ORACLE JAPAN Server Release 7.0

 

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WebLogic Server エンタープライズ JavaBean の概要

 

WebLogic Server 6.1 には、Sun Microsystems の EJB 仕様で定義されているエンタープライズ JavaBean(EJB)アーキテクチャが実装されています。

注意: WebLogic Server 6.1 は Sun の J2EE 仕様および EJB 1.1 仕様に準拠しています。また、準備段階の EJB 2.0 仕様の実装を含んでいます。EJB の機能および動作の説明箇所で、EJB 1.1 または EJB 2.0 向けと明記されている場合を除いては、このマニュアルのすべての情報は両方の実装に関連したものです。このバージョンの WebLogic Server では既存の EJB 1.1 Bean をデプロイすることもできますが、新しい Bean を開発する場合は、EJB 2.0 Bean を開発することをお勧めします。

以下の節では、WebLogic Server 6.1 のエンタープライズ JavaBean の実装で導入された EJB の機能と変更点について概説します。

 


エンタープライズ JavaBean の概要

エンタープライズ JavaBean は、ビジネス ロジックを実装する再利用可能な Java コンポーネントで、コンポーネントベースの分散ビジネス アプリケーションの開発を可能にします。EJB は EJB コンテナに収められ、永続性、セキュリティ、トランザクション、同時実行性などの標準セットのサービスを提供します。エンタープライズ JavaBean は、サーバサイド コンポーネントを定義するための標準規格です。WebLogic Server のエンタープライズ JavaBean コンポーネント アーキテクチャの実装は、Sun Microsystems の EJB 仕様に基づいています。

EJB コンポーネント

EJB は、主に次の 3 つのコンポーネントで構成されます。

EJB を作成するには、分散アプリケーションのビジネス ロジックを EJB の実装クラスにコーディングし、デプロイメント記述子ファイルのデプロイメント パラメータを指定し、EJB を JAR ファイルにパッケージ化します。EJB を WebLogic Server にデプロイするには、JAR ファイルから個別にデプロイする方法と、他の EJB および Web アプリケーションと一緒に EAR ファイルにパッケージ化して EAR ファイルをデプロイする方法があります。クライアント アプリケーションは、Bean のホーム インタフェースを使用して EJB を見つけたり、Bean のインスタンスを作成したりすることができます。クライアントは、EJB のリモート インタフェースを使用して EJB のメソッドを呼び出せるようになります。WebLogic Server は、EJB コンテナを管理し、データベース管理、セキュリティ管理、トランザクション サービスなどのシステムレベルのサービスへのアクセスを提供します。

EJB の種類

EJB 仕様では、以下の 4 種類のエンタープライズ JavaBean を定義しています。

注意: メッセージ駆動型 Bean は、Sun Microsystems EJB 2.0 仕様の一部です。EJB 1.1 仕様には含まれていません。

 


準備段階の仕様の実装

以降の節では、最終確定されていない Java 仕様に沿って WebLogic Server を使用する方法を説明します。

準備段階の J2EE 仕様

WebLogic Server 6.1 は、次の特徴を備えた 2 種類のバージョンのいずれかを使用できます。

どちらのバージョンも、J2EE に適用される規則に準拠します。いずれのバージョンも同じコンテナを提供しますが、利用可能な API だけ異なります。

準備段階の EJB 2.0 仕様

WebLogic Server では、エンタープライズ JavaBean 2.0 の実装がフルサポートされ、それをプロダクション段階で使用することもできます。ただし、Sun Microsystems EJB 2.0 仕様はまだ最終的なものではありません。EJB 2.0 アーキテクチャの WebLogic Server 実装は、公開されている最新の草稿に基づいています。したがって、最終の仕様が公開されたら、WebLogic Server の将来のバージョンでエンタープライズ JavaBean 2.0の実装に変更があるかもしれません。その場合、WebLogic Server 6.1 向けに開発されたアプリケーション コードは、将来のリリースでサポートされる EJB 2.0 の実装と互換性を持たなくなる可能性があります。

 


WebLogic Server による EJB 2.0 のサポート

WebLogic Server は、Sun Microsystems の EJB 2.0 仕様の実装をサポートしており、Sun Microsystems の EJB 1.1 仕様に準拠しています。ほとんどの場合、このバージョンの WebLogic Server で EJB 1.1 Bean を使用することができます。ただし、既存の EJB デプロイメントを、旧バージョンの WebLogic Server からこのバージョンの EJB コンテナに移行しなければならない場合があります。その場合は、DDConverterで Bean の変換手順を参照してください。

Sun Microsystems の EJB 2.0 仕様では、以下の新機能がサポートされています。

 


EJB ロール

EJB の開発プロセスは、以下のロールに明確に分けられます。

アプリケーション ロール

インフラストラクチャ ロール

デプロイメントおよび管理ロール

 


WebLogic Server の EJB 機能の強化

このリリースの WebLogic Server では、EJB の以下の拡張機能が新しく導入されています。

read-only マルチキャスト無効化のサポート

トランザクション非対応のエンティティ Bean を使用すると、キャッシュ データを無効化または更新する場合に便利です。ユーザは、ホーム インタフェースの invalidate メソッドを利用して、read-only エンティティ Bean を無効にできます。トランザクション非対応のエンティティ Bean のキャッシングについては、read-only マルチキャストの無効化を参照してください。

主キーの自動生成のサポート

WebLogic Server EJB コンテナは、自動的に生成される主キーを提供できます。この機能では、Oracle または SQLServer に用意されているネイティブの自動キー生成機能を使用できます。これらのデータベースを使用していない場合には、ユーザ指定のキー テーブルを通じてキーを生成できます。主キーの自動生成の詳細については、EJB 2.0 CMP に対する自動主キー生成を参照してください。

自動テーブル作成

テーブルが作成されていない場合には、デプロイメント ファイルおよび Bean クラスのデプロイメント記述子に基づいて、テーブルを自動的に作成することができます。この機能は開発段階で使用するためのもので、プロダクション レベルのサポートを提供しません。ただし、プロダクション環境にデプロイする前の設計テストでは非常に便利な機能です。自動テーブル作成の詳細については、自動テーブル作成を参照してください。

Oracle SELECT HINT

WebLogic QL クエリの INDEX の使い方に関するヒントを Oracle Query オプティマイザに渡すことができます。これらのクエリにより、Oracle データベース エンジンにヒントが提供されます。この機能は、検索先のデータベースがこれらのヒントから恩恵を受けることがわかっている場合に非常に有効です。Oracle SELECT HINT の詳細については、Oracle の SELECT HINT の使用を参照してください。

EJB デプロイメント記述子エディタ

EJB デプロイメント記述子エディタは、グラフィカルな環境で EJB 用のデプロイメント記述子を編集するための WebLogic Server Administration Console の拡張機能です。このエディタの詳細については、EJB デプロイメント記述子の指定と編集と Administration Console のオンライン ヘルプを参照してください。

ejb-client.jar サポート

クライアントを 1 つの JAR ファイルにコンパイルするために必要なすべてのクラスをパッケージ化するには、ejb-client.jar ファイル を使用します。ejb-client.jar は、EJB を呼び出すために必要な EJB インタフェースを格納します。WebLogic EJB コンパイラ(weblogic.ejbc)が自動的に ejb-client.jar ファイルを作成するよう、デプロイメント記述子ファイルに指定します。ejb-client.jar ファイルの詳細については、ejb-client.jar の指定を参照してください。

BLOB および CLOB のサポート

Oracle で大きなオブジェクトをバイト配列または文字列に変換するには、BLOB または CLOB を使用します。BLOB および CLOB の詳細については、Oracle DBMS の BLOB および CLOB DBMS カラムのサポートを参照してください。

カスケード削除のサポート

カスケード削除機能を使用すると、エンティティ オブジェクトを削除できます。1 対 1 関係と 1 対多関係に対してはカスケード削除を指定できますが、多対多関係に対しては指定できません。カスケード削除の詳細については、カスケード削除を参照してください。

ローカル インタフェースのサポート

WebLogic Server の EJB コンテナは、ローカル インタフェースのサポートを提供します。EJB コンテナを使用すると、ローカル クライアントが JNDI 経由でローカル ホーム インタフェースにアクセスできるようになります。このリリースでもコンテナ管理による永続性(CMP)関係でリモート インタフェースを使用できますが、新しく開発する場合には使用しないことをお勧めします。ローカル インタフェースのサポートの詳細については、ローカル クライアントの使用を参照してください。

CMP キャッシュのフラッシュ機能のサポート

変更が結果に反映されるようにクエリの前にコンテナ管理による永続性(CMP)キャッシュをフラッシュするよう指定できます。この機能の詳細については、CMP キャッシュのフラッシュを参照してください。

CMP 1.1 のチューニングのサポート

このリリースでは、EJB コンテナはコンテナ管理による永続性(CMP)1.1 エンティティ Bean の更新の調整をサポートしています。EJB コンテナは、トランザクションで変更されたコンテナ管理によるフィールドだけを自動的に判別し、データベースに書き込むことができます。フィールドが変更されていない場合には、データベースは更新されません。この機能はデフォルトで有効になっており、無効にすることもできますが、パフォーマンスを考慮して有効にしておくことをお勧めします。CMP のチューニング サポートの詳細については、WebLogic Server での EJB 1.1 CMP の調整更新を参照してください。

 


EJB 開発者向けツール

BEA では、EJB の作成とコンフィグレーションを支援するツールを提供しています。

スケルトン デプロイメント記述子を作成する ANT タスク

スケルトン デプロイメント記述子を作成するときに、WebLogic ANT ユーティリティを利用できます。ANT ユーティリティは WebLogic Server 配布キットと共に出荷されている Java クラスです。ANT タスクによって、EJB を含むディレクトリが調べられ、その ejb.jar ファイルを基にデプロイメント記述子が作成されます。ANT ユーティリティは、個別の EJB に必要なコンフィグレーションやマッピングに関する情報をすべて備えているわけではないので、ANT ユーティリティによって作成されるスケルトン デプロイメント記述子は不完全なものです。ANT ユーティリティがスケルトン デプロイメント記述子を作成した後で、テキスト エディタ、XML エディタ、または Administration Console の EJB デプロイメント記述子エディタを使ってデプロイメント記述子を編集し、EJB のコンフィグレーションを完全なものにします。

ANT ユーティリティを使ってデプロイメント記述子を作成する方法の詳細については、「エンタープライズ JavaBeans のパッケージ化」を参照してください。

EJB デプロイメント記述子エディタ

WebLogic Server の Administration Console には、EJB デプロイメント記述子エディタが統合されています。この統合エディタを使用する前に、少なくとも ejb.jar ファイルに追加する次のデプロイメント記述子ファイルのスケルトンを作成する必要があります。

詳細については、「Web アプリケーション デプロイメント記述子エディタ ヘルプ」を参照してください。

XML エディタ

XML エディタは Ensemble が提供する、XML ファイルの作成と編集のための簡単で使いやすいツールです。このツールを使うと、指定した DTD または XML スキーマに従って XML コードの有効性を検証できます。XML エディタは Windows または Solaris マシンで使用でき、 BEA dev2dev からダウンロードできます。

 

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