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Oracle Database Application Expressユーザーズ・ガイド
リリース2.2
B31492-01
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3 アプリケーション・ビルダーの概念

このセクションでは、アプリケーション・ビルダーの概要を説明します。アプリケーション・ビルダーを使用すると、表やプロシージャなどのデータベース・オブジェクトの外観としてHTMLインタフェース(またはアプリケーション)を構築できます。各アプリケーションは、タブ、ボタンまたはハイパーテキスト・リンクを使用して相互にリンクされたコレクションです。

内容は次のとおりです。

ページの概要

ページは、アプリケーションの基本的なビルディング・ブロックです。アプリケーション・ビルダーでアプリケーションを構築する際は、タブ、リスト、ボタン、アイテム、リージョンなどのユーザー・インタフェース要素を含むページを作成します。

「ページ定義」のページにコントロールを追加します。

既存のページの「ページ定義」を表示するには、次のステップを実行します。

  1. 「作業領域」ホームページにナビゲートします。

  2. アプリケーション・ビルダー」アイコンをクリックします。

  3. アプリケーションを選択します。

  4. ページを選択します。

    「ページ定義」は、3つのセクションに分かれて表示されます。

    • ページ・レンダリング」には、ページのレンダリング時に実行されるユーザー・インタフェース・コントロールとロジックが表示されます。 ページ・レンダリングは、データベースからページを生成するプロセスです。詳細は、「ページ・レンダリングの概要」を参照してください。

    • 「ページ・プロセス」には、ページ・プロセス時に評価および実行されるロジック・コントロール(計算やプロセスなど)が表示されます。詳細は、「ページ・プロセスの概要」を参照してください。

    • 共有コンポーネント」には、アプリケーション内の1つ以上のページで使用可能な共通のコンポーネントが表示されます。詳細は、「共有コンポーネントの概要」を参照してください。

ページ・プロセスおよびページ・レンダリングの理解

アプリケーション・ビルダーでアプリケーションを作成する際に、タブ、ボタンまたはハイパーテキスト・リンクを使用して複数のページをリンクできます。各ページにはボタンおよびアイテムを配置でき、アプリケーション・ロジックを含めることができます。 ページでは、条件付きナビゲーションを使用したあるページから次のページへのブランチ、計算と検証の実行、レポート、カレンダおよびチャートの表示を行うことができます。 組込みウィザードを使用してレポート、チャートおよびフォームを生成したり、静的HTMLを生成したり、PL/SQLプログラミングによってカスタム・レンダリングを行うことができます。

このセクションの内容は次のとおりです。

Application Expressエンジンがページをレンダリングおよび処理する方法

Application Expressエンジンは、Oracleデータベース表に格納されたデータに基づいて、ページを動的にレンダリングおよび処理します。 レンダリングされたアプリケーションを表示するには、Application Expressエンジンにそのアプリケーションをリクエストします。 アプリケーションを実行すると、Application Expressエンジンによって次の2つのプロセスが使用されます。

  • ページ表示は、ページ・レンダリング・プロセスです。このプロセスによって、すべてのページ属性(リージョン、アイテム、ボタンなど)が表示可能なHTMLページに編成されます。

  • ページ受入れでは、ページの処理が行われます。このプロセスによって、すべての計算、検証、プロセスおよびブランチが実行されます。

URLを使用してページをリクエストしているときは、エンジンがページ表示を実行しています。 ページを送信すると、Application Expressエンジンは、ページ受入れ、または送信した値がセッション・キャッシュに保存され、任意の計算、検証またはプロセスが実行されるページ・プロセスを実行します。

条件付きのレンダリングおよびプロセスの理解

条件とは、リージョン、アイテム、ボタンおよびタブの表示と、プロセス、計算および検証の実行を制御するために役立つ論理単位です。 たとえば、ボタンに条件を適用すると、レンダリング・エンジンによって、レンダリング(ページ表示)プロセス中にその条件が評価されます。条件に合格するかどうかによって、そのページ・コントロール(この場合はボタン)が表示されるかどうかが決まります。

条件は、条件タイプを選択して指定します。 条件タイプは、コントロールまたはコンポーネントをはじめて作成する際、あるいはコントロールまたはコンポーネントを作成し、条件タイプ属性から選択を行うことによって選択できます。 選択した条件タイプに応じて、「式」フィールドに適切な値を入力します。条件は、「式」フィールドに入力した値に基づいて、trueまたはfalseに評価されます。


注意:

「式」フィールドを使用するかどうかは、選択した条件タイプによって決まります。 いずれのフィールドの値も必要としない条件タイプ、「式1」の値のみが必要な条件タイプ、両方のフィールドの値が必要な条件タイプなどがあります。これらのフィールドは「式1」および「式2」とラベル付けされていますが、指定した条件タイプの値がという用語の公式の定義に準拠していない場合があります。これらの値は、選択した条件タイプに適したテキスト値です。

condition.gifの説明が続きます。
condition.gifの説明

任意のコンポーネントまたはコントロールに使用可能なすべての条件のリストを表示するには、「条件タイプ」リストの右側にある矢印をクリックします。リストのすぐ下に、一般的な選択項目へのショートカットが表示されます。条件に式が必要な場合は、該当するフィールドにその式を入力します。

次のセクションでは、一般的に使用されるいくつかの条件タイプについて説明します。


参照:

使用可能な条件タイプの詳細なリストは、付録A「使用可能な条件」を参照してください。

カレント・ページ=式1

「カレント・ページ=式1」は、カレント・ページ番号が、「式1」内のカンマで区切られたページ・リストに含まれている場合にtrueと評価されます。次に例を示します。

3,100,203

カレント・ページが100である場合、この条件はtrueに評価され、条件に合格します。

存在する(SQL問合せが1行以上を戻す)

存在する(SQL問合せが1行以上を戻す)」は、SQL問合せとして表現されます。問合せで1行以上が戻される場合、この条件はtrueと評価されます。次に例を示します。

SELECT 1 FROM employees WHERE department_id = :P101_DEPTNO

この例では、アイテムP101_DEPTNOがバインド変数として参照されます。アプリケーション・プロセスおよびSQL問合せリージョン内でバインド変数を使用すると、アイテムのセッション・ステートを参照できます。 P101_DEPTNOの値に指定した部門に1人以上の従業員が存在する場合、この条件はtrueと評価されます。

PL/SQL式

PL/SQL式」を使用して、trueまたはfalseを評価する式を有効なPL/SQL構文で指定します。次に例を示します。

NVL(:MY_ITEM,'NO') = 'YES'

:MY_ITEMの値がYESの場合、この条件はtrueと評価されます。それ以外の場合は、falseと評価されます。

ユーザーの本人確認

認証は、ユーザーがアプリケーションにアクセスする前に、そのユーザーの本人確認を行うプロセスです。 認証では、ユーザーがユーザー名とパスワードを入力するか、またはデジタル証明書や保護キーを使用する場合があります。

Oracle Application Expressは、モジュール認証をサポートしているため、必要に応じて認証メソッドを簡単に切り替えられます。ユーザーの本人確認は、複数の組込み認証メソッドから選択するか、またはウィザードを使用して独自のカスタム認証方法を作成して実行できます。


参照:

詳細は、「認証を介したユーザーの本人確認」を参照してください。

コントロールおよびコンポーネントへのアクセスの制御

条件はページ上の特定のコントロールまたはコンポーネントのレンダリングおよび処理を制御しますが、認可スキームはユーザーのアクセスを制御します。認可は、ユーザー権限に基づいてリソースへのアクセスを制御することを示す広義語です。

認可スキームは、アプリケーションの認証スキームのセキュリティを強化します。認可スキームは、アプリケーション全体、各ページ、またはリージョン、アイテム、ボタンなどの特定のページ・コントロールに対して指定できます。 たとえば、認可スキームを使用して、ユーザーに表示するタブ、リージョンまたはナビゲーション・バー・エントリを選択的に決定できます。

セッション・ステートの管理の理解

HTTP(HTMLページの配布に最も一般的に使用されるプロトコル)は、ステートレスなプロトコルです。Webブラウザは、ページ全体をダウンロードするために必要な時間のみサーバーに接続します。また、サーバーでは、各ページ・リクエストは、発生済または将来発生する他のページ・リクエストと関連しない個別のイベントとして処理されます。これは、あるページで入力したフォーム値に後続のページでアクセスするには、なんらかのセッション・ステート管理を使用する必要があることを意味します。通常、ユーザーがあるページのフォームに入力した値には、後続のページからはアクセスできません。 Oracle Application Expressは透過的にセッション・ステートを保持するため、開発者は、アプリケーションの任意のページでセッション・ステートの値を取得および設定できます。

このセクションの内容は次のとおりです。

セッションの概要

セッションは、ページ・ビュー間で永続性(またはステートフルな動作)を確立する論理的な構成体です。 各セッションには、一意の識別子が割り当てられています。 Application Expressエンジンは、この識別子(セッションID)を使用して、各ページ・ビューの前後に、アプリケーションで作業中のデータ・セット(セッション・ステート)を格納および取得します。

個々のセッションは相互に完全に独立しているため、任意の数のセッションがデータベース内に同時に存在できます。 また、セッションは管理者によって消去されるまでデータベース内で存続するため、ユーザーは、以前のセッションに戻ること、および1つのアプリケーションを長期間実行し続けることもできます。また、ユーザーは複数のブラウザ・セッションで、アプリケーションの複数のインスタンスを同時に実行できます。

セッションは、ページ・リクエストの処理に使用されるOracleデータベース・セッションとは論理的にも物理的にも異なります。 ユーザーはアプリケーションを、1つのOracle Application Expressセッションで、ログインからログアウトまで実行します。この期間は、通常分単位か時間単位です。 このセッション中にページがリクエストされるたびに、Application ExpressエンジンはOracleデータベース・セッションを作成または再利用してデータベース・リソースにアクセスします。多くの場合、これらのOracleデータベース・セッションは、数分の1秒のみ存続します。

セッションIDの理解

Application Expressエンジンは、データベースからセッション・ステートをフェッチするために、各ページ・リクエストのユーザーの識別情報(匿名性)、およびセッションIDを確認します。セッションIDは、ページ・リクエストのURL内に明示的に示されています。 セッションIDの表示は、URL内の3つ目のパラメータです。次に例を示します。

http://apex.oracle.com/pls/apex/f?p=4350:1:220883407765693447

この例では、セッションIDは220883407765693447です。

また、ページのHTML POSTデータにも明示的に示され、セッションのCookieのコンテンツ内にも間接的に示されています。 このCookieは、認証中にApplication Expressエンジンによって送信され、アプリケーション(またはブラウザ)・セッションが終了するまで保持されます。

Oracle Application Expressは、認証プロセス中に新しいセッションIDを割り当て、認証されたユーザーの識別情報をセッションIDとともに記録し、続けて各ページ・リクエストのURLまたはPOSTデータをセッションのCookieおよびデータベースのセッション・レコードと照合して確認します。この確認によって、柔軟性とセキュリティが向上します。

セッションIDがセッション・ステート用のキーであるのに対し、セッションのCookie(使用される場合)およびセッション・レコードは、セッションIDとユーザーの認証ステータスの整合性を保証します。

セッション・ステートの表示

Oracle Application Expressアプリケーションの動作は、通常、セッション・ステートの値によって決まります。たとえば、ボタンは、アイテムのセッション・ステートの値に基づいて、条件付きで表示できます。ページのセッション・ステートを表示するには、「開発者」ツールバーの「セッション」をクリックします。

d_toolbar.gifの説明が続きます。
d_toolbar.gifの説明


参照:

「開発者」ツールバーの詳細は、「「開発者」ツールバー」を参照してください。

「セッション・ステート」ページ

「セッション・ステート」ページには、アプリケーションが現在実行されているセッションに関する重要な情報が含まれています。 特定のページを検索するには、「ページ」フィールドにページ番号を入力し、「実行」をクリックします。 表3-1に、「セッション・ステート」ページで参照可能な様々なタイプの情報を示します。

表3-1 「セッション・ステート」ページで参照可能な情報

ヘッダー 説明

アプリケーション

アプリケーション名、セッションID、カレント・ユーザー、作業領域IDおよびブラウザの言語が表示されます。

ページ・アイテム

アプリケーション番号およびページ番号、アイテム名、アイテムの表示方法(非表示、ポップアップ、ボタン、表示専用HTML)、セッション・ステートのアイテム値、ステータスなどのページ・アイテムの属性が表示されます。

「ステータス」列には、セッション・ステートのステータスが示されます。表示される値を次に示します。

  • I: 挿入

  • U: 更新

  • R: リセット

アプリケーション・アイテム

アプリケーション・アイテムは、ページに存在しないアイテムです。アプリケーション・アイテムは、関連付けられたユーザー・インタフェース・プロパティを持たないセッション・ステート変数です。

参照: アイテム値を参照する方法については、「アプリケーション・レベル・アイテムの理解」および「置換文字列の理解」を参照してください。

セッション・ステート

カレント・セッションのセッション・ステートのサマリーが表示されます。 適用可能なアプリケーションID、ページ番号、アイテム名、表示タイプ、アイテム値および表示ラベルが表示されます。


セッション・ステート値の管理

インタラクティブな、データに応じて動作するWebアプリケーションを構築するには、セッション・ステート値にアクセスして管理する機能が重要です。 Oracle Application Expressでは、セッション・ステートはページごとに自動的に管理され、静的HTML、またはプロセスや検証などのロジック・コントロールによって簡単に参照できます。

このセクションの内容は次のとおりです。

セッション・ステートの参照

アイテムの値の参照は、セッション・ステートの参照の最も一般的な例です。 アイテムには、フィールド、テキスト領域、パスワード、選択リスト、チェック・ボックスなどがあります。 表3-2に、アイテム値を参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-2 アイテム値を参照するための構文

タイプ 構文 説明

SQL

:MY_ITEM

名前が30文字以下のアイテム用の標準のバインド変数構文。この構文は、SQL問合せおよびPL/SQL内の参照用に使用します。

PL/SQL

V('MY_ITEM')

Vファンクションを使用してアイテム値を参照するPL/SQL構文。

参照: 「Oracle Application Express API」

PL/SQL

NV('MY_NUMERIC_ITEM')

NVファンクションを使用して数値アイテム値を参照する標準のPL/SQL構文。

参照: 「Oracle Application Express API」

静的テキスト(完全置換)

&MY_ITEM.

静的テキスト。完全置換です。


セッション・ステートの設定

ページがユーザーによって送信されると、Application Expressエンジンは、フィールド(アイテム)に入力された値をセッション・ステートに自動的に格納します。たとえば、2つのページを持つアプリケーションが存在すると想定します。このアプリケーションの最初のページには、ユーザーが電話番号を入力できるフォームが含まれています。 このフォームは、P2_PhoneNoという名前のアイテムを作成して定義しています。2つ目のページには、ユーザーがフォームに入力する情報を表示する必要があります。

このページが送信されると、Oracle Application Expressによって、電話番号フィールドに入力された値が取得され、その値が今後の使用のために格納されます。ユーザーが入力した電話番号は、そのページのフィールドに関連付けられたアイテムを参照することで、セッション・ステートから取得できます。

セッション・ステートの消去

アプリケーションの開発時に、特定のアイテム、ページ上のすべてのアイテム、アプリケーション内のすべてのページ、またはカレント・ユーザー・セッション用にキャッシュされた値を消去する必要がある場合があります。キャッシュされた値を消去すると、その値がNULLにリセットされます。次のトピックでは、セッション・ステートを消去する具体的な例について説明します。

このセクションの内容は次のとおりです。

アイテムごとのキャッシュの消去

1つのアイテムのキャッシュを消去すると、そのアイテムの値がNULLにリセットされます。たとえば、ページがレンダリング用に準備されるときに特定のアイテムの値を確実にNULLにしておく必要がある場合に、この方法を使用します。

次の例では、標準f?p構文を使用してアイテムのキャッシュを消去します。 この例では、アプリケーション100のページ5がコールされます。f?p構文のClearCache位置にMY_ITEMを指定すると、MY_ITEMの値がNULLにリセットされます。

f?p=100:5:&APP_SESSION.::NO:MY_ITEM

次の例では、アイテムTHE_EMPNOおよびTHE_DEPTNOの値がリセットされます。

f?p=100:5:&APP_SESSION.::NO:THE_EMPNO,THE_DEPTNO

ページごとのキャッシュの消去

アプリケーション・アイテムをキャッシュすると、セッション・ステートを効率的に保持できます。ただし、ページ上のすべてのアイテムのキャッシュを消去する必要がある場合もあります。 たとえば、ユーザーが新しい注文を作成するリンクをクリックすると、ページ上のすべてのフィールドが消去されるようにする必要があると想定します。ページ全体のキャッシュを消去することで、ページ上のすべてのアイテムの値をNULLに設定できます。

2つのページのセッション・キャッシュの消去およびページ区切りのリセット

この例では、2つのページのセッション・キャッシュが消去され、ページ区切りがリセットされます。

f?p=6000:6003:&APP_SESSION.::NO:RP,6004,6014

この例では、次の処理が行われます。

  • アプリケーション6000のページ6003が実行され、現行のセッションIDが使用されます。

  • デバッグ情報を表示しないように指示されます(NO)。

  • カレント・セッションのキャッシュに保持されたページ6004および6014のアイテムのすべての値が消去されます。

  • ページ6003(リクエストされたページ)のリージョンのページ区切り(RP)がリセットされます。

ページのセッション・キャッシュの消去およびアイテム値の引渡し

この例では、更新フォームの実装方法を示します。既存の情報を消去し、アイテムの値(通常、主キー)を設定します。

f?p=6000:6003:&APP_SESSION.::NO:6003:MY_ITEM:1234

この例では、次の処理が行われます。

  • アプリケーション6000のページ6003が実行され、現行のセッションIDが使用されます。

  • デバッグ情報を表示しないように指示されます(NO)。

  • カレント・セッションのキャッシュに保持されたページ6003のアイテムのすべての値が消去されます。

  • MY_ITEMというアイテムのセッション・ステートの値を1234に設定します。

ページのセッション・キャッシュの消去および複数のアイテムに対する値の引渡し

この例は、値が複数のアイテムに渡されること以外は、前述の例に類似しています。

f?p=6000:6004:&APP_SESSION.::NO:6003:MY_ITEM1,MY_ITEM2,MY_ITEM3:1234,,5678

この例では、次の処理が行われます。

  • アプリケーション6000のページ6004が実行され、現行のセッションIDが使用されます。

  • ページ6003のアイテムのカレント・セッションのキャッシュが消去されます。

  • デバッグ情報を表示しないように指示されます(NO)。

  • MY_ITEM1の値が1234、MY_ITEM2の値がNULL(プレースホルダとして使用されたカンマによって示される)およびMY_ITEM3の値が5678に設定されます。

アプリケーション全体のキャッシュの消去

f?p構文で、キーワードAPPを使用してClear Cache引数を作成することによって、アプリケーション・キャッシュを消去することができます。次に例を示します。

f?p=App:Page:Session::NO:APP


注意:

アプリケーション全体のキャッシュをリセットしても、アプリケーションは完全なリセット状態にはリストアされません。 たとえば、アプリケーションに新しいインスタンス開始時の計算やプロセスが含まれている場合、Application Expressエンジンは、該当するアプリケーション・セッションが作成されたときに、これらの計算やプロセスを実行します。 その後、キャッシュ消去リクエストを処理し、リクエストされたページを表示します。

(セッションIDの追跡にCookieが使用されていない場合に)セッションIDを指定せずにアプリケーションを完全にリセットするには、セッションIDを指定せずにURLを使用するか、または別のアプリケーションからAPEX_APPLICATION.CLEAR_APP_CACHEをコールして、そのアプリケーションをリクエストする必要があります。セッションIDがCookieを使用して追跡される場合、そのステートをリセットするためにログアウトする必要があります。


カレント・ユーザー・セッションのキャッシュの消去

アプリケーション・キャッシュを消去するもう1つの方法として、キーワードSESSIONを使用してClear Cache引数を作成する方法もあります。次に例を示します。

f?p=6000:6004:12507785108488427528::NO:SESSION

バインド変数構文

SQLまたはPL/SQLが使用されているApplication Expressの任意の場所にバインド変数構文を使用して、指定したアイテムのセッション・ステートを参照することができます。次に例を示します。

SELECT * FROM employees WHERE last_name like '%' || :SEARCH_STRING || '%'

この例では、検索文字列がページ・アイテムです。リージョン・タイプがSQL問合せとして定義されている場合、標準SQLバインド変数構文を使用して値を参照できます。バインド変数を使用すると、解析済のSQL問合せがデータベースによって再利用されるため、サーバーによるメモリーの使用が最適化されます。

バインド変数構文を使用する場合は、次の規則に注意してください。

  • バインド変数名は、アイテム名に対応している必要があります。

  • バインド変数名は、大/小文字が区別されません。

  • バインド変数名は、30文字以下である必要があります(有効なOracle識別子である必要があります)。

    ページ・アイテム名とアプリケーション・アイテム名は255文字以下に設定できますが、アプリケーション・アイテムをバインド変数構文を使用したSQL内で使用する場合、そのアイテム名は30文字以下で指定する必要があります。

SQL問合せまたはLOVに基づいたリージョンでのバインド変数の使用

リージョン・タイプがSQL問合せ、SQL問合せ(SQL問合せを戻すPL/SQLファンクション本体)、またはLOVとして定義されている場合は、次の構文を使用してセッション・ステートを参照できます。

:MY_ITEM

これを行うための一般的な方法の1つは、セッション・ステート変数をWHERE句に組み込むことです。 次の例では、アイテムTHE_DEPTNOの値を、SQL問合せから定義されるリージョンにバインドする方法を示します。

SELECT last_name, job_id, salary
FROM employees
WHERE department_id = :THE_DEPTNO


参照:

リージョンを作成する方法については、「リージョンの理解」を参照してください。

PL/SQLプロシージャでのバインド変数の使用

PL/SQLプロシージャとして定義されたタイプのリージョンは、PL/SQL無名ブロック構文を使用して構築できます。 つまり、PL/SQLを囲むために開始および終了のキーワードを使用します。次に例を示します。

IF :P1_JOB IS NOT NULL THEN
  INSERT INTO employees (employee_id, first_name, job_id)
  VALUES (:P1_EMP_ID, :P1_NAME, :P1_JOB)
end if;

この例では、employee_idfirst_nameおよびjob_idの値に、P1_EMP_IDP1_NAMEおよびP1_JOBの値が移入されます。

URL構文の理解

各ページに対して表示されるURLには、Oracle Application Expressの位置、Oracle Application Expressのアドレス、アプリケーションID、ページ番号およびセッションIDが示されます。

アプリケーションIDは、各アプリケーションを識別する一意の番号です。 同様に、ページ番号は、各ページを一意に識別します。アプリケーションとページは、英数字の別名を持つ場合もあります。 アプリケーションの別名は作業領域内で一意で、ページの別名は各アプリケーション内で一意です。 アプリケーションを実行すると、Application Expressエンジンによってセッション番号が生成されます。この番号は、ユーザーのセッション・ステートに対するキーとして機能します。

このセクションの内容は次のとおりです。

ページ用に表示されるURLの理解

各ページに対して表示されるURLには、Oracle Application Expressの位置、Oracle Application Expressのアドレス、アプリケーションID、ページ番号およびセッションIDが示されます。次に例を示します。

http://apex.oracle.com/pls/apex/f?p=4350:1:220883407765693447

この例では、次の項目が示されています。

  • apex.oracle.comは、サーバーのURLです。

  • plsは、mod_plsqlカートリッジを使用するためのインジケータです。

  • apexは、データベース・アクセス記述子(DAD)の名前です。 DADには、HTTP ServerがHTTPリクエストに応じるためのデータベース・サーバーへの接続方法が記述されています。デフォルト値は、apexです。

  • f?p=は、Oracle Application Expressによって使用される接頭辞です。

  • 4350は、コールされるアプリケーションです。

  • 1は、表示されるアプリケーション内のページです。

  • 220883407765693447は、セッション番号です。

f?p構文を使用したページのリンク

アプリケーションのページ間にリンクを作成するには、次の構文を使用します。

f?p=App:Page:Session:Request:Debug:ClearCache:itemNames:itemValues:PrinterFriendly

表3-3に、f?p構文の使用時に指定できる引数を示します。

表3-3 f?p構文の引数

構文 説明

App

アプリケーションIDまたは英数字の別名を指定します。

Page

ページ番号または英数字の別名を指定します。

Session

セッションIDを指定します。セッションIDを参照して、セッション番号を渡すことで同じセッション・ステートを保持している他のページへのハイパーテキスト・リンクを作成できます。セッションIDを参照するには、次の構文を使用します。

  • 短縮置換文字列: &SESSION

  • PL/SQL: V('SESSION')

  • バインド変数: :APP_SESSION

Request

REQUESTの値を設定します。REQUESTの値は、各アプリケーション・ボタンによって、そのボタンの名前に設定されます。これによって、ユーザーがボタンをクリックしたときに、受入れプロセスでそのボタンの名前が参照されるようになります。REQUESTを参照するには、次の構文を使用します。

  • 置換文字列: &REQUEST

  • PL/SQL: V('REQUEST')

  • バインド変数: :REQUEST

Debug

アプリーション処理の詳細を表示します。DEBUGフラグの有効値はYESまたはNOです。このフラグをYESに設定すると、アプリケーション・プロセスの詳細を表示できます。DEBUGフラグを参照するには、次の構文を使用します。

  • 短縮置換文字列: &DEBUG

  • PL/SQL: V('DEBUG')

  • バインド変数: :DEBUG

参照: 「アプリケーションのデバッグ」

ClearCache

キャッシュを消去します。 これによって、アイテムの値がNULLに設定されます。

単一ページでキャッシュされたアイテムを消去するには、数値ページ番号を指定します。 複数のページでキャッシュされたアイテムを消去するには、カンマで区切られたページ番号のリストを使用します。 ページのキャッシュを消去すると、ページのステートフル・プロセスもリセットされます。 個々の値またはカンマで区切られた値には、リセットするコレクション名またはキーワードRPを含めることもできます。キーワードRPは、リクエストされたページ上のリージョンのページ区切りをリセットします。 キーワードAPPを使用すると、カレント・アプリケーション内のすべてのページおよびすべてのアプリケーション・レベル・アイテムのキャッシュが消去され、カレント・ユーザーのソート・プリファレンスが削除されます。 キーワードSESSIONを使用してもキーワードAPPと同じ結果を得ることができます。ただし、カレント・セッション内で使用されているすべてのアプリケーションに関連付けられているアイテムが消去されます。

参照: 「セッション・ステートの消去」

itemNames

URLでセッション・ステートを設定するために使用される、カンマで区切られたアイテム名のリストです。

itemValues

URLでセッション・ステートを設定するために使用されるアイテム値のリストです。アイテム値にコロンを含めることはできませんが、カンマをバックスラッシュで囲んで指定することは可能です。アイテム値にカンマを渡すには、文字をバックスラッシュで囲んでください。次に例を示します。

\123,45\

PrinterFriendly

ページを「印刷用」モードでレンダリングするかどうかを決定します。PrinterFriendlyが「はい」に設定されている場合は、ページが「印刷用」モードでレンダリングされます。PrinterFriendlyの値は、リージョンなどの要素をページから削除して印刷される出力を最適化するための条件のレンダリングに使用されます。印刷用プリファレンスを参照するには、次の構文を使用します。

V('PRINTER_FRIENDLY')

参照時は、Application Expressエンジンはタブやナビゲーション・バーを表示しません。すべてのアイテムは、フォーム要素ではなくテキストで表示されます。


f?p構文の動作を理解することは重要ですが、この構文をユーザー自身が構築する必要がある場合はほとんどありません。 アプリケーション・ビルダーには、これらの参照を自動的に作成する多くのウィザードが含まれています。次のセクションでは、f?p構文を使用してページをリンクする特定のインスタンスについて説明します。

アプリケーションおよびページの別名を使用したページのコール

アプリケーションおよびページの別名は、有効なOracle識別子で構成する必要があります。空白を含めることはできず、また大/小文字は区別されません。 次の例では、アプリケーション内から、アプリケーションおよびページの別名を使用してページをコールします。アプリケーションmyappのページhomeが実行され、現行のセッションIDが使用されます。

f?p=myapp:home:&APP_SESSION.

アプリケーションの別名は、作業領域内で一意である必要があります。 異なる作業領域にあるアプリケーションのアプリケーション別名が同じ場合は、&c引数を使用して作業領域名を指定します。次に例を示します。

f?p=common_alias:home:&APP_SESSION.&c=WORKSPACE_A

ボタンのURLからのページのコール

ボタンの作成時に、ユーザーがそのボタンをクリックするとリダイレクトされるURLを指定できます。この例では、アプリケーション6000のページ6001が実行され、現行のセッションIDが使用されます。

f?p=6000:6001:&APP_SESSION.

これは、ボタンを使用するための唯一の方法です。この方法は、ページの送信をバイパスし、そのページ上のハイパーリンクとして機能します。他にも、まずページを送信する方法があります。その方法では、ボタンをクリックすると、処理するページが送信され、フォームが送信された後、セッション・ステートが保存されます。

置換文字列の理解

ページ・テンプレート内またはリージョン・ソース内で置換文字列を使用すると、文字列を別の値に置換できます。 アプリケーションの設計時にユーザーがアイテムを編集できるようにする場合は、置換文字列を使用して情報を渡します。

このセクションの内容は次のとおりです。

置換文字列の使用

アプリケーション・ビルダーでは、次のように置換文字列を使用できます。

  • 置換文字列をテンプレートに含めてコンポーネント値を参照します。

  • &ITEM.構文を使用して、ページまたはアプリケーション・アイテムを参照します。

  • 組込み置換文字列を使用して、特定のタイプの機能を実現します。

テンプレート内で使用可能な特殊置換文字列は、シャープ記号(#)で表されます。次に例を示します。

#ABC#

置換変数を使用してページまたはアプリケーション・アイテムを参照するには、次のステップを実行します。

  1. アイテム名の先頭にアンパサンド(&)を追加します。

  2. アイテム名の末尾にピリオド(.)を追加します。

たとえば、HTMLリージョン、リージョン・タイトル、アイテム・ラベル、または静的テキストが使用される他の多くのコンテキストでF101_Xという名前のアプリケーション・アイテムを参照する場合は、次のように入力します。

&F101_X.

最後のピリオドが必要であることに注意してください。 ページのレンダリング時に、Application Expressエンジンによって置換文字列の値がアイテムF101_Xの値に置換されます。

指定したテンプレート内の置換文字列の使用方法の確認

テンプレート定義を表示して、各テンプレートでサポートされているテンプレート固有の置換文字列を確認できます。詳細は、「テンプレートの編集」を参照してください。

組込み置換文字列

アプリケーション・ビルダーでは、多くの組込み置換文字列がサポートされています。これらの値を参照して特定のタイプの機能を実行できます。

次のセクションでは、これらの置換文字列の詳細、使用するタイミングおよび現在使用可能な構文について説明します。 バインド変数:USERは、データベース内で特殊な意味を持つことに注意してください。 また、ダイレクトPL/SQLという用語は、プロシージャ、ファンクションなどのストアド・データベース・オブジェクトで使用できるPL/SQLを示します。

このセクションの内容は次のとおりです。


参照:


APP_ALIAS

APP_ALIASは、カレント・アプリケーションの英数字の名前です。 APP_ALIASは、APP_IDが1つのデータベースでホスティングされているすべての作業領域およびすべてのアプリケーションで一意である必要があるという点で、APP_IDと異なります。 APP_ALIASは、作業領域内で一意である必要があります。 たとえば、1つのAPP_ALIASを使用して2つの異なる作業領域にABCというアプリケーションを作成することができます。 APP_ALIASは、APP_IDを使用できる場所であればほぼすべての場合に使用できます。 たとえば、次の例に示すように、f?p構文にAPP_ALIASまたはアプリケーションIDを使用できます。

f?p=ABC:1:&APP_SESSION.

この例では、アプリケーションABCのページ1が、カレント・セッションを使用して実行されます。

表3-4に、APP_ALIASを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-4 APP_ALIAS構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_ALIAS

PL/SQL

V('APP_ALIAS')

置換文字列

&APP_ALIAS.


次に、HTMLの例を示します。

Click me to go to page 1 <a href="f?p=&APP_ALIAS.:1:&APP_SESSION."> of the current application</a>

APP_ID

APP_IDは、現在実行されているアプリケーションのアプリケーションIDを示します。 表3-5に、APP_IDを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-5 APP_ID構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_ID

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_FLOW_ID (A NUMBER)

PL/SQL

NV('APP_ID')

置換文字列

&APP_ID.


次に、置換文字列の参照の例を示します。

f?p=&APP_ID.:40:&APP_SESSION.

APP_IMAGES

この置換文字列を使用して、特定のアプリケーションに固有で、複数のアプリケーションでは共有されていないアップロードされたイメージ、JavaScriptおよびカスケード・スタイルシートを参照します。ファイルをアップロードして、そのファイルをアプリケーション固有に設定した場合、この置換文字列またはバインド変数を使用する必要があります。 表3-6に、APP_IMAGESを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-6 APP_IMAGES構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_IMAGES

ダイレクトPL/SQL

使用不可

PL/SQL

V('APP_IMAGES')

置換文字列

&APP_IMAGES.

テンプレート置換

#APP_IMAGES#


APP_PAGE_ID

APP_PAGE_IDはカレント・アプリケーションIDです。たとえば、アプリケーションが3ページ目に存在した場合、結果は3になります。この構文の使用は、複数のアプリケーションで汎用的に動作する必要があるアプリケーション・コンポーネントを記述する場合に有効です。 表3-7に、APP_PAGE_IDを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-7 APP_PAGE_ID構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_PAGE_ID

PL/SQL

:APP_PAGE_ID

PL/SQLおよびダイレクトPL/SQL

NV('APP_PAGE_ID')

置換文字列

&APP_PAGE_ID.


次に、置換文字列の参照の例を示します。

f?p=&APP_ID.:&APP_PAGE_ID.:&APP_SESSION.

APP_SESSION

APP_SESSIONは、最も一般的に使用される組込み置換文字列の1つです。この置換文字列を使用すると、セッション番号を渡すことで同じセッション・ステートを保持しているアプリケーション・ページ間にハイパーテキスト・リンクを作成できます。 APP_SESSIONのかわりに置換文字列SESSIONを使用することもできます。 表3-8に、APP_SESSIONを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-8 APP_SESSION構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_SESSION

PL/SQL

V('APP_SESSION')

短縮PL/SQL

V('SESSION')

置換文字列

&APP_SESSION.


次に例を示します。

  • HTMLリージョン内からの参照:

    <a href="f?p=100:5:&APP_SESSION.">click me</a>
    
    
  • PL/SQLを使用した参照:

    htf.anchor('f?p=100:5:'||V('APP_SESSION'),'click me');
    
    
  • SQL問合せを使用した参照:

    SELECT htf.anchor('f?p=100:5:'||:APP_SESSION,'clickme') FROM DUAL;
    
    

APP_UNIQUE_PAGE_ID

APP_UNIQUE_PAGE_IDは、各ページ・ビューに固有なOracle順序から生成される整数です。この数値は、アプリケーションで重複したページの送信を防止するために使用され、その他の用途にも使用できます。たとえば、ブラウザのキャッシュの問題を防止するために一意のURLを作成する場合、この数値を、fプロシージャへのコール内のリクエスト列またはデバッグ列に埋め込むことができます。 表3-9に、APP_UNIQUE_PAGE_IDを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-9 APP_UNIQUE_PAGE_ID構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_UNIQUE_PAGE_ID

PL/SQL

V('APP_UNIQUE_PAGE_ID')

置換文字列

&APP_UNIQUE_PAGE_ID.


次に、HTMLの例を示します。

SELECT 'f?p=100:1:'||:APP_SESSION||':'||:APP_UNIQUE_PAGE_ID||
    ':::P1_EMPNO:'||employee_id,
   first_name,
    job_id
FROM employees

リクエスト列にAPP_UNIQUE_PAGE_IDが使用されていることに注意してください。これによって、このURLが一意になり、ブラウザによる過度のキャッシュの問題を回避できます。

APP_USER

APP_USERは、アプリケーションを実行しているカレント・ユーザーです。認証モデルに応じて、ユーザーの値の設定も異なります。アプリケーションがデータベース認証を使用して実行されている場合、ユーザーの値はデータベースの擬似列USERと同じになります。 アプリケーションが、ユーザー認証を必要とする認証スキームを使用する場合、APP_USERの値はその認証スキームによって設定され、通常は、認証時に使用されるユーザー名に設定されます。 表3-10に、APP_USERを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-10 APP_USER構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:APP_USER

PL/SQL

V('APP_USER')

置換文字列

&APP_USER.


次に例を示します。

  • HTMLリージョン内からの参照:

    Hello you are logged in as &APP_USER.
    
    
  • PL/SQLを使用した参照:

    htp.p('Hello you are logged in as'||V('APP_USER'));
    
    
  • バインド変数としての参照:

    SELECT * FROM some_table WHERE user_id = :APP_USER
    
    

    参照:

    パブリック・ユーザー属性については、「認証」を参照してください。

AUTHENTICATED_URL_PREFIX

このアプリケーション・レベルの属性は、有効な認証済接頭辞(ログインしているURLの接頭辞)を示します。相対パスまたはhttpで始まるフルパスを使用できます。このアイテムは、アプリケーションが認証済(ログイン済)モードとパブリック(未ログイン)・モードの両方で実行可能な場合に有効です。 AUTHENTICATED_URL_PREFIXを使用すると、認証済のページへのリンクを作成できます。このアイテムは、Basicデータベース認証の使用時に最も有効です。これは、URLの変更に認証が必要になる場合があるためです。 表3-11に、AUTHENTICATED_URL_PREFIXを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-11 AUTHENTICATED_URL_PREFIX構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:AUTHENTICATED_URL_PREFIX

PL/SQL

V('AUTHENTICATED_URL_PREFIX')

置換文字列

&AUTHENTICATED_URL_PREFIX.


BROWSER_LANGUAGE

BROWSER_LANGUAGEは、Webブラウザの現行の言語プリファレンスを参照します。 表3-12に、BROWSER_LANGUAGEを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-12 BROWSER_LANGUAGE構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:BROWSER_LANGUAGE

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_BROWSER_LANGUAGE

PL/SQL

V('BROWSER_LANGUAGE')

置換文字列

:BROWSER_LANGUAGE.

置換文字列

&BROWSER_LANGUAGE.


CURRENT_PARENT_TAB_TEXT

CURRENT_PARENT_TAB_TEXTは、ページ・テンプレートで最も有効です。ただし、この文字列は、2つのレベルのタブ(親タブと標準タブ)が使用されるアプリケーションでのみ使用できます。この文字列は、親タブ・ラベルの参照に使用します。この置換文字列を使用すると、現在選択されている親タブを、ページ・テンプレート内で繰り返すことができます。 表3-13に、CURRENT_PARENT_TAB_TEXTを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-13 CURRENT_PARENT_TAB_TEXT構文

参照タイプ 構文

バインド変数

使用不可

置換文字列

&CURRENT_PARENT_TAB_TEXT.


DEBUG

DEBUGフラグの有効値はYesまたはNoです。デバッグを有効にすると、アプリケーション・プロセスの詳細が表示されます。カスタム・コードを記述する場合、デバッグ・モードがYesに設定されている場合にのみデバッグ情報を生成できます。 表3-14に、DEBUGを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-14 DEBUG構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:DEBUG

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_DEBUG

PL/SQL

V('DEBUG')

置換文字列

&DEBUG.


次に、DEBUGの現行の値を保持する置換文字列の参照の例を示します。

f?p=100:1:&APP_SESSION.::&DEBUG

HOME_LINK

HOME_LINKは、アプリケーションのホームページです。 Application Expressエンジンは、ページが指定されていない場合および認証スキームのロジックによって代替ページが指定されていない場合に、ここへリダイレクトします。ホーム・リンクは「アプリケーション属性」ページに定義します。

表3-15に、HOME_LINKを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-15 HOME_LINK構文

参照タイプ 構文

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_HOME_LINK

PL/SQL

V('HOME_LINK')

テンプレート参照

#HOME_LINK#

置換文字列

&HOME_LINK.



参照:

ホーム・リンク属性については、「認証」を参照してください。

LOGIN_URL

現在ログインしていないユーザー用のログイン・ページへのリンクを表示するには、LOGIN_URLを使用します。表3-16に、LOGIN_URLを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-16 LOGIN_URL構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:LOGIN_URL

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_LOGIN_URL

PL/SQL

V('LOGIN_URL')

置換文字列

&LOGIN_URL.

テンプレート置換

#LOGIN_URL#


IMAGE_PREFIX

IMAGE_PREFIXの値によって、Oracle Application Expressによって分散されたイメージ・ディレクトリを指すためにWebサーバーが使用する仮想パスが決まります。 アップロードされたイメージを参照する場合、WORKSPACE_IMAGESおよびAPP_IMAGESを使用します。 表3-17に、IMAGE_PREFIXを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-17 IMAGE_PREFIX構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:IMAGE_PREFIX

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_IMAGE_PREFIX

PL/SQL

V('IMAGE_PREFIX')

置換文字列

&IMAGE_PREFIX.

テンプレート置換

#IMAGE_PREFIX#


Application Express SCHEMA OWNER

PL/SQLコードからアプリケーションへのコールを生成する場合、Oracle Application Expressスキーマの所有者を参照する必要がある場合があります。次に、ダイレクトPL/SQLの参照用の適切な構文を示します。

APEX_APPLICATION.G_FLOW_SCHEMA_OWNER

また、#FLOW_OWNER#を使用してSQL問合せおよびPL/SQL(リージョンやプロセスなど)でこの値を参照することもできます。

PRINTER_FRIENDLY

PRINTER_FRIENDLYの値によって、Application Expressエンジンが印刷表示モードで実行するかどうかが決定されます。この設定は、印刷されるドキュメントには不適切な要素をページから排除する条件で参照できます。 表3-18に、PRINTER_FRIENDLYを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-18 PRINTER_FRIENDLY構文

参照タイプ 構文

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_PRINTER_FRIENDLY (VARCHAR2 DATATYPE)

PL/SQL

V('PRINTER_FRIENDLY')

置換文字列

&PRINTER_FRIENDLY.


LOGOUT_URL

LOGOUT_URLはアプリケーション・レベルの属性であり、ログアウトURLの指定に使用されます。これは、ユーザーをログアウト・ページに移動させるか、またはオプションで直接ユーザーをログアウトさせるURLです。 ログアウト・ナビゲーション・バー・エントリを作成するには、&LOGOUT_URLの最後にピリオドを追加します(&LOGOUT_URL.)。 ページ・テンプレートをコーディングしている場合は、#LOGOUT_URL#を使用します。 表3-19に、LOGOUT_URLを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-19 LOGOUT_URL構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:LOGOUT_URL

PL/SQL

V('LOGOUT_URL')

置換文字列

&LOGOUT_URL.

テンプレート置換

#LOGOUT_URL#


PROXY_SERVER

PROXY_SERVERは、アプリケーション属性です。この属性は、ソースがURLであるリージョンによって使用される場合があります。 次に、ダイレクトPL/SQL参照用の適切な構文を示します。この参照は、データベースからリモートWebサーバーにアクセスするためのPL/SQLを記述する場合に使用します(たとえば、データベースに付属するutl_httpパッケージを使用する場合)。

APEX_APPLICATION.G_PROXY_SERVER

PUBLIC_URL_PREFIX

PUBLIC_URL_PREFIXは、アプリケーション・レベルの属性であり、ログイン・モードをパブリック表示に切り替えるURLを指定します。 表3-20に、PUBLIC_URL_PREFIXを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-20 PUBLIC_URL_PREFIX構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:PUBLIC_URL_PREFIX

PL/SQL

V('PUBLIC_URL_PREFIX')

置換文字列

&PUBLIC_URL_PREFIX.

テンプレート置換

#PUBLIC_URL_PREFIX#


REQUEST

REQUESTの値は、各アプリケーション・ボタンによって、そのボタンの名前またはそのボタンに関連付けられているリクエスト値属性に設定されます。これによって、ユーザーがボタンをクリックしたときに、受入れプロセスでそのボタンの名前が参照されるようになります。f?p構文では、REQUESTは4つ目の引数を使用して設定できます。

REQUESTの値の参照

REQUESTは、通常、受入れプロセス(ページのポスト時に発生するプロセス)中に参照されます。 表3-21に、REQUESTを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-21 REQUEST構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:REQUEST

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_REQUEST

PL/SQL

V('REQUEST')

置換文字列

&REQUEST

&REQUEST. (構文の完全一致)


ポストされたページのREQUESTの有効範囲および値

ページをポストすると、受入れプロセスが起動されます。受入れプロセスは、計算、検証、プロセスおよびブランチで構成されています。REQUESTの値は、受入れプロセスの各フェーズで使用可能です。 アプリケーションが別のページにブランチされると、REQUESTはNULLに設定されます。

REQUESTの値は、ユーザーがクリックするボタンの名前か、またはユーザーが選択するタブの名前です。たとえば、名前がCHANGE、ラベルが「変更の適用」というボタンがあるとします。ユーザーがこのボタンをクリックすると、REQUESTの値がCHANGEになります。

「対象ボタン」属性

検証、プロセスおよびブランチには、「対象ボタン」属性があります。 この属性は、選択リストとして表示されます。この属性には、カレント・ページに存在するボタンの名前が表示されます。 「対象ボタン」から選択を行う場合は、検証、プロセスまたはブランチにボタンのREQUEST値を関連付けます。

ボタンを使用してページを送信すると、REQUEST値がページに渡されます。 受入れプロセス・ロジックによって、「対象ボタン」属性を使用してコンポーネントを実行(起動)するかどうかを指定する各検証、プロセスおよびブランチが評価されます。 これらのいずれかのコンポーネントが実行された場合でも、ユーザーが関連ボタンを実際にクリックしてページが送信されたとは判断しないでください。 同じリクエスト値を使用する別のボタンによってページが送信された可能性があることに注意してください。 同様に、ページ上のJavaScriptによってもページが送信され、リクエスト値が渡される場合があります。

宣言条件を使用したREQUESTの参照

REQUESTは、通常、条件を使用して参照されます。たとえば、ユーザーがレポート・ページ上の「実行」をクリックしたときにページ区切りをリセットする必要がある場合があります。ページ区切りは、送信時ページ・プロセスを作成してリセットできます。 ページ・プロセスには、条件「リクエスト=式1」を使用して条件を付けることができます。

送信時ページ・プロセスに条件を付けるには、次のステップを実行します。

  1. 「条件」で、条件タイプ「リクエスト=式1」を選択します。

  2. 式1で「実行」を実行します。

表示プロセスでのREQUESTの使用

REQUESTは、f?p構文を使用してページに移動するときの表示プロセスにも使用できます。次に例を示します。

f?p=100:1:&APP_SESSION.:GO

f?p構文の4つ目の引数がREQUESTです。この例では、カレント・セッションのアプリケーション100のページ1に移動し、REQUESTの値がGOに設定されます。すべてのプロセスまたはリージョンでは、表示プロセスを使用してREQUESTの値を参照できます。

次に、PL/SQLを使用した同様の例を示します。

IF V ('REQUEST') = 'GO' THEN
   htp.p('hello');
END IF;

htp.p('hello')は、特定のテキスト文字列を出力するためのPL/SQL Webツールキット・パッケージへのコールであることに注意してください。


参照:

  • PL/SQLを使用したWebアプリケーションの開発については、『Oracle Databaseアプリケーション開発者ガイド-基礎編』を参照してください。

  • htpパッケージについては、『Oracle Database PL/SQLパッケージ・プロシージャおよびタイプ・リファレンス』を参照してください。


SQLERRM

SQLERRMは、アプリケーション・リージョン・エラー・メッセージでのみ使用可能なテンプレート置換です。次に、リージョン・テンプレート置換の参照用の適切な構文を示します。

#SQLERRM#

SYSDATE_YYYYMMDD

SYSDATE_YYYYMMDDは、データベース・サーバーの現在の日付にYYYYMMDD書式マスクを適用して表示します。この値を、SYSDATE()ファンクションを繰り返しコールするかわりに使用できます。 次のリストに、SYSDATE_YYYYMMDDを参照するためにサポートされている構文を示します。

  • バインド変数

    :SYSDATE_YYYYMMDD
    
    
  • PL/SQL

    V('SYSDATE_YYYYMMDD')
    
    
  • ダイレクトPL/SQL

    APEX_APPLICATION.G_SYSDATE (DATE DATATYPE)
    
    

表3-22 SYSDATE_YYYYMMDD構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:SYSDATE_YYYYMMDD

ダイレクトPL/SQL

APEX_APPLICATION.G_SYSDATE (DATE DATATYPE)

PL/SQL

V('SYSDATE_YYYYMMDD')


WORKSPACE_IMAGES

この置換文字列を使用して、作業領域内の複数のアプリケーションで共有されているアップロードされたイメージ、JavaScriptおよびカスケード・スタイルシートを参照します。 表3-23に、WORKSPACE_IMAGESを参照するためにサポートされている構文を示します。

表3-23 WORKSPACE_IMAGES構文

参照タイプ 構文

バインド変数

:WORKSPACE_IMAGES

ダイレクトPL/SQL

使用不可

PL/SQL

V('WORKSPACE_IMAGES')

置換文字列

&WORKSPACE_IMAGES.

テンプレート置換

#WORKSPACE_IMAGES#