10 ASMCMDによるOracle ASMの管理
Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)のコマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)は、Oracle ASMを管理するコマンドを提供します。
この章では、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)コマンドライン・ユーティリティ(ASMCMD)について説明します。この章のトピックは、次のとおりです:
関連項目:
Oracle ADVMボリュームを管理するためのASMCMDコマンドの詳細は、Oracle Automatic Storage Management Cluster File System管理者ガイド
ノート:
引用符で囲む必要があるため、識別子をOracle Databaseオブジェクト名に使用することをお薦めしません。引用符で囲んだ識別子の使用は、一部のコマンドライン・ツールまたはCREATE
DISKGROUP
"1DATA
"などのSQL文では名前として有効であっても、オブジェクトを管理する他のツールを使用する場合に、その名前は有効でないことがあります。Oracle Databaseオブジェクトの名前付けの詳細は、『Oracle Database SQL言語リファレンス』を参照してください。
ASMCMD監査ファイル管理コマンド
このドキュメントでは、ASMCMD Oracle ASM監査ファイル管理コマンドについて説明します。
次の表に、ASMCMD監査ファイル管理コマンドの概要を示します。
表10-1 ASMCMD監査ファイル管理コマンドの概要
コマンド | 説明 |
---|---|
指定した監査証跡タイプの監査ファイルを削除します。 |
|
指定した監査プロパティの値をクリアします。 |
|
" |
|
指定した監査証跡タイプのパージ・ジョブを作成します。 |
|
指定した監査パージ・ジョブを削除します。 |
|
指定したデバッグ・レベルにトレースを設定します。 |
|
指定した監査パージ・ジョブのジョブ間隔を設定します。 |
|
指定したパージ・ジョブのステータスを" |
|
指定された監査証跡タイプに対して指定した監査プロパティの値を設定します。 |
|
指定した監査証跡タイプに最終アーカイブ・タイムスタンプを設定します。 |
|
" |
|
構成されている監査証跡のパージ・ジョブが表示されます。 |
|
指定した監査証跡タイプに構成されている監査証跡プロパティを表示します。 |
audcleanaudittrail
目的
指定した監査証跡タイプの監査ファイルを削除します。このコマンドは、--useTimestamp
オプションが指定されている場合、"audsettimestamp
"コマンドを使用して設定された最終アーカイブ・タイムスタンプに基づいてファイルを削除します。それ以外の場合は、アクティブに書き込まれていないすべてのファイルが削除されます。
構文および説明
audcleanaudittrail {--os|--uni} [--useTimestamp]
audcleanaudittrail
コマンドのオプション
表10-2 audcleanaudittrailコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプの監査ファイルをクリーン・アップします。 |
|
統合監査証跡タイプの監査ファイルをクリーン・アップします。 |
|
指定すると、監査レコードのクリーン・アップに最終アーカイブ・タイムスタンプが使用されます。 |
例
次に、audcleanaudittrail
コマンドの例を示します。
次の例では、"audsettimestamp
"コマンドで指定されたタイムスタンプより古いOS監査証跡タイプの監査ファイルが削除されます。
例10-1 ASMCMD audcleanaudittrailコマンドの使用方法
ASMCMD> audcleanaudittrail --os --useTimestamp
次の例では、"audsettimestamp
"コマンドで指定されたタイムスタンプより古い統合監査証跡タイプの監査ファイルが削除されます。
例10-2 ASMCMD audcleanaudittrailコマンドの使用方法
ASMCMD> audcleanaudittrail --uni --useTimestamp
audclearproperty
目的
指定した監査プロパティの値をクリアします。--use_def
引数を使用すると、プロパティの値はそれぞれのデフォルト値に設定されます。
構文および説明
audclearproperty {--file_max_size|--file_max_age} [--use_def] {--os|--uni}
audclearproperty
コマンドのオプション
表10-3 audclearpropertyコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
最大監査ファイル・サイズ ノート: 詳細は、Oracle ASM監査証跡の管理を参照してください。 |
|
最大監査ファイル有効期間 ノート: 詳細は、Oracle ASM監査証跡の管理を参照してください。 |
|
値をリセットするか、デフォルト値に戻します。 |
|
OS監査証跡タイプのプロパティをクリアします。 |
|
統合監査証跡タイプのプロパティをクリアします。 |
ノート:
監査ファイルの有効期間のデフォルト値は5日で、監査ファイルのサイズのデフォルト値は10MBです。例
次に、audclearproperty
コマンドの例を示します。
次の例では、OS監査証跡タイプの監査ファイルのfile_max_size
プロパティをデフォルト値に設定します。
例10-3 ASMCMD audclearpropertyコマンドの使用方法
ASMCMD> audclearproperty --file_max_size --use_def --os
次の例では、統合監査証跡タイプの監査ファイルのfile_max_age
プロパティをクリアするように指定しています。つまり、file_max_age
プロパティをゼロに設定します。
例10-4 ASMCMD audclearpropertyコマンドの使用方法
ASMCMD> audclearproperty --file_max_age --uni
audcleartimestamp
目的
audsettimestampによって設定された最終アーカイブ・タイムスタンプをクリアします。
構文および説明
audcleartimestamp {--os --inst <instancenumber> |--uni}
audcleartimestamp
コマンドのオプション
表10-4 audcleartimestampコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプに設定された最終アーカイブ・タイムスタンプをクリアします。 |
|
統合監査証跡タイプに設定された最終アーカイブ・タイムスタンプをクリアします。 |
|
インスタンス番号 |
例
次に、audcleartimestamp
コマンドの例を示します。
次の例では、OS監査証跡タイプのインスタンス番号1に設定された最終アーカイブ・タイムスタンプをクリアします。
例10-5 ASMCMD audcleartimestampコマンドの使用方法
ASMCMD> audcleartimestamp --os --inst 1
次の例では、統合監査証跡タイプに設定された最終アーカイブ・タイムスタンプをクリアします。
例10-6 ASMCMD audcleartimestampコマンドの使用方法
ASMCMD> audcleartimestamp --uni
audcreatejob
目的
指定した監査証跡タイプのパージ・ジョブを作成します。パージ・ジョブは、 --int
で指定された頻度で実行され、監査ファイルをパージします。
構文および説明
audcreatejob --name <job_name> --int <purge_int> {--os | --uni} [--use_ts]
audcreatejob
コマンドのオプション。
表10-5 audcreatejobコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
パージ・ジョブの名前 |
|
パージ間隔(時間) |
|
OS監査証跡タイプのパージ・ジョブ |
|
統合監査証跡タイプのパージ・ジョブ |
|
指定した場合、パージはaudsettimestampコマンドによって設定された最終アーカイブ・タイムスタンプに基づきます。 |
例
audcreatejob
コマンドの例を次に示します。
次の例では、OS監査証跡タイプに対してパージ間隔が10時間のOSAUD_PURGE
というジョブを作成します。このジョブでは、監査ファイルのパージ中に、audsettimestamp
を使用して前に設定したタイムスタンプを使用します(--use_ts
が指定されているため)。
例10-7 ASMCMD audcreatejobコマンドの使用方法
ASMCMD> audcreatejob --name OSAUD_PURGE --int 10 --os --use_ts
次の例では、OS監査証跡タイプに対してパージ間隔が10時間のOSAUD_NOTS
というジョブを作成します。このジョブでは、監査ファイルのパージ中に、audsettimestamp
を使用して前に設定したタイムスタンプは使用しません(--use_ts
が指定されていないため)。
例10-8 ASMCMD audcreatejobコマンドの使用方法
ASMCMD> audcreatejob --name OSAUD_NOTS --int 10 –os
auddropjob
目的
指定した監査パージ・ジョブを削除します。このコマンドには、監査トレール・タイプ情報は必要ありません。
構文および説明
auddropjob --name <job_name>
auddropjob
コマンドのオプション。
表10-6 auddropjobコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
パージ・ジョブの名前 |
例
次は、監査パージ・ジョブOSAUD_PURGE
を削除します。
例10-9 ASMCMD auddropjobコマンドの使用方法
ASMCMD> auddropjob --name OSAUD_PURGE
audsetdebug
目的
指定したデバッグ・レベルにトレースを設定します。
構文および説明
audsetdebug {--debug | --error}
audsetdebug
コマンドのオプション。
表10-7 audsetdebugコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
すべてのデバッグ情報をトレースにダンプします。 |
|
エラー情報のみをトレースにダンプします。 |
ノート:
デフォルトのデバッグ・レベルは"error"です。例
次の例では、デバッグ・レベルを"debug
"に設定します。
例10-10 ASMCMD audsetdebugコマンドの使用方法
ASMCMD> audsetdebug --debug
audsetjobinterval
目的
指定した監査パージ・ジョブのジョブ間隔を設定します。
構文および説明
audsetjobinterval --name <job_name> --int <interval>
audsetjobinterval
コマンドのオプション。
表10-8 audsetjobintervalコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
監査パージ・ジョブの名前 |
|
間隔(時間) |
例
次の例では、監査クリーンアップ・ジョブOSAUD_PURGE
の間隔を10時間に設定します。
例10-11 ASMCMD audsetjobintervalコマンドの使用方法
ASMCMD> audsetjobinterval --name OSAUD_PURGE --int 10
audsetjobstatus
目的
指定したパージ・ジョブのステータスを有効または無効の状態に設定します。
構文および説明
audsetjobstatus --name <job_name> {--disable | --enable}
audsetjobstatus
コマンドのオプション。
表10-9 audsetjobstatusコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
監査パージ・ジョブ名 |
|
指定されたジョブを有効または無効にします。 |
ノート:
監査パージ・ジョブを無効にすると、監査ファイルは定期的にパージされません。例
次の例では、監査ジョブOSAUD_PURGE
を無効にします。
例10-12 ASMCMD audsetjobstatusコマンドの使用方法
ASMCMD> audsetjobstatus --name OSAUD_PURGE --disable
audsetproperty
目的
指定された監査証跡タイプに対して指定した監査プロパティの値を設定します。
構文および説明
audsetproperty {--file_max_size | --file_max_age } --val <value> {--os | --uni}
audsetproperty
コマンドのオプション。
表10-10 audsetpropertyコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
監査ファイルの最大サイズ ノート: file_max_size プロパティの値は[1,2000000] KBの範囲内にある必要があります。
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監査ファイルの最大有効期間 ノート: file_max_age プロパティの値は、[1, 497]日の範囲内にある必要があります。
|
|
プロパティの値 |
|
OS監査証跡タイプのプロパティを設定します。 |
|
統合監査証跡タイプのプロパティを設定します。 |
例
次に、audsetproperty
コマンドの例を示します。
次の例では、OS監査証跡タイプの監査ファイルのfile_max_size
プロパティを10KBに設定します。
例10-13 ASMCMD audsetpropertyコマンドの使用方法
ASMCMD> audsetproperty --file_max_size --val 10 --os
次の例では、統合監査証跡タイプの監査ファイルのfile_max_age
プロパティを10日に設定します。
例10-14 ASMCMD audsetpropertyコマンドの使用方法
ASMCMD> audsetproperty --file_max_age --val 10 --uni
audsettimestamp
目的
指定した監査証跡タイプに最終アーカイブ・タイムスタンプを設定します。このタイムスタンプは、--useTimestamp
オプションを使用して構成されている場合、監査パージ・ジョブおよびaudcleanaudittrail
コマンドで使用されます。OS監査証跡タイプの場合、インスタンス番号が必要です。
構文および説明
audsettimestamp {--os|--uni} [--inst <id>] <timestamp>
audsettimestamp
コマンドのオプション。
表10-11 audsettimestampコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプの最終アーカイブ・タイムスタンプ |
|
統合監査証跡タイプの最終アーカイブ・タイムスタンプ |
|
インスタンス番号 |
|
タイムスタンプ |
例
次の例では、インスタンス番号1のOS監査証跡タイプの最終アーカイブ・タイムスタンプを設定します。
例10-15 ASMCMD audsettimestampコマンドの使用方法
ASMCMD> audsettimestamp --os --inst 1 22-AUG-2012 07:48:53
audshowtimestamp
目的
"audsettimestamp
"コマンドを使用して設定した最終アーカイブ・タイムスタンプを表示します。
構文および説明
audshowtimestamp [{--os|--uni}] [-g]
audshowtimestamp
コマンドのオプション。
表10-12 audshowtimestampコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプに設定された最新のアーカイブ・タイムスタンプを表示します。 |
|
統合監査証跡タイプに設定された最終アーカイブ・タイムスタンプを表示します。 |
|
クラスタ全体のタイムスタンプ情報を表示します。 |
例
次に、audshowtimestamp
コマンドの例を示します。
次の例は、OS監査証跡タイプに設定された最終アーカイブ・タイムスタンプを示しています。
例10-16 ASMCMD audshowtimestampコマンドの使用方法
ASMCMD> audshowtimestamp --os
次の例は、OS監査証跡タイプのクラスタ全体のタイムスタンプ情報を示しています。
例10-17 ASMCMD audshowtimestampコマンドの使用方法
ASMCMD> audshowtimestamp --os -g
関連項目:
V$ASM_AUDIT_LAST_ARCH_TS
のデータベース・リファレンス
lsaudcleanupjobs
目的
構成されている監査証跡のパージ・ジョブが表示されます。
構文および説明
lsaudcleanupjobs [--os |--uni]
lsaudcleanupjobs
コマンドのオプション。
表10-13 lsaudcleanupjobsコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプに構成されているパージ・ジョブのみを表示します。 |
|
統合監査証跡タイプに構成されているパージ・ジョブのみを表示します。 |
ノート:
lsaudcleanupjobs
は、監査証跡オプションが指定されていない場合に、OS監査証跡タイプと統合監査証跡タイプの両方に構成されているパージ・ジョブを表示します。
例
次の例では、OS監査証跡タイプに対して構成されている監査クリーンアップ・ジョブを問い合せます。
例10-18 ASMCMD lsaudcleanupjobsコマンドの使用方法
ASMCMD> lsaudcleanupjobs --os
関連項目:
V$ASM_AUDIT_CLEANUP_JOBS
のデータベース・リファレンス
lsaudconfigparams
目的
指定した監査証跡タイプに構成されている監査証跡プロパティを表示します。
構文および説明
lsaudconfigparams [{--os|--uni}]
lsaudconfigparams
コマンドのオプション。
表10-14 lsaudconfigparamsコマンドのオプション
オプション | 説明 |
---|---|
|
OS監査証跡タイプの監査証跡プロパティのみを表示します。 |
|
統合監査証跡タイプの監査証跡プロパティのみを表示します。 |
ノート:
lsaudconfigparams
は、監査証跡タイプ・オプションが指定されていない場合に、OS監査証跡タイプと統合監査証跡タイプの両方の監査構成プロパティを表示します。
例
次の例では、OS監査証跡タイプの監査構成パラメータを問い合せます。
例10-19 ASMCMD lsaudconfigparamsコマンドの使用方法
ASMCMD> lsaudconfigparams --os
関連項目:
V$ASM_AUDIT_CONFIG_PARAMS
のデータベース・リファレンス