2 Oracle Unified Directoryソフトウェアのインストール

Oracle Unified Directoryでは主として、2つのドメイン構成をサポートしています。Oracle Unified Directoryは、WebLogic Serverを介して管理するコロケート構成として、またはスタンドアロン構成としてインストールできます。

内容は次のとおりです。

2.1 Oracle Unified Directoryのインストール前に

コマンドラインまたはOracle Unified Directory Services Manager (OUDSM)のグラフィカル・ユーザー・インタフェースのいずれかを使用してOracle Unified Directoryを管理できます。

Oracle Unified Directory Services Manager (OUDSM)にはOracle WebLogic ServerとOracle ADFが必要であるため、OUDSMを使用する場合は、Oracle Unified Directory「同じ場所に配置されたOracle Unified Directory Server (WebLogic Server経由で管理)」モードでインストールする必要があります。WebLogic ServerドメインにOracle Unified Directoryを構成する際に、WebLogic Serverドメインの他の要素と同様にOracle Unified Directoryインスタンスを管理できます。WebLogic ServerドメインにOracle Unified Directoryを構成するには、既存のOracle Fusion Middleware Infrastructure OracleホームにOracle Unified Directoryソフトウェアをインストールする必要があります。

ノート:

このマニュアルで説明しているOUDSMのバージョンは、12c (12.2.1.3.0)です。OUDSM 12c (12.2.1.3.0)は、Oracle Unified Directory 12c (12.2.1.3.0)の管理のみに使用できます。

Oracle Unified Directory「スタンドアロンOracle Unified Directory Server (WebLogic Serverとは切り離して管理)」モードでインストールすることもできます。スタンドアロンOracle Unified Directoryは、WebLogic Serverドメインで管理されたり、WebLogic Serverドメインに登録されたりしません。スタンドアロンOracle Unified Directory 12c (12.2.1.3.0)トポロジは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureがなくてもインストールおよび構成できます。Oracle Unified Directoryソフトウェアを独自のOracleホームにインストールし、Oracle Unified Directoryインスタンスを独自のスタンドアロン・ドメインに構成します。別の場所またはホストにインストールされたOUDSMを使用して、スタンドアロン・モードでインストールされたOracle Unified Directoryを管理できます。

ノート:

OUDとOUDSMの製品テンプレートは相互に関連しておらず、互いに独立しています。したがって、OUDとOUDSMを別個のドメインに別々に構成することができます。このため、OUDSMがなくてもOUDをコロケート・モードにすることができ、OUDなしでOUDSMのみをドメインに構成することもできます。

Oracle Unified DirectoryOracle Unified Directoryリリース11gから12c (12.2.1.3.0)にアップグレードできます。「Oracle Unified Directoryソフトウェアの更新」を参照してください。

インストール・プロセスでは、ソフトウェアがインストールされる特定のディレクトリを識別する必要があります。インストール・ディレクトリの構造を完全に理解するため、「Oracle Unified Directoryのインストール・ディレクトリの理解」を参照してください。

2.2 Java Development Kitのインストール

Oracle Unified Directory 12c (12.2.1.3.0)のインストールには、ava Development Kit (JDK) 1.8が必要です。

アーカイブ・バイナリ・ファイル(.tar.gz)は、(rootユーザーだけでなく)誰もが、書込み可能な任意の場所にインストールできます。ただし、システムの場所にJDKをインストールできるのはrootユーザーのみです。

JDKをインストールするためのシステム要件と手順については、LinuxプラットフォームのJDKのインストールに関する項Microsoft WindowsのJDKのインストールに関する項を参照してください。

2.3 JAVA_HOME環境変数の設定

Java Development Kit (JDK)のインストール後、JAVA_HOME環境変数がJavaインストール・ディレクトリを指すように設定する必要があります。

JAVA_HOME環境変数が設定されていないか、サポートされているJavaインストール(JDK 8)を指していない場合、設定スクリプトは動作しません。

たとえば、UNIXまたはLinuxシステムで、ご使用のシェルに応じて次のようなコマンドを実行します。

JAVA_HOME=/usr/lang/JAVA/jdk1.8.0_121
export JAVA_HOME

WindowsシステムでJAVA_HOME環境変数を設定するには:

  1. 「コントロール パネル」 > 「システムとセキュリティ」 > 「システム」 > 「システムの詳細設定」に移動します。
  2. 「環境変数」ボタンをクリックします。
  3. 「システム変数」セクションでJAVA_HOME環境変数を捜して選択します。「編集」をクリックします。JAVA_HOME環境変数が存在しない場合は、「新規」をクリックします。
  4. 次のいずれかを行います:
    • 「システム変数の編集」ウィンドウで、サポートされているJDKインストールへのパスを変数値:として入力します。

    • 「新しいシステム変数」ウィンドウで、JAVA_HOME変数名:として入力し、サポートされているJDKインストールへのパスを変数値:として入力します。

  5. 「OK」をクリックして変更を保存します。

2.4 PATH環境変数の設定

Java Development Kitのインストール後、PATH環境変数がJavaインストール・ディレクトリを指すように設定する必要があります。

たとえば、UNIXまたはLinuxシステムで、ご使用のシェルに応じて次のようなコマンドを実行します。

JAVA_HOME=/usr/lang/JAVA/jdk1.8.0_121
export JAVA_HOME
PATH=$JAVA_HOME/bin:$PATH
export PATH

WindowsシステムでPATH環境変数を設定する方法の詳細は、『PATHシステム変数を設定または変更するにはどうすればよいですか。』を参照してください。

2.5 製品ディストリビューションの取得

Oracleでは、Oracle Unified Directoryとこれが必要とするソフトウェアをダウンロードするために、複数の場所を用意しています。

ノート:

  • Oracle Unified Directory Services Managerを使用してOracle Unified Directoryを管理することを計画している場合、まずOracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールする必要があります。

  • Oracle Unified DirectoryとOracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールする場合は、同じOracleホーム・ディレクトリを指定する必要があります。この章の例では、path-to-oracle-home/ORACLE_HOMEを使用して、Oracleホーム・ディレクトリを示します。

2.5.1 Oracle Fusion Middleware Infrastructureの配布のダウンロード

OUDSMを使用してOracle Unified Directoryを構成および管理することを計画している場合、Oracle WebLogic ServerとOracle Application Development Frameworkもインストールする必要があります。Oracle Fusion Middleware Infrastructureには、Oracle WebLogic ServerやOracle ADFを含め、複数の製品および機能セットが含まれています。

Oracle Fusion Middleware Infrastructureの配布をダウンロードするには:

  1. Oracle ADFダウンロード・ページからOracle Fusion Middleware Infrastructureの配布をダウンロードします。「Oracle ADFのダウンロード」セクションで、「Application Development Runtime」フィールドから12.2.1.3を選択します。「ファイルのダウンロード」をクリックします。
  2. ブラウザから.zipファイルをダウンロードするよう求められたら、このファイルをシステムに保存します。
  3. .zipファイルのコンテンツをシステムに解凍します。解凍されたファイルfmw_12.2.1.3.0_infrastructure_generic.jarは、製品のインストーラを実行し、ソフトウェアをシステムにインストールします。

2.5.2 OSDCからのOracle Unified Directoryの配布のダウンロード

Oracle Software Delivery Cloud (OSDC)に移動して、Oracle Unified Directoryソフトウェアをダウンロードします。

OSDCからOracle Unified Directoryをダウンロードするには:

  1. Oracle Software Delivery CloudからOracle Unified Directoryの製品ディストリビューションをダウンロードします。
  2. 求められたら、ユーザー名とパスワードでログインします。
  3. 先行入力フィールドにOracle Unified Directoryと力し、「検索」をクリックします。
  4. 使用可能なプラットフォームのリストからOracle Unified Directory 12.2.1.3.0を選択します。
    選択した後、ソフトウェア・タイトルはすぐに選択したソフトウェア・カートに入れられ、そこで個別のリリースにプラットフォームを割り当てることができます。
  5. 選択したソフトウェア・カートをクリックします。
  6. Oracle Unified Directory 12.2.1.3.0用のプラットフォーム/言語を選択し、「続行」をクリックします。
  7. サイトの指示どおりに条件や制限を確認し、エクスポート・ライセンス契約を完了して、「続行」をクリックします。
  8. ダウンロードするファイル名をクリックします。各ファイルには一意の部品番号があります。
  9. ファイルを保存するディレクトリを参照します。保存をクリックしてファイルのダウンロードを開始します。圧縮ZIPファイルがダウンロードされます。
  10. ZIPファイルの内容を、選択したディレクトリに展開します。

2.5.3 OTNからのOracle Unified Directoryの配布のダウンロード

Oracle Technology Network (OTN)に移動して、Oracle Unified Directoryソフトウェアをダウンロードします。

OTNからOracle Unified Directoryをダウンロードするには:

  1. Oracle Identity Managementダウンロード・ページからOracle Unified Directoryの製品配布をダウンロードします。
  2. 「Oracle Identity Management 12c」の下にある「ダウンロード」リンクをクリックします。
  3. OTNライセンス契約に同意します。
  4. .zipファイル名をクリックしてファイルを個別にダウンロードして、ファイルの保存先ディレクトリに保存します。

    .zipファイルには一意の部品番号があります。

  5. .zipファイルの内容をシステムに抽出します。

2.6 OUD/OUDSMドメインのインストールおよび構成

OUDとOUDSMの両方を単一ドメインにインストールして構成することも、OUDとOUDSMを別個のドメインに別々にインストールして構成することもできます。

内容は次のとおりです。

2.6.1 OUD/OUDSMソフトウェアのインストール

OUDとOUDSMを別個のドメインに別々にインストールすることも、両方を単一ドメインにインストールすることもできます。この項では、OUDとOUDSMをインストールする方法について説明します。

ノート:

Oracle Directory Integration Platform (DIP) 12cをOUD 12cとともにバックエンド・ディレクトリ・サーバーとしてインストールすることを選択した場合は、DIP 12cと同じOracleホームおよび同じドメインにOUDをインストールして(OUDSMにより)構成できます。この場合、「Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール」および「リポジトリ作成ユーティリティを使用したインフラストラクチャ・ドメインのデータベース・スキーマの作成」のステップをスキップできます。
2.6.1.1 Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール

Oracle Unified Directory Services Managerを使用してOracle Unified Directoryを構成および管理する場合、Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールが不可欠です。OUDSMにはOracle WebLogic ServerとOracle ADFが必要であるため、Oracle Fusion Middleware InfrastructureのインストールでWebLogic Server、ADFおよびその他のインフラストラクチャ・コンポーネントのインストールを管理します。

Oracle Unified Directory Services Managerを使用してOracle Unified Directoryを構成および管理する場合、Oracle Unified Directoryを「同じ場所に配置されたOracle Unified Directory Server (WebLogic Server経由で管理)」モードでインストールする必要があります。

Oracle Fusion Middleware Infrastructureをインストールするには:

  1. JAVA_HOMEおよびPATH環境変数を、JDK8のインストール場所を指すように設定します。
  2. Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャのインストール

    Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成Infrastructureソフトウェアのインストールを参照してください。

2.6.1.2 Oracle Unified Directoryのインストール

Oracle Unified Directoryは、管理方法に応じて2つの方法でインストールできます。WebLogic ServerまたはOUDSMを介してOUDを管理する場合、OUDをコロケート・モードでインストールするか、単一ドメインにインストールする必要があります。ただし、WebLogic Serverとは切り離してOUDを管理する場合は、スタンドアロン・モードまたは別個のドメインを選択する必要があります。

Oracle Unified Directoryをインストールするには:

  1. JAVA_HOMEおよびPATH環境変数を、JDK8のインストール場所を指すように設定します。
  2. ご使用のシステムのJDKディレクトリからjava実行可能ファイルを呼び出して、インストール・プログラムを起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    $ $JAVA_HOME/bin/java -jar fmw_12.2.1.3.0_oud.jar

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    C:\Program Files\Java\jdk1.8.0_121\bin\java -jar fmw_12.2.1.3.0_oud.jar

    ノート:

    Windows管理者権限を使用してコマンド・プロンプトを実行する必要があります。コマンド・プロンプトを開き、「管理者として実行」を指定します。このウィンドウを開くと、タイトル・バーに「管理者: コマンド プロンプト」と表示されます。

    「インストール・インベントリの設定」画面が開きます。

  3. 「インストール・インベントリの設定」画面を使用して、Oracle中央インベントリ・ディレクトリの場所を指定します。「OK」をクリックします。
    Oracle Unified Directory 12cインストーラの「ようこそ」画面が開きます。
  4. 製品インストーラの開始画面である「ようこそ」画面の情報を確認します。「次へ」をクリックします。
  5. 「自動更新」画面を使用すると、My Oracle Supportアカウントを使用して、重要なセキュリティ更新を含む最新のソフトウェア更新を検索できます。
    • システムでソフトウェア更新を確認しない場合、デフォルト設定の「自動更新をスキップ」のままにします。
    • ディレクトリからパッチを選択: 最新のソフトウェア更新をすでにダウンロードしてあり、インストールしようとしている製品に適用可能な更新を、インストーラがローカル・ディレクトリで検索するようにする場合は、このオプションを選択します。このオプションを選択すると、更新が置かれたローカル・ディレクトリを特定する際に使用する追加のフィールドが、インストーラによって表示されます。
    • My Oracle Supportで更新を検索: My Oracle Supportアカウントがある場合、このオプションを選択すると、インストールするソフトウェア製品に適用するソフトウェア更新が、インストーラによりMy Oracle Supportで自動的に検索されます。

    「次へ」をクリックします。

  6. 「インストールの場所」画面で、Oracleホーム・ディレクトリの場所を指定し、そのディレクトリにインストールされている製品を表示します。「次へ」をクリックします。
  7. 「インストール・タイプ」画面で、実行するインストール・タイプを決定します(これによって、インストールされる製品および機能も決まります)。
    • WebLogic ServerまたはOUDSMを介してOUDを管理する場合、「同じ場所に配置されたOracle Unified Directory Server (WebLogic Server経由で管理)」を選択します。

    • WebLogic Serverとは切り離してOUDを管理する場合、「スタンドアロンOracle Unified Directory Server (WebLogic Serverとは切り離して管理)」を選択します。

    「次へ」をクリックします。

  8. 「前提条件チェック」画面で、システムが最小要件を満たしていることを確認します。「次へ」をクリックします。
  9. 「インストール・サマリー」画面には、インストールで選択した機能セットのリストと、インストール完了後にその機能セットが使用するおよそのディスク領域量が表示されます。「インストール」をクリックします。
  10. 「インストールの進行状況」画面にインストールの進行状況が表示されます。進捗バーが100%になると、インストールは完了です。「次へ」をクリックします。
  11. この画面にはインストール結果、およびインストール済の製品および機能の要約が表示されます。「終了」 をクリックしてインストーラを終了します。

2.6.2 OUDとOUDSMを別個のドメインに構成

製品のインストールが完了したら、ドメイン作成プロセスを開始できます。OUDとOUDSMを別個のドメインに構成できます。

ノート:

これが、OUDとOUDSM用のドメインを設定するためのOracleの推奨アプローチです。このアプローチに従えば、Oracleデータベースに依存せずにOUDSMのドメインを作成できます。

2.6.2.1 構成ウィザードを使用したOUD用のドメインの構成

Fusion Middleware構成ウィザードを使用して新しいドメインを作成するか既存のドメインを拡張することで、OUD用のドメインを構成できます。

OUD用の新しいドメインを作成または既存のドメインを更新するには:

  1. ORACLE_HOME/oracle_common/common/binディレクトリから構成ウィザードを起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    ./config.sh

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    config.cmd

    「構成タイプ」画面が表示されます。

  2. 「構成タイプ」画面で、次のステップを実行します。
    1. 新しいドメインを作成するか、既存のドメインを拡張できます。

      • 新しいドメインを作成するには、「新しいドメインの作成」を選択します。

      • 既存のドメインを拡張するには、「既存ドメインの更新」を選択します。

    2. ドメインのフルパスを入力するか、「参照」ボタンを使用してドメインがあるディレクトリに移動します。

    3. 「次へ」をクリックします。

  3. 「テンプレート」画面で「製品テンプレートを使用してドメインを作成」が選択されていることを確認した後に、Oracle Unified Directory - 12.2.1.3.0 [oud]テンプレートを選択します。「次へ」をクリックします。
    1. ステップ2で選択した構成に基づいて正しい選択が行われていることを確認します。

      • 「新しいドメインの作成」を選択した場合、「製品テンプレートを使用してドメインを作成」が選択されていることを確認します。

      • 「既存のドメインの更新」を選択した場合、「製品テンプレートを使用してドメインを更新」が選択されていることを確認します。

    2. Oracle Unified Directory - 12.2.1.3.0 [oud]テンプレートを選択します。

    3. 「次へ」をクリックします。

  4. 「JDKの選択」画面で「Oracle Hotspot」をデフォルトの選択として受け入れて、「次へ」をクリックします。
  5. 「システム・コンポーネント」画面で、この画面を無視して「次へ」をクリックします。

    ノート:

    この画面で、コンポーネントを追加するオプションを提供します。ただし、コンポーネントまたはインスタンスを追加するこの機能は、このリリースでは使用できません。このオプションは、今後のリリースでサポートされます。

  6. 「ノード・マネージャ」画面で、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードを入力します。
    「次へ」をクリックします。
  7. 「構成サマリー」画面で各項目をレビューして、情報が正しいことを確認します。
    変更するには、「戻る」ボタンをクリックするか、ナビゲーション・ペインの画面を選択していずれかの画面に戻ります。「作成」または「更新」をクリックするまで、ドメインの作成またはドメインの拡張は開始されません。
  8. 「構成に成功しました」画面に、構成したばかりのドメインに関する情報が表示されます。
    「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。
2.6.2.2 WebLogic Scripting Toolを使用したOUDSM用のドメインの作成

WLSTコマンドを使用して、Oracle Databaseまたはリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)に依存せずに、OUDSM用のドメインを作成できます。

ノート:

これが、OUDSM用のドメインを設定するためのOracleの推奨アプローチです。他の製品やコンポーネントでこのドメインを拡張しないことをお薦めします。このアプローチでは、config.shを実行する必要はありません。

WLSTを使用してOUDSMドメインを設定するには:

  1. WLSTを起動します。

    UNIXおよびLinuxシステムの場合:

    $ ORACLE_HOME/oracle_common/common/bin/wlst.sh

    Windowsシステムの場合:

    C:\> ORACLE_HOME\oracle_common\common\bin\wlst.cmd

    ORACLE_HOMEは、インストール時に指定したOracleホーム・ディレクトリです。

  2. createOUDSMDomainコマンドを実行して、Oracle Unified Directory Services Manager用のコンパクト・ドメインを作成します。

    createOUDSMDomainコマンドには次のパラメータがあります。

    • domainLocationは、ドメインの絶対的な場所とドメイン名です。

    • weblogicPortはWebLogicポートです。

    • weblogicSSLPortはWebLogic SSLポートです。このパラメータはオプションで、渡さない場合は有効化されません。

    • weblogicUserNameはWebLogicユーザー名です。このパラメータはオプションで、渡さない場合、デフォルト値はweblogicです。

    • weblogicUserPasswordはWebLogic管理ユーザー・パスワードです。

    createOUDSMDomain(domainLocation=<location>,weblogicPort=<value>,
    weblogicSSLPort=<value>,weblogicUserName=<name>,weblogicUserPassword=<password>

    次に例を示します。

    createOUDSMDomain(domainLocation="/oracle/mw_oud12c/domains/oudsm",weblogicPort=7001,weblogicSSLPort=7002,weblogicUserPassword='password')

2.6.3 OUDとOUDSMを単一のドメインに構成

インストール・タイプとして「同じ場所に配置されたOracle Unified Directory Server (WebLogic Server経由で管理)」を選択した場合、OUDとOUDSMを単一のWebLogicドメインに構成できます。

Fusion Middleware構成ウィザードを使用してOUDSM用のWebLogicドメインを構成することもできます。構成ウィザードではOracle Platform Security Services (OPSS) DBストアのみがサポートされるため、OUDSMは管理者構成を安全に格納するために、DBベースのOPSSセキュリティ・ストアに依存します。

config.shを実行してOUDSMを設定する前に、まず動作保証されたデータベースをインストールして構成する必要があります。OPSSセキュリティ・ストアにデータベース・リポジトリを使用するには、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して必要なスキーマを作成し、一部の初期データをシードする必要があります。

2.6.3.1 リポジトリ作成ユーティリティを使用したインフラストラクチャ・ドメインのデータベース・スキーマの作成

Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストール後、ORACLE_HOME/oracle_common/binディレクトリからリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を起動します。リポジトリ作成ユーティリティでは、Oracle Fusion Middleware製品に必要なデータベース・スキーマを作成できます。

ノート:

このデータベース・スキーマ作成手順が必要になるのは、OUDSMテンプレートを選択してOracle Unified Directory Services Manager (OUDSM)をインストールする場合のみです。

リポジトリ作成ユーティリティを使用してスキーマを作成するには:

  1. データベース・スキーマを作成する前に、動作保証されたデータベースをインストールおよび構成し、データベースが起動されて稼働していることを確認しておく必要があります。

    『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』Oracle Fusion Middlewareインストールのデータベース要件に関する項を参照してください。

  2. ORACLE_HOME/oracle_common/binディレクトリからリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    ./rcu

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    rcu.bat
  3. Repository Creation Utilityの「ようこそ」画面で、「次へ」をクリックします。
  4. 「リポジトリの作成」画面でスキーマ作成方法として「システム・ロードおよび製品ロード」を選択して、「次へ」をクリックします。
  5. 「データベース接続の詳細」画面に、データベースに接続するためのRCUに関するデータベース接続の詳細を入力します。
    1. データベースの接続資格証明の入力が終了したら、「次へ」をクリックします。
      ダイアログ・ボックスが表示され、指定されたデータベースとの接続確立の進行状況が示されます。
    2. 「OK」をクリックしてこのダイアログ・ボックスを閉じます。
  6. 「コンポーネントの選択」画面でスキーマに使用するカスタム接頭辞を入力し、「Oracle Platform Security Services」スキーマを選択します。

    ノート:

    「Oracle Platform Security Services」を選択すると、すべての依存コンポーネントが自動的に選択されます。

    1. 接頭辞とスキーマ名の指定およびコンポーネントの選択が終了したら、「次へ」をクリックします。
      ダイアログ・ボックスが表示され、スキーマを作成する前に行われるコンポーネントの前提条件の確認の進行状況が示されます。
    2. 「OK」をクリックしてこのダイアログ・ボックスを閉じます。
  7. 「スキーマ・パスワード」画面で、データベースでのスキーマ・パスワードの設定方法を指定した後、パスワードを入力して確認します。「次へ」をクリックします。
  8. 「表領域のマップ」画面は、作成するスキーマの目的に適った表領域マッピングを構成するために使用します。
    1. 表領域情報の指定が終了したら、「次へ」をクリックします。
      新規スキーマの表領域の作成について確認を求めるダイアログ・ボックスが表示されます。
    2. 「OK」をクリックして続行します。ダイアログ・ボックスが表示され、表領域作成の進行状況が示されます。
    3. 表領域が作成されたら、「OK」をクリックしてこのウィンドウを閉じます。
  9. 「サマリー」画面で、情報を検証し、「作成」をクリックしてスキーマ作成を開始します。
  10. 「完了サマリー」画面の情報を確認し、「閉じる」をクリックしてこの画面を終了します。
    「完了サマリー」画面には、このRCU操作で作成されたログ・ファイルに関する情報が表示されます。特定のログ・ファイルの名前をクリックして、そのファイルの内容を表示できます。
2.6.3.2 構成ウィザードを使用したOUD/OUDSMドメインの構成

Fusion Middleware構成ウィザードを使用して新しいドメインを作成するか既存のドメインを拡張することで、OUD/OUDSM用のドメインを構成できます。

ノート:

既存のドメインを更新してOUDを追加する場合(たとえば、OUDをDIPドメインに追加する場合)、ステップ4と5に記載された構成ウィザード画面は実際には表示されず、「データベース構成タイプ」ページ(ステップ6)に直接スキップします。

OUD/OUDSM用の新しいドメインを作成または既存のドメインを拡張するには:

  1. ORACLE_HOME/oracle_common/common/binディレクトリから構成ウィザードを起動します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    ./config.sh

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    config.cmd

    「構成タイプ」画面が表示されます。

  2. 「構成タイプ」画面で、次のステップを実行します。
    1. 新しいドメインを作成するか、既存のドメインを拡張できます。

      • 新しいドメインを作成するには、「新しいドメインの作成」を選択します。

      • 既存のドメインを拡張するには、「既存ドメインの更新」を選択します。

    2. ドメインのフルパスを入力するか、「参照」ボタンを使用してドメインがあるディレクトリに移動します。

    3. 「次へ」をクリックします。

  3. 「テンプレート」画面では、「製品テンプレートを使用してドメインを作成」が選択されていることを確認し、次のテンプレートを選択します。
    1. ステップ2で選択した構成に基づいて正しい選択が行われていることを確認します。

      • 「新しいドメインの作成」を選択した場合、「製品テンプレートを使用してドメインを作成」が選択されていることを確認します。

      • 「既存のドメインの更新」を選択した場合、「製品テンプレートを使用してドメインを更新」が選択されていることを確認します。

    2. 次のテンプレートを選択します。

      • Oracle Unified Directory - 12.2.1.3.0 [oud]

      • Oracle Unified Directory Services Manager - 12.2.1.3.0 [oud]

        OUDSMを選択すると、Oracle JRF - 12.2.1.3.0 [oracle_common]が自動的に選択されます。

    3. 「次へ」をクリックします。

  4. 「管理者アカウント」画面では、ドメインに対するデフォルトのWebLogic管理者アカウントのユーザー名とパスワードを指定します。
    パスワードは8文字以上の長さで、数字または特殊文字を1つ以上含む必要があります。パスワードを確認して、「次へ」をクリックします。
    次の手順でWebLogicドメインの起動または再起動に必要となるため、これらの詳細をノートにとっておいてください。
  5. 「ドメイン・モードおよびJDK」画面を使用して、ドメイン・モードおよびJava Development Kit (JDK)を指定します。
    1. 「ドメイン・モード」フィールドで、「本番」を選択します。

      ノート:

      「本番」モードをドメインとして選択した場合、ノード・マネージャにはランダムなユーザー名とパスワードが割り当てられます。WebLogic Server管理コンソールを使用して、パスワードをリセットします。

    2. 「Oracle Hotspot」をデフォルトのJDKの場所として受け入れます。
    3. 「次へ」をクリックします。
  6. 「データベース構成タイプ」画面で、「RCUデータ」を選択します。このオプションでは、構成ウィザードに対して、データベースのサービス表(STB)スキーマに接続し、ドメインの構成に必要なスキーマのスキーマ情報を自動的に取得するように指示します。
    RCUデータを選択後:
    1. 「ホスト名」フィールドに、データベースをホストしているサーバーの名前を入力します。
    2. 「DBMS/サービス」フィールドでサービス・タイプ・ドライバを選択した場合は、データベースDBMS名またはサービス名を入力します。
    3. データベースがリスニングするポート番号を入力します。
    4. データベースのサービス表スキーマに接続するためのユーザー名とパスワードを入力します。
    5. RCU構成の取得をクリックしてスキーマ情報を取得します。
    6. スキーマ情報を正常に取得したら、「次へ」をクリックして、続行します。
  7. 「JDBCコンポーネント・スキーマ」画面に移入された値が、すべてのスキーマについて適切であることを確認し、「次へ」をクリックします。
  8. 「JDBCコンポーネント・スキーマ・テスト」画面を使用して、構成したデータソース接続をテストします。
    「ステータス」列に示される緑色のチェック・マークは、テストが成功したことを表します。問題が発生した場合は、この画面の「接続結果ログ」セクションに示されるエラー・メッセージを確認し、問題を修正してから接続テストを再試行してください。
  9. 「拡張構成」画面を使用して、ドメイン構成を完了します。
    ドメイン構成を完了するには、次のいずれかのオプションを選択します。
    • 管理サーバー: 管理サーバーのリスニング・アドレスを適切に構成するために必要です。
    • ノード・マネージャ: ノード・マネージャの構成に必要です。
    • トポロジ: 管理対象サーバーとクラスタの構成に必要ですが、システムを構成して管理対象サーバーをシステムにターゲット指定するためにも必要です。
    • ドメイン・フロントエンド・ホストのキャプチャ: ドメイン・フロントエンド・ホストの構成に必要です。
    • デプロイメントとサービス: サーバーまたはクラスタにターゲット指定するのに必要です。
    「次へ」をクリックします。
  10. 「構成サマリー」画面で各項目をレビューして、情報が正しいことを確認します。
    変更するには、「戻る」ボタンをクリックするか、ナビゲーション・ペインの画面を選択していずれかの画面に戻ります。「作成」または「更新」をクリックするまで、ドメインの作成またはドメインの拡張は開始されません。
  11. 「構成に成功しました」画面に、構成したばかりのドメインに関する情報が表示されます。
    「終了」をクリックして、構成ウィザードを閉じます。

2.7 管理サーバーの起動

WebLogicドメインの構成が完了したら、管理サーバーを起動してドメインを管理できます。OUDSMはこのWebLogic管理サーバーも使用するため、管理サーバーが起動されて実行されれば、OUDSMも有効に実行されます。

管理サーバーを起動するには:

  1. 次の場所から管理サーバーを起動するためのスクリプトを実行します。

    UNIXオペレーティング・システムの場合:

    $ domain-home/bin/startWebLogic.sh
    

    Windowsオペレーティング・システムの場合:

    domain_home\startWebLogic.cmd

    ノート:

    • 管理サーバーを起動するdomain-homeは、OUDおよびOUDSM用にドメインを構成する方法によって異なります。

    • 構成タイプとして「既存ドメインの更新」を選択して、OUDSMを既存のDIPドメインに追加した場合、既存の管理サーバーおよび管理対象サーバーを再起動して、OUDSMアプリケーションをデプロイしてアクセス可能にする必要があります。

  2. ブラウザからOracle Unified Directory Services Managerにアクセスして、管理サーバーが起動され実行中であることを確認します。ブラウザで次のURLを使用してOUDSMにアクセスします。
    http://hostname:7001/oudsm
    

    この場合、hostnameはWebLogic Serverがインストールされているサーバーの名前です。7001はWebLogic管理サーバーのデフォルトの管理ポートです。

    ノート:

    OUDSMにアクセスする前に、管理サーバーが起動しており、稼働中であることを確認してください。サーバーの起動プロセスが正常に完了すると、次のメッセージが表示されます。

    <Notice> <WebLogicServer> <BEA-000360> <Server started in RUNNING mode>

2.8 ノード・マネージャの起動

コマンドライン・インタフェースを使用してノード・マネージャを起動できます。

  1. 次のディレクトリに移動します。
    $ cd $DOMAIN_HOME/bin
  2. スクリプトを実行してノード・マネージャを起動します。
    ./startNodeManager.sh

2.9 Oracle Unified Directoryのサイレント・インストールの実行

サイレント・インストールでは、グラフィック出力がなく、ユーザー入力も要求されないため、製品のインストールを監視する必要がありません。

Oracle Unified Directoryのサイレント・インストールを実行するには:

  1. viやemacsなどのテキスト・エディタを使用して、任意のディレクトリにレスポンス・ファイル(install.rsp)を作成します。レスポンス・ファイルは、Oracle Unified Directoryのインストールに固有の情報を提供します。
    [ENGINE]
     
    #DO NOT CHANGE THIS.
    Response File Version=1.0.0.0.0
     
    [GENERIC]
     
    #The oracle home location. This can be an existing Oracle Home or a new Oracle Home
    ORACLE_HOME=/home/Oracle/products/Oracle_Home
     
    #Set this variable value to the Installation Type selected. Possible values: Standalone Oracle Unified Directory Server (Managed independently of WebLogic server), Collocated Oracle Unified Directory Server (Managed through WebLogic server).
    INSTALL_TYPE=Standalone Oracle Unified Directory Server (Managed independently of WebLogic server)
     
    #Provide the My Oracle Support Username. If you want to ignore Oracle Configuration Manager configuration provide empty string for user name.
    MYORACLESUPPORT_USERNAME=
     
    #Provide the My Oracle Support Password
    MYORACLESUPPORT_PASSWORD=<SECURE VALUE>
    
    #Set this to true if you want to decline the security updates. Setting this to true and providing empty string for My Oracle Support username will ignore the Oracle Configuration Manager configuration
    DECLINE_SECURITY_UPDATES=true
     
    #Set this to true if My Oracle Support Password is specified
    SECURITY_UPDATES_VIA_MYORACLESUPPORT=false
     
    #Provide the Proxy Host
    PROXY_HOST=
     
    #Provide the Proxy Port
    PROXY_PORT=
     
    #Provide the Proxy Username
    PROXY_USER=
     
    #Provide the Proxy Password
    PROXY_PWD=<SECURE VALUE>
    
    #Type String (URL format) Indicates the OCM Repeater URL which should be of the format [scheme[Http/Https]]://[repeater host]:[repeater port]
    COLLECTOR_SUPPORTHUB_URL=
    
  2. viやemacsなどのテキスト・エディタを使用して、任意のディレクトリにoraInst.locファイルを作成します。このファイルは、次の2行で構成されています。
    inventory_loc=oui_inventory_directory
    inst_group=oui_install_group

    oui_inventory_directoryを、インベントリ・ディレクトリを作成するディレクトリへのフルパスに置換します。さらに、oui_install_groupを、このディレクトリに対する書込み権限を持つメンバーのグループ名に置換します。

    たとえば、

    inventory_loc=/home/exampleuser/oraInst.loc
    inst_group=dba

    Oracleインベントリ・ディレクトリは、コンピュータにインストールされたすべてのOracle製品を記録します。このインベントリ・ディレクトリは、oraInst.locというファイルに格納されています。

  3. 次のコマンドを実行してサイレント・インストールを実行します。
    java –jar distribution_name.jar –silent –responseFile file –invPtrLoc file
    

    たとえば、Oracle Unified Directoryをインストールするには、次のコマンドを実行します。

    /home/Oracle/jdk/jdk1.8.0_121/bin/java –jar fmw_12.2.1.3.0_oud_generic.jar –silent –responseFile /home/exampleuser/response/install.rsp –invPtrLoc /home/exampleuser/oraInst.loc
    

2.10 Oracle Directory Integration Platformと組み合せたOracle Unified Directoryの構成

Oracle Directory Integration Platformは、ご使用のアプリケーションやディレクトリ(サード・パーティのLDAPディレクトリなど)とOracle Unified Directoryとの統合を可能にするJava EEアプリケーションです。

Oracle Directory Integration Platformは、他のエンタープライズ・リポジトリとともに同期化ソリューションをデプロイできるようにするためのサービスとインタフェースを提供します。Oracle Unified Directoryとサード・パーティのメタディレクトリ・ソリューションとの相互運用性を実現するためにも使用できます。

たとえば、Oracle Fusion Middleware環境では、Oracleコンポーネントへのアクセスは、Oracle Unified Directoryに格納されているデータに基づいて行いますが、企業の中央ディレクトリとしてMicrosoft Active Directoryも使用できます。これらのディレクトリのユーザーがOracleコンポーネントにアクセスできるのは、Oracle Directory Integration Platformにより、Microsoft Active Directory内のデータを、Oracle Unified Directory内のデータと同期化できるためです。

Oracle WebLogic ServerドメインでOracle Unified DirectoryOracle Unified Directory Services Manager、Oracle Directory Integration PlatformおよびFusion Middleware Controlを構成するには、『Oracle Directory Integration Platformの管理』Oracle Unified Directoryの構成に関する項を参照してください。