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WebLogic Integration 入門

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B2B Integration

エンタープライズは、さまざまな方法で顧客、サプライヤ、およびトレーディング パートナと会話します。多くの企業は、ビジネス通信用に電子データ交換(EDI)を採用しています。この技術を利用して、ビジネス システムは EDI サービス企業が運用するプライベート ネットワーク上で、合意されたメッセージ標準を使用して構造化メッセージを交換します。他の企業は、インターネット上でさまざまなトレーディング パートナと協調協定を締結しています。これらの協定では、トレーディング パートナは既存のバックエンド アプリケーション、データベース、および顧客を結合して、さまざまなビジネス プロトコルを使用するリアル タイム ビジネス トランザクションに参加できるようにする必要があります。

WebLogic Integration は、このようなエンタープライズ間統合を実現する次世代インフラストラクチャを提供します。WebLogic Integration には、メッセージング、接続性、およびビジネス プロトコル用の B2B Integration フレームワークが用意されています。このフレームワークを使用すると、企業はインターネット上で多数のトレーディング パートナと協調協定を締結できます。また、WebLogic Integration を使用すると、EDI 環境と WebLogic Integration を統合できます。

以下の節では、WebLogic Integration が提供する B2B Integration 機能について説明します。

 


B2B Integration フレームワーク

B2B Integration フレームワークは、トレーディング パートナ間のコラボレーションを可能にする以下の主要機能を提供します。

以下の節では、これらの機能について個別に説明します。

会話の定義とモニタ

E ビジネス環境では、トレーディング パートナ間のコラボレーションは、会話と呼ばれるセキュアで調整された形態の下で、XML または非 XML ドキュメントを含んだビジネス メッセージを交換することによって発生します。会話とは、単にトレーディング パートナ間で交換される一連のビジネス メッセージのことです。

図4-1 トレーディング パートナ間の会話


 

図4-1 に示すように、ビジネス メッセージの構成と交換シーケンスは、一般に協調的ビジネス プロセスまたはパブリック ビジネス プロセスによって処理されます。メッセージの構成とシーケンスは、Java メッセージング アプリケーションによっても処理されます。会話には、複雑で長期にわたるものもあれば、短期で終わるものもあります。各会話には、固有の名前が付けられます。会話の各参加者は、会話ロールを持ちます。たとえば、サプライチェーン形態の場合はバイヤまたはサプライヤです。

会話の名前とバージョン、参加者のロール、使用するビジネス プロトコルなど、会話に関するすべての詳細は会話定義に指定されます。統合スペシャリストは、WebLogic Integration B2B Console を使用して、会話定義を作成し、実行中の会話をモニタします。次の図に、トレーディング パートナのコンフィグレーション情報を示します。

図4-2 WebLogic Integration B2B Console


 


 

トレーディング パートナのコンフィグレーションと管理

トレーディング パートナが他のトレーディング パートナと共同して共通のビジネス目的を追求するときには、電子商取引コミュニティが形成されます。電子商取引コミュニティは、さまざまな形式で、さまざまな目的のために存在します。次に、その例を示します。

電子商取引コミュニティの会話に参加するには、統合スペシャリストは B2B Console を使用してトレーディング パートナをコンフィグレーションします。具体的には、トレーディング パートナに会話内で使用する名前を割り当て、ビジネス メッセージの交換に使用する配信チャネルを指定します。

配信チャネルは、トレーディング パートナがどのようにメッセージを送受信するかを定義します。また、会話で使用するビジネス プロトコル(ebXML など)、転送プロトコル(HTTP など)、およびセキュリティ パラメータも指定します。トレーディング パートナは、自身の配信チャネルをコンフィグレーションして、ピア ツー ピア コンフィグレーションで相互に直接通信することや、ハブ アンド スポーク コンフィグレーションでデプロイされている場合は仲介機能を介して通信することができます。

ピア ツー ピア コンフィグレーション

ピア ツー ピア コンフィグレーションでは、トレーディング パートナは RosettaNet または cXML ビジネス プロトコルを使用して、それぞれの配信チャネルを介して直接的に相互通信します。

図4-3 ピア ツー ピア コンフィグレーション


 

このタイプのコンフィグレーションでは、単一のトレーディング パートナが管理エンティティとなり、他のトレーディング パートナがそのエンティティに統合されます。ピア ツー ピア コンフィグレーションは、サプライチェーン形態でエンタープライズとそのサプライヤを統合する場合などに使用されます。

ハブ アンド スポーク コンフィグレーション

ハブ アンド スポーク コンフィグレーションでは、トレーディング パートナは XOCP ビジネス プロトコルを使用して、仲介機能またはルーティング プロキシ配信チャネルを介して相互通信します。

注意: XOCP ビジネス プロトコルは、WebLogic Integration の本リリースより非推奨になりました。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

図4-4 ハブ アンド スポーク コンフィグレーション


 


 

このタイプのコンフィグレーションでは、単一のトレーディング パートナが、会話に参加する他のトレーディング パートナ間のメッセージ交換を仲介するハブとなります。ハブ トレーディング パートナは、メッセージのルーティングやフィルタ処理などのタスクを実行したり、会話内の他のトレーディング パートナにカスタマイズされたサービスを提供したりできます。ハブ アンド スポーク コンフィグレーションは、電子市場のバイヤとセラーをリンクする場合などに使用されます。

ビジネス プロトコルのサポート

トレーディング パートナは、WebLogic Integration がサポートする以下のビジネス プロトコルを使用できます。

コラボレーション アグリーメントの定義と管理

コラボレーション アグリーメントは、B2B Integration の中心コンポーネントです。コラボレーション アグリーメントは、これまで説明してきたすべての要素(会話とロール、協調的ビジネス プロセス、およびトレーディング パートナと配信チャネル)を結合します。統合スペシャリストは、B2B Console を使用してコラボレーション アグリーメントを定義します。定義したコラボレーション アグリーメントにより、トレーディング パートナが会話定義に指定されたロールにマップされます。コラボレーション アグリーメントは、各トレーディング パートナが使用する配信チャネルと各ロールが使用するビジネス プロセスを参照して、ロールが会話内の他のロールと交換するビジネス メッセージのシーケンスを定義します。

セキュリティ サービス

B2B Integration フレームワークが提供するセキュリティ サービスは、WebLogic Server が提供するセキュリティ サービスを土台に構築されています。これらの機能は以下のとおりです。

Zeroweight クライアント サポート

注意: トレーディング パートナ Zeroweight クライアントは、WebLogic Integration の本リリースから非推奨になっています。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

B2B Integration フレームワークは、Zeroweight クライアントをサポートしています。このため、中小規模のエンタープライズや、バックエンド統合の要件がほとんどまたはまったく存在しないエンタープライズであっても、E ビジネス コミュニティに簡単かつ安価に参加できます。こうしたエンタープライズは、Web ブラウザまたはファイル共有クライアントを使用して他のトレーディング パートナと通信できます。ただし、これらのトレーディング パートナの 1 つに WebLogic Integration がデプロイされている必要があります。Zeroweight クライアント サポートを使用することで、トレーディング パートナは社内の技術リソースを投入するよう他のパートナに要求せずに、それらのパートナを共有ビジネス プロセスに加えることができます。また、自社の統合ソリューションをより多くのパートナの間で活用できます。

 


ビジネス プロセスとの統合

WebLogic Integration は、会話内のさまざまなロールを実装する協調的ビジネス プロセスまたはパブリック ビジネス プロセスを作成するためのプラグイン フレームワークを提供します。パブリック プロセスを作成するには、統合スペシャリストは以下のことを行います。

パブリック ビジネス プロセスは、通常プライベート ビジネス プロセスに統合されます。プライベート プロセスの設計と定義は、オーガニゼーションによって異なります。プライベート プロセスはオーガニゼーションの外部からは見えず、通常バックエンドのビジネス システムに統合されています。図4-1 に示したように、プライベート プロセスは社内のビジネス アクティビティ(データベースからの情報の検索など)を実行し、その結果をパブリック プロセスに返すことができます。返された結果は、トレーディング パートナに転送されます。

 


B2B アプリケーション開発用の API とロジック プラグイン

WebLogic Integration には、開発者が B2B アプリケーションの作成に使用できる以下のアプリケーション プログラミング インタフェース(API)と Java クラスが用意されています。

 


サンプル

WebLogic Integration には、統合スペシャリストが B2B Integration ソリューションをモデル化するために使用できる以下のサンプルが用意されています。

Hello Partner

Hello Partner サンプルに、ハブ アンド スポーク コンフィグレーションで、2 つ以上のトレーディング パートナがどのようにビジネス通信に参加できるかが示されています。各トレーディング パートナには、パブリックおよびプライベート ビジネス プロセスが含まれています。

パブリック ビジネス プロセスは、XOCP プロトコルを使用してメッセージを交換するパートナ間通信を処理します。プライベート プロセスは、メッセージの内容を処理します。プライベート プロセスは、パブリック プロセスと会話してメッセージをトレーディング パートナに配信し、関連付けられている Java アプリケーションと会話してメッセージの内容を処理します。

注意: XOCP ビジネス プロトコルは、WebLogic Integration の本リリースより非推奨になりました。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

Channel Master

Channel Master サンプルには、大規模トレーディング パートナが WebLogic Integration を使用してそのサプライ チェーンを自動化する方法が示されています。

トレーディング パートナ間の会話は、次の順序で発生します。

  1. チャネル マスタ バイヤは、特定のアイテムの価格と在庫状況を 2 社のトレーディング パートナにブロードキャストします。このブロードキャストは、XOCP プロトコルを使用したマルチキャスト通信の例です。

    注意: XOCP ビジネス プロトコルは、WebLogic Integration の本リリースより非推奨になりました。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

  2. 2 社のサプライヤ トレーディング パートナは、バイヤ トレーディング パートナに対して、要求されたアイテムの価格と在庫状況を記述した見積もりを返信します。これは、バイヤとのポイント ツー ポイント通信の例です。

  3. バイヤは、いずれかのサプライヤを選択して発注書を送信します。

  4. 選択されたサプライヤは、発注確認書を返信します。

このバイヤとサプライヤ間の会話も、ポイント ツー ポイント通信の例を示しています。

RosettaNet 2.0 Security

RosettaNet サンプルには、WebLogic Integration を使用して RosettaNet 2.0 PIP 3A2 および PIP 0A1 をワークフローで実装する方法が示されています。このサンプルは、RosettaNet 2.0 PIP 3A2 標準に準拠するビジネス メッセージを交換する 2 社のトレーディング パートナを示したものです。

トレーディング パートナ間の会話は、次の順序で発生します。

  1. 顧客トレーディング パートナは、サプライヤ トレーディング パートナに価格および在庫の要求を送信します。

  2. サプライヤは、その要求を受領したことを示す確認書を返信します。

  3. サプライヤは、続いて価格および在庫状況を返信します。

  4. 顧客は、返信を受領したことを示す確認書をサプライヤに送信します。

Zeroweight クライアント

注意: トレーディング パートナ Zeroweight クライアントは、WebLogic Integration の本リリースから非推奨になっています。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

Zeroweight クライアント サンプルには、WebLogic Integration がインストールされていない要求側トレーディング パートナと応答側トレーディング パートナ間でどのように会話を行うことができるかが示されています。通信は、2 種類の Zeroweight クライアントを使用して行われます。要求側トレーディング パートナは Web ブラウザ クライアントを使用し、応答側はファイル共有クライアントを使用します。

このサンプルでは、要求側は Web ブラウザを使用して JSP にアクセスします。この JSP は、Zeroweight クライアントを処理するようコンフィグレーションされているリモートの WebLogic Integration から提供されます。JSP はメールボックスを作成し、応答側はファイル共有クライアントを使用してこのメールボックスにアクセスします。

Messaging API

注意: Messaging API は WebLogic Integration リリース 7.0 より非推奨となりました。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

Messaging API サンプルには、同期メッセージングと遅延同期メッセージングの 2 つの配信方法が示されています。同期メッセージングを使用する場合、メッセージを送信するトレーディング パートナは、受信側トレーディング パートナからの返信を待ってからでなければ他のタスクの実行を継続できません。遅延同期メッセージングを使用する場合、送信側パートナは受信側パートナからの返信を待たずに他のタスクの実行を継続できます。

トレーディング パートナ間の会話は、次の順序で発生します。

  1. パートナ 1 は、パートナ 2 に遅延同期メッセージを送信します。ロジック プラグインは、メッセージの配信を 15 秒間遅らせます。ロジック プラグインは、実行時にビジネス メッセージをインターセプトして処理する Java クラスです。

  2. 遅延の間、パートナ 1 はパートナ 3 に同期メッセージを送信します。

  3. パートナ 1 に制御が戻ると、パートナ 1 は最初のメッセージがパートナ 2 によって受信されたかどうかをチェックします。

  4. パートナ 3 は、パートナ 1 に応答を送信します。

  5. パートナ 2 は、パートナ 1 に応答を送信します。

ebXML

ebXML サンプルでは、2 つのワークフローの例を示します。一方は開始者のロールの設計、他方は Query Price and Availability (QPA) 会話の参加者のロールです。どちらのワークフローも、WebLogic Integration をデプロイしている 2 つのトレーディング パートナ間の ebXML ベースのビジネス プロセス管理に使用できるように設計されています。

 


EDI 統合

電子データ交換(EDI)は、企業が構造化かつ標準化された方法で相互に通信するための手段です。EDI 環境では、企業はコンピュータ システム間でビジネス メッセージを交換することによって、注文または金融取引を行います。EDI メッセージは合意されたメッセージ標準に従って構造化されており、人間の介在なしに自動処理されます。EDI メッセージの構造化データは、付加価値ネットワーク(VAN)と呼ばれるプライベート ネットワーク上で交換されます。VAN は EDI サービス企業によって管理およびサポートされ、電子郵便局のような役割を果たして、電子メッセージを送信側から受信側システムにルーティングします。

EDI 統合機能により、EDI 環境と WebLogic Integration が接続され、XML ベースのトランザクションと EDI ベースのトランザクションを統合できるようになります。

図4-5 EDI 統合


 


 

EDI と WebLogic Integration を接続するために、WebLogic Integration には次の2つのコンポーネントが提供されています。

また、WebLogic Integration には、統合スペシャリストがビジネス プロセスと EDI システムを統合するために使用できるアプリケーション ビューも内蔵されています。ビジネス プロセスでアプリケーション ビュー サービスを使用すると、アプリケーションは XML メッセージを使用して 、EDI システムの特定の機能を呼び出すことができます。

アプリケーション ビュー イベントを使用すると、EDI システムは EDI メッセージを使用して WebLogic Integration に情報を伝播できます。EDI から XML、およびその逆への変換は、Power.Enterprise! が提供する EDI サーバ、Power.Server! にバンドルされている EDI-to-XML トランスフォーメーション エンジンによって処理されます。

サンプル EDI アプリケーション

WebLogic Integration には、EDI サンプル アプリケーションが用意されています。このサンプルには、WebLogic Integration と EDI Connect for WebLogic Integration アドオンを使用して VAN 上で EDI 発注情報を交換する方法が示されています。このサンプル アプリケーションでは、サプライヤ トレーディング パートナは WebLogic Integration の EDI 統合機能を使用して VAN 上でバイヤに接続します。

バイヤとサプライヤ間の会話は、次の順序で発生します。

  1. バイヤ トレーディング パートナは、VAN を介してサプライヤに EDI 発注書を送信します。

  2. Power.Server! にバンドルされている EDI-to-XML トランスフォーメーション エンジンは、発注書を XML に変換します。

  3. この XML ドキュメントにより、サプライヤ アプリケーションのビジネス プロセスがトリガされます。このビジネス プロセスにより、XML 発注確認書が生成されます。

  4. サプライヤは、確認書をトランスフォーメーション エンジンに転送します。確認書はそこで EDI に変換され、VAN を介してバイヤに転送されます。

 

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