チュートリアル : 初めてのビジネス プロセス構築

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チュートリアル : 初めてのビジネス プロセス構築

WebLogic Integration のビジネス プロセス管理 (BPM) 機能を使用すると、社外のトレーディング パートナ間で情報を調整して交換するだけでなく、多様なアプリケーションやユーザを統合することができます。

このチュートリアルでは、BEA Workshop のグラフィカルな設計環境でビジネス プロセスを設計するために用意された機能を、順を追って説明します。具体的には、「見積り要求」の処理を組織化するビジネス プロセスの作成方法を示します。

 


チュートリアルの目的

このチュートリアルの目的は、BEA Workshop に用意されているグラフィカルな設計環境を使用してビジネス プロセスの作成とテストを行う手順を説明することです。このチュートリアルでは以下の手順を実行します。

チュートリアルの概要

このシナリオでのビジネス プロセスは、クライアントから見積り要求を受け取った結果として開始されます。ビジネス プロセスは、企業の在庫システムと価格設定システムをチェックして、注文を受けることができるかどうかを判断します。また、クライアントから提供された発送先情報に基づいて、見積りに消費税を追加する必要があるかどうかも判断します。最後に、消費税、価格、および在庫データを結合して 1 つの見積りドキュメントをコンパイルし、ファイル システムにその見積りを書き込んで記録し、クライアントに送信します。

見積り要求ビジネス プロセスの設計

以下は、見積り要求プロセスの手順を順を追ってまとめたもので、ビジネス プロセスが設計されるしくみを示しています。

  1. クライアントから見積り要求を受け取ります。
  2. 顧客名と発送先、および見積りを要求されている項目の ID と数量が記載されている XML ドキュメントの受信を処理するクライアント要求ノードを、ビジネス プロセスに設計します。クライアントから見積り要求メッセージを受け取ったときに開始するように、ビジネス プロセスを設計します。

  3. 条件を評価して、見積りに消費税を含める必要があるかどうかを判断します。
  4. この場合は、分岐ノードを設計して、条件の評価に基づく複数の実行パスを作成します。分岐ノードの 1 つのパスでは、消費税を計算する Web サービスを呼び出します。ビジネス プロセスは、コントロールを介して他のサービスと通信します。見積り用に消費税を計算する Web サービスと通信するコントロール送信ノードを設計します。

  5. 見積り要求メッセージで送信された項目を処理します。
  6. ビジネス プロセスでは、受信した XML メッセージで要求された項目と数量の価格を計算し、在庫を確認する必要があります。これには、ビジネス プロセスに以下のノードを作成する必要があります。

    • For Each : リスト内の項目ごとに 1 回ずつ、一連のアクティビティを繰り返し実行する、ビジネス プロセス内のポイント。For Each ノードには、イテレータ ノード (項目のリストを指定するノード) とループ (リスト内の項目ごとに実行するアクティビティを定義するノード) が含まれます。
    • パラレル : 並行して複数のアクティビティを実行する、ビジネス プロセス内のポイント。この場合は、2 つのブランチをもつパラレル ノードを設計します。1 つのブランチでは見積り用に価格を計算するイベントを実行し、もう 1 つのブランチでは項目の在庫を判断するイベントを実行します。
    • コントロール ノード : 各パス上のコントロール送信ノードとコントロール受信ノードは、ビジネス プロセスと Web サービス リソースとの間の (コントロールを介した) メッセージの非同期的な交換を処理します。価格設定の Web サービスは、見積り要求ドキュメントに記載されている項目の価格を返します。在庫の Web サービスは、要求された項目の在庫に関する情報を返します。
  7. ビジネス プロセスで計算された価格、在庫、および税関連情報をコンパイルして、見積りドキュメントを作成します。
  8. 作成するビジネス プロセスでは、価格見積り、在庫、および消費税率を計算します。見積りとしてクライアントに返される XML ドキュメントにさまざまなデータをマッピングするトランスフォーメーション コントロールを使用するように、ビジネス プロセスを設計します。

  9. ビジネス プロセスで作成された見積り記録を保管します。
  10. ビジネス プロセスでは、ファイル コントロールを使用して、見積りをファイル システムに書き込みます。

  11. 見積りを含む応答をクライアントに送信します。
  12. クライアントに応答を送信するクライアント応答ノードを設計します。応答には、ビジネス プロセスで計算されたデータが含まれます。

チュートリアル シナリオのアクター

図 1-1 には、チュートリアル シナリオのアクターが示されています。図の後には、アクターに関する説明が記載されています。

図 1-1 チュートリアル シナリオ

チュートリアル シナリオ

シナリオのアクターは以下のとおりです。

このチュートリアルの手順

このチュートリアルでは、クライアントから見積り要求メッセージを受信し、見積り要求の受信を受けてビジネス プロセスを開始し、その要求を検証して処理し、見積り要求のステータスをクライアントに送信するという要件をすべて満たす、ビジネス プロセスを作成します。

このチュートリアルは、以下のパートで構成されています。

Part I

Part I では、新しいビジネス プロセスを作成し、実行時にそのプロセスを開始する方法を指定し、Web サービスへの非同期呼び出しを含む分岐ノードを設計する方法を学習します。このパートの最後には、作成したビジネス プロセスを実行してテストすることができます。このパートを実行するには、「簡単なビジネス プロセスの構築と実行」に進みます。

Part II

Part II では、Part I で設計した Web サービスへの非同期呼び出しを他のビジネス プロセスへの非同期呼び出しに変更する方法を学習します。プロセス コントロールの作成方法を習得し、そのコントロールのフレームワークによってビジネス プロセスとさまざまなリソースとの対話を簡単に変更できるしくみを理解します。このパートの具体的な手順については、「プロセス コントロールを使用した、ビジネス プロセスの呼び出し」を参照してください。

Part III

Part III では、前のパートで作成したビジネス プロセスに、より複雑なビジネス ロジックを追加します。このパートでは、ループ ロジックを作成する方法、並行処理ノードを設計する方法、価格データと在庫データを型なし XML データから型付き XML データに変換する方法、ファイル コントロールを使用して見積りをファイル システムに書き込む方法、およびクライアント応答ノードを使用して (ビジネス プロセスを呼び出した) クライアントに見積りを返す方法を学習します。このパートの最後には、構築したビジネス プロセスを実行してテストすることができます。このパートの具体的な手順については、「ループ ロジックと並行パスの追加」を参照してください。

Part IV

Part IV では、ビジネス プロセスにメッセージ ブローカを追加して、ビジネス プロセスの実行とテストを行ないます。詳細については、「メッセージ ブローカの使用」を参照してください。

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