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ASMCMDファイル・アクセス制御コマンド

このトピックでは、ASMCMD Oracle ASMファイル・アクセス制御コマンドの概要を示します。

Oracle ASMファイル・アクセス制御の詳細は、「ディスク・グループのOracle ASMファイル・アクセス制御の管理」を参照してください。

ASMCMDでユーザーを管理する場合、ユーザーは既存のオペレーティング・システム・ユーザーで、そのユーザー名には対応するオペレーティング・システム・ユーザーIDが含まれている必要があります。ただし、Oracle ASMインスタンスと同じクラスタ内のユーザーのみを検証できます。

ノート:

ファイルの所有権を変更する場合、ファイルの所有権の変更後でも、ファイルが開いている間は、ファイルの前の所有者を削除できません。

表10-108に、ASMCMD Oracle ASMファイル・アクセス制御コマンドと簡単な説明を示します。

表10-108 ASMCMDファイル・アクセス制御コマンドの概要

コマンド 説明

chgrp

ファイルまたはファイルのリストのユーザー・グループを変更します。

chmod

ファイルまたはファイルのリストの権限を変更します。

chown

ファイルまたはファイルのリストの所有者を変更します。

groups

ユーザーが属するユーザー・グループをリストします。

grpmod

ユーザーを既存のユーザー・グループに対して追加または削除します。

lsgrp

ユーザー・グループをリストします。

lsusr

ディスク・グループ内のユーザーをリストします。

mkgrp

新規ユーザー・グループを作成します。

mkusr

ディスク・グループにユーザーを追加します。

passwd

ユーザーのパスワードを変更します。

rmgrp

ユーザー・グループを削除します。

rmusr

ディスク・グループからユーザーを削除します。

rpusr

ユーザーをディスク・グループ内の別のユーザーに置き換えます。

chgrp

目的

ファイルまたはファイルのリストのユーザー・グループを変更します。

構文および説明

chgrp usergroup file [file ...]

表10-109に、chgrpコマンドの構文オプションを示します。

表10-109 chgrpコマンドのオプション

オプション 説明

usergroup

ユーザー・グループの名前。

file

ファイルの名前。

ファイル所有者またはOracle ASM管理者のみがこのコマンドを使用できます。ユーザーがファイル所有者である場合、このコマンドが成功するには、ユーザーがグループの所有者かメンバーのいずれかであることが必要です。

このコマンドには、1つのファイル名または空白で区切られた複数のファイル名を指定できます。

オープン・ファイルのユーザー・グループ設定を変更した場合、ファイルで現在実行中の操作は、古いユーザー・グループ設定を使用して完了します。再認証が必要な場合、新しい設定が有効になります。

次に、chgrpコマンドの例を示します。この例では、指定されたファイルのOracle ASMユーザー・グループを変更します。

例10-117 ASMCMD chgrpコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > chgrp asm_data +data/orcl/controlfile/Current.260.684924747

ASMCMD [+fra/orcl/archivelog/flashback] > chgrp asm_fra log_7.264.684968167 log_8.265.684972027

chmod

目的

ファイルまたはファイルのリストの権限を変更します。

構文および説明

chmod mode file [file ...]

modeの書式は、次のいずれかです。

  • { ugo | ug | uo | go | u | g | o | a } {+|- } {r|w |rw}

    aはすべてのユーザーに対する権限を、uはファイルの所有者に対する権限を、gはグループ権限を、oはその他のユーザーに対する権限を指定します。

  • { 0|4|6} {0|4|6} {0|4|6}

    1桁目は所有者権限、2桁目はグループ権限、3桁目はその他の権限を指定します。

表10-110に、chmodコマンドの構文オプションを示します。

表10-110 chmodコマンドのオプション

オプション 説明

6

読取り/書込み権限

4

読取り専用権限

0

権限なし

u

所有者権限。rまたはwとともに使用します。

g

グループ権限。rまたはwとともに使用します。

o

その他のユーザー権限。rまたはwとともに使用します。

a

すべてのユーザー権限。rまたはwとともに使用します。

+

権限を追加します。rまたはwとともに使用します。

-

権限を削除します。rまたはwとともに使用します。

r

読取り権限

w

書込み権限

file

ファイルの名前

このコマンドには、1つのファイル名または空白で区切られた複数のファイル名を指定できます。

ファイル権限は、読取り/書込み、読取り専用および権限なしにのみ設定できます。ファイル権限を書込み専用に設定することはできません。

オープン・ファイルの権限設定を変更した場合、ファイルで現在実行中の操作は、古い権限設定を使用して完了します。再認証が必要な場合、新しい設定が有効になります。

ファイルに対する権限を表示するには、--permissionオプションを指定したASMCMD lsコマンドを使用します。lsを参照してください。

次に、chmodコマンドの例を示します。この例では、指定されたファイルの権限を変更します。

例10-118 ASMCMD chmodコマンドの使用方法

ASMCMD [+fra/orcl/archivelog/flashback] > chmod ug+rw log_7.264.684968167 log_8.265.684972027

ASMCMD [+fra/orcl/archivelog/flashback] > chmod 640 log_7.264.684968167 log_8.265.684972027

ASMCMD [+] > ls --permission +fra/orcl/archivelog/flashback
User      Group      Permission  Name
grid      asm_fra     rw-r-----  log_7.264.684968167
grid      asm_fra     rw-r-----  log_8.265.684972027

chown

目的

ファイルまたはファイルのリストの所有者を変更します。

構文および説明

chown user[:usergroup ] file [file ...]

表10-111に、chownコマンドの構文オプションを示します。

表10-111 chownコマンドのオプション

オプション 説明

user

新規所有者となるユーザーの名前。

usergroup

ユーザーが属するユーザー・グループの名前。

file

ファイルの名前。

通常、userはデータベース・インスタンス・ホームを所有するユーザーです。Oracle ASMファイル・アクセス制御では、データベースの識別にオペレーティング・システム(OS)名を使用します。

このコマンドには、1つのファイル名または空白で区切られた複数のファイル名を指定できます。

オープン・ファイルの所有権設定を変更した場合、次が適用されます。

  • ファイルで現在実行中の操作は、古い所有権およびユーザー・グループ設定を使用して完了します。再認証が必要な場合、新しい設定が有効になります。

  • ファイルの新しい所有者は、クラスタ内のすべてのインスタンスがローリング方式で再起動するまで、ディスク・グループから削除できません。

Oracle ASM管理者のみがこのコマンドを使用できます。

次に、chownコマンドの例を示します。この例では、指定されたファイルの所有者をoracle1オペレーティング・システム・ユーザーに変更します。

例10-119 ASMCMD chownコマンドの使用方法

ASMCMD [+fra/orcl/archivelog/flashback] > chown oracle1 log_7.264.684968167 log_8.265.684972027

ASMCMD [+fra/orcl/archivelog/flashback] > chown oracle1:asm_fra log_9.264.687650269

groups

目的

指定されたユーザーが属するすべてのユーザー・グループをリストします。

構文および説明

groups diskgroup user

表10-112に、groupsコマンドの構文オプションを示します。

表10-112 groupsコマンドのオプション

オプション 説明

diskgroup

ユーザーが属するディスク・グループの名前。

user

ユーザー名です。

次に、groupsコマンドの例を示します。この例では、oracle1ユーザーが属するdataディスク・グループのユーザー・グループを表示します。

例10-120 ASMCMD groupsコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > groups data oracle1
asm_data

grpmod

目的

オペレーティング・システム(OS)ユーザーを既存のOracle ASMユーザー・グループに対して追加または削除します。

構文および説明

grpmod { --add | --delete } diskgroup usergroup user [user...]

表10-113に、grpmodコマンドの構文オプションを示します。

表10-113 grpmodコマンドのオプション

オプション 説明

--add

ユーザーをユーザー・グループに追加することを指定します。

--delete

ユーザーをユーザー・グループから削除することを指定します。

diskgroup

ユーザー・グループが属するディスク・グループの名前。

usergroup

ユーザー・グループの名前。

user

ユーザー・グループに対して追加または削除するユーザーの名前。

ユーザー・グループの所有者のみがこのコマンドを使用できます。このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。

このコマンドには、1つのオペレーティング・システム・ユーザー名または空白で区切られた複数のユーザー名を指定できます。通常、オペレーティング・システム・ユーザーはデータベース・インスタンス・ホームの所有者です。

次に、grpmodコマンドの例を示します。1つ目の例では、fraディスク・グループのasm_fraユーザー・グループにoracle1およびoracle2ユーザーを追加します。2つ目の例では、dataディスク・グループのasm_dataユーザー・グループからoracle2ユーザーを削除します。

例10-121 ASMCMD grpmodコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > grpmod –-add fra asm_fra oracle1 oracle2

ASMCMD [+] > grpmod –-delete data asm_data oracle2

lsgrp

目的

すべてのOracle ASMユーザー・グループ、または指定されたパターンと一致するグループのみをリストします。

構文および説明

lsgrp [--suppressheader][-a] [ -G diskgroup ] [ pattern ]

表10-114に、lsgrpコマンドの構文オプションを示します。

表10-114 lsgrpコマンドのオプション

オプション 説明

--suppressheader

列ヘッダーを非表示にします。

-a

すべての列をリストします。

-G diskgroup

指定されたディスク・グループ名に結果を制限します。

pattern

パターン表現と一致するユーザー・グループを表示します。

次に、lsgrpコマンドの例を示します。1つ目の例では、asm%パターンと一致する名前のユーザー・グループに関する情報の一部を表示します。2つ目の例では、すべてのユーザー・グループに関する情報を全部表示します。

例10-122 ASMCMD lsgrpコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsgrp asm%
DG_Name  Grp_Name   Owner
FRA      asm_fra    grid
DATA     asm_data   grid

ASMCMD [+] > lsgrp -a
DG_Name  Grp_Name   Owner     Members
FRA      asm_fra    grid      oracle1
DATA     asm_data   grid      oracle1 oracle2

lsusr

目的

ディスク・グループ内のOracle ASMユーザーをリストします。

構文および説明

lsusr [--suppressheader][-a] [-G diskgroup ] [ pattern ]

表10-115に、lsusrコマンドの構文オプションを示します。

表10-115 lsusrコマンドのオプション

オプション 説明

-a

すべてのユーザーと、ユーザーが属するディスク・グループをリストします。

--suppressheader

列ヘッダーを非表示にします。

-G diskgroup

指定されたディスク・グループ名に結果を制限します。

pattern

パターン表現と一致するユーザーを表示します。

次に、lsusrコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループ内のユーザーと、ユーザーに割り当てられたオペレーティング・システムIDを表示します。

例10-123 ASMCMD lsusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > lsusr -G data
User_Num OS_ID OS_Name 
3        1001  grid
1        1021  oracle1
2        1022  oracle2

mkgrp

目的

新しいOracle ASMユーザー・グループを作成します。

構文および説明

mkgrp diskgroup usergroup [user] [user...]

表10-116に、mkgrpコマンドの構文オプションを示します。

表10-116 mkgrpコマンドのオプション

オプション 説明

diskgroup

ユーザー・グループが追加されるディスク・グループの名前。

usergroup

追加するユーザー・グループの名前。最大文字数は30です。

user

ユーザー・グループに追加するデータベース・ユーザーの名前。

必要に応じて、新しいユーザー・グループのメンバーとして含めるユーザーのリストを指定できます。

次に、mkgrpコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループにasm_dataユーザー・グループを作成し、作成したユーザー・グループにoracle1およびoracle2ユーザーを追加します。

例10-124 ASMCMD mkgrpコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > mkgrp data asm_data oracle1 oracle2

mkusr

目的

オペレーティング・システム(OS)ユーザーをディスク・グループに追加します。

構文および説明

mkusr diskgroup user

表10-117に、mkusrコマンドの構文オプションを示します。

表10-117 mkusrコマンドのオプション

オプション 説明

diskgroup

ユーザーが追加されるディスク・グループの名前を指定します。

user

追加するユーザーの名前。

追加するユーザーは、有効なオペレーティング・システム・ユーザーである必要があります。SYSASMとして認証されたユーザーのみがこのコマンドを実行できます。

次に、mkusrコマンドの例を示します。1つ目の例では、dataディスク・グループにoracle1ユーザーを追加します。2つ目の例では、fraディスク・グループにoracle2ユーザーを追加します。

例10-125 ASMCMD mkusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > mkusr data oracle1

ASMCMD [+] > mkusr fra oracle2

passwd

目的

ユーザーのパスワードを変更します。

構文および説明

passwd user

表10-118に、passwdコマンドの構文オプションを示します。

表10-118 passwdコマンドのオプション

オプション 説明

user

ユーザー名です。

Oracle ASMパスワード・ファイルにユーザーが存在しない場合は、エラーが発生します。ユーザーは、まず現在のパスワードを要求され、次に新しいパスワードを要求されます。このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。

次に、passwdコマンドの例を示します。この例では、oracle2ユーザーのパスワードを変更します。

例10-126 ASMCMD passwdコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > passwd oracle2
Enter old password (optional): 
Enter new password: ******

rmgrp

目的

ディスク・グループからユーザー・グループを削除します。

構文および説明

rmgrp diskgroup usergroup

表10-119に、rmgrpコマンドの構文オプションを示します。

表10-119 rmgrpコマンドのオプション

オプション 説明

diskgroup

ユーザー・グループが属するディスク・グループの名前。

usergroup

削除するユーザー・グループの名前。

グループを削除すると、有効なユーザー・グループのないファイルがいくつか残る可能性があります。それらのファイルが必ず有効なグループを持つようにするには、ファイルを有効なユーザー・グループに明示的に更新します。chgrpを参照してください。

このコマンドはユーザー・グループの所有者が実行する必要があり、実行するにはSYSASM権限が必要です。

次に、rmgrpコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループからasm_dataユーザー・グループを削除します。

例10-127 ASMCMD rmgrpコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > rmgrp data asm_data

rmusr

目的

オペレーティング・システム(OS)ユーザーをディスク・グループから削除します。

構文および説明

rmusr [-r] diskgroup user

表10-120に、rmusrコマンドの構文オプションを示します。

表10-120 rmusrコマンドのオプション

オプション 説明

-r

ユーザーの削除と同時に、そのユーザーが所有するディスク・グループ内のすべてのファイルを削除します。

diskgroup

ユーザーが削除されるディスク・グループの名前を指定します。

user

削除するユーザーの名前。

このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。

次に、rmusrコマンドの例を示します。この例では、dataディスク・グループからoracle2ユーザーを削除します。

例10-128 ASMCMD rmusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > rmusr data oracle2

rpusr

目的

オペレーティング・システム(OS)ユーザーをディスク・グループ内の別のユーザーに置き換えます。

構文および説明

rpusr diskgroup user1 user2

表10-121に、rpusrコマンドの構文オプションを示します。

表10-121 rpusrコマンドのオプション

オプション 説明

diskgroup

ディスク・グループ名を指定します。

user1

置き換えられるユーザーの名前。

user2

ディスク・グループ内の既存のユーザーを置き換えるユーザーの名前。

rpusrコマンドは、オペレーティング・システム・ユーザーをOracle ASMディスク・グループ内の別のユーザーに置き換えます。置換ユーザーは、現在ディスク・グループのユーザー・リストにあるユーザーにしないでください。

コマンドが成功すると、現在のユーザーが以前に所有していたすべてのファイルが、置換ユーザーによって所有されるようになります。現在のユーザーは、ディスク・グループのユーザー・リストから自動的に削除されます。現在のユーザーをディスク・グループに戻すことは可能ですが、このユーザーはどのファイルも所有しません。

オープン・ファイルの所有権を変更すると、クラスタ内のすべてのインスタンスが再起動するまで、新しい所有者をその所有者のファイルで削除できません。

このコマンドを実行するにはSYSASM権限が必要です。

次に、oracle1ユーザーをdataディスク・グループ内のoracle2ユーザーに置き換えるrpusrコマンドの例を示します。

例10-129 ASMCMD rpusrコマンドの使用方法

ASMCMD [+] > rpusr data oracle1 oracle2