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Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーションおよび構成ガイド
10g リリース2(10.2) for HP Tru64 UNIX

B31763-02
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1 Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのインストールと構成の概要

この章では、Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters(RAC)のインストールおよび構成手順の概要を説明します。この章の内容は次のとおりです。

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのドキュメントの概要

この項では、Oracle ClusterwareおよびRACのドキュメントについて説明します。

このマニュアルには、HP Tru64で、インストール前のタスク、インストールおよびインストール後のタスクを完了するために必要な情報が含まれています。今回のリリースに関する追加情報は、Oracle Database 10g のREADMEまたはリリース・ノートを参照してください。

Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド

『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』では、投票ディスクや、Oracle Cluster Registry(OCR)デバイスなどのOracle Clusterwareコンポーネントの管理方法について説明しています。また、記憶域の管理方法、RACのスケーラビリティ機能を使用したインスタンスやノードの追加および削除方法、Recovery Manager(RMAN)の使用方法、およびRACでのバックアップおよびリカバリの実行方法について説明しています。

『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』では、サービス、高可用性、ワークロード管理など、RACの配置についての内容を説明しています。自動ワークロード・リポジトリ(AWR)によるサービス・レベルの追跡とレポート方法、サービス・レベルのしきい値とアラートを使用して、ご使用のRAC環境での高可用性を改善する方法についても説明しています。また、Oracle Clusterwareを使用して、アプリケーションの可用性を向上する方法についても説明しています。

『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』には、Oracle Enterprise Manager、およびAWRとOracleデータベース・パフォーマンス・ビューの情報を使用した、RAC環境でのパフォーマンスの監視およびチューニング方法についても説明しています。また、オンライン・トランザクション処理およびデータ・ウェアハウス環境に対するアプリケーション固有の配置方法についても説明しています。

一般的なシステム・インストール要件

Oracle Clusterware、またはOracle ClusterwareおよびRACのインストールに含める各ノードは、このマニュアルの第II部に示すハードウェア要件およびソフトウェア要件を満たす必要があります。新しいクラスタ検証ユーティリティを使用すると、要件の検証を簡単に行うことができます。

RACデータベースの設定および構成に関連する概要が不明な場合は、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照して、サービス、記憶域の設定などの概要や、クラスタの構成に関連するその他の情報を理解してください。

クラスタ検証ユーティリティの概要

クラスタ検証ユーティリティ(CVU)は、Oracle Clusterwareと、Oracle Database 10g リリース2(10.2)およびReal Application Clustersで提供されています。CVUを使用することによって、管理者またはハードウェア・ベンダーは、Oracle Clusterware、またはOracle ClusterwareとRACデータベースの正常なインストールに必要なすべてのコンポーネントが正しくインストールおよび構成されていることを、設定および構成時に検証できます。また、必要に応じてRACクラスタを変更する場合に役立ちます。このマニュアルでは、作業の検証に使用するCVUコマンドを示します。

CVUコマンドには、次の2種類があります。

このマニュアルでは、必要に応じて、CVUのステージ・コマンドおよびコンポーネント・コマンドを使用してクラスタを検証する方法を示します。

参照:

クラスタ検証ユーティリティの詳細は、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。 

Oracle Universal Installerの概要

Oracle Universal Installer(OUI)は、Oracleデータベースのインストールおよび構成に役立つGraphical User Interface(GUI)ツールです。様々なコマンド・オプションを使用して、インストールの事前チェック、特別なインストール・プロセスおよびその他の作業を実行できます。OUIオプションの概要を参照するには、Oracleホーム・ディレクトリ内のディレクトリ・パスoui/binに移動して、次のコマンドを入力します。

$ ./runInstaller -help

参照:

OUIオプションの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。 

アップグレードおよび複数リリースのシステムの概要

Oracle Database 10g の新しいリリースへのアップグレードに必要な手順は、現在使用しているデータベースのリリース番号によって異なります。Oracleデータベースは、現在のリリースから最新のリリースに直接アップグレードするこができない場合があります。現在のリリースによっては、Oracle Database 10g の新しいリリースにアップグレードするまでに、1つ以上の中間リリースを介する必要がある場合があります。

たとえば、現在実行しているデータベースがリリース8.1.6である場合は、最初にリリース8.1.7用の移行ガイドに従って、リリース8.1.7にアップグレードします。その後、リリース8.1.7のデータベースをOracle Database 10g の新しいリリースにアップグレードできます。

Oracle9i データベースは、Oracle Database 10g リリース2(10.2)と共存させることができます。ただし、データベースの別々のリリースを共存させる場合は、Oracle9i がすでにインストールされている状態で、Oracle Database 10g をインストールする必要があります。Oracle10g をインストールした後で、Oracle9i をインストールすることはできません。

参照:

アップグレードの詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのハードウェア要件

クラスタ内の各ノードには、次のハードウェアが必要です。

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersのソフトウェア要件

クラスタの各ノードには、キャッシュ・フュージョンおよびOracle Clusterwareポーリングをサポートするために、サポートされたインターコネクト・ソフトウェア・プロトコルが必要です。インターコネクトは、ご使用のプラットフォームに対してオラクル社が保証する製品である必要があります。また、Oracle Enterprise Managerを使用可能にし、オンライン・ドキュメントを表示するために、Webブラウザが必要です。

Oracle Clusterwareは、Oracle Database 10g の要件に対応し、サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアと同等の機能を提供しています。Oracle Clusterwareを使用すると、インストールおよびサポートに関する問題を低減できます。ただし、イーサネット以外のインターコネクトを使用する場合、またはRACを配置するクラスタにクラスタウェアに依存するアプリケーションを配置している場合、ベンダーのクラスタウェアが必要になる場合があります。

Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersの構成作業

Oracle ClusterwareおよびRACをインストールする前に、次の手順を実行します。

  1. 次のWebサイトからOracleMetaLinkの保証情報を参照して、オペレーティング・システムとOracleデータベース・ソフトウェアのリリースの組合せが動作保証されていることを確認します。

    http://metalink.oracle.com
    
    

    Certify & Availability」をクリックし、「1.View Certifications by Product」を選択します。


    注意:

    Oracle MetaLinkサイトのレイアウトおよびサイトの認証方針は、変更されることがあります。 


  2. プライベート・ネットワークを使用する高速インターコネクトを構成します。プラットフォームによっては、追加のインターコネクトへの自動フェイルオーバーがサポートされています。

  3. システムの記憶域オプションを決定して、共有ディスクを構成します。自動ストレージ管理(Automatic Storage Management: ASM)およびOracle Managed Files(OMF)、またはクラスタ・ファイル・システムを使用することをお薦めします。ASMまたはクラスタ・ファイル・システムを使用する場合は、OMFの機能およびその他のOracle Database 10g のストレージ機能も利用できます。Oracle Database 10g Standard EditionでRACを使用する場合は、ASMを使用する必要があります。

    Oracle Universal Installer(OUI)を起動してOracle Clusterwareをインストールする際に、投票ディスクとOracle Cluster Registry(OCR)のパスを指定するように求められます。

    投票ディスク: 投票ディスクに既存の冗長性がサポートされる場合は、1つのディスクを構成します。Oracle Clusterwareが管理する投票ディスクを複数使用する場合は、十分な冗長性を確保するために3つ以上のディスクが必要です。また、それぞれの投票ディスクは物理的に独立したストレージに配置する必要があります。

    さらに、Oracle Clusterwareが管理する複数の投票ディスクを選択した場合は、すべての投票ディスクが、外部からのセキュリティ脅威から保護されたセキュアなネットワーク上にあり、定期的にメンテナンスされるシステム上に配置されている必要があります。投票ディスクに障害が発生した場合は、ハードウェアを修理してオンラインに戻す必要があります。Oracle ClusterwareのCluster Synchronization Services(CSS)コンポーネントは、残りの投票ディスクの使用を続行し、ディスクが再度オンラインになると、自動的に復旧したドライブを使用します。

    OCR: 既存の冗長性がサポートされる場合は、1つのディスクを構成します。Oracle Clusterwareが管理するOCRのミラー化を使用する場合は、OCRを2つの場所に配置する必要があります。また、それぞれのOCRは、物理的に独立したストレージに配置する必要があります。

    さらに、Oracle Clusterwareが管理するミラー化されたOCRを選択した場合は、すべてのOCRが、外部からのセキュリティ脅威から保護されたセキュアなネットワーク上にあり、定期的にメンテナンスされるシステムに配置されている必要があります。OCRのコピーに障害が発生したり、アクセスできなくなった場合は、ocrconfigツールを使用して、OCRを置き換えることができます。

  4. 第II部のインストール前の手順に関する章に示すオペレーティング・システム・パッチの更新をインストールします。

  5. クラスタ検証ユーティリティ(CVU)を使用して、システムがOracleデ―タベースと、Oracle ClusterwareおよびRACをインストールするための要件を満たしているかどうかを検証します。

インストール手順の概要

このマニュアルの第II部および第III部で説明するインストール手順を次に示します。

Oracle Database 10g Real Application Clustersのインストール前の手順の概要

第II部では、ユーザー等価関係の確認方法、ネットワーク接続性テストの実行方法、ディレクトリおよびファイル権限の設定方法、インストール前に必要とされるその他の作業など、インストール前の手順について説明します。インストール前のすべての作業を実行し、ご使用のシステムがインストール前のすべての要件を満たしていることを確認してからインストール手順に進んでください。

Oracle Database 10g Real Application Clustersのインストール手順の概要

Oracle Database 10g Real Application Clustersのインストールには、2つのフェーズがあります。第1フェーズでは、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」の手順に従って、Oracle Universal Installer(OUI)を使用してOracle Clusterwareをインストールします。第1フェーズでのOracleホームはOracle Clusterwareソフトウェア用であり、第2フェーズでOracleデータベース・ソフトウェアおよびRACコンポーネントをインストールする際に使用するOracleホームとは異なるものである必要があります。Oracle Clusterwareのインストール手順では、第5章「Oracle Database 10g およびOracle Real Application Clustersのインストール」で説明するOracle Database 10g およびRACのインストールの準備として、Oracle Clusterwareプロセスを起動します。このフェーズでは、OUIを使用してRACソフトウェアをインストールします。

Oracle ClusterwareおよびOracleデータベースは個別のホーム・ディレクトリにインストールする必要があります。OracleデータベースのOracleホームにリスナーを作成する必要があります。ASMで複数のOracleデータベース・ホームを使用する場合は、ASMに対して個別にOracleデータベース・ホームをインストールする必要があります。独立したASMホームを新しく作成するには、データベースOUIを実行して、ASMをインストールするオプションを選択します。

OUIによって以前のリリースのOracle Clusterware(Oracle Cluster Ready Servicesと呼ばれていた)が検出されると、ローリング・アップグレードまたは全体アップグレードのいずれかを選択するように求められます。

OUIによって以前のリリースのOracleデータベースが検出されると、データベースをOracle Database 10g リリース2(10.2)にアップグレードするために、データベース・アップグレード・アシスタント(DBUA)を起動するかどうかという選択が可能になります。また、DBUAによって、RACデータベースのサービスを構成するための、サービス構成ページが表示されます。

参照:

アップグレードの準備の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』を参照してください。 

インストールが完了すると、環境を設定し、RACデータベースを作成するためにデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)などのOracleデータベース・アシスタントが、OUIによって起動されます。第6章「データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用したOracle Real Application Clustersデータベースの作成」の説明に従ってDBCAのインスタンス管理機能を使用して、後でサービスおよびインスタンスを追加または変更することもできます。

Oracle Database 10g Real Application Clustersのインストール後の手順の概要

データベースを作成した後、第7章「Oracle Real Application Clustersのインストール後の手順」の説明に従って、ご使用のOracle Database 10g に最新のパッチをダウンロードしてインストールします。RACデータベースを他のOracle製品とともに使用する場合は、これらも構成する必要があります。

また、Oracle Database 10g の特定の機能を使用するために、インストール後の構成作業をいくつか実行する必要があります。

インストール・メディアでは、パフォーマンスの向上や、データベースの機能拡張を可能にするOracle Database 10g の追加のソフトウェアを選択できます。たとえば、Oracle JAccelerator、Oracle interMedia、Oracle Textなどです。

参照:

RACスケーラビリティ機能を使用してRACデータベースへノードやインスタンスを追加したり、削除する方法については、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』および『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。 

Oracle Universal Installerを使用したインストール

Oracle Universal Installer(OUI)によって、Oracle ClusterwareおよびOracle Database 10g ソフトウェアを簡単にインストールできます。ほとんどの場合は、OUIのGraphical User Interface(GUI)を使用してソフトウェアをインストールできます。また、OUIを使用して、GUIを使用しない非対話型(サイレント)インストールを実行することもできます。非対話型インストールの詳細は、付録Bを参照してください。

Oracle Inventoryによって、Oracleソフトウェアのリリースおよびパッチの記録を管理します。各インストールには、Oracleホームが登録されている中央インベントリがあります。Oracleソフトウェアのインストールにはローカル・インベントリ・ディレクトリがあり、このディレクトリのパスの位置が、Oracleホームの中央インベントリに登録されています。各Oracleソフトウェア・インストールのローカル・インベントリ・ディレクトリには、コンポーネントおよびそのソフトウェアに関連して適用されている個別パッチのリストが格納されています。インベントリ情報が誤っているとOracleソフトウェアのインストールが破損するため、Oracle Inventoryに対するすべての読取りおよび書込み操作は、OUIによって行われる必要があります。

Oracle ClusterwareまたはRACのインストール時に、OUIは、OUIの起動元であるノードにこのOracleソフトウェアをコピーします。Oracleホームが共有ファイル・システム上に存在しない場合、OUIは、OUIのインストール・セッションの対象として選択した他のノードにソフトウェアをコピーします。Oracle Inventoryは、RACデータベースのメンバーである各ノードのリストを管理するとともに、各ノードのOracleホームのパスを示します。これは、RACデータベースのメンバーである各ノードに対し、ソフトウェアのパッチや更新を管理するために使用されます。

OUIを使用してRACデータベースを作成した場合、またはDBCAを使用して後でRACデータベースを作成した場合、RACデータベース用のOracle Enterprise Manager Database Controlが構成されます。Database Controlは、RACデータベースとRACデータベースのすべてのインスタンス、およびインスタンスが構成されているすべてのホストを管理できます。

また、Enterprise Manager Grid Controlを構成して、単一のコンソールから複数のデータベースおよびアプリケーション・サーバーを管理することもできます。Grid ControlでRACデータベースを管理するには、クラスタ内の各ノードにGrid Controlのエージェントをインストールする必要があります。エージェントのインストールは、クラスタ環境を認識し、クラスタ内のすべてのノードにインストールを実行するように設計されています。そのため、クラスタ内の1つのノードにGrid Controlのエージェントをインストールするとすべてのノードにインストールされます。

OUIを使用してOracle ClusterwareまたはOracleデータベース・ソフトウェアをインストールする際、事前構成済データベースを選択するか、またはデータベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を対話形式で使用してRACデータベースを作成することをお薦めします。次のURLにあるOracle Technology Networkで説明されている手順に従って、データベースを手動で作成することもできます。

http://www.oracle.com/technology/index.html

自動ストレージ管理(Automatic Storage Management: ASM)を使用することをお薦めします。データベースを作成する前に、共有記憶域を構成する必要があります。

参照:

  • OUIの詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  • Oracle Enterprise Managerを使用してRAC環境を管理する方法については、『Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clusters管理およびデプロイメント・ガイド』を参照してください。

  • 次のURLにあるOracle Technology Network(OTN)の「Technology Center」を参照してください。

    http://www.oracle.com/technology/tech/index.html

 

Oracle ClusterwareおよびRACをインストールする際の記憶域の考慮事項

この項では、Oracle Database 10g リリース2(10.2)およびReal Application Clustersをインストールする前に考慮する必要がある記憶域構成オプションについて説明します。

自動ストレージ管理の概要

データベース記憶域には、自動ストレージ管理(Automatic Storage Management: ASM)またはクラスタ・ファイル・システムとともに、Oracle Managed Files(OMF)を使用することをお薦めします。この項では、ASMの概要について説明します。

Oracle Database Standard Editionを使用しているRAC環境では、データベース・ファイルの記憶域用にASMを使用する必要があることに注意してください。

ASMを使用すると、Oracleデータベース・ファイルの管理が簡単になります。ASMを使用することによって、多いときは数千のデータベース・ファイルを管理するかわりに、少数のディスク・グループのみの管理になります。ディスク・グループとは、ASMが単一の論理単位として管理するディスク・デバイスの集合です。特定のディスク・グループを、データベースに対するデフォルトのディスク・グループとして定義することができ、適切なデータベース・オブジェクトに対応するファイルへの記憶域の割り当て、それらのファイルの作成、削除が、Oracleデータベースによって自動的に行われます。データベースを管理する際は、ファイル名ではなくデータベース・オブジェクトの名前のみを指定します。

ASMを、ノードのデータベース・インスタンスに対して単一のOracleホームで使用する場合、ASMインスタンスをそのOracleホームから実行できます。ASMを、同一ノードにある複数のデータベース・ホームによるOracleデータベース・インスタンスで使用する場合、ASMインスタンスをデータベース・ホームとは別のOracleホームから実行することをお薦めします。また、ASMホームをすべてのクラスタ・ノードにインストールする必要があります。これによって、データベースのOracleホームの削除中に、他のホームのデータベースで使用されているASMインスタンスが誤って削除されることを防止します。

自動ストレージ管理のメリット

ASMには、Redundant Array of Independent Disks(RAID)、論理ボリューム・マネージャ(LVM)などのストレージ・テクノロジと同様の多数のメリットがあります。これらのテクノロジと同様に、ASMを使用して、個々のディスク・デバイスの集合から1つのディスク・グループを作成できます。ディスク・グループに対する入出力(I/O)の負荷をディスク・グループ内のすべてのデバイス間で調整します。また、I/Oパフォーマンスおよびデータの信頼性を向上させるストライプ化およびミラー化も実装しています。

ただし、RAIDまたはLVMとは異なり、ASMは、ストライプ化およびミラー化をファイル・レベルで実装しています。この実装によって、同じディスク・グループ内の個々のファイルに対して、様々な記憶域属性を指定できます。

ディスク・グループおよび障害グループ

ディスク・グループには、1から10000のディスク・デバイスを含めることができます。各ディスク・デバイスには、個々の物理ディスク、RAIDストレージ・アレイや論理ボリュームなどの複数ディスク・デバイス、または物理ディスク上のパーティションを使用できます。ただし、多くの場合、ディスク・グループは1つ以上の物理ディスクで構成されます。ASMを使用して、ディスク・グループ内でI/Oおよび記憶域を適切に調整するには、ディスク・グループ内のすべてのデバイスの記憶域容量およびパフォーマンスが同じか、または同程度である必要があります。


注意:

単一のディスクにある複数のパーティションを、同じディスク・グループとして配置しないでください。単一のディスクにある個々のパーティションは、別々のディスク・グループに配置できます。 


デバイスをディスク・グループに追加すると、そのデバイスに対して障害グループを指定できます。障害グループには、障害の可能性のある共通のメカニズムを共有しているASMディスクを定義します。障害グループの例には、同じSCSIコントローラを共有しているSCSIディスク群があります。障害グループを使用して、データの冗長コピーの格納に使用するASMディスクを決定します。たとえば、双方向のミラー化がファイルに指定されている場合、ASMは自動的にファイル・エクステントの冗長コピーを別々の障害グループに格納します。障害グループが適用されるのは、標準冗長と高冗長のディスク・グループのみです。ディスク・グループでの障害グループの定義は、ディスク・グループを作成または変更する際に行います。

冗長レベル

ASMには、3つのミラー化レベル(冗長レベルと呼ぶ)があります。このレベルは、ディスク・グループの作成時に指定できます。冗長レベルは、次のとおりです。

ASMおよびインストール・タイプ

Oracleデータベース・ソフトウェアのインストール時に作成するように選択できるディスク・グループのタイプおよび数は、インストール中に作成する、次のデータベースのタイプによって異なります。

データベース・リカバリ領域用共有記憶域

RAC環境でデータベース・リカバリ領域を構成する場合、データベース・リカバリ領域は共有記憶域に配置する必要があります。データベース・コンフィギュレーション・アシスタント(DBCA)を使用して自動ディスク・バックアップを構成する場合は、データベース・リカバリ領域を使用し、この領域を共有する必要があります。

データベース・ファイルをクラスタ・ファイル・システムに格納している場合は、リカバリ領域もクラスタ・ファイル・システムを介して共有します。

データベース・ファイルを自動ストレージ管理(ASM)ディスク・グループに格納している場合、リカバリ領域はASMを介して共有します。


注意:

通常、ASMディスク・グループは、クラスタ・ファイル・システムと同様に有効なリカバリ領域です。リカバリ領域のファイルは、データ・ファイルと同じ場所に格納する必要はありません。 


RACでのOracle Database 10g 機能に関する追加の考慮事項

RACデータベースの管理を簡素化するために、次のOracle Database 10g 機能を使用することをお薦めします。

Oracle Database 10g とReal Application Clustersのコンポーネント

Oracle Database 10g によって、シングル・インスタンスのデータベース・ソフトウェアと、RACデータベースを操作するための追加コンポーネントが提供されます。次のようないくつかのRAC固有のコンポーネントが含まれています。

Oracle Clusterware

OUIによって、Oracle Clusterwareがクラスタの各ノードにインストールされます。サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアが存在しない場合、OUIを使用してOracle Clusterwareのインストール先ノードを指定する必要があります。OUIの実行時に指定する内容に応じて、Oracle Clusterwareホームをすべてのノードで共有することも、各ノードで専用にすることもできます。Oracle Clusterware用に選択するホームは、RACで使用するOracleホームとは異なるホームである必要があります。

サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアが存在する場合、Oracle Clusterwareはサードパーティ・ベンダーのクラスタウェアと連携できます。LinuxおよびWindows上のOracle Database 10g の場合、Oracle Clusterwareは以前のOracle Clusterwareのリリースと共存できますが、連携はできません。サードパーティ・ベンダーのクラスタウェアを使用する場合は、次の点に注意してください。

インストールされたReal Application Clustersのコンポーネント

RAC環境のすべてのインスタンスは、制御ファイル、サーバー・パラメータ・ファイル、REDOログ・ファイルおよびすべてのデータ・ファイルを共有します。これらのファイルは、共有クラスタ・ファイル・システムまたは共有ディスクにあります。これらのタイプのファイル構成のいずれに対しても、すべてのクラスタ・データベース・インスタンスによってアクセスされます。また、各インスタンスには、それぞれ専用のREDOログ・ファイルのセットがあります。障害が発生した場合、REDOログ・ファイルへの共有アクセスによって、障害が発生していないインスタンスがリカバリを実行できます。

Oracle Database 10g Real Application Clustersのリリース間の互換性

異なるリリースのOracleデータベース・ソフトウェアを、同一のコンピュータにインストールして使用できますが、次の点に注意してください。

必要なオペレーティング・システム・グループ

Oracleサーバー・ソフトウェアをシステムに初めてインストールする場合は、インストール前の手順の説明に従って、Oracleソフトウェアの所有者となるためのいくつかのグループと1つのユーザー・アカウントを作成する必要があります。必要なグループおよびユーザーは次のとおりです。

システムへのOracleソフトウェアのすべてのインストールには、単一のOracle Inventoryグループが必要です。ただし、個々のインストールに対してそれぞれにOracleソフトウェア所有者ユーザー、OSDBAグループおよびOSOPERグループ(oracledbaおよびoper以外)を作成できます。さらに、Oracle Clusterware用に別の所有者も作成できます。異なるグループを使用すると、あるデータベースの特定のオペレーティング・システムのユーザーに、DBA権限を付与できます。そのユーザーは、同じシステムの別のデータベースでは、この権限を持ちません。

参照:

OSDBAグループとOSOPERグループ、およびSYSDBA権限とSYSOPER権限の詳細は、『Oracle Database管理者リファレンスfor UNIX Systems』および『Oracle Database管理者ガイドfor hp Tru64』を参照してください。 

グリッド環境でのOracle ClusterwareおよびRACのクローニング

Oracle ClusterwareおよびRACソフトウェアのクローニングには、Enterprise Manager Grid Controlを使用することをお薦めします。この項では、多数のノードがあるグリッド環境で、クローニングされたClusterwareおよびRACのイメージを使用したRACの配置を行うためのコマンドラインでの手順の概要を説明します。

Oracle Clusterwareホームのクローニング

複数のノードでOracle Clusterwareホームをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. ソース・ノードで、Oracle Clusterwareソフトウェアをインストールします。すべての必須ルート・スクリプトが正常に実行される必要があります。

  2. rootユーザーで、Oracle Clusterwareホームのtarファイルを作成します。

  3. ターゲット・ノードで、Oracle Clusterwareホームを作成し、Oracle Clusterwareのtarファイルをソース・ノードからターゲット・ノードのOracle Clusterwareホームにコピーします。

  4. oracleユーザーで、そのtarファイルを解凍します。

  5. クローン・モードでOUIを実行します。詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  6. ルート・スクリプトを実行します。

  7. 手順1から6を、クラスタに追加する各ノードで繰り返します。インストールする最後のノードで、oifcfgツールを実行し、ネットワーク・インタフェースを構成します。

RACホームのクローニング

複数のノードでRACデータベースのイメージをクローニングするには、次の手順を実行します。

  1. ソース・ノードで、RACデータベースのOracleホームをインストールします。すべての必須ルート・スクリプトが正常に実行される必要があります。データベースは作成しないでください。また、構成ツールは実行しないでください。

  2. rootユーザーで、RACデータベースのOracleホームのtarファイルを作成します。

  3. ターゲット・ノードで、RACデータベースのOracleホーム・ディレクトリを作成し、RACデータベースのtarファイルをソース・ノードからターゲット・ノードのOracleホームにコピーします。

  4. 必須のOracleユーザーとグループを作成します。名前、ユーザーID番号およびグループID番号はソース・ノードでのものと同様にする必要があります。

  5. oracleユーザーで、そのtarファイルを解凍します。

  6. クローン・モードでOUIを実行します。詳細は、『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。

  7. ルート・スクリプトを実行します。

  8. 手順1から7を、クラスタに追加する各ノードで繰り返します。

  9. クラスタのローカル・ノードで、コンフィギュレーション・アシスタントNetCAを実行し、プロンプトに従ってクラスタに属しているすべてのノードのリストを指定します。この手順によって、リスナーが作成されます。

  10. コンフィギュレーション・アシスタントDBCAを実行し、データベースを作成します。

  11. 『Oracle Universal InstallerおよびOpatchユーザーズ・ガイド』に示されている、クローニング後の手順に従います。


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