スナップショット用のOracle ACFSコマンドライン・ツール

このトピックでは、Oracle ACFSスナップショットの管理用コマンドの概要を示します。

表16-87に、Oracle ACFSスナップショット・コマンドと簡単な説明を示します。Oracle ACFSスナップショットの概要は、「Oracle ACFSスナップショットについて」を参照してください。

Oracle ACFS acfsutilコマンドの実行の詳細は、「Oracle ACFSコマンドライン・ツールの使用について」を参照してください。

表16-87 Oracle ACFSスナップショット用のコマンドの概要

コマンド 説明

acfsutil snap convert

既存のスナップショットのタイプを変換します。

acfsutil snap create

Oracle ACFSファイルシステムまたは既存のスナップショットのスナップショットを作成します。

acfsutil snap delete

Oracle ACFSファイルシステムのスナップショットを削除します。

acfsutil snap duplicate apply

複製スナップショットまたはファイル・システムを更新します。

acfsutil snap duplicate create

既存のスナップショットの複製を作成します。

acfsutil snap info

Oracle ACFSファイルシステム・スナップショットについての情報を表示します。

acfsutil snap link

スナップショット・リンクを作成または削除します。

acfsutil snap quota

指定されたスナップショットの割当て制限を設定します。

acfsutil snap remaster

指定されたスナップショットでファイルシステムを再マスタリングします。

acfsutil snap rename

スナップショットの名前を変更します。

acfsutil snap convert

目的

読取り専用から読取り-書込みに、または読取り-書込みから読取り専用に、既存のスナップショット・イメージのタイプを変換します。

構文および説明

acfsutil snap convert -h
acfsutil snap convert [-r|-w] snap_shot mount_point

acfsutil snap convert -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap convertコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-88 acfsutil snap convertコマンドのオプション

オプション 説明

-r

スナップショットを読取り専用のスナップショットに変換します。

-w

スナップショットを読取り-書込みのスナップショットに変換します。

snap_shot

変換するスナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap convertは、読取り専用のスナップショット・イメージから読取り-書込みのスナップショット・イメージに、または読取り-書込みのスナップショット・イメージから読取り専用のスナップショット・イメージに、既存のスナップショット・イメージのタイプを変換します。

タイプ・オプション(-rまたは-w)は、変換操作に必要です。既存のスナップショット・イメージのタイプに一致するタイプ・パラメータを指定すると、変換は行われず、失敗しません。11.2の読取り専用のスナップショット・イメージは読取り-書込みのスナップショット・イメージに変換できますが、この変換によって、Oracle ACFSのディスク上の構造のバージョンが更新されます。Oracle ACFSのディスク上の構造のバージョンが更新されると、更新されたバージョンは以前のOracle ACFS 11.2バージョンとは互換性がありません。

このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。

例16-83に、acfsutil snap convertコマンドの使用方法を示します。

例16-83 acfsutil snap convertコマンドの使用方法

$ acfsutil snap convert -w midday_test1 /acfsmounts/critical_apps

$ acfsutil snap convert -r midday_test2 /acfsmounts/critical_apps

acfsutil snap create

目的

Oracle ACFSファイルシステムまたは既存のスナップショットの、読取り専用または読取り-書込みスナップショットを作成します。

構文および説明

acfsutil snap create -h
acfsutil snap create [-r|-w] [-p parent_snap_shot] snap_shot mount_point

acfsutil snap create -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap createコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-89 acfsutil snap createコマンドのオプション

オプション 説明

-r

読取り専用スナップショットを作成します。これがデフォルトの設定です。

-w

読取り-書込みスナップショットを作成します。

snap_shot

スナップショットの名前を指定します。指定された名前は、ホスト・オペレーティング・システム固有の、ディレクトリのネーミング規則に従う必要があります。.ACFS/snapsディレクトリ自体はスナップできません。

-p parent_snap_shot

Oracle ACFSファイルシステム内の既存のスナップショット・イメージの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap createは、mount_pointにマウントされているOracle ACFSファイルシステムの読取り専用または読取り-書込みスナップショットを作成するか、-pオプションが指定されている場合は既存のスナップショットのスナップショットを作成します。読取り専用には-rを、読取り-書込みには-wを指定できます。-r-wのどちらも指定しなければ、読取り専用がデフォルトで指定されます。

読取り-書込みスナップショットでは、イメージスナップショット画像をホストしているOracle ACFSファイルシステムの状態に影響を与えずに、読取りと書込みの両方が可能なOracle ACFSスナップショット画像を高速で作成できます。読取り-書込み機能は、アプリケーション・ソフトウェアの新しいバージョンをテストするために、または元のファイルシステムを変更せずに本番ファイル・データ上でテスト・シナリオを実行するために使用できます。

スナップショットの作成操作中に、ソース・ファイル・システムまたはスナップショット内の複製データが新規スナップショットにコピーされます。作成操作では、acfsutil snap duplicate apply操作によって最終更新が実行されたファイル・システムまたはスナップショットのコピーを作成します。この更新後のファイルシステムまたはスナップショットは、適用ターゲットと呼ばれます。適用ターゲットに書き込まれるデータは、acfsutil snap duplicate create操作のスナップショット複製ストリームから取得されます。適用ターゲットには、ターゲットを更新したストリームを識別するメタデータが含まれます。このメタデータにより、適用ターゲットに対するその後のacfsutil snap duplicate apply操作には、ターゲットを更新した前のストリームの終点と一致する起点が必ず存在します。

スナップショットは、別のファイルシステムではありません。スナップショットは.ACFS/snaps/snapshot ディレクトリに格納され、スナップショット・コマンドが発行された時点での最初のファイルシステムの完全なレプリカです。読取り専用スナップショットは、最初のpoint-in-timeビューの保持を継続します。読取り-書込みスナップショットは、.ACFS/snaps/snapshot階層内のファイルに直接書き込まれる更新によって変更できます。

シンボリック・リンク(symlink)ファイルは、symlinkが作成される時点で指定されるパスへのポインタです。acfsutil snap createコマンドのソースにある既存のsymlinkの場合、新しいリンクがスナップショットに作成されます。ただし、symlinkターゲットへのストアド・パスは、スナップ作成中に変更されません。リンクのターゲットとして絶対パスが使用される場合、スナップショットのリンク・ターゲットは、新しく作成されたスナップショット・ネームスペースの外部の絶対パスを参照したままです。スナップショットsymlinkによって、今後、スナップショット・ネームスペース内の新しいターゲットではなく、ターゲット・ファイルへの変更が発生することがあります。スナップショットの外部で、ターゲット・ファイルの内容も変更できます。この動作により、同じファイルシステム内にあるすべてのsymlinkに対して、相対パス・ターゲットを使用する必要があります。

どのユーザーでも、パス名を指定することでスナップショットディレクトリにアクセスできます。ただし、.ACFSディレクトリ自体は、ファイルシステムのルートを一覧表示しているディレクトリから非表示になります。これでrm -rfまたはacfsutil tag set -rなどの再帰的なコマンドが、ファイルシステムのルートのスナップショットファイル上で誤って操作されることを防止します。

スナップショットは通常、ファイルが変更されるまでは元のファイルシステムとファイルシステム・ブロックを共有するため、使用する記憶域が当初は非常に少なくてすみます。

duなどのツールにより、スナップショットを作成したファイルのディスク領域の合計使用量が報告されます。これには、ファイルの元のバージョンと共有される記憶域も含まれます。スナップショットに使用される合計領域を確認するには、acfsutil snap infoまたはacfsutil info fsコマンドを使用します。

Oracle ACFSスナップショットは、作成後すぐに使用可能になります。スナップショットは、元のファイルシステムがマウントされると、.ACFS/snapsディレクトリで常にオンラインになります。それらをマウントするために個別のコマンドは必要ありません。

クラスタがローリング移行状態にある場合、acfsutil snap createの操作は失敗します。

次のものがある場合、既存のスナップショットからの作成は許可されません。

  • ADVM互換性を12.1未満に設定して作成されたファイルシステム内に存在するスナップショット

  • ADVM互換性を12.1に設定した後でも、11.2のスナップショットが存在しているときに作成されたファイルシステムのスナップショット

  • 上記の状態のスナップショット削除クリーンアップ操作が、バックグラウンドでまだ実行中である

    acfsutil snap infoコマンドで、保留中のスナップショット操作を表示できます。

このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。

例16-84に、Linuxプラットフォーム上でスナップショットを作成するためのacfsutil snap createコマンドの使用方法を示します。

例16-84 Linuxでのacfsutil snap createコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap create -w midday_test1 /acfsmounts/critical_apps

$ /sbin/acfsutil snap create -w midday_test2 /acfsmounts/critical_apps

$ /sbin/acfsutil snap create payroll_report1 /acfsmounts/critical_apps

$ /sbin/acfsutil snap create payroll_report2 /acfsmounts/critical_apps

$ ls /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps
midday_test1  midday_test2  payroll_report1  payroll_report2

例16-85に、Windowsプラットフォーム上でスナップショットを作成するためのacfsutil snap createコマンドの使用方法を示します。この例では、既存のスナップショットからのスナップショットの作成を示します。

例16-85 Windowsでのacfsutil snap createコマンドの使用方法

C:\oracle> acfsutil snap create /w snap_1 e:

C:\oracle> acfsutil snap create /w snap_1-1 /p snap_1 e:

関連項目:

acfsutil snap delete

目的

Oracle ACFSファイルシステムのスナップショットを削除します。

構文および説明

acfsutil -h snap delete
acfsutil snap delete snapshot mount_point

acfsutil -h snap deleteは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

表16-90に、acfsutil snap deleteコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-90 acfsutil snap deleteコマンドのオプション

オプション 説明

snapshot

スナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap deleteは、mount_pointにマウントされているOracle ACFSにあるsnapshotというスナップショットを削除します。コマンドが正常に完了したら、.ACFS/snapsディレクトリ内のスナップショットの表示が削除されます。このコマンドは、オープン・ファイルまたはディレクトリ参照があっても成功します。ただし、そのような参照がすべて閉じるまで、スナップショットに関連付けられているストレージは解放されません。

削除されるスナップショットで使用されているディスク容量は、acfsutil snap deleteコマンドの完了後またはスナップショットでのファイルの最後のクローズ後にバックグラウンド・タスクによって解放されます。削除されたスナップショットのクリーンアップのためこれらのバックグラウンド・スレッドが実行中の場合、acfsutil snap infoコマンドが削除操作の保留を表示します。acfsutil snap infoコマンドの詳細は、「acfsutil snap info」を参照してください。

クラスタがローリング移行状態にある場合、acfsutil snap deleteの操作は失敗します。

このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。

例16-86に、acfsutil snap deleteコマンドの使用を示します。

例16-86 acfsutil snap deleteの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap delete midday_test1 /acfsmounts/critical_apps
acfsutil snap delete: Snapshot operation is complete.

acfsutil snap duplicate apply

目的

以前に作成された複製スナップショットをOracle ACFSスナップショットまたはファイル・システムに適用します。

構文および説明

acfsutil snap duplicate apply -h
acfsutil snap duplicate apply [-b | -B snap_shot] [-d trace_level] [snap_shot] mount_point

acfsutil snap duplicate apply -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap duplicate applyコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-91 acfsutil snap duplicate applyコマンドのオプション

オプション 説明

-b

コマンドが正常に完了した後に、バックアップ・スナップショットが生成されることを指定します。バックアップの名前は、このトピックの本文で説明されているSDBACKUP_seccnt_sourcesnap_targetsnap形式で生成されます。

—B snap_shot

コマンドが正常に完了した後に、指定した名前のバックアップ・スナップショットが生成されることを指定します。

-d trace_level

コマンド実行に対するトレース・レベル設定[0..6]を指定します。

snap_shot

そのファイルシステムの指定されたスナップショットがターゲットであることを指定します。指定されたスナップショットは、既存の書込み可能なスナップショットである必要があります。snap_shotを指定しない場合、適用操作のターゲットはマウント・ポイントに現在マウントされているファイル・システムです。

mount_point

複製スナップショットが適用されるディレクトリを指定します。

acfsutil snap duplicate applyコマンドは、acfsutil snap duplicate createによって生成されたスナップショット複製ストリームを使用して指定されたターゲットのファイルシステムまたはスナップショットを更新します。データのストリームは、標準入力から読み込まれます。

ターゲットに対してacfsutil snap duplicate apply操作が適用されたことがない場合は、今回が初めての適用となるため、最初、ターゲットは空であるはずです。ターゲットが前の適用操作で適用されている場合、今回は増分適用であるため、ターゲットの初期コンテンツはスナップショット複製ストリームの生成に使用された古いスナップショットのコンテンツと一致する必要があります。

ターゲットのコンテンツがストリームの古いスナップショットと一致しない場合、このコマンドはエラーを戻し、ストリームは適用されません。適用操作の処理中に他の方法でターゲットを更新しないでください。別の更新が発生すると、このコマンドはエラーを戻し、スナップショット複製ストリームの適用を中止します。適用されるデータ・ストリームが指定したターゲットに適用された最後のデータ・ストリームと同一である場合、このコマンドはターゲットに何も書き込まず、ステータス値2で終了します。

-bオプションまたは—Bオプションを指定すると、適用操作による更新の完了後にターゲットのバックアップ・スナップショットが取得されます。適用操作用に取得されたスナップショットは、次の適用操作の完了時に自動的に削除されるため、存在するスナップショットは最後に完了した適用操作のものです。バックアップ・スナップショットにより、最後に成功した適用操作のターゲットの既知で整合性のあるバージョンと、acfsutil snap duplicate apply操作で行われた処理中の変更を識別するための比較ポイントが提供されます。

—Bオプションを使用して名前が指定されなかった場合、バックアップ・スナップショットの名前はSDBACKUP_seccnt_sourcesnapまたはSDBACKUP_seccnt_sourcesnap_targetsnapの形式になります。この名前の文字列で、seccntはローカル・タイムスタンプ(UNIXエポック以降の秒数)で、バックアップ・スナップショットによってターゲットが取得された時点を示します。sourcesnapは、最後に完了したacfsutil snap duplicate apply操作によって適用されたソース・ファイル・システムのスナップショットを示します。targetsnapがある場合は、最後に完了したacfsutil snap duplicate apply操作によって更新されたターゲット・ファイル・システムでのスナップショット名を示します。

このコマンドを使用するには、システム管理者(root)権限が必要です。

acfsutil snap duplicate applyコマンドは、成功時は終了ステータス0、致命的エラーが発生した場合は1、読み取られたデータ・ストリームが指定のターゲットに適用された最後のデータ・ストリームと一致する場合は2をそれぞれ生成します。

スナップショット情報の表示の詳細は、acfsutil snap infoを参照してください。

例16-87に、acfsutil snap duplicate applyコマンドの使用方法を示します。このコマンドでは、標準入力からバイナリ・データ・ストリームを読み取ると想定しているため、このコマンドは通常、例に示すようにパイプラインでacfsutil snap duplicate createコマンドとともに使用します。

例16-87 acfsutil snap duplicate applyコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap duplicate create new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps | \
      /sbin/acfsutil snap duplicate apply /acfsmounts/ca_backups

acfsutil snap duplicate create

目的

既存のスナップショットの複製スナップショットを作成します。

構文および説明

acfsutil snap duplicate create -h
acfsutil snap duplicate create [-r] [-d trace_level] [-p parent_snapshot]
                               [-i old_snapshot] new_snapshot mount_point

acfsutil snap duplicate create -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

表16-92に、acfsutil snap duplicate createコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-92 acfsutil snap duplicate createコマンドのオプション

オプション 説明

-r

スナップ複製ストリームを再開ストリームとしてマークすることを指定します。このオプションは、指定したストリームの作成および適用を2回目以降に試行する際に使用するためのものです。このオプションは、前の試行が途中終了した場合に必要になることがあります。

-d trace_level

コマンド実行に対するトレース・レベル設定[0..6]を指定します。

-p parent_snapshot

old_snapshotnew_snapshotの両方が子である親のスナップショット・イメージの名前を指定します。

このオプションにより、両方のスナップショットが同じスナップショットの子(スナップのスナップ)であると保証されます。—pオプションを指定しない場合、new_snapshotold_snapshotの子であるか、あるいは、2つのスナップショットが指定したマウント・ポイントにあるベース・ファイルシステムのスナップショットである必要があります。

—i old_snapshot

既存のスナップショットの名前を指定します。

new_snapshot

新しいスナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。これは、スナップショットが取得されたファイルシステムのマウント・ポイントです。

acfsutil snap duplicate createコマンドは、互換性のあるスナップショットの別のインスタンスを作成するためにsnap duplicate applyで使用するのに適した形式でスナップショット関連データを外部化します。この外部化されたデータは、スナップショット複製ストリームと呼ばれます。

新しいスナップショット名のみを指定した場合、このコマンドは、指定されたスナップショットのコンテンツ全体(空のスナップショットとこのスナップショットの差異)をエンコードします。これは、初回スナップ複製操作です。

古いスナップショット名と新しいスナップショット名の両方を指定した場合、このコマンドは、2つのスナップショットの差異のみをエンコードします。これは、増分スナップ複製操作です。

いずれの場合も、このコマンドは、スナップショット複製ストリームを標準出力に書き込みます。

このコマンドを使用するには、システム管理者(root)権限が必要です。

acfsutil snap duplicate createコマンドは、成功時は終了ステータス0を、致命的エラーが発生した場合は1を生成します。

スナップショット情報の表示の詳細は、acfsutil snap infoを参照してください。

例16-88に、acfsutil snap duplicate createコマンドの使用方法を示します。このコマンドはバイナリ・データ・ストリームを標準出力に書き込むため、このコマンドは通常、例に示すようにパイプラインでacfsutil snap duplicate applyコマンドとともに使用されます。

例16-88 acfsutil snap duplicate createコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap duplicate create new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps | \
      /sbin/acfsutil snap duplicate apply /acfsmounts/ca_backups

acfsutil snap info

目的

Oracle ACFSファイルシステム・スナップショットについての情報を表示します。

構文および説明

acfsutil snap info -h
acfsutil snap info [-t] [snap_shot] mount_point

acfsutil snap info -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap infoコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-93 acfsutil snap infoコマンドのオプション

オプション 説明

-t

指定したスナップショットおよびマウント・ポイントのツリー構造を表示します。

snap_shot

スナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap infoコマンドは、指定されたOracle ACFSファイルシステム内の個別に指定されたスナップショットまたはすべてのスナップショットに関する情報を表示します。

スナップショット名、スナップショット・タイプ、親の名前、作成日時および使用済領域が表示されます。スナップショットが既存のスナップショットから作成された場合、親の名前は、マウント・ポイントまたは親スナップショットのいずれかです。

スナップショットのタイプは、次の1つ以上の文字列によって示されます。関連する文字列は同じ行に表示されます。

  • RO - スナップショットは読取り専用です

  • RW - スナップショットは読取り/書込み

  • Primary - スナップショットはレプリケーションのプライマリ記憶域の場所

  • Standby - スナップショットはレプリケーション用のスタンバイ記憶域の場所

  • REPL - スナップショットはレプリケーションで使用される内部スナップショット

  • DUP - スナップショットまたはその親はsnap duplicate applyのターゲット

文字列REPLの外観は、スナップショットがレプリケーションのプライマリかスタンバイかは関係ありません。この文字列は、スナップショットがそれ自体の内部で使用するためにレプリケーションで作成されたスナップショットである場合のみ表示されます。

次の条件のいずれかがtrueの場合、文字列DUPが表示されます。

  • スナップショットは適用操作のターゲットとして使用中です。

  • スナップショットの親は、スナップショットが作成された時点で適用操作のターゲットとして使用されていました。

snapshot space usage量には、スナップショットのメタデータが含まれます。すべてのファイルがスナップショットから削除される場合、いくつかのメタデータはそのまま残り、その量はacfsutil snap infoで表示されます。

アクセラレータ・ボリュームを使用する場合、レポートされるsnapshot space usage量に、アクセラレータ・ボリュームで使用されている領域を含めることができます。

スナップショットによって使用されているディスク領域を再利用するには、スナップショットを削除します。スナップショット内のファイルを削除しても、このディスク領域が再利用されないことがあります。

acfsutil snap infoコマンドは、次のように、削除処理中のスナップショットの状態を示します。

  • ファイルのクローズを待機している場合:

    snapshot_name (delete waiting for last close)
  • バックグラウンドでスナップショットのストレージを解放している場合:

    snapshot_name (delete in progress)

Oracle ACFSはスナップショットの記憶域使用状況統計をキャッシュし、非同期で更新します。Oracle ASMインスタンスが停止された場合、マシンへの電源供給が遮断された場合、またはOracle ACFSファイルシステムが何らかの理由でオフラインになった場合、これらのキャッシュされた更新内容は失われる場合があります。失われた場合、acfsutil snap infoの実行時にReported snapshot space usage is inaccurateと似たメッセージが表示されます。

例16-89に、Linuxプラットフォームでのacfsutil snap infoコマンドの使用方法を示します。コマンド出力には、読取り専用(RO)スナップショット、読取り-書込み(RW)スナップショット(割当て情報とともに)、delete waiting for last close状態のスナップショットおよびdelete in progress状態のスナップショットに関する情報が示されています。スナップショットに対する削除操作が完了し、バックグラウンド・プロセスで削除済スナップショットのクリーンアップが終了すると、削除操作に関するメッセージは出力に表示されません。

例16-89 Linuxでのacfsutil snap infoコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap info /acfsmounts/critical_apps/
snapshot name:               midday_test (delete waiting for last close)
snapshot creation time:      Tue Apr  5 10:52:55 2016


snapshot name:               payroll_report1
snapshot location:           /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps/payroll_report1
RO snapshot or RW snapshot:  RW
parent name:                 /acfsmounts/critical_apps/
snapshot creation time:      Tue Apr  5 10:52:59 2016
storage added to snapshot:   95514624   (  91.09 MB )

quota:                       104857600  ( 100.00 MB )
quota usage:                 91 %


snapshot name:               midday_test2 (delete in progress)
snapshot creation time:      Mon Apr 11 11:40:13 2016


snapshot name:               payroll_report2
snapshot location:           /acfsmounts/critical_apps/.ACFS/snaps/payroll_report2
RO snapshot or RW snapshot:  RO
parent name:                 midday_test2
snapshot creation time:      Mon Apr 11 12:05:42 2016
storage added to snapshot:   1081344   (   1.03 MB )


    number of snapshots:  3 (active)
                          1 (delete in progress)
        snapshot space usage: 102084608  (  97.36 MB )


$ /sbin/acfsutil snap info -t /acfsmounts/critical_apps
/acfsmounts/critical_apps RW    
midday_test               RW    /acfsmounts/critical_apps
payroll_report1           RW    /acfsmounts/critical_apps
midday_test2              RW    /acfsmounts/critical_apps
payroll_report2           RO    midday_test2 


$ /sbin/acfsutil snap info -t midday_test2 /acfsmounts/critical_apps
midday_test2              RW    
payroll_report2           RO    midday_test2 

例16-90に、Windowsプラットフォーム上でのacfsutil snap infoコマンドの使用方法を示します。

例16-90 Windowsでのacfsutil snap infoコマンドの使用方法

C:\oracle> acfsutil snap info e:
snapshot name:               MIDDAY_TEST (delete waiting for last close)
snapshot creation time:      Wed Apr 13 12:44:15 2016

snapshot name:               PAYROLL_REPORT1
snapshot location:           e:\.ACFS\snaps\PAYROLL_REPORT1
RO snapshot or RW snapshot:  RW
parent name:                 e:
snapshot creation time:      Wed Apr 13 12:45:00 2016
storage added to snapshot:   18866176   (  17.99 MB )

quota:                       104857600  ( 100.00 MB )
quota usage:                 17 %

snapshot name:               MIDDAY_TEST2 (delete in progress)
snapshot creation time:      Wed Apr 13 12:48:07 2016


snapshot name:               PAYROLL_REPORT2
snapshot location:           e:\.ACFS\snaps\PAYROLL_REPORT2
RO snapshot or RW snapshot:  RO
parent name:                 MIDDAY_TEST2
snapshot creation time:      Wed Apr 13 12:50:34 2016
storage added to snapshot:   1081344   (   1.03 MB )


    number of snapshots:  3 (active)
                          1 (delete in progress)
        snapshot space usage: 362557440  ( 345.76 MB )


C:\oracle> acfsutil snap info /t e:
e:                        RW    
MIDDAY_TEST               RW    e:
PAYROLL_REPORT1           RW    e:
MIDDAY_TEST2              RW    e:
PAYROLL_REPORT2           RO    MIDDAY_TEST2


C:\oracle> acfsutil snap info /t MIDDAY_TEST2 e:
MIDDAY_TEST2              RW    
PAYROLL_REPORT2           RO    MIDDAY_TEST2

acfsutil snap link

目的

スナップショット・リンクを作成または削除します。

構文および説明

acfsutil snap link -h
acfsutil snap link -s snap_shot path_to_link
acfsutil snap link -s snap_shot -d path_to_link

acfsutil snap link -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap linkコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-94 acfsutil snap linkコマンドのオプション

オプション 説明

—s snap_shot

Oracle ACFSファイル・システム内のOracle ACFSスナップショットの名前を指定します。

-d

指定したスナップショット・リンクを削除します。

path_to_link

Oracle ACFSファイル・システムのディレクトリを指定します。

acfsutil snap linkコマンドを使用して、スナップショット・リンクを作成または削除できます。スナップショット・リンクは、スナップショットが作成されるデフォルトの場所である.ACFS/snapsディレクトリを含まない代替パスを使用して、スナップショットのコンテンツへのアクセスを提供します。

スナップショット・リンクは、1つのスナップショットに対して1つのスナップショット・リンクのみが存在できることを要求する特殊なハード・リンクです。スナップショット・リンクは、別のスナップショット内ではなく、プライマリ・ファイル・システム内にのみ作成できます。スナップショット・リンクの名前またはロケーションを変更するために、スナップショット・リンクを再作成できます。スナップショット・リンクに指定する名前は、リンク先のスナップショットの名前と同じである必要はありません。スナップショット・リンクは、ディスクの変更に必要であり、COMPATIBLE.ADVMディスク・グループ属性は18.0以上に設定されている必要があります。スナップショット・リンクの作成および削除は、acfsutil snap linkコマンドを使用してのみ実行できます。リンクの移動または削除は、オペレーティング・システムの標準コマンドを使用して行うことはできません。

acfsutil snap infoコマンドで、スナップショット・リンクに関する情報を表示できます。acfsutil snap info snap_shotを使用して、指定したスナップショットにリンクがあるかどうかを判別できます。

次に、acfsutil snap linkコマンドの使用例を示します。新しいスナップショットが作成された後に、新しいスナップショットのリンクが作成されます。

例16-91 acfsutil snap linkコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap create -w snap1 /usmmnt  
acfsutil snap create: Snapshot operation is complete.

$ /sbin/acfsutil snap link -s snap1 /usmmnt/dir1/link
acfsutil snap link: Snapshot operation is complete.

$ /sbin/acfsutil snap info /usmmnt
snapshot name:               snap1
snapshot location:           /usmmnt/.ACFS/snaps/snap1
snapshot link:               /usmmnt/dir1/link
RO snapshot or RW snapshot:  RW
parent name:                 /usmmnt
...

acfsutil snap quota

目的

指定されたスナップショットの割当て制限を設定します。

構文および説明

acfsutil -h snap quota

acfsutil snap quota [+|-]n[K|M|G|T|P] snapshot mount_point

acfsutil —h snap quotaは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

次の表に、acfsutil snap quotaコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-95 acfsutil snap quotaコマンドのオプション

オプション 説明

[+|-]n

K|M|G|T|P

Oracle ACFSスナップショットの割当て制限サイズを指定します(nは、ゼロより大きい有効な正の整数です)。数値の前には、追加または削減する量を示すために、+または-を付けることができます。オペランドが指定されていなければ、新しいサイズは絶対サイズです。

サイズに指定された整数の単位がK(KB)、M(MB)、G(GB)、T(TB)またはP(PB)のいずれであるかを指定します。単位インジケータを指定する場合は、整数の後に付ける必要があります。省略した場合、デフォルトの単位はバイトです。

snapshot

スナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap quotaコマンドは、指定されたOracle ACFSファイルシステムの指定されたスナップショットに割当て制限を設定します。

ファイルシステムはサイズ変更(自動的にサイズ変更)できるため、割当て制限はファイルシステムのサイズより大きくなることがあります。

指定した割当て制限によって領域は予約されません。割当て制限は、スナップショットに追加できるストレージの量に対する上限の設定のみ行います。

ADVM互換性(COMPATIBLE.ADVM)が12.2以上に設定された後に作成されたスナップショットのみ、ストレージにトラッキングが考慮され、割当て制限の設定機能を持っています。

スナップショットは、読取り-書込み(RW)から読取り専用(RO)へ、またその逆の変換ができます。RWスナップショットとROスナップショットのどちらも割当て制限を設定できます。

割当て制限の使用には、猶予期間および高度な警告があります。警告メッセージは、リクエストしたストレージ割当てによってローカル・ストレージの使用量が割当て制限の90%近くになるか上回る場合、アラート・ログとコンソールの両方に出力されます。割当てが割当て制限を上回る場合、書込みなどの変更操作はEDQUOTとして失敗するか、割当て制限がファイルシステムのサイズより大きい値に設定されているかどうかによってはENOSPCとして失敗することもあります。

このコマンドを使用するには、システム管理者(root)権限が必要です。

acfsutil snap infoコマンドを使用すると、割当て制限や割当て制限使用率などのスナップショット情報を表示できます。acfsutil snap infoの詳細は、acfsutil snap infoを参照してください。

次に、acfsutil snap quotaコマンドの使用例を示します。

例16-92 acfsutil snap quotaコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap quota +500M snap_test /acfsmounts/acfs1

acfsutil snap remaster

目的

スナップショットでOracle ACFSファイルシステムを再マスタリングします。

構文および説明

acfsutil snap remaster -h
acfsutil snap remaster { snapshot | -c } -f volume

acfsutil snap remaster -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

表16-96に、acfsutil snap remasterコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-96 acfsutil snap remasterコマンドのオプション

オプション 説明

-c

中断された再マスタリング操作を続行します。コマンドが開始されると、再マスタリングは完了するまで実行する必要があります。

—f

操作を強制し、プロンプトを表示しません。

snapshot

既存のスナップショットの名前を指定します。

volume

ファイルシステムのプライマリOracle ADVMボリューム・デバイス・パスを指定します。

このコマンドは、スナップショット名または—cオプションを受け入れます。

指定したスナップショットはファイルシステムのベースに使用され、ファイルシステムの現在のベースに置き換わります。既存の読取り専用または読取り-書込みのスナップショットを使用すると、コマンドは、スナップショット・エクステントを現行ファイルシステムのベースに再統合し、スナップショットのポイント・イン・タイム状態で再マスタリングされた新しいファイルシステムを作成します。再マスタリングされたファイルシステムには、スナップショットがありません。この操作は、アンマウントされたファイルシステムで実行する必要があり、元に戻すことができません。

スナップショット名ではなく-cオプションを使用して、中断されたスナップショットの再マスタリングを完了します。

レプリケーション、セキュリティまたは暗号化が実行中のファイルシステムの再マスタリングはできません。レプリケーション、セキュリティまたは暗号化を終了してから、acfsutil snap remasterコマンドを実行する必要があります。また、プラグインが有効になっているファイルシステムも再マスタリングできません。

このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。

例16-93に、acfsutil snap remasterコマンドの使用方法を示します。

例16-93 acfsutil snap remasterコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap remaster snapshot volume

acfsutil snap rename

目的

Oracle ACFSスナップショットの名前を変更します。

構文および説明

acfsutil snap rename -h
acfsutil snap rename old_snapshot new_snapshot mount_point

acfsutil snap rename -hは、ヘルプ・テキストを表示して終了します。

表16-97に、acfsutil snap duplicate createコマンドで使用可能なオプションを示します。

表16-97 acfsutil snap renameコマンドのオプション

オプション 説明

old_snapshot

既存のスナップショットの名前を指定します。

new_snapshot

新しいスナップショットの名前を指定します。

mount_point

このファイルシステムがマウントされるディレクトリを指定します。

acfsutil snap renameコマンドは、ファイルシステムに既存するスナップショットの名前を安全に変更するために使用します。

オープン・ファイルがあるスナップショットの名前を変更することは可能ですが、そのスナップショットのファイルにアクセスしているアプリケーションは、親ディレクトリのいずれかの名前が変更された非スナップ・ディレクトリ・ツリーでの動作と同じ動作をとります。

プラガブル・データベース(PDB)とともに使用されるスナップショットの名前変更は、現時点でサポートされていません。このようなスナップショットの名前を変更しないでください。

レプリケーション固有のスナップショットは、レプリケーションで複雑な事態および不整合を招く可能性があるため、名前を変更できません。

このコマンドを使用するには管理者権限か、Oracle ASM管理者グループのメンバーであることが必要です。

スナップショット情報の表示の詳細は、acfsutil snap infoを参照してください。

例16-94に、acfsutil snap renameコマンドの使用方法を示します。

例16-94 acfsutil snap renameコマンドの使用方法

$ /sbin/acfsutil snap rename old_snapshot_name new_snapshot_name /acfsmounts/critical_apps