プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Fusion Middleware Upgrade Assistantによるアップグレード
12c (12.2.1.2)
E82838-02
目次へ移動
目次

前

4 アップグレードのトラブルシューティング

Upgrade Assistantを使用して、このリリースにOracle Fusion Middlewareのデプロイメントをアップグレードする際に発生する可能性のある、一般的な問題をトラブルシューティングします。

4.1 アップグレードのトラブルシューティング

Upgrade Assistantの実行中に発生する可能性のあるエラーについて理解しておくことが役に立ちます。また、それらのトラブルシューティング方法につい知っておくことも同様に重要です。

Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、次の手順を実行して問題のトラブルシューティングを行ってください。

注意: 修正作業の手順は、エラーが発生したフェーズによって異なります。

  1. Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantのログ・ファイルを見つけて、テキスト・エディタで開きます。

    ログ・ファイルの場所については、「ログ・ファイルの確認」を参照してください。

  2. Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantのjarファイルの正しいバージョンを確認するには、次のコマンドを実行します。

    unzip -p ua.jar META-INF/MANIFEST.MF

    このコマンドを実行できるのは、ディレクトリをjlibディレクトリに変更した後のみです。

    cd ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/jlib

    注意:

    unzip -p ua.jar META-INF/MANIFEST.MFコマンドの出力によって、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantのビルドに使用されたデプロイメント・ラベルを識別します。その情報から、実行されたOracle Fusion Middleware Upgrade Assistantソフトウェアのデータとバージョンを特定します。サービス・リクエストを発行する場合、この情報をOracleに提供する必要があります。
  3. UPGAST-00091などの番号で識別されるエラー・メッセージを検索します。
  4. Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・ガイドで、そのエラーについて調べます。

    エラーについての説明には、エラーの原因およびそのエラーを解決するために実行する必要がある処置についての説明が含まれています。

  5. エラー・メッセージおよびエラー・メッセージの説明を検索できるかどうかに応じて、次の操作を実行します。
    • ログ・ファイルとエラー・メッセージに関する説明を確認することで、アップグレード時に発生した障害の解決方法を特定できる場合は、その解決方法を実行した後で、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを再起動してアップグレードを再度実行します。

      前回のアップグレード時に正常にアップグレードされたコンポーネントは、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを再実行しても影響を受けません。ただし、前回ユーティリティを実行した際に正常にアップグレードされなかったコンポーネントに対して、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantはアップグレードを試行します。

    • 説明されていないエラーまたはエラーの後に説明されている処置によって解決できないエラーについては、Oracleサポート・サービスに連絡してください。一部のエラーでは、バックアップからリポジトリをリストアし、問題を解決してアップグレードを再実行する必要があります。Oracleサポートでは、トラブルシューティングの目的で、UA.logファイルと、(存在する場合は)UA.outファイルの両方を必要とします。これらのファイルの抜粋ではなく、完全なログを提供してください。

      注意:

      調査フェーズ中にエラーが発生したため、まだコンポーネントやスキーマがアップグレードされていない場合は、準備状況チェックを実行してください。準備状況チェックによって実行されるチェックのタイプの方が、アップグレードの調査フェーズよりも徹底したチェックが行われます。

      ただし、アップグレード中またはアップグレード後にエラーが発生した場合は、バックアップ・コピーから環境をリストアし、エラーを修正してから、アップグレード・プロセスを最初から再開する必要があります。

4.2 ログ・ファイルの確認

ログ・ファイルは削除しないでください。Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの実行中に発生する問題の診断と修正に役立ちます。

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの実行時に、コマンドラインから別の-logLevelを指定することで、ログ・ファイルの内容を変更できます。デフォルト値は-logLevel NOTIFICATIONです。-logDirパラメータを使用して、ログ・ファイルの場所を変更できます。-logLevel TRACEパラメータを指定してOracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを実行すると、より詳細なロギング情報を取得できます。ただし、場合によっては、これによってログ・ファイルのサイズが非常に大きくなる可能性があります。

注意:

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantのログ・ファイル・ビューアには、TRACEメッセージが含まれません。TRACEメッセージを表示するには、別のツールを選択して使用する必要があります

ヒント:

確認プロセスを容易にするには、「エラー」という語句を検索します。

ログ・ファイルのエラー・メッセージを理解するための詳細は、「 Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの一般的なエラーの解決方法」を参照してください。

ログ・ファイルは、次のデフォルトのディレクトリに格納されます。

UNIXオペレーティング・システムの場合:

ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs/ua<timestamp>.log

Windowsオペレーティング・システムの場合:

ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs\ua<timestamp>.log

一部のコンポーネントでは、ua<timestamp>.outという2番目のログ・ファイルが、同じ場所に作成されます。

timestampは、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantが実際に実行された日時を表します。

特定のコンポーネントのデータベース・スキーマのアップグレードでは、シェル・プロセスで実行されたコマンドやPL/SQLスクリプトとして実行されたコマンドの画面出力を含む出力(.out)ファイルが存在することもあります。これらの出力ファイルは、同じデフォルトのディレクトリ内にあります。

このガイドの情報で解決できない、アップグレード時に発生した障害に関する質問や問題がある場合、ログ・ファイルを保存しておくことが重要です。サービス・リクエストの発行が必要な場合は、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの.logファイルと.outファイル(使用可能な場合)全体をサービス・リクエストとともにアップロードする必要があります。

4.3 調査時に発生した障害の調査

アップグレードの調査フェーズで発生する可能性のある障害を特定して、トラブルシューティングする方法について説明します。

調査時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。

  1. Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
  2. Upgrade Assistantログ・ファイルを開きます。

    ログ・ファイルの場所については、「ログ・ファイルの確認」を参照してください。

  3. ログ・ファイルで、Starting to examine component_name. というメッセージを検索します。

アップグレードを完了するには、問題を解決し、Upgrade Assistantを再度起動します。または、可能であれば、「戻る」をクリックして前の画面に戻り、必要な変更を加えます。

注意:

準備状況チェック機能を使用すると、調査フェーズよりはるかに詳細なレベルのチェックが実行されます。調査時に障害が発生した場合は、-readinessパラメータを使用してUpgrade Assistantを実行し、テストの障害がレポートに表示されないことを確認してください。

調査フェーズ中に検出された問題は、バックアップからリストアしなくても解決できます。ただし、システムの状態を変更する方法で調査エラーを解決しようとしている場合は、システム全体をアップグレード前の状態(アップグレード操作が行われる前の状態)にリストアする必要があります。

アップグレード時に検出された問題は、バックアップからリストアすることなく(アップグレード中に)解決することはできません。アップグレード前の環境は、バックアップから元のアップグレード前の状態にリストアする必要があります。

4.4 アップグレード時に発生した障害の調査

アップグレードの障害を特定してトラブルシューティングする方法について説明します。

アップグレード時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。

  1. Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantのダイアログまたはコマンドラインの出力に示される障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
  2. Upgradeログ・ファイルを開きます。

    ログ・ファイルの場所については、「ログ・ファイルの確認」を参照してください。

  3. Starting to upgrade component_name. というメッセージを検索します。

アップグレードを完了するには、アップグレード前のバックアップを使用して、アップグレード操作が試行されていない時点まで環境全体をリストアし、問題を解決してから、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantを再起動します。アップグレードを正常に(完全に)行うには、アップグレード・プロセスを最初から始める必要があります。

注意:

RMANを使用してすべてのデータベースをバックアップし、これらのバックアップからPoint-in-Timeリカバリを実行できる必要があります。ドメインのFusion Middlewareリポジトリが複数のOracle Databaseサーバーにわたる場合、これらの各バックアップからリストアする必要があります。

4.5 Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの一般的なエラーの解決方法

Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantの実行中にエラーが発生した場合は、エラーの原因になっている状況を修正してから、アップグレードを再開する必要があります。

この項では、最も一般的なアップグレード・エラーについて説明します。すべてのFusion Middlewareエラーのリストは、Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージのガイドを参照してください。

4.5.1 ディスク領域が十分であるかどうかの確認

ディスク領域不足が原因でアップグレードに障害が発生した場合、バックアップからデータベース・サーバー環境を復元し、十分なディスク領域を追加するか、データベース・サーバーから不要なファイル(一時ファイルまたはトレース・ファイル)を削除して、アップグレードを再試行する必要があります。

注意: このクラスのエラーが原因でデータベース・スキーマのアップグレードに障害が発生すると、ディスク領域を追加するだけではアップグレードを再試行できません。スキーマが不整合な状態になり、「INVALID」としてマークされた可能性があります。バックアップから元のデータベースの状態を復元しないと、このエラーから復元できません。

次の例は、発生する可能性のあるディスク領域不足によるエラーを示しています。

ORA-01658: 表領域にセグメント用のINITIALエクステントを作成できません

原因: 既存のスキーマ表領域に、アップグレードを完了するための十分な領域がありません。

処置: 表領域に、アップグレードを正常に実行するための十分な空き(領域)を確保してください。既存のデータベース表領域に、より多くのデータファイルを追加することをお薦めします。そうしないと、アップグレードは失敗します。

ORA-01114: ファイル<ブロック番号>にブロックを書込み中にIOエラーが発生しました

原因: ファイルが保存されているデバイスが、オフラインになっている可能性があります。そのファイルが一時ファイルの場合、そのデバイスは領域不足である可能性があります。これは、一時ファイルのディスク領域が、ファイル作成時に割り当てられるとはかぎらないために発生する場合があります。

処置: デバイスへのアクセス権限を正しく設定するか、または不要なファイルを削除して、領域を解放してください。

ORA-09945: 監査証跡ファイルの初期化ができません。

原因: システムが、監査証跡として使用されるファイルへのヘッダー情報の書込みに失敗しました。監査ファイルを生成するためのaudit_trail_dest(監査証跡の生成先)のディスク領域が一杯です。

処置: 領域を解放してから操作を再試行してください。

4.5.2 スキーマのアップグレード時に発生するデータベース接続の問題の解決方法

Upgrade Assistantを使用してコンポーネント・スキーマをアップグレードするときに、データベースへの接続障害が発生した場合、SQL*Plusなどの別のツールを使用して、データベースへの接続を試行してください。これにより、データベースが稼働中でネットワークから使用できることを検証することで、問題のトラブルシューティングが可能になります。

4.6 サポートされていないドメインのアップグレードの試行

サポートされていないドメインのスキーマやドメイン構成は、アップグレードしないでください。

指定されたドメインをアップグレードできないことを示すエラーを受け取ったら、最初にドメインをサポート対象バージョンにアップグレードする必要があります。サポートされていないドメインでスキーマまたはドメイン構成をアップグレードしないでください。

4.7 障害が発生した後のUpgrade Assistantの再起動

Upgrade Assistantを再起動する前にエラーを解決する必要があります。

Upgrade Assistantがアップグレード・フェーズで失敗した場合や、一部のコンポーネントしかアップグレードされない場合は、それらの問題の解決方法を試してから次の手順を実行します。

  1. 11gまたは12c環境全体をアップグレード前のバックアップにリストアします。
  2. Upgrade Assistantを再起動します。

アップグレードに障害が繰り返し発生する場合は、より多くの情報がロギングされるよう、-logLevelTRACEに設定することを検討してください。これは、障害が発生したアップグレードのトラブルシューティングに役立ちますが、パフォーマンスの問題を避けるために、問題が解決された後は、必ず-logLevelNOTIFICATIONに再設定してください。