WebLogic SNMP 管理ガイド

     前  次    新しいウィンドウで目次を開く     
ここから内容の開始

WebLogic Server トラップ通知について

WebLogic SNMP エージェントをコンフィグレーションして、管理対象リソース内で特定のしきい値または条件を検出し、1 つまたは複数の SNMP マネージャにレポート (トラップ通知) を送信するようにできます。WebLogic SNMP エージェントでは、SNMPv1 および SNMPv2 プロトコルに準拠するトラップを生成できます。

以下の節では、WebLogic SNMP エージェントが生成できるトラップ通知について説明します。

WebLogic Server トラップ通知をコンフィグレーションまたは削除するには、Administration Console オンライン ヘルプの「SNMP を使用した WebLogic Server のモニタ」を参照してください。

 


WebLogic トラップ通知のフォーマット

WebLogic SNMP エージェントは、各トラップ通知を、図 3-1 に示すフィールドを備えたプロトコル データ ユニット (protocol data unit: PDU) の形式で SNMP マネージャに送信します。

図 3-1 SNMP トラップ パケット

SNMP トラップ パケット

フィールドには、以下の情報が格納されています。

 


自動的に生成される WebLogic SNMP トラップ

ドメインの SNMP サービスを有効にすると、WebLogic SNMP エージェントは、表 3-3 に示すトラップ通知を自動的に生成します。これらのトラップ通知には、イベントをより詳細に記述するための名前と値のペアが PDU に含まれているものもあります。

表 3-3 自動生成されるトラップ通知
トラップ
生成される時点
変数バインド
coldStart
管理サーバの起動。
なし
authenticationFailure
SNMP マネージャが不正なコミュニティ文字列を送信。コミュニティ文字列プレフィックスは実際のパスワードであり、Administration Console の [コミュニティ プレフィックス] フィールドに設定した値と一致する必要がある。「WebLogic Server 用のコミュニティ名」を参照。
なし
serverStart
停止していた管理対象サーバが起動するとき。
サーバの起動時刻とサーバ名を識別する名前と値のペアが 2 つ含まれる。
serverShutDown
起動していた管理対象サーバが停止するとき。
サーバの停止時刻とサーバ名を識別する名前と値のペアが 2 つ含まれる。

 


ログ メッセージ トラップ

WebLogic Server インスタンス上のサブシステムおよびデプロイ可能なモジュール (アプリケーションなど) は、ログ メッセージを生成してステータスや他の操作データを通知します。

各サーバ インスタンスは、これらのメッセージをローカル ログ ファイルに格納してから、JMX 通知としてブロードキャストします。メッセージをすべてリスンするように WebLogic SNMP エージェントを設定したり、以下のような条件に基づいてフィルタを設定したりできます。

たとえば、セキュリティ サービスのメッセージのうち、重大度レベルが ERROR 以上のものだけが SNMP エージェントに送信されるように指定できます。SNMP エージェントを設定してメッセージをリスンする方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「SNMP ログ フィルタの作成」を参照してください。

メッセージを受信したエージェントは、SNMP ログ通知トラップを生成します。図 3-2 を参照してください。

図 3-2 ログ メッセージ トラップ

 ログ メッセージ トラップ

ログ メッセージ トラップにおける変数バインド

この節では、ログ メッセージ トラップによって SNMP マネージャに渡される、variable bindings フィールドの名前と値のペアについて説明します。

ログ メッセージと WebLogic Server ロギング サブシステムの詳細については、『ログ ファイルのコンフィグレーションとログ メッセージのフィルタ処理』の「WebLogic ロギング サービスについて」を参照してください。

 


モニタ トラップ

WebLogic リソースの値が変更されたかどうかを定期的にチェックするには、JMX モニタを設定し、これらのモニタからの通知を SNMP エージェントがリスンするようにコンフィグレーションします。

JMX は、管理データをエクスポーズするための J2EE 仕様であり、WebLogic Server 管理システムの基礎です。JMX 仕様では、管理データおよび管理処理は、管理対象 Bean (MBean) を通じて公開されます。WebLogic Server MIB の管理対象オブジェクトは、MBean と MBean 属性に対応します。「MIB と WebLogic Server MBean データ モデルの関係」を参照してください。

JMX モニタは、MIB で表現された WebLogic Server MBean を指定された間隔でポーリングし、指定のイベント (しきい値への到達など) が発生した場合は WebLogic SNMP エージェントに通知を送ります。SNMP エージェントはトラップ通知を生成して、SNMP マネージャに送信します。図 3-3 を参照してください。

図 3-3 モニタ トラップ

モニタ トラップ

監視する属性のデータ型に応じて、以下の 3 種類の JMX モニタをコンフィグレーションできます (属性が返すデータ型については『WebLogic Server MBean リファレンス』を参照)。

カウンタ モニタは、Integer オブジェクト型として返される MBean 属性値を監視します。
属性がしきい値の範囲を超えた場合にトラップが生成されるように指定できます。値がしきい値を超えると、モニタがしきい値をオフセット値の分だけ増加するように指定することもできます。監視されている属性が新しいしきい値を超えるたびに、しきい値は指定された最大許容しきい値に達するまでオフセット値の分ずつ増加します。 カウンタ モニタのコンフィグレーションの詳細については、Administration Console オンライン ヘルプの「カウンタ モニタの作成」を参照してください。
ゲージ モニタは、整数または浮動小数点値として表される MBean 属性の変化を監視します。
属性が、高しきい値または低しきい値を超えた場合にトラップが生成されるように指定できます。 ゲージ モニタのコンフィグレーションの詳細については、Administration Console オンライン ヘルプの「ゲージ モニタの作成」を参照してください。
文字列モニタは、String オブジェクトで表される属性の変化を監視します。
属性の値と指定した文字列が一致した場合にトラップを生成するように指定することも、属性の値が指定した文字列とは異なる場合にトラップを生成するように指定することもできます。 文字列モニタのコンフィグレーションの詳細については、Administration Console オンライン ヘルプの「文字列モニタの作成」を参照してください。

モニタ トラップの変数バインド

JMX モニタは、指定したしきい値または条件に対してポーリングを行います。値が指定のしきい値に到達したか、または指定の条件が発生した場合に、エージェントはモニタ トラップを生成します。WebLogic SNMP エージェントには、各モニタ トラップの変数バインドに、次のような名前と値のペアがあります。

 


属性変更トラップ

JMX モニタを使用して WebLogic Server リソースを定期的にポーリングし、特定のしきい値の範囲を超える変化が属性にないか調べることができますが、属性に何らかの変更があったらすぐにトラップを送信するように SNMP エージェントをコンフィグレーションすることもできます。たとえば、JMX モニタを使用して、現在アクティブな JDBC 接続の数に変化がないかどうかをポーリングします。アクティブな接続数がしきい値を超えた場合、SNMP エージェントはトラップを送信できます。属性変更トラップを使用して、JDBC データ ソース名やサーバのリスン ポートなどの属性が変更されたかどうかを検出できます。

属性変更トラップを送信するように SNMP エージェントをコンフィグレーションする方法については、Administration Console オンライン ヘルプの「属性変更の作成」を参照してください。

注意 : 実行時 MBean の属性変更の作成はサポートされていません。サポートされているのは、コンフィグレーション MBean 属性の属性変更トラップのみです。

属性変更トラップの変数バインド

属性変更トラップの変数バインドには、次のような名前と値のペアが含まれます。


  ページの先頭       前  次