1 Oracle HTTP Serverのインストールについて

この項で説明するOracle HTTP Serverの標準インストールでは、この製品の起点となるトポロジの例を表す標準トポロジが作成されます。

Oracle HTTP Serverについて

Oracle HTTP Serverは、Oracle Fusion MiddlewareのWebサービスを提供します。

要約すると、Oracle HTTP Serverは次の機能を提供します。

  • Oracle WebLogic Serverの組込みプロキシ・プラグインを介して Oracle WebLogic ServerのHTTPリスナーを提供します

  • Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントを提供します

  • HTML、JavaScript、イメージなどの静的Webコンテンツや、CGI/FastCGIベースのアプリケーションで構築された動的Webコンテンツに対応します。

『Oracle HTTP Serverの管理』「Oracle HTTP Serverの概要」を参照してください。

Oracle HTTP Serverは、既存のOracleホームまたはスタンドアロン・ドメインにインストールできます。

  • 既存のOracleホームでは、Oracle HTTP ServerはWebLogic Serverと同じ場所に配置されるため、WebLogic Serverドメインの他の要素と同様にOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。具体的には、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control またはWLSTコマンド行インタフェースからOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジについてを参照してください。

    同じ場所に配置されたOracle HTTP Serverを完全JRFと制限付きJRFのどちらかで構成できます。「完全JRFモードと制限付きJRFモードについて」を参照してください。

  • スタンドアロン・ドメインでは、スタンドアロンのOracle HTTP Serverトポロジは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureなしでインストールおよび構成されます。スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジについてを参照してください。

    ノート:

    Oracle HTTP ServerがWeb層の一部であり、アプリケーション層へのリクエストのルーティングに使用される標準的なエンタープライズ・デプロイメントでは、コロケート・モードではなくスタンドアロン・モードでOracle HTTP Serverを構成および使用することをお薦めします。コロケート・モードは完全にサポートされている構成ですが、スタンドアロン・モードはコロケート・モードと同じルーティング機能を提供し、フットプリントがより小さく、構成がより簡単になるという利点があります。Oracle HTTP Serverをスタンドアロン・モードで実行する場合、FMW Control UIはOracle HTTP Serverのモニタリングおよび管理に使用できません。FMW Controlを介したOracle HTTP Serverの管理を優先するユーザーは、Oracle HTTP Serverのコロケート・モード構成でFMW Controlを使用できます。

開始点としての標準インストール・トポロジの使用方法

標準インストール・トポロジは、本番環境で開始点として使用できる柔軟なトポロジです。

このガイドの情報はOracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジの作成に役立ちます。必要に応じて、後で標準インストール・トポロジを拡張して、セキュアで可用性が高い本番環境を作成できます(「ドメイン構成後の次のステップ」を参照)。

標準インストール・トポロジは、この製品のサンプル・トポロジです。この製品がサポートする唯一のトポロジではありません。『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』標準インストール・トポロジについてに関する項を参照してください。

WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジについて

Oracle HTTP Serverは、既存のOracleホームにインストールするか、WebLogic Serverドメインと同じ場所に配置してインストールできます。

このタイプのインストールでは、WebLogic Serverドメインの他の要素と同様にOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。具体的には、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control、WLSTコマンド行インタフェースおよびノード・マネージャからOracle HTTP Serverインスタンスを管理できます。

図1-1は、同じドメイン・ホーム内に配置されたOracle HTTP Serverインスタンスを含む標準的なOracle Fusion Middleware Infrastructureのトポロジを示しています。このトポロジを使用して、複数のマシンにわたる高可用性環境にスケールアウトすることもできます。

図1-1 WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverインストールのトポロジ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 WebLogic ServerドメインにおけるOracle HTTP Serverインストールのトポロジ」の説明

構成手順については、「コロケート・ドメインにおけるOracle HTTP Serverの構成」を参照してください

標準インストール・トポロジ図の要素の理解

通常、標準インストール・トポロジには、共通の要素が含まれています。

表1-1は、トポロジ図のすべての要素を説明しています。

表1-1 Oracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジにおける要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク
APPHOST アプリケーション層をホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。
DBHOST データベースをホストしているマシンを示す、Oracleドキュメントで使用される標準用語。
WebLogicドメイン Javaコンポーネント(この場合、管理サーバー、管理対象サーバーおよび他の関連ソフトウェア・コンポーネント)の論理的に関連したグループです。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解Oracle WebLogic Serverドメインの概要に関する項を参照してください。

管理サーバー ドメインの構成オブジェクトをメンテナンスし、管理対象サーバーへの構成変更を分散させる、ドメインの中央制御エンティティ。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解管理サーバーの概要に関する項を参照してください。

Enterprise Manager Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlは、ドメインを管理する主要ツールです。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlに関する項を参照してください。

Oracle HTTP Server Oracle HTTP ServerバイナリおよびOracle HTTP Serverインスタンス。
クラスタ 同時に稼働し連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタの概要を参照してください。

マシン 1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンス(サーバー)をホストするコンピュータを論理的に表現するもの。マシンは、管理対象サーバーとノード・マネージャを論理的につなぐ機能でもあります。ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動または停止するには、管理対象サーバーをマシンと関連付ける必要があります。
管理対象サーバー アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースのホスト。

詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解管理対象サーバーと管理対象サーバー・クラスタの概要を参照してください。

インフラストラクチャ 次を含むサービスの集合。
  • メタデータ・リポジトリ(MDS)には、Oracle Application Developer FrameworkなどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータが含まれます。詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解メタデータ・リポジトリの概要に関する説明を参照してください。

  • Oracle Application Developer Framework (Oracle ADF)

  • Oracle Web Services Manager(OWSM)

完全JRFモードと制限付きJRFモードについて

同じ場所に配置されたOracle HTTP Serverを完全JRFと制限付きJRFのどちらかで構成できます。

表1-2は、これら2つのモードの比較を示しています。

表1-2 完全JRFモードと制限付きJRFモードの比較

操作モード 説明 推奨される使用例

完全ドメイン(または完全JRF)

完全JRFモードは、データベース接続に依存します。

ドメインで上位のスタック機能(Oracle SOA SuiteやOracle Web Services Managerなど)にアクセスする場合、この操作モードが最善です。

制限付きJRF

制限付きJRFモードは、データベース接続なしで機能します。

ユーザーは依然としてOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlを介してすべての製品を管理できますが、クロス・コンポーネント・ワイヤリングを使用することはできません。

ドメインでOracle Traffic DirectorおよびOracle HTTP Serverのみにアクセスする場合、この操作モードが最善です。

現在、制限付きJRFから完全JRFへの移行はサポートされていません。

これら2つの操作モードの機能の詳細は、Oracle HTTP Serverの管理ドメイン・タイプを参照してください。

スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverの標準インストール・トポロジについて

Oracle HTTP Serverは、専用のOracleホーム内のスタンドアロン・ドメインにインストールできます。 

システム・コンポーネントの管理のみに特化したスタンドアロンOracle HTTP Serverドメインを作成できます。スタンドアロン構成は、インストール・プロセス中に作成する専用のOracleホームに存在し、つまり、スタンドアロンのOracle HTTP Serverトポロジは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureなしでインストールおよび構成可能です。

スタンドアロン・ドメインはFusion Middleware Controlを使用して管理できません。スタンドアロンOracle HTTP Serverドメインは、WLSTコマンド行や、スタンドアロン・ドメインで利用可能な他の機能を使用して管理できます。

図1-2は、Web Tierにおける標準的なOracle HTTP Serverインスタンスを示しています。

図1-2 スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverのトポロジ

図1-2の説明が続きます。
「図1-2 スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverのトポロジ」の説明

構成手順については、スタンドアロン・ドメインにおけるOracle HTTP Serverの構成を参照してください。

表1-3は、このトポロジの要素を説明しています。

表1-3 Oracle HTTP Serverのスタンドアロン・インストールのトポロジにおける要素の説明

要素 説明と追加ドキュメントへのリンク

WEBHOST

これは個別のホストで、WebLogic Serverドメインにリクエストを送信します。

スタンドアロン・ドメイン

詳細は、Oracle HTTP Serverの管理スタンドアロン・ドメインを参照してください。

Oracle HTTP Server

Oracle HTTP Serverインスタンスで、これはスタンドアロン・ドメインで利用可能な管理ツールによって作成および管理されます。

ノート:

スタンドアロン・ドメインの一般的な詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解スタンドアロン・ドメインの概要を参照してください。