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WebLogic Integration 入門

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Business Process Management

ビジネス プロセスは、企業の成功に不可欠なものです。ビジネス プロセスは、全社レベルのタスク、アクション、およびイベントを、ビジネス アクティビティを押し進める連続的なフローに統合します。ビジネス プロセスには、単に異なる部門間の会話を調整する内部的なものと、トレーディング パートナ間のコラボレーションを管理するパブリックなものがあります。またビジネス プロセスには、1 つのトランザクションと同じくらい短いものもあれば、数日または数週間にわたる長期のものもあります。

アプリケーション、システム、およびユーザを単一の統合化されたソリューションに統合するための鍵は、ビジネス プロセスを管理する能力です。WebLogic Integration は、エンタープライズの内部のさまざまなアプリケーションを 1 つのシステムに統合し、かつエンタープライズの外部のトレーディング パートナ間の情報交換を調整するための包括的な機能を提供します。

以下の節では、WebLogic Integration に用意されている Business Process Management (BPM) 機能について説明します。

 


ビジネス プロセスの開発

WebLogic Integration は、アプリケーション、システム、ユーザに及ぶ複雑なエンタープライズ レベルのプロセスを設計、実行、およびモニタするために必要な機能を提供します。WebLogic Integration には、エンタープライズ全体のビジネス プロセスの実行を管理する Java ベースのプロセス エンジンが組み込まれています。

図2-1 Business Process Management の機能


 

設計

統合スペシャリストは、WebLogic Integration Studio を使用してプロセスを設計します。Studio には、使い慣れたフローチャート要素を使用してワークフローをモデル化できるグラフィカル インタフェースが用意されています。ワークフローは、ビジネス プロセスをグラフィカルに表現したものです。

図2-2 WebLogic Integration Studio


 


 

ワークフローをモデル化するには、統合スペシャリストはまず必要な要素を特定します。次に、Studio を使用してプロセス フローを定義し、個々の要素を適切な順序に配列して、ワークフロー テンプレート定義を作成します。Studio で作成したテンプレート定義は、テンプレート ストアに保存されます。テンプレート ストアは、Oracle や SQL Server などの JDBC データベースを通じて実装されます。

テンプレート定義には、ノードと呼ばれる幾何学シェイプが含まれます。ノードは、すべての必須アクティビティが適切な順序でリンクされたビジネス プロセス フローをグラフィカルに表します。WebLogic Integration Studio には、以下のノードが用意されています。

表2-1 ワークフロー ノード

シェイプ

名前

説明


開始

ワークフローの始まり。


タスク

ワークフロー内の作業単位または独立したアクティビティ。


分岐

評価される必要があるワークフロー内の条件。


イベント

XML メッセージの受信によってアクティブ化できる待機状態。


And 結合

ワークフローの 2 本の異なるパスの結合。フローを継続するには、両方のパスを完了する必要がある。


Or 結合

ワークフローの 2 本の異なるパスの結合。フローを継続するには、いずれかのパスを完了する必要がある。


完了

ワークフローの最後。


 

ノードには、アクションを組み込むことができます。アクションは、ワークフロー内のノードがアクティブ化されるときに実行される作業単位です。Studio には、さまざまなアクションが用意されています。ワークフローを開始などのアクションを使用すると、ワークフロー全体を管理できます。他のアクションは、図2-1 に示すように、ワークフローと外部のソフトウェアを統合できます。たとえば、アクションが EJB メソッドを呼び出したり、XML メッセージを別のアプリケーションに送信したりする場合などです。

パブリック ビジネス プロセスとプライベート ビジネス プロセス

Studio を使用すると、統合スペシャリストはパブリック ビジネス プロセスとプライベート ビジネス プロセスの両方を開発できます。B2B Integration 環境では、パブリック プロセスは協調的 プロセスとも呼ばれます。Studio を使用してパブリック プロセスを開発するには、B2B Integration プラグインをインストールする必要があります。B2B Integration プラグインの詳細については、プラグイン フレームワークを参照してください。

図2-3 パブリック プロセスとプライベート プロセス


 


 

パブリック プロセスは、トレーディング パートナ間のビジネス メッセージの交換を調整することによって、協調的な企業間協定に基づくトレーディング パートナ間の会話を実現します。これらのエンタープライズ間プロセスには、プライベート プロセスの要件を上回る独自の要件が存在します。これらのプロセスの設計と管理は、トレーディング パートナのアグリーメントによって決まります。パブリック プロセスは、パートナによって交換されるメッセージのコンテンツとセマンティクスを定義した正式な契約の一部であり、業界または業界区分全体で標準化される場合があります。

プライベート プロセスは、エンタープライズの内部のプロセスです。これらはエンタープライズの外部には公開されず、顧客またはトレーディング パートナが直接これらと会話することはありません。プライベート プロセスでエンタープライズとその顧客間の会話を処理する場合もありますが、こうした会話は Web サイトを介して行われます。たとえば、Web サイト上でコンピュータを注文すると、在庫チェック、クレジット カードの検証、確認の電子メールの送信、注文品の製造、注文品の出荷などのタスクを実行するプライベート プロセスが開始されます。

実行

基盤となるプロセス エンジンは、ビジネス プロセスの実行を管理して、所定のプロセス要素を自動的に順序付けおよび実装します。実行の間、データの表現には XML が使用され、ワークフローと他のアプリケーション間のメッセージングには JMS が使用されます。

図2-1 に示すように、ビジネス プロセスはその設計に応じていくつかの方法で開始することができます。具体的には、以下の方法で開始されます。

実行時に、ワークフローはワークフロー インスタンスに変換されます。どのワークフローでも、複数のインスタンスを同時に実行できます。実行中のワークフロー インスタンスは、インスタンス ストアに保存されます。インスタンス ストアは、Oracle や SQL Server などの JDBC データベースを通じて実装されます。

モニタと最適化

Studio を使用すると、統合スペシャリストはプロセスをリアルタイムに参照し、実行時の統計をレポート用に収集することによって、ビジネス プロセスの効果を常時モニタできます。統合スペシャリストは、このデータを利用することによって、プロセスを評価し、パフォーマンスとスループットを最適化し、稼働時間を増加させることができます。また、このデータを利用すると、実行中のビジネス プロセスを不必要に中断せずに修正できます。

 


実行時の統合

注意: Worklist クライアント アプリケーションは WebLogic Integration リリース 7.0 より非推奨となりました。代替機能に関する詳細については、『WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

人間が開始または終了するように設計されるビジネス プロセスや、人間が実行する必要があるタスクが組み込まれるビジネス プロセスもあります。これらのタスクには、裁量による決定、例外処理、問題のトラブルシューティングが含まれる場合があります。WebLogic Integration には、プロセスの開始と終了、および実行中のプロセスとの会話を行うための Worklist というアプリケーションが用意されています。Worklist を使用すると、ユーザは自分に割り当てられたビジネス プロセス タスク(顧客の信用限度に関する決定など)を処理したり、プロセスからのメッセージに応答したりできます。

図2-4 WebLogic Integration Worklist


 

 


BPM クライアント アプリケーション用の API

WebLogic Integration は、開発者が以下の種類のカスタム クライアント アプリケーションを作成するために使用できるアプリケーション プログラミング インタフェース(API)を提供します。

 


プラグイン フレームワーク

WebLogic Integration には、プラグインの開発をサポートするフレームワークが含まれています。プラグインは、WebLogic Integration の Business Process Management 機能を拡張する Java クラスです。開発者は、プラグイン フレームワークを使用して他の製品と技術を WebLogic Integration 環境に統合できます。また、プラグインを使用すると、開発者は Studio で使用できる以下のワークフロー コンポーネントのデフォルト設計または実行時の動作を修正できます。

WebLogic Integration には、統合スペシャリストが WebLogic Integration の他の領域の機能とビジネス プロセスを統合するために使用できる以下のプラグインも用意されています。

 


サンプル ビジネス プロセス

WebLogic Integration には、Studio を使用してビジネス プロセスを設計する方法、および WebLogic Integration の Business Process Management 機能を拡張するプラグインを開発する方法を示したサンプルが用意されています。

受注

受注サンプルは、注文処理、納品、および注文処理トリガの 3 つのワークフローで構成されています。これらのワークフローは、最もよく使用される Studio の機能の多くを表したものです。これらのワークフローはすぐに使用できるバージョンにパッケージ化されているので、統合スペシャリストとアナリストはこれらをワークフローのデモ用に使用できます。WebLogic Integration のドキュメントには、『WebLogic Integration BPM ユーザーズ ガイド』というチュートリアルが用意されています。このチュートリアルでは、ワークフローについて、および統合スペシャリストが Studio を使用してそれらを開発する方法について説明しています。

プラグイン

サンプル プラグインは受注サンプルをベースとしており、注文処理と納品の 2 つのワークフローで構成されています。これらのワークフローは、特定のワークフロー ノードのデフォルト機能をどのように拡張できるかを示したものです。たとえば、注文処理ワークフローの開始ノードには、ワークフローがカスタム イベントによってどのようにトリガされるのかを示すプラグイン定義のイベントが含まれています。プラグインを使用する場合、開始ノードはカスタム XML イベントによってのみトリガされ、開始ノードに定義されているデフォルト メソッドによってはトリガされません。

 

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