Oracle Database Oracle ClusterwareおよびOracle Real Application Clustersインストレーション・ガイド 10g リリース2(10.2) for HP-UX B25018-03 |
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この付録では、Oracle Database 10g のシングル・インスタンスのデータベースからOracle Real Application Clusters(RAC)データベースに変換する方法について説明します。この付録の内容は次のとおりです。
Oracle Parallel ServerからRACにアップグレードする場合または以前のバージョンのRACからアップグレードする場合は、Oracleデータベース・アップグレード・アシスタント(DBUA)を使用します。この付録の手順は、元のシングル・インスタンス・データベースとターゲットのRACデータベースが同じリリースのOracle 10g で、同じプラットフォーム上で実行されていることを前提としています。
変換前に、次の管理上の問題点に注意してください。
データベース・コンフィギュレーション・アシスタントを使用して、シングル・インスタンスのOracleデータベースをRACに変換できます。DBCAを使用すると、制御ファイル属性が自動的に構成され、UNDO表領域とREDOログが作成されて、クラスタ対応環境用の初期化パラメータ・ファイルのエントリが作成されます。また、DBCAは、Oracle Enterprise ManagerまたはSRVCTLユーティリティで使用するために、Oracle Net ServicesとOracle Clusterwareリソースの構成およびRACデータベース管理用の構成を行います。
DBCAを使用してシングル・インスタンスのデータベースをRACデータベースに変換する前に、システムが次の条件を満たしていることを確認します。
ご使用のプラットフォームがクラスタ・ファイル・システムをサポートしている場合は、RACでそのクラスタ・ファイル・システムを使用できます。RACに変換して、非共有ファイル・システムを使用することもできます。いずれの場合も、Oracle Universal Installer(OUI)を使用してOracle Database 10g をインストールし、クラスタで選択された各ノード上の同じ位置にOracleホームおよびインベントリを設定することをお薦めします。
この項の内容は次のとおりです。
クラスタ・コンピュータ以外のコンピュータ上にあるシングル・インスタンスのOracleデータベースをRACに変換するには、次の項に説明する手順を、その順序で実行します。
次の手順を実行し、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成します。
デフォルトでは、テンプレート・ファイルはORACLE_HOME/assistants/dbca/templates
ディレクトリに生成されます。必要に応じて、「説明」フィールドにファイルの説明を入力したり、「テンプレート・データファイル」フィールドでテンプレート・ファイルの位置を変更できます。
入力が完了したら、「次へ」をクリックします。
DBCAは、データベース構造ファイル(template_name
.dbc
)およびデータベースの事前構成済イメージ・ファイル(template_name
.dfb
)の2つのファイルを生成します。
このマニュアルの第II部で説明する、インストール前の手順を実行します。次に、第II部のインストール前の手順に関する章の「Oracleデータベース・ファイルとリカバリ・ファイルのディスク記憶域の構成」を参照して、共有記憶域を設定します。
ベンダーのクラスタウェアを使用する場合は、ハードウェア・ベンダーのマニュアルに従って、必要な数のノードでクラスタを作成します。クラスタ内のすべてのノードを構成したら、ベンダーのクラスタウェアを使用するかどうかにかかわらず、Oracle Clusterwareをインストールし、第4章「Oracle Clusterwareのインストール」の手順に従ってクラスタのコンポーネントを検証します。
クラスタ検証ユーティリティを使用し、第5章「Oracle Database 10g およびOracle Real Application Clustersのインストール」の説明に従ってクラスタの構成を検証します。
事前構成済データベース・イメージをコピーします。前述の手順「元のシングル・インスタンス・データベースのバックアップ」でDBCAを使用して作成したデータベース構造ファイル(*.dbc
)およびデータベースの事前構成済イメージ・ファイル(*.dfb
)を、DBCAを実行するクラスタのノード上の一時的な位置にコピーします。
Oracleデータベース・ソフトウェアのインストール後、OUIはインストール後の構成ツール(ネットワーク・コンフィギュレーション・アシスタント(NetCA)、DBCAなど)を実行します。
DBCA_RAW_CONFIG
を設定していない場合は、DBCAの「初期化パラメータ」ページのファイルの場所タブで、データ・ファイル、制御ファイル、ログ・ファイルなどを対応するRAWデバイス・ファイルと置き換えます。「記憶域」ページでもデフォルトのデータベース・ファイルをRAWデバイスに置き換える必要があります。SYSDBA
とSYSOPER
のロールを持ち、データベース権限を付与されたユーザーのパスワードを変更する必要があります。DBCAを終了すると、変換処理が完了します。
シングル・インスタンス・データベースがクラスタ・コンピュータ上に存在する場合は、次の3つのシナリオが考えられます。
これらのすべてのシナリオについては、次の手順に従って、クラスタ・コンピュータ上のシングル・インスタンス・データベースをRACに変換します。
次の手順に従って、クラスタがインストールされた(Oracle Database 10g およびRACの)Oracleホームから実行されている、クラスタ上のシングル・インスタンス・データベースを変換します。
RACデータベースを作成すると、「パスワード管理」ページが表示されます。このページでは、SYSDBA
とSYSOPER
のロールを持ち、データベース権限を付与されたユーザーのパスワードを変更する必要があります。DBCAを終了すると、変換処理が完了します。
手順1で、DBCAを使用してシングル・インスタンス・データベースの事前構成済イメージを作成していない場合は、次の手順に従って変換を実行します。
dd
コマンドを使用して、データベースのデータ・ファイル、制御ファイル、REDOログおよびサーバー・パラメータ・ファイルを対応するRAWデバイスにコピーします。それ以外の場合は、次の手順に進みます。
CREATE CONTROLFILE
をREUSE
キーワード付きで実行して制御ファイルを再作成し、RAC構成に必要なMAXINSTANCES
やMAXLOGFILES
などを指定します。MAXINSTANCES
のデフォルト値は、32に指定することをお薦めします。
CREATE PFILE='pfile_name' from spfile='spfile_name'
CLUSTER_DATABASE
パラメータをTRUE
に設定し、sid
.
parameter
=
value
構文を使用して、INSTANCE_NUMBER
パラメータをインスタンスごとに一意の値に設定します。シングル・インスタンス・データベースのメモリー使用量を最適化していた場合は、システム・グローバル領域(SGA)のサイズを調整して、RACへの変換時にスワップおよびページングが発生しないようにします。この調整が必要な理由は、RACでは、グローバル・キャッシュ・サービス(GCS)用に、各バッファに約350バイトずつ必要になるためです。たとえば、バッファが10000ある場合、RACは約350×10000バイトの追加メモリーを必要とします。したがって、DB_CACHE_SIZE
パラメータとDB_nK_CACHE_SIZE
パラメータをこれに応じて変更し、SGAのサイズを調整します。
CREATE UNDO TABLESPACE
SQL文を使用して、追加インスタンスごとにUNDO表領域を作成します。RAWデバイスを使用している場合は、UNDO表領域用のデータ・ファイルがRAWデバイス上にあることを確認します。
ALTER DATABASE
を使用して、新しいREDOスレッドを使用可能にします。その後で、データベース・インスタンスを停止します。
ORACLE_SID
名を適切に置換します。
REMOTE_LISTENER=LISTENERS_
DB_NAME
パラメータとsid
.LOCAL_LISTENER=LISTENER_
SID
パラメータをPFILEに追加します。
LOCAL_LISTENER
のアドレス・エントリ、およびtnsnames.ora
ファイルのREMOTE_LISTENER
のアドレス・エントリを構成します。これを行った後、これらをすべてのノードにコピーします。
$ORACLE_HOME/dbs/init
sid
.ora
ファイルを作成します。
spfile='spfile_path_name'
spfile_path_name
変数は、SPFILEの完全パス名です。
SRVCTLを使用してデータベースを起動すると、変換処理は完了します。たとえば、次のSQL文を実行すると、RACデータベースのすべてのインスタンスの状態を確認できます。
select * from v$active_instances
単一ノードのクラスタ(およびRAC)をインストールした後、シングル・インスタンス・データベースの作成前にRAC機能をoracle
バイナリからリンク解除して使用禁止にした場合は、RAC非対応のOracleホームから実行されているクラスタにシングル・インスタンスをインストールできます。(ただし、「ノードの選択」ページでローカル、非クラスタを選択して、クラスタに非RAC対応シングル・インスタンスのホームを作成することもできます。)次の手順に従って、このタイプのシングル・インスタンス・データベースをRACデータベースに変換します。
rdbms
ディレクトリにあるlib
サブディレクトリに変更します。
oracle
バイナリに再度リンクします。
make -f ins_rdbms.mk rac_on make -f ins_rdbms.mk ioracle
シングル・インスタンスのOracle Database 10g のインストール時にOUIの「ハードウェアのクラスタ・インストール・モードの指定」ページで「ローカル・インストール」を選択した場合にのみ、シングル・インスタンスがインストールされているOracleホームから実行されているクラスタにシングル・インスタンスをインストールできます。
このタイプのデータベースをRACデータベースに変換するには、次の項の手順を実行します。
rconfig
またはOracle Enterprise Managerを使用すると、シングル・インスタンスのデータベースのインストールをRACデータベースに簡単に変換できます。1つ目のrconfig
は、コマンドライン・ユーティリティです。Oracle Enterprise Manager Grid Controlのデータベース管理オプション(クラスタ・データベースへの変換)では、GUIによる変換ツールが提供されます。次の項では、これらの変換ツールを使用する方法について説明します。
シングル・インスタンスのデータベースをRACデータベースに変換する前に、RACデータベース・ノードを作成する各クラスタ・ノードで次の条件が満たされていることを確認します。
RACデータベースでは、クラスタ化されたASMインスタンスを使用する必要があります。シングル・インスタンスのデータベースでASM記憶域が使用されている場合は、
注意:
rconfig
を使用してOracleデータベースをRACに変換する前に、ASMインストールをクラスタ対応のASMに変換します。詳細は、「シングル・インスタンスのASMのクラスタASMへの変換」を参照してください。
次に、シングル・インスタンスのOracleデータベースをOracle Real Application Clusters(RAC)データベースに変換するシナリオを示します。
このシナリオでは、rconfig
ユーティリティを使用するか、またはOracle Enterprise Manager Grid Controlのシングル・インスタンスのデータベース・ターゲットでRACへの変換オプションを使用します。
このシナリオでは、OUIおよびデータベース・アップグレード・アシスタント(DBUA)を使用して、シングル・インスタンスのデータベースをOracle Database 10g リリース2(10.2)にアップグレードします。その後で、前述のシナリオで説明したようにrconfig
またはEnterprise ManagerのRACへの変換オプションを使用します。
このシナリオでは、ソース・データベース(変換するデータベース)のホームでrconfig
ユーティリティを使用するか、またはOracle Enterprise Manager Grid Controlのシングル・インスタンスのデータベース・ターゲットでRACへの変換オプションを使用します。プロンプトに従って、ファイル記憶域の場所を指定します。
このシナリオでは、シングル・インスタンスのデータベースのクローン・イメージを作成し、そのクローン・イメージをクラスタ内のノードであるホストに移動します。その後で、前述のシナリオで説明したようにrconfig
またはEnterprise ManagerのRACへの変換オプションを使用します。
コマンドライン・ユーティリティrconfig
を使用して、シングル・インスタンスのデータベースをRACに変換します。この機能を使用するには、次の手順を実行します。
oracle
ユーザーで、$ORACLE_HOME/assistants/rconfig/sampleXMLs
ディレクトリに移動し、viなどのテキスト・エディタを使用してConvertToRAC.xml
ファイルを開きます。
ConvertToRAC.xml
ファイルを確認し、システムに必要なパラメータを変更します。XMLサンプル・ファイルには、ファイルの構成方法を説明するコメント行が含まれています。変更が完了したら、filename.xmlという形式でファイルを保存します。選択した名前を記録しておきます。
$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリに移動し、次の構文を使用してrconfig
コマンドを実行します。rconfig input.xml
input.xmlは、手順2で作成したXML入力ファイルの名前です。
たとえば、convert.xml
というXML入力ファイルを作成した場合は、次のコマンドを実行します。
$ ./rconfig convert.xml
次の例は、rconfigユーティリティ用のXML入力ファイルです。この例のXML入力ファイルは、ASMを使用したシングル・インスタンスのデータベースを、同じOracleホームでASMを使用したRACデータベースに変換するものです。
<n:RConfig xsi:schemaLocation="http://www.oracle.com/rconfig"> - <n:ConvertToRAC> - <!-- Verify does a precheck to ensure all pre-requisites are met, before the conversion is attempted. Allowable values are: YES|NO|ONLY --> - <n:Convert verify="YES"> - <!-- Specify current OracleHome of non-rac database for SourceDBHome --> <n:SourceDBHome>/oracle/product/10.2.0/db_1</n:SourceDBHome> - <!-- Specify OracleHome where the rac database should be configured. It can be same as SourceDBHome --> <n:TargetDBHome>/oracle/product/10.2.0/db_1</n:TargetDBHome> - <!-- Specify SID of non-rac database and credential. User with sysdba role is required to perform conversion --> - <n:SourceDBInfo SID="sales"> - <n:Credentials> <n:User>sys</n:User> <n:Password>oracle</n:Password> <n:Role>sysdba</n:Role> </n:Credentials> </n:SourceDBInfo> - <!-- ASMInfo element is required only if the current non-rac database uses ASM Storage --> - <n:ASMInfo SID="+ASM1"> - <n:Credentials> <n:User>sys</n:User> <n:Password>welcome</n:Password> <n:Role>sysdba</n:Role> </n:Credentials> </n:ASMInfo> - <!-- Specify the list of nodes that should have rac instances running. LocalNode should be the first node in this nodelist. --> - <n:NodeList> <n:Node name="node1"/> <n:Node name="node2"/> </n:NodeList> - <!-- Specify prefix for rac instances. It can be same as the instance name for non-rac database or different. The instance number will be attached to this prefix. --> <n:InstancePrefix>sales</n:InstancePrefix> - <!-- Specify port for the listener to be configured for rac database.If port="", alistener existing on localhost will be used for rac database.The listener will be extended to all nodes in the nodelist --> <n:Listener port="1551"/> - <!-- Specify the type of storage to be used by rac database. Allowable values are CFS|ASM. The non-rac database should have same storage type. --> - <n:SharedStorage type="ASM"> - <!-- Specify Database Area Location to be configured for rac database.If this field is left empty, current storage will be used for rac database. For CFS, this field will have directory path. --> <n:TargetDatabaseArea>+ASMDG</n:TargetDatabaseArea> - <!-- Specify Flash Recovery Area to be configured for rac database. If this field is left empty, current recovery area of non-rac database will be configured for rac database. If current database is not using recovery Area, the resulting rac database will not have a recovery area. --> <n:TargetFlashRecoveryArea>+ASMDG</n:TargetFlashRecoveryArea> </n:SharedStorage> </n:Convert> </n:ConvertToRAC> </n:RConfig>
Oracle Enterprise Manager Grid Controlを使用して、シングル・インスタンスのデータベースをRACに変換できます。この機能を使用するには、次の手順を実行します。
oracle
ユーザーのユーザー名とパスワード、および変換するターゲット・データベースのパスワードを指定します。ターゲット・データベースでASMを使用している場合は、ASMのSYSユーザーとパスワードも指定して、「次へ」をクリックします。
情報の入力が終了したら、「次へ」をクリックします。または、情報の入力方法の決定についての情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。
情報の入力が終了したら、「次へ」をクリックします。または、情報の入力方法の決定についての情報が必要な場合は、「ヘルプ」をクリックします。
ASMを使用するシングル・インスタンスのノードをASMを使用するRACノードに変換するには、次の手順を実行します。
ocr.loc
ファイルを削除します。ocr.loc
ファイルは/var/opt/oracle
にあります。
oracle
ユーザーでログインし、DBCAをサイレント・モードで実行してASMを構成解除します。DBCAをサイレント・モードで実行するには、$ORACLE_HOME/binディレクトリに移動し、ローカル・ノードで次のコマンド構文を使用します。
dbca -silent -deleteASM
シングル・インスタンスのASMを削除しても、データは失われません。
変換の終了後は、RACドキュメントで説明されているとおり、RAC環境に関する次の推奨事項に注意してください。
RACでのバッファ・キャッシュおよび共有プールの容量に関する要件は、シングル・インスタンスのOracleデータベースでの要件よりもわずかに大きくなります。このため、バッファ・キャッシュのサイズを約10%、共有プールのサイズを約15%増加する必要があります。
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