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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成
12c (12.2.1.3.0)
E90326-03
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4 要求時スケーリング

WebLogic Serverは、実行中の動的サーバー・インスタンスを必要に応じて手動で追加または削除することによって、動的クラスタをスケール・アップまたはスケール・ダウンできる、オンデマンド・スケーリングをサポートしています。オンデマンド・スケーリングは、WebLogicドメインに拡張度を組み込むための最も単純で最も基本的な方法です。

この章の内容は次のとおりです。

要求時スケーリングとは

要求時スケーリングでは、必要に応じて、アクティブな動的クラスタから実行中の動的サーバー・インスタンスを手動で追加または削除できます。たとえば、動的クラスタ・メンバーの平均的なユーザー・リクエスト・バックログが上昇傾向で、処理容量増大の必要を示している場合、実行中の動的サーバー・インスタンスを動的クラスタに追加できます。ユーザー・リクエストのバックログが大幅に減少したら、アイドル状態の動的サーバー・インスタンスを停止できます。

クラスタを拡張する際には、サイズが「動的クラスタ最大サイズ」で設定された制限を超えることはできません。 WebLogic Serverにより追加されるのは、「動的クラスタ最大サイズ」の制限以内の実行中の動的サーバー・インスタンスのみです。 また、クラスタを縮小する際には、実行中の動的サーバー数が「動的クラスタ最小サイズ」で設定された制限を下回ることはできません。

実行時スケーリングを実行するには、動的クラスタを構成しておく必要があります。『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の動的クラスタに関する項を参照してください。

WebLogic Server管理コンソール、Fusion Middleware ControlまたはWLSTを使用して、要求時スケーリングを実行できます(次の各項を参照)。

注意:

動的クラスタの実行時スケーリングを実行する前に、スケーリング操作がシステムの他の部分に対して逆効果にならないことを確認します。たとえば、スケール・アップの前に、JDBC接続プール・サイズとWork Managerパラメータを調整し、データベース容量の超過を回避することが必要になる場合があります。スケール・ダウン前には、動的サーバー・インスタンスが停止する前に、処理中の作業が完了することが可能であることを確認します。また、JMSまたはJTAを使用している場合、動的クラスタ・サイズの構成設定を小さくするスケール・ダウン手法は使用しないでください。『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』のクラスタ化されたJMSサービスを使用するベスト・プラクティスに関する項を参照してください。

WebLogic Server管理コンソールを使用した要求時スケーリング

WebLogic Server管理コンソールを使用して、オンデマンド・スケーリングを実行できます。

  1. 左側のナビゲーション・ペインで、「環境」→「クラスタ」を選択します。
  2. 「クラスタ」表で、スケール・アップまたはスケール・ダウンする動的クラスタの名前を選択します。
  3. 「制御」→「スケーリング」を選択します。
  4. 「実行中のサーバーの必要な数」フィールドに、動的クラスタに必要な実行中の動的サーバー・インスタンスの数を入力します。
  5. 「OK」をクリックします。

『Oracle WebLogic Server Administration Consoleオンラインヘルプ』動的クラスタのオンデマンド・スケーリングの実行に関する項を参照してください。

Fusion Middleware Controlを使用した実行時スケーリング

Fusion Middleware Controlを使用して、オンデマンド・スケーリングを実行できます。

  1. 「WebLogicドメイン」ドロップダウン・メニューから「環境」を選択し、「クラスタ」を選択します。
  2. 「クラスタ」表で、スケール・アップまたはスケール・ダウンする動的クラスタの行を選択します。
  3. 「スケール・アップ/ダウン」ボタンをクリックします。
  4. 「スケール・アップ/ダウン」ページで、現在の動的クラスタ設定を確認します。「必要なサーバー数」フィールドで、矢印を使用して、この動的クラスタで実行する動的サーバー・インスタンスの数を設定します。「スケール・アップ/ダウン」をクリックして、この設定をアクティブ化します。スケール・アップまたはスケール・ダウン操作が成功したことを通知する確認メッセージが表示されます。

Fusion Middleware Controlを使用したWebLogic Serverの管理の詳細は、『Fusion Middleware ControlによるOracle WebLogic Serverの管理』の「管理」を参照してください。

WLSTを使用した実行時スケーリング

WLSTコマンドを使用して、動的クラスタを手動でスケール・アップおよびスケール・ダウンできます。

WLSTを使用して動的クラスタを手動でスケーリングする手順:

  • 動的クラスタで実行中の動的クラスタの数を増やすには、scaleUpコマンドを使用します。scaleUpコマンドを使用し、また、updateConfiguration引数を有効化すると、WLSTは指定された動的サーバー数によって動的クラスタのサイズを増やし、そのサーバー・インスタンスを起動します。

  • scaleDownコマンドを使用して、動的クラスタで実行中の動的サーバー数を削減します。scaleDownコマンドを使用し、また、updateConfiguration引数を有効化すると、WLSTは指定された数の実行中の動的サーバーを停止して、動的クラスタから削除します。

    注意:

    scaleDownコマンドは、updateConfigurationオプションが有効な場合はクラスタの動的クラスタ・サイズの設定を小さくします。これにより、リタイア済サーバーに関連付けられたJMS永続メッセージおよびJTAトランザクションが破棄可能になります。JMSまたはJTAを使用している場合は、updateConfigurationオプションを有効にしてscaleDownを使用しないでください。『Oracle WebLogic Server JMSリソースの管理』のクラスタのターゲットJMSサービスを使用するベスト・プラクティスに関する項を参照してください。

『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のscaleUpに関する項およびscaleDownに関する項を参照してください。

『Oracle WebLogic Serverクラスタの管理』の動的クラスタの拡張または縮小に関する項を参照してください。

例4-1は、WLSTを使用して、DynamicClusterという名前の動的クラスタを、実行中の動的サーバー・インスタンス2つでスケール・アップし、続いて、実行中の動的サーバー・インスタンス1つのみスケール・ダウンする方法を示しています。

例4-1 WLSTを使用した要求時スケーリング

wls:/offline> connect('weblogic','weblogic','t3://localhost:7001')
Connecting to weblogic server instance running at t3://localhost:7001 as username weblogic...

Successfully connected to Admin Server 'AdminServer' that belongs to domain 'mydomain'.

wls:/mydomain/serverConfig/> scaleUp("DynamicCluster", 2, true ,true)
Remote ScaleUp started successfully after 38 seconds. Waiting for 2 servers to reach the running state.  The timeout is 600 seconds.

All servers are now running.
wls:/mydomain/serverConfig/> scaleDown("DynamicCluster", 1, true ,true)
Remote ScaleDown started successfully after 0 seconds.
The servers were stopped successfully.