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8 Oracle Connection Managerのパラメータ

この章では、cman.oraファイルの構成パラメータの完全なリストを提供します。

8.1 Oracle Connection Manager構成ファイルの概要

Oracle Connection Managerの構成情報は、cman.oraファイルに格納されます。

Oracle Connection Manager構成ファイル

Oracle Connection Managerの構成情報は、次の要素で構成されています。

  • Oracle Connection Managerのリスナーのプロトコル・アドレス

  • アクセス制御パラメータ

  • パフォーマンス・パラメータ

cman.oraファイルのデフォルトの位置はORACLE_HOME/network/adminディレクトリです。cman.oraファイルは次の場所に保存される場合もあります。

  • 環境変数TNS_ADMINまたはレジストリ値で指定されたディレクトリ。

  • LinuxおよびUNIXオペレーティング・システムの場合は、グローバル構成ディレクトリ。たとえば、Oracle Solarisオペレーティング・システムの場合、このディレクトリは/var/opt/oracleです。

例8-1 cman.oraファイルのサンプル

CMAN=
  (CONFIGURATION=
    (ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=proxysvr)(PORT=1521))
    (RULE_LIST=
      (RULE=(SRC=192.0.2.32/27)(DST=sales-server)(SRV=*)(ACT=accept))
        (ACTION_LIST=(AUT=on)(MCT=120)(MIT=30)))
      (RULE=(SRC=foo)(DST=hr-server)(SRV=cmon)(ACT=accept)))
    (PARAMETER_LIST=
      (MAX_GATEWAY_PROCESSES=8)
      (MIN_GATEWAY_PRCESSSES=3)
      (DIAG_ADR_ENABLED=ON)
      (ADR_BASE=/oracle/log)))

cman.oraファイルのセクション

  • リスニング・アドレス: ADDRESS=で始まり、リスナーに関する情報が含まれます。ADDRESSパラメータは必須です。

  • ルール・リスト: RULE_LIST=で始まり、ルール情報が含まれます。RULEパラメータは、このファイルのルール・リスト・セクションにリストされます。RULEパラメータは必須です。

  • パラメータ・リスト: PARAMETER_LIST=で始まり、 「Oracle Connection ManagerのADR診断パラメータ」および 「Oracle Connection ManagerのADR以外の診断パラメータ」にリストされているパラメータなど、その他すべてのパラメータが含まれます。

    cman.oraファイルのパラメータ・リスト・セクションには、次のパラメータを含めることができます。デフォルト値は太字で記載されています。パラメータのデフォルト設定を上書きするには、パラメータとそのパラメータのデフォルト以外の値を入力します。

    ASO_AUTHENTICATION_FILTER={off | on}

    CONNECTION_STATISTICS={no | yes}

    EVENT_GROUP={init_and_term | memory_ops | conn_hdlg | proc_mgmt | reg_and_load | wake_up | timer | cmd_proc | relay}

    IDLE_TIMEOUT=0以上

    INBOUND_CONNECT_TIMEOUT=0以上。デフォルト値は60です。

    LOG_DIRECTORY=log_directoryデフォルト値は、ORACLE_HOME/network/logです。

    LOG_LEVEL={off | user | admin | support}

    MAX_CMCTL_SESSIONS= 任意の正数。デフォルト値は4です。

    MAX_CONNECTIONS=1から1024の値。デフォルト値は256です。

    MAX_GATEWAY_PROCESSES=最小ゲートウェイ・プロセス数より大きい任意の数(最大64)。デフォルト値は16です。

    MIN_GATEWAY_PROCESSES=64以下の任意の正数。最大ゲートウェイ・プロセス数以下であることが必要。デフォルト値は2です。

    OUTBOUND_CONNECT_TIMEOUT=0以上

    PASSWORD_instance_name=暗号化されたインスタンスのパスワードの値(設定されている場合)。デフォルトの値はありません。

    SESSION_TIMEOUT=0以上

    TRACE_DIRECTORY=trace_directoryデフォルト値は、ORACLE_HOME/network/traceです。

    TRACE_FILELEN= 任意の正数。デフォルト値は0(ゼロ)です。

    TRACE_FILENO= 任意の正数。デフォルト値は0(ゼロ)です。

    TRACE_LEVEL={off | user | admin | support}

    TRACE_TIMESTAMP={off | on}

    ノート:

    パラメータPASSWORD_instance_namecman.oraに直接追加できません。パラメータは、SAVE_PASSWDコマンドを使用して追加されます。

cman.oraファイルのパラメータ・リスト・セクション
(PARAMETER_LIST= 
      (ASO_AUTHENTICATION_FILTER=ON)
      (CONNECTION_STATISTICS=NO)
      (EVENT_GROUP=INIT_AND_TERM,MEMORY_OPS,PROCESS_MGMT)
      (IDLE_TIMEOUT=30)
      (INBOUND_CONNECT_TIMEOUT=30)
      (LOG_DIRECTORY=/home/user/network/admin/log)   
      (LOG_LEVEL=SUPPORT)
      (MAX_CMCTL_SESSIONS=6)
      (MAX_CONNECTIONS=512)
      (MAX_GATEWAY_PROCESSES=10)
      (MIN_GATEWAY_PROCESSES=4)
      (OUTBOUND_CONNECT_TIMEOUT=30)
      (SESSION_TIMEOUT=60)
      (TRACE_DIRECTORY=/home/user/network/admin/trace)
      (TRACE_FILELEN=100)
      (TRACE_FILENO=2)
      (TRACE_LEVEL=SUPPORT)
      (TRACE_TIMESTAMP=ON)
      (VALID_NODE_CHECKING_REGISTRATION=ON)
      (REGISTRATION_EXCLUDED_NODES = 10.1.26.*)
      (REGISTRATION_INVITED_NODES = 10.1.35.*)
)  

8.2 Oracle Connection Managerのパラメータ

この項では、次のcman.oraファイルのパラメータをリストして説明します。

8.2.1 ADDRESS

ADDRESSネットワーク・パラメータは、Oracle Connection Managerのプロトコル・アドレスを指定します。

用途

Oracle Connection Managerのプロトコル・アドレスを指定します。

構文

(ADDRESS=(PROTOCOL=protocol)(HOST=host_name)(PORT=port_number)

(ADDRESS=(PROTOCOL=tcp)(HOST=sales-server)(PORT=1521)

8.2.2 ASO_AUTHENTICATION_FILTER

Oracle Connection Managerのネットワーク・パラメータです。これは、Oracle Connection Managerに、Secure Network Services(SNS)の接続リクエストを確認するように指示します。

用途

Oracle Databaseセキュリティ認証設定がクライアントによって使用される必要があるかどうかを指定します。

使用上のノート

グローバル設定は、ACTION_LISTのルールレベルの設定によって上書きされます。

  • on: Oracle Connection Managerは、Secure Network Services (SNS)を使用していない接続リクエストを拒否します。SNSはOracle Databaseセキュリティの一部です。

  • off: Oracle Connection Managerは、クライアントとサーバー間のSNSをチェックしません。これはデフォルトです。

8.2.3 COMPRESSION

用途

データ圧縮を有効または無効にします。Oracle Connection Managerおよびその接続先(サーバーまたはクライアントまたはOracle Connection Manager)の両方でこのパラメータがONに設定されている場合、接続に圧縮が使用されます。

デフォルト

off

  • on: データ圧縮を有効にします。

  • off: データ圧縮を無効にします。

COMPRESSION=on

8.2.4 COMPRESSION_LEVELS

cman.oraファイルのCOMPRESSION_LEVELSネットワーク・パラメータは、CPU使用率と圧縮率を指定します。

用途

圧縮レベルを指定します。

使用上のノート

圧縮レベルは、両端でどのレベルを使用するかを確認し、1つのレベルを選択するためのネゴシエーション時に使用されます。

デフォルト

low

  • low: 低CPU使用率と低圧縮率を使用します。

  • high: 高CPU使用率と高圧縮率を使用します。

例8-2 例

COMPRESSION_LEVELS=high,low

8.2.5 COMPRESSION_THRESHOLD

用途

圧縮が必要となるデータの最小サイズをバイト数で指定します。

使用上のノート

送信されるデータのサイズがこの値より小さい場合、圧縮は行われません。

デフォルト

1024バイト

COMPRESSION_THRESHOLD=1024

8.2.6 CONNECTION_STATISTICS

cman.oraファイルのCONNECTION_STATISTICSネットワーク・パラメータは、SHOW_CONNECTIONSコマンドで接続統計を表示するかどうかを指定します。

用途

SHOW_CONNECTIONSコマンドで接続統計を表示するかどうかを指定します。

使用上のノート

グローバル設定は、ACTION_LISTのルールレベルの設定によって上書きされます。

  • yes: 統計を表示します。

  • no: 統計を表示しません。これはデフォルトです。

8.2.7 EVENT_GROUP

cman.oraファイルのEVENT_GROUPネットワーク・パラメータは、ログ記録するイベント・グループを指定します。

用途

ログに記録するイベント・グループを指定します。

使用上のノート

複数のイベントを指定するには、カンマ区切りリストを使用します。

  • alert: アラート通知。

  • cmd_proc: コマンド処理。

  • conn_hdlg: 接続処理。

  • init_and_term: 初期化および終了。

  • memory_ops: メモリー操作。

  • proc_mgmt: プロセス管理。

  • reg_and_load: 登録およびロード更新。

  • relay: 接続制御ブロック関連のイベント。

  • timer: ゲートウェイのタイムアウト。

  • wake_up: Connection Manager Administration (CMADMIN)起動キュー関連のイベント。

ノート:

イベント・グループALERTはオフに設定できません。

8.2.8 EXPIRE_TIME

cman.oraファイルのEXPIRE_TIMEネットワーク・パラメータは、クライアント/ゲートウェイ接続がアクティブであることを検証するチェックを送信する時間間隔(分単位)を指定します。

用途

クライアント/サーバー接続がアクティブであることを確認するための確認を送信する間隔(分単位)を指定します。

使用上のノート

0より大きい値を設定すると、クライアントが異常終了したときに接続が無期限に開かれたままになることがなくなります。システムでTCPのキープアライブ設定のチューニングがサポートされている場合、Oracle Net Servicesでは自動的に強化された検出モデルを使用して、TCPのキープアライブ設定のパラメータをチューニングします。

終了済接続や使用されなくなった接続を検出したプローブは、エラーを返し、それによってサーバー・プロセスが終了します。

このパラメータは、主にデータベース・サーバー向けです。データベース・サーバーでは、通常、同時に複数の接続を処理します。

終了した接続を検出するこの機能の制限は、次のとおりです。

  • この機能はBequeathed接続では機能しません。

  • プローブ・パケットはわずかながら通信量が増加するため、ネットワーク・パフォーマンスが低下する可能性があります。

  • 使用しているオペレーティング・システムによっては、接続プローブ・イベントを他の発生イベントと区別するために、サーバーで追加の処理を行う必要がある場合があります。これも、ネットワーク・パフォーマンスの低下につながる可能性があります。

  • 使用不能接続の検出を無効にするには、0を指定します。これはデフォルトです

  • 使用不能接続の検出を有効にするには、0より大きい数値を指定します。この数値は時間間隔(分単位)と同じです。

例8-3 例

EXPIRE_TIME=10

8.2.9 IDLE_TIMEOUT

用途

確立された接続が、データを転送せずにアクティブな状態を維持できる時間を指定します。

使用上のノート

グローバル設定は、ACTION_LISTのルールレベルの設定によって上書きされます。

  • 0: タイムアウトを無効にします。これはデフォルトです。

  • 0より大きい値: タイムアウトが有効になります。指定した値がタイムアウトになるまでの秒数です。

8.2.10 INBOUND_CONNECT_TIMEOUT

用途

Oracle Connection Managerのリスナーが、クライアントまたは別のOracle Connection Managerのインスタンスからの有効な接続を待機する時間(秒)を指定します。

  • 60秒がデフォルトです。タイムアウトを無効にするには値0を使用します。

  • 0より大きい値: タイムアウトが有効になります。指定した値がタイムアウトになるまでの秒数です。

8.2.11 LOG_DIRECTORY

用途

Oracle Connection Managerのログ・ファイルのディレクトリを指定します。

デフォルト

ORACLE_BASE_HOME/network/log

8.2.12 LOG_FILE_NUM

cman.oraファイルのLOG_FILE_NUMネットワーク・パラメータは、ログ・ファイル・セグメントの数を指定します。

用途

ログ・ファイル・セグメントの数を指定します。どの時点でも、n個のログ・ファイル・セグメント(nLOG_FILE_NUM)のみ存在でき、ログがこの数を超えて増大する場合は古いセグメントが削除されます。

デフォルト

デフォルト値はありません。指定されていないかゼロに設定されている場合、セグメントの数は無限に増加します。

任意の整数値。

例8-4 例

LOG_FILE_NUM=3

8.2.13 LOG_FILE_SIZE

cman.oraファイルのLOG_FILE_SIZEネットワーク・パラメータは、各ログ・ファイル・セグメントのサイズを指定します。

用途

各ログ・ファイル・セグメントのサイズを指定します。このサイズはMB単位です。

デフォルト

300 MB

任意の整数値。

例8-5 例

LOG_FILE_SIZE=10

8.2.14 LOG_LEVEL

用途

ログ・メッセージのレベルを指定します。

  • off: ロギングなし。これはデフォルトです。

  • user: ユーザーに起因するエラーのログ情報。

  • admin: 管理用(インストール用など)のログ情報。

  • support: Oracleサポート・サービス情報。

8.2.15 MAX_ALL_CONNECTIONS

用途

Oracle Connection Managerでサポートできる登録接続セッションおよびクライアント接続セッションの最大同時実行数を指定します。

使用上のノート

この数値には、データベースからの登録接続と、進行中のクライアント接続確立要求も含まれます。接続の確立後、クライアントはリスナーへの接続を保持しません。この制限は、リスナーから見て最初の接続確立段階にあるクライアント接続のみに適用されます。

デフォルト

オペレーティング・システム固有

MAX_ALL_CONNECTIONS=40

8.2.16 MAX_CMCTL_SESSIONS

用途

指定のインスタンスに許可されるOracle Connection Manager制御ユーティリティのローカルまたはリモート・セッションの最大同時実行数を指定します。

使用上のノート

セッションの1つは、ローカル・セッションであることが必要です。

指定できるセッション数は任意です。

8.2.17 MAX_CONNECTIONS

用途

ゲートウェイ・プロセスが処理できる接続スロットの最大数を指定します。

1から1024までの任意の数。

8.2.18 MAX_GATEWAY_PROCESSES

用途

Oracle Connection Managerがサポートするインスタンスのゲートウェイ・プロセスの最大数を指定します。

最小ゲートウェイ・プロセス数より大きい数を指定する必要があります。最大数は64です。

8.2.19 MAX_REG_CONNECTIONS

用途

Oracle Connection Managerでサポートできる登録接続セッションの最大同時実行数を指定します。

デフォルト

512

MAX_REG_CONNECTIONS=20

8.2.20 MIN_GATEWAY_PROCESSES

用途

Oracle Connection Managerのインスタンスがサポートするゲートウェイ・プロセスの最小数を指定します。

64までの任意のセッション数を指定できます。

8.2.21 OUTBOUND_CONNECT_TIMEOUT

用途

Oracle Connection Managerインスタンスと、データベース・サーバーまたは別のOracle Connection Managerインスタンスとの間に有効な接続が確立されるまでの待機時間(秒)を指定します。

  • 60: タイムアウトを無効にします。これはデフォルトです。

  • 0より大きい値: タイムアウトが有効になります。指定した値がタイムアウトになるまでの秒数です。

8.2.22 PASSWORD_instance_name

用途

暗号化されたインスタンスのパスワードを指定します(設定されている場合)。

8.2.23 REGISTRATION_EXCLUDED_NODES

Oracle Connection Managerのパラメータ・ファイル(cman.ora) REGISTRATION_EXCLUDED_NODESは、リスナーに登録できないノードのリストを指定します。

用途

リスナーに登録できないノードのリストを指定します。

使用上のノート

リストには、IPv4およびIPv6アドレスのホスト名またはCIDR表記を含めることができます。ワイルドカード形式(*)は、IPv4アドレスにサポートされます。リストにホスト名があると、そのホスト名にマップされたすべてのIPアドレスが含まれることになります。ホスト名は、パブリック・ネットワーク・インタフェースと一致している必要があります。

REGISTRATION_INVITED_NODESパラメータおよびREGISTRATION_EXCLUDED_NODESパラメータを設定すると、REGISTRATION_EXCLUDED_NODESパラメータは無視されます。

有効なノードおよびサブネットIPアドレスまたは名前。

REGISTRATION_EXCLUDED_NODES = 10.1.26.*, 10.16.40.0/24, \
                                       2001:DB8:3eff:fe38, node2

8.2.24 REGISTRATION_INVITED_NODES

Oracle Connection Managerのパラメータ・ファイル(cman.ora) REGISTRATION_EXCLUDED_NODESは、リスナーに登録できるノードのリストを指定します。

用途

リスナーに登録できるノードのリストを指定します。

使用上のノート

リストには、IPv4およびIPv6アドレスのホスト名またはCIDR表記を含めることができます。ワイルドカード形式(*)は、IPv4アドレスにサポートされます。リストにホスト名があると、そのホスト名にマップされたすべてのIPアドレスが含まれることになります。ホスト名は、パブリック・ネットワーク・インタフェースと一致している必要があります。

REGISTRATION_INVITED_NODESパラメータおよびREGISTRATION_EXCLUDED_NODESパラメータを設定すると、REGISTRATION_EXCLUDED_NODESパラメータは無視されます。

有効なノードおよびサブネットIPアドレスまたは名前。

REGISTRATION_INVITED_NODES = 10.1.35.*, 10.1.34.0/24, \
                                      2001:DB8:fe38:7303, node1

8.2.25 RULE

用途

着信接続をフィルタ処理するためのアクセス制御ルール・リストを指定します。

使用上のノート

ルール・リストによって、受入れ、拒否または削除される接続が指定されます。

ルールが指定されていない場合は、すべての接続が拒否されます。

ホスト名、IPアドレスまたはサブネット・マスクが、接続元および接続先になります。

クライアント接続とCMCTL接続に対して、1つ以上のルールがある必要があります。どちらか一方を省略した場合、そのルールのタイプに対するすべての接続が拒否されます。この後に示す例では、最後のルールがCMCTLのルールです。

Oracle Connection Managerでは、ワイルドカードをIPアドレスの一部として使用できません。ワイルドカードを使用する場合は、完全なIPアドレスのかわりとして使用してください。たとえば、クライアントのIPアドレスの場合は、(SRC=*)というように使用します。

Oracle Connection Managerでは、サブネット・アドレスの表記として/nnのみを使用できます。例cman.oraファイルのサンプルの最初のルールに指定されている/27は、左端の27ビットで構成されるサブネット・マスクを示します。

このパラメータは、先頭にRULE_LIST=が付くcman.oraファイルのルール・リスト・セクションにリストされます。

構文

(RULE_LIST=
  (RULE=
    (SRC=host)
    (DST=host)
    (SRV=service_name)
    (ACT={accept|reject|drop})
    (ACTION_LIST=AUT={on|off}
    ((CONN_STATS={yes|no})(MCT=time)(MIT=time)(MOCT=time)))
  (RULE= ...))

追加のパラメータ

RULEパラメータは、次のパラメータを使用して接続または接続のグループをフィルタ処理します。

SRC: ソース・ホスト名またはクライアントのIPアドレス。

DST: 接続先サーバーのホスト名またはデータベース・サーバーのIPアドレス。

SRV: 初期化パラメータ・ファイルのSERVICE_NAMEパラメータから取得した、Oracle Databaseのデータベース・サービス名。

ACT: 接続リクエストに対するアクション。着信リクエストを受け入れる場合はaccept、拒否する場合はreject、エラー・メッセージを送信せずに拒否する場合はdropを使用します。

ACTION_LIST: 一部のパラメータに対するルールレベルのパラメータ設定。対象パラメータは次のとおりです。

  • AUT: クライアント側でのOracle Databaseセキュリティ認証。

  • CONN_STATS: ログの入出力統計。

  • MCT: 最大接続時間。

  • MIT: 最大アイドル・タイムアウト時間。

  • MOCT: 最大発信接続時間。

ルールレベルのパラメータは、対応するグローバル・パラメータを上書きします。

(RULE_LIST=
  (RULE=
    (SRC=client1-pc)
    (DST=sales-server)
    (SRV=sales.us.example.com)
    (ACT=reject))
  (RULE=
    (SRC=192.0.2.45)
    (DST=192.0.2.200)
    (SRV=db1)
    (ACT=accept))
  (RULE=
    (SRC=sale-rep)
    (DST=sales1-server)
    (SRV=cmon)
    (ACT=accept)))

8.2.26 SDU

用途

各接続に使用されるセッション・データ・ユニット(SDU)サイズをバイト数で指定します

使用上のノート

構成されている場合、Oracle Connection Managerは、クライアントおよびサーバーとの大規模なSDUをネゴシエートできます。クライアント、データベース・サーバーおよびOracle Connection Managerの構成済の値がセッションと一致しない場合、3つ値の最小値が使用されます。

デフォルト

8192バイト(8KB)

512から2097152バイト

SDU=32768

8.2.27 SERVICE_RATE

cman.oraファイルのSERVICE_RATEパラメータは、1つのインスタンスについてサービスごとに許可される着信接続率を指定します。

用途

1つのインスタンスについてサービスごとに許可される着信接続率を指定します。

使用上のノート

0より大きい値をユーザーが指定した場合は、その値で、プロキシ・リスナーによって毎秒処理される、サービス・インスタンス当たりの新規接続数の上限が設定されます。リスナーは、この上限に到達すると接続を拒否します。クライアント側で接続に失敗すると、「TNS:リスナー:率制限に到達」とレポートされます。

  • サービス率制限を無効にするには、0を指定します。これはデフォルトです。

  • サービス率制限を有効にするには、0より大きい任意の数値を指定します。

例8-6 例

SERVICE_RATE=10

8.2.28 SESSION_TIMEOUT

用途

ユーザー・セッションに許可される最大時間(秒)を指定します。

使用上のノート

グローバル設定は、ACTION_LISTのルールレベルの設定によって上書きされます。

  • 0: タイムアウトを無効にします。これはデフォルトです。

  • 0より大きい値: タイムアウトが有効になります。指定した値がタイムアウトになるまでの秒数です。

8.2.29 SSL_CIPHER_SUITES

SSL_CIPHER_SUITESパラメータは、Transport Layer Security (TLS)で使用される認証、暗号化およびデータ整合性アルゴリズムの組合せを制御するために使用します。

用途

Transport Layer Security (TLS)で使用される認証、暗号化およびデータ整合性アルゴリズムの組合せを制御します。デフォルトでは、最も強いプロトコルと暗号は、データベース・クライアントとサーバーの間でネゴシエートされます。このパラメータを設定すると、デフォルトの動作が上書きされます。このパラメータは、特定のプロトコル・バージョンの使用を決定する内部セキュリティ制御がある場合にのみ使用する必要があります。

使用上のノート

SSL_CIPHER_SUITESパラメータ値をカッコで囲みます。そうしないと、暗号スイート設定が正しく解析されません。

デフォルト

なし

承認されたTLS 1.2暗号:
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
非推奨のTLS 1.2暗号:
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA384
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA384
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA256
  • TLS_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
  • TLS_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA384
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA384
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA256
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA256
  • TLS_DH_anon_WITH_AES_256_GCM_SHA384
  • TLS_DH_anon_WITH_AES_128_GCM_SHA256
非推奨のTLS 1.0、TLS 1.1およびTLS 1.2暗号:
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_256_CBC_SHA
  • TLS_DHE_RSA_WITH_AES_128_CBC_SHA
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_RC4_128_SHA
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_RC4_128_SHA
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_RC4_128_SHA
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_RC4_128_SHA
  • SSL_RSA_WITH_RC4_128_SHA
  • SSL_RSA_WITH_RC4_128_MD5
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_NULL_SHA
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_NULL_SHA
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_NULL_SHA
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_NULL_SHA
  • SSL_RSA_WITH_NULL_SHA
  • SSL_RSA_WITH_NULL_MD5
  • SSL_DH_anon_WITH_RC4_128_MD5
非推奨のTLS 1.0およびTLS 1.1暗号:
  • TLS_ECDHE_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
  • TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_ECDSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
  • TLS_ECDH_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
  • SSL_RSA_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA
  • SSL_DH_anon_WITH_3DES_EDE_CBC_SHA

ノート:

パラメータSSL_DH_anon_WITH_3DES_EDE_CBC_SHAおよびSSL_DH_anon_WITH_RC4_128_MD5は、通信者の認証を提供しないため、介在者攻撃に対して無防備になる可能性があることに注意してください。機密データを保護する場合は、これらの暗号スイートを使用しないことをお薦めします。ただし、これらは、通信者が匿名を維持する場合や、相互認証によって発生するオーバーヘッドを望まない場合に有効です。

SSL_CIPHER_SUITES=(TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384)
SSL_CIPHER_SUITES=(TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_256_GCM_SHA384, TLS_ECDHE_ECDSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256)

8.2.30 SSL_CLIENT_AUTHENTICATION

SSL_CLIENT_AUTHENTICATIONパラメータは、クライアントがTransport Layer Security (TLS)を使用して認証されるかどうかを指定するために使用します。

用途

クライアントがTransport Layer Security (TLS)を使用して認証されるかどうかを指定します。

使用上のノート

クライアントの認証は、データベース・サーバーが行います。したがって、この値はfalseに設定する必要がありますこのパラメータをtrueに設定すると、リスナーは、結果的に失敗となる可能性があるクライアントの認証を試みます。

デフォルト

true

true | false

SSL_CLIENT_AUTHENTICATION=false

8.2.31 SSL_VERSION

SSL_VERSIONパラメータは、接続に使用する有効なTransport Layer Security (TLS)バージョンを定義するために使用します。

用途

データベース・サーバーが通信するシステムで実行する必要があるTLSのバージョンを定義します。

使用上のノート

クライアント、リスナーおよびデータベース・サーバーは、互換性のあるバージョンを使用する必要があります。このパラメータは、よりセキュアなTLSプロトコルの使用を強制し、古いTLSプロトコルのみで動作するクライアントを許可しないように、必要な場合にのみ変更してください。TLS 1.0またはTLS 1.1を指定する必要がある場合は、よりセキュアな接続を可能にするためにTLS 1.2も含めます。現行のデフォルトでは、複数のセキュリティ・コンプライアンス要件に必要なバージョンであるTLS 1.2を使用しています。

SSL_VERSIONundeterminedに設定すると、デフォルトで最もセキュアなプロトコルが使用されます。SSL_VERSIONに値を設定しないと、サポートされているすべてのTLSプロトコル・バージョンが、最もセキュアなバージョンから試行されます。これは通常、最も一般的な設定で、TLSネゴシエーション中に最も強力なプロトコルが選択されます。

デフォルト

1.2

undetermined | 1.0 | 1.1 | 1.2

バージョン番号は、TLSv1.0、TLSv1.1およびTLSv1.2などのTLSバージョンに対応します。

ノート:

sqlnet.oraのパラメータADD_SSLV3_TO_DEFAULTは、このパラメータには影響しません。

構文と例

  • 単一のTLSバージョンを指定するには:
    SSL_VERSION=TLS_protocol_version
    たとえば:
    SSL_VERSION=1.2
  • 複数のTLSバージョンを指定するには、次のようにor演算子を使用します:
    SSL_VERSION=TLS_protocol_version1 or TLS_protocol_version2
    たとえば:
    SSL_VERSION=1.1 or 1.2
    SSL_VERSION=1.0 or 1.1 or 1.2

8.2.32 TRACE_FILE

用途

Oracle Connection Managerのトレース・ファイルのディレクトリを指定します。

8.2.33 TRACE_FILELEN

用途

トレース・ファイルのサイズをKBで指定します。

使用上のノート

指定のサイズに到達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENOパラメータで指定します。

8.2.34 TRACE_FILENO

用途

トレース・ファイルの数を指定します。

使用上のノート

このパラメータがTRACE_FILELENパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルが満杯になると、2番目のファイルを使用します(その後、同様に続きます)。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。

8.2.35 TRACE_LEVEL

用途

トレース・メッセージのレベルを指定します。

  • off: トレースなし。これはデフォルトです。

  • user: ユーザーに起因するエラーのトレース情報。

  • admin: 管理用(インストール用など)のトレース情報。

  • support: Oracleサポート・サービス情報。

8.2.36 TRACE_TIMESTAMP

用途

トレース・ログにタイムスタンプを使用することを指定します。

使用上のノート

TRACINGパラメータが有効な場合、トレース・ファイルの各トレース・イベントに、dd-mon-yyyy hh:mi:ss:mil形式のタイムスタンプが使用されます。

  • off: ファイルにタイムスタンプを含めません。

  • on: ファイルにタイムスタンプを含めます。

8.2.37 USE_SID_AS_SERVICE

USE_SID_AS_SERVICE Oracle Connection Managerパラメータを使用すると、ユーザーがデータベース接続を試みたときに、接続記述子内のシステム識別子(SID)をサービス名として解釈できるようになります。

用途

接続記述子内のシステム識別子(SID)が、ユーザーのデータベース接続試行時に、サービス名として解釈されるようにします。

使用上のノート

接続記述子がハードコードされている以前のリリースのOracle Databaseのデータベース・クライアントは、このパラメータを使用してコンテナ・またはプラガブル・データベースに接続できます。

Oracleコンテナ・データベースの場合、データベースに接続するには、クライアントはサービス名を指定する必要があります。このパラメータをonに設定すると、Oracle Connection Managerリスナーは、サービス名として接続記述子内のSIDを使用して指定のデータベースにクライアントを接続するように指示されます。

  • off (デフォルト値)

  • on

例8-7 例

USE_SID_AS_SERVICE=on

8.2.38 VALID_NODE_CHECKING_REGISTRATION

用途

有効ノード確認登録を実行するかどうか、およびサブネットを許可するかどうかを指定します。

使用上のノート

onに設定された場合、着信登録リクエストに対してリスナーで有効ノード確認登録が実行され、ローカルIPアドレスのみが許可されます。

デフォルト

on

  • off | 0: 有効ノード確認登録を無効にして、確認を実行しません。

  • on | 1 | local: 有効ノード確認登録を有効にして、ローカルIPアドレスがすべて登録できるようにします。指定ノードのリストが設定されている場合、リストにあるすべてのIPアドレス、ホスト名またはサブネットが、ローカルIPアドレスと同様に認められます。

  • subnet | 2: 有効ノード確認登録を有効にして、ローカル・サブネットのすべてのマシンが登録を許可されます。指定ノードのリストが設定されている場合、ローカル・サブネット内のすべてのノードが、リストのすべてのIPアドレス、ホスト名およびサブネットと同様に認められます。

VALID_NODE_CHECKING_REGISTRATION = on

8.2.39 WALLET_LOCATION

WALLET_LOCATIONパラメータは、Oracleウォレットの場所を指定するために使用します。

用途

ウォレットの位置を指定します。ウォレットは、Transport Layer Security (TLS).によって処理される証明書、キーおよびトラストポイントです

使用上のノート

Microsoft Certificate Store(MCS)はウォレットを使用しないため、MCSのキー/値ペアにはMETHOD_DATAパラメータがありません。かわりに、Oracle PKI(公開キー・インフラストラクチャ)アプリケーションは、証明書、トラストポイントおよび秘密キーをユーザーのプロファイルから直接取得します。

OracleウォレットがMicrosoft Windowsレジストリに格納されており、そのウォレットのキー(KEY)がSALESAPPの場合、暗号化されたウォレットの格納場所は、HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ORACLE\WALLETS\SALESAPP\EWALLET.P12です。復号化されたウォレットの格納場所は、HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ORACLE\WALLETS\SALESAPP\CWALLET.SSOです。

このパラメータはOracle Connection Managerの別名の外部で指定する必要があります。

構文

構文は、次のとおり、ウォレットによって異なります。

  • ファイル・システムでのOracleウォレット:

    WALLET_LOCATION=
      (SOURCE=
        (METHOD=file)
        (METHOD_DATA=
           (DIRECTORY=directory)
           [(PKCS11=TRUE/FALSE)]))
    
  • Microsoft証明ストア

    WALLET_LOCATION=
      (SOURCE=
         (METHOD=mcs))
    
  • Microsoft Windowsレジストリ内のOracleウォレット:

    WALLET_LOCATION=
       (SOURCE=
          (METHOD=reg)
          (METHOD_DATA=
             (KEY=registry_key)))
    
  • Entrustウォレット:

    WALLET_LOCATION=
       (SOURCE=
          (METHOD=entr)
          (METHOD_DATA=
             (PROFILE=file.epf)
             (INIFILE=file.ini)))

追加のパラメータ

WALLET_LOCATIONは、次のパラメータをサポートします。

  • SOURCE: ウォレットの格納タイプと格納場所

  • METHOD: 格納タイプ

  • METHOD_DATA: 格納場所

  • DIRECTORY: ファイル・システムでのOracleウォレットの位置

  • KEY: ウォレット・タイプとMicrosoft Windowsレジストリ内の位置

  • PROFILE: Entrustプロファイル・ファイル(.epf)

  • INIFILE: Entrust初期化ファイル(.ini)

デフォルト

なし

ファイル・システムでのOracleウォレット:

WALLET_LOCATION=  
  (SOURCE=
      (METHOD=file)
      (METHOD_DATA=  
         (DIRECTORY=/etc/oracle/wallets/databases)))

Microsoft証明ストア

WALLET_LOCATION=
   (SOURCE=
     (METHOD=mcs))
   

Microsoft Windowsレジストリ内のOracleウォレット:

WALLET_LOCATION=
   (SOURCE=
     (METHOD=REG)
     (METHOD_DATA=
        (KEY=SALESAPP)))

Entrustウォレット:

WALLET_LOCATION=
   (SOURCE=
     (METHOD=entr)
     (METHOD_DATA=
       (PROFILE=/etc/oracle/wallets/test.epf)
       (INIFILE=/etc/oracle/wallets/test.ini)))

8.3 Traffic DirectorモードでのOracle Connection Managerのパラメータ

この項では、次のcman.oraファイルのパラメータをリストして説明します。

8.3.1 SERVICE_AFFINITY

cman.oraパラメータSERVICE_AFFINITYを使用して、Traffic DirectorモードでのOracle Connection Managerのデフォルトの負荷分散メカニズムを変更します。

用途

Traffic DirectorモードでのOracle Connection Managerの負荷分散メカニズムを構成します。デフォルトでは、Traffic DirectorモードのOracle Connection Managerはサービス・アフィニティを使用して、着信接続リクエストをルーティングするゲートウェイを選択します。新しい接続リクエストはすべて、データベース・サービスに関連付けられたゲートウェイにルーティングされます。

使用上のノート

このパラメータをONに設定すると、すべての新規接続リクエストは、データベース・サービスに関連付けられたゲートウェイにルーティングされます。

このパラメータをOFFに設定すると、すべての新規接続リクエストは負荷が最小のゲートウェイにルーティングされます。

  • ON
  • OFF

デフォルト

ON

SERVICE_AFFINITY = {ON | OFF}

8.3.2 TDM

用途

Oracle Connection ManagerがTraffic DirectorモードのOracle Connection Managerとして動作するように構成します。

デフォルト

FALSE

  • TRUE

  • FALSE

tdm = TRUE

8.3.3 TDM_BIND_THREAD

用途

アプリケーション接続をTDMスレッドに保持します。PRCPがある場合とない場合で意味が異なります。このパラメータは、TDM_THREADING_MODESHAREDに設定されている場合にのみ適用されます。

使用上のノート

PRCPを使用していない場合、このパラメータをyesに設定すると、進行中のトランザクションがあるかぎり、TDMワーカー・スレッドにアプリケーション接続が保持されます。

PRCPを使用している場合、このパラメータをyesに設定すると、アプリケーションでOCISessionGetが実行されてからOCISessionReleaseが実行されるまで、TDMスレッドにアプリケーション接続が保持されます。

デフォルト

no

  • yes

  • no

TDM_BIND_THREAD = yes

8.3.4 TDM_DATATYPE_CHECK

用途

データ型がNUMBER, DATE, TIMESTAMP, TIMESTAMP WITH LOCAL TIMEZONE, TIMESTAMP WITH TIMEZONE, BLOB, CLOB, BFILE, UROWIDおよびREFのすべての受信データをデータベースに検証します。Traffic DirectorモードでOracle Connection Managerに送信されたデータに問題がある場合は、次のエラーがアプリケーションで受信されます。

ORA-03137: クライアントからの不正な形式のTTCパケットが拒否されました: [3101]

使用上のノート

このパラメータをON/OFFにすると、データ検証が有効または無効になります。

デフォルト

OFF

  • ON

  • OFF

tdm_datatype_check={ON | OFF}

8.3.5 TDM_PRCP_MAX_CALL_WAIT_TIME

用途

PRCPプールからセッションを取得した後に、クライアントの非アクティブな状態の最大時間(秒)を記録します。このパラメータは、Traffic DirectorモードでのOracle Connection ManagerがProxy Resident Connection Poolを持つように構成されている場合に適用されます。

使用上のノート

PRCPプールからセッションを取得した後、クライアント・アプリケーションがTDM_PRCP_MAX_CALL_WAIT_TIMEパラメータで指定した時間内にデータベース・コールを発行しない場合、PRCPセッションは解放されてクライアント接続が終了します。その結果、クライアント・アプリケーションがこのような接続に対してラウンドトリップ・コールを試みると、ORA-3113またはORA-3115エラーを受け取ります。

デフォルト

30秒

任意の負でない値です。ただし、値に0を使用しないことをお薦めします。0は接続がPRCPセッションを無期限に取得することを意味するからです

8.3.6 TDM_PRCP_MAX_TXN_CALL_WAIT_TIME

用途

Proxy Resident Connection Poolからセッションを取得してトランザクションを開始した後、クライアントの非アクティブな状態の最大時間(秒)を記録します。このパラメータは、Traffic DirectorモードでのOracle Connection ManagerがPRCPを持つように構成されている場合に適用されます。

使用上のノート

トランザクション中に、TDM_PRCP_MAX_TXN_CALL_WAIT_TIMEパラメータで指定された時間、クライアント・アプリケーションでデータベース・コールが発行されない場合は、PRCPセッションが解放され、トランザクションがロールバックされ、クライアント接続が終了します。その結果、クライアント・アプリケーションがこのような接続に対してラウンドトリップ・コールを試みると、ORA-3113またはORA-3115エラーを受け取ります。

デフォルト

0

任意の負でない値です。ただし、値に0を使用しないことをお薦めします。0は接続がPRCPセッションを無期限に取得することを意味するからです。

8.3.7 TDM_SHARED_THREADS_MAX

用途

tdm_threading_modeSHAREDに設定されている場合に、Traffic DirectorモードでOracle Connection Managerプロセスが保持する最大スレッド数を構成します。

最大スレッド数には任意の数値を指定できます。DEDICATEDモードの場合、最大スレッド数は最大接続数と同じです。SHAREDモードでは、固定の上限値はありませんが、ロードに比例するのが理想的です。

8.3.8 TDM_SHARED_THREADS_MIN

用途

tdm_threading_modeSHAREDに設定されている場合に、Traffic DirectorモードでOracle Connection Managerプロセスが保持する最小スレッド数を構成します。

最小スレッド数には任意の数値を指定できます。SHAREDモードの場合、制限はありません。ただし、スレッド数はロードに比例します。

8.3.9 TDM_THREADING_MODE

用途

Traffic DirectorモードでのOracle Connection Managerによるスレッドの使用を構成します。

使用上のノート

このパラメータがDEDICATEDに設定されている場合、ワーカー・スレッドが着信接続ごとに生成され、最大スレッド数がmax_connectionsパラメータによって決定します

このパラメータがSHAREDに設定されている場合、ワーカー・スレッドの共有プールは、すべての着信接続を処理します。ワーカー・スレッドの最小数はtdm_shared_threads_min設定で指定され、ワーカー・スレッドの最大数は、tdm_shared_threads_max設定で指定されます。スレッド・プールは、内部的にこれらの範囲内で管理されます。

デフォルト

DEDICATED

  • DEDICATED

  • SHARED

tdm_threading_mode={DEDICATED | SHARED}

tdm_shared_threads_min = 4

tdm_shared_threads_max = 5

8.4 Oracle Connection ManagerのADR診断パラメータ

クリティカル・エラーの診断データは、Oracle Connection ManagerのADRに迅速に取得され格納されます。

Oracle Database 11gより、Oracle Databaseには、問題の回避、検出、診断および解決のため詳細な障害診断可能インフラストラクチャが組み込まれています。対象となる問題は、データベース・コードの不具合、メタデータの破損およびカスタマ・データの破損が原因で発生したエラーなどのクリティカル・エラーです。

クリティカル・エラーが発生すると、そのエラーにはインシデント番号が割り当てられ、トレースやダンプなどのエラーの診断データが即座に取得され、インシデント番号でタグ付けされます。データは、自動診断リポジトリ(ADR)(データベースの外にあるファイルベースのリポジトリ)に格納されます。

この項では、ADRが有効な場合に使用されるパラメータについて説明します。ADRはデフォルトで有効になります。ADRが有効な場合、cman.oraファイルにリストされているADR以外のパラメータは無視されます。

8.4.1 ADR_BASE

cman.oraファイル内の診断パラメータです。これは、ADRが有効になっている場合に、トレースおよびロギング・インシデントを格納するベース・ディレクトリを指定します。

用途

ADRが有効の場合、トレースおよびロギング・インシデントが格納される基本ディレクトリを指定します。

デフォルト

デフォルトはORACLE_BASE、またはORACLE_BASEが定義されていない場合はORACLE_HOME/logです。

書込み権限を持つディレクトリへの任意の有効なディレクトリ・パス

例8-8 例

ADR_BASE=/oracle/network/trace

8.4.2 DIAG_ADR_ENABLED

cman.oraファイルのDIAG_ADR_ENABLED診断パラメータは、ADRトレースを有効にするかどうかを指定します。

用途

ADRトレースを有効にするかどうかを指定します。

使用上のノート

DIAG_ADR_ENABLEDパラメータがOFFに設定されている場合は、ADR以外のファイル・トレースが使用されます。

on | off

例8-9 例

DIAG_ADR_ENABLED=on

8.4.3 LOG_LEVEL

用途

Oracle Connection Managerが実行するロギングのレベルを指定します。

使用上のノート

このパラメータは、ADR以外のログを使用している場合にも適用できます。

Oracle Connection Managerでは、次のログ・ファイルが使用されます。

  • instance-name_pid.log: リスナー用

  • instance-name_cmadmin_pid.log: CMADMIN用

  • instance-name_cmgw_pid.log: ゲートウェイ・プロセス用

ログ・ファイルはORACLE_HOME/network/logディレクトリに置かれます。

デフォルト

offまたは0

  • offまたは0: ログを出力しません。

  • userまたは4: ユーザー用のログ情報を出力します。

  • adminまたは10: 管理用のログ情報を出力します。

  • supportまたは16: Oracleサポート・サービス用のログ情報を出力します。

LOG_LEVEL=admin

8.4.4 TRACE_LEVEL

用途

Oracle Connection Managerインスタンスのトレース・レベルを指定します。

使用上のノート

このパラメータは、ADR以外のトレースを使用している場合にも適用できます。

Oracle Connection Managerでは、次のトレース・ファイルが使用されます。

  • instance-name_pid.trc: リスナー用

  • instance-name_cmadmin_pid.trc: CMADMIN用

  • instance-name_cmgw_pid.trc: ゲートウェイ・プロセス用

ログ・ファイルはORACLE_HOME/network/logディレクトリに置かれます。

デフォルト

off

  • off: トレースを出力しません。

  • user: ユーザー用のトレース情報を出力します。

  • admin: 管理用のトレース情報を出力します。

  • support: Oracleサポート・サービス用のトレース情報を出力します。

TRACE_LEVEL=admin

8.4.5 TRACE_TIMESTAMP

用途

リスナーのトレース・ファイルの各トレース・イベントに、dd-mmm-yyyy hh:mi:ss:mil形式のタイムスタンプを追加します。

使用上のノート

このパラメータはTRACE_LEVELパラメータとともに使用します。このパラメータは、ADR以外のトレースを使用している場合にも適用できます。

デフォルト

on

  • onまたはtrue

  • offまたはfalse

TRACE_TIMESTAMP=true

8.5 Oracle Connection ManagerのADR以外の診断パラメータ

この項に、ADRが無効な場合に使用されるパラメータをリストします。

8.5.1 LOG_DIRECTORY

用途

Oracle Connection Managerのログ・ファイルの位置を指定します。

使用上のノート

このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。

デフォルト

ORACLE_BASE_HOME/network/log

書込み権限を持つディレクトリへの任意の有効なディレクトリ・パス

LOG_DIRECTORY=/oracle/network/log

8.5.2 TRACE_DIRECTORY

用途

Oracle Connection Managerのトレース・ファイルの位置を指定します。

使用上のノート

このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。

デフォルト

ORACLE_BASE_HOME/network/trace 

書込み権限を持つディレクトリへの任意の有効なディレクトリ・パス

TRACE_DIRECTORY=/oracle/network/admin/trace

8.5.3 TRACE_FILELEN

用途

トレース・ファイルのサイズをKBで指定します。

使用上のノート

このサイズに達すると、トレース情報は次のファイルに書き込まれます。ファイルの数は、TRACE_FILENOパラメータで指定します。指定できるサイズは任意です。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。

デフォルト

無制限

TRACE_FILELEN=100

8.5.4 TRACE_FILENO

用途

Oracle Connection Managerのトレースで使用するトレース・ファイルの数を指定します。

使用上のノート

このパラメータがTRACE_FILELENパラメータとともに設定されている場合、トレース・ファイルは循環方式で使用されます。最初のファイルが満杯になると、2番目のファイルを使用します(その後、同様に続きます)。最後のファイルがいっぱいになると、最初のファイルが再利用され、再度、順番にファイルが使用されます。指定できるファイル数は任意です。

トレース・ファイル名は、順序番号によって識別されます。たとえば、このパラメータを3に設定すると、ゲートウェイのトレース・ファイルには、instance-name_cmgw1_pid.trcinstance_name_cmgw2_pid.trcおよびinstance_name_cmgw3_pid.trcという名前が付けられます。

また、トレース・ファイル内のトレース・イベントの前には、そのファイルの順序番号が付きます。このパラメータは、ADRが有効でない場合に使用します。

デフォルト

1

TRACE_FILENO=3