この付録では、Oracle Secure BackupでのStorageTek自動化カートリッジ・システム・ライブラリ・ソフトウェア(ACSLS)のサポートについて説明します。ACSLSは、1つ以上の自動化カートリッジ・システムのテープ・ライブラリを制御するサーバー・ソフトウェアのパッケージです。
この付録の内容は次のとおりです。
ACSLSボリュームは、カートリッジと呼ばれます。カートリッジは、カートリッジ・アクセス・ポイントからロードとアンロードが行われます。Oracle Secure Backupのobtoolデバイス・コマンドのmkdev
、chdev
、lsdev
およびrmdev
は、これらのカートリッジ・アクセス・ポイントを管理するように変更されています。
関連項目:
obtoolデバイス・コマンドの詳細は、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。
ACSLSでは、そのボリュームはすべて外部バーコード・ラベルによって参照されます。バーコード・ラベルはすべてのACSボリュームに必要です。Oracle Secure Backupは、記憶域要素、ボリューム・ラベルおよびバーコード・ラベルによるACSボリュームへのアクセスを引き続きオペレータに許可します。
注意:
ACSLSでは、バーコードが物理的に付けられていない仮想テープがサポートされます。しかし、Oracle Secure Backupでは、ACSシステム内の仮想テープはサポートされません。Oracle Secure Backupでは、ACSシステム内のすべてのカートリッジに読取り可能なバーコードが正しく貼られている必要があります。
ACSLSでのスクラッチ・プールの概念は、単なる空のテープです。テープはテープ・ドライブにマウントされると、スクラッチ・プール・アイデンティティが削除され、永続メディア・ファミリを取得して、事前にラベル付けしたボリュームと機能的に同じになります。Oracle Secure Backupでは、メディア・ファミリに対する拡張機能によりスクラッチ・プールをサポートし、既存のメディア・ファミリ機能により、この概念を維持します。また、ボリュームのラベル付けを強制的に解除すると、ボリュームはそのメディア・ファミリに割り当てられたスクラッチ・プールに戻されます。
ACSLSには、コマンドとボリュームに対して、オプションのアクセス制御メカニズムがあります。このオプションのアクセス制御ユーザーIDは、mkdev
コマンドまたはchdev
コマンドで定義できます。
ACSLSシステムは、複数のクライアントでの共有を意図したものであるため、テープ・ドライブのクリーンアップは、ACSLSによって管理およびメンテナンスが行われます。
ACSテープ・ドライブ以外のテープ・ドライブをインストールする場合は、テープ・ドライブをメディア・サーバーに接続し、そのテープ・ドライブ用の適切なオペレーティング・システム・ドライバをインストールして、Oracle Secure Backup内にデバイスを作成し、オペレーティング・システム・デバイスをOracle Secure Backupデバイスにマップする必要があります。ACSLSに対して同じ手順が必要です。他に、mkdev
コマンドまたはchdev
コマンドを使用して、テープ・ドライブのACSLSマッピングを定義する必要もあります。必要な追加情報は、acs
、lsm
、panel
およびdrive
です。
exportvol
コマンドは、ACSLSの使用方法にあわせて変更されました。CAP名に基づいてCAP全体を選択できますが、個々のACSカートリッジ・アクセス・ポート(CAP)のスロットは指定できません。
テープの取出しをリクエストすると、CAPがオープンし、カートリッジ・ローダーが空になり、その空の状態のカートリッジ・ローダーが再度挿入されるまで、リクエストは戻されません。各ACSテープ・ライブラリを制御するobacslibdデーモンは1つしかないので、CAPがクリアされるまで、他のテープ・ライブラリ操作は許可されません。CAPがクリアされるまで未処理のリクエストが待機する時間は、maxacsejectwaittime
ポリシーで制御できます。
Oracle Secure Backupでは、ACSLSテープ・ライブラリ用のimportvol
コマンドはサポートされていません。ACSLS cmd_procユーティリティを使用して、ボリュームをテープ・ライブラリに挿入できます。
ACSLSでは、オプションで、ユーザーが発行できるコマンドや、アクセスできるボリュームに対するファイングレイン・アクセス制御が可能です。ACSLSアクセス制御の設定は、ACSLSコンソールで行われます。Oracle Secure Backupでは、ACSLSのアクセス制御の設定、変更または表示はサポートされていません。
ACSLSアクセス制御を有効にすると、ユーザーはACSデバイスにアクセスするための正しいacsls_access_id
を持つ必要があります。Oracle Secure Backupは、このacsls_access_id
(obtoolのmkdev
コマンドまたはchdev
コマンドで定義)をOracle Secure Backupデバイス・オブジェクトにマップします。
ACSLSでは、空またはリサイクルされるボリュームを割り当てる1つ以上のスクラッチ・プールを定義できます。その後のスクラッチ・マウント・リクエストは、リクエストで指定されたプール内のボリュームに制限されます。Oracle Secure Backupには、メディア・ファミリ・オブジェクトのスクラッチ・プールID(オプション)による同様の機能があります。
スクラッチ・プールからボリュームが引き出されると、Oracle Secure Backupでは、ボリューム・ヘッダーが書き込まれた時点で、ボリュームに永続メディア・ファミリのラベルが自動的に付けられます。事前にlabelvol
コマンドでボリュームにラベルを付ける必要はありません。これにより、テープ・ライブラリ内のテープの区別が永続的になります。
unlabelvol
操作が実行されると、テープは、メディア・ファミリの現行定義内で定義されているスクラッチ・プールに戻されます。
Oracle Secure Backupでは、スクラッチ・プールの作成、スクラッチ・プールへのカートリッジの挿入、またはスクラッチ・プールからのカートリッジの取出しはサポートされていません。これらの操作は、ACSLSコンソールで実行する必要があります。
ACSLSサーバーに接続されるOracle Secure Backupメディア・サーバーは、Linux x86 64ビット・メディア・サーバーである必要があります。
Oracle Secure Backupインストールでは、ACSLSハードウェアおよびソフトウェアが正しくインストールされ、構成されているものと想定します。Oracle Secure Backupのインストール手順では、ACSLS構成ファイルの作成や変更は行われません。
Oracle Secure Backupは、ACSテープ・デバイスを他のデバイスと区別なく処理します。Oracle Secure Backupデバイス・ドライバが(ある場合は)インストールされ、特殊デバイス・ファイルが作成されます。データ・パスは、Oracle Secure Backupによってのみ制御されます。ACSLSは関係ありません。
ACSLSデバイス用のOracle Secure Backupオブジェクトの作成は、obtoolのmkdevコマンドで次の変更により実行されます。
ACSLSテープ・ライブラリの場合、通常のhost:devname接続ポイントは、テープ・ライブラリのacs
を識別する情報と、関連付けられたACSソフトウェアがリスニングを行うホスト名およびポートに置き換えられます。バーコード・リーダーがあることを前提として、バーコードが必要です。
ACSLSテープ・ライブラリ内に含まれる各テープ・ドライブの場合、acs
、lsm
、panel
およびdrive
を指定する必要があります。acs
は、テープ・ドライブを含むテープ・ライブラリから取得されます。
関連項目:
mkdevの構文およびセマンティックスは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。