コンフィグレーション ガイド

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ロギング、監査、およびモニタ

この節では、WLOC のサービスとリソースをモニタ、記録、および監査する方法について説明します。

 


ロギング

WLOC コントローラおよび各エージェントでは、サービス デプロイメントやアクションの失敗などのイベントに関する情報を提供するログ メッセージを生成します。これらのメッセージは、ログ ファイルに保存されます。ログ ファイルのデフォルトの場所は、エージェントまたはコントローラがインストールされているディレクトリの log サブディレクトリです。

また、コントローラとエージェントは、標準出力にメッセージを出力します。この出力をメッセージの重大度でフィルタ処理することができます。たとえば、重大度が WARNING 以上のメッセージだけを標準出力に出力するようにコンフィグレーションできます。

ロギングのコンフィグレーション

ロギング機能は、以下のようにコンフィグレーションすることができます。

表 8-1 ロギングのコンフィグレーション
フィールド
説明
[Severity]
ログ ファイルに書き込むメッセージの重大度。「メッセージの重大度」を参照してください。
[Log File Name]
ログ ファイルのパス名。このパスには、絶対パス、または、コントローラまたはエージェントのインストール ディレクトリに対する相対パスを指定できます。
ログ ファイルがローテーションされるときにファイル名に時刻と日付のスタンプを含めるには、java.text.SimpleDateFormat 変数をファイル名に追加します。各変数はパーセント (%) 文字で囲みます。
たとえば、ファイル名が myserver_%yyyy%_%MM%_%dd%_%hh%_%mm%.log と定義される場合、ログ ファイルの名前は myserver_yyyy_mm_dd_hh_mm.log になります。
ログ ファイルがローテーションされる場合、ローテーションされたファイル名には日付のスタンプが含まれます。たとえば、2008 年 4 月 2 日の午前 10 時 5 分にログ ファイルがローテーションされる場合、古いメッセージを含むログ ファイルの名前は myserver_2008_04_02_10_05.log になります。
時刻と日付のスタンプを含めない場合、ローテーションされたログ ファイルには作成順に番号が付けられます。たとえば、myserver.log00007 のようになります。
[Rotation Type]
ログ ファイルのローテーションに使用するローテーション スタイル。有効なオプションは [By Size] と [By Time] です。ログ ファイルのローテーションの詳細については、「ログ ファイルのローテーション」を参照してください。
[Rotation Size]
現在のログ ファイルがローテーションされて、新しいログ ファイルが作成されるまでのログ ファイルの最大サイズ (単位は KB)。この値は、[Rotation type] が [By Size] に設定されている場合にのみ有効です。
このファイル サイズに達すると、ファイル拡張子を増分する方法 (例 : controller.log0001、controller.log0002) でファイル名が変更され、ファイルはローテーション ディレクトリに保存されます。次に、サーバは filename.log という名前の新しいファイルにメッセージを書き込みます。
WLOC では、ログ ファイルが大きくなりすぎないように、500 MB のしきい値サイズ制限を設定しており、それを超えると強制的にローテーションが行われます。
[Rotation Directory]
ログ ファイルを格納するディレクトリ。
[Number of Files Limited]
格納されるログ ファイルの数を制限するかどうかを指定するフラグ (ファイルのローテーション タイプの [SIZE] または [TIME] を指定する必要があります)。この制限に達すると、最も古いログ ファイルが削除され、最新のサフィックスの付いた新しいログ ファイルが作成されます。
このオプションを有効にしない場合は、新しいファイルが無限に作成されていくため、必要に応じてこれらのファイルを削除する必要があります。
[Rotation File Count]
上書されるまでに作成可能なログ ファイルの最大数。ログ ファイルの最大数に達すると、最も古いファイルが上書きされます。この値は、[Number of files limited] フラグが有効な場合にのみ使用可能です。
この数には、サーバが現在のメッセージの格納に使用するファイルは含まれません。
[Rotation on Startup]
起動時にログ ファイルを自動的にローテーションするかどうかを指定するフラグ。
[Rotation Time]
ログ ファイルが最初にローテーションされる時刻。hh:mm の形式で指定します。
この値は、[Rotation Type] が [By Time] に設定されている場合にのみ有効です。
指定した時刻をすでに過ぎている場合、WLOC ではその日のローテーションがすぐに実行されます。
[Rotation Time Span]
[Rotation Time Span Factor] を使用してログ ファイルがローテーションされる頻度。hh:mm の形式で数値を指定します。デフォルトは 00:00 (午前 0 時) です。
実際のローテーション頻度は、次のように計算されます。
(ローテーション間隔) * (ローテーション間隔係数)
この値のデフォルトは 24 です。この値は、[Rotation type] が [By Time] に設定されている場合にのみ有効です。
[Rotation Time Span Factor]
[Rotation Time Span] を使用してログ ファイルがローテーションされる頻度。ローテーション頻度は、次のように計算されます。
(ローテーション間隔) * (ローテーション間隔係数)
この値はミリ秒単位で指定され、デフォルトは 3600000 です。この値は、[Rotation type] が [By Time] に設定されている場合にのみ有効です。
[Standard Out Severity]
標準出力に書き込むログ ファイル メッセージの重大度。「標準出力と標準エラー出力」および「メッセージの重大度」を参照してください。

ログ メッセージの表示

ログ メッセージは以下のように表示できます。

注意 : ファイルを直接編集してログ ファイルを変更しないでください。ファイルを変更するとタイムスタンプが変更され、ログ ファイルのローテーションに混乱をきたす可能性があります。また、ファイルを編集すると、ファイルがロックされて更新できなくなる場合があります。

ログ メッセージのフォーマット

コントローラまたはエージェントがログ ファイルにメッセージを書き込む場合、各メッセージの最初の行は #### で始まり、その後にメッセージ属性が続きます。各属性は山括弧で囲まれます。

コントローラのログ ファイルのメッセージの例を次に示します。

      ####<Oct 25, 2007 5:32:09 PM EDT> <Info> <LOCExecuteEngine> <> <>
      <[ACTIVE] ExecuteThread:'1' for queue:'weblogic.kernel.Default
      (self-tuning)'> <> <> <> <1193347929031> <BEA-2010502> <Action
      Succeeded:EmailNotificationAction([WLS-Cluster,ID=7111863992976504417],
      WLS-Cluster,ID=-4438336769125385457) for event       com.bea.adaptive.execute.internal.SyntheticServiceEvent@63bb71.>

この例におけるメッセージ属性は、Locale-formatted Timestamp、Severity、Subsystem、Machine Name、Server Name、Thread ID、User ID、Transaction ID、Diagnostic Context ID、Raw Time Value、Message ID、および Message Text です。これらの属性の使用方法については、「ログ メッセージ属性」を参照してください。

メッセージにスタック トレースが含まれている場合、スタック トレースはメッセージ テキストに含まれます。

WLOC では、メッセージの書き込みにホスト コンピュータのデフォルトの文字エンコーディングを使用します。

標準出力と標準エラー出力

コントローラまたはエージェントでは、メッセージをログ ファイルに書き込むだけでなく、メッセージのサブセットを標準出力に出力することもできます。通常、標準出力は、コントローラまたはエージェントが実行されているシェル (コマンド プロンプト) です。ただし、オペレーティング システムによっては他の場所に標準出力をリダイレクトできます。

この出力をメッセージの重大度でフィルタ処理することができます。たとえば、重大度が WARNING 以上のメッセージだけを標準出力に出力するようにコンフィグレーションできます。また、WLOC でスタック トレースを標準出力に出力するかどうかをコンフィグレーションすることもできます。

コントローラまたはエージェントがメッセージを標準出力に書き込む場合、その出力に #### というプレフィクスは含まれません。

ログ メッセージ属性

ログ メッセージには、表 8-2 に示す一連の属性が含まれています。また、アプリケーションが WebLogic ロギング サービスを使用してメッセージを生成する場合は、そのメッセージにこれらの属性が含まれます。

表 8-2 WLOC のログ メッセージ属性
属性
説明
Locale-formatted Timestamp
メッセージが発生した時刻と日付。書式はロケールに基づきます。コントローラまたは各エージェントを実行する JVM は、ローカルのタイム ゾーンと書式に関する情報について、ホスト コンピュータのオペレーティング システムを参照します。
Severity
メッセージで報告されるイベントの影響または深刻さの度合いを示します。「メッセージの重大度」を参照してください。
Subsystem
メッセージを生成した WLOC のサブシステムを示します。
Thread ID
メッセージの発生源を識別します。Thread ID は、JVM がメッセージの発生源のスレッドに割り当てる ID です。
User ID
関連付けられたイベントを実行したユーザ ID。
内部コードの一部を実行する場合、WLOC では実行を開始したユーザの ID を認証してから、特別な Kernel Identity ユーザ ID でコードを実行します。
Raw Time Value
タイムスタンプ (ミリ秒単位)。
Message ID
ユニークな 7 桁の識別子。
WLOC が生成するすべてのメッセージ ID は BEA- で始まる 2010000 ~ 2019999 の範囲の数字です。
Message Text
イベントまたは条件の説明。

メッセージの重大度

WLOC のログ メッセージの重大度属性は、メッセージで報告されるイベントまたは条件の潜在的な影響を示します。表 8-3 は、ログ メッセージの重大度レベルを、重大度の低い方から順に示しています。

表 8-3 メッセージの重大度
重大度
説明
TRACE
ユーザレベルのデバッグに使用されるトレース レベル イベント。
DEBUG
内部デバッグに使用されるデバッグ メッセージ。
INFO
低いレベルの情報メッセージ。通常の処理を報告するために使用されます。
NOTICE
重要度が高い情報メッセージ。
WARNING
問題のある処理またはコンフィグレーションが発生しましたが、通常の処理に支障は生じません。
ERROR
ユーザ エラーが発生したことを示します。システムまたはアプリケーションでは、割り込みやサービスの限定的な低下を起こすことなくエラーに対処できます。
CRITICAL
システム エラーが発生したことを示します。システムを回復できますが、サービスの一時的な損失や永続的な低下が発生する場合があります。
ALERT
特定のシステムだけが使用不能な状態であり、それ以外の部分は引き続き機能します。自動回復を実行できません。この問題を解決するには、管理者がすぐに措置を講じる必要があります。
EMERGENCY
コントローラまたはエージェントが使用不能な状態です。この重大度は、重大なシステム障害または問題があることを示します。

ログ ファイルのローテーション

デフォルトでは、コントローラと各エージェントは、ファイルのサイズが 500 KB になると、ログ ファイルの名前を変更 (ローテーション) します。ログ ファイルがこのサイズに達するたびに、WLOC ではログ ファイルの名前を変更し、新しい file-name.log を作成して新しいメッセージを格納します。デフォルトでは、ローテーションされたログ ファイルには作成順に番号が付けられます (file-namennnnn)。ローテーションされたログ ファイルのファイル名に時刻と日付のスタンプを含めるように WLOC をコンフィグレーションすることができます (例 : file-name-%yyyy%-%mm%-%dd%-%hh%-%mm%.log)。

表 8-1表 8-4 に示す情報に基づいて、ファイル サイズ、間隔、およびその他のプロパティをローテーションできます。

一部のファイル システムでは、読み込み用に開いているファイルにロックが設定されます。このようなファイル システムでは、アプリケーションでログ ファイルの末尾を表示している場合、またはコマンド プロンプトで DOS tail -f などのコマンドを使用している場合、サーバがログ ファイルのローテーションを行った後にその処理が停止します。tail -f コマンドは、ファイルに行が追加されたときにメッセージを標準出力に出力します。詳細については、DOS プロンプトで「help tail」と入力してください。

デバッグ ログ メッセージ

WLOC では、ユーザおよび Oracle カスタマ サポートによる WLOC 環境に関する問題の診断に役立つデバッグ ログ メッセージを出力することができます。このメッセージには、実行時環境におけるイベントについて詳しく説明されています。

すべての WLOC コンポーネントまたは特定のコンポーネントやスコープからデバッグ メッセージを出力するように WLOC をコンフィグレーションすることができます。WLOC では、デバッグ メッセージをログ ファイルに書き込みます。ユーザはそれらのメッセージを標準出力に出力するように WLOC をコンフィグレーションできます。

 


WLOC アクションの監査

デフォルトでは、WLOC Audit Service が有効であり、このサービスによって監査イベントが監査ログ ファイルに書き込まれます。ファイルのデフォルト名は audit.log であり、コントローラまたはエージェントがインストールされているディレクトリの logs サブディレクトリにあります。現在のコントローラの監査ログは、Administration Console で公開されます。コントローラのローテーションされた監査ログおよびエージェントのすべてのログを確認するには、直接ファイルにアクセスする必要があります。

Audit Service は、Administration Console でコンフィグレーションすることができます。コントローラの場合は、コントローラの [Audit] タブでコンフィグレーションします。エージェントの場合は、各エージェントの [Audit] タブでコンフィグレーションします。コントローラ ログの場合と同じ設定を使用して、監査ログの名前とローテーション設定を指定します。これらのフィールドの説明については、表 8-1 を参照してください。また、表 8-4 の説明に従って、監査の種類および監査を有効にするかどうかを指定することもできます。

表 8-4 Audit Service のコンフィグレーション
フィールド
説明
[Enabled]
監査ログ サービスを有効にするかどうかを指定するフラグ。
[Audit Types]
監査するイベントのカテゴリ。
エージェントの場合は、ALL または AGENT_ACTION を選択します。
コントローラの場合は、ALL を選択するか、以下の 1 つまたは複数を選択します。
CONTROLLER_CONFIGURATION
SERVICE_CONFIGURATION
RULES
CONTROLLER_ACTION
ADJUDICATION
AGENT_CONFIGURATION
詳細については、「監査イベントの種類」を参照してください。

監査イベントの種類

WLOC Audit Service では、表 8-5 に示すように、監査イベントを生成して記録します。

表 8-5 監査イベントの種類
フィールド
説明
ALL
すべての監査の種類が含まれます。
CONTROLLER_CONFIGURATION
(コントローラの場合のみ) コントローラのコンフィグレーションに対するすべての変更。
AGENT_CONFIGURATION
(コントローラの場合のみ) エージェントのコンフィグレーションに対するすべての変更。
SERVICE_CONFIGURATION
(コントローラの場合のみ) サービスのコンフィグレーションに対するすべての変更。
RULES
(コントローラの場合のみ) ルールが true と評価されるたびに、WLOC では、そのルール実行の適切なコンテキストを含むルール監査イベントを生成します。
CONTROLLER_ACTION
(コントローラの場合のみ) WLOC ポリシーによって開始されたアクション。
ADJUDICATION
(コントローラの場合のみ) 裁決の判断 (承認または拒否)。
AGENT_ACTION
(エージェントの場合のみ) エージェントによって開始されたすべての JVM ライフサイクル アクション (ステージング、開始、停止、破棄など)。

監査のフォーマット

WLOC Audit Service では、2014100 ~ 2014199 の番号が付けられたメッセージ識別子をすべての監査エントリに使用します。監査レコードは #### というマーカーで始まり、各フィールドではプレフィックス (<) とサフィックス (>) を使用します。表 8-6 は、監査レコードのフィールドを示しています。

表 8-6 監査レコードのフィールド
フィールド
説明
[Date]
メッセージの時刻と日付。書式はロケールに基づきます。コントローラまたは各エージェントを実行する JVM は、ローカルのタイム ゾーンと書式に関する情報について、ホスト コンピュータのオペレーティング システムを参照します。たとえば、Aug 20, 2007 2:11:24 PM EDT のようになります。
[Severity]
重大度レベルは INFO、NOTICE、WARNING、ERROR、CRITICAL、ALERT、EMERGENCY、DEBUG です。
[Subsystem]
LOCAudit
[Server Name]
コントローラまたはエージェントのマシン名。
[Thread ID]
JVM がメッセージの発生源のスレッドに割り当てる ID。
[Timestamp]
ミリ秒単位のタイムスタンプ。
[Audit Type]
常に <Audit> です。
監査イベントの種類」も参照してください。
[Message ID]
特定の種類の監査イベントを簡単に取得およびソートできるようにするユニークなメッセージ識別子。WLOC では、このメッセージ ID の範囲は 2014100 ~ 2014199 です。
[Message Body]
メッセージ テキスト。

コード リスト 8-1 監査レコードの例
####<Aug 20, 2007 2:11:24 PM EDT> <Info> <LOCAudit> <seacoast1> <Thread-19> <1187633484747> <ControllerAction> <BEA-2013411> <Configured Pipeline configName with Pipeline Identifier PipeID successfully completed execution at time Aug 20, 2007 2:11:24 PM EDT.Execution elapsed time was 10,000 milliseconds.>

 


モニタ

WLOC Administration Console では、アクティブなすべてのリソースに関するチャートやグラフの作成および表示のための柔軟性の高いツールを提供します。アクティブなサービス、リソース プール、JVM、および MBean サーバについて、以下の項目を表示するチャートを指定できます。

注意 : WLOC では、オープン MBean のモニタがサポートされません。

サービス パフォーマンスのモニタ

Administration Console では、サービスのパフォーマンスを示す CPU とメモリのチャートを表示できます。Plain Agent で管理されるサービスの場合は、サービスのプロセスの開始時に、JVM の管理サーバを起動する必要があります。その方法については、「プロセスの JVM 引数」を参照してください。

注意 : サービスでは JRockit JVM を使用する必要があります。

詳細については、『WLOC Administration Console オンライン ヘルプ』の「リソースのモニタ」を参照してください。

 


イベントの表示

デフォルトでは、イベントは Administration Console ページの一番下にある [Task and Events] ビューアに表示されます。このビューアには、発生したイベントが最新 20 件まで表示されます。コンソールでどのタブが選択されている場合でも、このビューアがアクティブになります。このビューアのメッセージのフィルタ処理機能は、[Events] ページと同じです。また、ユニークなフィルタを使用してカスタム表示タブを作成することもできます。

コンソールの [Events] タブを使用してイベントを表示することもできます。

また、いくつかの制約に基づいてコンソールでコンソール メッセージを生成するための管理ポリシーを定義できます。詳細については、「管理ポリシー」を参照してください。


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