Oracle Exadata Database Machine 12cリリース1(12.1.2.1.0)の新機能

Oracle Exadata Database Machine 12cリリース1 (12.1.2.1.0)の新機能は次のとおりです。

Oracle Exadata Database Machineエラスティック構成

エラスティック構成を使用すると、Oracle Exadata Racksで、顧客が定義したデータベース・サーバーとExadata Storageサーバーの組合せを利用できます。少なくとも2台のデータベース・サーバーと3台のストレージ・サーバーをラックに設置する必要があります。ストレージ・サーバーは、すべて同タイプである必要があります。Oracle Exadata Database Machine X5-2エラスティック構成とOracle Exadata Database Machine X4-8エラスティック構成では、2台から19台のデータベース・サーバー、3台から20台のExadata Storageサーバーまたは1組のデータベース・サーバーとExadata Storageサーバーの組合せを使用できます。Oracle Exadata Storage Expansion Rack X5-2エラスティック構成では、4台から19台のストレージ・サーバーを使用できます。

エラスティック構成を使用すると、Oracle Exadata Racksで、顧客が定義したデータベース・サーバーとExadata Storageサーバーの組合せを利用できます。これにより、ハードウェア構成を、特定のワークロードに的確に適合させることができます(たとえばDatabase In-Memory、OLTP、Data WarehousingまたはData Retention)。

  • Oracle Exadata Database Machine X5-2エラスティック構成は、2台のデータベース・サーバーと3台のExadata Storageサーバーを含むクオータ・ラックから用意されています。ラックがいっぱいになるか、ラックの最大サーバー数の22台に達するまで、追加のデータベースとストレージ・サーバー(大容量(HC)またはExtreme Flash(EF))を追加できます。

  • Oracle Exadata Storage Expansion Rack X5-2エラスティック構成は、4台のExadata Storageサーバーを含むクオータ・ラックから用意されています。ラック当たり合計19台のストレージ・サーバーまで、追加のストレージ・サーバー(HCまたはEF)を追加できます。

  • Oracle Exadata Database Machine X4-8エラスティック構成は、2台のデータベース・サーバーX4-8 8ソケット・サーバーと3台のExadata Storageサーバーを含むハーフ・ラックから用意されています。ラック当たり最大2台の追加のX4-8 8ソケット・サーバーを追加できます。ラック当たり最大11台の追加のExadata Storageサーバー(HCまたはEF)を追加できます。

スパース・グリッド・ディスク

スパース・グリッド・ディスクは、新しいデータがディスクへ書き込まれるときに領域を割り当てるため、仮想サイズが実際の物理サイズよりはるかに大きくなることがあります。スパース・グリッド・ディスクは、スパース・ディスク・グループを作成して、割り当てられた領域の小部分を使用するデータベース・ファイルを格納するために使用されます。スパース・ディスク・グループは、短時間で効率的にデータベースのスナップショットをOracle Exadata上に作成するのに特に役立ちます。従来のデータベースを、スパース・ディスク・グループを使用して作成することもできます。

最小ハードウェア: ストレージ・ノードX3以上

最小ソフトウェア: Oracle Database 12cリリース1(12.1)リリース12.1.0.2 BP5以上。

テストおよび開発目的のデータベースのスナップショット

テストと開発目的のために、スペース効率のよいデータベース・スナップショットをすぐに作成できるようになりました。スナップショットは、機密情報を消去した本番データベース(またはプラガブル・データベース(PDB))の共有読取り専用コピーで開始します。各スナップショットは、変更がなされるたびに、変更されたブロックをスパース・ディスク・グループへ書き込みます。

複数のユーザーが、同じベース・データベースから別々のスナップショットを作成することもできます。このため、複数のテストおよび開発環境が、各タスク用のデータベースを別々に維持しつつ、領域を共有することができます。Exadata Storageサーバー上でスナップショットを使用すると、Smart Scanなど、Oracle Exadata Storage Server Softwareの機能を使用して、テストおよび開発をすることができます。

Exadataデータベース・スナップショットは、マルチテナント・データベース・オプションと統合されているため、きわめて簡素なインタフェースで新しいPDBスナップショットを作成することができます。

最小ハードウェア: ストレージ・ノードX3以上

最小ソフトウェア: Oracle Database 12cリリース1(12.1)リリース12.1.0.2 BP5以上。

列形式フラッシュ・キャッシング

Oracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0は、混合ワークロードを効率的にサポートしているため、OLTPと分析の両方でパフォーマンスを最適にできます。これは、トランザクショナル処理ではハイブリッド列形式で、分析処理ではそれに最適化された純粋な列形式で、データを格納することを可能にするExadata Smart Flash Cacheのデュアル・フォーマット・アーキテクチャにより実現されています。

さらに、Exadata Hybrid Columnar Compressionは、OLTPと分析のワークロードのニーズを均衡させます。Exadata Hybrid Columnar Compressionを使用すると最高レベルのデータ圧縮が可能になり、特に分析ワークロードでI/Oが削減されるためコストが大幅に節約されてパフォーマンスが向上します。

Oracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0では、フラッシュ・キャッシュ移入時に、分析処理を最適化するために、Exadata Smart Flash Cacheソフトウェアがハイブリッド列圧縮データを純粋な列形式に変換します。フラッシュ内の純粋な列データに対するフラッシュ・キャッシュは、選択された列のみを読み取るため、高速で実行され、フラッシュI/Oとストレージ・サーバーのCPU使用量が減ります。

Oracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0は、Exadata Hybrid Columnar Compression表データを純粋な列形式レイアウトでフラッシュ・キャッシュにキャッシュすることができます。Smart Scanを使用してExadata Hybrid Columnar Compression表にアクセスすると、Exadata Hybrid Columnar Compressionの圧縮されたデータがフラッシュ・キャッシュの記憶領域と同じ量で純粋な列形式レイアウトに再フォーマットされます。

大規模表の、圧縮ユニット(CU)内での所定の列のデータのパーセンテージは、小規模表と比較して小さくなります。これにより、列全体のデータを取得するために、ディスクとフラッシュからより多くのCUがフェッチされます。大規模なExadata Hybrid Columnar Compression表の少数の列のみを読み取る問合せは、ストレージから無関係な列も読み取るため、広いI/O帯域幅を使用します。データを列形式でフラッシュ・キャッシュに格納すると、無関係な列を読む必要が軽減され、パフォーマンスが大きく改善します。

ワークロードのタイプ(OLTPまたはデータ・ウェアハウス)によって異なりますが、同じリージョンのデータを、従来のブロック形式と列形式の両方でフラッシュ・キャッシュ上にキャッシュできます。

この機能はデフォルトで有効になっており、この機能を使用するためにユーザーによる構成を必要としません。

列形式のフラッシュ・キャッシュを使用すると、OLTPスタイルの単一列参照でも優れたパフォーマンスを維持しつつ、レポーティングと分析的問合せが高速化されます。

列形式フラッシュ・キャッシュは、よくスキャンされるExadata Hybrid Columnar Compressionの圧縮されたデータを、フラッシュ・キャッシュへのロード時に純粋な列形式に自動変換することによって、Oracle Exadata Database Machineフラッシュのデュアル・フォーマット・アーキテクチャを実装しています。フラッシュ内の純粋な列データに対して実行されるSmart Scanは、選択された列のみを読み取るため、高速で実行され、フラッシュI/Oとストレージ・サーバーのCPUが減ります。

データが頻繁にOLTP参照される場合、元のExadata Hybrid Columnar Compression形式データもフラッシュ・キャッシュにキャッシュできます。このため、Exadataスマート・フラッシュ・キャッシュは、よく使用されるあらゆるタイプの操作を高速化するために、キャッシュされたデータの形式を自動的に最適化します。

この機能はデフォルトで有効になっており、この機能を使用するためにユーザーによる構成を必要としません。

最小ソフトウェア: Oracle Database 12cリリース12.1.0.2.0を実行するOracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0

関連項目:

フラッシュ・キャッシュのメトリックの詳細は、Oracle Exadata System Softwareユーザーズ・ガイドを参照してください

書込み操作のためのOracle Exadata System SoftwareのI/Oレイテンシ制限

この機能では、遅い読取りによって異常値を排除できます。それ以外ではアプリケーションに表示される読取りの異常値を防止します。

ディスク・ドライブ、ディスク・コントローラおよびフラッシュ・デバイスは、デバイスが内部メンテナンスまたはリカバリ操作を実行している間、場合により、待機時間が長くなることがある複雑なコンピュータです。また、障害が発生しかけているデバイスは、その発生前に待機時間が長くなる場合があります。以前は、高い待機時間を示すデバイスは、場合によりSQL応答時間が長くなることがありました。書込み操作のOracle Exadata System SoftwareのI/Oレイテンシ制限では、レイテンシが長いI/O動作をミラー・コピーに自動リダイレクトすることによって、Oracle Exadata Database Machine上でのSQL I/O応答時間を確実に改善します。

Oracle Exadata System Softwareリリース11.2.3.3.1および12.1.1.1.1では、Oracle Exadata Database Machineがフラッシュ・デバイスから読取りを試行し、読取りI/Oのレイテンシが適切な長さより長い場合に、Oracle Exadata System SoftwareがI/O読取り操作を自動的に別のストレージ・サーバー(セル)にリダイレクトします。I/O読取りを開始したデータベース・サーバーにメッセージが送信され、それによってデータベース・サーバーは、読取りI/Oをデータの別のミラー・コピーにリダイレクトします。データの最新の有効なミラー・コピーに対して実行された読取りI/Oは、リダイレクトされません。

Oracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0では、レイテンシの長い書込み操作を検出すると、Oracle Exadata System Softwareは、同じストレージ・サーバーの別の正常なフラッシュ・デバイスに自動的に書込み操作をリダイレクトします。書込みが正常に完了したら、データベース・サーバーで書込みI/Oが成功と認識され、それによって書込み異常値を除去します。

要件:

  • 最小ソフトウェア:

    • Oracle Database 11gリリース2 (11.2)、Monthly Database Patch For Exadata (2014年6月 - 11.2.0.4.8)

    • Oracle Grid Infrastructure 11gリリース2 (11.2)、Monthly Database Patch For Exadata (2014年6月 - 11.2.0.4.8)

  • ストレージ・サーバー(セル)のライトバック・フラッシュ・キャッシュの有効化

誤検知ドライブ障害の除去

ディスク・ドライブとフラッシュ・ドライブは、内部ソフトウェアがロックされるために、場合により、実際に物理的に故障していなくても故障しているように見えることがある複雑なコンピュータです。X5-2 High Capacityセル上のハード・ドライブ障害と見られる現象またはX5-2 Extreme Flashセル上のフラッシュ・ドライブ障害と見られる現象が発生した場合、Oracle Exadata System SoftwareはI/Oを他のドライブに自動的にリダイレクトし、ドライブをパワー・サイクルします。パワー・サイクルの後、ドライブが正常ステータスに戻ると、再び有効化され、再同期されます。パワー・サイクルの後もドライブの障害が継続する場合、それは削除されます。この機能により、Oracle Exadata System Softwareでは誤検知されたディスク障害を除去することが可能になるため、データ冗長度を維持しつつ管理負荷を減らすことができます。

フラッシュおよびディスクのライフ・サイクル管理アラート

Oracle Exadata Storage Server Softwareは、ディスクの障害と交換によるOracle ASMのリバランス操作を監視します。管理サーバーは、リバランス操作が正常に完了したか、エラーが発生したときにアラートを送信します。

以前のリリースでは、V$ASM_OPERATIONビューを問い合せることによって、ユーザーがリバランス操作の進捗を定期的に監視する必要がありました。ユーザーは管理サーバーからアラートをサブスクライブし、Oracle ASMリバランス操作に関する更新を受け取ることができるようになりました。

最小ソフトウェア: Oracle Databaseリリース12.1.0.2 BP4以降、およびOracle Exadata Storage Server Softwareリリース12.1.2.1.0以降。

最小値または最大値機能を備えたSQL問合せのためのパフォーマンス最適化

最小値または最大値機能を使用するSQL問合せは、Exadata Storage Serverメモリーにキャッシュされたストレージ索引列サマリーを活用するように設計されています。問合せの処理時に、その際の最小値と最大値が追跡されます。I/Oを発行する前に、データ領域のストレージ索引にキャッシュされた最小/最大値がその時点の最小/最大値とともに確認され、そのI/Oを発行するか、プルーニングするかが決定されます。全体として、この最適化により問合せ時にかなりのI/Oプルーニングが発生することがあり、問合せのパフォーマンスを向上させます。この最適化がプラスに働く問合せの例は、次のとおりです。

Select max(Salary) from EMP where Department = 'sales';

各列の最小値または最大値を問い合せることによって表の形状を取得するビジネス・インテリジェンス・ツールでは、この最適化は有益です。

次のセッション統計情報は、ストレージ索引最適化によって節約されたI/Oの量を示します。

cell physical IO bytes saved by storage index

最小ソフトウェア: Oracle Databaseリリース12.1.0.2。

AWRレポートのOracle Exadata Storage Server Softwareパフォーマンス統計情報

Exadata Storage Serverの構成とパフォーマンスの統計情報は、自動ワークロード・リポジトリ(AWR)で収集され、そのデータをAWRレポートで表示できます。AWRレポートのOracle Exadataセクションは、HTMLまたはアクティブ・レポート形式で表示できます。

次のセクションが、AWRレポートの3つの主要なセクションです。

  • Exadata Server構成: ハードウェアモデル情報、ソフトウェア・バージョンおよびストレージ構成

  • Exadata Serverシステム状態レポート: オフラインのディスクとオープン・アラート

  • Exadataパフォーマンス統計情報: オペレーティング・システム統計情報、ストレージ・サーバー・ソフトウェア統計情報、スマート・スキャン統計情報およびデータベースごとの統計情報

AWRレポートは、特定のインスタンスまたはデータベースに制限されず、ストレージ・レベルでパフォーマンス統計を提供します。これは、あるデータベースが別のデータベースのパフォーマンスに影響を及ぼす場合の事例を解析するのに役立ちます。

特定の色を使用して構成の相違が強調表示されるため、分析が簡単です。たとえば、他のセルとソフトウェア・リリースが異なるセルや、他のセルとメモリー構成が異なるセルが強調表示されます。

異常値は自動的に解析、表示されるため、パフォーマンス分析が簡単です。異常値は、適切にカラー表示され、詳細な統計情報にリンクされます。

最小ソフトウェア: Oracle Databaseリリース12.1.0.2、およびOracle Exadata Storage Server Softwareリリース12.1.2.1.0。

Exafusion Direct-to-Wireプロトコル

Exafusion Direct-to-Wireプロトコルを使用すると、データベース・プロセスが、OSカーネルに入るオーバーヘッドをバイパスし、通常のネットワーク・ソフトウェア・スタックを実行して、Oracle Real Applications Cluster(Oracle RAC)メッセージをInfinibandネットワーク経由で直接読み取ったり送信したりできます。これにより、Oracle Exadata Database Machine上でのOracle RAC環境の応答時間とスケーラビリティが改善されます。Exafusionは、特にOLTPアプリケーションで特に有効です。小さなOLTPメッセージではメッセージ当たりのオーバーヘッドが特に顕著だからです。

最小ソフトウェア: Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース12.1.2.1.0には、OS、ファームウェアおよびExafusionとOracle Databaseソフトウェア・リリース12.1.0.2.0 BP1のためのドライバ・サポートが含まれます。

データベース・サーバー上の管理サーバー

データベース・サーバー上の管理サーバー(MS)は、データベース・サーバー管理コマンド用にWebサービスを実装し、バックグラウンド監視スレッドを実行します。管理サービスは、次のものを提供します。

  • ハード・ディスク、CPUおよびInfiniBandポートの監視を含む、包括的なハードウェアおよびソフトウェアの監視。

  • 強化されたアラート機能。

  • 重要なシステム・メトリック・コレクションと監視。

  • データベース・サーバーの構成、監視および管理のための、DBMCLIと呼ばれるコマンドライン・インタフェース。DBMCLIは、各データベース・サーバー上および仮想化マシンのDOM0上にプレインストールされています。DBMCLIでは、自動サービス・リクエスト、キャパシティ・オンデマンド、Infrastructure as a Serviceおよびデータベース・サーバー電子メール・アラートを構成できます。

Oracle Exadata Database Machineコマンドライン・インタフェース(DBMCLI)ユーティリティは、データベース・サーバーを管理するためのコマンドライン管理ツールです。DBMCLIは各サーバー上で動作し、個々のデータベース・サーバーを管理できるようにします。DBMCLIは、仮想マシンでも動作します。DBMCLIを使用して、データベース・サーバーを構成、監視および管理します。このコマンドライン・ユーティリティは、Oracle Exadata Database Machineの出荷時にインストール済です。

DBMCLIは、自動サービス・リクエスト、キャパシティ・オンデマンド、Infrastructure as a Serviceおよびデータベース・サーバー電子メール・アラートを構成するための統合クライアント・インタフェースです。また、ハード・ディスク、CPU、InfiniBandポートおよびシステムのメトリックとしきい値を監視できます。

JSONおよびXML用のSQL演算子

Oracle Exadata System Softwareは、条件評価のために多数のSQL演算子のオフロードをサポートしています。次のSQL演算子のオフロードがOracle Exadata System Softwareでサポートされるようになりました。

  • JSON演算子

    • JSON_VALUE

    • JSON_EXISTS

    • JSON_QUERY

    • IS JSON

    • IS NOT JSON

  • XML演算子

    • XMLExists

    • XMLCast(XMLQuery())

最小ソフトウェア: JSONのオフロードの場合、Oracle Databaseリリース12.1.0.2。XML演算子オフロードの場合、Oracle Databaseリリース12.1.0.2 BP1。

フラッシュ用のI/Oリソース管理

I/Oリソース管理(IORM)は、ディスク・ドライブのI/Oに加えてフラッシュ・ドライブのI/Oを管理して、データベース、プラガブル・データベースおよびコンシューマ・グループ間のI/Oの競合を制御するようになりました。Oracle Exadata環境がOLTP I/Oによって制限されることは非常に珍しいため、IORMはOLTPフラッシュI/Oをスマート・スキャン・フラッシュI/Oより自動的に優先し、スマート・スキャン・スループットにほとんどコストをかけずに、OLTP応答時間を確実に高速化します。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gまたはOracle Database 12cリリースを実行するExadataセル・ソフトウェア・リリース12.1.2.1.0

最小ハードウェア: ExadataリリースX2-*

フラッシュ・キャッシュ領域のリソース管理

フラッシュ・キャッシュは、共有リソースです。フラッシュ・キャッシュ領域のリソース管理を使用すると、データベース間IORM計画を使用して、フラッシュ・キャッシュ内でデータベースが使用できる最小および最大サイズを指定できます。フラッシュ・キャッシュ領域のリソース管理を使用すると、データベース・リソース計画を使用して、フラッシュ・キャッシュ内でプラガブル・データベース(PDB)が使用できる最小および最大サイズを指定することもできます。

最小ソフトウェア: Oracle Database 11gまたはOracle Database 12cリリース1 (12.1)リリース12.1.0.2を実行するOracle Exadata System Softwareリリース12.1.2.1.0

最小ハードウェア: Oracle Exadata Database MachineモデルX2-*

I/Oリソース管理プロファイル

現在、IORMデータベース間計画は、多データベース環境でデータベース間計画の管理負荷を低下させるサポート・プロファイルを計画します。以前は、ストレージ管理者が、データベース間計画ですべてのデータベースに対してリソースを指定する必要がありました。この計画は、新しいデータベースが作成されるたびに更新する必要がありました。IORMプロファイルは、この管理負荷を大幅に低下させます。ストレージ管理者が、性能要件に基づいて様々なプロファイル・タイプを定義するプロファイル・ディレクティブを作成できるようになりました。次に、管理者は、データベース間計画内でデータベース・パラメータDB_PERFORMANCE_PROFILEを使用して、新規および既存のデータベースを定義済プロファイルのいずれかにマップします。各データベースは、指定されたプロファイル・ディレクティブから、属性すべてを自動的に継承します。

最小ソフトウェア: Oracle Database 12cリリース1(12.1)リリース12.1.0.2 Exadata Bundle Patch 4を実行するExadataセル・ソフトウェア・リリース12.1.2.1.0。

Extreme Flashセル上のライトバック・フラッシュ・キャッシュ

Extreme Flashセルでは、フラッシュ・キャッシュはデフォルトでライトバック・モードで動作し、フラッシュ領域の5パーセントを占有します。Extreme Flashセル上のフラッシュ・キャッシュはブロック・キャッシュとして使用されません。ユーザー・グリッド・ディスクがすでに作成されており、したがってフラッシュ・キャッシュが必要でないためです。ただし、それでもフラッシュ・キャッシュは、次の高度な操作に有効です。

  • 列キャッシュは、フラッシュ・キャッシュ上のExadataハイブリッド列圧縮(EHCC)表データを、Extreme Flashセル上に純粋な列形式レイアウトでキャッシュします。

  • 書込みI/Oレイテンシ制限は、一時的に停止したフラッシュへの書込みI/O動作をキャンセルし、Extreme Flashセル上の別の正常なフラッシュ・デバイスのライトバック・フラッシュ・キャッシュに記録するべき書込みをリダイレクトします。

  • 高速データ・ファイル作成は、Extreme Flashセル上で、ライトバック・フラッシュ・キャッシュのブロックに関するメタデータを維持し、ユーザー・グリッド・ディスクへの実際のフォーマッティング書込みを除去します。

管理者は、フラッシュ・キャッシュをExtreme Flashセル上でライトスルー・モードに構成するように選択できます。列キャッシングはライトスルー・フラッシュ・キャッシュ・モードで動作しますが、書込みI/Oレイテンシ制限と高速データ・ファイル作成には、ライトバック・フラッシュ・キャッシュが有効になっていることが必要です。

Extreme Flashおよび大容量システムにおける1.6TBフラッシュ・ドライブの安全な消去

このリリースでは、Oracle Exadata System Softwareは、Extreme Flashおよび大容量システムでの1.6 TBフラッシュ・ドライブの安全な消去をサポートしています。1.6TBのフラッシュ・ドライブを安全に消去するには、約5.5時間かかります。

Exadataセルの接続制限の向上

現在、Oracle Exadata X5-2およびX4-2セルは、アクティブ-アクティブ・ボンディングを使用して、1台以上のデータベース・サーバーから発信された最大120,000の同時接続をサポートできます。つまり、最大120,000のプロセスを1つのセルに同時に接続してI/O操作を実行することができます。

SNMP v3のサポート

Oracle Exadata Database Machineのデータベース・サーバーおよびストレージ・サーバーは、アラート送信に関してSNMP v3をサポートします。SNMP v3は、サーバーから管理者とOracle Auto Service Request (ASR)に送信されるアラートに、認証と暗号化を提供します。

米国連邦情報処理標準(FIPS) 140-2準拠のスマート・スキャン

米国連邦情報処理標準(FIPS)140-2は、暗号化モジュールのセキュリティ要件を指定しています。FIPS 140-2要件のある顧客をサポートするために、Oracle Exadataバージョン12.1.2.1.0では、FIPS 140-2検証済暗号モジュールを使用するように構成できます。これらのモジュールは、暗号化サービス(たとえばOracle Databaseパスワード・ハッシュと検証)、ネットワーク暗号化(SSL/TLSとネイティブの暗号化)および保存データの暗号化(透過的なデータ暗号化)を提供します。

透過的データ暗号化が使用され、Oracle DatabaseがFIPS 140モード用に構成されている場合、Oracle Exadata Smart Scanオフロードは、暗号化列と暗号化表領域の暗号化および復号のための同一のFIPS 140検証済モジュールを自動的に活用します。

Oracle Databaseリリース12.1.0.2.0では、データベース・パラメータDBFIPS_140が、Oracle DatabaseおよびExadata Storage Server内部でFIPS 140暗号処理モードのオンとオフを切り替える機能を提供します。

Oracle Databaseリリース11.2.0.4.0では、アンダースコア付きのパラメータ_use_fips_modeが、Oracle DatabaseおよびExadata Storage ServerでFIPS 140暗号処理のオンまたはオフを切り替える機能を提供します。

DBFIPS_140を使用した例を次に示します。

ALTER SYSTEM SET DBFIPS_140 = TRUE;

パラメータ・ファイルでの例:

DBFIPS_140=TRUE

次のハードウェア・コンポーネントは、指定したリリースのファームウェア・アップデートでFIPS準拠になりました。

  • Oracle Server X5-2以降のシステムは、FIPS 140–2に準拠するように設計されています

  • ILOMリリース3.2.4を使用したOracle Sun Server X4-8

  • SW1.2.0およびILOMリリース3.2.4.20/22を使用したSun Server X4-2およびX4-2L

  • SW1.4.0およびILOMリリース3.2.4.26/28を使用したSun Server X3-2およびX3-2L

  • SW1.8.0およびILOMリリース3.2.7.30.aを使用したSun Server X2-2

  • Cisco Catalyst 4948E-Fイーサネット・スイッチ

Exadata Database Machine ServersのV1、X2-*およびデータベース・ノードX3-8世代のFIPS準拠は計画されていません。

最小ソフトウェア: Oracle Databaseリリース12.1.0.2.0 BP3、MES Bundle on Top of Quarterly Database Patch For Exadata (APR2014 - 11.2.0.4.6)を適用したOracle Databaseリリース11.2.0.4、Oracle Exadata Storage Server Softwareリリース12.1.2.1.0、ILOM 3.2.4。

関連項目:

FIPSの詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』

Oracle Exadata仮想マシン

統合環境では、X5-2、X4-2、X3-2およびX2-2データベース・サーバー上で、ワークロード間をより高いレベルで分離するOracle Virtual Machine (Oracle VM)が使用されるようになりました。仮想マシンの分離は、信頼できないワークロードが共有環境でセキュリティ、CPUまたはメモリー使用状況を制限する場合に好都合です。たとえば、ホスティングされている環境、クラウド環境、クロス部門統合、テストおよび開発環境、データベース・マシンで実行されている非データベースまたはサード・パーティのアプリケーションなどです。異なるバージョンのClusterwareを必要とするワークロード(たとえば特定のClusterwareパッチおよびバージョンを必要とするSAPアプリケーション)を統合するためにOracle VMを使用することもできます。

仮想マシンを使用すると高度な分離が提供されますが、各仮想マシンに別々のオペレーティング・システムOS、Clusterwareおよびデータベースをインストールする必要があるため、リソース使用、管理負荷およびパッチング負荷の増大が代償として伴います。このため、1つの仮想マシン内で複数の信頼できるデータベースを統合することにより、Oracle VMをデータベース固有の統合と混用することが望まれます。Oracle Resource Managerを使用して、1つの仮想マシン内でデータベース用のCPU、メモリーおよびI/O使用を制御することができます。Oracle Multitenant Optionを使用すると、統合Oracle Databaseに、高度な統合とアジリティを提供することができます。

Exadata Virtual Machinesは、高速InfiniBandネットワークをSingle Root I/O Virtualization (SR-IOV)とともに使用して、仮想マシン内のパフォーマンスを、Exadataの有名なrawハードウェア・パフォーマンスに類似したものにします。Exadata Smart Scansは、仮想マシンへのメッセージ・トラフィックを激減させることによって、仮想化オーバーヘッドを、他のプラットフォームと比較して大幅に減少させます。Exadata Virtual Machinesは、その仮想マシンで動作しているアプリケーションのワークロード要件に基づいて、CPUとメモリーを動的に拡大または縮小できます。

Exadata上の仮想マシンは信頼できるパーティションとみなされるため、ソフトウェアを物理プロセッサ・レベルでなく仮想マシン・レベルでライセンスすることができます。信頼できるパーティションがない場合、データベース・オプションおよびその他のOracleソフトウェアは、そのサーバーまたはクラスタ上で実行されているすべてのデータベースが特定のオプションを必要としていなくても、サーバーまたはクラスタ・レベルでライセンスする必要があります。