3 WebLogicドメインの更新

更新プロセスでは、既存のWebLogicドメインに製品コンポーネントの機能またはその他のアプリケーションおよびサービスを追加できます。ドメインは構成ウィザードを使用して更新できます。

ノート:

WebLogic Serverに加えて他のFusion Middleware製品が含まれているWebLogicドメインを更新するには、「Fusion Middleware製品を含むWebLogicドメインの更新」を参照してください

たとえば、基本のWebLogicドメインを作成し、JAX-WS用の高度なWebサービスを追加する場合、「テンプレート」画面でJAX-WS拡張用のWebLogicの高度なWebサービス・テンプレートを選択できます。構成ウィザードを使用して、さらにアプリケーションを追加することなくドメイン構成を変更できます。たとえば、さらに管理対象サーバーおよびクラスタを追加することや、サービスの対象指定または移行可能な対象設定を変更することができます。

ノート:

構成ウィザードを実行したのと同じWebLogic Serverインストールによって作成されたドメインのみを更新できます。つまり、更新するドメインを、WebLogic Serverインストールのdomain-registry.xmlファイルに登録する必要があります。別のWebLogic Serverインストールによって作成されたドメインは更新できません。

以前のリリースのWebLogic Serverで作成されたドメインを更新する前に、再構成ウィザードを使用してドメインを再構成する必要があります。それを行うには、現在のWebLogic Serverリリースとの互換性を保持するようにドメインを更新し、現在のWebLogic Serverインストールにドメインを登録します。Oracle WebLogic ServerのアップグレードWebLogicドメインの再構成を参照してください。

構成ウィザードは、拡張テンプレートを使用することで、既存のWebLogicドメインを更新する作業を簡略化します。Oracleは、様々な拡張テンプレートのサンプル、および様々なFusion Middleware製品の拡張テンプレートを提供します。また、WLSTまたはunpackコマンドを使用して独自の拡張テンプレートを作成することもできます。

Oracleによって提供される拡張テンプレートの詳細は、『ドメイン・テンプレート・リファレンス』テンプレートのタイプに関する項を参照してください。

この章の内容は次のとおりです。

開始する前に

構成ウィザードがドメインを作成または更新するのにかかる時間を短縮するために、CONFIG_JVM_ARGS環境変数の値を設定します。

UNIXまたはLinuxオペレーティング・システムでドメインを更新する前に、まだ設定していない場合は、CONFIG_JVM_ARGS環境変数に次の値を設定します。

-Djava.security.egd=file:/dev/./urandom

ドメイン更新プロセス

ドメインに追加の製品コンポーネントを追加するか、拡張テンプレートのJARファイルを指定して、ドメインを更新できます。

WebLogicドメインを更新するには、更新するドメインを選択し、また、ドメインにさらに製品を追加する場合は、「テンプレート」画面上の1つ以上の追加の製品コンポーネントを選択します。代わりの方法としては、追加のアプリケーションおよびサービスを含む拡張テンプレートJARファイルを指定することで既存のドメインを更新するか、追加のコンポーネント(管理対象サーバーおよびクラスタなど)を定義することができます。JDBC接続のカスタマイズおよびJMSファイル・ストアの変更も実行できます。構成ウィザードは、必要に応じて、ユーザーの入力を使用してconfig.xmlなどの構成ファイル、およびドメイン・ディレクトリ内の他のすべての生成済コンポーネントを更新します。

グラフィカル・モードでのWebLogicドメインの更新

構成ウィザードでは、WebLogic Serverドメインを更新するのに役立つ一連の画面が表示されます。

更新プロセスを開始するには、「構成ウィザードの起動」の説明に従って構成ウィザードを起動します。

ノート:

構成ウィザードをGUIモードで実行できない状況では、WLSTスクリプトを使用してドメインを作成または更新することをお薦めします。『WebLogic Scripting Toolの理解』ドメイン・テンプレートの作成と使用(オフライン)に関する項を参照してください。

インストールにFusion Middleware製品が含まれている場合は、「Fusion Middlewareドメインの構成」の説明を参照してください。Fusion Middleware製品の構成には、この章のワークフローには含まれていない追加の構成ウィザード画面が含まれています。

構成ウィザードでは、一連の画面が、表3-1に示されている順序で表示されます。各画面の詳細は、「構成ウィザードの画面」の関連する項を参照するか、「画面」列内のリンクをクリックしてください。

表3-1 既存のWebLogicドメインを拡張するための構成画面

画面 この画面がいつ表示されるか 次のアクションを実行

構成タイプ

常時

「既存ドメインの更新」の選択

既存のドメイン・ディレクトリドロップダウン・リストからドメイン・ディレクトリを選択するか、「参照」をクリックして移動し、ドメイン・ディレクトリを選択します。

「次」をクリックします。

テンプレート

常時

次のいずれかの操作を行います。

  • 「製品テンプレートを使用してドメインを更新」を選択してから、ドメインに追加する各製品のチェック・ボックスを選択します。

  • 「カスタム・テンプレートを使用してドメインを更新」を選択し、「参照」をクリックして、ローカル・ドライブまたはネットワーク上のテンプレートを見つけます。

「次」をクリックします。

ノート:

カスタム・テンプレートを使用してドメインを更新する場合、「ドメイン・バージョンの制約」の説明に従って、ドメイン・バージョンの制約に従う必要があります。

高可用性のオプション

「テンプレート」画面で選択したテンプレートが高可用性用に構成されている場合のみ。

ドメインの更新時に、新しいテンプレートを導入し、それらのテンプレートに対して高可用性オプションを構成していない場合のみ、この画面が表示されます。たとえば、ドメインの更新に使用する新しいテンプレートに自動サービス移行(ASM)パラメータが含まれており、既存のものにASMパラメータを定義していない場合、この画面が表示されます。

更新するドメインに適用可能な高可用性オプションを選択します。

「次」をクリックします。

アプリケーションの場所

1つ以上の選択したテンプレートがアプリケーションを定義する場合のみ

ドメイン・アプリケーションを格納するディレクトリを指定します。

「次」をクリックします。

データ・ソース構成

選択した製品またはテンプレートに、JDBCデータ・ソースまたはOracle RACマルチ・データ・ソースを必要とするコンポーネントが含まれている場合のみ

これらの画面の詳細は、「データ・ソースの構成」を参照してください。

拡張構成

常時

詳細構成タスクを実行する各カテゴリ(存在する場合)のチェック・ボックスを選択します。

選択可能なチェック・ボックスは、選択した製品またはテンプレート内で構成されるリソースによって異なります。

ノート:

ドメインを拡張する場合は、管理サーバーおよびノード・マネージャの構成を変更できません。そのため、これらのオプションは使用できません。

「次」をクリックします。

管理対象サーバー

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択した場合のみ

必要に応じて、管理対象サーバーを追加、削除または再構成します。

「次」をクリックします。

クラスタ

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択した場合のみ

必要に応じて、クラスタを追加、削除または再構成します。

「次」をクリックします。

サーバーのクラスタへの割当て

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択し、ドメインに1つ以上のクラスタが含まれている場合のみ

ドメイン内のクラスタにサーバーを追加するか、そこからサーバーを削除します。

「次」をクリックします。

HTTPプロキシ・アプリケーション

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択し、ドメインに1つ以上のクラスタ、およびクラスタに割り当てられていない1つ以上の管理対象サーバーが含まれている場合のみ

各クラスタについて、クラスタのためにHTTPプロキシ・アプリケーションを作成するかどうかを指定します。クラスタに対して「HTTPプロキシの作成」チェック・ボックスを選択する場合は、そのクラスタのために使用するプロキシ・サーバーを選択します。

「次」をクリックします。

Coherenceクラスタ

「拡張構成」画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択し、CoherenceがWebLogic Serverとともにインストールされている場合のみ

デフォルトのクラスタ名を受け入れるか、またはCoherenceクラスタの新しい名前を入力します。

Coherenceクラスタ・リスニング・ポートとして使用するポート番号を入力します。

「次」をクリックします。

マシン

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択した場合のみ

必要に応じて、マシンを追加、削除または再構成します。

「次」をクリックします。

サーバーのマシンへの割当て

拡張構成の選択画面で「管理対象サーバー、クラスタおよびCoherence」を選択し、ドメイン内に構成された1つ以上のマシンがある場合のみ

管理サーバーと管理対象サーバーを適切なマシンに割り当てます。

「次」をクリックします。

仮想ターゲット

「拡張構成」画面で「トポロジ」を選択した場合のみ

WebLogic Serverをマルチテナント・モードで実行するために使用する仮想ターゲットを追加、構成および削除します。

Oracle WebLogic Serverのマルチテナントの概要については、『WebLogic Server Multitenantの使用』「Oracle WebLogic Server Multitenant」を参照してください。

仮想ターゲットの定義については、『WebLogic Server Multitenantの使用』仮想ターゲットに関する項を参照してください。

「次」をクリックします。

パーティション

「拡張構成」画面で「トポロジ」を選択した場合のみ

必要な数のパーティションを追加します。後から、定義した各パーティションに仮想ターゲットを割り当てます。

仮想ターゲットおよびパーティションの詳細は、『WebLogic Server Multitenantの使用』仮想ターゲットの構成の概要に関する項およびドメイン・パーティションの構成の概要に関する項を参照してください。

「次」をクリックします。

パーティションへの仮想ターゲットの割当

構成するドメインに対して仮想ターゲットおよびパーティションを定義した場合のみ

仮想ターゲットをパーティションに関連付けます。パーティションはゼロ個またはそれ以上の仮想ターゲットを持つことができます。

「次」をクリックします。

デプロイメント・ターゲット指定

拡張構成の選択画面で「デプロイメントとサービス」を選択し、選択された製品またはテンプレートにJ2EEアプリケーションまたはライブラリがある場合のみ

アプリケーションまたはライブラリをデプロイする対象サーバーまたはクラスタを選択します。

選択したターゲット上にデプロイする各アプリケーションまたはライブラリのためのチェック・ボックスを選択します。

ノート:

config.cmdまたはconfig.shコマンドを使用してRestricted JRFドメインを作成する際には、Enterprise Manager Consoleにアクセスするために、Enterprise Manager (EM)関連のライブラリのターゲットとなるクラスタを指定する必要があります。

「次」をクリックします。

サービス・ターゲット指定

拡張構成の選択画面で「デプロイメントとサービス」を選択した場合のみ

対象サーバーまたはクラスタを選択します。

対象とする各サービスのためのチェック・ボックスを選択します。

「次」をクリックします。

ファイル・ストア

拡張構成の選択画面で「ファイル・ストア」を選択した場合のみ

各JMSファイル・ストアのための設定を必要に応じて変更し、各ファイル・ストアの同期書込みポリシーを選択します。

「次」をクリックします。

構成のサマリー

常時

「サマリー・ビュー」を選択してからそのビューのリスト内の個々の項目を選択することで、ドメインの構成を確認します。

ドメインが希望どおりに構成されている場合は、「更新」をクリックしてドメインを拡張します。

構成を変更するには、「前へ」をクリックして、変更する設定のための適切な画面に戻ります。

構成の進行状況

常時

ドメイン作成の進行状況を表示します。

このプロセスが完了したら、「次へ」をクリックします。

構成に成功しました

常時

構成ウィザードを終了するには、「終了」をクリックします。

リモート・サーバーでの起動スクリプトの更新

管理対象サーバーがリモート・マシンに配布されるWebLogicドメインを更新する場合(packおよびunpackコマンドを使用することで)、リモート・マシン上の起動スクリプトは自動的には更新されません。これらは手動で更新する必要があります。

リモート・マシン上の起動スクリプトを更新するには:

  1. リモート・マシン上の管理対象サーバー・ディレクトリを削除します。
  2. packコマンドを-managed=trueオプションを指定して使用することで、更新されたドメインから管理対象サーバー・テンプレートを作成します。
  3. unpackコマンドを使用して管理対象サーバー・テンプレートを解凍することで、リモート・マシン上で管理対象サーバーを作成します。

packおよびunpackコマンドの詳細は、『PackおよびUnpackコマンドによるテンプレートとドメインの作成』「PackおよびUnpackコマンドの概要」を参照してください。