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Oracle Fail Safe概要および管理ガイド
リリース3.4.1 for Microsoft Windows
E06262-01
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8 可用性を高めるための汎用サービスの構成

汎用サービスは、Microsoft Cluster Server(MSCS)で提供される汎用サービス・リソースDLLによりサポートされるWindowsサービスです。Oracle Fail Safeでは、可用性を高めるための汎用サービスの構成がサポートされており、次のことが可能です。

この章では、次の項目について説明します。

8.1 概要

Oracle Fail Safeでサポートされている可用性を高めるためのリソースの構成と、可用性を高めるための汎用サービスの構成では、「リソースをグループに追加」ウィザードにより提供される支援レベルが異なります。サポートされているリソースの場合、Oracle Fail Safe Managerの「リソースをグループに追加」ウィザードにより、その特定のリソース用の構成情報が要求されます。汎用リソースの場合、「リソースをグループに追加」ウィザードに構成情報が備わっていないため、詳細な定義データは要求されません。このため、汎用サービスが依存するリソースや、必須のWindowsレジストリ・エントリなどに注意する必要があります。

8.1.1 Oracle Fail Safeを使用する利点

この項では、汎用サービスを構成するに当たり、MSCSではなくOracle Fail Safeを使用した場合の利点を示します。

  • Oracle Fail Safeを使用すると、既存のサービスを可用性が高まるように構成したり、「リソースをグループに追加」操作の一部として汎用サービスを作成し構成できます。一方、MSCSで可能なのは、既存の汎用サービスを可用性が高まるように構成することのみです。

  • Oracle Fail Safeの「リソースをグループに追加」ウィザードには、可用性の高い汎用リソースを構成するために役立つより多くの質問があります。たとえば、このウィザードを使用すると、汎用リソースに必要なディスク、クラスタ全体にレプリケートされる必要のあるWindowsレジストリ・エントリなどを指定できます。MSCSのウィザードには、Oracle Fail Safeのウィザードほど多くの役立つ質問はありません。

  • Oracle Fail Safeにより、「リソースをグループに追加」操作の一部として、(可用性が高まるように構成された全タイプのリソースに行うのと同じように)構成がテストされます。また、ネットワーク、フェイルオーバーおよびフェイルバックがテストされ、リソースがリソースの可能所有者となる全クラスタ・ノードで起動できることが確認されます。

  • クラスタ環境では手動設定が必要になるため、Oracle Fail Safeにより、各クラスタ・ノード上のリソースの起動タイプが手動に設定されます。MSCSで設定されるのは、リソースを所有しているノードの起動タイプのみのため、必ずその他の可能所有者となるクラスタ・ノードで起動タイプを手動に設定する必要があります。

Oracle Fail Safeで、あるサービスのためのウィザードがカスタマイズされていない場合、「リソースをグループに追加」ウィザード内の汎用サービス・リソース・タイプを使用して、可用性が高まるようにサービスを構成します。Oracle Fail Safe Managerのツリー・ビューでクラスタを選択して「リソース」タブをクリックすると、Oracle Fail Safeでウィザードがカスタマイズされているサービスがわかります。ウィザードがカスタマイズされているリソースがこのプロパティ・ページに一覧表示されます。

8.1.2 可用性を高める構成にしない汎用リソース

可用性を高めるために汎用サービスを構成すると、そのサービスは一度に1つのクラスタ・ノード上でしか実行できなくなるので、そうした構成を行う場合は注意してください。クラスタ・ノードで実行する必要があるサービスは、同時に可用性を高める構成にしないでください。たとえば、Windowsイベント ログの場合を考えてみます。Windowsイベント ログは、特定のシステム上のすべてのサービスにより通知メッセージやエラー・メッセージなどが書き込まれるファイルです。これは、サービスから管理者に状況を通知するための手段です。

Windowsイベント ログのサービスの可用性を高めると、サービスはある時点で1つのクラスタ・ノードでしか動作しなくなります。この場合、他のクラスタ・ノード上のサービスにより返されたメッセージは、イベント ログを実行しているクラスタ・ノード上のイベント ログにアクセスできなくなります。したがって、Windowsイベント ログをクラスタ・リソースとして構成することは賢明ではありません。

8.2 スタンドアロン汎用サービスの検出

Oracle Services for MSCSは、Windowsサービス マネージャで検索することによって汎用リソースを検出します。検出プロセスの際、Oracle Fail Safeはクラスタ内の各ノードのWindowsサービス マネージャでサービスを見つけ、Oracle Fail Safe Managerのツリー・ビューに新しく検出したサービスを表示します。

スタンドアロン・リソースおよびクラスタ・リソースのプロパティがOracle Fail Safe ManagerとOracle Enterprise Managerによって正しく検出され、表示されるようにするには、各リソースにクラスタ内で一意の名前を付ける必要があります。デフォルト値とは異なる名前を指定したり、リソースのデフォルト名を変更したりすることが必要な場合もあります。

8.3 汎用サービスのグループへの追加

可用性が高まるように汎用サービスを構成するには、Oracle Fail Safe Managerの「リソースをグループに追加」ウィザードを使用してサービスをグループに追加します。既存の汎用サービスをグループに追加したり、Oracle Fail Safeにより汎用サービスを作成するように指定できます。次の各項では、構成手順と、汎用サービスについて「リソースをグループに追加」ウィザードを完了するために必要なデータについて説明します。

8.3.1 構成手順

表8-1に、可用性が高まるように汎用サービスを構成する際に必要な作業の一覧を示します。特定の作業の手順ごとの指示は、Oracle Fail Safeのオンライン・ヘルプを参照してください。Oracle Fail Safe Managerのメニュー・バーで、「ヘルプ」「キーワードで検索」を選択します。

表8-1 汎用サービスの構成手順

手順 処置 説明

1

汎用サービスの可能所有者となる各クラスタ・ノードのプライベート・ディスク上に、汎用サービス実行可能ファイルがインストールされていることを確認します。

必須ではありませんが、強くお薦めします。通常は、複数のサービス・インスタンスが同じ実行可能ファイルを使用します。実行可能ファイルが共有クラスタ・ディスクにインストールされている場合、その実行可能ファイルを使用するすべてのサービスが、現在そのディスクのホストになっているクラスタ・ノードで稼働する必要があります。

2

汎用サービスに必要なファイルをクラスタ・ディスクへコピーします。

汎用サービスでデータファイルが必要な場合、共有ストレージ・インターコネクト上のクラスタ・ディスクに配置する必要があります。

3

Oracle Fail Safe Managerを起動します。

Windowsの「スタート」メニューから、「Oracle - Oracle_Home「Oracle Fail Safe Manager」を選択します。

4

クラスタを検証します。

「トラブルシューティング」「クラスタの検証」を選択して、クラスタのハードウェアおよびソフトウェア構成を検証するプロシージャを実行します。

5

グループを作成します。

「グループ」「作成」を選択して、グループの作成ウィザードを実行します。このウィザードを使用して、フェイルオーバーおよびフェイルバック・ポリシーを設定します。「リソースをグループに追加」ウィザードが自動的に開くため、ここで仮想アドレスをグループに追加します。Oracle Fail Safeでは、汎用サービスを追加する前に仮想アドレスをグループに追加するように要求されません。ただし、汎用サービスが依存するリソースに対して仮想アドレスが必要になる場合があります。詳細は、8.3.2.5.2項を参照してください。

6

必要な場合、グループに1つ以上の仮想アドレスを追加します。

「リソース」「グループに追加」を選択して、「リソースをグループに追加」ウィザードを実行します。このウィザードは、可用性の高い仮想サーバー・アドレスを作成および構成する際に役立ちます。

7

汎用サービスが依存するリソースを追加します。

「リソース」「グループに追加」を選択して、「リソースをグループに追加」ウィザードを開きます。

8

汎用サービスをグループに追加します。

「リソース」「グループに追加」を選択して、「リソースをグループに追加」ウィザードを開きます。このウィザードは、汎用サービスをグループ内に構成する際に役立ちます。汎用サービスを新規に作成するか、または既存の汎用サービスを指定できます。

9

グループを検証します。

「トラブルシューティング」「グループの検証」を選択して、グループ、仮想アドレス、リソースまたはフェイルオーバー構成に問題がないかどうかを確認し、問題があれば修正します。


8.3.2 汎用サービス用構成データ

可用性が高まるように汎用サービスを構成するには、汎用サービスをグループに追加します。Oracle Fail Safeにより新規の汎用サービスを作成してグループに追加したり、既存の汎用サービスをグループに追加できます。いずれの場合も、Oracle Fail Safe Managerの「リソースをグループに追加」ウィザードを使用する際に次のデータが必要になります。

  • 汎用サービスの可能所有者ノード(クラスタが3つ以上のノードから構成される場合、あるいは2つのノードから構成されるクラスタで1つのノードが使用できない場合)

  • 汎用サービスの識別情報(ノード名、表示名、サービス名、イメージ・パス)

  • 汎用サービスの実行に使用されるアカウントおよびその起動パラメータ

  • 汎用サービスにより使用されるディスク(ある場合)

  • 汎用リソースが依存するその他のリソース

  • 汎用サービスにより使用されるWindowsレジストリのキー値

他のリソースを可用性が高まるように構成する場合と異なり、汎用サービスを追加する前には仮想アドレスをグループに追加するように要求されません。汎用サービスの使用方法に応じて、仮想アドレスが必要かどうかを自分で判断する必要があります。次の各項では、仮想アドレスをグループに追加する必要性を判断する際に考慮すべき問題と、汎用リソースをグループに追加するために必要な構成情報について検討します。

8.3.2.1 ノードの選択

汎用サービスをグループに追加する際に、クラスタが3つ以上のノードから構成されている場合は、図8-1に示すように、選択済ノードのリストを指定して、汎用サービスの可能所有者となるノードを指定するように求められます。特定のノードを汎用サービスの可能所有者として指定しない場合は、そのノードを「選択済ノード」リストから選択して、左矢印をクリックします。

2.6.7項では、「可能所有者ノード」リストの概念の詳細を説明しています。

図8-1 全ノードが使用可能な場合のリソースをグループに追加: - ノードの選択ウィザード・ページ

図8-1の説明が続きます。
「図8-1 全ノードが使用可能な場合のリソースをグループに追加: - ノードの選択ウィザード・ページ」の説明

汎用サービスをグループに追加する際に、クラスタが2つ以上のノードで構成されており、そのうちの1つ以上のノードが使用できない場合、どのノードを汎用サービスの可能所有者とするのかを指定するように求められます。このような場合、図8-2に示すように、ウィザード・ページには使用できないノードとその理由が表示されます。

図8-2 使用できないノードがある場合のリソースをグループに追加: - ノードの選択ウィザード・ページ

図8-2の説明が続きます。
「図8-2 使用できないノードがある場合のリソースをグループに追加: - ノードの選択ウィザード・ページ」の説明

8.3.2.2 汎用サービスの識別情報

可用性が高まるように汎用サービスを構成する場合、Oracle Fail Safeがその汎用サービスの実行可能ファイルを一意に識別して見つける際に使用する基本情報を提供する必要があります。特に、「リソースをグループに追加」ウィザードでは、汎用サービスを識別するための次の情報が要求されます。

  • ノード名

    既存の汎用サービスの場合、汎用サービスが現在置かれているクラスタ・ノードをOracle Fail Safeに認識させる必要があります。汎用サービスが複数のノードに置かれている場合、それらのいずれか1つを「リソースをグループに追加」ウィザードで指定します。汎用サービスが存在しない場合は、汎用サービスの可能所有者となるノードを選択します。

  • 表示名

    表示名は、サービス名よりも詳しくサービスを説明するために使用します。表示名には、スペースを含めた文字を256文字まで指定できます。表示名は、Windowsの「サービス」ダイアログ・ボックスに表示されます。

    表示名は、Oracle Fail SafeがOracle Fail Safe Managerのツリー・ビュー内のサービスを参照するために使用する名前でもあります。

  • サービス名

    サービス名は、短縮名と呼ばれることもあり、サービスの構成情報を含むWindowsレジストリのサブキーにラベル付けするものです。サービス名にはスペース文字を含めることはできず、通常は表示名よりも短くなります。

  • イメージ名

    これは、汎用サービス実行可能ファイルのパスおよびファイル名です。汎用サービスの実行可能ファイルは、汎用サービスの可能所有者である各クラスタ・ノードの同じプライベート・ディスクおよびディレクトリにインストールする必要があります。これにより、汎用サービスがフェイルオーバーした場合も、サービスが依存する実行可能ファイルは、もう一方のクラスタ・ノードで使用可能になります。

    汎用サービスの実行可能ファイルは、共有クラスタ・ディスクにはインストールしないでください。通常は、複数のサービス・インスタンスが同じ実行可能ファイルを使用します。実行可能ファイルが共有クラスタ・ディスクにインストールされている場合、その実行可能ファイルを使用するすべてのサービスが、現在そのディスクのホストになっているクラスタ・ノードで稼働する必要があります。

    各クラスタ・ノードの同じ場所に実行可能ファイルをインストールすると、どちらのクラスタ・ノードも、同じ実行可能ファイルにアクセスする様々なサービス・インスタンスのホストになれます。たとえば、Service_AおよびService_Bという2つのサービスがあり、同じ実行可能ファイルを使用するとします。実行可能ファイルが各クラスタ・ディスク上の同じ場所にインストールされている場合、Service_Aは、プライマリ・ノードがNode_1であるGroup_Aに属し、Service_Bは、プライマリ・ノードがNode_2であるGroup_Bに属すことができます。Group_Cに属する共有クラスタ・ディスクに実行可能ファイルをインストールした場合、サービスは、その時点でGroup_Cのホストになっているクラスタ・ノード上でしか稼働できません。

図8-3は、「リソースをグループに追加」ウィザードの、汎用サービスの識別情報を指定するページです。「サービス名」ボックスに既存のサービスを入力する場合、「状態」ボックスにそのサービスの状態が表示されます。「サービス名」ボックスに新規サービスを入力する場合、「状態」ボックスには何も表示されません。Oracle Fail Safe Managerにより表示される状態は、確認のためのものです。既存の汎用リソースは、実行されているか停止されているかにかかわらず、グループに追加できます。

図8-3 リソースをグループに追加 - 汎用サービスの識別情報ウィザード・ページ

図8-3の説明が続きます。
「図8-3 リソースをグループに追加 - 汎用サービスの識別情報ウィザード・ページ」の説明

8.3.2.3 汎用サービスの起動パラメータ

「リソースをグループに追加」ウィザードでは、汎用サービスの起動方法について次の詳細情報が求められます。

  • 起動パラメータ

    Oracle Fail SafeからWindowsサービス コントロール マネージャに渡される起動パラメータを指定します。これらのパラメータは、Windowsの「サービス」ダイアログ・ボックスを使用した場合に指定するパラメータ(-tなど)と同じです。Oracle Fail Safeにより、パラメータがそのままサービス コントロール マネージャに渡されます。

  • システム・アカウントまたはユーザー・アカウントとしてのログオン

    サービスの実行に使用するアカウントを、システム・アカウントまたはユーザー・アカウントに指定します。デフォルトで、システム・アカウントを使用するログオンが選択されます。ユーザー・アカウントでログオンするには、「ログオン」で「このアカウント」を選択します。サービスの実行に使用されるアカウントによって、汎用サービスのセキュリティ・コンテキストが決まります。サービスがシステム・アカウント(LocalSystem)としてログオンする場合、サービスは、ローカル・システム上のすべてのファイルにアクセスできますが、ネットワーク全体のファイルにはアクセスできません。サービスがユーザー・アカウントとしてログオンする場合、そのサービスが持つ権限に応じて、ローカル・システム上のファイルとネットワークにわたるファイルの両方にアクセスできます。たとえば、Oracle Fail Safe自体は、すべてのクラスタ・ノードのファイルにアクセスできる必要があるため、(Oracle Fail Safeをインストールしたときに指定した)ユーザー・アカウントで実行されます。

    「リソースをグループに追加」ウィザードでは、既存のサービスの実行に使用されているアカウントを変更することはできません。既存の汎用サービスの実行に使用されるアカウントを変更する場合は、サービスをグループに追加する前に、Windowsの「サービス」ダイアログ・ボックスを使用して変更します。(Oracle Services for MSCSの実行に使用されるアカウント変更の詳細は、4.3.1項を参照してください。)

    Oracle Fail Safeでは、汎用サービスの起動タイプの情報(「自動」、「手動」または「使用不可」)は要求されません。Oracle Fail Safeを使用して可用性が高まるよう構成されたリソースの起動タイプはすべて、「手動」に設定されます。クラスタ環境では、サービスは特定の時点で1つのノードでしか実行されません。起動タイプを「手動」に設定すると、Oracle Fail Safeでは必ず、リソースは特定の時点で1つのノードのみで実行され、MSCSによってのみ起動されます。

図8-4は、「リソースをグループに追加」ウィザードの、汎用サービスの起動パラメータとアカウントを指定するページです。

図8-4 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのアカウント・ウィザード・ページ

図8-4の説明が続きます。
「図8-4 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのアカウント・ウィザード・ページ」の説明

8.3.2.4 汎用サービスにより使用されるディスク

Oracle Fail Safeでは、その時点でサービスが実行されているクラスタ・ノード上で、可用性の高い汎用サービスに必要なデータファイルが使用可能である必要があります。これには、次の2つの方法のいずれかを使用します。

  • サービスに必要なデータファイルを、リソースと同じグループに含まれている共有クラスタ・ディスク上に配置します。

    フェイルオーバー時には、サービスが引き続きファイルを使用できるように、ディスクはサービスとともにフェイルオーバーします。

  • 可能所有者である全クラスタ・ノードの同じプライベート・ディスクおよびディレクトリに、同じファイルを配置します。

    フェイルオーバー時には、サービスはプライベート・ディスク上で同じパスを使用してファイルを見つけます。ファイルのパスは各クラスタ・ノードで同じなので、どちらのクラスタ・ノードがリソースのホストであるかにかかわらず、リソースはファイルを見つけることができます。

通常、サービス実行可能ファイルは各クラスタ・ノードのプライベート・ディスク上にインストールし、データファイルは共有クラスタ・ディスク上に配置します。実行可能ファイルの配置場所の詳細は、8.3.2.2項を参照してください。

汎用サービスが稼働しているクラスタ・ノードによってファイルの内容を変える場合は、各クラスタ・ノードの同じプライベート・ディスクおよびディレクトリに同じデータファイルを配置します。たとえば、Node_1のCPUおよびメモリーがNode_2の2倍であるとします。サービスを同時にアクセスできる最大ユーザー数を指定するファイルが汎用サービスに使用されている場合、その数値をNode_1では100、Node_2では50に設定します。

ただし、可能な場合は、データファイルを共有クラスタ・ディスク上に置いてください。このようにする場合は、「リソースをグループに追加」ウィザードを実行する前に、汎用リソースにより使用されるデータファイルを共有クラスタ・ディスクに移動する必要があります。

図8-5は、「リソースをグループに追加」ウィザードの、ディスク依存性を指定するページです。

図8-5 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのディスク・ウィザード・ページ

図8-5の説明が続きます。
「図8-5 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのディスク・ウィザード・ページ」の説明

8.3.2.5 汎用サービスの依存性

Oracle Fail Safe ManagerにもMSCSにも詳細情報が用意されていないリソースを構成することから、可用性を高めるための汎用サービスの構成プロセスは、Oracle Fail Safeが詳細情報を持っているリソース・タイプ(Oracleデータベースなど)に比べて自動化される部分が少なくなります。たとえば、Oracle Fail Safeを使用して可用性の高いOracleデータベースを構成する場合は、Oracle Fail Safe Managerにより、データベースが依存するリソースが追加され、それらのリソースをオンライン化する順序が決定されます。これに対し、汎用リソースを可用性が高まるように構成する場合は、この依存性情報を指定する必要があります。

8.3.2.5.1 汎用サービスの依存性の指定

汎用リソースの依存性情報の指定は、リソースをグループに追加する順序で行います。たとえば、Service_Aの可用性を高め、Service_BとService_CがオンラインになっていないとService_Aをオンライン化できないという構成にするとします。つまり、Service_Aは、Service_BおよびService_Cに依存しています。さらに、Service_Bを正常にオンライン化するには、Service_Cがすでにオンラインである必要があります。図8-6のように、この依存性の連鎖はツリー構造で図示できます。

図8-6 依存性ツリー

図8-6の説明が続きます。
「図8-6 依存性ツリー」の説明

このシナリオでは、最初にService_Cをグループに追加します。次にService_Bをグループに追加し、依存先としてService_Cを指定します。最後にService_Aをグループに追加し、依存先としてService_Bを指定します。つまり、リソースごとに依存性ツリーを作成することになります。リソースをグループに追加するときに指定できる依存性レベルは1つのみです。このため、依存性ツリーの深さが2レベル(またはそれ以上)の場合、リソースをグループに追加する順序が重要になります。

図8-7は、「リソースをグループに追加」ウィザードの、リソースの依存性を指定するページです。

図8-7 リソースをグループに追加 - 汎用サービスの依存性ウィザード・ページ

図8-7の説明が続きます。
「図8-7 リソースをグループに追加 - 汎用サービスの依存性ウィザード・ページ」の説明

8.3.2.5.2 汎用サービスと仮想アドレスの依存性

Oracle Fail Safeでは、汎用サービスをグループに追加する前に仮想アドレスをグループに追加するように要求されません。仮想アドレスは、クライアントまたは他のサービスがリソースを見つけるときに使用するネットワーク・アドレスを示します。クライアントも他のサービスも汎用サービスにアクセスしない場合は、汎用サービスを追加する前に仮想アドレスをグループに追加する必要はありません。

ただし、汎用サービスがクライアントまたは他のサービスによりアクセスされる場合は、グループに仮想アドレスを追加する必要が生じる可能性があります。

8.3.2.6 汎用サービスのレジストリ・キー

汎用サービスで情報を格納するためにWindowsレジストリのエントリを使用する場合は、「リソースをグループに追加」ウィザードでこれらのエントリを指定できます。ウィザードでエントリを指定すると、汎用サービスの可能所有者であるクラスタ・ノード間で、サービスのWindowsレジストリ・エントリの一貫性が常に保たれます。これは、フェイルオーバー時に、汎用サービスの可能所有者である全クラスタ・ノードで、サービスが正常に稼働するために重要です。

たとえば、Oracle Forms Serverを汎用サービスとして手動で構成する場合は、FORMS60_PATHレジストリ変数を指定します。

指定するレジストリ・キーのルートはHKEY_LOCAL_MACHINEであることが前提とされます。この詳細は、「リソースをグループに追加」ウィザードのオンライン・ヘルプで説明されています。

図8-8は、「リソースをグループに追加」ウィザードの、Windowsレジストリ・キーを指定するページです。

図8-8 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのレジストリ・ウィザード・ページ

図8-8の説明が続きます。
「図8-8 リソースをグループに追加 - 汎用サービスのレジストリ・ウィザード・ページ」の説明

8.4 汎用サービスのセキュリティ要件

デフォルトでは、汎用サービスはローカル・システム・アカウントで実行されます。汎用サービスがユーザー・アカウントで実行されるように指定する場合、そのアカウントには「サービスとしてログオン」権限が必要です。汎用サービスをグループに追加すると、Oracle Fail Safeにより、汎用サービスの実行に使用されているアカウントにこの権限があるかどうかが確認されます。権限がない場合、Oracle Fail Safeによって、指定されたユーザー・アカウントに権限が与えられます。

さらに、Oracle Fail Safeにより、「リソースをグループに追加」ウィザードで指定したユーザー・アカウントとパスワードが有効かどうかが確認されます。有効でない場合、エラーが返されます。

8.5 サンプル汎用サービスの構成

Oracle Fail Safeには、FsSampleServiceというサンプル汎用サービスが同梱されています。これを使用して、可用性の高い汎用サービスを構成するための手順およびその影響について理解を深めることができます。

表8-2では、Oracle Fail Safeを使用して可用性の高い汎用サービスを構成する方法の例として、FsSampleServiceを使用しています。

表8-2 サンプル汎用サービスの構成手順

手順 処置 説明

1

(Oracle Fail Safeのインストール時に)可用性の高い汎用サービスの可能所有者となる全クラスタ・ノードに対しGeneric Serviceコンポーネントをインストールします。

Oracle Fail SafeのGeneric Serviceコンポーネントのインストール時には、サンプル汎用サービスのイメージであるFsSamplesvc.exeが、Oracle_Home\fs\fssvr\bin\FsSamplesvc.exeディレクトリに置かれます。

2

Oracle Fail Safe Managerを使用してサンプル汎用サービスの可用性を向上させます。

Oracle Fail Safe Managerで「リソースをグループに追加」ウィザードを使用して、汎用サービスをグループに追加します。この簡単なサンプルでは、ウィザードの最初のページに次のデータを入力するのみで済みます。

ノード名: 任意のクラスタ・ノードを選択

表示名: Fail Safe Sample Service

サービス名: FsSampleService

イメージ名: Oracle_Home\fs\fssvr\bin\FsSamplesvc.exe

この他のデータを「リソースをグループに追加」ウィザードで入力する必要はありません。ウィザードの残りのページで「次へ」をクリックして、最後のページで「終了」をクリックします。


可用性が高まるようにサンプル汎用サービスを構成した後で、クラスタ環境でどのように動作するかを次の手順でテストします。

  1. 汎用サービスの可能所有者である各ノードのコマンド・ウィンドウを開きます。

  2. 各コマンド・ウィンドウで、fssvcclientと入力します。「FailSafe Sample Service is not running」または「FailSafe Sample Service is running」というメッセージが返されます。

  3. サンプル汎用サービスを含むグループを新しいノードに移動します。

  4. 各ノードのコマンド・ウィンドウで、fssvcclientコマンドを入力します。現在のノードのサービスが停止され、サービスを含んだグループの移動先のノードが稼働を開始します。

8.6 汎用サービスに関する問題のトラブルシューティング

「グループの検証」操作は、いつでも実行できます。ただし、次のような場合には必ず実行します。

Oracle Fail Safeのトラブルシューティング・ツール(「クラスタの検証」および「グループの検証」)に関する一般情報は、第6章に記載しています。