16 Oracle BAMの監視および管理
この章では、システムの動作を最適に保つために、Oracle Business Activity Monitoring (Oracle BAM)を監視および管理する方法について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
16.1 Oracle BAMの監視および管理の理解
Oracle BAMは、BAMコンポーザ、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびOracle User Messaging Serviceを使用して、監視されます。
BAMコンポーザの「管理者」ページで、連続した問合せおよびビューセットを監視します。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを使用してOracle BAMのいくつかの側面を監視および管理します。MBeanプロパティ、パフォーマンス・メトリック、ログ・ファイル、Webサービス、Oracle User Messaging Serviceなどが対象となります。
Fusion Middleware Controlで3つMBeanプロパティを設定して、BAM診断フレームワークを有効にします。診断情報を確認するには、BAMデータ・オブジェクトの場合と同様に、診断データ・オブジェクトを使用します。
16.2 連続した問合せの監視
連続した問合せの監視ページを使用すると、BAMサーバー・インスタンスの複数のプロジェクトにおける連続した問合せをすべて監視できます。
連続した問合せの詳細は、「ビジネス問合せの作成」を参照してください。
連続した問合せを監視するには:
16.3 ビューセットの監視
マスター・ビューセットには、データ・スナップショットで問合せ結果と、同じ問合せおよび行セキュリティ・フィルタを使用する、同じプロジェクト内のビジネス・ビューの前回のスナップショット以降の変更が保持されます。
特定の問合せに対して、ダッシュボードで最初にビューを開くと、マスター・ビューセットが作成されます。同じ問合せを使用する他のビューを開くと、スレーブ・ビューセットが作成されます。
ビューセットによって、時間のかかる問合せの再実行が最小化され、プッシュ・ベースのメカニズムを使用してビューが増分更新されるようになります。
現在開いているマスター・ビューセットの数と、各マスターを共有しているスレーブ・ビューセットの数を監視する必要があります。このことは、Oracle BAMシステムに対する現在の負荷の判断に役立つことがあります。
ビューセットを監視するには:
16.4 BAMサーバーおよびサービスの状態の監視
Oracle BAMサーバーとそのサービスを監視して、操作の問題をリアルタイムにトラブルシューティングできます。
次のURLでOracle BAMサーバーとそのサービスの現在の状態を表示できます。
http://host:port/oracle/bam/server
たとえば:
http://www.example.com:7001/oracle/bam/server
デフォルトのOracle BAMサーバー・ポートは7001です。これは、Oracle WebLogic Server管理サーバー・ポートとは異なる場合があります。
「説明」表には次の情報が表示されます。
-
サーバー名 — Oracle BAM専用のOracle WebLogic Server管理対象サーバー名(
bam_server1
など)。 -
サーバーの状態 — サーバーの現在の状態(実行中や停止など)。
-
サーバーのバージョン — BAMサーバーのリリース・バージョン。
-
ビルド番号 — BAMサーバーのビルド番号。
-
ビルド・ラベル — ビルド・ラベルは、Oracle WebLogic Server管理対象サーバー上のOracle BAMアプリケーションに対応するデプロイメントの名前です。
-
ビルド日付 — BAMサーバーのビルド日付。
-
スキーマ・バージョン — BAMサーバーのスキーマ・バージョン。スキーマによりBAMデータ・オブジェクトの構造を制御します。
「サービス・ステータス」表には、永続性、レポート・キャッシュ、アラート・エンジン、エンタープライズ・メッセージなどの各サービスの状態(実行中や停止など)が表示されます。
ノート:
BAMコンポーザは、セッションの複製について機能制限があります。たとえば、クラスタ化したサーバー環境では、Server1がユーザーXのリクエストに応答している場合、ユーザーXが複数のタブとポップアップを開いています。Server1で障害が発生した場合、ユーザーXからの後続のリクエストにはServer2が応答する必要があり、HTTPセッション、開かれているタブ、ポップアップなどのセッション・オブジェクト全体がシームレスに機能する必要があります。しかし、機能制限があるためServer2にはHTTPタブしか複製されず、開かれているタブとポップアップは閉じられて、アプリケーションではホーム・ページが表示されます。ユーザーXからの後続のリクエストは、Server2によって処理されます。セッションの複製時にユーザー・インタフェースをクリックすると、エンド・ユーザーには500または503エラーが示されます。
続行するには、ページを更新します。
16.5 BAMサーバーのMBeanプロパティの構成
Oracle BAMサーバーのMBeanプロパティを構成するには、Fusion Middleware Controlを使用します。
BAM MBeanプロパティを設定するには:
16.6 BAM診断フレームワークの使用
Fusion Middleware Controlで3つMBeanプロパティを設定して、BAM診断フレームワークを有効にします。診断情報を確認するには、BAMデータ・オブジェクトの場合と同様に、診断データ・オブジェクトを使用します。
次のBAM MBeanプロパティを使用して、BAM診断フレームワークを制御します。
-
DiagnosticEnabled —
true
に設定すると、診断フレームワークが有効になります。デフォルトは、false
です。 -
DiagnosticLevel — 診断ロギング・レベルを
INFO
またはDEBUG
に設定します。DEBUG
レベルでは、詳細な診断ログが提供されます。デフォルトはINFO
です。 -
DiagnosticComponents — 診断メッセージの記録対象となるBAMコンポーネントを指定します。次の任意のコンポーネントをカンマ区切りリストで指定します。
-
ADF
—Oracle BAMのベースとなる下位レベルのコンポーネントを提供するApplication Development Frameworkです。 -
DC
—データ・オブジェクトおよび問合せへのデータ・フローを管理するデータ・コントロールです。 -
RC
—問合せ結果を受信してキャッシュに格納し、その結果をダッシュボードおよびアラート・サービスにプッシュするレポート・キャッシュです。 -
CQS
—連続した問合せ結果を配信する、連続した問合せサービスです。 -
ALERTS_ENGINE
—問合せ結果とアラート・イベントおよび条件を比較し、対応するアラート・アクションおよび通知を実行するアラート・サービスです。 -
COMPOSER
—ブラウザベースのBAMインタフェースであるBAMコンポーザです。 -
COMMON_QUERY
—連続していない問合せ結果を配信する共通問合せサービスです。
デフォルトでは、すべてのコンポーネントが対象となります。
-
これらのプロパティを設定する場合は、「BAMサーバーのMBeanプロパティの構成」を参照してください。
すべての診断メッセージは、単純なデータ・オブジェクトであるBASE_METRICSに保存されます。レポート・キャッシュ、アラート・サービスおよび連続した問合せサービスに関連する詳細は、モジュール固有の導出されたデータ・オブジェクトRC_METRICS、ALERTS_METRICSおよびCQS_METRICSに永続化されます。これらのデータ・オブジェクトは、診断フレームワークが有効な場合に作成されます。
これらの診断データ・オブジェクトは、他のデータ・オブジェクトと同じように使用できます。たとえば、問合せ、ビュー、アラートおよびダッシュボードを作成して診断データを監視できます。
16.7 Oracle BAMのパフォーマンスの監視
Oracle BAMのパフォーマンスは、メトリックと統計に反映されます。Oracle BAMサーバーには、適切なメトリックを表示する「パフォーマンス・サマリー」ページがあります。
BAMパフォーマンスを監視するには:
各メトリックの詳細は、『Oracle Enterprise Manager Oracle Fusion Middlewareメトリック・リファレンス・マニュアル』を参照してください。
16.8 Oracle BAMパフォーマンスのチューニング
Oracle BAMの動作が予想以上に遅い場合は、次の方法でチューニングできます。
-
エンタープライズ・メッセージ・ソースまたは他のソースからデータ・オブジェクトへのデータのスループットが遅い場合は、主キー列に索引列を作成してください。詳細は、「索引列の追加」を参照してください。
-
Oracle BAMの動作が遅く、メモリー不足例外が発生する場合は、
USER_MEM_ARGS
を調整して、割当てメモリーを増やします。次のコマンドを(cshで)使用し、引数として-Xms2048m
および-Xmx2048m
を指定します。setenv USER_MEM_ARGS "-Xms2g -Xmx2g -XX:NewSize=1g -XX:+CMSConcurrentMTEnabled -XX:+UseConcMarkSweepGC"
Oracle BAMパフォーマンスのチューニング方法のその他のヒントは、パフォーマンスのチューニングのOracle Business Activity Monitoringのチューニングに関する項を参照してください。
16.10 Oracle BAM Webサービスの監視
Oracle BAMのWebサービスには、DataObjectDefinition、DataObjectOperationsByName、DataObjectOperationsByID、DataObjectOperations10131およびManualRuleFireがあります。
詳細は、「Oracle BAM Webサービスの使用」を参照してください。
Oracle BAM Webサービスを監視するには、Fusion Middleware Controlを使用します。
BAM Webサービスを監視するには:
「Java EE Webサービス」表には、呼出し数、レスポンス数、レスポンス・エラー数、平均実行時間(ミリ秒)および平均レスポンス時間(ミリ秒)に関する統計が表示されます。
16.11 Oracle BAMの可用性の管理
Oracle BAMの高可用性は、Oracle WebLogic Serverの高可用性に基づきます。
ノート:
クラスタ内のすべてのOracle BAMサーバー・インスタンスの時間がUTCと同期されていることを確認してください。時間差があると、連続した問合せでイベントが失われる可能性があります。
Oracle BAMサーバー・インスタンスは、Fusion Middleware Controlを使用して起動および停止できます。
Oracle BAMのFusion Middleware Controlプロパティのページまたは構成ファイルで構成を変更した場合は、再起動が必要です。
Fusion Middleware ControlでOracle BAMサーバーを起動または停止するには:
16.12 Oracle User Messaging Serviceの構成
アラートの電子メール通知を送信するには、Fusion Middleware ControlでOracle User Messaging Service (UMS)を適切に構成する必要があります。
UMSの電子メール・ドライバは、拒否された電子メールも含めたすべての配信失敗について、Oracle BAMサーバー用に構成された電子メール・アカウントのアウトバウンドを監視します。電子メールの配信失敗通知は非同期です。つまり、電子メールの拒否通知の受信期限はありません。
UMSをSSLで動作させるには、Oracle WebLogic ServerドメインのsetDomainEnv.sh
ファイルにあるJVM引数からjavax.net.ssl.trustStore
を削除します。
UMSを構成するには:
-
Fusion Middleware Controlコンソールにログインします。
-
BAMサーバーが実行されていることを確認します。
-
ターゲット・ナビゲーション・ペインで、Business Activity Monitoringノードを開きます。
-
Business Activity Monitoringノードの下位にあるBamServerノードを右クリックします。
たとえば、BamServerノードは
BamServer (bam_server1)
とします。 -
メニューから「制御」→「起動」を選択します。
BAMサーバーが実行されていない場合は、サーバーが起動されます。すでに実行されている場合は、
「アプリケーションはすでに実行中です」
エラー・メッセージが表示されます。
-
-
ターゲット・ナビゲーション・ペインで、ユーザー・メッセージング・サービス・ノードを開きます。
-
usermessagingdriver-email (bam_server1)ノードを右クリックします。
-
「電子メール・ドライバ・プロパティ」メニュー・アイテムを選択します。
「電子メール・ドライバ・プロパティ」ページが表示されます。
-
次のプロパティを設定または確認します。電子メール・アドレスとメール・サーバー名の値は例です。
-
デフォルトの送信者アドレスの使用:
EMAIL:example@example.com
-
電子メール受信プロトコル —
IMAP
-
接続再試行制限 —
–1
-
メッセージ・クリーンアップ頻度 —
600
-
自動削除 — 未選択
-
デバッグ・モード — 未選択
-
メッセージ取得頻度 —
30
-
メッセージ・フォルダ —
INBOX
-
送信メール・サーバー —
mailserver.example.com
-
送信メール・サーバー・ポート —
465
-
送信メール・サーバー・セキュリティ —
SSL
-
デフォルト送信元アドレス —
example@example.com
-
送信ユーザー名 —
example@example.com
-
送信パスワード — ドロップダウンからクリア・テキスト・パスワードを選択
-
受信メール・サーバー —
mailserver.example.com
-
受信メール・サーバー・ポート —
993
-
SSLの有効化 — 選択
-
受信メールID —
example@example.com
-
受信ユーザーID —
example@example.com
-
受信パスワード — ドロップダウンからクリア・テキスト・パスワードを選択
-
メッセージ処理チャンク・サイズ —
100
-
プレーンテキスト認証の無効化 — 未選択
-
-
「適用」をクリックしてプロパティの変更を保存します。
-
ターゲット・ナビゲーション・ペインで、Business Activity Monitoringノードを開きます。
-
Business Activity Monitoringノードの下位にあるBamServerノードをダブルクリックします。
たとえば、BamServerノードは
BamServer (bam_server1)
とします。「BAMプロパティ」ページが開き、「BAMシステム設定」および「アラート・エンジン」プロパティが表示されます。
-
「送信者電子メールID」プロパティの値として、デフォルトの送信者アドレスを入力します。たとえば、
example@example.com
と入力します。 -
「適用」をクリックして変更を保存します。