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メール・ラベル・レポートの作成
この章では、標準のレポート・スタイルの1つであるメール・ラベル・レポートについて学習します。この章の手順に従うと、図6-1に示すようなレポート出力を生成できます。
図6-1 メール・ラベル・レポートの出力
画像の説明
概要
- メール・ラベル・レポートは、封筒に貼り付ける住所ラベルに適した書式で表示されるデータで構成されます。ラベルは1つまたは複数の列で印刷できます。また、任意の位置でラベルを開始できます。
- メール・ラベル・レポートでは、データベースのデータを静的テキストと組み合せて住所を作成し、封筒のメール・ラベルとして印刷できます。
- メール・ラベルを作成するには、メール・ラベルのレイアウト・スタイルを備えた簡単な単一問合せレポートを使用します。
データ・リレーションシップ
メール・ラベル・レポート用のデータは、問合せを作成してデータを選択するだけでフェッチできます。
レイアウト
- Oracle Reportsで提供されるデフォルトのメール・ラベル・レイアウトは、各フィールドが前のフィールドの真下にくるように配置されています。フィールド・ラベルは印刷されません。
- レポート・ウィザードを使用して単純なメール・ラベル・レポートを作成します。レポート・ウィザードには書式設定ページが用意されており、各メール・ラベルのレイアウトをそこで選択できます。
- メール・ラベル間の空白の量を制御するには、繰返し枠のプロパティ・インスペクタにある「垂直間隔」フィールドを使用します。繰返し枠の間隔はデフォルト値では不十分な場合があります。その場合は、レイアウトのメール・ラベル間にスペースを挿入して、ラベルへの印刷時に正しく配置されるように指定することもできます。
使用例
このサンプル・レポートの作成過程では、次を行います。
- レポート・ウィザードを使用したメール・ラベル・レポートの作成。またレポート用のすべての列を選択するクエリー・ビルダーでの単一の問合せの記述。その他のデータ・オブジェクトを作成する必要はありません。Oracle Reportsでは、その他の必要なデータ・オブジェクトがデフォルトですべて作成されます。
- メール・ラベル・レポートの各レコード間に空白を追加するための「垂直間隔」プロパティを使用しての垂直間隔の追加。
メール・ラベル・レポートのサンプルを表示するには、サンプル・フォルダmailinglabel
を開き、Oracle Reportsのサンプル・レポートmailinglabel.rdf
を開きます。このファイルの開き方の詳細は、「はじめに」の「サンプル・レポートへのアクセス」を参照してください。
6.1 この例の前提条件
この章の例を作成するには、Oracle Database付属のHuman Resourcesサンプル・スキーマ(HR)に対するアクセス権が必要です。このサンプル・スキーマに対するアクセス権の有無が不明のときは、データベース管理者に問い合せてください。
6.2 レポート・ウィザードを使用したメール・ラベル・レポートの作成
レポートは、レポート・ウィザードを使用して作成するか、または独自に作成できます。この例の単純なレポートを作成する場合は、レポート・ウィザードを使用できます。このウィザードを使用すると、レポートのレイアウトの定義やデータ定義の設定を行うことができます。
簡単なメール・ラベル・レポートを作成するには:
- Reports Builderを起動します。すでに起動している場合は、「ファイル」→「新規」→「レポート」を選択します。
- 「ようこそ」ダイアログ・ボックスまたは「新規レポート」ダイアログ・ボックスで、「レポート・ウィザードを使う」を選択して「OK」をクリックします。
- 「ようこそ」ページが表示されたら、「次へ」をクリックします。
- 「レポート・タイプ」ページで、「ペーパー・レイアウトのみ作成」を選択し、「次へ」をクリックします。
- 「スタイル」ページでレポートのタイトルを入力し、「メール・ラベル」を選択して「次へ」をクリックします。
- 「データ・ソース」ページで、「SQL問合せ」をクリックし、「次へ」をクリックします。
- 「データ」ページで「クエリー・ビルダー」をクリックします。
- 「データ表選択」ダイアログ・ボックスで、「EMPLOYEES」表をクリックして「インクルード」をクリックします。
- 「DEPARTMENTS」表をクリックして「インクルード」をクリックします。
注意
この場合、EMPLOYEES表とLOCATIONS表はスキーマに直接関連していないので、DEPARTMENTS表を組み込む必要があります。
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- 「LOCATIONS」表をクリックして「インクルード」をクリックします。
- 「閉じる」をクリックします。
クエリー・ビルダーに3つの表が表示されます。
- EMPLOYEES表で、次の列名の横にあるチェック・ボックスを選択します。
- FIRST NAME
- LAST NAME
- EMPLOYEE ID
- LOCATIONS表で、次の列名の横にあるチェック・ボックスを選択します。
- STREET ADDRESS
- POSTAL CODE
- CITY
- STATE PROVINCE
- LOCATION ID
- 「OK」をクリックします。
- 「データ・ソース定義」フィールドに、問合せが次のように表示されます。
SELECT ALL EMPLOYEES.EMPLOYEE_ID, EMPLOYEES.FIRST_NAME,
EMPLOYEES.LAST_NAME, LOCATIONS.STREET_ADDRESS, LOCATIONS.POSTAL_CODE,
LOCATIONS.CITY, LOCATIONS.STATE_PROVINCE, LOCATIONS.LOCATION_ID
FROM EMPLOYEES, DEPARTMENTS, LOCATIONS
WHERE ((EMPLOYEES.DEPARTMENT_ID = DEPARTMENTS.DEPARTMENT_ID)
AND (DEPARTMENTS.MANAGER_ID = EMPLOYEES.EMPLOYEE_ID)
AND (DEPARTMENTS.LOCATION_ID = LOCATIONS.LOCATION_ID))
注意
この問合せは、次のいずれかの方法で入力できます。
- 提供されているテキスト・ファイル
mailinglabel_code.txt からコードをコピーして「データ・ソース定義」フィールドに貼り付けます。
- 前述の手順で説明されているように、「クエリー・ビルダー」をクリックして、コードを入力せずに問合せを作成します。
- 「データ・ソース定義」フィールドにコードを入力します。
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- 「次へ」をクリックします。
注意
データベースにまだ接続していない場合は、「クエリー・ビルダー」または「次へ」をクリックしたときに、データベースに接続するよう求められます。この例に該当するスキーマが含まれるデータベースに接続してください。第6.1項「この例の前提条件」に、この例のサンプル・スキーマの要件に関する説明があります。
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- 「テキスト」ページで、メール・ラベルの表示書式を設定します。手順21〜30で、次の書式でラベルを表示する方法について説明します。
John Smith
55 Main Street
Springfield, ME 00000
- 「使用可能フィールド」リストの「FIRST_NAME」をクリックし、「>」ボタンをクリックして、このフィールドを「メール・ラベル」リストに移動します。
- 「使用可能フィールド」リストの「LAST_NAME」をクリックし、「>」ボタンをクリックします。
- 「新規行」をクリックします。
- 「使用可能フィールド」リストの「STREET_ADDRESS」をクリックし、「>」ボタンをクリックします。
- 「新規行」をクリックします。
- 「使用可能フィールド」リストの「CITY」をクリックし、「>」ボタンをクリックします。
- キーボードで[Back Space]キーを押して余分なスペースを削除します。
- 「カンマ」をクリックします。
- 「使用可能フィールド」リストの「STATE_PROVINCE」をクリックし、「>」ボタンをクリックします。
- 「使用可能フィールド」リストの「POSTAL_CODE」をクリックし、「>」ボタンをクリックします。
「メール・ラベル・テキスト」ボックスに、コードが次のように表示されます(必要に応じて、次のように空白を追加します)。
&<FIRST_NAME> &<LAST_NAME>
&<STREET_ADDRESS>
&<CITY>, &<STATE_PROVINCE> &<POSTAL_CODE>
ヒント
メール・ラベルの書式設定の詳細は、レポート・ウィザードのこのページで「ヘルプ」をクリックして参照してください。
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- 「次へ」をクリックします。
- 「テンプレート」ページで、「テンプレートなし」を選択し、「終了」をクリックして、ペーパー・デザイン・ビューにレポート出力を表示します。表示は次のようになります。
図6-2 メール・ラベル・レポートのペーパー・デザイン・ビュー
画像の説明
- レポートを
mailinglabel_<自分のイニシャル>.rdf
という名前で保存します。
6.3 垂直間隔の追加
この項では、「垂直間隔」プロパティを使用して、メール・ラベル・レポートのレコード間に空白を追加します。この間隔は、レコードを印刷するメール・ラベルのサイズに応じて調整できます。
垂直間隔を追加するには:
- オブジェクト・ナビゲータで、レポート名の下の「ペーパー・レイアウト」ノードを開きます。
- 「ペーパー・レイアウト」の下の「メイン・セクション」ノードを開きます。
- 「ボディ」の下で、繰返し枠R_G_FIRST_NAMEを検索します。
- 「R_G_FIRST_NAME」ノードの横の繰返し枠のアイコンをダブルクリックして、プロパティ・インスペクタを表示します。
- 「繰返し枠」の下で、「枠間の垂直間隔」の横に
0.25
と入力します。
- [Enter]キーを押して変更内容を追加します。
- ツールバーで「ペーパー・レイアウトを実行」をクリックし、ペーパー・デザイン・ビューにレポートを表示します。
レポートの表示は次のようになります。
図6-3 垂直間隔を追加した最終的なメール・ラベル・レポート
画像の説明
6.4 まとめ
これで、すべての作業が完了しました。メール・ラベル・ペーパー・レポートは正常に作成されました。この章で学習した内容は次のとおりです。
- レポート・ウィザードを使用して、メール・ラベル・レポートを定義する。
- ラベル間の垂直間隔を調整する。
この例で使用されているウィザード、ビュー、プロパティの詳細は、Oracle Reportsオンライン・ヘルプを参照してください。このヘルプは、第3.1.1項「Oracle Reportsオンライン・ヘルプの使用」で説明しているとおり、Reports BuilderまたはOracle Technology Network(OTN)から表示できます。