WebLogic Server XA リソースプロバイダの要件



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BEA WebLogic Server では Java Transaction API（JTA）がサポートされており、XA 準拠のリソースを使用して分散トランザクションを調整するトランザクションマネージャを備えています。この章では、WebLogic Server で分散トランザクションに参加する上での XA リソースの要件について説明します。この情報は、サードパーティアプリケーションのインテグレータ向けに書かれたものです。

JTA の詳細については、Sun Microsystems 発行の Java Transaction API（JTA）仕様バージョン 1.0.1 を参照してください。

XA リソースプロバイダ要件の概要

XA リソースプロバイダは、WebLogic Server での分散トランザクションへの参加を可能にするため、スレッドアフィニティ制限のない JTA XAResource インタフェースをサポートしている必要があります。

非 JDBC リソースについては、以下の作業もリソースプロバイダが行います。

起動時に、WebLogic Server のトランザクションマネージャに XA リソースを登録します。
必要に応じて、XA リソースの使用前に WebLogic Server のトランザクションマネージャからリソースを取得し、使用後にそれを解放します。
必要に応じて、weblogic.transaction.XAResource インタフェースを実装します。

トランザクションマネージャへの登録

JTA 仕様では、XA リソースをサーバのトランザクションマネージャにブートストラップする方法は定義されていません。そのため、WebLogic Server では登録用の API が定義されています。

XA リソースプロバイダでは、起動時にローカルトランザクションマネージャに XAResource 実装を登録するため、次の手順が実行されます。

JNDI または TxHelper インタフェースを使用して、JTA トランザクションマネージャを取得します。次のコードは、TxHelper インタフェースを使用して現在のトランザクションマネージャを取得する方法を示しています。
```
import javax.transaction.xa.XAResource;
import javax.transaction.TransactionManager;
import weblogic.transaction.TxHelper;
```
```
TransactionManager tm = TxHelper.getTransactionManager();
```
JTA トランザクションマネージャに XA リソースを登録します。
```
XAResource res = ...// リソース プロバイダによる XAResource の実装
```
```
tm.registerStaticResource(name, res); // 静的なリソースの取得
tm.registerDynamicResource(name, res2); // 動的なリソースの取得
```
リソースプロバイダは、静的または動的な登録メソッドを使用して名前と実装を提供します。静的および動的な取得についての詳細は、 XAResource の取得と解放を参照してください。

リソース名によってトランザクションブランチが決まります。リソースが複数のインスタンスをサポートする場合、それぞれのリソースインスタンスは異なる名前を使用する必要があります。このリソース名は管理にも使用されます。

XA リソースは、トランザクション作業で取得するよりも前に、トランザクションマネージャに登録されている必要がある点に注意してください。
JTA トランザクションマネージャから、XA リソースを登録解除します。
```
XAResource res = _ // リソース プロバイダによる XAResource の実装
```
```
tm.unregisterResource(name);
```
現在のサーバ上でこの名前に関連付けられているリソースプロバイダが登録解除されます。このリソースに未処理のトランザクションがある場合、リソースの登録を解除すると、トランザクションはロールバックされ、トランザクションブランチは破棄されます。

XAResource の取得と解放

JTA アーキテクチャでは、トランザクションマネージャでのリソースの暗黙的な取得と解放を含め、トランザクションリソースマネージャの役割をアプリケーションサーバが果たします。

WebLogic Server では、XA リソースの静的な取得と動的な取得がサポートされています。

静的な取得と解放

XA リソースを静的に取得して登録する場合、WebLogic Server がアプリケーションサーバの役割を果たし、XA リソースプロバイダのために暗黙的な取得と解放を実行します。

WebLogic Server は、トランザクションの開始時と再開時にリソースを取得します。トランザクションが暗黙的に再開されるのは、それ以前に関連付けられたトランザクションを持つ Bean 管理のトランザクション Bean を呼び出すメソッドが開始されたとき、および別のサーバの呼び出しが返されたときです。

WebLogic Server は同様に、トランザクションの中断時、コミット時、およびロールバック時にリソースを解放します。トランザクションが暗黙的に中断されるのは、別のサーバを呼び出すとき、およびメソッド呼び出しがクライアントに返されたときです。使用される解放フラグは、リソースプロバイダでサポートされている場合には getDelistFlag() メソッドで、getDelistFlag() メソッドがサポートされていない場合には TMSUSPEND から取得します。getDelistFlag() メソッドの詳細については、オプションの weblogic.transaction.XAResource インタフェースを参照してください。

動的な取得と解放

XA リソースプロバイダ自体を動的に取得して登録することによって、取得および解放を実行することもできます。この場合、取得と解放の実行において、XA リソースプロバイダが部分的に JTA アプリケーションサーバの役割を果たします。動的な取得の利点は、リソースプロバイダが必要に応じてゆるやかな取得を実行することで、不必要なリソースの取得を避けることができる点です。

XA リソースを動的に取得する場合は、XA リソースプロバイダで以下が実行されます。

import javax.transaction.Transaction;
// JNDI または TxHelper を介して現在のトランザクションを取得する
Transaction tx = TxHelper.getTransaction();
tx.enlistResource(res);

リソースの取得と解放には、かなりの負荷がかかるおそれがあります。WebLogic Server のトランザクションマネージャでは、最適化のため同じスレッド内の同じリソースが重複して取得されないようになっています。

XA リソースを動的に解放する場合は、XA リソースプロバイダが上記のようにトランザクションを取得し、解放フラグを提供すると同時に delistResource メソッドを呼び出します。

tx.delistResource(res, flag);

リソースを動的に取得して登録する場合、取得の手順は省略できません。解放の手順は省略可能です。

WebLogic Server のトランザクションマネージャは遅延解放を実行します。遅延解放の場合は、トランザクションの中断時と終了時に XA リソースに対して end() メソッドが呼び出されます。トランザクションマネージャは、次の順番で解放フラグを取得します。

リソースプロバイダがすでに解放された XA リソースを保持している場合は、以前に提供された解放フラグを使用します。
リソースプロバイダで getDelistFlag() メソッドがサポートされている場合は、そのメソッドを呼び出して解放フラグを取得します。詳細については、オプションの weblogic.transaction.XAResource インタフェースを参照してください。
リソースプロバイダが上記のいずれをもサポートしていない場合、これまで通り TMSUSPEND を使用します。

オプションの weblogic.transaction.XAResource インタフェース

静的な解放の場合、または動的な解放を省略した場合、WebLogic Server JTA トランザクションマネージャは、これまで通りメソッド呼び出しの間に TMSUSPEND を使用して XA リソースを解放し、オープンしている可能性のあるカーソルを保持します。しかし、リソースによっては、TMSUCCESS で解放するよりも多くの内部リソースを必要とするおそれがあります。XA リソースプロバイダは、オプションの weblogic.transaction.XAResource インタフェースをサポートしており、 WebLogic Server で使用するデフォルトの解放フラグをオーバーライドできます。

weblogic.transaction.XAResource インタフェースでは、次のメソッドがサポートされています。

package weblogic.transaction;

public interface XAResource extends javax.transaction.xa.XAResource {
  int getDelistFlag();
}

このメソッドがリソースプロバイダでサポートされている場合、WebLogic Server のトランザクションマネージャは getDelistFlag() メソッドを呼び出して、トランザクションの中断時とメソッドの終了時にリソースの解放に使用する解放フラグを取得します。