ASMCMDファイル・グループ管理コマンド

このトピックでは、Oracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループの管理を可能にするASMCMDコマンドの概要を示します。

次の表に、ASMCMDファイル・グループ・コマンドおよび割当て制限グループ・コマンドと簡単な説明を示します。

表10-77 ASMCMDファイル・グループ・コマンドの概要

コマンド 説明

chfg

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトに基づいてディスク・グループ内のファイル・グループを変更します。

chqg

ディスク・グループ内の割当て制限グループを変更します。

lsfg

ディスク・グループ内のファイル・グループをリストします。

lsqg

ディスク・グループ内の割当て制限グループをリストします。

mkfg

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトに基づいてディスク・グループ内にファイル・グループを作成します。

mkqg

ディスク・グループに割当て制限グループを追加します。

mvfg

指定された割当て制限グループにディスク・グループ内のファイル・グループを移動します。

rmfg

ディスク・グループから既存のファイル・グループを削除します。

rmqg

ディスク・グループから割当て制限グループを削除します。

関連項目:

chfg

目的

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトに基づいてディスク・グループ内のファイル・グループの属性を変更します。

構文および説明

chfg { config_file.xml | 'contents_of_xml_script' }

次の表に、chfgコマンドのオプションを示します。

表10-78 chfgコマンドのオプション

オプション 説明

config_file.xml

ファイル・グループの変更が格納されているXMLファイルの名前。chfgは、パスが指定されないかぎり、ASMCMDの現行作業ディレクトリ内でXMLファイルを検索します。

contents_of_xml_script.xml

一重引用符で囲まれたXMLスクリプトの内容。

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトのルート要素は<file_group>タグであり、次の属性を保持します。

  • name: ファイル・グループ名

  • dg: ファイル・グループが属するディスク・グループ名

次のタグを使用してプロパティを設定できます。

  • name: プロパティ名

  • value: プロパティ値

  • file_type: プロパティ・ファイル・タイプ(オプション)

  • template: Oracle ASMテンプレート名(オプション)

次に、chfgのXML構成ファイルの例を示します。この構成ファイルにより、ディスク・グループdg_data1filegroup1というファイル・グループが変更されます。このファイル・グループは、割当て制限グループquotagroup1に関連付けられます。

<filegroup name="filegroup1" dg="dg_data1">
  <p name="quota_group" value="quotagroup1"/>
</filegroup>

Oracle ASMファイル・グループの詳細は、「Oracle ASMフレックス・ディスク・グループの管理」を参照してください。

次に、XML構成ファイルおよびXMLスクリプトを使用したchfgコマンドの使用例を示します。

例10-82 chfgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > chfg config_file.xml

ASMCMD [+] > chfg '<filegroup name="filegroup1" dg="dg_data1"> 
                  <p name="redundancy" value="high"/> 
                  </filegroup>'

chqg

目的

ディスク・グループ内の割当て制限グループを変更します。

構文および説明

chqg -G disk_group quota_group property value

次の表に、chqgコマンドのオプションを示します。

表10-79 chqgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

quota_group

割当て制限グループを指定します。

property

プロパティ名を指定します。

value

プロパティの値を指定します。

chqgコマンドは、指定されたディスク・グループ内の指定された割当て制限グループの指定されたプロパティを変更します。Oracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループの詳細は、Oracle ASMフレックス・ディスク・グループの管理を参照してください。

次に、chqgコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループ内の割当て制限グループquota_grp1quotaプロパティを変更します。2つ目の例では、dataディスク・グループ内の割当て制限グループquota_grp2quotaプロパティを変更します。

例10-83 chqgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > chqg -G data quota_grp1 quota 200G

ASMCMD [+] > chqg -G data quota_grp2 quota UNLIMITED

lsfg

目的

ディスク・グループ内のファイル・グループをリストします。

構文および説明

lsfg [-G disk_group] [--filegroup file_group] [--suppressheader]

次の表に、lsfgコマンドのオプションを示します。

表10-80 lsfgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

—filegroupfile_group

ファイル・グループを指定します。

—suppressheader

コマンド出力のヘッダーを非表示にします。

ディスク・グループ・オプションが指定されている場合、lsfgは指定されているディスク・グループ内のファイル・グループに関する情報のみ戻します。ファイル・グループ・オプションが指定されている場合、lsfgはそのファイル・グループに関する情報のみを戻します。

ファイル・グループに関する情報は、V$ASM_FILEGROUPビューおよびV$ASM_FILEGROUP_PROPERTYビューから取得されます。

次に、lsfgコマンドの使用例を示します。例の1つ目のコマンドは、DATAディスク・グループ内のファイル・グループFG1のプロパティを表示します。2つ目のコマンドは、DATAディスク・グループ内のすべてのファイル・グループとそのプロパティをリストします。

例10-84 lsfgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsfg -G DATA --filegroup FG1
Group Number  FileGroup Number  Property    Value   File Type
1             1                 REDUNDANCY  MIRROR
1             1                 PRIORITY    HIGH
1             1                 REDUNDANCY  HIGH    CONTROLFILE

ASMCMD [+] > lsfg -G DATA
Group Number  FileGroup Number  Incarnation  Name               Client Type  Client Name  QuotaGroup Number  QuotaGroup Incarn
1             0                 1            DEFAULT_FILEGROUP  0                         0                  0
1             1                 1            FG1                1            CLIENT1      0                  0

lsqg

目的

ディスク・グループ内の割当て制限グループをリストします。

構文および説明

lsqg [-G disk_group] [--quotagroup quota_group] [--suppressheader]

次の表に、lsqgコマンドのオプションを示します。

表10-81 lsqgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

—quotagroupquota_group

割当て制限グループを指定します。

—suppressheader

コマンド出力のヘッダーを非表示にします。

ディスク・グループ・オプションが指定されている場合、lsqgは指定されているディスク・グループ内の割当て制限グループに関する情報のみ戻します。割当て制限グループ・オプションが指定されている場合、lsqgはその割当て制限グループに関する情報のみを戻します。

ファイル・グループに関する情報は、V$ASM_QUOTAGROUPビューから取得されます。

次に、lsqgコマンドの使用例を示します。例の1つ目のコマンドは、DATAディスク・グループ内のファイル・グループQG1のプロパティを表示します。2つ目のコマンドは、DATAディスク・グループ内のすべての割当て制限グループとそのプロパティをリストします。3つ目のコマンドは、現行Oracle ASMインスタンスによってマウントされたすべてのディスク・グループ内の名前がQG1である割当て制限グループをすべてリストします。4つ目のコマンドは、現行Oracle ASMインスタンスによってマウントされたすべてのディスク・グループ内の割当て制限グループをすべてリストします。

例10-85 lsqgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsqg -G DATA --quotagroup QG1
Used_Quota_MB  Quota_Limit_MB
100            200

ASMCMD [+] > lsqg -G DATA
Quotagroup_Num  Quotagroup_Name  Used_Quota_MB  Quota_Limit_MB
1               GENERIC          12357          262143
2               QG1              100            200
3               QG2              400            420

ASMCMD [+] > lsqg --quotagroup QG1
Group_Num  Quotagroup_Num  Used_Quota_MB  Quota_Limit_MB
1          2               100            200
3          5               821            1024

ASMCMD [+] > lsqg
Group_Num  Quotagroup_Num  Quotagroup_Name  Used_Quota_MB  Quota_Limit_MB
1          1               GENERIC          12357          262143
1          2               QG1              100            200
1          3               QG2              400            420
2          1               GENERIC          54000          262143
3          1               GENERIC          11             262143
3          5               QG1              821            1024

mkfg

目的

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトに基づいてディスク・グループ内にファイル・グループを作成します。

構文および説明

mkfg { config_file.xml | 'contents_of_xml_script' }

次の表に、mkfgコマンドのオプションを示します。

表10-82 mkfgコマンドのオプション

オプション 説明

config_file.xml

ファイル・グループの構成情報が格納されているXMLファイルの名前。mkfgは、パスが指定されないかぎり、ASMCMDの現行作業ディレクトリ内でXMLファイルを検索します。

contents_of_xml_script.xml

一重引用符で囲まれたXMLスクリプトの内容。

XML構成ファイルまたはXMLスクリプトのルート要素は<file_group>タグであり、次の属性を保持します。

  • name: ファイル・グループ名

  • dg: ファイル・グループが属するディスク・グループ名

  • client_type: database、cluster、volume

  • client_name: データべス、CDB、PDB、クラスタまたはボリュームの名前

次のタグを使用してプロパティを設定できます。

  • name: プロパティ名

  • value: プロパティ値

  • file_type: プロパティ・ファイル・タイプ(オプション)

  • template: Oracle ASMテンプレート名(オプション)

次に、mkfgのXML構成ファイルの例を示します。この構成ファイルにより、sampleというデータベースについて、ディスク・グループdg_data1filegroup1というファイル・グループが作成されます。このファイル・グループは、割当て制限グループquotagroup1に関連付けられます。このファイル・グループ内のファイルは、冗長性がミラーに設定されます(高冗長性の制御ファイルを除く)。その他すべての属性は、デフォルト値に設定されます。

<filegroup name="filegroup1" dg="dg_data1" client_type="database" client_name="sample">
  <p name="redundancy" value="mirror"/>
  <p name="redundancy" value="high" file_type="controlfile"/>
  <p name="quota_group" value="quotagroup1"/>
</filegroup>

Oracle ASMファイル・グループの詳細は、Oracle ASMフレックス・ディスク・グループの管理を参照してください。

次に、XML構成ファイルおよびXMLスクリプトを使用したmkfgコマンドの使用例を示します。

例10-86 mkfgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > mkfg config_file.xml

ASMCMD [+] > mkfg '<filegroup name="filegroup1" dg="dg_data1" client_type="database" client_name="sample"> 
                   </filegroup>'

mkqg

目的

ディスク・グループに割当て制限グループを追加します。

構文および説明

mkqg -G disk_group quota_group [property] [value]

次の表に、chqgコマンドのオプションを示します。

表10-83 mkqgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

quota_group

割当て制限グループを指定します。

property

プロパティ名を指定します。

value

プロパティの値を指定します。

mkqgコマンドは、オプションの指定されたプロパティで指定された割当て制限グループを指定されたディスク・グループに追加します。Oracle ASMファイル・グループおよび割当て制限グループの詳細は、Oracle ASMフレックス・ディスク・グループの管理を参照してください。

次に、mkqgコマンドの例を示します。1つ目の例では、プロパティを指定せずに割当て制限グループquota_grp1dataディスク・グループに追加します。2つ目の例では、quotaプロパティを指定して割当て制限グループquota_grp2dataディスク・グループに追加します。

例10-87 mkqgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > mkqg -G data quota_grp1

ASMCMD [+] > mkqg -G data quota_grp2 quota 100G

mvfg

目的

指定された割当て制限グループにディスク・グループ内のファイル・グループを移動します。

構文および説明

mvfg -G disk_group --filegroup file_group quota_group

次の表に、mvfgコマンドのオプションを示します。

表10-84 mvfgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

—filegroupfile_group

ファイル・グループを指定します。

quota_group

割当て制限グループを指定します。

次に、mvfgコマンドの例を示します。この例では、DATAディスク・グループ内のファイル・グループFG1を割当て制限グループQG1に移動します。

例10-88 mvfgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > mvfg -G DATA --filegroup FG1 QG1

rmfg

目的

ディスク・グループから既存のファイル・グループを削除します。

構文および説明

rmfg [-r] disk_group file_group 

次の表に、rmfgコマンドのオプションを示します。

表10-85 rmfgコマンドのオプション

オプション 説明

-r

再帰的な操作を指定します。

disk_group

ディスク・グループを指定します。

file_group

ファイル・グループを指定します。

-rオプションは、内容を含めた再帰的な削除を指定します。ファイル・グループに格納されているディスク・グループ内のファイルはすべて、ファイル・グループの削除と同時に削除されます。このオプションは、ファイルが格納されているファイル・グループを削除する場合に指定する必要があります。このオプションを省略し、ファイル・グループが空でない場合、ASMCMDはエラーを戻し、ファイル・グループは削除されません。

次に、rmfgコマンドの使用例を示します。例の1つ目のコマンドは、DATA1ディスク・グループからファイル・グループFG1を削除します。2つ目のコマンドは、DATA2ディスク・グループからファイル・グループFG2とその内容をすべて削除します。

例10-89 rmfgコマンドの使用方法

 ASMCMD [+] > rmfg DATA1 FG1
 ASMCMD [+] > rmfg -r DATA2 FG2

rmqg

目的

ディスク・グループから割当て制限グループを削除します。

構文および説明

rmqg -G disk_group quota_group 

次の表に、rmqgコマンドのオプションを示します。

表10-86 rmqgコマンドのオプション

オプション 説明

-G disk_group

ディスク・グループを指定します。

quota_group

割当て制限グループを指定します。

次に、rmqgコマンドの使用例を示します。例のコマンドは、DATA1ディスク・グループから割当て制限グループQG1を削除します。

例10-90 rmqgコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > rmqg -G DATA QG1