1 リスナー制御ユーティリティ

この章では、リスナー制御ユーティリティのコマンドおよび構文について説明します。SQL*NetおよびNet Servicesという用語は、すべてのOracleドキュメントで区別なしに使用されます。

1.1 リスナー制御ユーティリティの概要

リスナー制御ユーティリティでは、リスナーを管理できます。リスナー制御ユーティリティ・コマンドを使用すると、1つ以上のリスナーで基本的な管理機能を実行できます。また、パラメータの設定を表示および変更できます。

リスナー制御ユーティリティ・コマンドの基本的な構文は、次のとおりです。

lsnrctl command listener_name

前述のコマンドのlistener_nameは、管理する必要があるリスナーの名前です。コマンド文字列に特定のリスナーを指定しない場合、コマンドはデフォルトのリスナー名LISTENERに送信されます。

リスナー制御ユーティリティ・コマンドは、LSNRCTL>プログラムのプロンプトでも発行できます。プロンプトを取得するには、オペレーティング・システムのコマンドラインで引数を指定せずにlsnrctlを入力します。lsnrctlを実行すると、プログラムが開始されます。開始後は、プログラム・プロンプトから必要なコマンドを入力できます。LSNRCTL>プログラム・プロンプトからコマンドを発行する基本的な構文は、次のとおりです。

lsnrctl
LSNRCTL> command listener_name

複数のコマンドを標準的なテキスト・ファイルにまとめると、一連のコマンドとして実行できます。バッチ・モードで実行するには、次のフォーマットを使用します。

lsnrctl @file_name

バッチ・スクリプト内のコメントを特定するには、REMまたは#を使用します。他の行はすべてコマンドとみなされます。一般的に確認が必要なコマンドも、バッチ処理中は確認の必要がありません。

大半のコマンドでは、リスナー制御ユーティリティによって、コマンドの送信に使用されるリスナーとOracle Netとの接続が確立されます。リスナーへのOracle Net接続を開始するには、リスナー制御ユーティリティによって、指定したリスナーのプロトコル・アドレスまたはLISTENERという名前のリスナーを取得する必要があります。取得するには、次のメカニズムのいずれか1つを使用してリスナー名を解決します。

  • 環境変数TNS_ADMINで指定されているディレクトリのlistener.oraファイル

  • ORACLE_HOME/network/adminディレクトリ内のlistener.oraファイル。

  • ネーミング・メソッド。たとえば、tnsnames.oraファイル。

前述のメカニズムでリスナー名を解決できない場合、リスナー制御ユーティリティはデフォルトのリスナー名LISTENERを使用し、ホスト名/IPアドレスを解決してポート1521を使用します。

リスナー制御ユーティリティでは、次のタイプのコマンドをサポートしています。

  • STARTSTOPなどの操作コマンド

  • SET TRC_LEVELなどの修飾コマンド

  • STATUSSHOW LOG_FILEなどの情報コマンド。

1.2 リスナー制御ユーティリティのSETコマンドおよびSHOWコマンド

SETおよびSHOWコマンドを使用すると、リスナー構成パラメータを変更および表示できます。

SETコマンドを使用すると、指定したリスナーのパラメータ値を変更できます。管理対象のリスナーの名前は、SET CURRENT_LISTENERコマンドを使用して設定します。パラメータの値は、リスナーがシャットダウンされるまで有効です。設定を永続的に保持する場合は、変更内容をSAVE_CONFIGコマンドを使用してlistener.oraファイルに保存します。

SHOWコマンドを使用すると、構成設定の現行の値を表示できます。

1.3 分散処理

リスナー制御ユーティリティでは、リスナーの操作をローカルまたはリモートで実行できます。

リスナーをリモート管理するためのコンピュータ設定

リスナー制御ユーティリティ(lsnrctl)実行可能ファイルがORACLE_HOME/binディレクトリにインストールされていることを確認します。listener.oraファイルまたはネーミング・メソッドを使用すると、管理する必要があるリスナーの名前を解決できます。

リモートからリスナーを管理するときには、STARTを除くすべてのコマンドを発行できます。ただし、リスナー制御ユーティリティでは、そのユーティリティを実行している同じコンピュータからのみリスナーを開始できます。

コマンドを発行するときは、リスナー名を引数に指定します。コマンドでリスナー名を省略すると、コマンドSET CURRENT_LISTENERで設定したリスナー名が使用されます。コマンドでリスナー名が設定されていない場合、コマンドはデフォルトのリスナー名LISTENERに送られます。

例1-1 リスナー制御ユーティリティを使用したコマンドの発行

LSNRCTL> SERVICES lsnr

1.4 Oracle Net Listenerのセキュリティ

リスナー管理の認証は、リスナーにローカルにアクセスするか、リモートからアクセスするかによって異なります。

ローカル・リスナー管理は、ローカル・オペレーティング・システム認証によって保護されています。この認証では、リスナーの管理をリスナーを起動したユーザー・アカウントまたはスーパーユーザーに制限します。デフォルトでは、リモート・リスナーの管理は無効になっています。

デフォルト・モードでリスナーの管理を実行し、リモート・ログインを使用してシステムにリモートでアクセスすることをお薦めします。リスナーをリモート管理する場合は、Oracle Enterprise Manager Cloud ControlかSecure Shell (SSH)のいずれかを使用してリモート・ホストにアクセスします。

1.5 リスナー制御ユーティリティのコマンド

リスナー制御ユーティリティ・コマンドを使用して、リスナーを管理および構成します。

1.5.1 EXIT

リスナー制御ユーティリティ・コマンドEXITは、リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻します。

用途

リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻ります。

前提条件

なし

構文

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> EXIT

引数

なし

使用上のノート

このコマンドは、QUITコマンドと同じです。

LSNRCTL> EXIT

1.5.2 HELP

リスナー制御ユーティリティ・コマンドHELPは、リスナー制御ユーティリティのすべてのコマンドのリストや、特定のリスナー制御ユーティリティ・コマンドの構文ヘルプを表示します。

用途

リスナー制御ユーティリティの全コマンドのリストや、特定のリスナー制御ユーティリティのコマンドの構文ヘルプを表示します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl HELP command

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> HELP command

引数

command: リスナー制御ユーティリティ・コマンド。コマンドは、次の出力例のように表示されます。

HELPへの引数としてコマンドを入力すると、そのコマンドの使用方法に関する情報が表示されます。引数なしでHELPを入力すると、全コマンドのリストが表示されます。

LSNRCTL> HELP
The following operations are available 
An asterisk (*) denotes a modifier or extended command: 
exit 
quit
reload
services
set* 
show*
spawn 
start
status 
stop 
trace
version

1.5.3 QUIT

リスナー制御ユーティリティ・コマンドQUITは、リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻します。

用途

リスナー制御ユーティリティを終了し、オペレーティング・システムのプロンプトに戻ります。

前提条件

なし

構文

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> QUIT

引数

なし

使用上のノート

このコマンドは、EXITコマンドと同じです。

LSNRCTL> QUIT

1.5.4 RELOAD

リスナー制御ユーティリティ・コマンドRELOADにより、listener.oraファイルが再ロードされます。そのため、リスナーを停止することなく、静的に構成されたサービスを追加または変更できます。

用途

listener.oraファイルを再ロードします。このコマンドは、実際にリスナーを停止することなく、静的に構成されているサービスを追加または変更できます。

このコマンドを実行すると、以前リスナーに動的に登録されていたデータベース・サービス、インスタンス、サービス・ハンドラおよびリスニング・エンドポイントが登録解除され、その後、再度登録されます。

登録を削除せずに軽量の再ロードを取得するには、オプション–with_haを使用します。このオプションを使用すると、再ロード中に登録済のサービスがクライアントで使用可能な状態に保たれます。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl RELOAD [-with_ha] listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> RELOAD [-with_ha] listener_name

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

-with_ha: RELOADとともに使用されるコマンド・オプション。これは、既存の登録を削除せずにlistener.oraの再ロードが完了したことを示します。

LSNRCTL> RELOAD
Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
The command completed successfully

1.5.5 SAVE_CONFIG

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSAVE_CONFIGは、リスナーの現在の構成状態をlistener.oraファイルに保存します。

用途

トレース・レベル、トレース・ファイル、トレース・ディレクトリを含め、リスナーの現行の構成状態を保存し、listener.oraファイルにロギングします。すべての変更は、フォーマット、コメントおよび文字の大/小文字をできるかぎり保持しながらlistener.oraに格納されます。listener.oraファイルの変更の前に、listener.bakと呼ばれるバックアップ・ファイルが作成されます。

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SAVE_CONFIG listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SAVE_CONFIG listener_name

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

使用上のノート

このコマンドを使用すると、実行時の構成のすべての変更をlistener.oraファイルに保存できます。

LSNRCTL> SAVE_CONFIG listener
Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
Saved LISTENER configuration parameters.
Listener Parameter File   /oracle/network/admin/listener.ora
Old Parameter File   /oracle/network/admin/listener.bak
The command completed successfully

1.5.6 SERVICES

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSERVICESは、リスナーがクライアント接続リクエストを転送する先のデータベース・サービス、インスタンスおよびサービス・ハンドラに関する詳細情報を返します。

用途

リスナーのクライアント接続リクエストの転送先のデータベース・サービス、インスタンスおよびサービス・ハンドラ(ディスパッチャと専用サーバー)に関する詳細情報を取得します。

前提条件

なし

構文

引数

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SERVICES listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SERVICES listener_name

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

使用上のノート

SET DISPLAYMODEコマンドによって、出力のフォーマットと詳細レベルが変更されます。

関連項目:

SERVICESの出力の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

この例では、デフォルトの表示モードでSERVICES出力を表示します。出力には、次の内容が表示されます。

  • sales1.us.example.comおよびsales2.us.example.comの2つのサービスに属するsalesという名前のインスタンス。このインスタンスには合計3つのサービス・ハンドラがあります。

  • サービスsales1.us.example.comは、1つのディスパッチャでのみ処理されます。

  • サービスsales2.us.example.comは、次の出力で指定されているように、1つのディスパッチャと1つの専用サーバーで処理されます。

LSNRCTL> SERVICES
Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net)))
Services Summary...
Service "sales1.us.example.com" has 1 instance(s).
  Instance "sales", status READY, has 1 handler(s) for this service...
    Handler(s):
      "D000" established:0 refused:0 current:0 max:10000 state:ready
         DISPATCHER <machine: sales-server, pid: 5696>
         (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=53411))
Service "sales2.us.example.com" has 1 instance(s).
  Instance "sales", status READY, has 2 handler(s) for this service...
    Handler(s):
      "DEDICATED" established:0 refused:0 state:ready
         LOCAL SERVER
      "D001" established:0 refused:0 current:0 max:10000 state:ready
         DISPATCHER <machine: sales-server, pid: 5698>
         (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=52618))
The command completed successfully

関連項目

1.5.7 SET

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSETは、リスナーのパラメータ値を変更します。

用途

リスナーのパラメータ値を変更します。パラメータ値の変更は、リスナーがシャットダウンされるまで有効です。変更を永続的なものにするには、SAVE_CONFIGコマンドを使用して変更内容をlistener.oraファイルに保存します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET parameter

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET parameter

引数

parameter: 構成の設定を変更するSETパラメータ。パラメータは、次の出力例のように表示されます。

引数なしでSETを入力すると、全パラメータのリストが表示されます。

使用上のノート

SETコマンドを使用してデフォルトのリスナーLISTENER以外のリスナーの構成を変更する場合は、SET CURRENT_LISTENERコマンドを使用して管理対象のリスナー名を設定します。

LSNRCTL> SET
The following operations are available with set.
An asterisk (*) denotes a modifier or extended command.
current_listener 
displaymode
inbound_connect_timeout
log_file
log_directory
log_status
rawmode
save_config_on_stop 
trc_file
trc_directory
trc_level 

1.5.8 SET CURRENT_LISTENER

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET CURRENT_LISTENERは、管理する必要があるリスナーの名前を設定します。

用途

管理する必要があるリスナーの名前を設定します。このコマンドでリスナー名を設定した後は、後続のコマンドを発行できます。後続のコマンドは、通常、リスナーを指定せずにlistener_nameを必要とします。

構文

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET CURRENT_LISTENER listener_name

引数

listener_name: デフォルトの名前LISTENERを使用していない場合のリスナー名。

使用上のノート

SET CURRENT_LISTENERを使用してリスナー名を指定すると、リスナー制御ユーティリティ・コマンドは、このコマンドで指定したリスナー名を処理します。リスナーの名前の指定を続行する必要はありません。

LSNRCTL> SET CURRENT_LISTENER lsnr
Current Listener is lsnr

1.5.9 SET DISPLAYMODE

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET DISPLAYMODE

用途

SERVICESコマンドおよびSTATUSコマンドのフォーマットと詳細レベルを変更します。

構文

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET DISPLAYMODE {compat | normal | verbose | raw}

引数

次のいずれかのモードを指定します。

compat: リスナーの以前のリリースと互換性のある出力。

normal: フォーマット済の記述的な出力。オラクル社では、このモードをお薦めします。

verbose: リスナーから受信した全データをフォーマットした記述的な出力。

raw: リスナーから受信した全データをフォーマットせずに表示。この引数は、Oracleサポート・サービスが推奨した場合にのみ使用してください。

LSNRCTL> SET DISPLAYMODE normal
Service display mode is NORMAL

関連項目

1.5.10 SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET INBOUND_CONNECT_TIMEOUTは、ネットワーク接続を確立した後にクライアントがリスナーへの接続リクエストを完了するまでの時間(秒単位)を指定します。

用途

ネットワーク接続の確立後、クライアントからリスナーへの接続リクエストの完了までの時間を秒単位で指定します。

リスナーが指定の時間内にクライアント・リクエストを受信しない場合、接続は終了します。また、クライアントのIPアドレスと、エラー・メッセージ「ORA-12525:TNS: TNS: リスナーは、クライアントのリクエストを許容時間内に受信しませんでした」がlistener.logファイルに記録されます。

関連項目:

クライアントの接続に関するタイムアウトの指定方法は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

構文

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT time

引数

time: 時間(秒数)。デフォルト設定は60秒です。

LSNRCTL> SET INBOUND_CONNECT_TIMEOUT 2
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "inbound_connect_timeout" set to 2
The command completed successfully.

1.5.11 SET LOG_DIRECTORY

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET LOG_DIRECTORYは、リスナーのログ・ファイルの書き込み先ディレクトリを設定します。

用途

リスナーのログ・ファイルが書き込まれる宛先ディレクトリを設定します。デフォルトで、ログ・ファイルはORACLE_HOME/network/logディレクトリに書き込まれます。

ノート:

このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/product_typeを使用します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET LOG_DIRECTORY directory

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET LOG_DIRECTORY directory

引数

directory: リスナーのログ・ファイルのディレクトリ・パス。

LSNRCTL> SET LOG_DIRECTORY /usr/oracle/admin 
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "log_directory" set to /usr/oracle/admin
The command completed successfully

1.5.12 SET LOG_FILE

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET LOG_FILEは、リスナーのログ・ファイルの名前を設定します。

用途

リスナーのログ・ファイルの名前を設定します。デフォルトのログ・ファイル名はlistener.logです。

ノート:

このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/product_typeを使用します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET LOG_FILE file_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET LOG_FILE file_name

引数

file_name: リスナーのログ・ファイルの名前。

LSNRCTL> SET LOG_FILE list.log
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "log_file" set to list.log
The command completed successfully

1.5.13 SET LOG_STATUS

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET LOG_STATUSは、リスナーのロギングをオンまたはオフにします。

用途

リスナーのロギングをオンまたはオフに切り替えます。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET LOG_STATUS {on | off}

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET LOG_STATUS {on | off}

引数

on: ロギングをオンに切り替えます。

off: ロギングをオフに切り替えます。

LSNRCTL> SET LOG_STATUS on
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "log_status" set to ON
The command completed successfully

1.5.14 SET SAVE_CONFIG_ON_STOP

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET SAVE_CONFIG_ON_STOPは、STOPコマンドでリスナーが停止されたときに、SETコマンドによってリスナーのパラメータ値に加えられた変更がlistener.oraファイルに保存されるかどうかを指定します。

用途

SETコマンドによるリスナーの停止時に、STOPコマンドによって変更されたリスナーのパラメータ値をlistener.oraファイルに保存するかどうかを指定します。

変更が保存されると、リスナー制御ユーティリティは、フォーマット、コメントおよび文字の大/小文字に関するパラメータを保持しようとします。コマンドは、listener.oraファイルを変更する前に、listener.bakというファイルのバックアップを作成します。

全パラメータをただちに保存するには、SAVE_CONFIGコマンドを使用します。

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET SAVE_CONFIG_ON_STOP  {on | off}

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET SAVE_CONFIG_ON_STOP  {on | off}

引数

on: 構成をlistener.oraに保存します。

off: 構成をlistener.oraに保存しません。

LSNRCTL> SET SAVE_CONFIG_ON_STOP on
LISTENER parameter "save_config_on_stop" set to ON
The command completed successfully

関連項目

1.5.15 SET TRC_DIRECTORY

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET TRC_DIRECTORYは、リスナーのトレース・ファイルの書き込み先ディレクトリを設定します。

用途

リスナーのトレース・ファイルが書き込まれる宛先ディレクトリを設定します。デフォルトで、トレース・ファイルはORACLE_HOME/network/traceディレクトリに書き込まれます。

ノート:

このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/product_typeを使用します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET TRC_DIRECTORY directory

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET TRC_DIRECTORY directory

引数

directory: リスナーのトレース・ファイルのディレクトリ・パス。

LSNRCTL> SET TRC_DIRECTORY /usr/oracle/admin
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "trc_directory" set to /usr/oracle/admin
The command completed successfully

1.5.16 SET TRC_FILE

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET TRC_FILEは、リスナーのトレース・ファイルの名前を設定します。

用途

リスナーのトレース・ファイルの名前を設定します。デフォルトのトレース・ファイル名はlistener.trcです。

ノート:

このコマンドは、自動診断リポジトリ(ADR)が有効でない場合にのみ使用できます。デフォルトでは、ADRは有効であり、ログ・ディレクトリORACLE_HOME/log/diag/product_typeを使用します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET TRC_FILE file_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET TRC_FILE file_name

引数

file_name: リスナーのトレース・ファイルの名前。

LSNRCTL> SET TRC_FILE list.trc
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "trc_file" set to list.trc
The command completed successfully

1.5.17 SET TRC_LEVEL

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSET TRC_LEVELは、リスナーに対して特定のレベルのトレースを設定します。

用途

トレースの特定レベルをリスナーに設定します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SET TRC_LEVEL level

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SET TRC_LEVEL level

引数

level: 次のいずれかのトレース・レベル。

  • off: トレースを出力しません。

  • user: ユーザー用のトレース情報を出力します。

  • admin: 管理用のトレース情報を出力します。

  • support: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。

使用上のノート

このコマンドは、TRACEコマンドの機能と同じです。

LSNRCTL> SET TRC_LEVEL admin
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
LISTENER parameter "trc_level" set to admin
The command completed successfully

関連項目

1.5.18 SHOW

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSHOWは、リスナーの現在のパラメータ値を表示します。

用途

リスナーの現在のパラメータ値を表示します。

すべてのSETパラメータには、対応するSHOWパラメータがあります。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SHOW parameter

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SHOW parameter

引数

parameter: 構成設定を確認する必要があるパラメータ。パラメータは、次の出力例のように表示されます。

引数なしでSHOWを入力すると、全パラメータのリストが表示されます。

LSNRCTL> SHOW
The following properties are available with SHOW:
An asterisk (*) denotes a modifier or extended command:
current_listener 
displaymode
inbound_connect_timeout
log_file
log_directory
log_status
rawmode
save_config_on_stop 
trc_file
trc_directory
trc_level 

関連項目

1.5.19 SPAWN

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSPAWNは、リスナーを実行しているコンピュータ上のlistener.oraファイル内に別名でリストされているプログラムを起動します。

用途

リスナーを実行しているコンピュータ上のlistener.oraファイル内に別名でリストされているプログラムを起動します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl SPAWN listener_name alias (arguments='arg1,arg2,...')

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> SPAWN listener_name alias (arguments='arg1,arg2,...')

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

alias: 起動するプログラムの別名は、次のようにlistener.oraファイル・エントリで指定します。

alias = (PROGRAM=(NAME=)(ARGS=)(ENVS=))

たとえば:

nstest = (PROGRAM=(NAME=nstest)(ARGS=test1)(ENVS='ORACLE_HOME=/usr/oracle'))

前述のnstestプログラムは、次のコマンドを使用すれば起動できます。

lsnrctl SPAWN listener_name nstest

1.5.20 START

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSTARTは、名前付きリスナーを開始します。

用途

指定したリスナーを開始します。

前提条件

リスナーが実行されていてはいけません。

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl START listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> START listener_name

ノート:

Microsoft Windowsの場合、データベースがOracleホーム・ユーザーとともにインストールされていると、ユーティリティはパスワードの入力を要求できます。パスワードは、Oracleホーム・ユーザーのオペレーティング・システム・パスワードです。プロンプトは、リスナー・サービスが存在せず、リスナーの起動の一部として作成する必要がある場合にのみ表示されます。

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

使用上のノート

listener.oraファイルに構成されているリスナーをLISTENER以外の名前で開始するには、その名前を挿入します。

たとえば、リスナー名がtcp_lsnrの場合は、次のように入力します。

lsnrctl START tcp_lsnr 

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> START tcp_lsnr

LSNRCTL> START

Starting /private/sales_group/sales/bin/tnslsnr: please wait...

TNSLSNR for Linux: Version 18.0.0.0.0 
System parameter file is $ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora
Log messages written to $ORACLE_BASE/diag/tnslsnr/node_name/listener/alert/log.xml
Listening on: (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))

Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
STATUS of the LISTENER
------------------------
Alias                     LISTENER
Version                   TNSLSNR for Linux: Version 18.0.0.0.0 
Start Date                21-JAN-2018 21:50:49
Uptime                    0 days 0 hr. 0 min. 0 sec
Trace Level               off
Security                  ON: Local OS Authetication
SNMP                      OFF
Listener Parameter File  $ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora
Listener Log File        $ORACLE_BASE/diag/tnslsnr/node_name/listener/alert/log.xml
Listening Endpoints Summary...
  (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
The listener supports no services
The command completed successfully

関連項目:

Oracleホーム・ユーザーの詳細は、Oracle Database管理者リファレンスfor Microsoft Windowsを参照してください。

1.5.21 STATUS

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSTATUSは、リスナーに関する基本的なステータス情報を表示します。

用途

リスナーに関する基本的なステータス情報を表示します。これには、リスナー構成設定の概要、リスニング・プロトコル・アドレスおよびリスナーに登録されているサービスの概要が含まれます。

ノート:

リスナーのステータスは、Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのコンソールを介して取得することもできます。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl STATUS listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> STATUS listener_name 

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

使用上のノート

SET DISPLAYMODEコマンドによって、出力のフォーマットと詳細レベルが変更されます。

関連項目:

STATUSの出力の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。

次の例では、デフォルトの表示モードでSTATUS出力を表示します。出力には、次の内容が含まれています。

  • リスナー構成の設定

  • リスニング・エンドポイントの概要

  • SERVICESコマンドの出力を簡略化したサービス概要

LSNRCTL> STATUS
Connecting to (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net)))
STATUS of the LISTENER
------------------------
Alias                     LISTENER
Version                   TNSLSNR for Linux: Version 18.0.0.0.0 -
Production
Start Date                12-JAN-2018 12:02:00
Uptime                    0 days 0 hr. 5 min. 29 sec
Trace Level               support
Security                  OFF
SNMP                      OFF
Listener Parameter File   /oracle/network/admin/listener.ora
Listener Log File         /oracle/network/log/listener.log
Listener Trace File       /oracle/network/trace/listener.trc

Listening Endpoints Summary...
  (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=ipc)(KEY=net)))
  (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)))
  (DESCRIPTION=(ADDRESS=(PROTOCOL=tcps)(HOST=sales-server)(PORT=2484)))
 
Services Summary...
Service "sales1.us.example.com" has 1 instance(s).
  Instance "sales", status READY, has 1 handler(s) for this service...
Service "sales2.us.example.com" has 1 instance(s).
  Instance "sales", status READY, has 2 handler(s) for this service...
The command completed successfully

関連項目

1.5.22 STOP

リスナー制御ユーティリティ・コマンドSTOPは、名前付きリスナーを停止します。

用途

指定したリスナーを停止します。

前提条件

リスナーが実行されていることが必要です。

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl STOP listener_name
 

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> STOP listener_name 

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

LSNRCTL> STOP
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
The command completed successfully

1.5.23 TRACE

リスナー制御ユーティリティ・コマンドTRACEは、リスナーのトレースを設定します。

用途

リスナーのトレースを設定します。

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl trace level listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> trace level listener_name

引数

level: 次のいずれかのトレース・レベル。

  • off: トレースを出力しません。

  • user: ユーザー用のトレース情報を出力します。

  • admin: 管理用のトレース情報を出力します。

  • support: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名を指定します。

使用上のノート

このコマンドは、SET TRC_LEVELコマンドの機能と同じです。

LSNRCTL> TRACE ADMIN lsnr
Connecting to (ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
Opened trace file: /oracle/network/trace/listener.trc
The command completed successfully

1.5.24 VERSION

リスナー制御ユーティリティ・コマンドVERSIONは、リスナー制御ユーティリティの現在のバージョンを表示します。

用途

リスナー制御ユーティリティの現行のバージョンを表示します。

前提条件

なし

構文

オペレーティング・システムでは、次の構文に従って入力します。

lsnrctl VERSION listener_name

リスナー制御ユーティリティでは、次の構文に従って入力します。

LSNRCTL> VERSION listener_name

引数

listener_name: デフォルト名のLISTENERを使用しない場合は、リスナー名。

LSNRCTL> version listener
Connecting to ADDRESS=(PROTOCOL=TCP)(HOST=sales-server)(PORT=1521))
TNSLSNR for Linux: Version 19.0.0.0.0
        TNS for Linux: Version 19.0.0.0.0 
        Oracle Bequeath NT Protocol Adapter for Linux: Version 19.0.0.0.0
        Unix Domain Socket IPC NT Protocol Adaptor for Linux: Version 19.0.0.0.0
        TCP/IP NT Protocol Adapter for Linux: Version 19.0.0.0.0
The command completed successfully