アプリケーションとプロジェクト

Workshop では、アプリケーション (より正確にいうとエンタープライズ アプリケーション) を作成してビルドできます。このトピックでは、Workshop におけるアプリケーションとその構成について説明します。

Workshop では、アプリケーションのリソース (プロジェクト、ファイル、およびフォルダ) が次のように構成されます。

ワークスペースの作成方法、および単純なエンタープライズ アプリケーションとそのプロジェクトの設定方法については、入門チュートリアルで説明しています。サンプル アプリケーションも用意されていますので参考にしてください。

ワークスペース

Workshop では、同時に複数のワークスペースを開くことはできません。ワークスペースは、単一の最上位フォルダで、1 つまたは複数のアプリケーションとコンポーネント プロジェクト/モジュールを格納します。ワークスペースの詳細については、[ヘルプ|ヘルプ目次] を選択して [ワークベンチ・ユーザー・ガイド] をクリックすると表示されるヘルプ システムを参照してください。

別のワークスペースを開く

新しいワークスペースを開くには、[ファイル|ワークスペースの切り替え] を選択し、[参照] をクリックして新しいワークスペース フォルダを選択します。

新しいワークスペースを作成する

新しいワークスペースを作成するには、[ファイル|ワークスペースの切り替え] を選択し、[参照] をクリックしてワークスペース フォルダを作成する場所に移動します。次に、[新しいフォルダ] をクリックして新しいワークスペース フォルダを作成します。

ワークスペースを削除する

ワークスペースはディレクトリです。ワークスペースとそのコンテンツを削除するには、単純にコンピュータ上のディレクトリを削除します。

エンタープライズ アプリケーション

Workshop のエンタープライズ アプリケーション (単に「アプリケーション」と呼ぶことが多い) は、一緒にビルドするすべてのリソースの集まりで、WebLogic Server のインスタンスに 1 つの単位としてデプロイされるものです。エンタープライズ アプリケーションのコンポーネントは、1 つの単位として EAR (Enterprise ARchive) ファイルにアーカイブすることもできます。

エンタープライズ アプリケーションは、ワークスペース内での兄弟のような関係にあたる複数のプロジェクトから構成されます。エンタープライズ アプリケーションには、必ずエンタープライズ アプリケーション (EAR) プロジェクトを作成する必要があります。EAR プロジェクトは、アプリケーション内のすべてのプロジェクトを組み立てる上でのかなめとして機能します。

アプリケーションの Java コードなどのファイルは、動的 Web プロジェクト、Web サービス プロジェクト、EJB プロジェクト、ユーティリティ プロジェクトといった追加プロジェクトに格納されます。

エンタープライズ アプリケーションは、Web アプリケーションとは異なります。Web アプリケーションはリソース (通常は HTML ページまたは JSP ページ) の集まりで、ユーザは Web を使用して機能にアクセスできます。エンタープライズ アプリケーションには Web アプリケーションが含まれていることも含まれていないこともあります。

アプリケーションとは、関連するビジネス ソリューションの集まりです。たとえば、電子商取引サイトを構築するとき、カタログ ショッピングや顧客アカウント管理を行う Web アプリケーションや、そうした業務をサポートするコンポーネント (Java コントロール、EJB など) を含むアプリケーションを設計することがあります。また、人事アプリケーションをデプロイして、従業員が使用できるようにすることが必要になる場合も考えられます。ところが、人事アプリケーションは電子商取引アプリケーションとは関係がありません。このため、Workshop では、このような異なるビジネス機能を分離するために別々のアプリケーションを作成できます。

エンタープライズ アプリケーションの標準的な開発手順は次のとおりです。

  1. アプリケーション用の新しいワークスペースを作成します (省略可能)。
  2. アプリケーションのすべてのプロジェクトにリンクする EAR プロジェクトを作成します。
  3. アプリケーション内にモジュール用のプロジェクトを作成します。
  4. プロジェクトのコンテンツを作成します。

新しいエンタープライズ アプリケーション プロジェクトを作成する

新しいエンタープライズ アプリケーション プロジェクトを作成するには、[ファイル|新規|プロジェクト] を選択して [J2EE] を展開します。[エンタープライズ・アプリケーション・プロジェクト] を選択します。ウィザードの指示に従って、プロジェクト名を指定してファセットを選択します。インストール ウィザードの 3 番目の画面には、初期の J2EE モジュール プロジェクトを作成するための [新規モジュール] ボタンが表示されますが、これを使用することはお勧めできません。この方法で J2EE モジュールを追加すると、Workshop プロジェクトではなく Eclipse プロジェクトが作成されてしまうためです。EAR プロジェクトの作成方法の詳細については、「チュートリアル : BEA Workshop 入門」を参照してください。

コンポーネント プロジェクト

プロジェクトは、アプリケーションのコンポーネントのファイルをグループ化したものです。

Workshop では、以下のプロジェクト タイプを使用できます。

Eclipse プラットフォームでは、これら以外のプロジェクト タイプもサポートされています。しかし、Workshop 機能は、Workshop でサポートされる上記のプロジェクト タイプでのみ使用できます。

新しいプロジェクトの作成が必要になるとき

アプリケーションを開発するとき、次の理由により、アプリケーション内に新しいプロジェクトを作成することが必要になる場合があります。

ワークスペースとエンタープライズ アプリケーション プロジェクトを構成する

ワークスペース内のプロジェクトを構成する方法として一般的なのは以下の 2 つです。

  1. すべてのプロジェクトをワークスペースに含める。この構造の場合は、ワークスペース フォルダのサブ フォルダとしてプロジェクト フォルダを作成します。この構成の利点は、すべてのアプリケーション ファイルを 1 つのフォルダにまとめることができる点です。
  2. コンポーネント (ソース) プロジェクトをワークスペースの外に格納する。この構造の場合は、ワークスペース フォルダの外にプロジェクト フォルダを作成します。この構成の利点は、プロジェクト間を柔軟にリンクさせることができる点です。この柔軟性は、複数のエンタープライズ アプリケーションを扱う場合は特に重要です。この構成のもう 1 つの利点は、プロジェクト フォルダに影響を及ぼすことなくワークスペース フォルダを再作成できるため、再構築したエンタープライズ アプリケーションを簡単に組み立てなおすことができる点です。

プロジェクト ソース コードのアーカイブとソース コントロール

プロジェクトとワークスペースは、自己完結型の ZIP ファイルとしてアーカイブするか、ソース コントロールを使用してアーカイブできます。ワークスペース フォルダとプロジェクト フォルダには、ソース コントロールにチェック インすべきメタデータが含まれています。詳細については、「ソース コントロールの操作」を参照してください。

プロジェクト タイプの要約

プロジェクト タイプ プロジェクトのコンテンツ
エンタープライズ アプリケーション (EAR) プロジェクト

- デプロイメントやアーカイブのため、エンタープライズ アプリケーションのコンポーネント プロジェクトにリンクするプロジェクト
- EAR プロジェクトは、エンタープライズ アプリケーションごとに 1 つずつ
JAR ファイルおよびデプロイメント記述子
ビルド ファイルおよび自動生成されたファイル
エンタープライズ JavaBean (EJB) プロジェクト

エンティティ Bean
セッション Bean
メッセージ駆動型 Bean
Java ソース ファイル

動的 Web プロジェクト

- Web アプリケーション

ページ フロー (Java、JSP)
Web ファイル (HTML、CSS、JPEG など)

Web サービス プロジェクト

- Web サービス

Web サービス ファイル (WSDL、Java)
Java ソース ファイル

ユーティリティ プロジェクト

- 共有コントロールおよびコードを含む
Java ソース ファイル

EAR プロジェクト

エンタープライズ アプリケーション (EAR) プロジェクトの特徴は以下のとおりです。

EAR プロジェクトは、ワークスペース内の他のプロジェクトの兄弟プロジェクトのようなものですが、機能的にはプロジェクト間をリンクさせるだけで、アプリケーションのコンテンツは一切保持しません。単一の動的 Web プロジェクト (Web アプリケーション) は EAR プロジェクトなしでもデプロイできますが、複雑なアプリケーションを正しくデプロイするには EAR プロジェクトが必要です。

EAR プロジェクトを作成すると、デフォルトでは以下のファセットが格納されます。

EAR プロジェクトの構成

EarContent ディレクトリには以下が格納されます。

EarContent
/ APP-INF アプリケーション内のすべてのプロジェクトで使用できるライブラリは、EarContent/APP-INF/lib に格納する必要がある。
/ META-INF

ユーザが編集できる以下のデプロイメント記述子ファイル。

  • application.xml - EAR プロジェクトが参照するモジュールの一覧。
  • weblogic-application.xml - EAR プロジェクトが参照するモジュールの一覧。これらのリソースは、EAR プロジェクトが参照するすべてのモジュールおよびプロジェクトから使用できる。

EJB プロジェクト

エンタープライズ Java Beans (EJBs) は、エンタープライズ アプリケーションの Java ソフトウェア コンポーネントです。J2EE 仕様では、EJB がデプロイおよび実行される環境 (またはコンテナ) だけでなく、EJB のタイプおよび機能も定義されています。ソフトウェア開発者から見ると、EJB には EJB の開発およびデプロイメントと、クライアント ソフトウェアからの既存の EJB の使用という 2 つの側面があります。EJB プロジェクトでは、新しい EJB の作成とデプロイができます。

EJB プロジェクトを作成すると、デフォルトでは以下のファセットが格納されます。

必要に応じて、以下ファセットを格納することもできます。

EJB プロジェクトが他の EJB プロジェクトやユーティリティ プロジェクトに依存する場合は、依存関係を明示的に作成する必要があります。プロジェクトを作成しても、この依存関係は設定されません。

EJB プロジェクトの構成

src ディレクトリには、ユーザの Java ソース ファイルが格納されます。パッケージを作成すると、src フォルダに新しいフォルダが作成されます。Bean はそのパッケージ内に作成されます。

動的 Web プロジェクト

動的 Web プロジェクトは、Web アプリケーションの作成に使用します。

ユーザ インタフェース コンポーネントは Java Server Pages (JSPs) で構成されます。JSP は、サーバのリソースと情報をやり取りして、動的コンテンツを生成する Web ページです。Workshop では、複数の JSPs との接続が必要なロジックを含む Java ページ フローを作成できます。

動的 Web プロジェクトには、複数のページ フローを含めることができます。

動的 Web プロジェクトからは、最終的には J2EE モジュールが生成されます。各 J2EE モジュールは、アプリケーションをデプロイメント用にビルドすると、完全な Workshop アプリケーションの EAR ファイルに格納されます。

Web プロジェクトのコンテンツには URL を使用してアクセスできます。

 

動的 Web プロジェクトを作成すると、デフォルトでは以下のファセットが格納されます。

必要に応じて、以下のファセットを格納することもできます。

 

動的 Web プロジェクトの構成

src および WebContent ディレクトリには以下が格納されます。

src Java ソース コード
WebContent Web ファイル (JSP、画像、HTML、CSS など)
/WEB-INF この Web プロジェクトで使用するライブラリは web/WEB-INF/lib に格納する必要がある。

新しいページ フローを作成すると、src フォルダ内にフォルダが作成されます。このフォルダには、そのページに関連する Java コントローラ ファイルとその他の Java ソース ファイルが格納されます。同じ名前のフォルダが web フォルダ内にも作成されますが、このフォルダにはそのページ フローに関連する JSP ファイルが格納されます。

パッケージを作成すると、src フォルダに新しいフォルダが作成されます。src ディレクトリ内にフォルダやファイルを明示的に作成することもできます。

 

Web サービス プロジェクト

Web サービス プロジェクトは、SOAP によるメッセージ交換、XML によるサービスとのメッセージのやり取り、WSDL による Web サービスのパブリック インタフェースの指定など、さまざまな標準に準拠した Web サービスの開発に使用します。

通常、Web サービスは、エンタープライズ アプリケーション ロジックを、ユーザではなく他のアプリケーションにエクスポーズするために使用します。

WSDL (Web Services Description Language) ファイルは、Web プロジェクト内に Web サービスを作成すると自動的に生成されます。

Web サービス プロジェクトからは、最終的には J2EE モジュールが生成されます。各 J2EE モジュールは、アプリケーションをデプロイメント用にビルドすると、完全な Workshop アプリケーションの EAR ファイルに格納されます。

Web サービスのコンテンツには、テスト クライアントを使用してアクセスします。テスト クライアントを使用すると、ボタンのクリックによって Web サービスの各オペレーションにアクセスできます。

 

Web プロジェクトを作成すると、デフォルトでは以下のファセットが格納されます。

必要に応じて、以下のファセットを格納することもできます。

 

Web サービス プロジェクトの構成

src および WebContent ディレクトリには以下が格納されます。

src Java ソース コード
WebContent Web ファイル (JSP、画像、HTML、CSS など)
/WEB-INF この Web プロジェクトで使用するライブラリは web/WEB-INF/lib に格納する必要がある。

新しいページ フローを作成すると、src フォルダ内にフォルダが作成されます。このフォルダには、そのページに関連する Java コントローラ ファイルとその他の Java ソース ファイルが格納されます。同じ名前のフォルダが web フォルダ内にも作成されますが、このフォルダにはそのページ フローに関連する JSP ファイルが格納されます。

パッケージを作成すると、src フォルダに新しいフォルダが作成されます。src ディレクトリ内にフォルダやファイルを明示的に作成することもできます。

ユーティリティ プロジェクト

ユーティリティ プロジェクトは、特別なエンティティ (Web サービス、コントロール、EJB など) の一部になっていない汎用 Java コードを開発、収集するための場所です。たとえば、ユーティリティ プロジェクトに文字書式設定機能のライブラリ用の共有コントロールや Java コードを格納し、そのアプリケーションの別のプロジェクトにある Web サービスや JSP で使用できます。

ユーティリティ プロジェクトを作成すると、デフォルトでは以下のファセットが格納されます。

ユーティリティ プロジェクトの構成

src ディレクトリには、ユーザの Java ソース ファイルが格納されます。パッケージを作成すると、src フォルダに新しいフォルダが作成されます。src ディレクトリ内にフォルダやファイルを明示的に作成することもできます。

ユーティリティ プロジェクトが他のユーティリティ プロジェクトや EJB プロジェクトに依存する場合は、依存関係を明示的に作成する必要があります。プロジェクトを作成しても、この依存関係は設定されません。

 

関連トピック

チュートリアル : BEA Workshop Platform 入門

プロジェクト ファセットの設定
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