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WebLogic Integration 入門

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Application Integration

歴史的に見て、従来のメインフレーム システムなどのエンタープライズ情報システム(EIS)、および近年の商取引アプリケーション(ERP や CRM など)は、現代の IT 環境の中核であり続け、全社レベルのビジネス機能を推進し、エンタープライズ業務に不可欠なデータを提供してきました。現在でも、これらのシステムは多くの企業にとって重要なものですが、これらは企業が依存する唯一のシステムではなくなっています。E ビジネス環境では、これらのシステムは相互にリンクされているだけではなく、世界中の顧客、サプライヤ、およびトレーディング パートナによるリアルタイムの情報交換を実現する Web アプリケーションとワイヤレス アプリケーションにもリンクされる必要があります。

こうした要求を満たすために、WebLogic Integration は、アダプタを使用することによってエンタープライズ内統合を実現する Application Integration フレームワークを提供します。また、WebLogic Integration には、企業がカスタム アダプタを作成するために使用できる Adapter Developer Kit (ADK) も用意されています。アダプタを使用すると、企業は元のアプリケーションとデータ構造を変えることなく、接続されたアプリケーション間でデータとビジネス プロセスを共有できます。

以下の節では、WebLogic Integration が提供する Application Integration 機能について説明します。

 


Application Integration フレームワーク

Application Integration フレームワークは、異なるエンタープライズ システムの統合を可能にする以下の主要機能を提供します。

以下の節では、これらの機能について個別に説明します。

J2EE CA ベース アダプタのホスティング

エンタープライズ アプリケーション統合への従来のアプローチは、個々のシステムを相互に接続する、つまり、システムを物理的に直結することです。このアプローチは、複雑さを伴います。異なるシステムを接続するには、それぞれの独自技術に関する低レベルの知識が必要となるからです。この複雑さを取り除くには、アダプタを使用します。

図3-1 EIS アダプタ


 


 

アダプタは、アプリケーションがエンタープライズ データにプログラム的にアクセスするために使用できるソフトウェア コンポーネントです。たとえば、アダプタは Java クラスを使用してエンタープライズ データを表したり、アプリケーションがデータにアクセスするために呼び出せるメソッドを提供したりできます。アプリケーションがアクセス メソッドを呼び出すと、アダプタはそのメソッドを実行してエンタープライズ データを検索します。

J2EE や XML などの標準の幅広い採用は、アダプタ開発の標準アプローチの下地となりました。おそらく、これらのアプリケーション統合における標準の中で最も重要なものは J2EE コネクタ アーキテクチャ(CA)です。J2EE CA は、従来のメインフレーム アプリケーション(CICS など)からパッケージ アプリケーション(PeopleSoft、Siebel、SAP など)までのすべての種類のアプリケーション用のアダプタを開発するための標準アプローチです。J2EE CA などの標準を採用すると、企業は WebLogic Server などの J2EE 準拠アプリケーション サーバで動作するアダプタを開発できます。

WebLogic Integration は、J2EE CA ベース アダプタをホストするための標準ベース アーキテクチャを提供することによって、その Application Integration フレームワークで標準アプローチを採用しています。ADK を使用すると、開発者は J2EE CA 準拠のアダプタを構築し、統合フレームワークでそれらをデプロイして、エンタープライズ アプリケーションを WebLogic Server に接続できます。

アプリケーション ビュー

統合フレームワークは、既存の情報システムをビジネス サービスとして公開できる呼び出し機能をエンタープライズ システムに提供することで、プログラマティック アクセス アダプタの一歩先を行きます。この呼び出しをアダプタのアプリケーション ビューと呼びます。アプリケーション ビューは、統合スペシャリストがアダプタに定義されているプログラム的な詳細を考慮することなくエンタープライズ データにアクセスするためのビジネス指向の方法を提供します。

図3-2 アダプタとアプリケーション ビュー


 

アプリケーション ビューの背後にある概念は非常に単純です。まず、開発者はエンタープライズ システムを WebLogic Server に接続するアダプタをコーディングします。アダプタは、エンタープライズ データにアクセスするアプリケーションの機能を公開します。アダプタが公開する機能は、たとえば SQL 文を使用してデータベース内のレコードを更新したり、BAPI または IDOC インタフェースを使用して SAP システムから情報を要求したりします。次に、ビジネス アナリストは開発者と共同して、WebLogic Integration の Applicaton View Console を使用してアダプタのアプリケーション ビューを定義します。

図3-3 WebLogic Integration Application View Console


 

アプリケーション ビューは、アダプタ内の技術的な詳細を抽象化します。このため、ビジネス アナリストは、アダプタによって公開されるエンタープライズ アプリケーションの機能を、技術的な実装を考慮することなく呼び出すことができます。たとえば、SQL 文を使用してデータベース上のレコードを更新するために、ビジネス アナリストは UpdateRecords というアプリケーション ビューを定義できます。EIS スペシャリストはデータベース レコードを更新する SQL 文を提供し、それらをアプリケーション ビュー定義に組み込みます。

実行時に、UpdateRecords アプリケーション ビューはビジネス プロセスからの XML メッセージによって呼び出されます。このアプリケーション ビューはアダプタを呼び出し、SQL 文をそのアダプタに渡します。アダプタはエンタープライズ データにアクセスし、その結果を UpdateRecords アプリケーション ビューに返します。このアプリケーション ビューは、その結果を別の XML メッセージとしてビジネス プロセスに返します。

アプリケーション ビューのメリット

アプリケーション ビューを使用すると、既存のエンタープライズ アプリケーションを、XML データを入力として受け付け、XML データを出力として返すビジネス サービスとして公開できます。XML をエンタープライズ データを表すための共通フォーマットとして使用すると、異なるシステムを同じような方法で扱うことができます。SAP システムとの統合と Siebel システムとの統合の基本的な違いは、ビジネス アナリストの視点から見た場合、XML メッセージの内容です。統合されるシステムの技術的な詳細が透過的になるため、ビジネス アナリストはビジネス問題を解決するために呼び出されるビジネス サービスに集中できます。

アプリケーション ビューのサービスとイベント

アダプタは、サービスまたはイベント アダプタとして開発できます。サービス アダプタは、接続されるエンタープライズ システムの特定の機能を呼び出します。イベント アダプタは、情報をエンタープライズ システムから統合環境に伝播します。企業は、各アプリケーション ビュー定義にサービスとイベントを好きなだけ追加して、WebLogic Server と対象エンタープライズ システム間の特定の種類のトランザクションをサポートできます。

図3-4 アプリケーション ビューのサービスとイベント


 

アプリケーション ビューに追加された各イベントは、特定のエンタープライズ アプリケーション状態に応答します。特定のイベントがトリガされると、イベント アダプタはエンタープライズ システムからイベントに関するデータを抽出し、アプリケーション ビューを使用してそのデータを XML ドキュメントとして WebLogic Integration 環境に伝播します。

同様に、アプリケーション ビューに追加された各サービスは、エンタープライズ システムの特定の機能を表します。アプリケーション ビューが特定のサービスにマップされる XML ドキュメントを受け取ると、そのアプリケーション ビューはサービス アダプタを使用してエンタープライズ システムの対応する機能を呼び出します。エンタープライズ システムは、その設計方法によって、サービスに応答を送信する場合と送信しない場合があります。

 


ビジネス プロセスとの統合

WebLogic Integration には、アプリケーション ビューとビジネス プロセスの統合を可能にするプラグイン フレームワークが用意されています。アプリケーション ビューとビジネス プロセスを統合するには、統合スペシャリストは以下のことを行います。

この方法を使用すると、アプリケーション ビューの実装の詳細が変更された場合でも、アプリケーション ビューを使用するビジネス プロセスを妨害せずにアプリケーション ビューを更新できます。

 


Adapter Development Kit

WebLogic Integration には、J2EE 準拠の任意の環境(WebLogic Server など)で動作するサービス アダプタとイベント アダプタを開発するための Adapter Development Kit (ADK) が用意されています。ADK は、アダプタの開発、テスト、パッケージ化、および配布を行うための以下のフレームワーク群を提供します。

 


サンプル DBMS アダプタ

WebLogic Integration には、サンプル DBMS アダプタが付属しています。このサンプルは ADK で作成された J2EE CA 準拠アダプタで、アプリケーションがリレーショナル データベースにアクセスする方法を示したものです。開発者はこのサンプル アダプタを使用して、ADK でアダプタを開発する方法を学習できます。

サンプル アダプタには、以下の機能が含まれています。

 

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