Oracle HTTP Serverは、Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントです。Oracle WebLogic Server用のリスナーと、静的および動的なページおよびアプリケーションをホストするフレームワークがWeb経由で提供されます。
この章の構成は、次のとおりです。
管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースをホストします。
パフォーマンスを最適化するために、管理対象サーバーは、ドメインの構成ドキュメントの読取り専用コピーを保持します。管理対象サーバーが起動すると、ドメインの管理サーバーに接続して、その構成ドキュメントと管理サーバーに保持されているドキュメントが同期化されます。Oracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネント(SOA、WebCenter、Identity Managementコンポーネントなど)とカスタマによって配布されたアプリケーションは、ドメイン内の管理対象サーバーに配布されます。構成中に、Oracle Fusion Middlewareアプリケーション(FormsおよびReports JavaEEアプリケーションなど)のホスト用にいくつかの管理対象サーバーが作成されます。
図5-1に、Oracle WebLogic管理対象サーバーの簡単な使用例を示します。この図の左側で、Formsサーブレットは開始HTMLファイルをレンダリングし、Formsリスナー・サーブレットに関する情報をクライアントに提供します。次に、HTTPリクエストがOracle HTTP Serverリスナーで受信され、リスナーはこれをOracle WebLogic管理対象サーバー内で動作しているFormsリスナー・サーブレット(図の右側)に渡します。Formsリスナー・サーブレットはランタイム・プロセスを確立し、クライアント・ブラウザとランタイム・プロセス間で継続的な通信を維持します。多くのユーザーがOracle Formsセッションをリクエストした場合、そのリクエストはOracle HTTP Serverリスナーで受信されます。HTTPリスナーは再びそのリクエストをFormsリスナー・サーブレットに渡し、サーブレットはさらにランタイム・プロセスを確立します。Formsリスナー・サーブレットは、多数のFormsランタイム・セッションを同時に処理できます。同時ユーザー数を制限する必要はありますが、このアーキテクチャでは高いパフォーマンスを得るためのチューニングや構成を行うことができます(次の項を参照)。
この図は、WebLogic管理対象サーバーからFormsランタイム・プロセスへのHTTPリクエストのフローを示してします。図の左側にはFormsクライアントがあります。Formsサーブレットは開始HTMLファイルをレンダリングし、Formsリスナー・サーブレットに関する情報をクライアントに提供します。クライアントは、このHTTPリクエストを中間のOracle HTTP Serverリスナーに渡します。Oracle HTTP Serverリスナーは、WebLogic管理対象サーバー内で実行されているFormsリスナー・サーブレットにそのHTTPリクエストを渡します。WebLogic管理対象サーバー・プロセスには、Webコンテナ、JBコンテナおよびその他のサービス(JNDI (Java Naming and Directory Interface)、JMS、JavaMailなど)が含まれます。Forms Listener ServletがForms Serverランタイム・プロセスを起動し、クライアント・ブラウザとランタイム・プロセス間の進行中の通信を担当します。
Oracle Fusion Middleware 12cでは、Oracle HTTP ServerでリクエストをForms管理対象サーバーにルーティングできるようにするには、インストール後の手順を実行する必要があります。
Forms構成ヘルパー・スクリプト(詳細は、「Oracle Formsのユーティリティおよびスクリプト」を参照)を使用し、これにenable_ohsオプションを渡します。
forms.confを手動で編集します(詳細は、「forms.confの編集について」を参照)。
forms.conf
は、Oracle HTTP Serverディレクティブ・ファイルです。Oracle Fusion Middlewareでは、$DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/components/OHS/<OHS INSTANCE NAME>/moduleconf
のOracle HTTP Server構成ディレクトリにforms.conf
ファイルが含まれる必要があります。
カスタムOracle HTTP Serverディレクティブをforms.conf
に追加した場合、これが存在するOracle HTTP Serverノードを再起動する必要があります。
Oracle FormsにHTTPSを使用するのは、他のWebベースのアプリケーションでHTTPSを使用するのと変わりません。
HTTPSでは、デジタル証明書(VeriSignなど)を使用する必要があります。Forms ServicesサーブレットはユーザーのWebサーバーからアクセスできるため、Oracle Formsのクライアントとサーバー間の通信に特別な証明書を購入する必要はありません。正式な認証局からユーザーのWebサーバー用の証明書を購入するだけで済みます。
エンドユーザーと中間層の間で最高レベルのセキュリティを確保するためにSecure Socket Layer (SSL)を構成することをお薦めします。使用環境でSSLを有効にする方法の詳細は、『Oracle HTTP Serverの管理』の「アプリケーション・セキュリティの管理」および『Oracle Fusion Middlewareの管理』の「Oracle Fusion MiddlewareでのSSLの構成」を参照してください。
Oracle Forms ServicesアプリケーションをSSLモードで実行するには、一定の手順を実行する必要があります。
次の手順を実行します。
証明書を管理するウォレットを作成します。
Oracle HTTP ServerでHTTPSポートを有効にします。デフォルトのOracle HTTP Serverでは、SSLポートが1つ有効になっています。
必要に応じて、Forms管理対象サーバー(WLS_FORMSなど)のWebLogic ServerでHTTPSを有効にすることを検討してください。
注意:
『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Fusion MiddlewareのSSLの構成に関する項を参照してください。HTTPSポートを使用するFormsアプリケーションを実行するには、証明書をインポートする必要があります。Oracle Formsがロード・バランシング・ルーターの後ろにあり、そのOracle FormsでSSLが終了する場合、証明書をロード・バランシング・ルーターからインポートする必要があります。
ロード・バランシング・ルーター上のFormsアプリケーションでSSLを有効にするには:
Webブラウザを起動して、FormsアプリケーションのHTTPS URLを入力します。このURLでは、Oracleインストールで使用している完全修飾ホスト名を指定します(必要に応じてポート番号も指定)。たとえば、https://example.com:443/forms/frmservlet
とします。
「セキュリティ・アラート」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「証明書の表示」をクリックします。
「証明書」ダイアログで、「詳細」タブをクリックします。
「ファイルへコピー」をクリックします。
証明書エクスポート・ウィザードの「ようこそ」ページで、「次へ」をクリックします。
エクスポート・ファイル形式ページで、「Base-64 encoded X.509 (.CER)」を選択し、「次」をクリックします。
c:\temp\forms
などのファイル名を入力して、「次」をクリックします。
「終了」をクリックします。
エクスポートが正常に終了したことを示すメッセージが表示されます。
「OK」をクリックします。
「セキュリティ・アラート」ダイアログは開いたまま証明書エクスポート・ウィザードを終了します。
使用しているJVMの証明書ストアに保存してあるセキュリティ証明書ファイルをインポートします。
「セキュリティ・アラート」ダイアログで「はい」をクリックしてセキュリティ証明書を受け入れ、Formsアプリケーションを起動します。
Javaプラグインに証明書をインポートするには:
デフォルト(特別な設定をしていないインストール)では、Forms ServicesのJava EEアプリケーション(formsapp.ear
)はForms管理対象サーバー(WLS_FORMS
)に配布されます。
Oracle WebLogic管理コンソールまたはOracle Fusion Middleware Controlを使用して、WLS_FORMS
およびformsapp.ear
を管理できます。次のリンクを参照してください。
Forms管理対象サーバーの起動と停止: 詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のプロシージャの起動と停止の概要に関する項を参照してください。
Forms管理対象サーバーへのFormsアプリケーションのデプロイ: 詳細は、構成ウィザードを使用したFormsの構成に関する項を参照してください
.Forms Java EEアプリケーションのカスタム・デプロイメント: 詳細は、「Forms Java EEアプリケーションのカスタム・デプロイメント」を参照してください。
Forms管理対象サーバー・クラスタの拡張: 詳細は、「Forms管理対象サーバー・クラスタの拡張」を参照してください。
デプロイ後のweblogic.xml
、web.xml
、application.xml
およびweblogic-application.xml
の変更: 詳細は、「Forms J2EEアプリケーション・デプロイメント・ディスクリプタの変更」を参照してください。
WindowsサービスとしてのForms管理対象サーバーの起動: 詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』の「WindowsサービスとしてのWebLogic Serverインスタンスの設定」を参照してください。
ユーザーは、デフォルトのForms JavaEEアプリケーションのコンテキスト・ルート(/forms)およびデフォルトのFormsサーブレットの別名(frmservlet)をオーバーライドし、カスタマイズできます。
デフォルトのFormsアプリケーションのアクセスURL: http://host:port/forms/frmservlet
はhttp://host:port/<user-context>/<user-servlet-alias>
に変更できます。
カスタム管理対象サーバーを作成し、そこにFormsアプリケーションをデプロイするには、次の手順を実行します。
カスタム・アプリケーションを作成してデプロイする手順は、次のとおりです。
Oracle Fusion Middleware 12cパッチ・セットを適用した後で、カスタム・デプロイメントに次の手順を実行します。
update_app
オプションを使用してfrmconfighelperスクリプトを実行します。update_app
オプションを実行後に有効にするには、管理対象サーバーを再起動する必要があります。注意:
frmconfighelperスクリプトの詳細は、「Oracle Formsのユーティリティおよびスクリプト」を参照してください。http://<Host>:<Port Number>/<context root>/<servlet name>
のURLを使用して、デプロイメントをテストします。
この項の例では、URLはhttp://<Host>:<Port Number>/customapp/customservlet
になります。SSOを使用してフォームを実行している場合(ssoMode
=true
またはwebgate
)は、DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/system-jazn-data.xml
ファイルで権限を使用して追加設定を行う必要があります。
ハイエンド・マシン(マルチプロセッサと大容量メモリーを搭載したマシン)でFormsデプロイメントのスケーラビリティとパフォーマンスの向上を図るには、Forms管理対象サーバー・クラスタ(cluster_forms
)を拡張します。次の手動の手順を実行してForms管理対象サーバー・クラスタを拡張します。
次の手順を実行して、新しい管理対象サーバーをデフォルトのFormsアプリケーション・クラスタ(cluster_forms
)に追加します。
構成ウィザードを使用して別の管理対象サーバーを追加します。必ずFORMS-MAN-SRVグループを選択してください。
新規管理対象サーバーの追加。
管理対象サーバーの作成後にcluster_formsに追加されていることを確認します。
新規管理対象サーバーの追加。
新しく作成した管理対象サーバーを起動します。
forms.conf
のWebLogicClusterエントリに、新しい管理対象サーバーのホストとポートの情報を追加します。
<Location /forms> SetHandler weblogic-handler WebLogicCluster <HostName>:9001, <HostName>:9010 DynamicServerList OFF </Location>
OHSを再起動します。
同じ物理マシンで複数のFormsシステム・コンポーネント・インスタンスを設定する場合、Forms管理対象サーバーをそれぞれのFormsシステム・コンポーネント・インスタンスに関連付ける必要があります。
この設定を行うには、Forms管理対象サーバーでforms.instance
システム・プロパティを定義し、Formsシステム・コンポーネント・インスタンス名に設定します。
次に例を示します。
Machine 1 forms1 WLS_FORMS forms2 WLS_FORMS2
WLS_FORMS1
のforms.instance
システム・プロパティをforms1
に設定します。同様に、WLS_FORMS2
のforms.instance
システム・プロパティをforms2
に設定します。これは、Oracle WebLogic Server管理コンソールで管理対象サーバーの設定を使用して行うことができます。
配布後は、Forms J2EEアプリケーションのデプロイメント・ディスクリプタ(weblogic.xml
、web.xml
、application.xml
およびweblogic-application.xml
)をOracle WebLogic Serverで変更することはできなくなります。
次の手順を実行してForms J2EEアプリケーションのデプロイメント・ディスクリプタをカスタマイズし、そのアプリケーションを再配布することでこの問題を解決できます。
デフォルトのformsappデプロイメント・プラン$DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/deployment-plans/formsapp/12.2.1/plan.xml
のバックアップを作成します。
Forms J2EEアプリケーションのデプロイメント・プランに、デプロイメント・ディスクリプタのカスタマイズを追加します。
注意:
デプロイメント・プランを変更する方法については、次の例を参照してください。
デプロイメント・プランを更新するには、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』を参照してください。
WebLogic管理コンソールを使用して、Formsアプリケーションを更新(再配布)し、オプション「このアプリケーションを新しいデプロイメント・プランの変更とあわせた場所に更新します。」を選択します。
WebLogic管理コンソールを使用してForms J2EEアプリケーションを再起動します。
例: デプロイメント・プランの変更:
この例では、FormsサーブレットのtestMode
パラメータをオーバーライドしてその値をtrueに設定するようにデプロイメント・プランを変更します。デプロイメント・プランを変更するには、次の手順を実行します。
Formsリスナー・サーブレットをチューニングする手順は、スループットの高いサーブレット・アプリケーションをチューニングする手順と同様です。
特定のForms Servicesの構成に最適なチューニングを行うには、リソース管理とユーザーのニーズを考慮する必要があります(『パフォーマンスのチューニング・ガイド』の「モニタリング」を参照)。
Formsリスナー・サーブレットのアーキテクチャでは、標準のHTTPロード・バランシング技術を使用して、システムのロード・バランスを実現します。
Oracle HTTP Serverリスナーで提供するロード・バランシング・メカニズムでは、複数のWebLogicインスタンスをHTTPプロセスと同じホストで実行することも、複数の異なるホストやその組合せで実行することもできます。次に、HTTPリスナーはHTTPリクエストをOracle WebLogic管理対象サーバー・インスタンスにルーティングします。
次のシナリオは、考えられる組合せのほんの一例で、可能性の一部を示すことを目的としたものです。ユーザーのサイトにどのような選択が最も適しているかは、様々な要因により異なります。この機能の詳細な説明は、『パフォーマンスのチューニング・ガイド』の「モニタリング」を参照してください。
次の図では、4つのデプロイメント・シナリオを示します。
図5-6 Oracle HTTP Listenerと同じホスト上にある複数のOracle WebLogic Server
図5-7 Oracle HTTP Listenerとは異なるホスト上にある複数のOracle WebLogic Server
図5-8 それぞれが異なるホスト上にある複数のOracle WebLogic Serverと複数のOracle HTTP Listener
図5-9 異なるホスト上にある複数のOracle HTTP Listenerと同じホスト上にある複数のOracle WebLogic Server
注意:
HTTPリスナーおよびOracle WebLogic Serverを使用したForms Servicesのチューニングと最適化を行うには、『パフォーマンスのチューニング・ガイド』の「Oracle HTTP Serverのチューニング」を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareのインストール・プロセスで設定されたデフォルトの構成では、認証プロキシがサポートされます。
認証プロキシでは、アプリケーションを実行する接続先サーバーにアクセスするためのユーザー名とパスワードをユーザーが指定する必要があります。認証プロキシは通常、ユーザーがログインしているか(または認証されているか)どうかを検出するためにCookieを設定します。Cookieはその後のすべてのネットワーク要求時に送信され、不要なログイン・プロンプトを回避します。
Oracle WebLogic Serverのインストール・プロセスで設定されるコードベースおよびサーバーURLの値には、$FMW_HOME/forms/java
および/forms/lservlet
が含まれます。これらはページのドキュメント・ベース($FMW_HOME/forms
)の下にあるので、認証プロキシが機能します。