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Oracle® Secure Backupインストレーションおよび構成ガイド
リリース12.2
E94561-01
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C Oracle Secure BackupとACSLS

この付録では、Oracle Secure BackupでのStorageTek自動化カートリッジ・システム・ライブラリ・ソフトウェア(ACSLS)のサポートについて説明します。ACSLSは、1つ以上の自動化カートリッジ・システムのテープ・ライブラリを制御するサーバー・ソフトウェアのパッケージです。

この付録の内容は次のとおりです。

C.1 ACSLSについて

図C-1は、クライアント・システム、ライブラリ・ストレージ・モジュール(LSM)および単一のライブラリ管理ユニット(LMU)からなる構成へのACSLSの組込みを示しています。LSMは、カートリッジ・スロット、ロボティック・アーム、パススルー・ポート、カートリッジ・アクセス・ポートおよびテープ・ドライブで構成されるハードウェアです。LMUは、ACSLSとLSM間のハードウェア・インタフェースです。

図C-1 ACSLSサーバーを接続したライブラリ

図C-1の説明が続きます
「図C-1 ACSLSサーバーを接続したライブラリ」の説明

ACSLSには、次の利点があります。

  • 複数のライブラリと複数のクライアントに対応

  • テープ・ドライブのロードおよびアンロードを管理

  • テープ・ボリュームのインポートおよびエクスポートを管理

  • 混在するメディア・タイプに対応

  • ユーザーID、コマンドおよびボリュームIDに基づいてアクセスを制御(オプション)

  • 複数のスクラッチ・テープのプールをサポート

  • インベントリ・レポートおよび構成レポートを生成

  • クリーニング・カートリッジおよびクリーンアップ操作を管理

C.2 ACSLSとOracle Secure Backup

ACSLSボリュームは、カートリッジと呼ばれます。カートリッジは、カートリッジ・アクセス・ポイントからロードとアンロードが行われます。Oracle Secure Backupのobtoolデバイス・コマンドのmkdevchdevlsdevおよびrmdevは、これらのカートリッジ・アクセス・ポイントを管理するように変更されています。

関連項目:

ACSLSでは、そのボリュームはすべて外部バーコード・ラベルによって参照されます。バーコード・ラベルはすべてのACSボリュームに必要です。Oracle Secure Backupは、記憶域要素ボリューム・ラベルおよびバーコード・ラベルによるACSボリュームへのアクセスを引き続きオペレータに許可します。

注意:

ACSLSでは、バーコードが物理的に付けられていない仮想テープがサポートされます。しかし、Oracle Secure Backupでは、ACSシステム内の仮想テープはサポートされません。Oracle Secure Backupでは、ACSシステム内のすべてのカートリッジに読取り可能なバーコードが正しく貼られている必要があります。

ACSLSでのスクラッチ・プールの概念は、単なる空のテープです。テープはテープ・ドライブにマウントされると、スクラッチ・プール・アイデンティティが削除され、永続メディア・ファミリを取得して、事前にラベル付けしたボリュームと機能的に同じになります。Oracle Secure Backupでは、メディア・ファミリに対する拡張機能によりスクラッチ・プールをサポートし、既存のメディア・ファミリ機能により、この概念を維持します。また、ボリュームのラベル付けを強制的に解除すると、ボリュームはそのメディア・ファミリに割り当てられたスクラッチ・プールに戻されます。

ACSLSには、コマンドとボリュームに対して、オプションのアクセス制御メカニズムがあります。このオプションのアクセス制御ユーザーIDは、mkdevコマンドまたはchdevコマンドで定義できます。

ACSLSシステムは、複数のクライアントでの共有を意図したものであるため、テープ・ドライブのクリーンアップは、ACSLSによって管理およびメンテナンスが行われます。

C.3 ACSLSとの通信

Oracle Secure Backupでは、非ACSLSテープ・ライブラリとの通信にobrobotdデーモンを使用します。ACSLSテープ・ライブラリとの通信には、obacslibdとobacsssidという2つのデーモンが使用されます。obacslibdデーモンからobacsssidが生成され、ACSLSサーバーとの通信に使用されます。

C.4 ドライブの対応付け

ACSテープ・ドライブ以外のテープ・ドライブをインストールする場合は、テープ・ドライブをメディア・サーバーに接続し、そのテープ・ドライブ用の適切なオペレーティング・システム・ドライバをインストールして、Oracle Secure Backup内にデバイスを作成し、オペレーティング・システム・デバイスをOracle Secure Backupデバイスにマップする必要があります。ACSLSに対して同じ手順が必要です。他に、mkdevコマンドまたはchdevコマンドを使用して、テープ・ドライブのACSLSマッピングを定義する必要もあります。必要な追加情報は、acslsmpanelおよびdriveです。

C.5 ボリュームのロードおよびアンロード

マウントおよびディスマウントするドライブは、テープ・ドライブ名によって識別されます。

ACSLSでは常に、ボリュームをそのバーコードによって識別します。Oracle Secure BackupではこのバーコードをボリュームIDに関連付けるため、どちからを指定できます。マッピングができないと、リクエストは対応するロギングによって拒否されます。

C.6 インポートおよびエクスポート

exportvolコマンドは、ACSLSの使用方法にあわせて変更されました。CAP名に基づいてCAP全体を選択できますが、個々のACSカートリッジ・アクセス・ポート(CAP)のスロットは指定できません。

テープの取出しをリクエストすると、CAPがオープンし、カートリッジ・ローダーが空になり、その空の状態のカートリッジ・ローダーが再度挿入されるまで、リクエストは戻されません。各ACSテープ・ライブラリを制御するobacslibdデーモンは1つしかないので、CAPがクリアされるまで、他のテープ・ライブラリ操作は許可されません。CAPがクリアされるまで未処理のリクエストが待機する時間は、maxacsejectwaittimeポリシーで制御できます。

Oracle Secure Backupでは、ACSLSテープ・ライブラリ用のimportvolコマンドはサポートされていません。ACSLS cmd_procユーティリティを使用して、ボリュームをテープ・ライブラリに挿入できます。

C.7 アクセス制御

ACSLSでは、オプションで、ユーザーが発行できるコマンドや、アクセスできるボリュームに対するファイングレイン・アクセス制御が可能です。ACSLSアクセス制御の設定は、ACSLSコンソールで行われます。Oracle Secure Backupでは、ACSLSのアクセス制御の設定、変更または表示はサポートされていません。

ACSLSアクセス制御を有効にすると、ユーザーはACSデバイスにアクセスするための正しいacsls_access_idを持つ必要があります。Oracle Secure Backupは、このacsls_access_id(obtoolmkdevコマンドまたはchdevコマンドで定義)をOracle Secure Backupデバイス・オブジェクトにマップします。

C.8 スクラッチ・プールの管理

ACSLSでは、空またはリサイクルされるボリュームを割り当てる1つ以上のスクラッチ・プールを定義できます。その後のスクラッチ・マウント・リクエストは、リクエストで指定されたプール内のボリュームに制限されます。Oracle Secure Backupには、メディア・ファミリ・オブジェクトのスクラッチ・プールID(オプション)による同様の機能があります。

スクラッチ・プールからボリュームが引き出されると、Oracle Secure Backupでは、ボリューム・ヘッダーが書き込まれた時点で、ボリュームに永続メディア・ファミリのラベルが自動的に付けられます。事前にlabelvolコマンドでボリュームにラベルを付ける必要はありません。これにより、テープ・ライブラリ内のテープの区別が永続的になります。

unlabelvol操作が実行されると、テープは、メディア・ファミリの現行定義内で定義されているスクラッチ・プールに戻されます。

Oracle Secure Backupでは、スクラッチ・プールの作成、スクラッチ・プールへのカートリッジの挿入、またはスクラッチ・プールからのカートリッジの取出しはサポートされていません。これらの操作は、ACSLSコンソールで実行する必要があります。

C.9 変更されたOracle Secure Backupコマンド

次のOracle Secure Backupコマンドは、ACSLSテープ・ライブラリ用に変更されています。

  • mkdev

  • chdev

  • lsdev

  • exportvol

  • mkmf

  • chmf

関連項目:

device、libraryおよびメディア・ファミリ・コマンドの構文とセマンティックについては、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください

C.10 サポートされていないOracle Secure Backupコマンド

次のOracle Secure Backupコマンドは、ACSLSテープ・ライブラリではサポートされていません。

  • importvol

  • extractvol

  • insertvol

  • clean

  • opendoor

  • closedoor

C.11 インストールおよび構成

ACSLSサーバーに接続されるOracle Secure Backupメディア・サーバーは、Linux x86 64ビット・メディア・サーバーである必要があります。

Oracle Secure Backupインストールでは、ACSLSハードウェアおよびソフトウェアが正しくインストールされ、構成されているものと想定します。Oracle Secure Backupのインストール手順では、ACSLS構成ファイルの作成や変更は行われません。

Oracle Secure Backupは、ACSテープ・デバイスを他のデバイスと区別なく処理します。Oracle Secure Backupデバイス・ドライバが(ある場合は)インストールされ、特殊デバイス・ファイルが作成されます。データ・パスは、Oracle Secure Backupによってのみ制御されます。ACSLSは関係ありません。

ACSLSデバイス用のOracle Secure Backupオブジェクトの作成は、obtoolmkdevコマンドで次の変更により実行されます。

  • ACSLSテープ・ライブラリの場合、通常のhost:devname接続ポイントは、テープ・ライブラリのacsを識別する情報と、関連付けられたACSソフトウェアがリスニングを行うホスト名およびポートに置き換えられます。バーコード・リーダーがあることを前提として、バーコードが必要です。

  • ACSLSテープ・ライブラリ内に含まれる各テープ・ドライブの場合、acslsmpanelおよびdriveを指定する必要があります。acsは、テープ・ドライブを含むテープ・ライブラリから取得されます。

関連項目:

mkdevの構文およびセマンティックスは、『Oracle Secure Backupリファレンス』を参照してください。