リリース ノート

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

WebLogic Server の新機能 10.0

BEA WebLogic Server 10.0 へようこそ。以下の節では、このリリースの WebLogic Server™ の新機能と変更点について説明します。

 


Java EE メタデータ アノテーションと依存性注入

Java EE プログラミング モデルでは、EJB、Web サービス、および Web アプリケーション (サーブレット、JSP など) に対して JDK 5.0 アノテーション機能を採用しています。アノテーションを使用すると、コンテナ内でのアプリケーション コンポーネントの動作 (たとえば、ライフサイクル メソッド)、依存性注入の要求方法などを Java クラス自体の中で指定でき、アプリケーションの開発プロセスを簡略化できます。アノテーションは、エンタープライズ アプリケーションの以前のバージョン (J2EE 1.4 以前) で必要だったデプロイメント記述子に代わるものです。実際に、Java EE メタデータ アノテーションを使用することで、標準のデプロイメント記述子は省略可能になります。

依存性注入 (DI) を使用することで、アプリケーション コンポーネントで外部リソースおよびコンフィグレーション パラメータに対する依存性をアノテーションを介して宣言できます。コンテナはこれらのアノテーションを読み込み、リソースまたは環境エントリをアプリケーション コンポーネントに注入します。依存性注入は、リソースのルックアップを javax インタフェースまたは JNDI API を使用して行うことに代わる、非常に簡単なプログラミング方法です。

以下を参照してください。

 


コア サーバ

モジュール性とクライアント サポート

WebLogic Server のファイル構造がいくつかの点で再編成されており、柔軟性が向上しています。以前のリリースでは、weblogic.jar ファイルをクライアント アプリケーションにバンドルすることで、以下のような WebLogic Server 固有の付加価値機能を提供できました。

weblogic.jar アーカイブ ファイルに含まれていた多くの WebLogic Server コンポーネントは、別々のモジュールに格納されるようになりました。weblogic.jar アーカイブは、そのマニフェスト クラスパスから modules ディレクトリ内のこれらのコンポーネントを参照します。

weblogic.jar アーカイブは完全には自己完結していませんでしたが、このリリースでは明らかに自己完結しなくなっています。weblogic.jar には、WL_HOME/modules ディレクトリを基準とする相対的なマニフェスト クラスパス参照が含まれるようになりました。このため、weblogic.jar は任意の場所に簡単に移動できなくなりました。別の場所で weblogic.jar を使用する場合、以下の 2 つの選択肢があります。

  1. weblogic.jar だけでなく、WL_HOME/modules/weblogic.server.modules_10.0.0.0.jar もクラスパスに直接含める。
  2. weblogic.jar のマニフェスト クラスパスを変更して、正しい相対位置から参照するようにする。
注意 : JarBuilder ツールを使用して、クライアント アプリケーションに対して統合された wlfullclient.jar を作成する (『スタンドアロン クライアント プログラマーズ ガイド』の「WebLogic JarBuilder ツールの使用」を参照)。

サブコンポーネントに関するバージョン情報

java weblogic.version コマンドに、省略可能な引数 -verbose が新しく追加されました。この引数は、さまざまな WebLogic Server コンポーネントに関するバージョン情報を返します。

セキュリティに対する影響

weblogic.jar の再編成の結果として、新しい別々のモジュールへのアクセスを制御するように、既存の J2SE セキュリティ ポリシーを変更しなければならない場合があります。WebLogic Server のデフォルトの J2SE セキュリティ ポリシーは、新しいモジュールへのアクセスを許可するように変更されています。

サードパーティ ライブラリ

WebLogic Server クラスパスには、内部で使用されるいくつかのサードパーティ ライブラリが含まれています。ただし、顧客の使用がサポートされている API は、BEA が公開している API Javadoc にある API だけです。WebLogic Server クラスパスにあるサードパーティ クラスを使用する場合は、お客様側の責任でご使用ください。これらのクラスは常に変更や削除の対象となります。

 


拡張された共有ライブラリ サポート

Java EE プラットフォームには、アプリケーションでオプション パッケージや共有ライブラリを使用するためのいくつかのメカニズムが用意されています。ライブラリはアプリケーションにバンドルすることもできますし、アプリケーションで使用するために個別にインストールすることもできます。EAR ファイルには、JAR ファイルにパッケージ化されたライブラリを格納するディレクトリを含めることができます。このディレクトリの名前は、EAR ファイルのデプロイメント記述子の library-directory 要素内に指定されます。この機能は、WebLogic Server でサポートされている APP-INF/lib 共有ライブラリ機能に似ています。ただし、APP-INF/liblibrary-directory が両方とも存在している場合は、library-directory 内の jar が優先されると考えられます。

『WebLogic Server アプリケーションの開発』の「ライブラリ ディレクトリ」を参照してください。

 


JDBC および JTA

このリリースの WebLogic JDBC および JTA の新機能は以下のとおりです。

改良された JDBC 接続のモニタおよびテスト

以前のリリースの WebLogic Server では、JDBC ドライバに依存して DBMS の接続障害を処理していました (少なくとも適切なタイミングで DBMS の接続障害に応答していました)。特定のネットワーク障害の発生時には、TCP/IP タイムアウトが経過するまで WebLogic Server は接続障害を判別できませんでした。切断が疑われる接続に対して、追加の接続状態モニタとテストを行うことができるようになっています。『WebLogic JDBC のコンフィグレーションと管理』の「データベース接続テスト セマンティクス を参照してください。

Oracle の高速接続フェイルオーバのサポート

WebLogic Server では Oracle の高速接続フェイルオーバ機能がサポートされています。これにより、ドライバに依存することなく、Oracle 10g で提供されている接続フェイルオーバ機能を JDBC アプリケーションで利用できます。『WebLogic JDBC のコンフィグレーションと管理』の「WebLogic Server での Oracle RAC の使い方」を参照してください。

MySQL 5.0 のサポート

WebLogic Server には MySQL 5.0.x 用のドライバがバンドルされており、MySQL 5.0.x がサポートされています。「 サポート対象のデータベース コンフィグレーション」を参照してください。

JTA 1.1 のサポート

WebLogic Server は JTA 1.1 に準拠しており、java:comp/TransactionSynchronizationRegistry を使用した JNDI での TransactionSynchronizationRegistry オブジェクトのルックアップが標準でサポートされています。2 つのグローバル JNDI 名 (javax/transaction/TransactionSynchronizationRegistryweblogic/transaction/TransactionSynchronizationRegistry) を追加することによって、BEA ではこのサポートを拡張しています。

JTA の詳細については、『WebLogic JTA プログラマーズ ガイド』の「サポートされているプログラミング モデル」および「Java Transaction API と BEA WebLogic の拡張機能」を参照してください。

トランザクション回復サービスの自動移行

WebLogic Server 移行フレームワークを使用することで、管理者は、WebLogic Server の状態モニタ機能を利用して現在の異常のあるホスト サーバから正常でアクティブなサーバに自動的に移行するように JTA トランザクション回復サービス (TRS) をコンフィグレーションできます。この機能により、ホスト サーバで障害が発生した場合に冗長サーバ上で TRS を速やかに再開できるため、クラスタ内の JTA TRS の可用性が向上します。

詳細については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「サービスレベルの移行」を参照してください。

JTA に関するクロスドメイン セキュリティ

WebLogic Server の JTA 実装では、クロスドメイン セキュリティ機能が新しくサポートされています。「クロスドメイン セキュリティ」、および『WebLogic JTA プログラマーズ ガイド』の「クロスドメイン セキュリティのコンフィグレーション」を参照してください。

 


診断

WebLogic 診断フレームワーク (WLDF) と WLDF コンソール拡張の両方に新機能があります。

WebLogic 診断フレームワーク

WebLogic 診断フレームワーク コンソール拡張

 


メッセージング

WebLogic Server 10.0 では、WebLogic Server JMS に関して以下の改良が行われています。

JMS 関連のサービスの移行

管理者は、WebLogic Server 移行フレームワークを使用して、現在の異常のあるホスト サーバから正常でアクティブなサーバに特定の JMS 関連のサービスが移行するように移行可能な対象をコンフィグレーションできます。元のサーバで問題が発生した場合に、あるクラスタ化サーバから別のクラスタ化サーバに移行可能な対象を移行することにより、高可用性が実現します。また、定期的な保守を行うために、移行可能対象を手動で移行することもできます。

WebLogic Server では、JMS サーバおよびカスタム永続ストアだけでなく、以下の JMS 関連のサービスに対するサービスレベルの移行もサポートされています。

詳細については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「サービスレベルの移行」を参照してください。

JMS リソースに対してユニークな実行時 JNDI 名を作成する JMS ${APPNAME} パラメータ

クラスタ環境では、接続ファクトリ、スタンドアロンの送り先、分散送り先などの JMS リソースを、実行時に JNDI 名に対するユニークな限定子で置き換えることにより、これらのリソースに対してユニークなグローバル JNDI 名を作成できるようになりました。JMS ${APPNAME} パラメータが実行時に、アプリケーション ライブラリに結合されているホスト アプリケーションのアプリケーション名で置き換えられます。

『WebLogic JMS のコンフィグレーションと管理』の「JMS アプリケーション モジュールのデプロイメントのコンフィグレーション」を参照してください。

JMS に関するクロスドメイン セキュリティ

WebLogic Server の JMS 実装では、クロスドメイン セキュリティ機能が新しくサポートされています。「クロスドメイン セキュリティ」、および『WebLogic JMS プログラマーズ ガイド』の「クロス ドメイン セキュリティの使用」を参照してください。

 


エンタープライズ JavaBeans (EJB) バージョン 3.0

WebLogic Server 10.0 には、エンタープライズ JavaBeans 仕様のバージョン 3.0 (EJB 3.0) が実装されています。

EJB 3.0 では、EJB をより簡単にプログラミングできるようにすることが目標の 1 つになっています。具体的には、必要となるプログラミング アーティファクトの数を減らし、Bean ファイルをより簡単かつ直感的にプログラミングできるようにする EJB 固有のメタデータ アノテーションのセットが導入されています。

EJB 3.0 仕様のもう 1 つの目標は、永続性フレームワークを標準化し、エンティティ Bean プログラミング モデルとオブジェクト リレーショナル (O/R) マッピング モデルの複雑さを軽減することです。

WebLogic Server 10.0 では、EJB 仕様バージョン 2.1 も引き続きサポートされています。

新しい 3.0 プログラミング モデルを使用したセッション EJB のプログラミングについては、『WebLogic エンタープライズ JavaBeans バージョン 3.0 プログラマーズ ガイド』を参照してください。

WebLogic Server 10.0 には、BEA Kodo 製品も実装されています。付加価値機能だけでなく、JPA および JDO のサポートも提供されます。

エンティティ Bean のプログラミングについては、「Java Persistence API」を参照してください。このドキュメントは、BEA Kodo ドキュメント セットの一部です。

EJB 2 Bean の EJB 3 へのアップグレード

EJB 2 では、セッション Bean またはメッセージ駆動型 Bean (MDB) のデフォルトのトランザクション属性は supports です。EJB 3 では、この属性が required に変更されています。セッション Bean または MDB を EJB2 から EJB3 に変換する場合は、クラスおよびメソッドが適切なトランザクション動作を行うことを確認してください。

このリリースの WebLogic Server にデプロイされる EJB 2 のセッション Bean、MDB、およびエンティティ Bean に対する変更はありません。

メッセージ駆動型 Bean の起動動作

デフォルトでは EAR の一部でないメッセージ駆動型 Bean (MDB) は、サーバが RUNNING モードになるまで接続を受け付けません (start-mdbs-with-application フラグが false に設定されている場合を除く)。これにより、EAR でデプロイされるされないに関係なく MDB が同じ起動動作を行うようになりました。この変更は、MDB の早過ぎる起動を防止することを目的としています。

 


Web サービス

Web サービスには、以下の節で説明する新機能と変更点があります。

Java EE 5 Web サービス仕様の実装と更新

Java EE 5 準拠の一部として、WebLogic Server では以下の新しいサービス仕様が実装されています。

また、以下の仕様が更新されています。

WebLogic Web サービスについて」を参照してください。

WS-* 仕様の実装に対する追加と更新

WebLogic Server では、以下の WS-* 仕様の実装に対して、追加および更新が行われています。

WS-SecurityPolicy 1.2 に準拠する、一連の新しいセキュリティ ポリシー ファイルも含まれています。「 メッセージレベルのセキュリティのコンフィグレーション」を参照してください。

スタンドアロン クライアント JAR ファイル

WebLogic Web サービスでスタンドアロン クライアント JAR ファイルが提供されるようになりました。プログラマは、このファイルを使用して WebLogic Server コンテナの外部で Web サービス クライアント アプリケーションをビルドして実行できます。

詳細については、「Web サービスの呼び出し」を参照してください。

JAX-RPC での MTOM/XOP のサポート

MTOM/XOP では、xs:base64Binary 型の XML データの送信を最適化する方法が記述されています。HTTP を介して MIME 添付ファイルを使用して、送信側と受信側の両方に対して同時に XML データへの直接アクセスを許可する間にデータを伝達します。このとき、xs:base64Binary データのマーシャリングに MIME アーティファクトが使用されていたことを意識する必要はありません。

MTOM/XOP のサポートは JAX-WS では標準です。このリリースの WebLogic Server では、JAX-RPC 形式の Web サービスでも MTOM/XOP がサポートされています。

MTOM/XOP を使用したバイナリ データの送信」を参照してください。

Web サービス Ant タスクの変更点

3 つすべての Web サービス Ant タスクに新しい属性 (type) が追加されました。この属性は、JAX-RPC 1.1 または JAX-WS 2.0 形式のいずれの Web サービスを生成するか (jwsc/wsdlc)、またはいずれの Web サービスに対するクライアント アーティファクトを生成するか (clientgen) を指定します。

生成する Web サービスのタイプ、またはクライアント アーティファクトの生成対象に応じて、Ant タスク属性の一部のみが適用されます。Ant タスク リファレンスのドキュメントは更新されており、各属性がいずれの Web サービスのタイプに適用されるかが示されています。「Ant タスク リファレンス」を参照してください。

これ以外にも WebLogic Web サービス Ant タスクには、以下の節で説明するような更新が行われています。

jwsc

JWS ファイルをデプロイ可能な Web サービスにコンパイルするために使用される jwsc Ant タスクは、以下のように変更されました。

『WebLogic Web サービス リファレンス ガイド』の「jwsc」を参照してください。

clientgen

clientgen Ant タスクは以下のように変更されました。

『WebLogic Web サービス リファレンス ガイド』の「clientgen」を参照してください。

wsdlc

wsdlc Ant タスクは以下のように変更されました。

『WebLogic Web サービス リファレンス ガイド』の「wsdlc」を参照してください。

非推奨になった Web サービス機能

weblogic.xml.crypto.wss パッケージおよび weblogic.xml.crypto.wss.provider パッケージの以下のクラスおよびメソッドは非推奨になりました。

 


デプロイメント

このリリースでは以下のデプロイメント機能が追加されました。

 


フィルタリング クラスローダ

WebLogic FilteringClassLoader を使用すると、デプロイメント記述子をコンフィグレーションすることで、システム クラスローダを使用してロードされるのではなく、常にアプリケーションからロードされるパッケージを明示的に指定できます。『WebLogic Server アプリケーションの開発』の「フィルタリング クラスローダの使用」を参照してください。

 


移行とクラスタ化

移行とクラスタ化に関連する以下の機能がこのリリースで追加されました。

他の JMS 関連のサービスをホストできる移行可能な対象

WebLogic Server の移行可能な対象では、JMS サーバおよびカスタム永続ストアだけでなく、以下の JMS 関連のサービスに対する手動によるサービスレベルの移行もサポートされています。

詳細については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「サービスレベルの移行」を参照してください。

シングルトン サービスの自動的な移行

シングルトン サービスの自動移行では、シングルトン サービスのヘルス モニタと移行を自動化できます。シングルトン サービスとは、クラスタの内部で動作し、常に 1 つのサーバ上でのみ使用可能になる、ユーザ定義のサービスです。

移行可能サービスで障害が発生した場合や、何らかの理由 (サービス コードのバグ、サーバの障害、ネットワークの障害など) で使用不能になった場合、その移行可能サービスは現在のサーバで非アクティブ化され、新しいサーバでアクティブ化されます。

詳細については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「シングルトン サービスの自動移行」を参照してください。

クラスタのリースに関する独立したサポート

データベースでは、サーバ移行時に使用されるリース情報を格納する必要はなくなりました。詳細については、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「サーバおよびサービスの移行について」を参照してください。

ジョブ スケジューラ

ジョブ スケジューラ機能は、クラスタ化環境で使用できる commonj.timer API の実装です。ジョブ スケジューラを使用すると、クラスタ全体のタイマーに、クラスタ内の各サーバを含む他の JVM を認識させることができます。そのため、ロード バランシングやフェイルオーバを実行できます。ジョブ スケジューラでは、Informix、DB2、Microsoft SQL Server、Oracle、および Sybase データベースに加えて、MySQL もサポートされるようになりました。ジョブ スケジューラの使用の詳細については、『Timer and Work Manager API (CommonJ) プログラマーズ ガイド』の「ジョブ スケジューラの使用」を参照してください。

クラスタ内通信でのユニキャストの使用

WebLogic Server には、クラスタでのマルチキャスト通信に対する代替手段が用意されています。マルチキャストとユニキャストの両方を使用することで、クラスタ メンバー間の通信が円滑になります。ユニキャストは、マルチキャストと比べてコンフィグレーションが簡単であり、ネットワーク リソースも少なくて済みます。ユニキャストのコンフィグレーションについては、『WebLogic Server クラスタ ユーザーズ ガイド』の「ユニキャストを使用した 1 対多通信」を参照してください。

weblogic.PurgeConfigCache ユーティリティの削除

weblogic.PurgeConfigCache ユーティリティは、移行に必要ではなくなったため、このリリースから削除されました。

 


Web アプリケーション、サーブレット、および JSP

サーブレット、JSP などの Web アプリケーションには、以下の節で説明する新機能と変更点があります。

Servlet 2.5 のサポート

Java EE 5 準拠の一部として、WebLogic Server 10.0 には Servlet 2.5 仕様が実装されています。Servlet 2.5 で導入された重要な新機能の 1 つは、サーブレット、フィルタ、およびリスナに対するアノテーションとリソース注入のサポートです。アノテーションを使用すると、外部リソースに対する依存性を宣言できます。コンテナはこれらのコンポーネントのアノテーションを検出し、必要な依存性を注入します。アノテーションを使用して、Java コード内でコンフィグレーション データを宣言することもできます。これにより、コンフィグレーション データをデプロイメント記述子ファイルで定義する必要がなくなります。アノテーションの使用により、標準の web.xml デプロイメント記述子は省略可能になりました。

『WebLogic Server Web アプリケーション、サーブレット、JSP の開発』の「Web コンポーネント用の WebLogic アノテーション」を参照してください。

JSF 1.2 および JSTL 1.2 のサポート

JSF 1.2 (JavaServer™ Faces) および JSTL 1.2 (JSP™ Standard Tag Library) パッケージが、共有 Web アプリケーション ライブラリとして WebLogic Server にバンドルされています。これらのライブラリは、JSF または JSTL 機能を使用する標準の Web アプリケーションから参照できます。WebLogic Server 10.0 では、JSF 1.1 および JSTL 1.1 の機能を使用する既存の Web アプリケーションも引き続きサポートされており、JSF 1.1 および JSTL 1.1 パッケージも共有 Web アプリケーション ライブラリとして引き続きバンドルされています。

『WebLogic Server Web アプリケーション、サーブレット、JSP の開発』の「JSF および JSTL ライブラリのコンフィグレーション」を参照してください。

JSP 2.1 のサポート

Java EE 5 準拠の一部として、WebLogic Server 10.0 には JSP 2.1 仕様が実装されています。JSP 2.1 で導入された重要な新機能の 1 つは、遅延式のサポートです。遅延式を使用することで JSP 2.1 式の評価を遅延できます。これにより、式はライフサイクル内の適切な時点で基底のメカニズムによって処理されるようになります。もう 1 つの重要な新機能は、タグ ハンドラおよびイベント リスナにリソース注入用のアノテーションを付けられるようになったことです。

JSP 2.1 仕様と一致するため、JSP は java.lang.*javax.servlet.*javax.servlet.jsp.*、および javax.servlet.http.* の 4 パッケージのみを暗黙的にインポートするようになりました。他のパッケージを暗黙的にインポートしている既存の JSP がある場合は、上記のパッケージを明示的にインポートする必要があります。

『WebLogic Server Web アプリケーション、サーブレット、JSP の開発』の「JSP 式言語」を参照してください。

Web コンポーネント用の Weblogic アノテーション

WebLogic Server 10.0 には、Java コード内でサーブレットおよびフィルタのコンフィグレーション データを宣言するための WebLogic 固有のアノテーションがいくつか用意されています。WLServletWLFilterWLInitParam などのアノテーションがあります。これらのアノテーションを使用することで Web アプリケーション内でサーブレットおよびフィルタを開発でき、web.xml デプロイメント記述子でそれらを宣言する必要がなくなります。

『WebLogic Server Web アプリケーション、サーブレット、JSP の開発』の「Web コンポーネント用の WebLogic アノテーション」を参照してください。

Java EE アプリケーションのクライアント ユーティリティ

Java EE アプリケーションのクライアント コードの実行に使用される weblogic.j2eeclient.Main ユーティリティに、新しいオプション -clientName が追加されました。このオプションを使用すると、展開 EAR を渡すときに呼び出すクライアント JAR の名前を指定できます。次に例を示します。

java weblogic.j2eeclient.Main appclient.jar t3://localhost:7001

weblogic.j2eeclient.Main の詳細については、『スタンドアロン クライアント プログラマーズ ガイド』の「Java EE アプリケーション クライアント (シン クライアント) の開発」を参照してください。

 


Spring フレームワークのサポート

WebLogic Server では、Spring フレームワークのバージョン 2.0.2 を使用したアプリケーションの開発と使用がサポートされます。詳細については、「Spring アプリケーション リファレンス」を参照してください。

 


WebLogic Tuxedo Connector

このリリースの WebLogic Tuxedo Connector では、以下の機能がサポートされています。

 


セキュリティ

このリリースの WebLogic セキュリティの新機能は以下のとおりです。

クロスドメイン セキュリティ

このリリースでは、複数の WebLogic Server ドメイン間のセキュリティを確立する新しい方法が提供されています。クロスドメイン ユーザのセキュリティ ロールを確立し、各ドメインの WebLogic 資格マッピング セキュリティ プロバイダを使用してクロスドメイン ユーザによって使用される資格を格納します。「WebLogic Server ドメイン間の信頼関係の有効化」を参照してください。

非推奨になった Windows NT 認証プロバイダ

Windows NT 認証プロバイダは、WebLogic Server 10.0 から非推奨になりました。代わりに、サポートされている別の認証プロバイダを使用してください。

 


SNMP

このリリースでは、WebLogic Server SNMP サービスに対していくつかの重要な変更が加えられています。

詳細については、『WebLogic SNMP 管理ガイド』の「WebLogic SNMP エージェントおよび MIB について」を参照してください。

 


WebLogic Scripting Tool (WLST)

WebLogic Server 10.0 では、WLST に対して若干の変更が加えられています。

 


Administration Console

WebLogic Server 10.0 では、Administration Console に対して以下の変更が加えられています。

 


JMX

WebLogic Server 10.0 では、JMX 実装で jmx.remote.x.request.waiting.timeout 環境パラメータがサポートされています (JMX Remote API 1.0 仕様では、このパラメータのサポートは省略可能とされています)。このパラメータを使用すると、JMX クライアントが MBean サーバ メソッドの呼び出しが返されるまで待機するミリ秒数を指定できます。メソッドがタイムアウト期間の終了までに返されない場合、クライアントは次の命令セットに移動します。デフォルトでは、クライアントはメソッドが返されるのを無期限に待機します。MBean サーバが呼び出しを完了できない場合には、JMX クライアントは無期限にハングします。

詳細については、『JMX によるカスタム管理ユーティリティの開発』の「MBean サーバへのリモート接続の作成」を参照してください。

 


weblogic.apache クラス

WebLogic Server 9.1 以降非推奨になっていた weblogic.apache.xerces.* クラスが、WebLogic Server のこのリリースから削除されました。

なお、weblogic.apache.* パッケージの他のすべてのクラスは、WebLogic Server 9.2 以降非推奨になっており、今後のリリースで削除される予定です。

これらの BEA 独自のクラスを使用する代わりに、同じ機能の org.apache.* クラスを使用してください。これらのクラスは、http://xerces.apache.org/xerces-j/ からダウンロードできます。または、com.sun.org.apache.* パッケージの JDK にも含まれています。

 


非推奨になった Beehive 機能

WebLogic Server Beehive 統合ガイド』(英語版) に記載されている、WebLogic Server のみで使用可能な追加の Beehive 機能は、WebLogic Server 10.0 から非推奨になりました。この非推奨の警告は、WebLogic Server Beehive 統合ガイド』(英語版) に記載されている機能のみに適用され、その他の BEA ドキュメントに記載されている Beehive 機能やオープンソースの Beehive には適用されません。

 


非推奨になった EJB 機能

次のリリースで、OpenJPA は互換性が保証されている API のセットを提供します。この取り組みによって、次の OpenJPA メソッド シグネチャが非推奨となり、次のリリースから変更されます。

表 1-1 非推奨になったメソッド
クラス
メソッド シグネチャ
org.apache.openjpa.persistence.OpenJPAEntityManager
public int getConnectionRetainMode();
public int getRestoreState();
public int getDetachState();
public int getAutoClear()
public int getAutoDetach();
org.apache.openjpa.persistence.OpenJPAQuery
public int getOperation();
org.apache.openjpa.persistence.jdbc.JDBCFetchPlan
public int getEagerFetchMode();
public int getSubclassFetchMode();
public int getResultSetType();
public int getFetchDirection();
public int getJoinSyntax();
org.apache.openjpa.persistence.jdbc.EagerFetchMode
EagerFetchType value() default EagerFetchType.NONE;
org.apache.openjpa.persistence.jdbc.SubclassFetchMode
EagerFetchType value() default EagerFetchType.NONE;

 


標準のサポート

このリリースの WebLogic Server は以下の標準をサポートしています。

表 1 Java の標準のサポート
標準
バージョン
Java EE
5.0
JDK
5.0 (aka 1.5)、1.4 (クライアントのみ)
Java EE Enterprise Web Services
1.2、1.1
Web Services Metadata for the Java Platform
2.0、1.1
Java API for XML-Based Web Services (JAX-WS)
2.0
Java EE EJB
3.0、2.1、2.0、および 1.1
Java EE JMS
1.1、1.0.2b
Java EE JDBC (サードパーティ ドライバ使用)
3.0
MS SQL jDriver
1.0
Oracle OCI jDriver
1.0 および一部の 2.0 機能 (バッチ処理)
Java EE JNDI
1.2
OTS/JTA
1.2 および 1.1
Java EE Servlet
2.5、2.4、2.3、および 2.2
Java EE Application Deployment
1.2
JACC (Java Authorization Contract for Containers)
1.1
Java EE JSP
2.1、2.0、1.2、および 1.1
RMI/IIOP
1.0
JMX
1.2、1.0
JavaMail
1.2
JAAS
1.0 全体
Java EE CA
1.5、1.0
JCE
1.4
Java RMI
1.0
JAX-B
2.0
JAX-P
1.2、1.1
JAX-RPC
1.1、1.0
JAX-R
1.0
SOAP Attachments for Java (SAAJ)
1.3、1.2
Streaming API for XML (StAX)
1.0

表 2 Web サービスの標準のサポート
標準
バージョン
Java EE Enterprise Web Services
1.2、1.1
Web Services Metadata for the Java Platform (JWS)
2.0、1.0
Java API for XML-Based Web Services (JAX-WS)
2.0
SOAP
1.1、1.2
WSDL
1.1
JAX-RPC
1.1
SOAP Attachments for Java (SAAJ)
1.3、1.2
WS-Security
1.1、1.0
WS-Policy
1.0
WS-SecurityPolicy
1.2、1.1
WS-PolicyAttachment
1.0
WS-Addressing
1.0
WS-ReliableMessaging
1.0
WS-Trust
1.0
WS-SecureConversation
1.3、1.0
UDDI
2.0
JAX-R
1.0
JAX-B
2.0

表 3 その他の標準
標準
バージョン
SSL
v3
X.509
v3
Security Assertion Markup Language (SAML)
1.0、1.1
LDAP
v3
TLS
v1
HTTP
1.1
SNMP
SNMPv1、SNMPv2、SNMPv3
xTensible Access Control Markup Language (XACML)
2.0
Core and Hierarchical Role Based Access Control (RBAC) Profile of XACML の部分的な実装
2.0
Internet Protocol (IP)
バージョン:

注意 : WLS では、システムが IPV4 とのデュアル ホスト対応である場合に IPV6 がサポートされます。WLS ライセンスは IPV4 アドレスを使用するため、デュアルホスト IP V4/V6 サーバが必要です。WLS に付属の Web サーバ プラグインでは IPv6 がサポートされません。


ページの先頭       前  次