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複数の CORBA ドメインを設定する

次の 3 つのコンフィギュレーション・ファイルを使用して複数のドメインを設定します。

コンフィギュレーション・ファイル

複数のドメインを設定するには、UBBCONFIG ファイルで以下のパラメータを指定する必要があります。

ドメイン名

シングル・ドメイン (スタンドアロン・ドメイン) ではこのパラメータは不要ですが、別のドメインに接続されたドメインでは、DOMAIN ID を指定する必要がありますこのパラメータは、UBBCONFIG ファイルの RESOURCES セクションで次のように指定します。

DOMAIN ID = <domain-name>

<domain-name> は、1 〜 13 文字の範囲で指定しなければなりません。次に例を示します。

DOMAIN ID = headquarters

<domain-name> は、関連する DMCONFIG ファイルの DM_REMOTE_SERVICES および DM_LOCAL_SERVICES セクションで参照される名前です。<domain-name>は次の形式で参照されます。

"//<domain-name>"

二重引用符も参照の一部として必要です。スラッシュ (//) は、この名前が BEA Tuxedo ATMI ドメインではなく BEA Tuxedo CORBA ドメインに適用されることを意味します。次に例を示します。

"//headquarters"

注記 企業内の各ドメインには、一意の<domain-name>を指定する必要があります。

ゲートウェイ・グループとゲートウェイ・サービス

その他のシステム・サービス同様、ゲートウェイにもグループ名とサービス名を指定する必要があります。たとえば、GROUPS セクションで次のように指定します。

LGWGRP     GRPNO=4     LMID=LDOM

この例では、LGWGRP はユーザが選択した名前です (ここでは「Local Gateway Group」の略と考えられます)。

ドメイン・ゲートウェイのサービス名は GWTDOMAIN で、ほかのグループ同様、サーバ・グループおよびサーバ ID と関連付ける必要があります。サービス名は、選択したサーバ・グループ名と関連付けられた SERVERS セクションで指定します。次に例を示します。

GWTDOMAIN SRVGRP=LGWGRP SRVID=1

これにより、ドメイン・ゲートウェイが使用されていること、および DMCONFIG ファイルに関連情報があることが BEA Tuxedo CORBA サーバに通知されます。

ドメイン・コンフィギュレーション・ファイル (DMCONFIG)

ドメインごとに 1 つの DMCONFIG ファイルが必要です。このファイルでは、ローカル・ドメイン (DMCONFIG ファイルが存在するドメイン) とリモート・ドメイン (それ以外のドメイン) の関係を指定します。DMCONFIG ファイルには、コア BEA Tuxedo ドメインと BEA Tuxedo CORBA ドメインに関する情報が格納されています。

以下の節では、BEA Tuxedo CORBA ドメインに適用される情報について説明します。DMCONFIG ファイルに関するほかの説明では、ローカル・ドメインとリモート・ドメイン間の通信は BEA Tuxedo ATMI サービスをベースにしていると記載されていますが、この概念は BEA Tuxedo CORBA 環境には適用されません。BEA Tuxedo CORBA 環境での「サービス」名は、BEA Tuxedo CORBA 要求を処理する別の BEA Tuxedo ドメインの名前になります。

DMCONFIG ファイルは 8 つのセクションで構成されますが、その内 DM_ROUTING は BEA Tuxedo CORBA 環境には適用されません。それ以外の 7 つのセクションは BEA Tuxedo CORBA 環境に適用されますが、BEA Tuxedo ATMI パラメータの大部分は使用されません。この 7 つのセクションとは、DM_RESOURCESDM_LOCAL_DOMAINSDM_REMOTE_DOMAINSDM_LOCAL_SERVICESDM_REMOTE_SERVICESDM_ACCESS_CONTROL、およびDM_TDOMAIN です。

次の節では、リスト 3-1 に示す DMCONFIG ファイルの例を説明します。

DMCONFIG ファイルの例

#
# BEA Tuxedo CORBA ドメイン・コンフィギュレーション・ファイル
#
*DM_RESOURCES
VERSION=Experimental8.9
*DM_LOCAL_DOMAINS
LDOM GWGRP=LGWGRP TYPE=TDOMAIN DOMAINID="MUTT"
*DM_REMOTE_DOMAINS
TDOM1 TYPE=TDOMAIN DOMAINID="JEFF"
*DM_TDOMAIN
LDOM NWADDR="//MUTT:2507"
TDOM1 NWADDR="//JEFF:3186"
*DM_LOCAL_SERVICES
"//MUTT"
*DM_REMOTE_SERVICES
"//JEFF" RDOM=TDOM1

DM_RESOURCES

DM_RESOURCES セクションには、VERSION フィールドしかありません。このフィールドはソフトウェアによってチェックされません。アプリケーションに関する情報をユーザが入力するために用意されたフィールドです。

*DM_RESOURCES
VERSION=Experimental8.9

DM_LOCAL_DOMAINS

DM_LOCAL_DOMAINS セクションでは、ローカル・ドメインに外部からアクセスする際のゲートウェイの属性を指定します。このセクションには、UBBCONFIG ファイルで指定されたゲートウェイ・グループごとにエントリがあり、これにより、ほかのドメインからローカル・ドメインへのアクセスを実現できます。各エントリでは、グループで実行中のドメイン・ゲートウェイ・プロセスに必要なパラメータを指定します。

エントリの形式は次のとおりです。

LDOM 必須パラメータ [オプション・パラメータ]

LDOM は、ローカル・ドメインのゲートウェイの参照に使用される識別子です。LDOM は、企業内のすべての LDOMRDOM エントリで (相互接続されるすべてのドメイン間で) 一意でなければなりません。LDOM は、UBBCONFIG ファイルで指定された <domain-name> またはゲートウェイ・グループと同じではありません。LDOM は、DMCONFIG ファイル内でのみ使用される名前で、UBBCONFIG ファイルが変更された場合の影響を限定します (UBBCONFIG ファイルの変更は、DMCONFIG のこの部分にのみ反映されます)。

以下は、必須パラメータです。

GWGRP = identifier

このパラメータは、このローカル・ドメインを表すゲートウェイ・サーバ・グループの名前 (UBBCONFIG ファイルで指定される名前) を指定します。

TYPE = TDOMAIN

TYPE パラメータは、BEA Tuxedo CORBA 環境のドメインを使用することを指定するために必要です。

DOMAINID = string

DOMAINID パラメータは、セキュリティ上の目的でローカル・ドメインを識別するために指定します。GWGRP のゲートウェイ・サーバ・グループは、セキュリティ・チェック時にこの文字列を使用します。UBBCONFIG ファイルの RESOURCES セクションにある <domain-name> と対応させる必要はありません。DOMAINID は、ローカル・ドメインとリモート・ドメインの両方にわたり、一意でなければなりません。string の値には、一連の文字 "BA.CENTRAL01"など) か、0x で始まる 16 進数 "0x0002FF98C0000B9D6"など) を指定できます。DOMAINID は、32 以下のオクテットで指定する必要があります。文字列を指定する場合は、32 文字以内で指定する必要があります (最後のヌルを含む)。

たとえば、次の例を考えます。

*DM_LOCAL_DOMAINS
LDOM GWGRP=LGWGRP TYPE=TDOMAIN DOMAINID="MUTT"

ここでは、LDOM がローカル・ドメインへのアクセス・ポイントとして指定されています。LDOM はサービス・グループ LGWGRP (UBBCONFIG ファイルで指定) と関連付けられています。ゲートウェイが常にドメイン間のセキュリティ・チェックの対象になる場合、MUTT の名前で通過します。

オプション・パラメータは、ドメイン・ゲートウェイの操作で使用する資源と最大値/最小値を指定します。これらのパラメータの詳細については、『ファイル形式、データ記述方法、MIB、およびシステム・プロセスのリファレンス』の dmconfig(5) リファレンス・ページを参照してください。

DM_REMOTE_DOMAINS

DM_REMOTE_DOMAINS セクションでは、リモート・ドメインへのゲートウェイの属性を指定します。このセクションには、UBBCONFIG ファイルで定義された、リモート・ドメインに要求を送信するゲートウェイ・グループごとに 1 つのエントリがあります。各エントリでは、グループで実行中のドメイン・ゲートウェイ・プロセスに必要なパラメータを指定します。

エントリの形式は次のとおりです。

RDOM 必須パラメータ

RDOM は、リモート・ドメインへのアクセスを提供するゲートウェイの参照に使用される識別子です。RDOM は、企業内のすべての LDOMRDOM エントリで (相互接続されるすべてのドメイン間で) 一意でなければなりません。RDOM は、UBBCONFIG ファイルで指定された <domain-name> またはゲートウェイ・グループと同じではありません。RDOM は、DMCONFIG ファイル内でのみ使用される名前で、UBBCONFIG ファイルが変更された場合の影響を限定します (UBBCONFIG ファイルの変更は、DMCONFIG のこの部分にのみ反映されます)。

必須パラメータは以下のとおりです。

TYPE = TDOMAIN

TYPE パラメータは、BEA Tuxedo CORBA 環境のドメインを使用することを指定するために必要です。

DOMAINID = string

DOMAINID パラメータは、セキュリティ上の目的でリモート・ドメインを識別するために指定します。ゲートウェイは、セキュリティ・チェック時にこの文字列を使用します。DOMAINID は、UBBCONFIG ファイルの RESOURCES セクションにある <domain-name> と対応させる必要はありません。DOMAINID は、ローカル・ドメインとリモート・ドメインの両方にわたり、一意でなければなりません。string の値には、一連の文字 "BA.CENTRAL01" など) か、"0x" で始まる 16 進数 "0x0002FF98C0000B9D6" など) を指定できます。DOMAINID は、32 以下のオクテットで指定する必要があります。文字列を指定する場合は、32 文字以内で指定する必要があります (最後のヌルを含む)。

リモート・ドメインに関連付けられたエントリは、複数回指定できます。最初の指定 (リモート・ドメインへの接続が最初に試行されるときの接続先) は、一次アドレスと見なされます。一次エントリの NWADDR を使用してネットワーク接続が確立できない場合、2 番目のエントリに関連付けられた NWADDR が使用されます。(NWADDR は物理アドレスになります。DM_TDOMAIN を参照してください)。

たとえば、次の例を考えます。

*DM_REMOTE_DOMAINS
TDOM1 TYPE=TDOMAIN DOMAINID="JEFF"

TDOM1 がゲートウェイのアクセス・ポイント名として指定されています。ゲートウェイが、通信相手のゲートウェイとともに常にドメイン間セキュリティ・チェックの対象となる場合、ゲートウェイは通信相手が JEFF の名前で通過すると見なします。

DM_TDOMAIN

DM_TDOMAIN セクションでは、BEA Tuxedo CORBA ドメインをインプリメントするゲートウェイのネットワーク・アドレス情報を定義します。リモート・ドメインからの要求を受信するドメイン・ゲートウェイ、およびリモート・ドメインに要求を送信するドメイン・ゲートウェイごとに 1 つのエントリが必要です。

各エントリの形式は次のとおりです。

DOM 必須パラメータ [オプション・パラメータ]

DOM は、ローカル・ドメイン・アクセス・ポイント (DM_LOCAL_DOMAINS セクションの LDOM) またはリモート・ドメイン・アクセス・ポイント (DM_REMOTE_DOMAINS セクションの RDOM) を識別する値です。

以下は、必須パラメータです。

NWADDR = string 

このパラメータを使用して、ローカル・ドメインまたはリモート・ドメインに関連するネットワーク・アドレスを指定します。ローカル・ドメインと関連がある場合は、NWADDR を使用して、ほかのドメインからの接続を受け付けます。リモート・ドメインと関連がある場合は、NWADDR を使用して接続を開始します。このパラメータは、プロセスが接続指示受け付けアドレスとして使用するネットワーク・アドレスを指定します。ドメイン・ゲートウェイに対する接続指示受け付けアドレスは、アプリケーションに参加しているほかのゲートウェイ・プロセスの通信手段となります。文字列の形式が "0xhex-digits" または "\\xhex-digits" の場合、偶数の有効な 16 進数を含める必要があります。これらの形式は、TCP/IP アドレスを含む文字配列に内部変換されます。このアドレスは、次の 2 つの形式のいずれかで指定することもできます。

      "//host.name:port_number" 
      "//#.#.#.#:port_number" 

最初の形式の場合、hostname は、アドレスがバインドされるとき(gethostbyname(3c) でローカル設定名前解決機能を使用)に TCP/IP ホスト・アドレスに解決されます。"#.#.#.#" はドットで区切った 10 進数の形式で、各 # は 0 から 255 までの 10 進数です。

Port_number は、0 〜 65535 の 10 進数です (指定された文字列の 16 進表現)。次に例を示します。

*DM_TDOMAIN
LDOM NWADDR="//MUTT:2507"
TDOM1 NWADDR="//JEFF:3186"

上の例では、最初のエントリでゲートウェイにドメイン・アクセス名 LDOM (UBBCONFIG で指定されたローカル・ゲートウェイ・グループ LGWGRP に対応) が指定されています。DM_LOCAL_DOMAINSLDOM が指定されているので、このゲートウェイはほかのドメインからの要求を受け付けるように設定されていることがわかります。このゲートウェイはアドレス "//MUTT:2507" で要求をリッスンします。同様に、2 番目のエントリでは、リモート・ドメインに要求を送信する際のドメイン・アクセス名 TDOM1 ( DM_REMOTE_DOMAINS に対応) が指定されています。この場合、TDOM1 に関連付けられたゲートウェイが、アドレス "//JEFF:3186" に要求を送信します。

オプション・パラメータの詳細については、『ファイル形式、データ記述方法、MIB、およびシステム・プロセスのリファレンス』 の dmconfig(5) リファレンス・ページを参照してください。

DM_REMOTE_SERVICES

DM_REMOTE_SERVICES セクションでは、リモート・ドメインのゲートウェイのその他の属性を指定します。各エントリの形式は次のとおりです。

service  RDOM=<rdom-name>
[LDOM=<ldom-name>]
[TRAN_TIME=...]

service の形式は次のとおりです。

"//<domain-name>"

この <domain-name> は、UBBCONFIG ファイルの RESOURCES セクションにある <domain-name> と同じです。各エントリで rdom-name を指定し、オプションで ldom-name を指定します。ゲートウェイは、これらのエントリの属性を使用して、BEA Tuxedo CORBA ドメイン通信に必要なゲートウェイ・ペアを確立します。起動時に、ローカル・ドメインは rdom-name (DM_TDOMAIN セクションで指定されたアドレス) の属性を使用して、ほかのドメインのゲートウェイへの接続を確立します。セキュリティ機能を使用する場合は、相互認証のために rdom-nameldom-name のその他の属性が使用されます。実行時には、BEA Tuxedo が要求を <domain-name> のドメインに送信することを決定します。この場合、rdom-name で指定されたゲートウェイを使用して、別のドメインに要求が送信されます。

大抵の場合、<domain-name>rdom-name のアドレスで指定されたドメインの名前になります。この場合、要求が最終目的地のゲートウェイに到達すると、そのドメイン内で処理されます。次に例を示します。

*DM_REMOTE_SERVICES
"//JEFF" RDOM=TDOM1

この場合、ドメイン名 JEFF はアドレス "//JEFF:3186" にあります。このアドレスには、ドメイン名が JEFF に指定された UBBCONFIG ファイルがある場合とない場合があります。このファイルがある場合は、要求を直ちに処理できます。

指定したdomain-nameに対する要求を、ルーティングの中継点として機能する中間ドメインに送信するエントリを設定することもできます。

オプション・パラメータの TRANTIME = integer では、関連するサービスに対するトランザクションを自動的に開始するまでのデフォルトのタイムアウト値を秒単位で指定します。この値は、0 以上 2147483648 未満でなければなりません。デフォルトは 30 秒です。0 を指定すると、マシンの最大タイムアウト値に設定されます。

DM_LOCAL_SERVICES

DM_LOCAL_SERVICES セクションでは、外部からローカル・ドメインへの要求を受け付けるゲートウェイのその他の属性を指定します。

このセクション内にある各行の形式は次のとおりです。

service  [LDOM=<ldom-name>]
[ACL=...]

service の形式は次のとおりです。
"//<domain-name>"

この<domain-name>は、UBBCONFIG ファイルの RESOURCES セクションにある<domain-name>と同じです。大抵の場合、この名前はゲートウェイが存在するドメインの名前になります。これは、この (ローカル) ドメインがほかのドメインから BEA Tuxedo CORBA 環境の要求を受け付けることを意味します。ローカル・ドメインがルーティングの中継点として機能する場合、異なるドメイン名の要求を受け付けるエントリを設定することもできますが、セキュリティ上必要な場合以外は不要です。

エクスポートされたサービスは、TUXCONFIG ファイルの SERVICES セクション内のエントリのサービスに対して指定された特性か、またはデフォルトの特性を継承します。継承される特性として、LOADPRIOAUTOTRANROUTINGBUFTYPETRANTIME があります。

オプション・パラメータの ACL = identifier では、アクセス制御リスト (ACL) の名前を指定します。ローカル・ドメインはこのリストを使用して、リモート・ドメインからこのサービスへの要求を制限します。ACL の名前は、DM_ACCESS_CONTROL セクションで定義します。このパラメータを指定しないと、このサービスに対する要求についてアクセス制御が実行されません。

たとえば、次の例を考えます。

*DM_LOCAL_SERVICES
"//MUTT"

このドメインで MUTT という名前のドメインに対する要求を受け付けるように指定されています。

DM_ACCESS_CONTROL

DM_ACCESS_CONTROL セクションでは、ローカル・ドメインで使用するアクセス制御リストを指定します。このセクション内にある各行の形式は次のとおりです。

ACL_NAME 必須パラメータ

ACL_NAME は、アクセス制御リストを識別するための (識別子の) 名前で、15 文字以下で指定する必要があります。

以下は、必須パラメータです。

ACLIST = identifier [,identifier] 

ACLIST には、1 つ以上のリモート・ドメイン名 (RDOM) をカンマで区切って指定します。ワイルドカード文字 (*) を使用すると、DM_REMOTE_DOMAINS セクションで定義したすべてのリモート・ドメインがローカル・ドメインにアクセスできることを指定できます。

注記 factory_finder.ini ファイルと DMCONFIG ファイルの内容は対応していなければなりません。つまり、factory_finder.ini ファイルでファクトリにアクセス可能な別のドメインが宣言されている場合、DMCONFIG ファイルでもそのドメインにアクセスできるように設定されていなければなりません。

factory_finder.ini ファイル

管理者は、別の (リモート) /Domain に存在するファクトリ・オブジェクトで、現在の (ローカル) /Domain で使用可能なファクトリ・オブジェクトを識別する必要があります。これらのファクトリは、FactoryFinder ドメイン・コンフィギュレーション・ファイル (factory_finder.ini ファイル) で識別します。このファイルは ASCII 形式のファイルであり、テキスト・エディタを使用して作成したり、更新できます。

factory_finder.ini ファイルを使用して、ローカル・ドメインで使用可能なリモート CORBA ファクトリを識別することができます。

factory_finder.ini ファイルの形式は、以下に示すように、/Domains を記述する構文に準拠しています。

*DM_REMOTE_FACTORIES
"local_factory_id.factory_kind"
DOMAINID="domain_id"
RNAME="remote_factory_id.factory_kind"
...
*DM_LOCAL_FACTORIES
"factory_id.factory_kind"
...

以下は、CORBA ファクトリ・オブジェクトの構文例です。

*DM_REMOTE_FACTORIES
"AccountFactory.FactoryKind"
DOMAINID="MyAccountFactoryDomain"
RNAME="MyAccountFactory.FactoryKind

各項目の説明は次のとおりです。AccountFactory は、ローカル・ドメインの FactoryFinder にファクトリを登録する名前です。MyAccountFactoryDomain は、リモート・ドメインの名前です。MyAccountFactory は、リモート・ドメインの FactoryFinder にファクトリを登録する名前です。

プロセスが開始されると、マスタ NameManager が factory_finder.ini ファイルを読み込みます。マスタ NameManager の起動方法によって、factory_finder.ini ファイルのどの部分が処理されるかが異なります。マスタ NameManager がアプリケーションの起動処理の一部として初期化モードで起動された場合、ファイルの内容全体が処理されます。この場合、DM_REMOTE_FACTORIES セクションの内容が、インポートするファクトリ・オブジェクトに追加されるエントリになります。

これに対し、マスタ NameManager がプロセスの失敗によって再起動された場合、DM_LOCAL_FACTORIES セクションのみ読み出されます。別のドメインにエクスポートされるファクトリ・オブジェクトを制限する情報を再ロードするには、factory_finder.ini ファイルのこのセクションを再度読み出す必要があります。

注記 マスタ NameManager は、プロセスが開始された場合のみ factory_finder.ini ファイルを読み出すので、たとえば、新しいドメインにインポートするファクトリ・オブジェクトを追加する必要がある場合などに、マスタ NameManager をシャットダウンせずに更新することはできません。

factory_finder.ini ファイルは、そのファイルが存在するドメインに適用されます。このファイルには、DM_REMOTE_FACTORIESDM_LOCAL_FACTORIES の 2 つのセクションがありますが、どちらかのセクションが存在しない場合や、内容が空の場合もあります。

以下の節では、DM_REMOTE_FACTORIES セクションと DM_LOCAL_FACTORIES セクションの使用方法を説明します。

DM_REMOTE_FACTORIES

DM_REMOTE_FACTORIES セクションは、リモート・ドメインで使用可能なファクトリ・オブジェクトの内、ローカル・ドメインのアプリケーションで使用できるようにインポートされるファクトリ・オブジェクトの情報を提供します。このセクションには、リモート・ファクトリ・オブジェクト の識別子がリストされます。オブジェクト登録時に kind 値が "FactoryInterface" に設定された識別子は、このセクションにリストされなければなりません。たとえば、TP Framework によって識別子 Teller でドメイン "Norwest" に登録されたリモート・ファクトリ・オブジェクトのエントリは、次のように指定されます。

*DM_REMOTE_FACTORIES
"Teller.FactoryInterface"
DOMAINID="Norwest"
RNAME="BankTeller.FactoryInterface"

RNAME が指定されていない場合、ファクトリ名で factory_kind を指定し、ファクトリ名を引用符で囲まなければなりません。これらの条件を満たさないと、NameManager が適切なファクトリを検出できません。エントリに factory_kind 値がない場合、デフォルト値の "FactoryInterface" が使用されます。以下の例では、ファクトリ・オブジェクトが識別子 Teller でドメイン "Norwest" に登録されています。RNAME が指定されていないので、factory_kind 値が指定され、ファクトリ名が引用符で囲まれていることに注意してください。

*DM_REMOTE_FACTORIES
"Teller.FactoryInterface"
DOMAINID="Norwest"

マルチ・ドメイン・コンフィギュレーションではファクトリの ID が競合する場合があるので、ファクトリ ID と RNAME パラメータを使用して、ローカル・ドメインでリモート・ファクトリに別の ID または「エイリアス」を指定することができます。リスト 3-2 に、TP Framework によって識別子 BankTeller でドメイン "Norwest" に登録されたリモート・ファクトリの例を 2 つ示します。どちらの例でも、ローカル・ドメインではファクトリを Teller のエイリアスで使用できます。

リモート・ファクトリへのエイリアスの割り当て

#EXAMPLE 1:
*DM_REMOTE_FACTORIES
Teller
DOMAINID="Norwest"
RNAME="BankTeller.FactoryInterface"
#EXAMPLE 2:
*DM_REMOTE_FACTORIES
"Teller.FactoryInterface"
DOMAINID="Norwest"
RNAME="BankTeller.FactoryInterface"

同じリモート・ファクトリに複数のエイリアスを割り当てることもできます。リスト 3-3 の例では、リモート・ファクトリがローカル・ドメインに TellerBankTeller の 2 つのエイリアスで登録されています。

リモート・ファクトリへの複数のエイリアスの割り当て

*DM_REMOTE_FACTORIES
"Teller.FactoryInterface"
DOMAINID="Norwest"
RNAME="BankTeller.FactoryInterface"
"BankTeller.FactoryInterface"
DOMAINID="Norwest"
RNAME="BankTeller.FactoryInterface"

使用上の注意: マルチドメイン・コンフィギュレーションでは、企業のドメイン全体でファクトリ・オブジェクトの識別子が一意でなければなりません。

マルチドメイン・コンフィギュレーションでは、2 つの異なるドメインに同じ factory_id.factory_kind 識別子 ("Teller.FactoryInterface" など) のファクトリ・オブジェクトが存在することはできません。

2 つのドメインで同じ識別子または名前が使用されている場合、ソフトウェアの動作は、BEA WebLogic Enterprise を使用して CORBA ドメイン環境を設定したかどうかによって異なります。

注記 BEA Tuxedo CORBA 環境のシングル・ドメイン・コンフィギュレーションでは、同じ名前の複数のファクトリ・オブジェクトを使用することができます。このようなコンフィギュレーションは、ロード・バランシングを導入する場合のみ使用できます。

ドメイン全体で識別子や名前が一意であることを確認し、このような問題を回避するには、以下に示す 2 つの方法があります。

  1. 企業全体で一意の識別子を使用します。この方法では、すべての識別子をマス タ・リストで管理する必要があります。

  2. factory_finder.ini ファイルで RNAME パラメータを使用して、ローカル NameManager ではエイリアスを使用するように設定します (この場合、ローカ ル・クライアントもリモート・ファクトリ・オブジェクトへのアクセスにエイリ アスを使用するように修正する必要があります)。リスト 3-2 は、 factory_finder.ini ファイルで RNAME パラメータを使用してエイリアスを作 成する例を示しています。

DM_LOCAL_FACTORIES

DM_LOCAL_FACTORIES セクションでは、ほかのドメインにエクスポート可能なローカル・ドメインのファクトリ・オブジェクトを指定します。このセクションは、以下の方法で使用できます。

ファクトリ・オブジェクト登録時に kind 値が "FactoryInterface" に設定された識別子または名前は、このセクションにリストされなければなりません。たとえば、TP Framework によって識別子 Teller で登録されたファクトリ・オブジェクトのエントリは、次のように指定されます。

*DM_LOCAL_FACTORIES
"Teller.FactoryInterface"

NameManager で適切なファクトリ・オブジェクトを検索するには、factory_kind が指定されていなければなりません。factory_kind が指定されていないエントリには、デフォルト値の "FactoryInterface" が適用されます。これにより、CORBA NamingService を使用できます。

factory_finder.ini ファイルでは、"*DM_REMOTE_FACTORIES" で始まるセクションを挿入することにより、リモート・ドメインにエクスポート可能なファクトリの検索方法を指定できます。つまり、このセクションが存在することは、ローカル・ドメインがリモート・ドメインのファクトリを検索できるということを意味します。

ドメイン A の factory_finder.ini に挿入されるエントリの形式は次のとおりです。

*DM_REMOTE_FACTORIES 
fA.FactoryInterface DOMAINID=B

これは、ドメイン A で識別子 fA のファクトリを検索するという要求が、ドメイン B の FactoryFinder によって実行できることを意味します。もちろん、2 つのドメインの UBBCONFIG および DMCONFIG ファイルで、これらのドメイン間のドメイン・ゲートウェイが接続されるように設定されていなければなりません。

このエントリの別の形式を以下に示します。

CDE.FactoryInterface DOMAINID=B RNAME=fA.FactoryInterface

これは、ドメイン A で識別子 "CDE" のファクトリを検索するという要求が、ドメイン B の FactoryFinder で ID fA を使用して実行されることを意味します。エイリアスを呼び出す場合もあります。

注記 ファクトリ ID の最後には ".FactoryInterface" が必要です。このマニュアルのサンプル・コンフィギュレーションではこれが省略されていますが、実際のファイルには必要です。

factory_finder.ini ファイルの詳細については、『ファイル形式、データ記述方法、MIB、およびシステム・プロセスのリファレンス』 の factory_finder.ini ファイルの説明を参照してください。

ローカル・ファクトリ

各ドメインでは、ほかのドメインからアクセスできるファクトリを指定することができます。この場合、*DM_LOCAL_FACTORIES で始まるセクションで指定します。factory_finder.ini ファイルが存在しない場合、存在してもこのセクションがない場合、または空の場合、すべてのローカル・ファクトリはリモート・ドメインからアクセスできます。このセクションが存在し、キーワード None が指定されている場合、そのローカル・ドメインのファクトリはエクスポートできません。つまり、リモート FactoryFinder で検索できるファクトリはありません。このセクションが存在する場合、リモート・ドメインで使用可能なファクトリのリストを指定できます。たとえば、次の例を考えます。

*DM_LOCAL_FACTORIES 
fA.FactoryInterface
fB.FactoryInterface

上の例では、ファクトリ fAfB がほかのドメインから検索できるように設定されています。このセクションにリストされていないその他のファクトリは検索できません。リモート・ファクトリとは異なり、ローカル・ファクトリでエイリアスを使用することはできません。

注記 factory_finder.ini ファイルと DMCONFIG ファイルの内容は対応していなければなりません。つまり、factory_finder.ini ファイルでファクトリにアクセス可能な別のドメインが宣言されている場合、DMCONFIG ファイルでもそのドメインにアクセスできるように設定されていなければなりません。

 

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