7 WebCenter Sitesの構成

Oracle WebCenter Sites管理対象サーバーを構成した後、ブラウザ・ベースのWebCenter Sitesコンフィギュレータを完了することにより、WebCenter Sitesインスタンスを構成できます。WebCenter Sitesランタイムは、WebCenter Sites、CAS Webアプリケーション(WARファイル)およびクラスタ・メンバー間の共有コンポーネント(configディレクトリ、dataディレクトリおよびデータベース・インスタンス)で構成されています。

次のトピックでは、WebCenter Sitesの構成方法を説明します。

WebCenter Sites構成の前提条件の完了

WebCenter Sitesコンフィギュレータを使用する前に、いくつかの前提条件タスクを実行する必要があります。これらのタスクには、キャッシュ・ファイルの変更、データベース・スキーマの作成、WebCenter Sitesドメインの構成および環境のプロパティ値の設定が含まれます。

WebCenter Sitesを構成する前に、これらの前提条件タスクが完了していることを確認してください。

ノート:

RSSが別のドメインにインストールされている場合は、grant-opss-permission.shまたはgrant-opss-permission.batを実行する必要があります。実行する前に、これらのファイルに、指定されたドメイン名が含まれていることを確認します。必要に応じて、ファイルを編集してドメイン名を更新します。
  1. WebCenter Sitesのconfigディレクトリのcs-cache.xmlss-cache.xmllinked-cache.xmlおよびcas-cache.xmlファイルを次のように変更します。
    1. 次のセクションを見つけます。
      <cacheManagerPeerProviderFactory class="net.sf.ehcache.distribution.RMICacheManagerPeerProviderFactory" properties="peerDiscovery=automatic, multicastGroupAddress=230.0.0.0, multicastGroupPort=4444, timeToLive=0" />
    2. peerDiscoveryプロパティの値を手動に変更します。Sitesがクラスタで実行されている場合は、peerDiscoveryプロパティ値がautomaticである必要があります。

      ノート:

      WebCenter Sitesはキャッシュをサポートするマルチキャストに実装され、別のSitesインスタンスまたはその他のアプリケーションが同じマルチキャスト・アドレスを使用している場合はネットワーク上の問題が発生する可能性があります。このため、peerDiscoveryプロパティをmanualに変更することをお薦めします。
    3. ファイルを保存して閉じます。
    4. WebCenter Sites管理対象サーバーを起動します。
      WebCenter Sitesはキャッシュをサポートするマルチキャストに実装され、別のSitesインスタンスまたはその他のアプリケーションが同じマルチキャスト・アドレスを使用している場合はネットワーク上の問題が発生する可能性があります。このため、peerDiscoveryプロパティをmanualに変更することをお薦めします。
  2. 「データベース・スキーマの作成」で説明しているように、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して、WebCenter Sitesのデータベース・スキーマを作成します。
  3. Fusion Middleware構成ウィザードとOracle WebCenter Sites  - 12.2.1.3.0[wcsites]テンプレートを使用して新しいドメインを作成し、「ドメインの構成」で説明しているように、1つ以上のWebCenter Sites管理対象サーバーを構成します。
通常、サイトはWebLogic JVMのタイム・ゾーン設定を使用します。ただし、別のタイム・ゾーンを使用する場合、サイトのインストール後ただちに変更してください。つまり、ターゲット(12.2.1.3.0)環境にデータを作成する前にです。

IBM DB2のデータ・ソース

IBM DB2 WebCenter Sitesでは、Fusion Middleware構成ウィザードによって作成されるデフォルトのデータ・ソースをサポートしません。DB2がサポートするドライバを使用して新しいデータ・ソースを作成するには:
  1. WebCenter Sitesドメインのクラス・パスに、IBM DB2ドライバJARファイルを追加します。
    1. WebLogic Server管理サーバーを停止します。
    2. ドメインのクラスパスに追加できる場所に、DB2のdb2jcc.jarおよびdb2jcc_license_cu.jarファイルをコピーします。
    3. DOMAIN_HOME/bin/setDomainEnv.shを編集し、# ADD EXTENSIONS TO CLASSPATHSの後に次の行を追加します。
      PRE_CLASSPATH="path_to_db2jcc.jar:path_to_db2jcc_license_cu.jar:${PRE_CLASSPATH}"
    4. 管理サーバーを起動します。
  2. 前述のDB2ドライバを使用して新しいデータ・ソースを作成します。詳細は、「JDBCコンポーネント・スキーマ情報の指定」を参照してください。

Sites DB2のデータ・ソース

WebCenter Sitesでは、構成ウィザードによって作成されるデフォルトのデータ・ソースがサポートされません。次に示すステップに従って、サポートされるドライバで新しいデータ・ソースを作成します。
  1. IBM DB2ドライバJARファイルをドメイン・クラスパスに追加します。
    1. WebLogic管理サーバーを停止します。
    2. DB2からdb2jcc.jarおよびdb2jcc_license_cu.jarを、ドメイン・クラスパスに追加できる場所にコピーします。
    3. <domain_home>/bin/setDomainEnv.shを更新し、# ADD EXTENSIONS TO CLASSPATHSの後に次の行を追加します。
      PRE_CLASSPATH="<path_to_db2jcc.jar>:<path_to_db2jcc_license_cu.jar>${PRE_CLASSPATH}"
    4. WebLogic管理サーバーを起動します。
  2. 前述のドライバを使用して新しいデータ・ソースを作成します。詳細は、「データ・ソースの作成と構成」を参照してください。

コンフィギュレータによるWebCenter Sitesの構成

WebCenter Sitesコンフィギュレータは、WebCenter Sitesが機能するために必要な表およびデータをデータベースに移入します。コンフィギュレータは、必要なユーザー・アカウントを設定し、データベース・オブジェクトの必要な権限も設定します。

ノート:

低速ネットワーク上でWebCenter Sitesを構成する場合は、WebCenter Sitesコンフィギュレータを起動する前に、StuckThreadMaxTimeプロパティの設定をスレッドごとに1000秒に増加します。デフォルト値は600秒です。

ネットワーク関連の問題が発生する可能性のある特定の環境では、WebCenter Sites構成の設定プロセスで、サンプル・サイトのインポート・プロセスの1スレッド当たりの所要時間が600秒を超える可能性があります。これによって、インポート・プロセスまたはインストールが失敗し、ログ・ファイルに複数の例外が記録される可能性があります。サンプル・サイトのインストールが正常に完了するために、設定を1000秒に増加することをお薦めします。

StuckThreadMaxTimeの値を変更するには、ドメインのWebLogic Server管理コンソールで、「サーバー」→「wcsites_server1」→「構成」→「チューニング」に変更します。

対応するWebLogicドメインが正常に設定された後、ブラウザ・ベースのWebCenter Sitesコンフィギュレータを実行するには:
  1. (オプション)コンフィギュレータをサイレント・モードで実行するには:
    1. DOMAIN_HOME/wcsites/wcsites/config/wcs_properties_bootstrap.iniファイルを編集し、インラインの指示を完了します。
    2. WebCenter Sites管理対象サーバーを起動します。
    3. 次のコマンドを使用してWebCenter Sitesの構成プロセスを開始します。
      • UNIXオペレーティング・システム: xdg-open http://sites-host:sites-port/sites/sitesconfig

      • Windowsオペレーティング・システム: start http://sites-host:sites-port/sites/sitesconfig

  2. Webサーバー上でWebCenter Sitesを構成するには、WebCenter Sitesの構成を開始する前に、Webサーバーのtimeout値を300 secに増加します。
  3. (オプション) 管理インタフェースのプロパティ管理ツールを使用して、環境に応じて次のプロパティの値を設定します。これらのプロパティは、NIOデータベース・ベースのファイル・システムを使用するクラスタに設定します。ファイルをデフォルトの場所(DOMAIN_HOME/wcsites/wcsites/config下の個別フォルダ)以外に保存する場合は、WebCenter Sitesが稼働中になるとそれを変更できなくなるため、その場所をプロパティ値として指定します。
    プロパティ 説明
    xcelerate.transformpath

    WebCenter Sitesのアセットに変換される前に、Microsoft Wordのファイルが保存されているディレクトリ。

    cs.pgcachefolder

    非推奨。Oracleサポートから指示された場合にのみ設定します。

    cs.xmlfolder

    HTMLレンダリングのための作業ディレクトリ。

    cs.pgexportfolder

    ディスクへのエクスポートの配信タイプによりアセットを公開するときに作成されるHTMLファイルのベース・エクスポート・ディレクトリ。

    vis.path

    WebCenter Sitesがインストールされているディレクトリ。末尾のスラッシュを含める必要があります。

    mwb.path

    WebCenter Sitesがインストールされているディレクトリ。末尾のスラッシュを含める必要があります。

    contentserver.installation.folder

    WebCenter Sitesがインストールされているディレクトリ。末尾のスラッシュを含める必要があります。Satellite ServerとWebCenter Sitesが同じWebアプリケーションで実行するため、ユーザーのセッションを共有する必要がある場合のインストールに適用されます。これを指定すると、Satellite ServerがWebCenter Sitesのリソースにアクセスできます。

    cs.csdtfolder

    WebCenter Sitesの開発者ツールのインポートが格納されるディレクトリ。

    前述のプロパティの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Sitesプロパティ・ファイル・リファレンス』プロパティ管理ツールの概要に関する項を参照してください。

  4. WebCenter Sitesプライマリ・クラスタ・ノードの管理対象サーバーを起動します。
  5. Webブラウザで、このURLにアクセスします: http://sites-host:sites-port/sites/sitesconfigsetup
  6. 表示されるWebCenter Sitesコンフィギュレータの画面で、「開始」をクリックします。
  7. 「データベース・パラメータ」画面で、WebCenter Sitesデータベース・リポジトリの「JNDI DataSource名」を指定します。これは、WebLogicドメインの設定時にリポジトリ作成ユーティリティを使用して作成したリポジトリです。
  8. 「Webアプリケーション・パラメータ」画面で、安全な接続を介してインストールしている場合は「はい」を選択し、すべてのパラメータをデフォルトの(事前に移入された)値のままにし、「次」をクリックします。
  9. 「CASデプロイメント情報」画面で、すべてのパラメータをデフォルトの(事前に移入された)値のままにし、「次」をクリックします。ロード・バランシングのためにクラスタとフロントエンドWebサーバーを使用している場合は、環境に応じてこれらの値を調整します。
  10. 「WebCenter Sites管理者アカウント」画面で、必要な資格証明を指定し、「次」をクリックします。
  11. (オプション) WebCenter Sitesのインストール時に「WebCenter Sites - 例」インストール・オプションを選択した場合、「サンプル・サイト」画面が表示されます。この画面で、目的のサンプル・サイトを選択し、「次」をクリックします。
  12. 「構成サマリー」画面で「テスト」をクリックし、すべてのテストが成功しているかどうかを確認します。「開始」をクリックし、構成プロセスが完了するのを待ちます。
  13. WebCenter Sitesアプリケーションの管理対象サーバーを再起動します。
  14. Webブラウザで次のURLにアクセスしてログインし、WebCenter Sitesが稼働中かどうかを確認します: http://sites-host:sites-port/sites

ノート:

cas.logのデフォルトの場所は、DOMAIN_HOME/servers/wcsites_server1/logs/です。
XMLPostとBulkloaderが稼働するためには、CLASSPATH環境変数に次のディレクトリを設定します。
ORACLE_HOME\wcsites\webcentersites\sites-home\lib\*
ORACLE_HOME\oracle_common\modules\clients\*

追加のクラスタ・ノードを構成する方法の詳細は、「クラスタの設定」を参照してください。

外部LDAP認証プロバイダの構成方法の詳細は、「LDAPディレクトリに対する認証への切替え」を参照してください。

Oracle Access Managerの統合を構成する方法の詳細は、「Oracle Access Managerに対する認証への切替え」を参照してください。

WebCenter Sites構成のインポート/エクスポート・ユーティリティの使用方法の詳細は、Oracle WebCenter Sitesプロパティ・ファイル・リファレンスプロパティ管理ツールの使用に関する項を参照してください。

WebCenter Sitesデプロイメントによるカスタマイズの管理

変更はパッチ適用プロセス中に上書きされ、再デプロイされるため、Sites WARファイルには実装固有のカスタマイズを含めないことをお薦めします。

WebCenter SitesのWebアプリケーションは、WARファイルとして出荷されます。Webアプリケーションは、最初に構成ウィザードの処理中にデプロイされ、アプリケーション・ライフサイクルでの処理中に何度でも再デプロイすることができます。変更はパッチ適用プロセス中に上書きされ、再デプロイされるため、Sites WARファイルには実装固有のカスタマイズを含めないことをお薦めします。

WebLogic Server共有ライブラリ・フレームワークを拡張することで、SitesはORACLE_HOME/wcsites/webcentersites/sites-home/ディレクトリにあるextend.sites.webapp-lib.warを共有ライブラリとして提供します。静的WebリソースやJavaライブラリなどの実装固有のカスタマイズは、このWARファイルに含めることができます。この共有ライブラリは、アプリケーションのライフサイクルの進行中にデプロイされ、Sitesと同じコンテキスト・ルーツ(/sites/)を共有します。この共有ライブラリのコンテンツは、パッチ適用プロセスでの処理中に上書きされることはありません。

ノート:

REST-avisportsサンプル・サイトの構成とデプロイ

REST-avisportsは、WebCenter Sitesの集計のREST APIを使用してクライアント側Webサイトの開発を示すサンプルWebサイトです。

REST-avisportsサンプル・サイトを構成してデプロイする前に、次のタスクが完了していることを確認してください。

  • WebCenter Sitesavisportsサンプル・サイトをインストールします。

  • WebCenter Sites管理対象サーバーを起動し、正常に実行されていることを確認します。

REST-avisportsサンプル・サイトを構成してデプロイするには:
  1. ORACLE_HOME/wcsites/webcentersites/sites-homeディレクトリのsites-restavisports.warファイルを探します。
  2. このWARファイルを展開します。
  3. js/appconfig.jsファイルを編集し、次のWebCenter Sites情報を入力します。
    1. SITES_HOST_NAME = sites-host
    2. SITES_PORT = sites-port (たとえば: 7003)
    3. SITES_CONTEXT = sites context-root (たとえば、sites)
  4. sites-restavisports.warは、次の任意のサーバーにデプロイできます。
    1. WebCenter Sitesと同じドメインで使用可能な個別の管理対象サーバー。
    2. 専用のドメイン・サーバーまたはアプリケーション・サーバー。クライアント側の一般的なWebサイトはこの設定に従います。

WebCenter Sitesが実行中のとき、次のURLでREST-avisportsサンプル・サイトにアクセスできます:

http://<restavisports-host-name>:<restavisports-deployed-port>/<restavisports-app-context-path>

WebCenter SitesのWeb層の作成

ドメインを構成した後、Oracle Web層またはサード・パーティWeb層を設定します。

Oracle Web層の場合は、これらのタスクを実行する手順について、『Oracle HTTP Serverのインストールと構成』または『Oracle Traffic Directorのインストール』を参照してください。

  1. WebCenter Sitesと同じOracleホーム、または異なるドメインに、Oracle HTTP Server (OHS)またはOracle Traffic Director (OTD)をインストールします。

  2. 再び構成ウィザードを実行して、OHSまたはOTDを構成してWebCenter Sitesドメインに追加(拡張)するか、スタンドアロンのOHSまたはOTDドメインを作成します。

  3. 管理対象サーバーにリクエストをルーティングするmod_wls Webサーバー・プラグインを構成します。

サード・パーティのWebサーバーの場合は、そのWebサーバーのドキュメントを参照してください。

OHSサーバーの構成

Oracle HTTP Server (OHS)を構成するステップ。

OHSサーバーの構成のステップ

  1. OHSバージョン12.2.1.3.0をインストールします。

  2. 構成を変更して、OHSのROOTをバイパスします。

    • <ORACLE_HOME>/user_projects/domains/<DOMAIN_NAME>/config/fmwconfig/components/OHS/instances/<OHS_INSTANCE_NAME>にあるmod_wl_ohs.confファイルで、次の変更を実行します。
      <IfModule weblogic_module>
      WebLogicHost <WEBLOGIC_HOST_ON_WHICH_SITES_IS_INSTALLED>
      WebLogicPort <WEBLOGIC_PORT_ON_WHICH_SITES_IS_INSTALLED>
      MatchExpression
      </IfModule>
  3. クラスタを構成する場合、<ORACLE_HOME>/user_projects/domains/<DOMAIN_NAME>/config/fmwconfig/components/OHS/instances/<OHS_INSTANCE_NAME>にあるmod_wl_ohs.confファイルのプロパティを設定します。

    <IfModule weblogic_module>
    WebLogicCluster <HOST_AND_PORT_DETAILS>
    MatchExpression
    </IfModule>
    <Location /sites>
        SetHandler weblogic-handler
    </Location>
    <Location /cas>
        SetHandler weblogic-handler
    </Location>

    ノート:

    異なるWebサーバーにサンプル・サイトとともにWebCenter Sitesをインストールする場合(たとえば: OHSサーバー)、次のパラメータをWeblogicプラグインのライブラリ・ファイルに必ず追加してください(これにより、構成ウィザードの実行中にインストール可能なavisportsをインポートできます)。
    • WLIOTimeoutSecs=1200

    • KeepAliveEnabled=true

    パラメータを追加しないと、インストール・プロセス中に構成ウィザードが失敗します。パラメータの詳細は、「Webサーバー・プラグインのパラメータ」を参照してください。
  4. mod_wl_ohs.confファイルでプロパティを設定すると、OHS画面のかわりに.クロール済のサイトをプレビューできます。

  5. OHSバージョン11.1.0.9には、前述の構成に加えて、次の変更が必要です。必要な変更を更新するには、httpd.confファイルのDirectoryIndex構成を変更する必要があります。

    <IfModule dir_module>
    DirectoryIndex index.html disabled
    </IfModule>