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WebLogic Integration チュートリアル

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はじめに

この章では、WebLogic Integration サンプルの背景となっているビジネス上の問題例について説明します。この章の内容は以下のとおりです。

 


サンプルの範囲

BEA WebLogic Integration は、企業向けにアプリケーション サーバ、アプリケーションの統合、ビジネス プロセス モデル、および企業間(B2B)統合機能を提供する単一のプラットフォームです。

WebLogic Integration サンプルでは、WebLogic Integration プラットフォームを使用して、新しいアプリケーションの開発、既存のシステムとの統合、複雑なビジネス プロセスの効率化、およびビジネス パートナとの連携を実現する方法を示します。子のマニュアルで示したサンプル コードは、WebLogic Platform インストール ディレクトリの WL_HOME\samples¥integration¥samples¥wlis にあります。

上の行の SAMPLES_HOME は、WebLogic Platform のサンプル ディレクトリです。

サンプル実装では、サプライ チェーンの自動化および統合という課題の一部を扱っているだけですが、柔軟な WebLogic Integration プラットフォームを使用して要件に応じてソリューションを開発し、社内業務とバリュー チェーン全体を効率化する方法を示しています。

注意: このマニュアルで説明するWebLogic Integration サンプルは、WebLogic Integration の本リリースから非推奨になった XOCP ビジネス プロトコルに基づいています。XOCP の代替機能に関する詳細については、『BEA WebLogic Integration リリース ノート』を参照してください。

 


シナリオの背景

General Control Systems (GCS) はイリノイ州を拠点としたある大企業の一部門で、工場およびオフィス ビル向けの各種制御システムを製造しています。

EnergyMiser 76 の歴史

1970 年代の石油危機以降、GCS では、電力消費量を抑制するための監視および制御システムである EnergyMiser 76 を製造してきました。これらのエネルギー制御システムを 3 社に OEM 供給しています。GCS では、EnergyMiser 76 用の金属ボックスをシカゴにある中規模企業の Midwest Metals から調達しています。Midwest Metals は、シルクスクリーン ボックスを 25 年に渡って独占的に供給してきました。

GCS の付加価値再販業者(VAR)はすべて、EDI システムを使用してサプライ チェーンを自動化しています。GCS では、15 年間、EDI をサプライ チェーンとデマンド チェーンの両方で使用して、VAR からの発注を処理し、Midwest Metals からの調達を自動処理してきました。シルクスクリーン ボックスの在庫は、GCS および Midwest Metals の EDI システムにリンクした自動補充システムによって管理されています。EnergyMiser 76 モデルの需要が安定していて、在庫計画を簡単に立てられたので、サプライチェーン メカニズムは順調に機能してきました。

最近になって、GCS の親会社では、企業間(B2B)インフラストラクチャとして BEA WebLogic Platform の導入に着手しました。GCS では、従来のシステムが機能している上に、サプライヤからも顧客からも XML ベースの B2B トランザクションの要望がなかったので、このシステムに移行することに納得できませんでした。

製品需要の増加

第 3 四半期に入って、VAR から EnergyMiser 76 の発注がかつてないほど急増しました。自動補充システムは処理を開始し、いつもより多い数量のシルクスクリーン ボックスの自動 EDI 850 メッセージ(購入注文)を Midwest Metals に送信しました。Midwest Metals の社長は GCS の調達部門に電話をかけて、工場の生産能力が追いつかないので指定納期に注文数量をすべて納品することはできないと伝えました。

さらに、工場の生産能力の拡大には、長期に渡ってそれに見合った発注を見込めない限り、応じられないことも説明しました。GCS のマネージャは、カリフォルニアの顧客から注文が相次いだために需要が急増したことを説明しました。しかし、カリフォルニアのエネルギー状況の見通しがはっきりしないので、現在の注文レベルが長期的な需要増を示しているのか一時的な増加にすぎないのかはわかりません。

状況を理解すると、調達マネージャは Midwest Metals が供給できる最大量を買い付けるとともに、別の調達先を探し始めました。そのマネージャは会社が B2B 統合インフラストラクチャの改良を決定したことを思い出し、IT 部に連絡して、現在の危機的状況を打開する短期的な計画と、サプライ チェーンで管理レベルを上げて現状を一目で把握できるようにして、在庫不足などの不測の事態を避けるための長期的な計画について話し合いました。マネージャはこの状況を、GCS の従来のシステムが現在の自動化されたダイナミックな市場に対応しきれなくなっていることを示すものであると考えるようになりました。

 


統合ソリューションのデプロイ

このバリュー チェーンでは、GCS がチャネル マスタです。市場での効率性を高め、競争で優位に立つために、GCS は BEA WebLogic Integration を使用してサプライチェーンのハブをデプロイしました。

サンプル アプリケーションは、ビジネス パートナを結ぶサプライチェーンのハブであり、多くのビジネス プロセスを自動化し、バックエンドのエンタープライズ情報システムを統合します。このサンプル アプリケーションでは、GCS デマンド チェーンや GCS と VAR との統合については扱いません。EDI 統合アプリケーションのサンプルについては、『WebLogic Integration EDI ユーザーズ ガイド』の「EDI のサンプル」を参照してください。

短期的な利点と長期的な利点

ハブをデプロイすると、短期的な利点と長期的な利点を得られます。ハブにより、Midwest Metals 以外で認可済みベンダ リスト(AVL)に入っているパートナからの供給品の調達を促進することで、現在の供給不足を解決し、今後のビジネスに備えてサプライ チェーンを効率化するシステムを確立できます。

GCS では、サブライチェーン ハブをデプロイすることで、いくつかの処理を自動化できます。同じサンプル アプリケーションを使用して、GCS では選択したビジネス パートナと会話できます。ビジネス パートナ間のトランザクションは、次の一連のイベントにまとめられます。

  1. 価格と在庫の照会が GCS から認可済みの二次サプライヤに送られます。

  2. GCS では、サプライヤからの応答を取りまとめて発注マネージャに示し、サプライヤを選択します。

  3. 選択したサプライヤに発注書が発行されます。

  4. 発注書は、社内の ERP システムに自動的に入力されます。

  5. 選択されたサプライヤは、発注確認書を GCS に返します。

  6. 発注書のレコードは、発注確認書の情報(サプライヤの受注番号など)で自動的に更新されます。

次の図は、GCS のハブとサプライヤがやり取りする価格と在庫の照会の処理フローを示しています。

図1-1 サンプル アプリケーションの処理フロー


 

ソリューションのアーキテクチャ

WebLogic Integration サンプルは、ハブ、バイヤ、トレーディング パートナである 2 つのサプライヤからなる 4 つのエンティティをデプロイしてソリューションを実装しています。プロダクション環境では、各エンティティは別々の WebLogic Integration サーバ上で動作できます。ただし、サンプルの実行手順を簡略化するために、このシナリオでは、1 つの WebLogic Integration サーバが 4 つのエンティティすべてのホストとなります。次の図は、この実装を示しています。

図1-2 WebLogic Integration サンプルの実装アーキテクチャ


 

サンプルを構成し、ビジネス エンティティによって実行される機能について次の表で説明します。

表1-1 ビジネス エンティティによって実行されるサンプルの機能

ビジネス
エンティティ

機能

WLIS_Hub

バイヤとサプライヤ間の通信をルーティングして、企業間統合を実現する。

WLIS_Buyer

WLIS_SupplierOne

WLIS_SupplierTwo


 

 

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