WebLogic のアプリケーション環境のアップグレード
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
この節では、WebLogic のアプリケーション環境のアップグレードを準備し、実行する方法について説明します。ここで説明するトピックは以下のとおりです。
アプリケーション環境のアップグレードを計画することは、アップグレード プロセスの重要な手順の 1 つです。使用している環境のすべてのアップグレード要件に対応する計画を策定するには、次の手順に従います。
次の表に示されているコンポーネントのチェックリストを使用して、アプリケーション環境のインベントリを実施します。「アップグレード プロセスの概要」にアプリケーション環境の例がありますので (図 1-1)、参考にしてください。
アプリケーション環境に含まれるすべてのハードウェアおよびソフトウェア コンポーネントのサポート状況を確認します。次の表に、サポート状況を確認する必要のある重要なコンポーネントを示します。
|
|
|
|
|
ほとんどの既存の WebLogic Server アプリケーションは、WebLogic Server 9.0 のアプリケーション環境に修正を加えることなく実行することができます。ただし、機能の変更により、使用している環境内のアプリケーションに影響が及ぶかどうかについては、「旧リリースとの互換性」で確認する必要があります。
以上の手順 で収集した情報を使用して、アプリケーション環境のアップグレード計画を作成します。アップグレード プロセスのスコープとタイミングは、ビジネス ニーズに応じて特定します。アップグレードでは、次の点に注意してください。
アプリケーション環境をアップグレードする前に、次の手順を実行する必要があります。
アプリケーション環境をアップグレードする前に、アプリケーション環境内のすべてのサーバを停止する必要があります。
アップグレード プロセス中、ドメインのバックアップを行うことができます (「ドメインのバックアップ」を参照)。ただし、ウィザードはドメイン ディレクトリのみをアーカイブするため、ファイル パーミッションは維持されません。
アプリケーション環境をアップグレードする前に、次の表に示されているコンポーネントを手動でバックアップすることをお勧めします。ドメイン内のすべてのマシンに関連する情報をバックアップする必要があります。
アプリケーション環境をアップグレードする前に、ドメイン内のすべてのマシンに WebLogic Server 9.0 をインストールする必要があります。WebLogic Server 9.0 のインストールの詳細については、『インストール ガイド』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/common/docs90/install/index.html
) を参照してください。
注意 : WebLogic Server 9.0 より前のバージョンでノード マネージャを使用している場合は、9.0 製品をインストールするときに、ノード マネージャのリスン ポートを、9.0 より前のバージョンで使用されているポートと同じ番号に設定するようにしてください。ノード マネージャのリスン ポートのデフォルト値は 5556 です。
コンフィグレーションによっては、ドメイン内で管理サーバからリモートの管理対象サーバが 1 つまたは複数のマシンで実行されていることがあります。このタイプのコンフィグレーションの場合、リモートの管理対象サーバをホストするすべてのマシンのドメイン ディレクトリをアップグレードする必要があります。
リモートのドメイン ディレクトリを準備するには、管理サーバのホスト マシン上にあるアップグレード前のドメイン ディレクトリのルート ディレクトリから以下のファイルをリモートの管理対象サーバのホスト ドメインのルート ディレクトリにコピーする必要があります。
注意 : コンフィグレーション内のデータベースが WebLogic Server 9.0 と互換性がない場合、サポートされているデータベースにデータをアップグレードしなければ、新しいアプリケーション環境でデータを使用することはできません。詳細については、「手順 2 : サポート対象コンフィグレーション情報の確認」を参照してください。
CLASSPATH
環境変数に追加し、WL_HOME
\server\bin
(WL_HOME
は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) を PATH
環境変数に追加します。
次の図に、アプリケーション環境をアップグレードするのに必要な手順を示します。
図 2-1 アプリケーション環境のアップグレードのロードマップ
次の表に、アプリケーション環境のアップグレード手順の概要を示します。手順には、必須のものと省略可能なものがあります。各手順は、ドメイン内のすべてのマシンに対して実行する必要があります。
|
|
|
|
|
WebLogic アップグレード ウィザードを使用したアプリケーション環境のアップグレードが完了したら、必要に応じて次の手順を実行する必要があります。
必ずしもすべての手順を実行する必要があるわけではありません。以下の説明に基づいて、アプリケーション環境に必要な手順を決定してください。
MBean 階層に最近加えられた変更により、既存のコンフィグレーションおよび管理スクリプト (WLST、wlconfig
、weblogic.Admin
、Ant など) がすべての 9.0 環境で実行されるかどうかは保証されなくなりました。したがって、スクリプトを更新して、WebLogic Server 9.0 の新機能を活用することをお勧めします。WebLogic Server の新機能と MBean 階層に加えられた変更の詳細については、『リリース ノート』の「WebLogic Server 9.0 の新機能」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/notes/new.html
) を参照してください。
以下の節では、スクリプト ツール、カスタム コンフィグレーション テンプレート、および SNMP について詳しく説明します。
次のコンフィグレーションおよび管理ツールは、WebLogic Server 9.0 で非推奨となりました。
http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/common/docs90/silent_cw/index.html
) を参照してください。weblogic.Admin
ユーティリティ。詳細については、http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/admin_ref/cli.html
を参照してください。現在これらのユーティリティのいずれかを使用している場合は、次の節で説明されているように、WebLogic Scripting Tool を使用することをお勧めします。
WebLogic Scripting Tool (WLST) は、コマンドライン 形式のスクリプト インタフェースで (Jython で構築)、WebLogic ドメインのコンフィグレーションに使用することができます。WLST を使用することで、WebLogic Server 管理者は、対話形式で、または実行可能なスクリプトにより、管理タスクを実行し、WebLogic Server コンフィグレーションの変更を開始することができます。
WebLogic Platform 8.1 のリリースに伴い、WLST は BEA の dev2dev サイトから評価用として入手できるようになりましたが、WebLogic Platform 8.1 製品には正式なものとして同梱されていません。WLST は、WLST Online と WLST Offline の 2 つの形式で提供されていました。
WebLogic Server 9.0 では、WLST Online と WLST Offline は機能強化され、1 つのツールとして統合されています。この新しいバージョンの WLST では、WebLogic Server 9.0 の管理機能とコンフィグレーション機能が完全にサポートされています。WLST の詳細については、『WebLogic Scripting Tool ガイド』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/config_scripting/index.html
) を参照してください。
注意 : WLST Online は、WebLogic Platform 7.0 および 8.1 と WebLogic Server 9.0 で実行することができます。WLST Offline は、WebLogic Platform 8.1 と WebLogic Server 9.0 で実行することができます。
他の 9.0 より前のツールと同様に、MBean 階層に最近加えられた変更により、既存の WLST スクリプトが 9.0 で実行されるかどうかは保証されなくなりました。したがって、スクリプトを更新して、WebLogic Server 9.0 の新機能を活用することをお勧めします。WebLogic Server の新機能と MBean 階層に加えられた変更の詳細については、『リリース ノート』の「WebLogic Server 9.0 の新機能」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/notes/new.html
) を参照してください。
次の表は、WebLogic Platform 8.1 Template Builder で作成されたカスタム コンフィグレーション テンプレートをアップグレードするのに必要な手順の概要を示しています。
|
|
|
|
|
SNMP マネージャを使用して WebLogic Server をモニタする場合は、次の手順に従います。
MIB は、BEA_HOME
/weblogic90/server/lib/BEA-WEBLOGIC-MIB.asn1
にあります。WebLogic Server は、既存の管理対象オブジェクトのオブジェクト識別子 (OID) を変更するのではなく、新しい管理対象オブジェクトの新しい OID を追加します。
非推奨の管理対象オブジェクトの一覧については、『WebLogic Server MBean Reference』の「Deprecated MBeans」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/wlsmbeanref/core/index.html
) を参照してください。非推奨の MBean の説明には、置換 MBean へのポインタも含まれています。SNMP の管理対象オブジェクトはそれぞれ MBean 属性に対応します。
注意 : 多数の BEA 専用の実行時 MBeans が MIB から削除されています。これらの MBeans は、非推奨の MBeans の一覧に含まれていません。詳細については、『確認済みおよび解決済みの問題』(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/issues/index.html
) を参照してください。
以下の節では、デフォルトおよびカスタム起動スクリプトをカスタマイズする方法について説明します。
アップグレード ウィザードによるアップグレード プロセスでは、デフォルト起動スクリプトに対して行われたカスタマイズの内容 (JAVA_OPTIONS
環境変数の設定など) は保持されません。アップグレード プロセスが完了した後に、デフォルト起動スクリプトを再びカスタマイズする必要があります。
注意 : ドメインを WebLogic Server 9.0 にアップグレードすると同時に 5.1 より前のバージョンの PointBase を継続して使用する場合は、5.1 より前のバージョンの PointBase データベースの JAR ファイルを CLASSPATH
環境変数定義の先頭に追加する必要があります。これを行うには、setDomainEnv
ファイル内の set CLASSPATH
文を更新します。
カスタム起動スクリプトを作成した場合は、次の手順に従って手動で更新する必要があります。
アップグレード プロセス中にノード マネージャをアップグレードする場合は、WebLogic ドメインをホストしているマシンをノード マネージャに登録する必要があります。これを実行するには、nmEnroll
コマンドを使用します。
注意 : 管理サーバと管理対象サーバが実行されるようコンフィグレーションされているマシンに nodemanager.domains
ファイルがあり、管理サーバと管理対象サーバが同じドメイン ディレクトリを共有している場合は、手動でそのドメインのエントリを <
domain-name
>=<
domain-directory
>
という形式でファイルに含めることができます。
デフォルトでは、このファイルは WL_HOME
/common/nodemanager
(WL_HOME
は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) にあります。
詳細については、『サーバの起動と停止の管理』の「他のコンフィグレーション情報」に記載されている「nodemanager.domains ファイルのコンフィグレーション」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/server_start/nodemgr.html#ReviewNMDomains
) を参照してください。
nmEnroll
コマンドを実行すると、WL_HOME
/common/nodemanager
ディレクトリ (WL_HOME
は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) にある nodemanager.domains
ファイルのドメインに関する情報が更新されます。nodemanager.domains
ファイルは、ノード マネージャ インスタンスが制御するドメインを指定するファイルです。このファイルを使用することにより、スタンドアロン クライアントでドメイン ディレクトリを明示的に指定する必要がなくなります。
また、このコマンドを実行すると、管理サーバから以下のファイルがダウンロードされます。
nm_password.properties
(サーバ認証に使用される暗号化されたユーザ名とパスワードが含まれるノード マネージャのシークレット ファイル) SerializedSystemIni.dat
ファイル nmEnroll
コマンドを使用してマシンをノード マネージャに登録するには、次の手順に従います。
http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/config_scripting/using_WLST.html#setting_up_your_environment
) の説明に従って、環境を設定します。http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/config_scripting/using_WLST.html#invoke_wlst
) の説明に従って、WLST を呼び出します。 nmEnroll
コマンドを入力して WLST が実行されているマシンをノード マネージャに登録します。 nm_password.properties
) と SerializedSystemIni.dat
ファイルの保存先のドメイン ディレクトリのパス。デフォルトでは、この 2 つのファイルは、起動した WLST が格納されているディレクトリに保存されます。nodemanager.domains
ファイルは、このディレクトリに保存されます。デフォルトでは、WL_HOME
/common/nodemanager
(WL_HOME
は WebLogic Server のインストール先のルート ディレクトリ) です。たとえば、ドメイン ディレクトリが c:/bea/mydomain/common/nodemanager
に指定されおり、ノード マネージャのデフォルトのホーム ディレクトリ (WL_HOME
/common/nodemanager
) が使用されている場合、WLST が実行されているマシンをノード マネージャに登録するには、次のコマンドを使用します。
wls:/mydomain/serverConfig>nmEnroll('c:/bea/mydomain/common/nodemanager')
Enrolling this machine with the domain directory atc:\bea\mydomain\common\nodemanager
....
Successfully enrolled this machine with the domain directory at C:\bea\mydomain\common\nodemanager
wls:/mydomain/serverConfig>
詳細については、『WebLogic Scripting Tool ガイド』の「nmEnroll
」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/config_scripting/reference.html#nmEnroll
) を参照してください。
管理サーバを起動したら、JAVA_HOME
、BEA_HOME
、および CLASSPATH
などのリモート サーバ起動オプションが対象の管理対象サーバにインストールされている WebLogic Server 9.0 を参照していることを確認します。これは、『Administration Console Online Help』の「Configure startup arguments for Managed Servers」(http://edocs.beasys.co.jp/e-docs/wls/docs90/ConsoleHelp/taskhelp/startstop/ConfigureStartupArgumentsForManagedServers.html
) で説明されているように、Administration Console を使用して行います。
警告 : リモート サーバ起動オプションが正しく設定されていないと、ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動するときに、次のようなメッセージがログ ファイルに書き込まれることがあります。このメッセージは再帰的に送信されるため、最終的に使用可能なディスク容量がすべて消費されるおそれがあります。
警告 : No config.xml was found.
Would you like the server to create a default configuration and boot?(y/n):
java.io.IOException: The handle is invalid
at COM.jrockit.io.FileNativeIO.read(III)I(Native Method)
at COM.jrockit.io.NativeIO.read(Ljava.io.FileDescriptor;II)I(Unknown Source)
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read(II)I(Unknown Source)
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read(I[BI)I(Unknown Source)
at COM.jrockit.io.NativeIOInputStream.read([BII)I(Unknown Source)
at java.io.FileInputStream.read([BII)I(Unknown Source)
アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートする前に、標準的な品質保証およびパフォーマンス チューニングを行います。テスト アプリケーション環境でアプリケーション (外部クライアント アプリケーションを含む) の動作をテストすることをお勧めします。非推奨となった API または削除された API がアプリケーションで使用されている場合は、実行時に警告または例外が発生するおそれがあります。発生した場合は、アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートする前に、必要な修正を行う必要があります。
すべてのテスト基準をクリアしていれば、手順 4 : アップグレード計画の作成 で定義したアップグレード計画に従って、アプリケーション環境をプロダクション環境にプロモートすることができます。
新しい 9.0 のアプリケーション環境がプロダクション環境にデプロイされたら、既存の環境から新しい環境にリクエストをリダイレクトできるようになります。このようにして、最終的には、既存の環境を廃止することができます。これは、ロード バランサなどを使用して行います。
アップグレード プロセスの手順で問題が発生したら、WebLogic アップグレード ウィザードは問題が発生した理由を示すメッセージを表示してから終了します。ウィザードを続行するには、次の手順に従います。
![]() ![]() |
![]() |
![]() |