3 WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの理解

この章では、WebCenter Portalデプロイメント・トポロジについて説明します。これらのトポロジは、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントの理解」で説明した概念の具体的な参照用実装です。

この章では、プライマリWebCenter Portalトポロジのダイアグラムを示します。

WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジのダイアグラム

次のダイアグラムは、このガイドで説明するプライマリOracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジを示しています。

wcedg-wc-portal-topology-diagram.epsの説明が続きます
図wcedg-wc-portal-topology-diagram.epsの説明

プライマリWebCenter Portalトポロジのダイアグラムの理解

Oracle WebCenter Portalトポロジは、オラクル社が推奨するベスト・プラクティスに基づいたエンタープライズ・トポロジへの標準アプローチに準拠しています。Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・トポロジの標準要素の詳細は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントの理解」を参照してください。

ここで説明する情報は、「標準的なエンタープライズ・デプロイメントの理解」の情報を確認したこと、およびエンタープライズ・デプロイメント・トポロジの一般的概念を理解していることを前提としています。

この章で説明するトポロジに特有の要素については、次の各項を参照してください。

WebCenter Portalロード・バランサ仮想サーバー名のサマリー

サーバー上のロードのバランシングと高可用性の提供のために、ハードウェア・ロード・バランサは一連の仮想サーバー名を認識するように構成されています。

これらの各サーバー名の用途については、「標準的なロード・バランサの仮想サーバー名のサマリー」を参照してください。

Oracle WebCenter Portalトポロジでは、ハードウェア・ロード・バランサによって次の仮想サーバー名が認識されます。

  • wcp.example.com: この仮想サーバー名はすべての着信エンドユーザー・クライアント・トラフィックに使用されます。ランタイムWebCenter PortalコンポーネントへのすべてのHTTPトラフィックのアクセス・ポイントとして動作します。ロード・バランサは、この仮想サーバー名へのすべてのリクエストをSSLを介してリスニングします。必要に応じて、ポート80で構成される追加仮想サーバーを、すべてのトラフィックをポート443に自動的にリダイレクトするルールを使用して設定できます。その結果、クライアントは、次のセキュア・アドレスを使用してこの環境のサービスにアクセスします。

    https://wcp.example.com:443
  • wcpinternal.example.com: この仮想サーバー名は、Oracle WebCenterサービスへの内部コールに使用されます。ハードウェア・ロード・バランサで構成される仮想サーバーが2つあります。1つ目(ポート80でリスニング)は、Webベース・サービスに使用されます。2つ目(ポート6300でリスニング)は、WebCenter Conent Remote Intradoc Client (RIDC) APIコール用です。

    クライアントからの着信トラフィックは、SSL対応ではありません。クライアントは次のアドレスを使用してHTTPサービスにアクセスします。これらのリクエストは、WEBHOST1およびWEBHOST2のポート7777に転送されます。

    http://wcpinternal.example.com:80/... 

    WebCenter Content RIDC対応のアプリケーション(WebCenter Content Desktop Integration Suite (DIS)やWebCenter Portal Document Servicesなど)では、WebCenter Content ServerのRIDC APIエンドポイントへのTCP接続にポート6300を使用します。これらのリクエストは、WCCHOST1およびWCCHOST2のポート4444に転送されます。

    wcpinternal.example.com:6300
  • admin.example.com: この仮想サーバー名は、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびOracle WebLogic Server管理コンソール・インタフェースにアクセスする必要がある管理者用です。

    http://admin.example.com:80/...

このガイドで後ほど説明する手順に従って、次のタスクを実行します。

  • リクエストを認識し、仮想ホスト名にルーティングするようにハードウェア・ロード・バランサを構成する

  • これらの仮想ホスト名へのリクエストを認識し、正しいホスト・コンピュータに適切にルーティングできるように、Web層のOracle HTTP Serverインスタンスを構成する。

WebCenter Portalアプリケーション層の管理対象サーバーとクラスタのサマリー

アプリケーション層は、Oracle WebLogic Serverドメイン内の管理サーバーおよび管理対象サーバーをホストします。

選択したトポロジに応じて、Oracle WebLogic Serverドメインには、表3-1に示すクラスタが含まれます。これらのクラスタ内のサーバーによって、単一サイトのアクティブにクラスタ化された高可用性構成が実現します。

注意:

12c (12.2.1.3.0)からは、Oracle WebCenter PortalでのJive機能(お知らせとディスカッション)のサポートは非推奨になりました。以前のリリースからアップグレードすると、これらの機能を引き続き使用できるのは、お知らせおよびディスカッションを使用する既存のポータルをサポートする場合のみです。新しいポータルにはこれらの機能を含めないことをお薦めします。『Oracle WebCenter Portalの管理』ガイドのお知らせとディスカッションの管理に関する項を参照してください。

表3-1 Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジのクラスタのサマリー

製品コンポーネント クラスタ 管理対象サーバー

Oracle Web Services Manager。

WSM-PM_Cluster

WLS_WSM1、WLS_WSM2

Oracle WebCenter Portal

Portal_Cluster

WLS_Portal1、WLS_Portal2

Oracle WebCenter Portlet

Portlet_Cluster

WLS_Portlet1、WLS_Portlet2

Oracle WebCenter Content

WCC_Cluster

WLS_WCC1、WLS_WCC2

Oracle Inbound Refinery

IBR_Servers

WLS_IBR1、WLS_IBR2

Oracle SOA Suite

SOA_Cluster

WLS_SOA1、WLS_SOA2

表3-2 Oracle WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジのアップグレード専用クラスタ

製品コンポーネント クラスタ 管理対象サーバー

Oracle WebCenter Collaboration

Collab_Cluster

WLS_Collaboration1、WLS_Collaboration2

プライマリWebCenter Portalエンタープライズ・トポロジを実装するためのフロー・チャートとロードマップ

次の各トピックでは、この章で説明するエンタープライズ・トポロジをインストールおよび構成するために実行する必要がある大まかなステップを示します。

WebCenter Portalエンタープライズ・トポロジをインストールおよび構成するステップのフロー・チャート

次のフロー・チャートに、この章で説明するプライマリ・エンタープライズ・デプロイメント・トポロジをインストールおよび構成するために必要なステップを示します。フロー・チャートに続くセクションで、フロー・チャート内の各ステップについて説明します。

このガイドは、動作しているWebCenter Portalドメインから始め、その後、そのドメインを拡張してさらに機能を追加できるように策定されています。

トポロジを構築するためのこのモジュラ・アプローチにより、ご使用のハードウェアおよびソフトウェア・リソース、さらに組織にとって最も重要なOracle WebCenter Portal機能に基づいて、戦略的な決定を行えます。

また、個々の製品またはコンポーネントを構成する際、検証とトラブルシューティングを行うこともできます。

これは、1つの構成ウィザード・セッションで複数の製品を構成できないという意味ではありません。このガイドで示すような様々な拡張機能を1回の構成ウィザード実行でグループ化できます。ただし、このガイドで説明する手順では、主にモジュラ・アプローチを中心にエンタープライズ・デプロイメントを構築します。

エンタープライズ・デプロイメントの計画と準備のためのロードマップ表

次の表で、エンタープライズ・トポロジ・フロー・チャートに示した計画と準備の各ステップを説明します。

フロー・チャートのステップ 詳細情報

標準的なエンタープライズ・デプロイメントの基礎の理解

標準的なエンタープライズ・デプロイメントの理解

デプロイしようとしている製品固有の参照用トポロジの理解

必要な仮想サーバーや、製品固有のデプロイメントで推奨されるクラスタおよび管理対象サーバーのサマリーなど、製品固有のトポロジおよびトポロジの説明を確認します。

Oracle WebCenter Portal EDGワークブックの確認

エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用

ハードウェア、IPアドレスおよびソフトウェア・ダウンロードの入手

エンタープライズ・デプロイメント用のリソースの取得

ハードウェア・ロード・バランサとファイアウォールの準備

エンタープライズ・デプロイメントのロード・バランサとファイアウォールの準備

ファイル・システムの準備

エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備

システム要件の確認、共有記憶域のマウントおよび仮想IPの有効化

エンタープライズ・デプロイメント用のホスト・コンピュータの準備

サポートされているOracle RACデータベースの特定またはインストール

エンタープライズ・デプロイメント用のデータベースの準備

Oracle WebCenter Portalトポロジの構成のためのロードマップ表

表3-3では、「WebCenter Portalエンタープライズ・デプロイメント・トポロジのダイアグラム」に示したトポロジを構成するときに必要になる構成ステップそれぞれを説明します。

次の各ステップは、「WebCenter Portalエンタープライズ・トポロジをインストールおよび構成するステップのフロー・チャート」のフロー・チャートに示したステップに対応します。

表3-3 Oracle WebCenter Portalトポロジの構成のためのロードマップ表

フロー・チャートのステップ 詳細情報

初期インフラストラクチャ・ドメインの作成

エンタープライズ・デプロイメント用の初期インフラストラクチャ・ドメインの作成

Web層を追加するドメインの拡張

エンタープライズ・デプロイメント用のWeb層の構成

Oracle WebCenter Contentを追加するドメインの拡張

Oracle WebCenter Contentを追加するためのドメインの拡張

Inbound Refineryを追加するドメインの拡張

Inbound Refineryを追加するためのドメインの拡張

Oracle SOA Suiteを含めるドメインの拡張

Oracle SOA Suiteを含めるドメインの拡張

Oracle WebCenter Portalを含めるドメインの拡張

Oracle WebCenter Portalを含めるドメインの拡張

同一ドメイン内でのWebCenter PortalのOracle SOA Suiteとの統合

同一ドメイン内でのWebCenter PortalワークフローのOracle SOA Suiteとの統合