4 Oracle Directory Integration Platformの操作

この章では、Oracle Directory Integration Platformについて説明し、その構成方法と管理方法を示します。

トピック:

関連項目:

Oracle Directory Integration Platformにより実行される機能については、「Oracle Directory Integration Platformについて」を参照してください

ノート:

パスワードを同期するため、Oracle Directory Integration Platformをバックエンド・ディレクトリや任意の接続ディレクトリに接続する場合、SSL通信を使用することをお薦めします。

4.1 Oracle Directory Integration Platformについての操作情報の理解

Oracle Directory Integration Platformの構造上および操作上の情報を確認します。

トピック:

4.1.1 ディレクトリ統合プロファイルとは

Oracle Directory Integration Platformでは、ディレクトリ同期プロファイルとディレクトリ・プロビジョニング・プロファイルという2種類のプロファイルを作成できます。

ディレクトリ同期プロファイルは、Oracleバックエンド・ディレクトリと接続ディレクトリとの間で同期が実行される方法を記述します。ディレクトリ同期プロファイルは、インポート・プロファイルとエクスポート・プロファイルの2種類を作成できます。インポート・プロファイルは、接続ディレクトリからOracleバックエンド・ディレクトリに変更をインポートするのに対し、エクスポート・プロファイルは、Oracleバックエンド・ディレクトリから接続ディレクトリに変更をエクスポートします。ディレクトリ・プロビジョニング・プロファイルは、Oracle Directory Integration Platformからディレクトリ対応アプリケーションに送信されるプロビジョニング関連の通知の性質を記述します。プロビジョニング・プロファイルも、アプリケーションのデータソースに発生した変更についてOracleバックエンド・ディレクトリに通知するように構成されていることがあります。複数のプロファイルを同時に使用できます。

プロファイルの各タイプは特殊な種類のディレクトリ統合プロファイルで、Oracle Directory Integration Platformと外部システムとの通信方法と通信内容を記述するOracleバックエンド・ディレクトリ内のエントリです。

4.1.2 Oracleバックエンド・ディレクトリ・マルチマスター・レプリケーション環境でのOracle Directory Integration Platformイベント伝播の理解

Oracleバックエンド・ディレクトリ・マルチマスター環境では、1つのOracleバックエンド・ディレクトリ・ノード上でのディレクトリ同期プロファイルへの変更を、すべてのセカンダリ・ノードにレプリケートまたはコピーする必要があります。これにより、プライマリ・ノード上で問題が発生した場合、ディレクトリ同期プロファイルをセカンダリ・ノードで実行できます。

Oracle Universal DirectoryまたはOracle Directory Server Enterprise Editionマルチマスター環境では、DIPメタデータを含む接尾辞がレプリケーション用に選択されると、プロファイルが自動的にレプリケートされます。

一方、Oracle Internet Directoryマルチマスター・レプリケーション環境では、あるOracle Internet Directoryノードでのディレクトリ同期プロファイルへの変更は、他のOracle Internet Directoryノードに自動的にはレプリケートされません。このため、プライマリ・ノードのプロファイルをすべてのセカンダリ・ノードにコピーする必要があります。手順は次の項を参照してください。

ノート:

ディレクトリ同期プロファイルのorcllastapplicedchangenumber属性に割り当てられた値は、プロファイルがあるOracle Internet Directoryノードのローカルな値です。つまり、ディレクトリ同期プロファイルをあるOracle Internet Directoryノードから別のノードにコピーしても、同期またはイベント伝播の正しい状態は維持されません。

4.1.2.1 Oracleバックエンド・ディレクトリ・マルチマスター・レプリケーション環境でのディレクトリの同期

プライマリ・ノードのプロファイルをセカンダリ・ノードにコピーする場合は、lastchangenumber属性をターゲット・ノードの値で次のように更新してください。このステップは、プロファイルの設定後に一度行う必要があります。

Oracleバックエンド・ディレクトリがOracle Internet Directoryである場合、この更新は必須です。Oracleバックエンド・ディレクトリがOracle Unified DirectoryまたはOracle Directory Server Enterprise Editionのいずれかである場合、レプリケーションを使用するかわりに、DIPメタデータを含む接尾辞をプライマリ・ノードからセカンダリ・ノードにコピーする場合にのみ、このステップが必要です。

  1. 同期プロファイルを無効化します。
  2. ldapsearchコマンドを使用して、ターゲット・ノードでlastchangenumber属性の値を取得します。
  3. ldapsearchを使用して、プロファイル・エントリのLDIFダンプを取得します。
  4. ldapaddを使用して、他のOracleバックエンド・ディレクトリ・インスタンスにプロファイルを追加します。
  5. manageSyncProfilesコマンドのupdatechgnum操作を使用して、ターゲット・ノードにコピーしたエクスポート・プロファイルのlastchangenumber属性を、ステップ2で取得した値で更新します。
  6. 同期プロファイルを有効化します。
4.1.2.2 Oracle Unified DirectoryまたはOracle Internet Directoryマルチマスター・レプリケーション環境でのディレクトリ・プロビジョニングについて

デフォルトのOracle Unified DirectoryまたはOracle Internet Directoryマルチマスター・レプリケーション環境では、Oracle Directory Integration Platformは、プライマリのOracle Unified DirectoryまたはOracle Internet Directoryと同じ場所にインストールされます。プライマリ・ノードに障害が発生した場合、そのノードにあるすべてのプロファイルに対するイベント伝播は停止します。イベントはキューに入れられ、プライマリ・ノードの停止中にも失われませんが、どのアプリケーションにも伝播されません。プライマリ・ノードが停止したときにも、イベントが引き続き伝播されることを保証するには、Oracle Unified DirectoryまたはOracle Internet Directoryマルチマスター環境で、バージョン1.0およびバージョン2.0のディレクトリ・プロビジョニング・プロファイルを他のセカンダリ・ノードにコピーする必要があります。バージョン3.0のディレクトリ・プロビジョニング・プロファイルは、自動的にレプリケートされます。

ノート:

プロビジョニング・プロファイルは、アプリケーションがインストールされた直後、Oracle Internet Directoryでユーザー変更が行われる前にしか、プライマリ・ノードからセカンダリ・ノードに対してコピーされません。

ディレクトリ・プロビジョニング・プロファイルをプライマリ・ノードからセカンダリ・ノードにコピーするには、manageSyncProfilesコマンドのupdate操作を使用します。

ノート:

manageSyncProfilesコマンドの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementリファレンス』「Oracle Directory Integration Platformツール」を参照してください。

4.2 Oracle Directory Integration Platformのステータスおよび登録情報の表示

dipStatusユーティリティとldapsearchユーティリティを使用して、Oracle Directory Integration Platformのステータスおよび登録情報を表示できます。

トピック:

4.2.1 dipStatusユーティリティを使用したOracle Directory Integration Platformのステータスの表示

dipStatusユーティリティを実行すると、Oracle Directory Integration Platformのステータスが表示されます。

詳細は、「dipStatusユーティリティ」を参照してください。

4.2.2 ldapsearchユーティリティを使用したOracle Directory Integration Platformの登録情報の表示

Oracle Directory Integration Platformコンポーネントの登録情報を表示するには、ldapsearchユーティリティを実行して、そのエントリでベース検索を実行します。

例:

ldapsearch -h backend_host -p backend_port -D cn=orcladmin -q -s base -b
"cn=odisrv,cn=Registered Instances,cn=Directory Integration 
Platform,cn=Products,cn=OracleContext" objectclass=*

ノート:

パスワードを要求されます。

この例の検索では、次の情報が返されます。

Dn: cn=odisrv,cn=Registered Instances,cn=Directory Integration 
Platform,cn=Products,cn=OracleContext
userpassword: {SHA}+vk5wSvnVoXCBCRyBWJnH0S33zc= 
orclaci: access to entry by self (add,delete,browse,proxy); access to attr=(*) by 
self (search,read,write,compare) 
orclversion: 3.0 
cn: odisrv 
objectclass: orclodiserver; top; 
authpassword;oid: {SASL/MD5}2NOnGTWkSP9c1w7R/o9Djw== 
{SASL/MD5-DN}ezUTC3k7rSL41ZxdxhlXxw==;{SASL/MD5-U}kEQcl+/AZEXVukeA5YPnog==

4.3 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformの管理

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Directory Integration Platformを管理できます。

トピック:

4.3.1 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformのランタイム情報の表示

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Directory Integration Platformコンポーネントのランタイム情報を表示できます。

そのためには、次のステップを実行します。

  1. ブラウザを開き、次のURL形式を使用してFusion Middleware Controlコンソールにアクセスします。
    http://host1.example.com:7001/em
  2. Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにログインします。
  3. 左のナビゲーション・パネルで、「Identity and Access」エントリをクリックするか展開し、続いて、ランタイム情報を表示するDIPコンポーネントを選択します。Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlによって、次の情報を含むOracle Directory Integration Platformのホームページが開かれます。
    • 同期プロファイル: 構成されている同期プロファイルの概要。

    • プロビジョニング・プロファイル: 構成されているプロビジョニング・プロファイルの概要。

ヒント:

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlでOracle Directory Integration Platformの他のページに移動した後にOracle Directory Integration Platformのホームページに戻るには、「DIPサーバー」メニューで「ホーム」をクリックします。

4.3.2 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformの起動

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Directory Integration Platformを起動できます。

次の手順を実行します。

  1. ブラウザを開き、次のURL形式を使用してFusion Middleware Controlコンソールにアクセスします。
    http://host1.example.com:7001/em
  2. Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにログインします。
  3. 左のナビゲーション・パネルで、「Identity and Access」エントリをクリックするか展開し、続いて、起動するDIPコンポーネントを選択します。
  4. 「DIPサーバー」メニューをクリックし、「コントロール」を選択して「起動」をクリックします。

4.3.3 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformの停止

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Directory Integration Platformを停止できます。

そのためには、次のステップを実行します。

  1. ブラウザを開き、次のURL形式を使用してFusion Middleware Controlコンソールにアクセスします。
    http://host1.example.com:7001/em
  2. Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにログインします。
  3. 左のナビゲーション・パネルで、「Identity and Access」エントリをクリックするか展開し、続いて、停止するDIPコンポーネントを選択します。
  4. 「DIPサーバー」メニューをクリックし、「コントロール」を選択して「停止」をクリックします。
  5. 確認ダイアログが表示されたら、「はい」をクリックします。

4.3.4 Oracle Directory Integration Platform Server構成の管理

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用して、Oracle Directory Integration Platform Serverのリフレッシュ間隔およびOracleバックエンド・ディレクトリへの接続設定を構成できます

このようにするには、次の手順を実行します。

  1. Webブラウザを開き、使用している環境のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlのURLを入力します。Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlのURLの形式は、https://host:port/em.です
  2. Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlにログインします。Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlのホームページが開きます。
  3. 左のナビゲーション・パネルで、「Identity and Access」エントリをクリックするか展開し、続いて、管理するDIPコンポーネントを選択します。
  4. 「DIPサーバー」メニューをクリックして「管理」を選択し、次に「サーバー・プロパティ」をクリックします。

    「DIPサーバー構成」ページが表示されます。

    次のリストに、「DIPサーバー構成」ページのフィールドとオプションを示します。

    • サーバー・リフレッシュ間隔(秒): Oracle Directory Integration Platformサーバーがプロファイル構成の詳細をリフレッシュする頻度を制御する時間間隔(単位は秒)。

    • OID接続設定/OUD接続設定/ODSEE接続設定: Oracle Directory Integration Platform構成を保存するOracleバックエンド・ディレクトリのホスト名とポートを入力します。

    • OID接続SSLモード/OUD接続SSLモード/ODSEE接続SSLモード: Directory Integration PlatformがOracleバックエンド・ディレクトリへの接続に使用するモードを指定します。

      ノート:

      Oracle Internet Directoryでは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してOracleバックエンド・ディレクトリに接続する場合、Directory Integration Platformが使用するモードに、SSLなし(モード0)を指定することはできません。

      Oracle Unified DirectoryおよびOracle Directory Server Enterprise Editionでは、SSLなし(モード0)を指定できます。

      サポートされているオプションは次のとおりです。

      • SSLなし(モード0): Directory Integration PlatformはSSLによる暗号化なしでOracleバックエンド・ディレクトリに接続します。

      • 認証なし(モード1): Directory Integration PlatformはSSLによる暗号化のみを使用してOracleバックエンド・ディレクトリに接続します。

        このオプションは、Oracle Internet DirectoryがOracleバックエンド・ディレクトリである場合にのみ使用できます。Oracle Unified DirectoryまたはOracle Directory Server Enterprise EditionがOracleバックエンド・ディレクトリである場合、これは使用できません

        ノート:

        認証なし(SSLモード1)の使用は推奨されません。
      • サーバーのみ(モード2): Directory Integration Platformは、Oracleバックエンド・ディレクトリに接続し、Oracleバックエンド・ディレクトリによってのみ認証されます。

        ノート:

        サーバーのみ(モード2)オプションを選択する場合、コマンド行から、SSLモード2のサーバーのみ認証用にOracle Directory Integration Platformを構成する必要があります。詳細は、「SSLモードのOracle Internet Directoryの構成について」を参照してください。

  5. オプションで、「接続テスト」をクリックすると、ターゲットのOracleバックエンド・ディレクトリへの接続をテストできます。
  6. 必要な変更を行い「適用」ボタンをクリックします。

4.3.5 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformのロギングの管理

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlでは、Oracle Fusion Middlewareコンポーネント全体のログ・ファイルの一覧表示、検索および構成を行えます。

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlからログ・ファイルを表示することも、ログ・ファイルをダウンロードし、別のツールを使用して表示することも可能です。WLSTコマンド行ツールを使用してログ・ファイルを一覧表示および検索することも可能です。

ノート:

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用したロギングの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』「ログ・ファイルと診断データの管理」を参照してください。

4.3.6 Fusion Middleware Controlを使用したOracle Directory Integration Platformの監査

Oracle Directory Integration Platformは、コンプライアンス、モニタリングおよび分析のためにOracle Platform Security ServicesのOracle Fusion Middleware監査フレームワークを使用します。Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用すると、Oracle Directory Integration Platformの監査データやイベント設定の表示、検索および管理が可能です。

『Oracle Fusion Middleware Oracle Platform Security Servicesによるアプリケーションの保護』「Oracle Fusion Middleware監査フレームワークの概要」を参照してください。

4.4 WLSTを使用したOracle Directory Integration Platformの起動と停止

WebLogic Scripting Tool(WLST)を使用してコマンド行からOracle Directory Integration Platformを起動または停止するには、WebLogic Admin Serverに接続して、startApplication("DIP")コマンドまたはstopApplication("DIP")コマンドを実行します。

関連項目:

4.5 manageDIPServerConfigを使用したOracle Directory Integration Platformの管理

DIPサーバーの構成管理ユーティリティ(manageDIPServerConfig)では、Oracle Directory Integration Platform Serverの構成を管理できます。

詳細は、「manageDIPServerConfigユーティリティ」を参照してください。

ノート:

  • 最良のセキュリティ・プラクティスは、コマンドからの要求への応答としてのみ、パスワードを入力することです。

  • Oracle Directory Integration Platformコマンドのいずれかを実行するには、あらかじめWLS_HOME環境変数とORACLE_HOME環境変数を設定しておく必要があります

  • Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーは、SSLモードでこのコマンドを実行するようにSSLに対して構成されている必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護』「SSLの構成」を参照してください。

4.6 SSLモードのOracle Unified Directoryの構成について

詳細は、「Oracle Directory Integration Platform用のOracle Unified Directory (SSL)の構成」を参照してください。

4.7 SSLモードのOracle Directory Server Enterprise Editionの構成について

詳細は、「Oracle Directory Integration Platform用のOracle Directory Server Enterprise Edition (SSL)の構成」を参照してください。

4.8 SSLモードのOracle Internet Directoryの構成について

詳細は、「Oracle Directory Integration Platform用のOracle Internet Directory (SSL)の構成」を参照してください。

ノート:

ここでは、単一コンポーネントのSSL構成について説明します。複数のコンポーネントにSSLを構成する場合は、Oracle SSL自動化ツールを使用すると、ドメイン固有のCAを使用して複数のコンポーネントにSSLを構成できます。

Oracle SSL自動化ツールの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareの管理』「Oracle Fusion MiddlewareでのSSLの構成」を参照してください。

4.9 バックエンド・ディレクトリと接続ディレクトリのSSL証明書の管理

Oracle Directory Integration Platformは、SSLを使用してOracleバックエンド・ディレクトリおよび接続ディレクトリと接続できます。Oracleバックエンド・ディレクトリへの接続に認証なしのSSLを使用する場合、証明書は不要です。ただし、サーバー認証のあるSSLを使用してOracleバックエンド・ディレクトリに接続する場合は、LDAPサーバーに接続するためのトラスト・ポイント証明書が必要です。Oracle Directory Integration Platformは、証明書がJavaキーストア(JKS)にあるものと想定します。

manageDIPServerConfigコマンドにkeystorelocation引数を付けて使用することで、キーストアの場所を管理でき、WLST資格証明ストア・コマンドにmap="dip"引数およびkey="jksKey"引数を付けて使用することで、キーストアのパスワードを管理できます。

関連項目:

期限が切れた証明書の検出と削除

$JAVA_HOME/binディレクトリのkeytoolユーティリティを使用して、Oracle Directory Integration Platformの期限が切れた証明書を検出して削除できます。

キーストア内の信頼できる証明書の有効期日をリストするには、次のようにkeytoolユーティリティを実行します。

$JAVA_HOME/bin/keytool -list -v -keystore PATH_TO_KEYSTORE

信頼できる証明書をキーストアから削除するには、次のようにkeytoolユーティリティを実行します。

$JAVA_HOME/bin/keytool -delete -alias mycert -keystore PATH_TO_KEYSTORE

ノート:

これらのコマンドの実行時、キーストアのパスワードが要求されます。

証明書の期限切れの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の第7章「キーストア、ウォレットおよび証明書の管理」を参照してください。

4.10 高可用性シナリオでのOracle Directory Integration Platformについて

詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』Oracle Directory Integration Platformの高可用性に関する項を参照してください。

4.11 レプリケート環境でのOracle Directory Integration Platformの管理方法の理解

プロビジョニングおよび同期化では、レプリケート・ディレクトリはマスター・ディレクトリと異なります。

元のディレクトリで作成されたプロファイルを新しいディレクトリで再作成し、すべての構成を元のディレクトリと同様に実行する必要があります。

4.12 dipStatusユーティリティ

ORACLE_HOME/binディレクトリにあるdipStatusユーティリティを使用すると、Oracle Directory Integration Platformのステータスと、登録済かどうかを確認できます。

ノート:

  • 最良のセキュリティ・プラクティスは、コマンドからの要求への応答としてのみ、パスワードを入力することです。

  • Oracle Directory Integration Platformコマンドのいずれかを実行するには、あらかじめWLS_HOME環境変数とORACLE_HOME環境変数を設定しておく必要があります。

  • Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーは、SSLモードでこのコマンドを実行するようにSSLに対して構成されている必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護』「SSLの構成」を参照してください。

dipStatusの構文

dipStatus -h HOST -p PORT -D wlsuser [-ssl -keystorePath PATH_TO_KEYSTORE
-keystoreType TYPE] [-help]

dipStatusの引数

次の表では、dipStatusユーティリティの引数について説明します。

表4-1 dipStatusユーティリティの引数

引数 説明

-h | -host

Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic Server。

-p | -port

Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーのリスニング・ポート。

-D | -wlsuser

Oracle WebLogic ServerのログインID。

ノート: Oracle WebLogic Serverのログイン・パスワードを要求されます。パスワードをコマンド行引数として指定することはできません。最良のセキュリティ・プラクティスは、コマンドからの要求への応答としてのみ、パスワードを入力することです。スクリプトからdipStatusを実行する必要がある場合、Oracle WebLogic Serverパスワードを含むファイルから、入力をリダイレクトできます。ファイル権限を使用してファイルを保護し、不要になったら権限を削除します。

-ssl

SSLモードでコマンドを実行します。

ノート: Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーは、SSLモードでこのコマンドを実行するようにSSLに対して構成されている必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護』「SSLの構成」を参照してください。

-keystorePath

キーストアへのフルパス。

-keystoreType

-keystorePathで識別されるキーストアのタイプ。たとえば、-keystorePath jksまたは-keystorePath PKCS12などです。

-help

コマンドの使用方法のヘルプを提供します。

dipStatusの例

次に、dipStatusユーティリティ・コマンドの例を示します。

dipStatus -h myhost.mycompany.com -p 7005 -D login_ID

dipStatus -help

4.13 manageDIPServerConfigユーティリティ

manageDIPServerConfigユーティリティを使用して、Oracle Directory Integration Platform Serverの構成を管理します。このユーティリティは、ORACLE_HOME/binディレクトリにあります。

manageDIPServerConfigの構文

manageDIPServerConfig {get | set} -h HOST -p PORT -D wlsuser -attribute {sslmode |
refreshinterval | quartzthreadcount | quartzdbretryinterval | backendhostport |
keystorelocation} [-ssl -keystorePath PATH_TO_KEYSTORE -keystoreType TYPE] 
[-value ATTRIBUTE_VALUE] [-help]

manageDIPServerConfigの引数

次の表では、manageDIPServerConfigユーティリティの引数について説明します。

表4-2 dipStatusユーティリティの引数

引数 説明

get | set

実行する操作。

  • get: DIP構成ファイルに含まれるconfigパラメータの現在の値を表示します。

  • set: DIP構成ファイルに含まれるconfigパラメータの値を更新します。

-h | -host

Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic Server。

-p | -port

Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーのリスニング・ポート。

-D | -wlsuser

Oracle WebLogic ServerのログインID。

ノート: Oracle WebLogic Serverのログイン・パスワードを要求されます。パスワードをコマンド行引数として指定することはできません。最良のセキュリティ・プラクティスは、コマンドからの要求への応答としてのみ、パスワードを入力することです。スクリプトからdipStatusを実行する必要がある場合、Oracle WebLogic Serverパスワードを含むファイルから、入力をリダイレクトできます。ファイル権限を使用してファイルを保護し、不要になったら権限を削除します。

-attr | -attribute

manageDIPServerConfigが操作を実行する属性を指定します。次に、manageDIPServerConfigが操作を実行できる属性のリストとその説明を示します。

  • sslmode: Oracle Directory Integration PlatformがOracleバックエンド・ディレクトリへの接続に使用するSSLモード。サポートされる値は、01および2です。非SSL通信の場合は0を使用し、SSLモード1 (認証なし)でOracleバックエンド・ディレクトリに接続する場合は1を使用します。(SSLモード1は、Oracle Internet DirectoryがOracleバックエンド・ディレクトリである場合にのみサポートされます。)2は、SSLモード2 (サーバー認証のみ)を使用してOracleバックエンド・ディレクトリに接続する場合に使用します。

  • refreshinterval: Oracle Directory Integration Platformサーバーがプロファイル構成の詳細をリフレッシュする頻度を制御する時間間隔(秒)。

  • quartzthreadcount: 同時にスケジュールできるプロファイルの数を制御します。デフォルト値は15です。15を超えるプロファイルがある場合は、それに応じてquartzthreadcount属性を増やします。

  • quartzdbretryinterval: Oracle Directory Integration Platformのクォーツ・スケジューラがOracleバックエンド・ディレクトリ・データベースへの再接続を試行する頻度を制御します。

  • quartzjobstore: Oracleバックエンド・ディレクトリ・データベースのスケジューリング情報を格納します。デフォルト値はldapjobstoreです。

  • backendhostport: Oracle Directory Integration Platformに関連付けられているOracleバックエンド・ディレクトリのホストとポートを指定します。host:portの形式でbackendhostport属性の値を指定します。

  • keystorelocation: Oracle Directory Integration Platformがデプロイされているホストに基づいて、Javaキーストア(JKS)の絶対パスを指定します。keystorelocation属性の値を指定するときは、適切なパス・セパレータを使用してください(UNIXおよびLinuxプラットフォームの場合は/、Windowsプラットフォームの場合は\)。

  • isclustered: Oracle Directory Integration Platformインスタンスがクラスタ環境内にあるかどうかを指定します。デフォルト値はfalseです。

  • clustercheckininterval: あるインスタンスがクラスタの他のインスタンスでサーバー・ステータス(障害インスタンスの検出など)を確認する頻度(ミリ秒)を指定します。デフォルト値は120000ミリ秒です。

-ssl

SSLモードでコマンドを実行します。

ノート: Oracle Directory Integration PlatformがデプロイされているOracle WebLogic管理対象サーバーは、SSLモードでこのコマンドを実行するようにSSLに対して構成されている必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護』「SSLの構成」を参照してください。

-keystorePath

キーストアへのフルパス。

-keystoreType

-keystorePathで識別されるキーストアのタイプ。たとえば、-keystorePath jksまたは-keystorePath PKCS12などです。

-val | -value

属性に対して設定される値。このパラメータはset操作に必要です。

-help

コマンドの使用方法のヘルプを提供します。

manageDIPServerConfigのタスクおよび例

manageDIPServerConfig get -h myhost.mycompany.com -p 7005 -D login_ID \
   -attr sslmode
manageDIPServerConfig set -h myhost.mycompany.com -p 7005 -D login_ID \
   -attr sslmode -val 2
manageDIPServerConfig set -h myhost.mycompany.com -p 7005 -D login_ID \
   -attr backendhostport -value backend_host: backend_SSL_port