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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成
12c (12.2.1.3.0)
E90326-03
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2 概要

拡張度により、動的クラスタの自動スケーリングと関連リソースの再プロビジョニングが可能になります。 次の項では、拡張度の概要について説明し、拡張度フレームワーク、スマート・ルールおよびポリシーとアクションなど、このガイドで使用する関連用語についても説明します。

拡張度とは

拡張度により、必要に応じてリソースを自動的にプロビジョニングして、動的クラスタをスケール・アップまたはダウンできるように構成できます。次のいずれかの方法で、動的クラスタのエラスティック・スケーリングを構成できます。
  • アクティブな動的クラスタからの、実行中の動的サーバー・インスタンスの手動による追加または削除。これは実行時スケーリングと呼ばれます。要求時スケーリングは、Enterprise ManagerのFusion Middlewareコンポーネント、WebLogic Server管理コンソールまたはWebLogic Scripting Tool(WLST)を使用して実行できます。

  • 動的クラスタをスケール・アップまたはダウンするべき条件や、スケーリング操作自体を定義するアクションを設定するポリシーの確立。スケーリング・ポリシーで定義された条件が発生すると、対応するスケーリング・アクションが自動的に起動されます。

    動的クラスタをスケーリングするポリシーおよびアクションは、管理サーバーにターゲット指定されている診断システム・モジュールで構成します。

拡張度フレームワークは、WebLogic診断フレームワーク(WLDF)のポリシーおよびアクション・システムを活用します。WLDFのポリシーおよびアクション・コンポーネントを使用して、動的クラスタを自動的にスケール・アップまたはスケール・ダウンするポリシー式を作成できます。動的クラスタの拡張度の構成には、次のことが含まれます。

  1. スケーリング・アクションおよびポリシーのための診断システム・モジュールの作成

  2. スケール・アップまたはスケール・ダウン・アクション(つまり、何をどのようにスケーリングするか)の定義

  3. スケール・アップまたはスケール・ダウン・ポリシー(つまり、いつスケーリングするか)の定義

  4. 対応するスケーリング・ポリシーへのスケーリング・アクションの割当て

  5. 診断システム・モジュールの管理サーバーへのターゲット指定

これらのポリシーは、1つ以上のリソース(メモリー、アイドル状態のスレッドおよびCPUなど)を監視します。構成されたしきい値に達すると、スケーリング・アクションが起動されます。WLDFと診断ポリシーおよびアクションの詳細は、Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用のポリシーとアクションの構成を参照してください。

拡張度のポリシーは、次の種類のデータに基盤を置くことができます。

  • 時間経過に伴う傾向または履歴データ(たとえば特定の間隔における平均値の変化)。たとえば、ポリシーは、特定のしきい値より上である平均JVMヒープ使用量に基盤を置くことができます。

  • 1つのサーバー・インスタンスだけでなく、クラスタ内のすべてのサーバー・インスタンスに関連するランタイム・メトリック。

  • 同一視される複数のサービスからのデータ。たとえば、ポリシーは、ロード・バランサによって報告されるレスポンス・タイム・メトリックや、メッセージ・キューからのメッセージ・バックログ・メトリックに基盤を置くことができます。

  • カレンダ・ベースのスケジュール。スケーリング・ポリシーは、特定のカレンダ時間(たとえば時刻または曜日)を指定して、いつアクションを起動するかを定義できます。

  • ログ・ルールまたはイベント・データ・ルール。

拡張度は、動的クラスタのスケーリングのみに使用できます。パーティションのスケーリングには使用できません。

関連する用語

拡張度に関連する用語のリストを示します。

次の表に、このガイド『Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成』で使用されている用語の定義をまとめます。

表2-1 拡張度の用語

用語 説明

拡張度フレームワーク

既存のWLDFポリシーおよびアクション・システム上に作成され、管理者が複合的なルールを構成してスケーリングに関するクラスタ内のリソース使用量を監視し、特に動的クラスタに関連するスケーリングまたは管理アクションを実行できるようにするコンポーネント。

ポリシー

動的クラスタをスケール・アップまたはダウンする条件を設定します。スケーリング・ポリシーで定義された条件が発生すると、対応するスケーリング・アクションが自動的に起動されます。

アクション

スケーリング操作自体を定義します。

動的クラスタ

1つの共有サーバー・テンプレートに基づいた生成済(動的)サーバー・インスタンスを1つ以上備えたクラスタ。

要求時スケーリング

アクティブな動的クラスタから実行中の動的サーバー・インスタンスを手動で追加または削除することによるスケーリング。

カレンダベースのスケーリング

スケーリング・アクションが実行される特定の日時を指定する、カレンダベースのスケジュールに基づくスケーリングです。

ポリシーベースのスケーリング

ポリシーおよび関連付けられたアクションに基づくスケーリング。ポリシーでスケーリング操作が発生する条件を設定し、その条件が満たされると、構成済のスケーリング・アクションが実行されます。

スマート・ルール

一連の設定可能パラメータがあり、それらのパラメータの値を指定するだけで複合ポリシー式を作成できるようになる事前パッケージ済のポリシー式。

スクリプトおよびデータソース・インターセプタの導入

インターセプタは、スケーリング操作時の、他のWebLogic Serverサブシステムおよび他のコンポーネントとの調整を支援するために使用できます。インターセプタは、特に、スケーリング操作の前または直後にリソースの再プロビジョニングなどの機能を実行するために役立ちます。

『Oracle WebLogic Server動的クラスタの拡張度の構成』では、スクリプト・インターセプタおよびデータソース・インターセプタの2つのインターセプタを紹介します。

スクリプト・インターセプタを使用した、スケーリング操作時の他のシステムとの調整の詳細は、「スクリプト・インターセプタの構成」を参照してください。

データソース・インターセプタを使用した、スケール・アップ操作前のデータベース接続の確認の詳細は、「データソース・インターセプタの構成」を参照してください。