WebLogic Integration 10.2 へのアップグレード

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概要

この節では、次のトピックについて説明します。

 


このドキュメントの目的

このドキュメントでは、アプリケーション環境を BEA WebLogic® Integration 8.1.x、8.5 x、および 9.x から BEA WebLogic® Integration 10.2 にアップグレードするために必要な手順を説明しています。アプリケーション環境には、アプリケーション、アプリケーションがデプロイされている WebLogic ドメイン、そのドメインに関連するすべてのアプリケーション データが含まれます。また、データベース サーバ、ファイアウォール、ロード バランサ、LDAP サーバなどの外部リソースが含まれることもあります。

 


WLI の環境

WLI の環境は以下のものから構成されます。

 


WLI のアップグレード プロセスについて

実際にアップグレードを開始する前に、更新が必要な WLI 環境のすべての要素を識別しておくと有効です。また、アプリケーション環境の作成に使用されるタスクを自動化するために必要なソース コード、ツール、スクリプト、およびテンプレートも識別しておく必要があります。

アップグレード プロセスの手順は次のとおりです。

  1. ドメイン内のすべてのマシンのカスタム セキュリティ プロバイダをアップグレードします。
  2. ドメイン内のすべてのマシンのノード マネージャをアップグレードします。
  3. 外部リソース (ファイアウォール、ロード バランサ、データベース、LDAP サーバなど) をアップグレードします。たとえば、WebLogic Integration 10.2 とともに機能するように、Apache 1.3 は 2.0 に、Oracle 8.1.7 は Oracle 9i にアップグレードする必要があります。
  4. WebLogic Integration 10.x9.x、および 8.x のサポート対象のコンフィグレーションを確認および比較します。バージョン WLI 10.2 の仕様に確実に一致するようにコンフィグレーションをアップグレードします。
  5. 管理サーバをホストするマシン上のドメインをアップグレードします。WLI には、手作業による労力を最小限に抑えて WLI 環境をアップグレードできるツールが用意されています。ドメインを 10.2 にアップグレードする際は、ドメイン アップグレード ウィザードが役立ちます。
  6. ドメイン内のすべてのマシンの管理対象サーバをアップグレードします。
  7. アプリケーション プロジェクトおよびソースをアップグレードします。WebLogic Integration では、次のいずれかの方法を使用してアップグレードを行うことができます。
    • Workspace Studio で利用可能なアプリケーション アップグレード ウィザードを使用して 8.1.x または 8.5 x アプリケーションを Eclipse ワークスペースにインポートしてから、WLI 10.2 へのアップグレード プロセスを開始する。
    • または、Ant タスクを使用してコマンドラインから 8.1.x および 8.5 x アプリケーションをアップグレードする。この方法では、8.1.x および 8.5 x の作業ファイルをソース パラメータとして、Eclipse ワークスペースをアップグレード先のパラメータとして使用します。
    • WLI 10.2 への 9.x アプリケーションのアップグレードではコマンドライン ユーティリティや Ant タスクを利用できないため、Workspace Studio を使用する必要があります。

      アップグレードでは、以下のコンポーネントも更新されます。

    1. WebLogic Integration 8.1.x および 8.5 x の要素 (JPD、DTF/XQuery、JCX コントロール、JCS ファイルなど) が WebLogic Integration 10.2 標準に更新される。すべてのファイル拡張子 (.jpd.jpf.app.jcs.jcx.jws など) が .java に変更されます。JPD、DTF、JCX、JCS などすべてのアノテーションも JSR 175 ベースのアノテーション モデルに更新されます。
    2. (省略可能) XQuery 2004 への XQuery 2002 ファイルのアップグレード。場合によっては、これらのファイルは手動で更新する必要があります。
  8. アップグレードしたドメインを使用してアップグレード済みアプリケーションをパブリッシュおよびデプロイします。パブリッシュおよびデプロイは Workspace Studio またはコマンドラインから実行できます。コマンドラインからのパブリッシュおよびデプロイの詳細については、「Ant ビルド ファイルを使用したアプリケーションのビルド」を参照してください。
  9. アップグレード プロセスのログを Workspace Studio で表示し、アップグレードが指定どおりに正常に行われていることを確認します。
  10. アップグレードしたアプリケーションを実行し、[テスト フォーム] タグおよび [プロセス グラフ] タブを使用してアップグレード プロセスが正常に行われたかどうかをテストします。
  11. アップグレードが完了したら、アプリケーションを再コンパイルおよび再デプロイする必要があります。
  12. 注意 : WebLogic·Integration 8.1.x および 8.5.x アプリケーション プロセス インスタンスを適切な環境で完了するまで実行してから、WebLogic Integration 10.2 環境で使用するようにしてください。

 


アップグレード プロセスに影響する変更

WLI 9.2 で行われたアーキテクチャ レベルのいくつかの変更は WLI 10.2 に持ち越されました。これらの変更はアップグレード プロセスに影響を与えます。表 1-1 にこれらの変更を示します。このリリースの新機能の総合的なリストについては、『リリース ノート』を参照してください。

注意 : 表 1-1 は、すべての新機能のリストではありません。この表の機能のために、WebLogic Platform 8.1 アプリケーションのバイナリ互換性が失われ、WebLogic Integration 10.2 へのアップグレード時に自動または手動での変更が必要になります。

表 1-1 アップグレード プロセスに影響する変更
拡張機能
説明
導入されたバージョン
Eclipse ベースの IDE
Workspace Studio IDE は Eclipse に基づくようになった。これにより、オープン ソースと市販ソフトウェアを統合する、標準準拠のソフトウェア開発プラットフォームが実現される。この IDE では、ソース編集、jUnit テスト統合、およびリファクタリングなど、コア Eclipse 機能へのアクセスが提供される。また、複数のランタイムに対応するサーバ プラグインなど、Eclipse Web Tools Platform (WTP) 1.0 プロジェクトの堅牢なツール セットも含まれる。Eclipse 3.2.2 および Eclipse WTP 1.5.4 の詳細については、http://www.eclipse.org を参照。
WebLogic Integration 9.2 以降では、JPD 開発用のデザイン ビューが IDE に用意される。Web サービスや Java コントロールの開発をサポートするデザイン ビューは将来提供される予定である。
注意 : 2005 年 2 月に、BEA は戦略的デベロッパーおよび役員として Eclipse Foundation に加盟し、オープン ソースや標準化組織への関与を深めることになった。
WLI 9.2
Apache Beehive 2.0
Workspace Studio 1.1 では、Apache Beehive 2.0 でのアプリケーション構築を容易にするためのツールが提供される。次の機能もサポートされる。
  • Java コントロール - Plain Old Java Objects (POJO) アーキテクチャに基づく。
  • NetUI - Struts に基づき、ページ フローと JSP タグが含まれる。
Apache Beehive は、J2EE プログラミング タスクを簡易化するために設計されたオープンソース プログラミング モデル。J2EE および Struts の上に構築される。
BEA によって開発された Apache Beehive は、BEA Workspace Studio 製品から発展したものであり、すべての WebLogic アプリケーションのために簡易化された開発モデルを提供する。Apache Beehive の詳細については、http://beehive.apache.org を参照。
WLI 9.2
メタデータ アノテーション
Web サービス、EJB、Java コントロール、および Java ページ フローのプログラミング モデルは、新しい J2SE 5.0 メタデータ アノテーション言語 (JSR-175 で規定) を使用する。このプログラミング モデルでは、アノテーションを使用してコンポーネントの形や特徴を指定する Java ファイルを作成する。これらのアノテーションから、必要な情報 (Java ソース コードやデプロイメント記述子など) をコンパイラが生成する。
指定できるアノテーション :
  • 「Java プラットフォーム用の Web サービス メタデータ仕様」(JSR-181) で定義されている Web サービス アノテーション。詳細については、http://www.jcp.org/en/jsr/detail?id=181 を参照。
  • WebLogic エンタープライズ JavaBeans (EJB) プログラマーズ ガイド』の「EJBGen リファレンス」で定義されている EJB アノテーション。
  • Apache Beehive 2.0 で定義されている Java コントロールと NetUI (ページ フロー) のアノテーション。詳細については、http://beehive.apache.org を参照。
  • WebLogic 固有のアノテーション。セキュリティ ポリシー コンフィグレーション、非同期の障害および応答、会話型 Web サービス サポートなどに対応。詳細については、『WebLogic Web サービス入門』の「JWS ファイルのプログラミング」を参照。
WLI 9.2
Web サービス ポリシー フレームワーク
標準ベースの Web サービス ポリシー フレームワーク (WS-Policy) を使用するように、セキュリティおよび認証のコンフィグレーションが拡張されている。『WebLogic Web サービス プログラマーズ ガイド』の「メッセージレベルのセキュリティのコンフィグレーション」を参照。
WLI 9.2
ALSB コントロール
WLI では、ALSB プロキシを呼び出すことができ、config.xml ファイルを使用して WLS 上のライブラリとしてデプロイされる ALSB コントロールがサポートされる。
ALSB コントロールを使用するには、次に示すように weblogic-application.xml ファイルにライブラリ参照を含める必要がある。
<wls:library-ref>
<wls:library-name>sb-transport-control-10.0</wls:library-name>
<wls:specification-version>10.0</wls:specification-version>
<wls:implementation-version>10.0</wls:implementation-version>
</wls:library-ref>
WLI 8.1.x、8.5.x、または 9.x から WLI 10.2 へのアプリケーションのアップグレード時には、weblogic-application.xml ファイルへのこのエントリの追加がサポートされる。
WLI 10.2
XMLBean および XQuery API の標準
WLI では、XMLBeans および XQuery API の新しい標準がサポートされる。「XMLBeans 実装と XQuery 実装」を参照。
WLI 9.2
ディレクトリ構造の変更
WebLogic Server では、WebLogic ドメイン ディレクトリの構造が次のように拡張されている。
  • コンフィグレーション管理を改善し、XML ファイル検証を促進するために、WebLogic Server が、複数のファイル (新しい domain_name/config ディレクトリでの config.xml など) でのドメイン コンフィグレーション データの指定をサポートする (domain_name でドメイン ディレクトリを指定)。以前のリリースでは、config.xml ファイルがすべてのコンフィグレーション情報のリポジトリでした。現在は、config ディレクトリの新しいサブディレクトリで、診断、JDBC、JMS、Node Manager、およびセキュリティ サブシステムのためのコンフィグレーション モジュールが管理されます。各コンフィグレーション ファイルは、XML スキーマ定義に準拠しています。
  • 起動スクリプトと停止スクリプトが domain_name/bin ディレクトリで管理される。以前のリリースでは、これらのスクリプトはドメインのルート ディレクトリに格納されていました。
ドメイン ディレクトリの構造的な拡張に加え、WebLogic Server ではサーバ コンフィグレーションの変更を管理する新しいユーティリティがサポートされる。このような新しいツールを使用すると、ドメインのコンフィグレーションの変更を配布するためにセキュアで予測可能な手段を実装することができる。詳細については、「ドメインのコンフィグレーションについて」を参照。
WLI 9.2

 


このドキュメントで使用されている用語

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