6 統合モードでのキャプチャの構成

この章では、統合モードでトランザクション・データをキャプチャするようにOracle GoldenGateキャプチャ・プロセスを構成する手順について説明します。

注意:

アクティブなExtract構成をクラシック・モードから統合モードに切り替えるには、次の構成手順を実行し、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

内容は次のとおりです。

統合キャプチャの構成の前提条件

Extractを統合モードで構成する前に、この項に示されたガイドラインに従う必要があります。

統合モードでExtractを構成する手順は次のとおりです。
  1. Oracle GoldenGateのためのデータベースの準備

  2. Oracle GoldenGate資格証明の確立

  3. 「キャプチャおよび適用モードの選択」

  4. Managerプロセスを構成して、ソース・システムにOracle GoldenGateインスタンスを作成します。『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

  5. また、『Oracle GoldenGateの管理』のガイドラインも確認してください。

この手順でできること

次の手順では、プライマリExtract(データ・ソースからトランザクション・データをキャプチャ)、およびデータ・ポンプExtract (trailにローカルに格納されているキャプチャ済データをソース・システムからターゲット・システムに伝播)の基本的なExtractパラメータ(構成)ファイルの構成方法について説明します。

ビジネス要件によってはより複雑なトポロジが必要ですが、この手順がその他の構成手順の基礎となります。

手順を実行することで、次のことが可能です。

  • 基本的な構成ファイルが作成されます。

  • 後で環境に適用する機能や要件について決定を下してパラメータを追加し、それらを拡張します。

  • コピーを使用して、一から作成するよりも短時間で追加パラメータ・ファイルを作成します。

統合キャプチャ・モードでのプライマリExtractの構成

プライマリExtractがログマイニング・サーバーからログ変更のレコードをキャプチャするマイニング・データベースは、ローカルまたはソース・データベースからダウンストリームのいずれかが可能です。

次の手順では、いずれかの場所から統合モードでトランザクション・データをキャプチャするようにプライマリExtractを構成します。ダウンストリーム・マイニング・データベースからのキャプチャの詳細は、「ダウンストリーム・マイニング・データベースの構成」および「ダウンストリーム・マイニング構成の例」を参照してください。

注意:

マルチテナント・コンテナ・データベース内の単一データベースまたは複数のプラガブル・データベースからキャプチャするには、一般的に1つのExtractグループで十分です。「マルチテナント・コンテナ・データベースでのOracle GoldenGateの構成」を参照してください。

  1. ソース・システムのGGSCIで、Extractパラメータ・ファイルを作成します。
    EDIT PARAMS name
    

    説明: nameは、プライマリExtractの名前です。

  2. 次に示す順序でExtractパラメータを入力します。パラメータ文ごとに新しい行を開始します。通常のデータベースおよびマルチテナント・コンテナ・データベースの例を示します。2つの違いは、TABLEおよびSEQUENCE指定の2つの部分からなるオブジェクト名を使用する必要があるか、または3つの部分からなるオブジェクト名を使用する必要があるかです。詳細およびパラメータの説明は、プライマリExtractの基本的なパラメータ (クラシックまたは統合モード)を参照してください。

    マイニング・データベースがダウンストリーム・データベースであり、FETCHに使用されるソースADGを備える通常のデータベースの場合のExtractの基本的なパラメータ

    EXTRACT financep
    USERIDALIAS tiger1
    LOGALLSUPCOLS
    UPDATERECORDFORMAT COMPACT
    DDL INCLUDE MAPPED
    ENCRYPTTRAIL AES192
    EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    

    マイニング・データベースがダウンストリーム・データベースであり、FETCHに使用されるソースADGを備えるマルチテナント・コンテナ・データベースの場合のExtractの基本的なパラメータ

    EXTRACT financep
    USERIDALIAS tiger1
    LOGALLSUPCOLS
    UPDATERECORDFORMAT COMPACT
    DDL INCLUDE MAPPED SOURCECATALOG pdb1 INCLUDE MAPPED SOURCECATALOG pdb2
    ENCRYPTTRAIL AES192
    EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt
    TABLE test.ogg.tab1;
    SOURCECATALOG pdb1
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    SOURCECATALOG pdb2
    TABLE sales.*;
    TABLE acct.*;
    

    マイニング・データベースがダウンストリーム・データベースおよび通常のデータベースの場合のExtractの基本的なパラメータ

    EXTRACT financep
    USERIDALIAS tiger1 
    TRANLOGOPTIONS MININGUSERALIAS tiger2 
    TRANLOGOPTIONS INTEGRATEDPARAMS (MAX_SGA_SIZE 164, & 
       DOWNSTREAM_REAL_TIME_MINE y)
    LOGALLSUPCOLS
    UPDATERECORDFORMAT COMPACT
    DDL INCLUDE MAPPED
    ENCRYPTTRAIL AES192
    EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    

    マイニング・データベースがダウンストリーム・データベースおよびマルチテナント・コンテナ・データベースの場合のプライマリExtractの基本的なパラメータ

    EXTRACT financep
    USERIDALIAS tiger1 
    TRANLOGOPTIONS MININGUSERALIAS tiger2 
    TRANLOGOPTIONS INTEGRATEDPARAMS (MAX_SGA_SIZE 164, & 
       DOWNSTREAM_REAL_TIME_MINE y)
    LOGALLSUPCOLS
    UPDATERECORDFORMAT COMPACT
    DDL INCLUDE MAPPED SOURCECATALOG pdb1 INCLUDE MAPPED SOURCECATALOG pdb2
    ENCRYPTTRAIL AES192EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt
    TABLE test.ogg.tab1;
    SOURCECATALOG pdb1
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    SOURCECATALOG pdb2
    TABLE sales.*;
    TABLE acct.*;
    
    パラメータ 説明
    EXTRACT group

    groupは、Extractグループの名前です。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    USERIDALIAS alias

    Extractに割り当てられるユーザーのデータベース・ログイン資格証明の別名を指定します。この資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに存在する必要があります。

    LOGALLSUPCOLS

    競合検出および解決に必要な列、統合Replicatのサポートに必要なスケジューリング列を含む、証跡に補足的にログに記録されるすべての列を書き込みます。(スケジューリング列は、主キー、一意索引および外部キー列です。)これらの列をGGSCIコマンドでログに記録するようにデータベースを構成します。「Oracle GoldenGate資格証明の確立」を参照してください。

    UPDATERECORDFORMAT COMPACT

    UPDATE操作の変更前および変更後のイメージを証跡の単一レコードに結合します。このパラメータは、Oracle Databaseバージョン12c以上で有効で、統合モードのReplicatをサポートします。必須パラメータではありませんが、UPDATERECORDFORMAT COMPACTがベスト・プラクティスで、Replicatパフォーマンスを大幅に改善します。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    TRANLOGOPTIONS MININGUSERALIAS alias

    ダウンストリーム・マイニング・データベース(使用する場合)で、ログマイニング・サーバーの接続情報を指定します。

    MININGUSERALIASでは、ダウンストリーム・マイニング・データベースのExtractユーザーの別名を指定します。これは、「ダウンストリーム・マイニング・データベースの構成」で作成したユーザーです。このユーザーの資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに格納する必要があります。詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

    データベース・ログマイニング・サーバーがソース・データベースと異なるデータベースにある場合にのみMININGUSERALIASを使用し、そうでない場合はUSERIDALIASを使用します。MININGUSERALIASを使用する場合、両方のデータベースで資格証明が必要なため、USERIDALIASとともに使用します。

    TRANLOGOPTIONS [INTEGRATEDPARAMS (parameter[, ...])]

    (オプション)データベース・ログマイニング・サーバーを含むOracle Databaseにパラメータを渡します。ログマイニング・サーバー・パラメータをデフォルト設定から変更する場合にのみ使用します。「統合キャプチャ用のその他のパラメータ・オプション」を参照してください。

    TRANLOGOPTIONS CHECKPOINTRETENTIONTIME days

    (オプション)チェックポイントが自動的にパージされるまでExtractが保持する日数を制御します。部分的な日数は、10進値を使用して指定されます。たとえば、8.25は8日と6時間を指定します。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    DDL include_clause

    DDL操作をレプリケートする場合に必要です。詳細は、「DDLサポートの構成」を参照してください。

    ENCRYPTTRAIL algorithm

    ローカル証跡を暗号化します。Oracle GoldenGateの証跡暗号化オプションの詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

    EXTTRAIL pathname

    プライマリExtractによってキャプチャされたデータが書き込まれるローカル証跡のパス名を指定します。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください

    SOURCECATALOG container

    このパラメータは、ソース・データベースがマルチテナント・コンテナ・データベースの場合に使用します。2つの部分からなる名前を含む後続のすべてのTABLEおよびSEQUENCEパラメータで、デフォルトのコンテナとして使用されるプラガブル・データベースの名前を指定します。このパラメータでは、3つの部分からなる名前(container.schema.object)ではなく、2つの部分からなるオブジェクト名(schema.object)を使用できます。別のSOURCECATALOGパラメータが発生するか、3つの部分からなる完全なTABLEまたはSEQUENCE指定が発生するまで実質的に保持されます。

    {TABLE | SEQUENCE} [container.]schema.object;
    

    データをキャプチャするデータベース・オブジェクトを指定します。

    • TABLEは、表または表のワイルドカード・セットを指定します。

    • SEQUENCEは、順序または順序のワイルドカード・セットを指定します。

    • containerは、オブジェクトを格納するプラガブル・データベース(PDB)の名前です(このデータベースがマルチテナント・コンテナ・データベースの場合)。このExtractグループが1つのPDBからのデータのみを処理し、デフォルトのPDBがSOURCECATALOGパラメータで指定されている場合、名前のコンテナの部分は不要です。

    • schemaは、スキーマ名またはスキーマのワイルドカード・セットです。

    • objectは、表または順序名、またはこれらのオブジェクトのワイルドカード・セットです。

    ワイルドカードを使用して、または使用せずにオブジェクト名を指定する方法の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

    パラメータ文はセミコロンで終了します。

    名前をワイルドカード指定から除外するには、必要に応じてCATALOGEXCLUDESCHEMAEXCLUDETABLEEXCLUDEおよびEXCLUDEWILDCARDOBJECTSONLYパラメータを使用します。

    詳細およびデータのフィルタリング、マッピングおよび操作を制御するその他のTABLEオプションについては、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    MAPINVISIBLECOLUMNS

    Replicatがデフォルトの列マッピングでOracleターゲット表に非表示列を含めるかどうかを制御します。列マッピングで非表示列を構成するには、SQLを使用して列名を明示的に指定します。次に例を示します。

    CREATE TABLE tab1 (id NUMBER, data CLOB INVISIBLE);
       INSERT INTO tab1 VALUES (1, 'a');ERROR: ORA-913
       INSERT INTO tab1 (id, data) VALUES (1, 'a'); OK
    

    列の可視性を変更するには、ALTER TABLEを使用します。非表示列は、主キーや一意索引などを含む索引を構成することができます。

  3. 構成に推奨されるオプションのExtractパラメータを入力します。このファイルは、GGSCIのEDIT PARAMSコマンドを使用して、処理を開始する前の任意の時点で編集できます。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。
  4. ファイルを保存して閉じます。

データ・ポンプExtractの構成

データ・ポンプはデータのフィルタリング、マッピングおよび変換を実行できますが、データを操作せずにそのままの状態で単純に転送するパススルー・モードでデータ・ポンプを構成することも可能です。

次の手順では、ローカル証跡を読み取り、データをネットワーク経由でリモート証跡に送信するデータ・ポンプを構成します。データ・ポンプはオプションですが、使用することをお薦めします。

  1. ソース・システムのGGSCIで、データ・ポンプ・パラメータ・ファイルを作成します。
    EDIT PARAMS name
    

    説明:: nameは、データ・ポンプExtractの名前です。

  2. 次に示す順序でデータ・ポンプ・パラメータを入力します。パラメータ文ごとに新しい行を開始します。入力変数は異なるものになります。

    2つの部分からなるオブジェクト名を使用したデータ・ポンプExtractグループの基本的なパラメータ:

    EXTRACT extpump
    USERIDALIAS tiger1
    RMTHOST fin1, MGRPORT 7809 ENCRYPT AES192, KEYNAME securekey2
    RMTTRAIL /ggs/dirdat/rt
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    

    3つの部分からなるオブジェクト名を使用したデータ・ポンプExtractグループの基本的なパラメータ(プラガブル・データベースを含む):

    EXTRACT extpump
    USERIDALIAS tiger1
    RMTHOST fin1, MGRPORT 7809 ENCRYPT AES192, KEYNAME securekey2
    RMTTRAIL /ggs/dirdat/rt
    TABLE test.ogg.tab1;
    SOURCECATALOG pdb1
    SEQUENCE hr.employees_seq;
    TABLE hr.*;
    SOURCECATALOG pdb2
    TABLE sales.*;
    TABLE acct.*;
    
    パラメータ 説明
    EXTRACT group

    groupは、データ・ポンプExtractの名前です。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    USERIDALIAS alias

    Extractに割り当てられるユーザーのデータベース・ログイン資格証明の別名を指定します。この資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに存在する必要があります。

    RMTHOST hostname,
    MGRPORT portnumber,
    [, ENCRYPT algorithm
    KEYNAME keyname]
    • RMTHOSTでは、ターゲット・システムの名前またはIPアドレスを指定します。

    • MGRPORTでは、ターゲットでManagerが実行されるポートの番号を指定します。

    • ENCRYPTでは、TCP/IPでのデータの暗号化(オプション)を指定します。

    その他のオプションおよび暗号化の詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    RMTTRAIL pathname

    リモート証跡のパス名を指定します。詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    SOURCECATALOG container

    このパラメータは、ソース・データベースがマルチテナント・コンテナ・データベースの場合に使用します。2つの部分からなる名前を含む後続のすべてのTABLEおよびSEQUENCEパラメータで、デフォルトのコンテナとして使用されるプラガブル・データベースの名前を指定します。このパラメータでは、3つの部分からなる名前(container.schema.object)ではなく、2つの部分からなるオブジェクト名(schema.object)を使用できます。別のSOURCECATALOGパラメータが発生するか、3つの部分からなる完全なTABLEまたはSEQUENCE指定が発生するまで実質的に保持されます。このパラメータは、ソース・データベースがマルチテナント・コンテナ・データベースの場合に使用します。SOURCECATALOGの詳細は、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

    {TABLE | SEQUENCE} [container.]schema.object;

    表または順序、またはワイルドカードで指定された複数のオブジェクトを指定します。ほとんどの場合、このリストはプライマリExtractパラメータ・ファイルのリストと同じです。

    • TABLEは、表または表のワイルドカード・セットを指定します。

    • SEQUENCEは、順序または順序のワイルドカード・セットを指定します。

    • containerは、表または順序を格納するルート・コンテナまたはプラガブル・データベースの名前です(このソース・データベースがマルチテナント・コンテナ・データベースの場合)。この表のSOURCECATALOGの説明を参照してください。

    • schemaは、スキーマ名またはスキーマのワイルドカード・セットです。

    • objectは、表または順序の名前、またはこれらのオブジェクトのワイルドカード・セットです。

    ワイルドカードを使用して、または使用せずにオブジェクト名を指定する方法の詳細は、『Oracle GoldenGateの管理』を参照してください。

    このパラメータ文はセミコロンで終了します。

    表または順序をワイルドカード指定から除外するには、TABLE文の後にTABLEEXCLUDEまたはSEQUENCEEXCLUDEパラメータを使用します。

    詳細およびデータのフィルタリング、マッピングおよび操作を制御するその他のTABLEオプションについては、『Oracle GoldenGateリファレンス』を参照してください。

  3. 構成に推奨されるオプションのExtractパラメータを入力します。このファイルは、GGSCIのEDIT PARAMSコマンドを使用して、処理を開始する前の任意の時点で編集できます。
  4. ファイルを保存して閉じます。

次のステップ

パラメータ・ファイルは、関連するOracle GoldenGateプロセスによって読み取られるプレーン・テキスト・ファイルです。Oracle GoldenGateでは、GLOBALSファイルとランタイム・パラメータ・ファイルという2種類のパラメータ・ファイルが使用されます。