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Oracle VM Managerユーザーズ・ガイド
リリース2.2
B57074-01
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3 サーバー・プールの管理

サーバー・プールは、1つ以上の物理サーバーを含む論理的に独立した領域です。 また、仮想マシンが存在するストレージの統一ビューです。

サーバー・プールを作成する前に、次のものが使用可能であることを確認します。

この章では、サーバー・プールの管理方法について説明します。内容は次のとおりです。


注意:

この章に記載されている機能を使用できるのは、ManagerまたはAdministratorのロールが付与されているユーザーのみです。

3.1 サーバー・プールの設計

この項では、要件を満たすサーバー・プールを設計する方法について説明します。

サーバー・プールを作成する前に、サーバー・プールに含める物理的なOracle VM Serverの数およびそれぞれの物理的なOracle VM Serverで実行する機能について検討する必要があります。 サーバー・プールで実行するゲスト仮想マシンの数が増えれば、これらのゲスト仮想マシンが使用するリソースも増えます。したがって、サーバー・プールに十分なリソースを準備するには、より多くの物理的なOracle VM Serverサーバーが必要となります。

サーバー・プールはスケーラブルです。 仮想マシンを実行できる十分なリソース(CPUやメモリーなど)がサーバー・プールにない場合は、仮想マシン・サーバーを追加することによってサーバー・プールを拡張できます。

一般的には、次の3つのサーバー・プール構成があります。

個別の構成

個別の構成では、1つのOracle VM Serverがサーバー・プール・マスターとして、1つ以上のOracle VM Serverがユーティリティ・サーバーとして、1つ以上のOracle VM Serverが仮想マシン・サーバーとして機能します。

Oracle VM Serverで実行する仮想マシンが多い場合または仮想マシンのアプリケーションがほとんどのハードウェア・リソースを使用する場合は、この構成をお薦めします。 この構成の場合、ホストされた仮想マシンのパフォーマンスは、サーバー・プール・マスターまたはユーティリティ・マスターによって処理される重要な管理アクティビティの影響を受けません。

図3-1 個別の構成

図3-1の説明が続きます。
「図3-1 個別の構成」の説明

All-in-One構成

All-in-One構成では、1つのOracle VM Serverが同時にサーバー・プール・マスター、ユーティリティ・サーバーおよび仮想マシン・サーバーとして機能します。

この構成は、実行されている仮想マシンが少ない場合に使用することをお薦めします。 この場合、Oracle VM Serverのハードウェア・リソースは、サーバー・プール・マスターおよびユーティリティ・サーバーによって処理される管理アクティビティと仮想マシンに十分対応できます。

図3-2 All-in-One構成

図3-2の説明が続きます。
「図3-2 All-in-One構成」の説明

Two-in-One構成

Two-in-One構成では、サーバー・プール・マスター機能とユーティリティ・サーバー機能が同じOracle VM Serverにグループ化されますが、仮想マシン・サーバー機能は、異なるOracle VM Serverに個別に実装されます。

この構成は、サーバー・プールのリソース使用が中程度の場合に非常に役立ちます。 仮想マシン・サーバーではサーバー・プール・マスターおよびユーティリティ・サーバーより多くのハードウェア・リソースが必要となる可能性があるため、通常、同じOracle VM Serverにサーバー・プール・マスターとユーティリティ・サーバーの両方を配置できます。

図3-3 Two-in-One構成

図3-3の説明が続きます。
「図3-3 Two-in-One構成」の説明

3.2 サーバー・プールの作成

サーバー・プールには、サーバー・プール・マスター、ユーティリティ・サーバーおよび仮想マシン・サーバーがそれぞれ1台以上必要です。 詳細は、第3.1項「サーバー・プールの設計」を参照してください。 1つのサーバー・プールに複数のOracle VM Serverを追加できます。

サーバー・プールを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 「サーバー・プール」ページの「プールの作成」をクリックします。 「サーバー・プールの作成」ページが表示されます。

    図3-4 サーバー・プールへのサーバーの追加

    図3-4の説明が続きます。
    「図3-4 サーバー・プールへのサーバーの追加」の説明

  2. Oracle VM Server情報を入力して、Oracle VM Serverをサーバー・プールに追加します。


    注意:

    物理サーバーをOracle VM Managerに登録してある場合、ホスト名またはIPアドレスは、重複する可能性があるため再登録できません。

    • サーバー・プール名: サーバー・プールの名前。

      サーバー・プール名は英数字で構成されている必要があります。また、サーバー・プール名にアンダースコア(_)またはハイフン(-)以外の特殊文字または空白を含めることはできません。 サーバー・プール名の最大長は200文字です。

    • サーバー・プール仮想IP: サーバー・プールの仮想IPアドレス。 このIPアドレスは、サーバー・プール・マスターのIPアドレスとして使用され、HAフェイルオーバーによるサーバー・プール・マスターの再割り当てが行われても保持されます。

    • 高可用性モード: チェック・ボックスを使用して、HAを有効にするかどうかを選択します。 HAを使用するには、サーバー・プールおよび各仮想マシンでHAを有効にする必要があります。 HAの詳細は、第3.5項「高可用性(HA)の有効化」を参照してください。 HAの前提条件の設定方法の詳細は、『Oracle VM Serverユーザーズ・ガイド』を参照してください。

    Oracle VM Serverに関する次の情報を「サーバー詳細」ボックスに入力します。

    • サーバー・ホスト/IP: Oracle VM Managerのホスト名またはIPアドレスを指定します。次に例を示します。

      192.168.2.20

      または

      hostname.example.com

    • サーバー名: Oracle VM Serverの名前。 名前は一意にする必要があります。

      Oracle VM Server名は英数字で構成されている必要があります。また、Oracle VM Server名にアンダースコア(_)またはハイフン(-)以外の特殊文字または空白を含めることはできません。 名前の最大長は200文字です。

    • サーバー・エージェントのパスワード: Oracle VM ServerにインストールされているOracle VM Agentにアクセスするためのパスワード。


      注意:

      サーバー・プール・マスターのフェイルオーバー機能を使用する場合は、サーバー・プール内にあるOracle VM ServerのOracle VM Agentのパスワードがすべて同じである必要があります。

    • サーバー・タイプ: Oracle VM Serverがサーバー・プールで果たす役割ごとにチェック・ボックスを選択します。

      • サーバー・プール・マスター

      • ユーティリティ・サーバー

      • 仮想マシン・サーバー

      「ユーティリティ・サーバー」を選択する場合は、「ユーティリティ・サーバーのユーザー名」および「ユーティリティ・サーバーのパスワード」フィールドにOracle VM Serverのログイン資格証明を入力する必要があります。 ユーザーは、/OVSフォルダの読取り/書込み権限を持っている必要があります。

    • ロケーション: Oracle VM Serverの場所。 たとえば、Server Room 1などです。

    • 説明: Oracle VM Serverの説明。

    Oracle VM Serverへの接続をテストするには、「接続のテスト」をクリックします。 情報が正しくない場合またはOracle VM Serverを使用できない場合、Oracle VM Serverをサーバー・プールに追加することはできません。

    Oracle VM Serverの情報を入力し終わったら、「追加」をクリックします。 Oracle VM Serverがサーバー・プールに追加されて、画面下部の表に表示されます。 このサーバーを選択してから、「編集」および「削除」ボタンを使用して編集または削除することができます。

    サーバー・プールにOracle VM Serverをさらに追加するには、各Oracle VM Serverのパラメータを入力して「追加」をクリックします。

    Oracle VM Serverを追加した後、「次へ」をクリックします。

  3. 「ユーザー情報」ページの「非管理ユーザー情報」表から、サーバー・プールへのアクセス権を付与するユーザーを選択します。 Administratorロールを持つユーザーには、サーバー・プールへのアクセス権が自動的に付与されます。

    図3-5 サーバー・プールへのユーザーの追加

    図3-5の説明が続きます。
    「図3-5 サーバー・プールへのユーザーの追加」の説明

    新しいユーザーの追加方法については、第7.2.1項「ユーザーの作成」を参照してください。 ユーザー・ロールの変更方法については、第7.2.4項「ロールの変更」を参照してください。

    ユーザーを追加した後、「次へ」をクリックして次のページに進みます。

  4. 「確認」ページで、サーバー・プールに対して入力した情報を確認します。 「確認」をクリックしてサーバー・プールを作成します。

「サーバー・プール」ページが表示されて、新しいサーバー・プールが「サーバー・プール」表に表示されます。

3.3 サーバー・プールの検索

サーバー・プールを検索するには、次の手順を実行します。

  1. 「検索の表示」リンクをクリックします。

  2. 「サーバー・プール名」フィールドにサーバー・プール名を入力します。 ワイルド・カードとして%を使用します。 「サーバー・プール名」フィールドを空のままにすると、使用可能なすべてのサーバー・プールが表示されます。

  3. 「ステータス」ドロップダウン・リストでサーバー・プールのステータスを選択します。 サーバー・プールのステータスにはサーバー・プール・マスターのステータスが反映されます。

    • アクティブ: サーバー・プールを使用できます。

    • 非アクティブ: サーバー・プールを使用できません。

    • 作成中: サーバー・プールの作成中です。

    • 構成エラー: サーバー・プールに様々なバージョンのOracle VM Serverが存在しています。 この状況は、サーバー・プールに複数のバージョンのOracle VM Serverが存在している場合またはOracle VM ServerのバージョンがOracle VM Managerのバージョンより低い場合にOracle VM Managerをアップグレードすると発生することがあります。

    • エラー: サーバー・プールを作成するときに、クラスタ設定に失敗しました。

      サーバー・プール・ログを確認して、エラー・ログを表示します。 サーバー・プール・ログを表示するには、第7.4項「ログの表示」を参照してください。

      サーバー・プールを削除して、エラー・ログに説明されている問題を解決し、サーバー・プールを作成します。

  4. 「検索」をクリックします。 検索結果は、「サーバー・プール」表に表示されます。

3.4 サーバー・プールの編集

サーバー・プール名を変更して、HAのインフラストラクチャを確認し、HAを有効または無効にできます。 サーバー・プール内のサーバーを編集して、ログを表示し、ユーザーを追加または削除することもできます。

図3-6 「サーバー・プール」ページ・リンクの編集

図3-6の説明が続きます。
「図3-6 「サーバー・プール」ページ・リンクの編集」の説明

3.4.1 サーバー・プールの編集

サーバー・プールを編集するには、次の手順を実行します。

  1. 「サーバー・プール」表でサーバー・プールを選択し、「編集」をクリックします。 「サーバー・プールの編集」ページが表示されます。

    図3-7 サーバー・プールの編集

    図3-7の説明が続きます。
    「図3-7 サーバー・プールの編集」の説明

  2. 次のサーバー・プール・オプションを編集します。

    • サーバー・プール名: サーバー・プールの名前。

      サーバー・プール名は英数字で構成されている必要があります。また、サーバー・プール名にアンダースコア(_)またはハイフン(-)以外の特殊文字または空白を含めることはできません。 サーバー・プール名の最大長は200文字です。

    • 高可用性インフラストラクチャ: 「チェック」をクリックして、サーバー・プールのHA構成が正しいかどうかを確認します。

    • 高可用性の有効化: HAを有効にするかどうかを設定します

    • サーバー・プール仮想IP: サーバー・プールのサーバー・プール・マスターに動的に割り当てるIPアドレス。

    「OK」または「適用」をクリックして、変更を保存します。

3.4.2 サーバー・プール・サーバーの編集

サーバー・プールのサーバーを編集するには、「サーバー・プール」表の「サーバー」リンクをクリックします。 詳細は、第4章「サーバーの管理」を参照してください。

3.4.3 サーバー・プールのユーザーの編集

サーバー・プールのユーザーを追加または削除するには、次の手順を実行します。

  1. 「サーバー・プール」表の「ユーザー」リンクをクリックします。 「サーバー・プールのユーザー情報の編集」画面が表示されます。

  2. 「非管理ユーザー情報」表から、サーバー・プールへのアクセス権を付与するユーザーを選択します。 Administratorロールを持つユーザーには、サーバー・プールへのアクセス権が自動的に付与されます。 「適用」をクリックします。

新しいユーザーの追加方法については、第7.2.1項「ユーザーの作成」を参照してください。 ユーザー・ロールの変更方法については、第7.2.4項「ロールの変更」を参照してください。

3.5 高可用性(HA)の有効化

Oracle VMでは、仮想マシンが実行されている仮想マシン・サーバーで障害が発生した場合または仮想マシン・サーバーが再起動された場合に仮想マシンの可用性が保証されるようにHAを設定できます。 仮想マシン・サーバーが再起動または停止された場合、この仮想マシン・サーバーで実行されている仮想マシンは、別の仮想マシン・サーバーで再起動されるか、または別の仮想マシン・サーバーに移行されます。

HAはOracle VM Managerで管理します。 HAを実装するには、サーバー・プールに仮想マシン・サーバーのクラスタを作成し、Oracle VM Managerで管理する必要があります。 HAはOracle VM Serverのみでは実装できません。

図3-8「HAの有効化」に示すとおり、HAを使用するには、HAをまずサーバー・プールで有効にし、次にすべての仮想マシンで有効にします。 サーバー・プールでHAを有効にし、次に仮想マシンで有効にすると、仮想マシン・サーバーが停止した場合または仮想マシン・サーバーで障害が発生した場合に仮想マシンは別の使用可能な仮想マシン・サーバーに移行されるか、または別の使用可能な仮想マシン・サーバーで再起動されます。 HAは、サーバー・プールと仮想マシンの両方で有効にする必要があります。 両方で有効にしないと、HAは無効になります。

図3-8 HAの有効化

図3-8の説明が続きます。
「図3-8 HAの有効化」の説明

HAが有効になっている場合、Oracle VM Managerで仮想マシン・サーバーの再起動、停止または削除を行うと、実行中の仮想マシンを別の使用可能な仮想マシン・サーバーに移行するように求められます。 実行中の仮想マシンを移行しない場合、Oracle VM Agentによって、仮想マシンを再起動できる仮想マシン・サーバーの検出が試行されます。 Oracle VM Managerで仮想マシンを作成した際のサーバー・プールの優先サーバー設定を使用して仮想マシン・サーバーが選択されます。

Oracle VM Managerで仮想マシンを作成する際に優先サーバーを選択しなかった場合は、「自動」がデフォルトとして設定されます。

使用可能な優先仮想マシン・サーバーまたは仮想マシン・サーバーが存在しない場合、仮想マシンは停止(電源オフ)され、仮想マシン・サーバーが使用可能になると再起動されます。

サーバー・プール・マスターで障害が発生した場合、別のOracle VM Serverがサーバー・プールから選択されて、サーバー・プール・マスターとして動作します。 ほとんどのリソースが使用可能なOracle VM Serverがサーバー・プール・マスターの役割を引き継ぐOracle VM Serverとして選択されます。 サーバー・プール・マスターのフェイルオーバー機能を使用するには、サーバー・プール内にあるすべてのOracle VM ServerのOracle VM Agentのパスワードが同じであることを確認する必要があります。

操作を停止することなく、サーバー・プール・マスターとして機能するOracle VM Serverを動的に変更することもできます。 詳細は、第3.4.1項「サーバー・プールの編集」を参照してください。

想定されるHAのシナリオを次に示します。

前述のすべてのシナリオで、仮想マシン・サーバーで実行されている仮想マシンがHA対応でない場合、それらの仮想マシンは停止(電源オフ)されます。

図3-9は、仮想マシン・サーバーでの障害発生と、サーバー・プールの他の仮想マシン・サーバーでの仮想マシンの再起動を示しています。

図3-9 仮想マシン・サーバーでの障害発生時に有効なHA

図3-9の説明が続きます。
「図3-9 仮想マシン・サーバーでの障害発生時に有効なHA」の説明

図3-10は、仮想マシン・サーバーでの再起動と停止、およびサーバー・プールの他の仮想マシン・サーバーへの仮想マシンの移行を示しています。

図3-10 仮想マシン・サーバーでの再起動または停止時に有効なHA

図3-10の説明が続きます。
「図3-10 仮想マシン・サーバーでの再起動または停止時に有効なHA」の説明

3.6 サーバー・プールの削除

サーバー・プールを削除するには、次の手順を実行します。

  1. 「サーバー・プール」ページで、削除するサーバー・プールを選択して、「削除」をクリックします。

  2. すべての関連ディレクトリを削除する場合は、「削除の確認」ページの「サーバー・プールから作業ディレクトリをすべて削除します」を選択します。 このオプションを選択しないと、サーバー・プールのデータはデータベースからは削除されますが、サーバー・プールの関連ディレクトリおよびファイルはサーバーに残ります。 1つ以上のサーバーを使用できない場合は、「強制削除」を選択して、サーバーの削除を強制実行します。


    注意:

    すべてのディレクトリを削除すると、サーバー・プールのすべてのサーバーおよびすべての仮想マシンも削除されます。 削除する前にサーバー・プールが使用されていないことを確認してください。

3.7 サーバー・プールのリストア

サーバー・プール・マスターのサーバー・プール・データが破損している場合は、Oracle VM Managerデータベースのデータと同期化することで、このデータをリストアできます。


注意:

サーバー・プールをリストアする場合は、サーバー・プール・マスターに格納されているすべてのデータが削除され、Oracle VM Managerデータベースの最新の情報と同期化されます。

サーバー・プールをリストアするには、サーバー・プールを選択し、「リストア」をクリックします。

3.8 サーバー・プール・ログの表示

サーバー・プールのログ情報を表示するには、「サーバー・プール」ページに移動して、「ログの表示」リンクをクリックします。

ログ情報には次のものが含まれます。

「記録期間」フィールドを使用して、特定期間(時間数または日数)のログを検索できます。