17 自律型データベースでのOracle GoldenGateの使用

Oracle GoldenGateを使用して、データをOracle Autonomous Databaseにレプリケートできます。

内容は次のとおりです。

自律型データベースを使用したデータのキャプチャとレプリケートについて

Oracle Autonomous Databaseインスタンスから変更をキャプチャし、Oracle GoldenGateでサポートされるターゲット・データベースまたはプラットフォーム(別のOracle Autonomous Databaseインスタンスを含む)にレプリケートできます。

ユースケース: 自律型データベースでOracle GoldenGateを使用する場合

Oracle Autonomous DatabaseでOracle GoldenGateを使用すると、次のシナリオをサポートするように構成できます。
  • スケーラブルなアクティブ/アクティブ・アーキテクチャ:複数のデータベース間で行われた変更を同期してワークロードをスケール・アウトし、複数のデータ・センターまたはリージョン間でのリジリエンスとほぼ瞬時のフェイルオーバーを提供します。

  • リアルタイム・データ・ウェアハウス: Oracle Autonomous Databaseシステム間で変更されたデータの継続的なリアルタイムのキャプチャおよび配信を提供します。

  • ビッグ・データ統合: Oracle GoldenGate for Big Dataを使用すると、Oracle Autonomous Databaseからデータをレプリケートして、ビッグ・データ・ターゲットでサポートされるすべてのプラットフォームにリアルタイム・ストリーミング統合を提供できます。

  • リアルタイムのストリーミング・アナリティクス: Oracle GoldenGateはOracle Stream Analyticsとシームレスに統合され、ユーザーはイベント・ストリームに対する問合せをリアルタイムで実行することにより、関心のあるイベントを識別できます。リアルタイムのモニタリング、ストリーミング・データの変換、またはストリーム分析に基づくアラートの生成を行うカスタム操作ダッシュボードを作成できます。

  • ハイブリッド・レプリケーション: Oracle GoldenGateは、Oracle Autonomous Databaseインスタンスからオンプレミスまたは別のクラウド・データベースまたはプラットフォームにデータをレプリケートします。

次の機能は、Always Free Autonomous Databasesでは使用できません:

  • サプリメンタル・ロギング

  • Oracle GoldenGate Extract

詳細は、Always Free Autonomous Databaseを参照してください。

自律型データベースでOracle GoldenGateを使用する場合のサポートの詳細

Oracle Autonomous Databaseにデータをレプリケートする前に、サポートされているデータ型と制限を確認してください。

自律型データベースに関するOracle GoldenGate Replicatの制限事項

これらは、Oracle Autonomous Databaseとの間でレプリケートする場合のOracle GoldenGateの制限事項です。
サポートされるレプリケーション
Oracle Autonomous DatabaseでOracle GoldenGateを使用する場合、次の組合せのレプリカが様々なモードでサポートされます。
  • 統合モードの並列Replicatは、Oracle Autonomous Databaseでサポートされています。

  • 統合モードのクラシックおよび調整Replicatは、Oracle Autonomous Databaseでサポートされていません。

  • 非統合モードのクラシック、調整および並列Replicatは、Oracle Autonomous Databaseでサポートされています。

DDLおよびDMLレプリケーションに対するデータ型の制限事項

サポートされていないOracleデータ型を参照してください。

また、専用Exadataインフラストラクチャ上の自律型データベース・ドキュメント特定のデータ型の使用の制限およびOracle Autonomous Database Serverlessの使用ガイドのデータ型も参照してください。

DDLレプリケーションは、自律型データベースの制限に応じてサポートされます。

アーカイブ・ログ保持のサポートの詳細

自律型データベースの2つのタイプ、Oracle Autonomous Database ServerlessOracle Autonomous Database on Dedicated Exadata Infrastructureは、ログ保持動作が異なります。

  • Oracle Autonomous Database Serverless: アーカイブ・ログ・ファイルは、最大48時間まで高速リカバリ領域(FRA)に保持されます。その後、ファイルはパージされ、アーカイブ・ログ・ファイルはNFSマウント・ストレージに移動されます。このストレージには、LogMinerからアクセスできます。3つのコピーが作成されます。LogMinerは、すべてのコピーにアクセスできる必要があります。これはOracle GoldenGate Extractに対して透過的です。7日が経過すると、NFSにマウントされたコピーは完全に削除されます。必要なアーカイブ・ログ・ファイルが7日より古い場合、Extractはarchived log unavailableエラーで異常終了します。

  • 専用Exadataインフラストラクチャ上のOracle Autonomous Database: Oracle Autonomous Data GuardまたはOracle GoldenGateが有効な場合、アーカイブ・ログ・ファイルはFast Recovery Area (FRA)に最大7日間保持されます。その後、ファイルはパージされます。7日より前のアーカイブ・ログ・ファイルにアクセスするために、LogMinerで使用できるNFSマウント場所はありません。必要なアーカイブ・ログ・ファイルが7日より古い場合、Extractはarchived log unavailableエラーで異常終了します。

    ノート:

    データベース・インスタンスが15分を超えて閉じられている場合、保持時間は3日に戻されます。これは、データベース・インスタンスが閉じられているかどうかに関係なく、アーカイブ・ログ・ファイルの保持が3日間のみ確認されることを意味します。ファイルは、データベース・インスタンスが閉じられていない場合にのみ7日間保持されます。

自律型データベースに適用するためのReplicatの構成

Oracle GoldenGateによりサポートされている任意のソース・データベースまたはプラットフォームから自律型データベースにレプリケートできます。

内容は次のとおりです。

自律型データベースへのOracle GoldenGate Replicatの構成の前提条件

自律型データベースへのOracle GoldenGateデータ・レプリケーションの構成の前提条件について学習します。

次に示す詳細を用意する必要があります。
  • Oracle GoldenGate Extractプロセスが構成され、自律型データベース・ターゲットにデータを適用するためにReplicatが実行されている場所に証跡が書き込まれているソース・データベース。

  • Oracle Autonomous Database環境がプロビジョニングされ、実行されています。

Oracle GoldenGateを使用して自律型データベース・インスタンスにデータを配信するには、次のタスクを実行します。

自律型データベース用のOracle GoldenGate Replicatの構成

Oracle GoldenGate Replicatを自律型データベース用に構成するステップを学習します。

構成タスクを完了するためのステップは次のとおりです。

ノート:

手順は、ソース環境がすでに構成されていることを前提としています。

  1. オンプレミスのOracle GoldenGateの場合は、Oracle GoldenGateがインストールされていることを確認します。

    Oracle GoldenGate Classic Architectureでは、Oracle Autonomous Database Serverlessのマーケットプレイスを使用した自律型キャプチャがサポートされます

  2. (Microservicesのみ) Oracle GoldenGate環境のデプロイメントを作成します。これは、自律型データベース(ADB)にデータを適用するReplicatが作成されるデプロイメントです。デプロイメントを追加するステップは、 デプロイメントの作成方法を参照してください。

  3. 自律型データベースには、Oracle GoldenGateオンプレミス用に作成された既存のユーザーggadminがあります。ggadminユーザーには、Replicatが動作するための適切な権限セットが付与されています。これは、チェックポイント表およびハートビート・オブジェクトなど、Oracle GoldenGate処理に使用されるオブジェクトが格納されるユーザーです。デフォルトでは、このユーザーはロックされています。ggadminユーザーのロックを解除するには、任意のSQLクライアント・ツールを使用して、ADMINユーザーとしてOracle Autonomous Databaseインスタンスに接続します。データベース・アクションを使用した自律型データベースでのユーザーの作成を参照してください。

  4. ALTER USERコマンドを実行して、ggadminユーザーのロックを解除し、パスワードを設定します。これは、GGSCIまたは管理クライアントで、自律型データベースに対するDBLOGIN操作に使用されます。Replicatで使用され、Oracle GoldenGateが自律型データベースに接続してデータを適用できるようにします。データベース・アクションを使用した自律型データベースでのユーザーの作成を参照してください。
    ALTER USER ggadmin IDENTIFIED BY p0$$word ACCOUNT UNLOCK;
自律型データベース・クライアント資格証明の取得

自律型データベースへの接続を確立する方法を学習します。

Oracle Autonomous Databaseインスタンスとの接続を確立するには、クライアント資格証明ファイルをダウンロードする必要かがあります。クライアント資格証明ファイルをダウンロードするには、Oracle Cloud Infrastructure ConsoleまたはDatabase Actions Launchpadの2つの方法があります。クライアント資格証明のダウンロード(ウォレット)に関する項を参照してください。

ノート:

Oracle Autonomous Databaseへの管理者アクセス権がない場合は、資格証明ファイルをダウンロードして提供するようにサービス管理者に依頼してください。

次のステップでは、Database Actions Launchpadを使用してクライアント資格証明ファイルをダウンロードします。

  1. 自律型データベース・アカウントにログインします。

  2. Database Instanceページから、「Database Actions」をクリックします。これにより、Database Actions Launchpadが起動します。Launchpadは、ADMINとしてデータベースにログインしようとします。それが成功しない場合は、データベースのADMINユーザー名とパスワードの入力を求められます。

  3. Database Actions Launchpadの「Administration」で、「Download Client Credentials (Wallets)」をクリックします。

  4. クライアント資格証明zipファイルを保護するためのパスワードを入力して、「Download」をクリックします。

    ノート:

    ウォレットのダウンロード時に指定するパスワードによって、ダウンロードしたクライアント資格証明ウォレットが保護されます。
  5. 資格証明ZIPファイルをローカル・システムに保存します。資格証明ZIPファイルには次のファイルが含まれています。

    • cwallet.sso

    • ewallet.p12

    • keystore.jks

    • ojdbc.properties

    • sqlnet.ora

    • tnsnames.ora

    • truststore.jks

    • ewallet.pem

    • README.txt

    Oracle Autonomous Databaseインスタンスと連携するようにOracle GoldenGateを構成するときには、sqlnet.oraおよびtnsnames.oraファイルを参照および更新します(必要な場合)。

自律型データベースに適用するためのReplicatの構成

この項では、ソース環境がすでに構成されていることを前提とし、Oracle Autonomous Database環境へのレプリケーションを確立するために必要なステップを説明します。

Oracle GoldenGateインスタンスで、次の手順を実行する必要があります。
  1. 自律型データベースへのOracle GoldenGate Replicatの構成の前提条件に示されているステップに従います。

  2. 自律型データベース用のOracle GoldenGate Replicatの構成で説明されているステップに従います。

  3. 自律型データベース・クライアント資格証明の取得に示されているステップに従います。

  4. Oracle GoldenGateがインストールされているサーバーにログインします。

  5. Oracle Autonomous Databaseからダウンロードした資格証明zipファイルをOracle GoldenGateインスタンスに転送します。

  6. Oracle GoldenGateインスタンスで、資格証明ファイルを新しいディレクトリ/u02/data/adwc_credentialsに解凍します。これがキー・ディレクトリになります。

  7. 接続の詳細を構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスのOracleクライアントの場所からtnsnames.oraファイルを開きます。
    cd /u02/data/adwc_credentials
    ls
    tnsnames.ora
  8. Oracle GoldenGateインスタンスのtnsnames.oraファイルを編集して、tnsnames.oraファイルで使用可能な接続詳細をキー・ディレクトリ(Oracle Autonomous Databaseからダウンロードした資格証明zipファイルを解凍したディレクトリ)に含めます。

    Sample Connection String
    graphdb1_low = (description= 
                    (retry_count=20)(retry_delay=3)(address=(protocol=tcps)(port=1522)(host=adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com))
                    (connect_data=(service_name=okd2ybgcz4mjx94_graphdb1_low.adb.oraclecloud.com))
                    (security=(ssl_server_cert_dn="CN=adwc-preprod.uscom-east-1.oraclecloud.com,OU=Oracle BMCS US,O=Oracle Corporation,L=Redwood City,ST=California,C=US")))
    ネットワークのタイムアウトや接続の切断が原因でReplicatが応答しなくなった場合は、tnsnames.oraファイルの接続プロファイルに次を追加できます。
    (DESCRIPTION =  (RECV_TIMEOUT=120)   (ADDRESS_LIST =
          (LOAD_BALANCE=off)(FAILOVER=on)(CONNECT_TIMEOUT=3)(RETRY_COUNT=3) 
          (ADDRESS = (PROTOCOL = TCP)(HOST = adb-preprod.us-phoenix-1.oraclecloud.com)(PORT = 1522))

    ノート:

    資格証明ファイルで提供されるtnsnames.oraファイルには、次のように識別できる3つのデータベース・サービス名が含まれています。
    ADWC_Database_Name_low
    ADWC_Database_Name_medium
    ADWC_Database_Name_high
    Oracle GoldenGateレプリケーションには、ADWC_Database_Name_lowを使用します。
  9. ウォレットを構成するには、Oracle GoldenGateインスタンスでOracle Clientの場所にsqlnet.oraファイルを作成します。
    cd /u02/data/oci/network/admin
    ls
    sqlnet.ora tnsnames.ora
  10. このsqlnet.oraファイルを編集して、キー・ディレクトリが含まれるようにします。

    WALLET_LOCATION = (SOURCE = (METHOD = file) (METHOD_DATA = (DIRECTORY="/u02/data/adwc_credentials"))) 
    SSL_SERVER_DN_MATCH=yes
  11. 管理クライアントまたはGGSCIを使用して、Oracle GoldenGateデプロイメントにログインします。

  12. Replicatが使用するGGADMINユーザーおよびパスワードを格納するための資格証明を作成します。たとえば:
    ADD CREDENTIALSTORE ALTER CREDENTIALSTORE ADD USER ggadmin@databasename_low PASSWORD complex_password alias adb_alias
  13. Oracle Autonomous Databaseに配信するReplicatを追加および構成します。Replicatの作成時には、前のステップで作成した別名を使用します。Replicatとその他のプロセスの設定については、Oracle GoldenGateの適用の構成を参照してください。

    ノート:

    クラシックReplicat、調整Replicatおよび並列Replicatは非統合モードで使用できます。統合モードの並列Replicatは、Oracle Autonomous Databaseでもサポートされています。
  14. この時点で、Replicatを起動して、自律型データベースへのデータのレプリケーションを実行できます。

    ノート:

    Oracle Autonomous Data Warehouseは、アイドル状態が60分以上のReplicatをタイムアウトにして切断します。Replicatは、アイドル状態になった後で変更を適用しようとすると(新しい変更を取得した場合)、データベース・エラーが発生して異常終了します。AUTORESTARTパラメータ(Classic Architecture)を使用してOracle GoldenGateを構成するか、タイムアウト時にReplicatを手動で再起動する必要がないようにAUTORESTARTプロファイル(Microservices Architecture)を構成することをお薦めします。