A DBMS_JOBのサポート

Oracle Schedulerは、DBMS_JOBパッケージを置換します。

A.1 DBMS_JOBからOracle Schedulerへの置換え

Oracle Database 11g リリース2 (11.2)において、DBMS_JOBがOracle Schedulerに置き換えられています。Oracle Schedulerは、ジョブのスケジュールに使用されるパッケージであるDBMS_JOBよりも、強力で柔軟性があります。DBMS_JOBは下位互換性のためにOracle Database 18cで引き続きサポートされますが、DBMS_JOBからOracle Schedulerに切り替えることをお薦めします。

A.1.1 DBMS_JOBの構成

JOB_QUEUE_PROCESSES初期化パラメータには、ジョブの実行に対して作成可能なプロセスの最大数を指定する。

Oracle Database 12cリリース2以降では、JOB_QUEUE_PROCESSESのデフォルトが4000になっています。ジョブ・コーディネータ・プロセスは、実行されるジョブ数と使用可能なリソースに基づいて、必要な数のジョブ・キュー・プロセスのみを起動します。JOB_QUEUE_PROCESSESにより低い数字を設定すると、ジョブ・キュー・プロセスの数を制限できます。

JOB_QUEUE_PROCESSESを0に設定すると、DBMS_JOBジョブおよびDBMS_SCHEDULERジョブが使用不可になります。

関連項目:

JOB_QUEUE_PROCESSES初期化パラメータの詳細は、『Oracle Databaseリファレンス』を参照してください。

A.1.2 DBMS_JOBとOracle Schedulerの使用

DBMS_JOBとOracle Scheduler(スケジューラ)は、同じジョブ・コーディネータを使用して、ジョブ・スレーブを起動します。

JOB_QUEUE_PROCESSES初期化パラメータを使用すると、DBMS_JOBとスケジューラの両方のジョブ・スレーブ数を制限できます。

JOB_QUEUE_PROCESSESが0の場合、DBMS_JOBとOracle Schedulerジョブの両方が無効になります。

A.2 DBMS_JOBからOracle Schedulerへの移行

この項では、DBMS_JOBパッケージで作成されたジョブを取得し、DBMS_SCHEDULERパッケージを構成して制御するOracle Schedulerを使用してそれらをリライトする方法の例をいくつか示します。

A.2.1 ジョブの作成

DBMS_JOBパッケージおよびDBMS_SCHEDULERパッケージを使用したジョブの作成を例で示します。

次の例では、DBMS_JOBを使用してジョブを作成します。

VARIABLE jobno NUMBER;
BEGIN
 DBMS_JOB.SUBMIT(:jobno, 'INSERT INTO employees VALUES (7935, ''SALLY'',
   ''DOGAN'', ''sally.dogan@examplecorp.com'', NULL, SYSDATE, ''AD_PRES'', NULL, 
    NULL, NULL, NULL);', SYSDATE, 'SYSDATE+1');
 COMMIT;
END;
/

DBMS_SCHEDULERを使用した等価の文は、次のとおりです。

BEGIN
 DBMS_SCHEDULER.CREATE_JOB(
   job_name          =>  'job1',
   job_type          =>  'PLSQL_BLOCK',
   job_action        =>  'INSERT INTO employees VALUES (7935, ''SALLY'',
     ''DOGAN'', ''sally.dogan@examplecorp.com'', NULL, SYSDATE,''AD_PRES'', NULL,
      NULL, NULL, NULL);',
   start_date        =>  SYSDATE,
   repeat_interval   =>  'FREQ = DAILY; INTERVAL = 1');
END;
/

A.2.2 ジョブの変更

DBMS_JOBパッケージおよびDBMS_SCHEDULERパッケージを使用したジョブの変更を例で示します。

次の例では、DBMS_JOBを使用してジョブを変更します。

BEGIN
 DBMS_JOB.WHAT(31, 'INSERT INTO employees VALUES (7935, ''TOM'', ''DOGAN'', 
   ''tom.dogan@examplecorp.com'', NULL, SYSDATE,''AD_PRES'', NULL,
   NULL, NULL, NULL);');
 COMMIT;
END;
/

この文では、別の値を挿入するようにJOB1の処理が変更されます。

DBMS_SCHEDULERを使用した等価の文は、次のとおりです。

BEGIN
 DBMS_SCHEDULER.SET_ATTRIBUTE(
   name          => 'JOB1',
   attribute     => 'job_action',
   value         => 'INSERT INTO employees VALUES (7935, ''TOM'', ''DOGAN'', 
      ''tom.dogan@examplecorp.com'', NULL, SYSDATE, ''AD_PRES'', NULL,
      NULL, NULL, NULL);');
END;
/

A.2.3 ジョブ・キューからのジョブの削除

DBMS_JOBパッケージおよびDBMS_SCHEDULERパッケージを使用したジョブの削除を例で示します。

次の例では、DBMS_JOBを使用してジョブを削除します。14144は実行されているジョブの番号です。

BEGIN
   DBMS_JOB.REMOVE(14144);
COMMIT;
END;
/

DBMS_SCHEDULERを使用して、かわりに次のような文を発行します。

BEGIN
   DBMS_SCHEDULER.DROP_JOB('myjob1');
END;
/