Oracle Application Server インストレーション・ガイド 10gリリース2(10.1.2)for Solaris Operating System(SPARC) B15826-04 |
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この章では、Oracle Application Serverでサポートされている高可用性構成の概要を説明します。詳細は、後続の章で説明します。また、この章では共通の要件についても説明します。
この章の内容は次のとおりです。
この章では、Oracle Application Serverでの高可用性構成の概要のみを説明します。構成の詳細は、『Oracle Application Server高可用性ガイド』を参照してください。
Oracle Application Serverがインストール時にサポートする高可用性構成のタイプは次のとおりです。それぞれのタイプには複数のバリエーションがあることに注意してください。
高可用性構成の比較一覧は、第10.1.4項「相違の概要」を参照してください。
Oracle Application Serverは、OracleAS Cold Failover Clusterを使用しているそのコンポーネントすべてに対し、アクティブ-パッシブ・モデルを提供します。OracleAS Cold Failover Cluster構成では、2つ以上のアプリケーション・サーバーのインスタンスが同じアプリケーションのワークロードを処理するように構成されていますが、一度にアクティブになるサーバーは1つのみです。これらのインスタンスは1台のマシンまたは別々のマシンに常駐できます。
OracleAS Cold Failover Cluster構成の最も一般的なプロパティは次のとおりです。
アクティブ-パッシブ構成におけるパッシブなOracle Application Serverインスタンスは、アクティブなインスタンスと同じOracleバイナリ、構成ファイルおよびデータにアクセスできます。
OracleAS Infrastructureのインストール中は、「仮想ホストの指定」画面で仮想ホスト名を指定できます。このOracleAS Infrastructure仮想ホスト名は、ハードウェア・クラスタまたはロード・バランサで管理でき、OracleAS Infrastructureにアクセスするために中間層とOracleAS Infrastructureのコンポーネントによって使用されます。これは、OracleAS InfrastructureがOracleAS Cold Failover ClusterソリューションまたはOracleAS Clusterソリューションにおいてシングル・ノードのインストールであるかどうかに左右されません。
仮想ホスト名は、仮想IPと関連付けられます。これは、ハードウェア・クラスタまたはロード・バランサによってOracle Application Serverの中間層がOracleAS Infrastructureの単一のシステム・ビューを表示できるようにするために選択される名前です。この名前とIPのエントリは、サイトが使用するDNSに追加する必要があります。それによって、このエントリをローカルの/etc/hosts
(またはそれと同等の)ファイルに追加しなくても、中間層ノードをOracleAS Infrastructureと関連付けることができるようになります。たとえば、ハードウェア・クラスタの2つの物理的なホスト名がnode1.mycompany.com
とnode2.mycompany.com
である場合は、selfservice.mycompany.com
という名前によって、このクラスタの単一のビューがもたらされます。DNSでは、selfservice
は、ハードウェア・クラスタを経由してnode1
とnode2
の間で移動するOracleAS Infrastructureの仮想IPアドレスにマップされるか、ロード・バランサによってnode1
とnode2
の間で移動する仮想アドレスIPにマップされます。この移動はすべて、どちらの物理ノードがアクティブになっていて、特定のリクエストを実際に処理しているかを中間層が把握していなくても行われます。
Oracle Application Server中間層のインストール中に仮想ホスト名を指定することはできませんが、Cold Failover Cluster中間層用のインストール後の構成手順に従うことで、ハードウェア・クラスタまたはロード・バランサを経由して仮想ホスト名を使用することはできます。
アクティブ・パッシブ構成には、アクティブなインスタンスの障害を検出し、パッシブなインスタンスにフェイルオーバーしてダウンタイムを最小にするための一連のスクリプトと手順も含まれています。
OracleAS Cold Failover Cluster構成の利点は次のとおりです。
アクティブなインスタンスに何らかの理由で障害が発生するか、オフラインにしなければならない場合、同一の構成を持つパッシブのインスタンスがアクティブなインスタンスを引き継ぐために常に待機しています。
アクティブ-パッシブ構成では、1つのセットのプロセスのみが稼働し、リクエストを処理します。通常、アクティブなインスタンスの管理は、多数のアクティブなインスタンスの管理よりも楽な作業で済みます。
アプリケーションの中には、アクティブ-アクティブ構成が適していないものがあります。このようなアプリケーションには、アプリケーションの状態や、ローカルで格納される情報に大きく依存するものがあります。アクティブ-パッシブ構成では、常に1つのインスタンスのみがリクエストを処理します。
一般的に、「OracleAS Cold Failover Cluster」という用語は、Oracle Application Serverのインスタンス・レベルにおけるクラスタ化を示します。ただし、クラスタ化されているインスタンスのタイプを明示する必要がある場合、このドキュメントではOracleAS Cold Failover Cluster(タイプ)を使用してクラスタ・ソリューションを特徴付けます。たとえば、次のようになります。
Oracle Application Serverシステム(コンテンツのキャッシュ)のエントリ・ポイントからバックエンド・レイヤー(データ・ソース)に至るまで、クライアントのリクエストが通過するすべての層は、OracleAS Clusterを使用した冗長的なアクティブ-アクティブ構成、またはOracleAS Cold Failover Clusterを使用したアクティブ-パッシブ構成を使用して構成できます。
インストールの詳細は、第11章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cold Failover Cluster」を参照してください。
Oracle Application Serverは、OracleAS Clusterを使用したそのすべてのコンポーネントに対してアクティブ-アクティブな冗長モデルを用意しています。OracleAS Clusterでは、2つ以上のOracle Application Serverのインスタンスが同じアプリケーション・ワークロードを処理するように構成されます。これらのインスタンスは1台のマシンまたは別々のマシンに常駐できます。アクティブなインスタンスは、外部のロード・バランサによってフロントエンドとして使用し、任意のアクティブなインスタンスにリクエストをリダイレクトするか、アドレス・リストなどの他のアプリケーションレベルの構成によってリクエストを分散することができます。
OracleAS Cluster構成の最も一般的なプロパティは次のとおりです。
各インスタンスは同じワークロードまたはアプリケーションを処理します。この構成では、同一のリプライが同じリクエストに配信されることが保証されます。構成プロパティには、同一のものと、ローカル・ホスト名情報のようにインスタンスごとに異なるものがあります。
アクティブ-アクティブ構成では、通常は1つのシステムに行われた変更を他のシステムに伝播する必要があります。
可用性を最大化するために、アクティブ-アクティブ構成における1つのOracle Application Serverインスタンスを失っても、リクエストの処理を継続する他のインスタンスの能力に影響が及ばないようにする必要があります。
OracleAS Cluster構成の利点は次のとおりです。
アクティブ-アクティブ構成は、冗長構成です。1つのインスタンスを失っても、他のインスタンスが同じリクエストを継続して処理できます。
同一の構成を持つ複数のインスタンスは、分散されたワークロードを各マシンおよびプロセス間で共有できるようにする機能を備えています。正しく構成すれば、アプリケーションの需要拡大に合せて新しいインスタンスを追加することもできます。
一般的に、「OracleAS Cluster」という用語は、Oracle Application Serverのインスタンス・レベルにおけるクラスタ化を示します。ただし、クラスタ化されているインスタンスのタイプを明示する必要がある場合、このドキュメントではOracleAS Cluster(タイプ)を使用してクラスタ・ソリューションを特徴付けます。たとえば、次のようになります。
OracleAS Cluster(Identity Management)の詳細は、第12章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Cluster(Identity Management)」を参照してください。
OracleAS Disaster Recovery構成には、次の特性があります。
OracleAS Disaster Recoveryには、OracleAS Infrastructureおよび中間層が含まれます。詳細は、第13章「高可用性環境へのインストール: OracleAS Disaster Recovery」を参照してください。
表10-1に、高可用性構成間の相違の概要を示します。
高可用性構成では、コンポーネントは次の順序でインストールします。
Oracle Identity Managementのコンポーネントを分散する場合は、それらのコンポーネントを次の順序でインストールします。
中間層は、他のコンポーネントより先にインストールし、他のコンポーネントのインストールが完了した後に、中間層に高可用性構成を再度関連付けることができます。
この項では、すべての高可用性構成に共通の要件を説明します。これらの共通の要件に加えて、各構成には固有の要件があります。詳細は、それぞれの章を参照してください。
共通の要件は次のとおりです。
高可用性構成には、2つ以上のノードが必要です。なんらかの理由でノードに障害が発生した場合、2番目のノードが引き継ぎます。
クラスタ内のすべてのノードの/etc/group
ファイルに、使用するオペレーティング・システム・グループが含まれていることを確認します。oraInventoryディレクトリ用に1つのグループ、データベース管理用に1つまたは2つのグループが必要です。グループ名およびグループIDは、すべてのノードで同じである必要があります。
詳細は、第4.7項「オペレーティング・システム・グループ」を参照してください。
Oracle Application Serverをインストールするためのログインに使用するoracle
オペレーティング・システム・ユーザーに次のプロパティがあることを確認します。
oinstall
グループおよびosdba
グループに属している。oinstall
グループはoraInventoryディレクトリ用で、osdba
グループはデータベース管理グループです。詳細は、第4.7項「オペレーティング・システム・グループ」を参照してください。
Oracle Application Serverを高可用性構成でインストールするすべてのノードに、既存のoraInventoryディレクトリがないことを確認します。
これは、インストーラからoraInventoryディレクトリの場所の入力を要求されるようにするために必要です。既存のoraInventoryディレクトリの場所は、インストールしようとしているOracle Application Serverインスタンスでは適切でない場合があります。たとえば、OracleAS Cold Failover Clusterで、oraInventoryディレクトリを共有記憶域に配置するとします。インストーラによって既存のoraInventoryディレクトリが検出されると、自動的にそのディレクトリが使用され、場所を入力するようには要求されません。
インストーラによって検出される可能性があるoraInventoryディレクトリがノードにあるかどうかを確認するには、次の手順を実行します。
/var/opt/oracle/oraInst.loc
ファイルを確認します。ノードにこのファイルがない場合、インストーラによって使用されるoraInventoryディレクトリはありません。次のノードを確認できます。
oraInst.loc
ファイルのあるノードの場合、インストーラによって検出されないようにディレクトリを他の名前に変更します。その結果、インストーラによってoraInventoryディレクトリの場所を入力するように要求されます。次の例では、oracle
ディレクトリをoracle.orig
という名前に変更しています(これを実行するにはrootである必要があります)。
prompt> su Password: root_password # cd /var/opt # mv oracle oracle.orig
インストーラを実行してOracle Application Serverをインストールすると、新しい/var/opt/oracle
ディレクトリが作成され、その中に新しいファイルが作成されます。oracle
およびoracle.orig
の両方のディレクトリが必要な場合があります。いずれのディレクトリも、削除したり、名前を変更しないでください。
インストーラによって、/var/opt/oracle
ディレクトリとそのファイルが使用されます。インストーラを実行する前に、正しいoracle
ディレクトリが適切な場所にあることを確認します(たとえば、製品を削除したり、拡張したりする場合)。
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