コミュニティ ガイド

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コミュニティへの招待

この章では、コミュニティの概念とコミュニティ フレームワークの概要について説明します。このガイドのその他の章では、コミュニティ アーキテクチャとコミュニティの計画、構築、デプロイ、および管理方法について説明します。

この章の内容は以下のとおりです。

 


概要

コミュニティとは WebLogic Portal デスクトップで、共通の目標や興味を持ったユーザは独自の Web ベース環境で作成、管理、および作業を行うことができます。コミュニティは、ワーク グループ、パートナ、またはその他のグループに、専用のセキュアで自己管理された、共同作業と情報共有のための場所を提供します。

コミュニティでは、エンドユーザ コミュニティ管理と拡張可能なセキュリティ フレームワークが利用できます。またコミュニティは、WebLogic Portal フレームワーク上に構築されます。コミュニティは WebLogic Portal の機能 (動的で拡張可能な表示フレームワーク、セキュリティ、連合、コンテンツ管理、検索、パーソナライゼーション、エンドユーザ カスタマイズなど) を利用します。

コミュニティは特定のユーザ グループで使用するものであるため、各コミュニティにはコミュニティ固有の情報が含まれます。この情報を、コミュニティ コンテキストといいます。コミュニティ フレームワークには、コミュニティ コンテキストにアクセスして、コミュニティ固有の機能を開発するための API が用意されています。たとえば、コミュニティの現在のメンバーをリストして、その連絡先へのリンクを提供するポートレットを開発することができます。

この節では、次のトピックについて説明します。

コミュニティの例

以下の例はコミュニティの理想的な使い方を示しています。

コミュニティを使用する場合

コミュニティはポータル デスクトップです。コミュニティにはブック、ページ、およびポートレットの集合が含まれ、固有の機能と固有のルック アンド フィールを持っています。また、追加機能も利用できます。

コミュニティは次のいずれかの場合に使用します。

デスクトップに対する完全で一元的な管理コントロールを維持する必要がある場合、または、コラボレーションの必要がない場合には、コミュニティではなく通常のポータル デスクトップを作成します。詳細については、『ポータル開発ガイド』を参照してください。

コミュニティの管理

メンバーが、WebLogic Portal Administration Console を使用する中央のポータル管理者に依存することなく、独自のコミュニティの作成と管理を行うことができるのは、コミュニティの重要な特性の 1 つです。WebLogic Portal のコミュニティ ツールは、コミュニティ内のメニュー選択として利用できます。

許可されたメンバーは次のタイプの管理タスクを実行できます。

図 1-1 は、メンバーによるコミュニティの作成と管理を表しています。WebLogic Server のユーザ (外部ユーザ ストアのユーザを含む) は、ポータル管理者とコミュニティ メンバーになることができます。ポータル管理者は Administration Console を使用してテンプレートとデスクトップの作成と管理を行い、コミュニティ メンバーは WebLogic Portal コミュニティ ツールを使用してコミュニティの作成と管理を行います。

図 1-1 コミュニティの作成と管理

コミュニティの作成と管理

また、エンドユーザは WebLogic Portal 訪問者ツール (コミュニティ内のリンクを通じてアクセス) を使用してコミュニティのビューをカスタマイズすることもできます。

コミュニティのセキュリティの追加

WebLogic Portal の資格と委託管理の機能に加えて、コミュニティでは拡張可能なセキュリティ フレームワークが利用できます。このセキュリティ フレームワーク (「機能」と呼ばれるセキュリティ ロールの作成が可能) を使用すると、コミュニティ開発者はコミュニティ機能の利用を制御できます。

コミュニティ機能の開発

開発者はコミュニティのポータル アプリケーション機能を開発するだけでなく、コミュニティ フレームワーク API を使用してコミュニティ固有の機能を作成することもできます。

次に、コミュニティ フレームワーク API を使用して実行できるアクションの例を示します。

GroupSpace テンプレートの使用

WebLogic Portal では、チームまたはプロジェクト管理コミュニティで使用するように設計された GroupSpace という定義済みのコミュニティ テンプレートが利用できます。GroupSpace では、いくつもの異なるインスタンスを作成することができます。たとえば、チームまたはプロジェクトごとに GroupSpace インスタンスを個別に作成できます。詳細については、『GroupSpace ガイド』を参照してください。

 


ポータル ライフサイクルにおけるコミュニティ

ポータル ライフサイクルは、次の 4 つの段階で構成されています。

WebLogic Portal を使用して、コミュニティのニーズに適したカスタム コミュニティ アプリケーションおよびテンプレートを作成します。ポータルの他の機能と同様に、コミュニティの作成と管理は、ポータルの作成と管理ライフサイクルに沿って行われます。ライフサイクルの各段階には、その段階固有のタスクとツールが含まれます。

このガイドのタスクは、ポータル ライフサイクルに従って構成されています。これは、このポータル ライフサイクルが、コミュニティ機能の作成と更新を行う最適な手順であることを意味しています。ポータル ライフサイクルの詳細については、「BEA WebLogic Portal の概要」を参照してください。

図 1-2 は各段階で発生するコミュニティ関連タスクの種類を示しています。

図 1-2 ポータル ライフサイクルにおけるコミュニティ タスク

ポータル ライフサイクルにおけるコミュニティ タスク

アーキテクチャ

コミュニティ作成のアーキテクチャ段階では、作成するコミュニティのタイプを決定し、そのコミュニティで使用できるリソースと機能を計画します。また、コミュニティに必要なプロパティ (有効期限やパーソナル ページのサポートの有無など) を決定します。この段階で、コミュニティのコンテンツ管理機能を作成する場合は、コミュニティのコンテンツに対して設定する属性の計画も作成します。コミュニティに対してカスタム ルック アンド フィールが必要であるかどうかを決定します。

ツール : BEA Workshop for WebLogic Platform を使用してルック アンド フィール ファイルを作成します。開発段階では、ルック アンド フィール ファイルを作成または変更し、好みのエディタを使用して、グラフィック、CSS ファイル、および JavaScript ファイルを作成できます。

次の章では、コミュニティ アーキテクチャについて説明します。

開発

アーキテクチャの段階で設計したコミュニティの機能を開発段階で構築します。開発段階では、コミュニティではなく、ポータル管理者がコミュニティ テンプレートを作成するために使用するリソースを作成します。ポータル管理者及びエンド ユーザがそのテンプレートを使用してコミュニティを作成します。

たとえば、開発環境でページ フローと JSP を作成し、それをポートレットにまとめます。ポータル ファイルの作成時には、ブックやページなどのポータル リソースを作成し、ページにポートレットを追加します。ポータル管理者は、生成された .community ファイルを使用してコミュニティ テンプレートを作成し、エンドユーザはそのテンプレートからコミュニティを作成します。

コミュニティのメタデータ ファイル (.ctmeta ファイル) を作成することにより、コミュニティの技術的なコンフィグレーションを制御することもできます。ポータル管理者は、これらのファイルを使用してコミュニティ テンプレートを作成できますが、コミュニティの技術的な詳細のコンフィグレーションを行うことはできません。標準の WebLogic Portal に用意されている(たとえば、パーソナライゼーション)の機能に加えて、ページの登録やカスタマイズされた招待機能など、必要に応じてコミュニティの機能を開発することもできます。

この段階では、必要になるコミュニティ機能 leader または contributor なども定義します。機能名に対して条件ロジックを設定することにより、コミュニティのアクセス権と機能を制御できます。また開発段階では、デフォルトの GroupSpace ルック アンド フィールを変更するか、新しい GroupSpace ルック アンド フィールを作成することもできます。

ツール : JSP、ポータル、ポートレットおよびルック アンド フィールの開発には、Workshop for WebLogic を使用します。ルック アンド フィール グラフィック、CSS ファイル、および JavaScript ファイルの変更には、好みのエディタを使用できます。

次の章では、コミュニティの開発に必要なタスクについて説明します。

ステージング

ステージング段階では、開発段階で作成したポータル リソースを使用してコミュニティ テンプレートを作成します。このテンプレートをポータル管理者とエンド ユーザが使用して、コミュニティを作成します。GroupSpace のようなコンテンツ管理機能をコミュニティ向けに独自に開発した場合は、必要なコンテンツ プロパティをステージング段階で設定します。

この段階では、訪問者の資格と、コミュニティ リソースの委託管理も設定します。また、パフォーマンス管理のためにキャッシュのコンフィグレーションも行います。アプリケーションのコンフィグレーションとテストが完了したら、プロダクション環境にデプロイします。

ツール : コミュニティ テンプレートの作成、コミュニティ コンテンツ タイプの設定、キャッシュのコンフィグレーション、コミュニティ リソースに対する訪問者資格と委託管理の設定、およびその他のコンフィグレーション タスクには、WebLogic Portal Administration Console を使用します。アプリケーションをプロダクション環境にデプロイするには、WebLogic Portal プロダクション業務ユーティリティと WebLogic Server Administration Console を使用します。

次の章では、コミュニティのステージングに必要なタスクについて説明します。

プロダクション

実稼動のプロダクション環境では、ステージング段階で作成したコミュニティ テンプレートに基づいてポータル管理者およびエンドユーザがコミュニティを作成します。管理権限を持つコミュニティ メンバがコミュニティを管理します。ポータル管理者は、訪問者の資格、委託管理、コンテンツ管理タイプの変更、キャッシュのコンフィグレーションによるパフォーマンス管理などの重要なタスクを実行します。

ツール : エンドユーザは、コミュニティ内のメニューからアクセスできる WebLogic Portal コミュニティ ツールを使用して、コミュニティの作成と管理を行います。また、エンドユーザは、メニューからアクセスできる WebLogic Portal 訪問者ツールを利用して、コミュニティのビューをカスタマイズすることもできます。

ポータル管理者は、WebLogic Portal 伝播ツールを使用してコミュニティ テンプレートなどのポータル データをステージング環境に戻し、プロダクション環境の条件でテストすることができます。

次の章では、コミュニティのプロダクションに必要なタスクについて説明します。

 


はじめに

この節では、次のトピックについて説明します。

前提条件

WebLogic Portal チュートリアル」では、前提条件タスク (WebLogic Portal EAR プロジェクト、Web アプリケーション、ポータルの作成など) について説明します。

関連ガイド

コミュニティの開発においては、開発および管理ツールの理解と同様に、ポータルおよびポートレットの作成方法に関する理解が不可欠です。コミュニティを構築する前に、次のドキュメントの内容をよく理解しておいてください。

パーソナライゼーションおよびプロダクション業務など、その他の機能については、「WebLogic Portal e-docs ホーム ページ」を参照してください。


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