![]() ![]() ![]() ![]() |
以下の節では、WebLogic Server において、ドメインのコンフィグレーションを永続化するために使用するファイルについて説明します。
各ドメインのコンフィグレーションは、ドメインのコンフィグレーション ディレクトリに格納されている XML ドキュメントに記述されます。実行時には、ドメイン内の各 WebLogic Server インスタンスが、このドキュメントに記述されたコンフィグレーションのメモリ内表現を作成します。
ドメインの中心的なコンフィグレーション ファイルは DOMAIN_NAME
/config/config.xml
です。このファイルには、ドメインの名前と、ドメイン内の各サーバ インスタンス、クラスタ、リソース、およびサービスのコンフィグレーションが指定されています。ファイルには、DOMAIN_NAME
/config
ディレクトリのサブディレクトリに格納されている追加の XML ファイルへの参照も含まれています。これらの XML ファイルは、WebLogic Server の主要なサブシステムを記述するためのものです。
WebLogic Server のデフォルト値のほとんどは、パフォーマンスを最適化するため、ドメインのコンフィグレーション ファイルには保持されていません。そのため、状況によっては、XML 要素がコンフィグレーション ファイルに記述されていない場合もあります。たとえば、ドメインがアクティブな間にドメインのデフォルトのロギング重大度を変更したことがない場合、config.xml
ファイルにはドメインのロギングをコンフィグレーションする XML 要素は含まれていません。
さらにパフォーマンスを最適化するため、各管理対象サーバはドメインのコンフィグレーション ファイルのコピーを保持しています。このコピーは読み取り専用で、変更管理プロセスの一部としてのみ更新できます (「コンフィグレーションの変更の管理」を参照)。
ドメインのコンフィグレーション ドキュメントは、ほとんどの状況ではテキスト エディタなどの非 Oracle ツールでは編集しないようにしてください。代わりに、Administration Console、WebLogic Scripting Tool (WLST) など、『Oracle WebLogic Server の紹介』の「WebLogic Server システム管理の概要」で説明されているいずれかのツールを使用してください。
ただし、WebLogic Server のコンフィグレーション ドキュメントはスキーマに準拠した XML ファイルであるため、XSLT または XML パーサ (Apache Xerces、JDOM など) を使用して編集することも可能です。作成したスクリプトは徹底的にテストし、変更を行う前に必ず各コンフィグレーション ファイルのバックアップ コピーを作成するようにしてください。
ドメインのコンフィグレーション ドキュメントを定義するスキーマは、以下の場所に格納されています。
http://www.bea.com/ns/weblogic/920/domain.xsd
http://www.bea.com/ns/weblogic/90/security.xsd
http://www.bea.com/ns/weblogic/weblogic-diagnostics/1.1/weblogic-diagnostics.xsd
/server/lib/schema
内の JAR ファイル。WL_HOME は WebLogic Server のインストール ディレクトリです。このディレクトリ内では、以下のドキュメントが表現されています。警告 : | 実行中のドメインのコンフィグレーション ファイルは編集しないでください。WebLogic Server では、コンフィグレーション ファイルを定期的に書き換えているため、変更した内容は消失します。プラットフォームによっては、WebLogic Server の障害の原因となる可能性もあります。 |
ドメイン セキュリティと組み込み LDAP サーバのセキュリティ資格は、暗号化された状態で config.xml
ファイルに格納されます。config.xml
ファイルをテキスト エディタなどの非 Oracle ツールで作成した場合は、セキュリティ資格を見つけて暗号化し、作成済みの config.xml
ファイルに、暗号化した資格をコピーする必要があります。
WebLogic Server の暗号化ユーティリティの詳細については、『コマンド リファレンス』の「Encrypt」を参照してください。資格を暗号化したら、config.xml
ファイル内の要素 (コード リスト 3-1) に、暗号化された値を指定します。
<security-configuration>
<credential-encrypted>{3DES}encypted-value-here
</credential-encrypted>
</security-configuration>
<embedded-ldap>
<credential-encrypted>{3DES}encypted-value-here
</credential-encrypted>
</embedded-ldap>
コンフィグレーション ファイルのバックアップ コピーを作成するように WebLogic Server をコンフィグレーションできます。そうすることで、コンフィグレーションの変更を元に戻す必要がある場合や、万一コンフィグレーション ファイルが破損した場合に、回復しやすくなります。管理サーバは起動時に、コンフィグレーション ファイルを含む config-booted.jar
という JAR ファイルを保存します。コンフィグレーション ファイルを変更すると、古いファイルはドメイン ディレクトリの下の configArchive
ディレクトリ内で、連続番号の付いた名前の JAR ファイル (config-1.jar
など) に保存されます。
コンフィグレーション ファイルのアーカイブについては、Administration Console オンライン ヘルプの「コンフィグレーション ファイルのアーカイブ化」を参照してください。WLST を使用してバックアップ コピーが作成されるようにコンフィグレーションしたい場合は、DomainMBean
の ConfigBackupEnabled
属性を true
に設定し、保持するコンフィグレーション アーカイブ ファイルの数を ArchiveConfigurationCount
属性に指定します。
WebLogic Server のデフォルトでは、ドメイン ディレクトリは BEA_HOME
/user_projects/domains
ディレクトリに作成されます。この節では、ドメイン ディレクトリとサブフォルダの内容について説明します。なお、以下では、ユーザがドメイン作成時に定義する名前を、domain-name
、deployment-name
、server-name
のように表記します。
ドメイン ディレクトリには、ドメイン内の個別のアプリケーションによって作成されたファイルやディレクトリが格納される場合もあります。
まだドメインを作成していない場合は、サンプルとして既存のドメイン ディレクトリ WL_HOME
/examples/domains/wl_server
を参照してください。WL_HOME
は WebLogic Server のインストール ディレクトリです。
このディレクトリは、開発サーバでアプリケーションを素早くデプロイする方法を提供します。WebLogic Server インスタンスがデプロイメント モードで実行中の場合、このディレクトリに配置したアプリケーションまたはモジュールは WebLogic Server インスタンスによって自動的にデプロイされます。
このディレクトリに配置するファイルは、次のような Java EE アプリケーションです。
このディレクトリには、ドメインの管理サーバと管理対象サーバの起動および停止処理に使用されるスクリプトが含まれています。通常、これらのスクリプトは、UNIX 用に .sh
ファイルが、Windows 用に .cmd
ファイルが用意されています。bin
ディレクトリには、データベース管理システムを起動および停止するためのスクリプトや、全文検索エンジンの処理など、ドメイン全体に関与する他のスクリプトを含めることもできます。詳細については、『サーバの起動と停止の管理』を参照してください。
このディレクトリには、ドメインの現在のコンフィグレーションとデプロイメントの状態が含まれています。中心的なドメイン コンフィグレーション ファイルの config.xml
はこのディレクトリに格納されます。
ドメインのコンフィグレーション ドキュメントへの変更を検証する際に、パフォーマンスの最適化に使用するデータが格納されます。これらは WebLogic Server の内部データですので、バックアップする必要はありません。
このディレクトリには、WebLogic 診断フレームワークのインスツルメンテーションのシステム モジュールがあります。詳細については、『WebLogic 診断フレームワークのコンフィグレーションと使い方』を参照してください。
このディレクトリには、JDBC のシステム モジュール、つまり、(JSR-88 とは異なり) JMX から直接コンフィグレーションできる、グローバルな JDBC モジュールが含まれます。詳細については、「Oracle WebLogic Server 10g リリース 3 データベース接続」を参照してください。
このディレクトリには、JMS のシステム モジュール、つまり、(JSR-88 とは異なり) JMX から直接コンフィグレーションできる、グローバルな JMS モジュールが含まれます。詳細については、「Oracle WebLogic Server 10g リリース 3 メッセージング」を参照してください。
このディレクトリは、現在のリリースの WebLogic Server では使用されていません。
このディレクトリには、ノード マネージャとの接続に関するコンフィグレーション情報が保持されます。詳細については、『ノード マネージャ管理者ガイド』の「ノード マネージャのコンフィグレーション ファイルとログ ファイル」を参照してください。
このディレクトリには、セキュリティ フレームワークのシステム モジュールが含まれます。ドメインの現在のレルムにある、セキュリティ プロバイダの各種類ごとに 1 つの、セキュリティ プロバイダのコンフィグレーション拡張が格納されます。詳細については、『WebLogic Security について』を参照してください。
このディレクトリには、起動プランを含むシステム モジュールが格納されます。起動プランは、サーバの起動中に使用できるシェル スクリプトの生成に使用されます。
このディレクトリには、ドメインのコンフィグレーションの状態を保存した JAR ファイルのセットが格納されます。コンフィグレーションの保留中の変更内容がアクティブ化される直前に、config.xml
ファイルと他の関連するコンフィグレーション ファイルから成るドメインの既存のコンフィグレーションの状態が、config.jar#1
、config.jar#2
のような名前のバージョン付きの JAR ファイルに保存されます。
保存するバージョン付き JAR ファイルの最大数は、DomainMBean
の archiveConfigurationCount
属性で指定します。この最大数に達すると、新しいアーカイブが作成される前に、最も古い変換アーカイブが削除されます。
このディレクトリには、Administration Console の拡張が格納されています。これらの拡張を使用すると、WebLogic Server にインストールされているファイルを修正することなく、WebLogic Server Administration Console のコンテンツを追加または置換したり、ロゴ、スタイル、色を変更したりできます。たとえば、カスタマイズされたアプリケーション モニタ機能や管理機能を備えたコンテンツを追加できます。『Administration Console の拡張』を参照してください。
このディレクトリには、WebLogic ドメインのプロビジョニングに使用されるファイルがあります。このディレクトリのファイルは変更しないでください。
このディレクトリに置いた JAR ファイルは、サーバの Java 仮想マシンの起動時に、ドメイン内の各サーバ インスタンスのシステム クラスパスに追加されます。
このディレクトリには、要求されてまだアクティブ化されていないコンフィグレーションの変更を表すドメイン コンフィグレーション ファイルが格納されます。コンフィグレーションの変更がアクティブ化されると、コンフィグレーション ファイルはこのディレクトリから削除されます。詳細については、「コンフィグレーションの変更の管理」を参照してください。
このディレクトリには、ドメイン内のどの WebLogic Server インスタンスの場合でも、以下のセキュリティ関連のファイルが格納されます。
また、ドメインの管理サーバだけで必要になる、以下のセキュリティ関連ファイルも格納されます。
詳細については、『WebLogic Security について』を参照してください。
このディレクトリには、ドメイン内の各 WebLogic Server インスタンスごとに 1 つのサブディレクトリが含まれます。サブディレクトリには、各サーバ インスタンスに固有のデータが格納されます。
このディレクトリは、ディレクトリと同じ名前の WebLogic Server インスタンスのサーバ ディレクトリです。
このディレクトリには、サーバごとに内容が異なる場合のある実行可能ファイルやシェル ファイルが格納されます。サーバ環境スクリプト (setServerEnv.sh
または setServerEnv.cmd
) は、ここに置かれるファイルの例です。このファイルは、たとえば、サーバ インスタンスが独自の起動プランを持つかどうかによって、WebLogic Server インスタンスごとに異なるからです。
このディレクトリには、キャッシュされたデータを格納するディレクトリとファイルがあります。ここに「キャッシュされた」というのは、データが他のデータのコピーであり、場合によっては処理済みの形式 (コンパイル済み、変換済み、または再フォーマット済み) のコピーであることを意味します。
このディレクトリはコンパイル済み EJB 用のキャッシュです。
このディレクトリには、一時的なキャッシュや履歴情報とは対照的に、WebLogic Server インスタンスの実行に使用される、永続的なサーバごとの状態 (セキュリティの状態を除く) を保持するファイルが格納されます。このディレクトリのファイルは、WebLogic Server インスタンスの起動、停止、再起動、新しいバージョンへのアップグレードなどを行う際に保持する必要のある、重要な情報です。
このディレクトリには組み込み LDAP データベースがあります。WebLogic Server インスタンスの実行時のセキュリティの状態はこのディレクトリに永続化されます。
このディレクトリには WebLogic 永続ストアが格納されます。各永続ストアごとに、永続ストアを表すファイルを格納するサブディレクトリがあります。サブディレクトリの名前は永続ストアの名前です。通常、default
という名前のストアが 1 つあります。
このディレクトリにはログと診断情報が保持されます。この情報は事実上、履歴情報です。サーバの処理に不可欠なものではなく、(少なくとも、WebLogic Server インスタンスが停止している間に) 削除しても、通常の処理には影響を与えません。ただし、この情報はデバッグや監査の目的には非常に役立つものなので、特に理由がない場合は削除しないでください。
このディレクトリには、WebLogic 診断フレームワークのサーバ イメージ キャプチャ コンポーネントによって作成される情報が格納されます。詳細については、『WebLogic 診断フレームワークのコンフィグレーションと使い方』を参照してください。
このディレクトリには、WebLogic Server インスタンス内の各 JMS サーバごとに 1 つのサブディレクトリが含まれます。各サブディレクトリには、その JMS サーバのログが保存されます。サブディレクトリの名前は JMS サーバの名前です。
このディレクトリは、コネクタ モジュール (JCA ResourceAdapter) ログ用の、デフォルトのベース ディレクトリです。
このディレクトリには、WebLogic Server インスタンスごとに内容が異なる場合のある、セキュリティ関連のファイルが格納されます。boot.properties
ファイルはここに置かれるファイルの例です。このファイルの内容はサーバごとに異なるからです。このディレクトリには、SSL キーに関連するファイルも格納されます。
このディレクトリには、サーバ インスタンスの実行中に作成される一時ディレクトリおよびファイルが格納されます。たとえば、JMS ページング ディレクトリは、他の場所を指定しない限り、自動的にここに作成されます。このディレクトリのファイルは、サーバの実行中はそのままにしておく必要がありますが、サーバ インスタンスを停止しているときは、自由に削除できます。
このディレクトには、変更管理プロセスで使用される一時ファイルが保存されます。このディレクトリのファイルは変更しないでください。
デフォルトでは、コンフィグレーション情報は管理サーバから管理対象サーバに自動的にコピーされます。代わりに、コンフィグレーションの変更を手動でステージングする場合は、このディレクトリを config
ディレクトリの代わりとして使用できます。
WebLogic Server のすべてのインスタンスは、ルート ディレクトリを使用して、ドメインのコンフィグレーション ファイルの作業用コピーを格納したり、実行時データを格納したり、サーバのコンフィグレーション内での相対パス名のコンテキストを提供したりします。管理サーバの場合は、常にドメイン ディレクトリがルート ディレクトリとして使用されます。管理対象サーバの場合は、ドメイン ディレクトリも使用できますが、ユーザが定義した他のどのディレクトリでも使用できます。
たとえば、管理サーバをホストするコンピュータとファイル システムを共有していない管理対象サーバを起動した場合は、その管理対象サーバによって独自のルート ディレクトリが作成されます。サーバは、ドメイン ディレクトリのデータをこのルート ディレクトリにコピーし、実行時データをこのディレクトリに書き込みます。
サーバ インスタンスごとにサーバ ルート ディレクトリのパスと名前を指定できます。1 つのコンピュータ上にホストされる複数のサーバ インスタンスで共通のサーバ ルート ディレクトリを指定することも、サーバごとに異なるサーバ ルート ディレクトリを指定することもできます。ドメインには、1 つまたは複数のサーバ ルート ディレクトリが存在できます。
サーバ ルート ディレクトリのパスは、以下のいずれかの手段で指定できます。
-Dweblogic.RootDirectory=
path
オプションを使用。たとえば次のコマンドでは、java -Dweblogic.RootDirectory=c:\MyServerRootDirectory weblogic.Server
WebLogic Server インスタンスが起動され、サーバ ルート ディレクトリとして c:\MyServerRootDirectory
が使用されます。
上記の手段でサーバ ルート ディレクトリを指定しない場合、サーバ ルート ディレクトリのパスと名前は、サーバ インスタンスが管理対象サーバと管理サーバのどちらであるか、サーバ インスタンスの起動にノード マネージャを使用するかどうかによって異なります。以降の節で、それらのバリエーションについて説明します。
管理サーバは、サーバ ルート ディレクトリを、ドメインのコンフィグレーション データ (config.xml
など) とセキュリティ リソース (デフォルトの組み込み LDAP サーバなど) のリポジトリとして使用します。
管理サーバのルート ディレクトリの判別は以下の手順で行われます。
config.xml
ファイルが見つからない場合は、新たにディレクトリを作成するかどうかを尋ねるメッセージが表示されます。この方法では、新しいドメインを作成できます。詳細については、『コマンド リファレンス』の「weblogic.Server コマンドラインを使用したドメインの作成」を参照してください。
ノード マネージャを使用して管理対象サーバを起動した場合、ルート ディレクトリはノード マネージャ プロセスをホストするコンピュータ上に置かれます。サーバのルート ディレクトリの位置を判断するために、WebLogic Server は以下のことを行います。
ノード マネージャで起動した管理対象サーバのサーバ ルート ディレクトリには、各管理対象サーバ インスタンスのサブディレクトリが格納されます。そのサブディレクトリの名前は、ドメインのコンフィグレーションで定義されているサーバの名前です。
ノード マネージャを使用せず、java weblogic.Server
コマンドまたはそのコマンドを呼び出すスクリプトを使用して管理対象サーバを起動した場合、WebLogic Server は次のようにルート ディレクトリを判断します。
WebLogic Server ソフトウェアがアップグレードされてもドメイン コンフィグレーションとアプリケーションを簡単に維持できるようにするには、サーバ ルート ディレクトリを WebLogic Server ソフトウェアのインストール ディレクトリとは別のディレクトリにします。
![]() ![]() ![]() |