Oracle Fusion Middleware製品のコンテキストでは、相互運用性は、サポート対象のOracle Fusion Middleware構成内で同一バージョン(またはリリース)の2つのOracle Fusion Middleware製品またはコンポーネントを連係動作(相互運用)できる能力と定義されています。 具体的に言うと、相互運用性は、リリース番号またはバージョン番号の最初の4桁が同じ場合に該当します。たとえば、Oracle Fusion Middleware 12c (12.2.1.0)コンポーネントは、通常、他の12c (12.2.1.2)コンポーネントと相互運用性があります。
互換性
Oracle Fusion Middleware製品のコンテキストでは、互換性は、異なるバージョン(またはリリース)の2つのOracle Fusion Middlewareコンポーネントを相互運用できる能力と定義されています。
Oracle Fusion Middlewareリリース12.2.1.2で使用可能な製品と機能のリストは、『Oracle Fusion Middleware相互運用性および互換性の理解』のOracle Fusion Middlewareで使用可能な製品と機能に関する項を参照してください。
Oracle HTTP Serverのアップグレード計画は、そのデプロイメントがスタンドアロンであるか管理対象であるかに応じて異なります。
開始ポイントとデプロイの種類に応じて、このガイドの次に示すいずれかの部に移動してください。さらに、各部には有効な開始ポイントごとのアップグレード手順について説明するサブセクションがあります。
注意:
アップグレードの開始前に、概要に関するトピックを再確認して、アップグレード前のタスクを完了してください。Oracle HTTP Serverは、Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントです。これは、Oracle WebLogic Serverのリスナーと、Web上で静的ページ、動的ページ、およびアプリケーションをホストするためのフレームワークを提供します。WebLogic Serverドメイン内に構成したOracle HTTP Serverは、管理対象Oracle HTTP Serverと呼ばれます。これは、Oracle HTTP Serverインスタンスが、Enterprise Manager Fusion Middleware Control、WLSTコマンド行インタフェースまたはノード・マネージャを使用して、WebLogic Serverドメイン内にある他の要素と同様に管理できるためです。Oracle HTTPソフトウェアを、Oracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールせずに個別のOracleホームにインストールする方法は、スタンドアロン・モードと呼ばれます。
アップグレードするOracle HTTP Serverが管理対象またはスタンドアロンのどちらかを判断するには、次の点を確認します。
11gユーザーの場合: ファイルORACLE_INSTANCE/config/OPMN/opmn/instance.properties
内のregistered
プロパティを確認します。trueに設定されている場合はインスタンスが登録されています。管理対象Oracle HTTP Serverは登録されるので、登録されていない場合はスタンドアロンOracle HTTP Serverです。
12cユーザーの場合: ファイルDOMAIN_HOME/init-info/domain-info.xml
内の要素extention-template-ref
とその属性name
を確認します。名前がOracle HTTP Server (Standalone)の要素が見つかった場合は、スタンドアロンOracle HTTP Serverです。また、名前がOracle HTTP Server (Collocated)の要素が見つかった場合はコロケートOHSです。