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テキスト・プラッガブル・データ・ソースを使用したレポートの作成
この章では、Oracle Reports付属のテキスト・プラッガブル・データ・ソースのデータを含むレポートについて学習します。この章の手順に従うと、図45-1に示すようなレポート出力を生成できます。
図45-1 テキストPDSを使用したレポート出力
画像の説明
概要
- 企業の様々なデータ・ソースから、公開の必要な情報を得ることがよくあります。これらのデータ・ソースは、SQLベース(リレーショナル・データベース)の場合もあれば、文字区切りテキストなどの非SQLベースの場合もあります。意味のある情報を公開するために、1つ以上のデータ・ソースからのデータを結合する必要がある場合も少なくありません。たとえば、傾向とパフォーマンスを比較するために、リレーショナル・データベースのデータを多次元データベースのデータと結合する場合などです。
- Oracle Reportsでは、あらゆるデータ・ソースのデータに対し、集計、要約、形式設定、スケジューリングなどの機能を利用できます。PDS(プラッガブル・データ・ソース)アーキテクチャを利用すれば、ユーザー固有のデータ・ソースにも、Oracle Reportsで利用可能なデータ・ソース(XML、JDBC、テキストおよびOLAP)にも接続できます。
- プラッガブル・データ・ソースの詳細は、Oracle Reportsオンライン・ヘルプを参照してください。データ・ソースで既存のPDSを使用できない場合は、PDS APIにより独自のPDSを記述して、Oracle Reportsに取り込むことが可能となり、一意の専用データ・ソースにアクセスできます。APIについては、Oracle Technology NetworkのOracle Reportsドキュメントのページ(http://www.oracle.com/technology/documentation/reports.html)で入手可能な『Oracle Reports Java API Reference』に記載されています。
使用例
この例では、米国国勢調査局のデータをCSV(カンマ区切り値)形式でダウンロードし、レポートを生成するとします。文字区切りテキストをデータ・ソースとして使用してペーパー・レポートを作成する方法を学習します。
このサンプル・レポートの作成過程では、次を行います。
- textpds.confファイルを設定して、テキスト・ファイルをプラッガブル・データ・ソースとして認識するようにReports Builderを構成する。
- テキスト・データ・ソースに基づく、レポート・ウィザードを使用したレポートの作成。
テキストPDSを使用するレポートのサンプルを表示するには、サンプル・フォルダTextPDS
を開き、result¥censusreport.rdf
を開きます。このファイルの開き方の詳細は、「はじめに」の「サンプル・レポートへのアクセス」を参照してください。この章で使用されているサンプル・ファイルのリストと説明を表45-1に示します。
表45-1 レポートのサンプル・ファイル
45.1 この例の前提条件
この章の例を作成するには、サンプル・ファイルが必要です(前述の「使用例」を参照)。
45.2 textpds.confファイルの設定
テキスト・ファイルをデータ・ソースとして使用するには、事前にそのテキスト・ファイルのフォーマット情報を使用してテキストPDS構成ファイル(textpds.conf
)を設定する必要があります。構成ファイル内のデータ定義により、テキスト・ファイルがReports Builderで有効なデータ・ソースとして認識されるようになります。
注意
変更を有効にするには、構成ファイルを編集した後でReports Builderを起動または再開する必要があります。
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textpds.confファイルを設定するには:
- メモ帳などのテキスト・エディタで、
textpds.conf
ファイルを開きます。このファイルは、ORACLE_HOME
/reports/conf
ディレクトリにあります。
注意
ORACLE_HOME は、使用しているコンピュータでReports Builderがインストールされている場所です。
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- 別のテキスト・エディタ・ウィンドウで、提供されている
config.txt
ファイルを開きます。このファイルは、Examples
/TextPDS/Scripts
ディレクトリにあります。
config.txt
内のテキストをコピーし、textpds.conf
の</textPDS>
エントリの前に貼り付けます。これによって、textpds.conf
ファイルに次のようなエントリが追加されます。
図45-2 textpds.confエントリのスナップショット
画像の説明
注意
textpds.conf のfileFormat エントリを使用すると、テキスト・ファイルがReports Builderでデータ・ソースとして認識されるようになります。テキストPDSをレポート・ウィザードで選択する際に、定義されたフォーマット(この例では、CensusCSV )が選択肢の1つとして表示されます。fileFormat エントリでは、このファイルの各列のプロパティも定義します。
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textpds.conf
ファイルを保存します。
これで、文字区切りテキスト・データ・ソースのtextpds.conf
ファイルが設定されました。
45.3 レポート・ウィザードを使用したレポートの作成
レポートは、レポート・ウィザードを使用して作成するか、または独自に作成できます。この例の単純なレポートを作成する場合は、レポート・ウィザードを使用できます。
テキスト・プラッガブル・データ・ソースを使用する前に、テキスト・ファイルの内容を調べる必要がある場合があります。メモ帳などのテキスト・エディタでcensus_csv.txt
ファイルを開き、この例で使用するデータを確認できます。
簡単なレポートを作成するには:
textpds.conf
ファイルは更新済なので、Reports Builderを起動します。
ヒント
textpds.conf ファイルを変更するときにReports Builderが起動していた場合は、Reports Builderを一度シャットダウンしてから、Reports Builderを再起動すると、テキスト・ファイルが有効なデータ・ソースとして認識されるようになります。
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- 「ようこそ」ダイアログ・ボックスで、「レポート・ウィザードを使う」を選択して「OK」をクリックします。
- 「ようこそ」ページが表示されたら、「次へ」をクリックします。
- 「レポート・タイプ」ページで、「ペーパー・レイアウトのみ作成」を選択し、「次へ」をクリックします。
- 「スタイル」ページで、レポートのタイトルを入力してから「グループ上」を選択し、「次へ」をクリックします。
- 「データ・ソース」ページで、「Text Query」をクリックし、「次へ」をクリックします。
- 「データ」ページで「問合せ定義」をクリックし、「テキスト問合せの定義」ダイアログ・ボックスを表示します。
「テキスト問合せの定義」ダイアログ・ボックスが表示されずにエラー・メッセージが表示される場合は、構成ファイル(textpds.conf
)に追加したコードに間違いがないか確認します。
- 「データ定義」で、リストの「CensusCSV」書式をクリックします。
注意
CensusCSV書式がこのリストに表示されるのは、この書式をtextpds.conf ファイルに追加したためです。
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- 「データ・ソース」で、「参照」をクリックして
Examples
/TextPDS/Scripts
ディレクトリにあるcensus_csv.txt
ファイルを検索します。
ディレクトリにこのファイルがない場合は、「開く」ダイアログ・ボックスのファイルの種類リストでTXTファイルを選択したかどうかを確認します。
- このファイルをクリックし、「開く」をクリックします。
- 「位置」フィールドに
census_csv.txt
ファイルが表示されたら、「OK」をクリックします。
レポート・ウィザードでは、データ・ソース定義が「データ・ソース定義」フィールドに表示されます。
- 「次へ」をクリックします。
- 「グループ」ページで、「使用可能フィールド」リストの「CATEGORY」をクリックし、「>」ボタンをクリックして、このフィールドを「グループ・フィールド」リストに移動し、「次へ」をクリックします。
- 「フィールド」ページで、「>>」ボタンをクリックして、すべての使用可能フィールドを「表示フィールド」リストに移動し、「次へ」をクリックします。
- 「合計」ページで「次へ」をクリックします。
- 「ラベル」ページで「次へ」をクリックします。
- 「テンプレート」ページで、「事前定義テンプレート」を選択し、「Beige」をクリックします。次に「終了」をクリックして、ペーパー・デザイン・ビューにレポート出力を表示します。必要な変更を加えます。レポートは次のようになります。
図45-3 テキストPDSレポートのペーパー・デザイン・ビュー
画像の説明
- レポートを
censusreport_
<自分のイニシャル>
.rdf
という名前で保存します。
注意
作成結果を、サンプル用のディレクトリにある提供されているサンプル・レポートと比較できます。ただし、レポートの実行前に次の手順を実行する必要があります。
- データ・モデル・ビューで、問合せを右クリックして「データ・ウィザード」を選択します。
- 「データ」ページで「問合せ定義」をクリックします。
- census_csv.txtの場所を、ローカル・ドライブ上のこのファイルの場所に更新します。
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45.4 まとめ
これで、すべての作業が完了しました。ペーパー・レポートにテキスト・プラッガブル・データ・ソースを使用することができました。この章で学習した内容は次のとおりです。
textpds.conf
ファイルを設定する。
- レポート・ウィザードを使用してテキスト・データ・ソースに基づくペーパー・レポートを作成する。
この例で使用されているウィザード、ビュー、プロパティの詳細は、Oracle Reportsオンライン・ヘルプを参照してください。このヘルプは、第3.1.1項「Oracle Reportsオンライン・ヘルプの使用」で説明しているとおり、Reports BuilderまたはOracle Technology Network(OTN)から表示できます。